Bulletin ofFaculty ofEducation,NagasakiUniversity:Curriculum and TeachingNo.34(2000)79‑87
少子時代の幼児の発達 と育児
後 藤 ヨシ子●
(平成11年10月29日受理)
Ps y c hol ogi c a lDe ve l o pme nta n dChi l dCa r ei nEa r l y Chi l dh oo da tt heAgeof
LowBi r t hRa t e
Yos hi koGOTO*
(ReceivedOctober29,1999)
は じめ に
どの よ うな社会 や時代 の変 化 の 中 において も,親 は子 ど もの健 やか な成長発達 を願 い, そ して同時 に苦難 に も乗 りこえ強 く生 きる心 の 自立性 を育 み たい と考 え る。 幼児期 は認知 機能 や運動機能 の発達 もめ ざま し く,基 本 的生活習慣 の 自立 の時期 であ る。 そ して幼稚 園 盤活等 ,集 団 の中での友達 との遊 びや 自己発揮 ・自己抑制 の調和 のあ る関係性 を育 む学 び の時期 が始 ま ってい る。心 の しつ け も大切 な課題 の時期 で あ る と思 われ る。
今 回 は今 日の少子 時代 の中, また価 値観 の多様 な時代 の中で,親 は どの よ うな育 児観 や 価値観 を もち,意識 的 に基 本 的 な生活習慣 の形成 や心 の しつ けに心 を傾 け, また遊 びや運 動機能 の発達 の ため に, 日々育 児 の工夫 や実践 を してい るか その内容 や実情 につ い て考察 を試 み た。
研 究方 法
対象 は長崎市 内の4幼稚 園 に通 う3‑ 5歳児244名 (男児132名,女児112名)を もつ母親 に.現在 の幼児 の基 本 的生活習慣 の 自立 や運動榛能 の発達状 況, お よび家庭 で意識 的 に取 り組 ん 妄 い る しつ けの内容 , さ らに子 ど もの遊 び ・育 児面 において 日々工夫 して い る事柄 につ いて,質 問紙法 によ る調 査 を実施 した。
実施 期 間 は1994年11月であ る。
研 究結果
1.幼 児の発達状 況
幼児 の基本 的生活習慣 や運動発達 に関す る38項 目につ いて, 「きちん とで きる」「大体 で きる」 「まだ不十 分」 の3段 階 にて回答 をえ た。4‑ 5歳児 を中心 に 「きちん とで きる」
と 「まだ不十 分」の割合 につ いて特 に17項 目を と りだ し検討 した。
*
長崎大学教育学部家政教育講 座80 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 Na34(2000年)
表 1‑1 基本 的生活 習慣 ・運動 発達 (微細運動 )状 況
項 目 きちん とできる まだ不十分
4歳 5歳 4歳 5歳 スプー ンで こぼ さず 男 76.6% 89.2% 1.7% 0%
食べ る 女 88.4 93.7
0 0
スプー ンと茶碗 を両手 で 男 73.3 91.0 1.7
0
使 う 女 82.6 89.5 1.9 2.1
服の着脱 女男 8853..63 10940..60 1.
0 0
90
小 さいボタ ンをかける 男 78.3 91.0 0 0
女 82.6 97.9
0 0
顔 を洗 ってタオルでふ く 男女 8800..07 8933..79 13..93
0 0
ひとりで歯 を磨 く 女男 7609..02 6893..36 31..93
0 0
入浴の とき体 を洗 う 男 60.0 71.4 6.7 3.6 女 71.1 91.6 5.8
0
タオルを絞 る 男 38.4 68.0 13.3 1.7 女 46.3 77.1 15.3
0
正 しいは しの もち方 男 41.7 53.6 13.3 12.5 女 42.4 72.9 ll.5 4.2
爪を切 る 男 3.3 16.0 81.6 73.2 女 7.6 35.4 73.0 43.7
正方形を措 く 男 55.0 75.0 3.3 3.6 女 67.3 81.2 7.7
0
三角形を描 く 女男 8708..37 8875..54 1.
0 0
90
はさみで紙を真 っ直 ぐ 男 61.8 78.7 1.6 1.7
切 る 女 69.3 79.2 3.8
0
は さみで形を切 り抜 く 男 40.0 55.5 5.0 1.7 女 46.3 79.3 7.6 2.0
は さみで厚紙を切 る 男 25.0 48.3 20.0 10.2 女 36.7 64.7 15.3 6.2
ひ もをかた結 びする 男 18.4 50.0 53.3 21.4 女 63.5 75.0 15.4 6.3
ひ もを花結 びす る 男 1.7 12.5 86.7 78.6
後藤 ヨシ子 :少子時代の幼児の発達と育児 81
(1) 基 本 的生活 習慣 ・微 細 運 動 に関 す る項 目につ いて a.基 本 的生活習慣 の 自立
特 に食事 ・衣服の着脱 ・清潔 に関 した10項 目を とりあげた。4歳か ら5歳 にか けて 「き ちん とで きる」割 合 は発達 に伴 い当然高 くな り, 「まだ不十 分」 の割合 は殆 どない, あ るいは非常 に少 な く, 目安 の5歳 には ほぼ 自立 で きて い るの は8項 目にお いてみ ら れ た。 しか し5歳 児 にお いて 「き ちん とで きて い る」 割合 には性差 がみ られ 「入浴 の 時体 を洗 う」 や 「ひ と りで歯 を磨 く」項 目にか な りみ られ てい る。
一万 5歳児 にお いて も 「まだ不十 分 」 の割 合 が若干 高 い項 目は, 「正 しい は しの持 ち方 」 で あ る。 男児 で 「まだ不 十 分 」 が 1割 強 み られ, 「きちん とで きてい る」割合 も53.6%とほぼ半数 の子 ど もで あ り,一 方女児 は 「き ちん とで きて い る」割 合 は72.9
% と性差 がかな りみ られてい る。 さ らに 「爪 を切 る」 では5歳児 においての 自立 は 「ま だ不十分」の割合 は大変高 く,男児 で73.2%,女児 の43.7%と性差 も大 き くみ られてお
り, これ は児童期 に至 って 自立 す る項 目 といえ る (表 ト 1)0 b.微細連 動 に関す る項 目
手 先 を使 う微細運動 に関 した7項 目を と りあげた。5歳児 におい て 「まだ不十 分」
の割 合 が最 も高 い の は 「ひ もを花結 びす る」 ,次 いで 「ひ もを固結 びす る」で あ る。
いず れ も今 日の 日常 生 活 にお いて経 験 す る機 会 は少 な い こ とを反映 して い る と考 え ら れ,意識 的 に使 用す る機 会 を 用意 す る ことが要求 され る内容 と もいえ る。性 差 もは さ みや紐 を使 用す る項 目にお いて大 き くみ られ てい る。手先 を使 用す る微 細運動 は どち らか といえ ば男児 よ り女 児 の方 が5歳 において,早 く達 成 して い る項 目が多 い よ うで あ る (表 1‑1)0
(2)運 動 発達 (全身運動 ) に関 す る項 目につ いて
大 き く体 を使 う全身運 動 に関す る6項 目を と りあげた。4歳 か ら5歳児 にか けて 「き ちん とで きる」割 合 は高 くな り, 「大体 で きる」割合 を加 え る と項 目の殆 どが到達 し て い る。 性 差 が若干 み られ て お り, 「上 手投 げで ボ ールを投 げ る」は男児 の方 が,一 方 「ぶ らん こを立 って こ ぐ」 は女児 の方 に割 合 は高 くみ られ てい る (表 1‑2)0
表 1‑2 運動 発達 (全 身運 動 )状況
項 目 4歳 き ち ん5歳 と で4歳き る 5歳
男 女 男 女
片足で立つ 88.3% 78.8% 92.8% 95.8%
片足でケ ンケ ンをする 80.0 86.4 85.7 95.8 上手投 げボールを投 げる 78.3 63.4 89.2 75.0 でん ぐり返 しをす る 85.0 86.5 94.6 93.7 スキ ップをす る 71.7 80.9 82.2 89.6
82 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.34(2000年)
表2 ‑ 1 家庭で意識的 に しつけている (しつけた) もの (3‑5歳 児 ) 一微 細 運 動 (手 先 の器 用 さ )を養 う もの ‑
(%)(複 数 回 答 )
内
容 男 女 計小 さ い ボ タ ンを か け る 正 しい は しの もち方 を す る
は さみ で形 を切 り抜 く は さみ で紙 を ま っす ぐ切 る 服 の 着 脱
ひ もを花 結 びす る ひ もを 固結 びす る ひ と りで歯 を磨 く
ス プーンで こぼ さず 食 べ る フ ァス ナーを開 閉 す る 円 を描 く
靴 を は く
入 浴 の時 体 を洗 う
顔 を洗 って タオ ル で ふ く 手 を こす り合 わ せ て洗 う 正 方 形 を 描 く
ス プーンと茶 碗 を 両 手 で使 う 鼻 を か む
三 角形 を描 く
瓶 の ふ た を 回 して は ず す は さみ で厚 紙 を切 る
うが い を す る タオ ル を しぼ る 蛇 口を ひね る 髪 を とか す 爪 を き る
そ の他 特 に な い
75(56.8)
①
49(43.8)①
124(50.8)①
61(46.2)
②
51(45.5)② 112(45.9)㊨
40(30.3)
③
37(33.0)⑨
77(31
.6)⑧
40(30.3)
⑨
32(28.6)㊥ 72(29.5)㊨32(24.2)
⑤
18(16.1)⑥
50(20.5)㊨
9(6.8) 23(20.5)⑤ 32(13.1)
㊨
14(10.6)
⑥
17(15.2)⑦
31(12.7)⑦
12(9.1)
⑦
13(ll
.6)⑧
25(10.3)㊨9(6.8) 8(7.1) 17(7.0) 10(7.6)⑧ 7(6.3) 17(7.0) 10(7.6)
⑧
6(5.4) 16(6.6)8(6.1) 6(5.4) 14(5.7) 6(4.6) 7(6.3) 13(5.3) 5(3.8) 7(6.3) 12(4.9) 7(5.3) 5(4.5) 12(4.9) 3(2.3) 8(7.1) 11(4.5) 8(6.1) 3(2.7) 11(4.5) 5(3.8) 5(4.5)
4(3.0) 5(4.5) 6(4.6) 3(2.7)
0
9(8.0)3(2.3) 4(3.6) 5(3.8) 2(1.8) 4(3;0) 1(0.9)
0
3(2.7)0 0
18(13.6) 4(3.6) 34(25.8) 33(29.5)
10(4.1) 9(3.7) 9(3.7) 9(3.7) 7(2.9) 7(2.9) 5(2.1) 3(1.2)
0
22(9.0) 67(27.5)
後藤ヨシ子 :少子時代の幼児の発達と育児 83
2.家庭 で意識 的 に上手 にな るよ うに しつ けて いる (また過去 しつ けた )項 目につ いて 基本 的生活習慣 と運動機能 の発達 に関す る38項 目につ いて検討 した。 と くに親が積極 的 に意識 して しつ けていない とい う割合 も高 く,微細運動 においては27.5%,全身運動 にお いては61.9%み られた。 その理 由 と して兄 ・姉 との遊 びや行為 を見て まねて身 につけてい る。 また幼稚 園生活 の中で指導 していただ け る とい う安心感 や特 に積極 的 に しつ けな く て も日常生活 の 日々の積 み重 ね の 中で 自然 に身 につ いてい くもの とい う考 え であ った。
(1) 微 細運動 (手先 の器 用 さ) を養 うもの
a.手 先の運動 に関連す る26項 目について,特 に意識 して しつ けている (また過去 に しつ けた)割 合 の多 い項 目順 に, そ して上位 8位 まで につ いて は番号 を記 して い る (表
2‑1)。 特 にボ タ ンか け, は しの もち方 、 は さみの使 用が上位 3位 にあ る。
b. 「その他
」
の 自由記述 の具体 的 内容 につ いて (人数 )26項 目以外 に家庭 で意識 的 に努力 してい る (また は努 力 した)内容 で あ る。
・豆 (小 さな菓子 ) をつ まむ, は しでつ かん で ビンに入 れ る (5)・ブ ロ ック (3)
・ジグソーパ ズル (3)・紐 とお し, ビーズ とお し (3)・折 り紙 (3)・粘土 (1)
・プ ラモデル (1) ・ちぎ り絵 (1)・工 作 (1)・あや と り (1)計22名であ る。
表 2‑ 2 家庭 で意識 的 に しつ けて い る (しつ けた) もの (3‑ 5歳 児 ) 一連 動 機 能 (全 身 運 動 )の発 達 につ な が る もの ‑
(%) (複 数 回答 )
内 容 男 女 計
で ん ぐ り返 しを す る 三 絵 車 を こ ぐ
上 手 投 げで ボ ール を投 げ る 片 足 ケ ンケ ンを す る
ス キ ップ を す る
ブ ラ ンコを立 って こ ぐ 両 足 揃 え て飛 び降 り る 片 足 で立 つ
交 互 に足 を だ して 階 段 を あ が る 交 互 に足 を だ して 階 段 を お り る つ ま先 歩 きを す る
両 足 揃 え て階 段 を お り る そ の他
特 に な い
47(35.6)② 39(34.8)① 86(35.2)① 50(37.9)① 25(22.3)③ 75(30.7)㊨ 42(31.8)⑳ 21(18.8)⑤ 63(25.8)⑨ 31(23.5)㊥ 22(19.6)④ 53(21.7)㊨ 18(13.6)⑤ 26(23.2)② 44(18.0)㊨ 16(12.1)⑥ 18(16.1)◎ 34(13.9)㊨ ll(8.3) 5(4.5) 16(6.6)
6(4.6) 8(7.1) 14(5.7) 4(3.0) 6(5.4) 10(4.1) 3(2.3) 4(3,6) 7(2.9) 3(2.3) 3(2.6) 6(2.5)
0
2(1.8) 2(0.8)34(30.4) 18(16.1) 52(21.3) 79(59.9) 72(64.3) 151(61.9)
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(2)運動機能 の発達 につなが る もの
a.全身運動 に関連す る12項 目につ いて,特 に意識 して とりくん だ割合 の多 い項 目順 に, そ して上 位6位 までについて番号 を記 してい る。特 にでん ぐり返 し,三輪車 の り, ボール投 げが上位3位 にあ る (表2‑2)0
b. 「その他 」 の 自由記述 の具 体 的 内容 につ いて (人数 )
12項 目以 外 に家庭 で意識的 に努 力 してい る (または過去 に努力 した) 内容 で あ る。
・公 園の遊具 で遊 ぶ (アス レチ ック, ジャ ングル ジム等) (9) ・ボール遊 び (投 げ る,蹴 る, うける) (8)・なわ とび (6)・サ ッカ ー (5)・かけ っこ, ジ ョギ ング (4) ・体操教室 (4) ・野球 (3)・高 い所 か ら跳 ぶ (3)・山登 り (2)
・バ ドミン トン (2)・よ く歩 く (2)・跳 び箱 (1)・鉄棒 (1)
・一輪車乗 り (1) ・ローラスケ ー ト (1) 計52名 であ る。
3.乗艦 で r子 どもの並 び」や r育児」にお いて,力をいれ ているこ とや工夫 して いるこ と 自由記述 によ る具体 的内容 につ いて下 記 に示 してい る (人数)0
(1) 「子 どもの遊 び面」につ いて
a.外遊 びそ して友達 と遊 ぶ ことに関す ること (127)
天気 の 日は外 で遊ぶ。外 で伸 び伸 び遊 ばせ る。体 を思 い っき り動 か し仲良 く友達 と外 で遊ぶ。戸外 で走 り回 った り,縄跳 びや ポールで遊 ばせ る.公園等 に行 き, ア ス レチ ッ
ク広場 で全身 を使 って運動 を させ る。 テ レビや フ ァ ミコンを出来 るだけ避 けて,思 い っ き り外 で遊 ばせ る。今 しかで きない ことを思 い切 り外 で体験 させ てあげたい。 な るべ く 外 で遊 び, 多人数 で遊 ばせ たい。誰 とで も仲 良 く遊べ るよ うに。 いろいろな年齢 層 の子
どもた ちとかかわ りを もたせ遊 ばせてい る。 で きるだけ友人 と遊ぶ時間をつ くってや る。
友達 との遊 びで いろいろ学 んで ほ しい。 ひ と り遊 びが好 きな ようなので, で き る限 りお 友達 とかかわ って遊 ぶ楽 しさを覚 え て ほ しい。体力 をつ ける遊 びを しては しいの で,家
の中での遊 びに片寄 らないよ うに気 をつ けて い る,等。
(遊 び内容 につ いて は)
外遊 びの場 合 :走 り回 る, なわ とび, ボ‑ル遊 び,抄 ・どろ ・水遊 び, 自転車 の り, サ ッカー,野球, バ ドミン トン, アス レチ ック, ドッチボール,等 量 内遊 びの場合 :パ ズル, ブ ロ ック, ビーズの紐 とお し, モザ イ ク遊 び,絵 をか く,
ぬ り絵,ゲーム遊 び,大 きなネ ジを使 っての組み立て遊 び, ご っこ遊 び, 迷路 の絵本,歌 ,空 き箱 等 を使 って工夫 して遊 ぶ,体操,等
b.遊 びに関す る考 え方 に関す る こと (38)
ィ. 自主性 ・創意工夫 (31) :自主性 にまかせ る。伸 び伸 び と自由に遊ぶ 中に 自分 た ち で創意工夫 した遊 びをや らせ た い。 本人 の発想 で 自由 に遊べ るよ うに,危 険以 外 は 目をつぶ る。 その年齢 に応 じた こ とをす るか どうか, そばか ら見守 り, あ ま り大人 が手 を入 れ ない よ うに してい る,等。
ロ.集 中力 (7) :遊 んでい る時 はあ ま り声 をか けず に,集 中 して遊 ばせ るよ う心掛 けてい る。好 きな遊 びを とこ とん させ る,等。
C.遊具 の与 え方 ・環境 づ くりに関 す る こと (27)
新 しいお もち ゃはな るべ く買 い与 え な くて,家 にあ る もので工 夫 してい る。 電池 や電 気 で動 くお もち ゃは あま り与 えず, 木 のお もちゃや 自分 で作 った り,組 み立 て た り出来
・・‑ 1・
̲・ 川
.L‑;;qTTW..一一.Ar1I‑ r 7
後藤ヨシ子 :少子時代の幼児の発達と育児 85
る物 を選 ぶ。空 き箱 や紙 ,紐等 をため て おい て 自由な発 想 で遊 ばせ て い る。創造 力豊 か にな るよ うに, いつ で も創 作 で き るよ うに箱 や紙 な ど,材料 を集 め ておいてい る。
伸 び伸 び遊 べ る よ うに部屋 に物 を あ ま り置 か ない。家 の 中 にブ ラ ンコ, スベ リ台 等 を おい て体 を動 かせ るよ うに してい る。庭 に砂 をいれ て砂遊 びが で きるよ うに してい る。
まま ご と遊 びで も,本物 の包 丁 を与 え て野 菜 を切 らせ て い る,等 。 d.家族 ・親 子 で遊 ぶ こ とに関す る こと (45)
ィ.家族 全 員 で ゲー ム した り,運 動 を した り して一 緒 にす ごす時 間 をつ くってい る.
外 に連 れ 出す 回数 をふや し, 公 園 や空 き地 な どで遊 びを工夫 して楽 しめ る機会 をつ くって い る。新 聞紙 ・チ ラ シ ・箱等 ,身近 な もの を使 って一緒 に絵 をか いた り物 を つ くった り して い る,家族 全員 で ゲ ームを した り運 動 を した り して一緒 に何 か をす る時 間 をつ くって い る。家族 の休 み が重 な った折 りは野 外 にで きるだ け連 れ 出 し皆 で遊 ぶ よ うに してい る。 お もち ゃが な くて も公 園 な どで木 の枝 や葉 っぱ とか使 って 一 緒 に遊 ぶ工夫 をす る。 子 ど もが興 味 を覚 えた らな るべ くそれ に協 力す る。 ボール 遊 び等 ,正 しい投 げ方 ,蹴 り方 を教 え る。 自転 車 に乗 れ るよ うに乗 り方 を教 え てい る。 ボー ル け りや野球 等上手 にな る よ う父親 と遊 ん で い る.休 みの 日は外 で家族 で 遊 ぶ。 テ レビゲ ームや ビデオ等 が多 くな るので, で きるだ け トラ ンプや将 棋 な ど一 緒 にす るよ うに して い る,等 (21)0
ロ. 自然遊 び (8) :休 日は必 ず 自然 の中へ遊 び に連 れて行 く。 山 ・川 ・海 に連 れて 行 き 自然 の 中 で遊 ばせ る。 自然 の ものを使 い創意工 夫 して遊 べ るよ うに (虫 ,土 , 水 ,草 花 )親子 で楽 しむ,等。
ハ.本 の読 み聞かせ (16) :親子 で絵本 を読 む。夜 の ひ と時 を絵本 の読 み聞かせで過 ご して い る。 本 に親 しむ,見 る環 境 をつ くる,等。
e.社会性 ・ルール に関す ること (ll) :お友達 と遊 ぶ時のル ールや公共 の場所 で遊 ぶ時 の マナ ーを覚 え させ る。 自分 の我 を通 さず協調性 を もつ よ うに と言 い聞かせ て い る。
友 達 に手 を上 げ な い よ うに仲 良 く遊 ぶ。伸 び伸 び と遊 びな が ら,最低 限の ル ールが あ る こ とを教 え る。 順番 を守 った り自分 の持 ち物 をか して あ げた り, ゆず りあ って使 う よ うに,等 。
f.健康 ・安全 に関す ること (ll) :けがや事故 にいた らないよ うに遊 び方を教えている。
元気 が よい の で けが を しない よ うに注意 させ て い る。 物 (長 い もの等 ) を もって遊 ぶ 時 は危 ない とい うこ とを教 えて い る, 等。
g.テ レビゲ ームや ビデオ視聴 に関す ること (10):時間を決 めている。 テ レビ等 の受動 的 な もの は 出来 るだ け避 ける,等 。
(2) 「育 児面 」 につ いて
a.自立心 ・自主性 に関す ること (34):自分の ことは自分 でで きるよ うに してい る。 自 分 の身 の回 りの こ とが主体 的 に 自分 で で き るよ うに 日常 生 活 の問題場面 で手 助 け,助 言 をす る。 な るべ く親 が手 をか さず に最後 までや りとおせ る様 にす る,等 。
b.思 いや りに関す ること (25) :思 いや りを もち,大 人 にな って社会 に適応 で きる子 に な るよ うに。 だれ にで もや さ し くで き る,心 にゆ と りの あ る子 ど もに。他人 の痛 み も わか るや さ しい子 と も。 自分 よ り小 さい子 ,弱 い子 には力 を使 わず優 しくす る。 兄弟
86 長崎大学教育学部紀要 教科教育学 No.34(2000年)
で一緒 に遊 ぶ ことが多 いのでみん な で仲 良 く妹 をいたわ りなが ら遊 ぶ よ うに言葉 か け を してい る,等。
C.親の接 し方 に関す ること (25):伸 び伸 びと育てるために,親の考えを押 し付 けない。
で きるだ け言 い聞かせ怒 らない よ うに注意 してい る。 はめて伸 ばす育児 に力 を いれ て い る。子 ど もに対 して過干 渉 また は過保 護 にな らない よ う気 をつ けてい る。 子 ど もの 話 に耳 を傾 け るよ う努 めてい る。 素 直 で明 るい子 にな るよ うに子 ど もとた くさん お話 が で きるよ う心 か けてい る。 人格 を持 った人 間 と して扱 うよ う気 をつ けてい る。 「子 ど もの心 理 」 に関 しての本等読 み,子 ど もの気持 ちを少 しで も分 か るよ う努 力 して い る。 子 ど もとの時間 を一 日一 回 は必 ず持 つ よ うにスキ ンシ ップを心 か けて い る。子 ど もと話 す時 は, 目をみ て話 した り返 事 をす るよ うに してい る。両親 の育児 につ いての 考 えを合 わせ る,等。
d・後 かたづ けに関す ること (21) :遊 びの後の後かたづ け も遊 びの延長 と して楽 しくさ せ てい る。 自分 で後 か たづ けが で き るよ うにかたづ け る場 所 を決 めてい る, 等。
e・健康面 に関す ること (15) :外 か ら帰 った ら手洗 い とうがいは必ず させてい る。早寝 早起 きをす る。三 食 きちん と食 べ る。 好 き嫌 いを しない。 目と歯 を大切 に。 食 べ物 に 関 してで きるだ け 自然 の もの を たペ させ たい。病気 は しない よ うに予 防で きる面 はが ん ば る,等。
f.道徳 的に関す ること (15) :善悪 を 自分 で判断で きるよ うにな ってほ しい。人 に され て嫌 な ことは人 に しない 。 他人 に迷 惑 をか けない 。 兄 には尊敬 し妹 には思 いや りを も つ子 ど もにな って ほ しい。 自分 が人 に悪 い ことを した ときはす ぐにあや まるよ うに注 意 してい る。 人 に迷 惑 をか け る こ とが, わか る行動 は しない よ うに言 ってい る。遊 び
にい った時 の帰宅 時 間 を守 らせ る。 約 束 した ことは守 る,等。
g・自己表現 ・自己抑制 に関す ること (14):意志表示 を しっか りで きる子 ど もに。 自分 の考 えを き ちん と話 せ るよ うに。 自分 の気持 ちを話 せ るよ うに。我慢す る と ころ と 自 己主 張す る と ころが で きるよ うに。 自分 中心 の考 え を少 しづつ改 め,相手 の こと も考 え させ る,等。
h.親子 の体験 に関す ること (14):親 も子 どもも共 に喜 びや感動 をわか ちあえ るよ うに い ろん な ことを経験 す る。 父親 との コ ミュニ ケー シ ョンを十分 と って ほ しい と願 って い るので,父親 が い る時 は父親 とか か わ らせ るよ うに心掛 けて い る。父親 を参加 させ 夫婦仲 良 く,常 に子 ど もとは笑顔 で接 す る。 身 の まわ りの 自然 や事物 に対 す る感受性 を大切 にす るよ う親子 で散策 す る。 家族 の緋 を強 め る事 をみん なで行 う。 家事 に関心 が あ るので遊 び感覚 でお手伝 い を して もらう,等。
i. あい さつや言葉使 いに関す る こと (13) :礼儀正 しく。 あい さつが しっか りで きるよ うに。言葉使 い に気 をつ けて い る,等。
おわ リに
少子化 は親 の ゆ と りあ る世話 や教 育 に期待 がで きるとい うプ ラスの評価 が考 え られ る一 面,子 どもの心身 の健 やかな発育発達 において,殊 に子 ど もの人間関係 における体験 の 「縮 小化 」 や 「希 薄化」 に懸念 が もたれ, その影響 は 「多様 な価値観 の存在 を学 び,我慢 す る
こと,人の心 の痛 みを感 じること, ひいては創造力や活力 を育 む」 ことの体験 につ なが る。
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ド 1 ‑ I後藤ヨシ子 :少子時代の幼児の発達と育児 87
これ ら子 ど も時代 の体験 は社会 や時代 の変化 の中,常 に変 わ らず大事 とされ る価値観 であ る と考 え られ る。
幼少期 の環境 のあ りようは親が大 き く関与 して いる。基本的な しつ け,友達遊 び,遊具, 自然 との触 れ合 い等,親 の育児観 や価値観 が大 い に反映 され る。今回の子 ど もの基本的生 活習慣 の 自立 や遊 び,運動発達 等 において,育児 にお ける親 の熱 い思 いや期待 が投影 され てい た。意識 して,家庭 で力を入れ た り ・工夫 してい る内容 に も多様性 がみ られ るが, 多 くの親 た ちは共通 して 「仲良 く友達 と思 い っき り外遊 びを好 み,協調性 や人への思 いや り, そ して 自立性 の あ る」子 ど も像 が措 かれ てい る。 そ して育 児 における子 どもへ の接 し方 や 子 と も理 解 の ための努 力 と同時 に家族 や親子一緒 に感動 や豊 か な体験 を多 くしたい とい う 親達 の考 えが示 されていた。幼少期 の温 かい親子 の体験 は生 きる力 や心 の強 さ,豊 か さを 育 む心 の基盤 で もあ る。
21世紀 を担 う子 どもたちが健 やかな発達 と幸せ な人生 を思 いやる時,育児 ・保育 において ら,大 人 が どの よ うな育児観 ・価値観 を もつか, その内容 と適切 な方 向を各 自が考 えを示 し, 日々の育 児 の 中に実践 し子 ど もに伝 えて い くことの大 事 さが,親 を含 め保育 にたず さ わ る人 々の現 在 の課題 と してあ る, と考 えて い る。
文 献
1)小此木啓吾 ・.望ましい心のしつけとは 児童心理53巻16号,1‑ll,1999 2)厚生大臣の懇談会 :これからの家庭と子育てに関する懇談会報告書1
9 9 0
3)後藤 ヨシ子他 :少子時代の幼児の生活 と遊び 長崎大学教育学部紀要 教科教育No.32,89‑99, 1999