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指紋管理技術の帝国間連鎖とそのアクチュアリティ

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Academic year: 2021

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東京外国語大学海外事情研究所, Quadrante, No.20, (2018) 7 Tokyo University of Foreign Studies, Institute for Global Area Studies, Quadrante, No.20, (2018)

本稿の著作権は著者が保持し、クリエイティブ・コモンズ表⽰ 4.0 国際ライセンス(CC-BY)下に提供します。

https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja

特集:書評コロキアム

指紋管理技術の帝国間連鎖とそのアクチュアリティ

―高野麻子著『指紋と近代』をめぐって―

李 孝徳 L

EE

H

YODUK 東京外国語大学大学院総合国際学研究院 Tokyo University of Foreign Studies, Graduate School of Global Studies Quadrante, No.20 (2018), p.7.

本特集は、2017年3月4日に東京外国語大学・

海 外 事情 研究 所 で開 催さ れ た「 書評 コ ロキアム 指紋管理技術の帝国間連鎖とそのアクチュアリテ ィ―高野麻子著『指紋と近代』(みすず書房、2016 年)をめぐって―」での討議をもとに、コメント とリプライをあわせて掲載するものである。当日 に書評者として発言した板垣竜太氏、土井智義氏、

高榮蘭氏にコメント原稿をあらためて書いていた だき、高野氏にはそれを受けてリプライというか たちで原稿を寄稿していただいた。

今回の書評コロキアムは、科研費共同研究「批 判的地域主義に向けた地域研究のダイアレクティ ック」(代表:小川英文)と「琉球政府の政治的主 体性をめぐる戦後沖縄政治社会史の再構築」(代 表:戸邉秀明氏)、東京外国語大学・海外事情研究 所の共催による企画である。近現代東アジアの人 の移動とそれを管理する力のせめぎあいを捉え、

帝国主義の国際的連関や植民地主義の転位の諸相 を解明する新たな視野を開くべく、本書の合評会 を通じて、帝国の力が重ね書きされた場所として の東アジアの現在の歴史的位置を捉え返すことを 試みたものである。

本書で取り組まれているのは、現在、「生体認証 技術」と総称され、あらゆる身体的特徴を利用し た個人認証技術の嚆矢といってよい指紋による個 人識別方法の史的変遷と統治技術としての権力作 用の意味である。終生不変の指紋によって個人を 識別する「指紋法」という技術は、19世紀末のイ ギリスの植民地インドで被植民地人労働者の管理 技術として実用化されると、ヨーロッパ諸国とそ

れらの植民地、そして日本を経由して「満洲国」

に伝わった。犯罪者や移民などの管理を逃れて移 動しようとする人びとを常に把握・管理下に置く 統治技法としての有用性が国家や植民地統治者に 認知されたからである。そしてこの指紋法は、領 土内の全住民を完全管理しようとする「夢」につ ながり、国民国家の形成・再編の局面で繰り返し 試みられることになる。日本でも、在日台湾人・

朝鮮人などの(旧)被植民地人をはじめとする「外 国人」の管理だけでなく、愛知県民指紋登録のよ うに 1950年ごろから約20年間にわたって続けら れた例がある。本書の独自性は、こうした指紋法 を現在の生体認証技術にまでつながる近代的統治 における社会工学としての身体管理という観点か ら考察した点にあろう。

今回の書評コロキアムでは、本書を通じて、そ れぞれが関心を持つ具体的な文脈から、帝国の力 が重ね書きされた場所としての東アジアの現在を 歴史的に捉え返すことが試みられた。多くの示唆 に富んだ刺激的なコメントを寄せていただいた板 垣氏、土井氏、高氏、そして、その問いかけを真 摯に受けとめてリプライを書いてくださった高野 氏に感謝したい。

参照

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