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「ポリアーキーとグローバリズム」 : 再評価と新たな問題

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Academic year: 2021

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しくかつ極めて困難な問題である。したがって,ポリアーキー論は分析の精度を 高めその理論的力を強力にさせていくという課題とともに,公的異議申し立てと 包括性という変数に加わる,もし想定可能であるならば「第三の変数」をどう設 定するべきなのかという問題への展望・試論という課題も持っているだろう。 理論的には,こうした課題に答えるためには決定の行われる政治ユニットの同 心円的規模の拡大を前提にすれば,議論は還元論に陥ることは言うまでもない。 それでは,過大なまでの規模ポリアーキーはデモクラティックたりえないという 原則論に終始してしまうからである。そうであるならば,「当事者原則」の根本 にある権利理論をどれだけ実践的な処方箋と共に示すことができるかに,その展 望はかかっていると言えよう。したがって,ここでは「世界市民」といった安易 なコスモポリタニズムの提唱を戒めつつ,あくまでも原理的なレベルでのいまい ちどの考察を続けていく必要があるだろう。いささか困難ではあるが,どのよう な理論的契機を見出せるか,それを今後の研究の課題としたい。 本小稿は,専修大学研究助成(研究課題:「グローバル世界における民主主義 理論の再構想」)を受け,2001年度日本比較政治学会分科会「比較政治学の開拓 者」報告原稿に大幅な加筆修正を加えた研究成果である。 (1) 近年の例で言えば,以下の『デモクラシー辞典』には個別の項目としてポリアー キーが扱われている。M・J・Coppedge, “Polyarchy,” in S・M・Lipset ed.,

Ency-clopedia of Democracy, London, 1995, pp.975-978.

(2) Dahl and C・Lindblom, Politics, Economics and Welfare, The University of Chi-cago Press, first ed., 1953, 2nd ed., 1976, 2nd ed., 1992, p.6.(磯部浩一抄訳『政治 ・経済・厚生』東洋経済新報社,1961年)

(3) Robert A. Dahl, Polyarchy, Yale University Press, 1971, p.3.(高畠通敏,前田脩訳 /ロバートA.ダール『ポリアーキー』,三一書房,1981年,7頁)

(4) Ibid., pp.1-2.(邦訳6頁)

(11)

(6) Polyarchy, Ibid., p.32.(邦訳,35頁) (7) 拙著前掲,94―113頁参照。 (8) Polyarchy, Ibid., pp.63-64.(邦訳,78頁) (9) Ibid., p.67.(邦訳81頁) (10) Ibid., p.71.(邦訳85頁) (11) 拙著前掲,43―51頁。

(12) Robert Dahl, “The American Oppositions : Affirmation and Denial,” Robert A. Dahl ed., Political Oppositions in Western Democracies, Yale University Press, 1966. (13) Polyarchy, Ibid., pp.12-13.(邦訳16―18頁)

(14) P. C. Schmitter, “The Consolidation of Democracy and Representation of Social Groups,” American Behavioral Scientist, vol.35, no.4-5(March/June1992), pp.422

-449.

(15) Robert A. Dahl, After the Revolution? , Yale University Press, 1970, revised ed., 1990, pp.64-67. (16) ダールは,選ばれた代表者による政策の作成と公職者への行政課題の委任を特徴 とするシンプルなポリアーキーを「ポリアーキー!」,政策の管理と策定の複雑 化によって必要となる専門知識を活用していくものを「ポリアーキー"」,そし て,専門家による政策エリートの守護者制の陥る危険を回避するために,エリー トとデモスの差を埋めていこうとする「ポリアーキー#」を構想している。 See, Robert A. Dahl, Democracy and its Critics, Yale University Press, 1989, ch.23. (17) Democracy and Its Critics, Ibid., pp.320-321.

(18) Robert A. Dahl, edited by Giancarlo Bosetti, Intervista Sul Pluralismo, Roma-Bari, 2002. 邦訳 ロバート・A.ダール/ジャンカルロ・ボセッティ編 伊藤武訳『ダ ール,デモクラシーを語る』,岩波書店,2006年。 (19) 同上,83頁。 (20) 同上,87,93頁。 (21) 同上,100頁。 (22) 同上,146頁。 (23) もちろんダールは,分析ユニットとしての国民国家を政治的に支持しているわけ ではない。こうした解決不能な問題に対して,例えば功利主義的な対応や倫理学 的考察もありうるだろうが,すべての人々を民主的に包括するべきだとする主張 に合理的な根拠を与えることにはならないと判断しているのである。この問題に 対して,ダールは極めてオープンな姿勢を維持しており,次世代の政治学者に対 する有益かつ重要なチャレンジを鼓舞している。

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