様式8の2の2 別紙2
論文審査の結果の要旨
氏 名 添田 泰弘
(1,500字程度とし,1行43文字で記入)
本論文は「湿潤綿布の主観評価に関する研究」と題し,綿布に関するさまざまな主観評価 実験を通して,従来行われていなかった感性的な側面からの,綿布の印象評価について詳細 に検討したものである.
一般に飲食店では,綿布,いわゆるおしぼりが,食事の前に手や顔を清潔にするために客 に提供される.これは,日本ではごく当たり前のサービスであるが,欧米をはじめとした海 外ではほとんど目にすることがない日本独特の習慣である.綿布に関する研究は古くから数 多くのものがあるが,それらのほとんどが洗浄や衛生に関するものであり,快適性や嗜好性 といった感性的な側面からの研究はほとんど見当たらない.そこで,本研究では,感性的な 観点から綿布の基本的要素を抽出し,綿布のサイズ,温度,および色に関する主観評価実験 を実施するとともに,綿布使用時の環境,すなわち,季節,室温等を変化させた場合の被験 者の評価の差異について詳細に調査している.
本研究において得られた主な研究成果は次のようにまとめられる.
① 最も快適と感じる綿布のサイズは,25 ~ 30 cm 四方であり,高級感や重厚感を感じる 綿布のサイズは,30 cm 以上であることを示した.
② 室温 30 ℃時には冷たい綿布,室温 20 ℃時には暖かい綿布が好まれる傾向があり,快適 に感じる綿布の温度は 5 ℃,15 ℃,もしくは 45 ℃,60 ℃であり,不快に感じる綿布 の温度は,30 ℃と 75 ℃であることを示した.特に女性は,男性よりも熱い綿布を好ま ない傾向があることが示唆された.
③ 季節に関しては,春季,夏季では 5 ℃,秋季では 45 ℃,そして冬季では 60 ℃ の綿 布が好まれる傾向があることを示した.
④ 綿布の色彩に関しては,ビビッドよりも白およびペールの評価が高く,赤のペールは「可 愛い」および「おしゃれな」に対する評価を高め,緑および青紫のペールは「かっこ良 い」および「爽やかな」の評価を高めることを示した.
⑤ 色綿布使用時の温冷感に関しては,最も温かく感じているのは赤のペールで白よりも 0.
77 ℃温かく,また,最も冷たく感じているのは青のビビッドで白よりも 0.95 ℃冷たく 感じることを示した.
本論文については,平成27年8月17日に本学アカデミアホールにおいて,審査委員全員な らびに関連分野の研究者,実務者等の出席のもとに公聴会が開催され,研究成果の発表およ び質疑応答が行われた.公聴会終了後に,審査員全員による学位審査委員会において,本論 文の内容を詳細に検討した.その結果,本研究では快適と感じる綿布のさまざまな要素を明 らかにしており,得られた成果は工学的な価値が高く,研究内容の学術レベル,研究として の独創性・実用性において優れたものと判断した.
よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める.