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日本 と中 国 ・韓 国 の 国 民 間 の相 互 認 識 の 比 較

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(1)

「 歴 史 問題 」 ・経 済 ・安 全 保 障 を申心 に

横 倉 節 夫

は じ め に

い ま 、 中 国 と韓 国 の 一 部 で 「北 東 ア ジ ア共 同体 」 が 熱 っ ぽ く語 られ は じめ て い る 。 そ こ に は さ ま ざ まな期 待 や思 惑 が こめ られ て い る が 、 実 際 こ う した こ と を裏 づ け るか の よ う に、 最 近10年 間 の 日 ・中 ・韓 の 問 の ヒ

ト ・モ ノ ・カネ ・情 報 の 移 動 は 加 速 度 的 に 活 発 化 して お り、経 済 的 相 互 依 存 関係 や 市 民 間 、 自治 体 問 の交 流 ・協 力 も強 ま っ て い る。 しか も、 冷 戦 崩 壊 後 、 唯 一 冷 戦 構造 が 残 され て い た朝 鮮 半 島 も、韓 国 ・北 朝 鮮 、 日 本 ・北 朝 鮮 の 首 脳 会 談 に よ っ て 緊 張 緩 和 の 兆 し もみ え は じめ て い る(北 朝 鮮 の 「瀬戸 際外 交 」 に注視 す る必 要 が あ るが)。

しか しそ の 一 方 で ・ 日中 国交 回復30年 をへ た今 日、 日本 で は 「中 国脅 威 論 」 が 台 頭 しは じめ 、 中 国 人 の 日本(人)観 も必 ず し も好 転 して い る わ け で は な い 。 ま た 、 北 朝 鮮 に よ る 日本 人拉 致 問 題 を契 機 に 日本 人 の 韓 国 人 ・朝 鮮 人 へ の 攻 撃 的 態 度 ・行 動 が み られ る し、 韓 国 人 の 日本 人 へ の 嫌 悪 感 も ま た依 然 と して根 強 い 。 「北 東 ア ジ ア共 同 体 」 が幻 想 で あ る か実 現 可 能 な 目標 で あ る か は と もか く と して 、3国 間 の 交 流 ・協 力 過 程 に お い て こ う した 国 民 間 の相 互 認 識(そ れ ぞ れ の 国(民)を どの よ う にみ て い る か)の もつ 意 味 や役 割 は大 きい。

(2)

日本 と中 国 ・韓 国 の 国民 間 の相 互認 識 の 比 較

本 稿 で は、 こ う した 問題 意 識 に も とつ い て、 日本 と中 国 ・韓 国 の 国 民 間 の相 互 認 識 の比 較 をつ う じて、 その 問題 点 と可 能 性 につ い て 、 「歴 史 問題 」、

経 済 、安 全 保 障 を中心 に して考 察 す る こ とに した い 。 い うま で もな く、各 国民 間 の相 互 認 識 を比 較 考 察 す る場 合 、各 国民 間 の 相 互 影 響 を考 慮 す る必 要 が あ る。 と くに北 東 ア ジ アで は 、 日本(人)が 中 ・韓(お よび 台 湾 ・北 朝 鮮)の 国民 に対 して行 っ た戦 前期 や また1960年 代 、 あ る い は70年 代 以 後 の諸 政 策 、行 為 の歴 史 的 時系 列 的 影 響 をあ げ な けれ ば な らな い。 しか し 同 時 に、 こ う した 日本(人)の 諸 政 策 、行 為 が 中 ・韓 の 国民 の生 活 と意 識

に直接 影響 を与 え て い る と して も、 そ れ ぞ れ の 国 の 内部 で の政 治 と くに政 府 の 政 策、 歴 史教 育 の あ り方 、経 済 あ るい は企 業 の 方針 、 メデ ィア の姿 勢 、

さ らに諸 団体 の運 動 等 が相 互 に作 用 しあ い な が ら、 国 民 の 意 識 をつ く りあ げ てお り、 この 点 を無 視 す る こ とはで きない 。 こ う した2つ の過 程 を もつ 相 互 影 響 をつ う じて相 互 認 識 は形 成 され る が 、 こ の こ とは 日本 人 の 中 国

(人)・ 韓 国(人)に 対 す る認 識 に も当 て は ま るだ ろ う。

本 来 な らば 、 こ う した2つ の過 程 の分析 の 上 に立 って、 日本 と中国 ・韓 国 の 国民 間 の相 互認 識 の 比 較 を行 う必 要 が あ るが 、 以 下 で は朝 日新 聞社 の 行 った調 査 結 果 を素 材 と して 、 そ の 問題 点 と可 能 性 に つ い て 若 干 の特 徴 を 記 す こ と とす る。

(注)こ こで使 用 した朝 日新 聞社 に よ る調 査 とは、1999年9月 ・2001年 11月 、2002年8〜9月 に行 った もの で あ る。 デ ー ター は、 そ れぞ れ 『朝 日総 研 リポ ー ト』No.141、155、159に 記載 の もの を使 用 した。

1.各 国(民)に 対 す る包括 的 な意識

中 ・韓 の 「 嫌 日」 意 識 と 日本 人 の タ ブー意 識

ま ず は じめ に 、 日 ・中 ・韓 の 国 民 が 各 国(民)に 対 して い だ い て い る包 括 的 な 意 識 を み る こ と に し よ う 。 こ こ で は 、 そ の 端 的 な 現 れ で あ る 各 国

(民)に 対 す る 「好 き ・嫌 い 」 感 情 を とお して み る こ と に した い 。

(3)

日本 人 の 韓 国(入)に 対 す る そ れ は 、 表1に み られ る よ う に 、99年 調 査 で は 、 「好 き」13%、 「嫌 い 」12%、 「ど ち らで も な い 」72% 、01年 調 査 で は そ れ ぞ れ21%、15%、61%と な っ て い る 。 こ の 間 、 「好 き」 が8ポ イ

ン ト上 昇 して い る が 、6〜70%が 「ど ち ら で も な い 」 と答 え て い る 点 が 特 徴 と い え よ う。 ま た 、 中 国(人)に 対 す る そ れ は 、01年 調 査 で は 、 「好 き」

19%、 「嫌 い」16%、 「ど ち らで もな い 」62%、02年 調 査 で は そ れ ぞ れ19% 、 17%、62%と 、 大 き な 変 化 は み られ な い 。 中 国(人)に 対 して も、 「ど ち

らで も な い 」 の 回 答 の 多 い 点 が 特 徴 と な っ て い る 。

し か し、 こ れ に 対 し て 、 中 国 人 ・韓 国 人 の 日本(人)に 対 す る そ れ は 、

「嫌 い 」 感 情 が 多 い 点 が 特 徴 と な っ て お り、 日本 人 が そ れ ぞ れ の 国(民)に い だ く感 情 と は 明 確 な相 違 が み ら れ る 。 す な わ ち 、 中 国 人 の 日本(人)に 対 す る 感 情 は 、01年 調 査 で は 「好 き」13%、 「嫌 い」62%、 「ど ち らで も な

い」23%、02年 調 査 で は そ れ ぞ れ10%、53% 、35%と な っ て お り、 「嫌 い 」 感 情 が 減 少 し た と は い え 、 依 然 強 い 。 ま た 、 韓 国 人 の 日本(人)に 対 す る感 情 は 、99年 調 査 で は 、f好 き」10%、 「嫌 い 」43%、 「ど ち らで も な い 」48%、01年 調 査 で は そ れ ぞ れ12% 、57%、31%と な っ て い て 、 「嫌 い 」 感 情 の 増 加 さ え み られ る 。 な お 、 中 国 人 と韓 国 人 の そ れ ぞ れ に対 す る

「好 き」 感 情 は3〜40%と な っ て い て 、 この 点 で も 日本(人)に 対 す る感 情 と対 照 的 に な っ て い る こ とが 特 徴 で あ る 。

こ う した 全 体 的 傾 向 の な か で 、 年 齢 別 特 徴 に つ い て み る と 、 日本 人 の20 歳 代 前 半 ・後 半 、30歳 代 前 半 の 若 年 層 に 、 韓 国(人)、 中 国(人)双 方 に 対 す る 「好 き」 感 情 の 増 加 が み られ 、 他 の 年 齢 層 を 上 回 っ て い る 点 が 注 目 され よ う 。 韓 国 人 の 日本 人 に対 す る 場 合 も、 そ れ ほ ど明 確 で は な い が 、 同 様 の 傾 向 が み られ る 。 しか し、 中 国 人 の 日本(人)に 対 す る そ れ で は 、 逆

に若 年 層 で の 減 少 が み られ 、 他 の 年 齢 層 と 同様 の 傾 向 が み ら れ る 。

以 上 の こ と か ら も明 らか な よ う に 、 日本(人)に 対 す る 中 国 人 ・韓 国 人 の 包 括 的 意 識 の 特 徴 は 、 根 強 い 「嫌 日」 意 識 で あ る と い っ て よ い で あ ろ う。

と くにOl年 の 調 査 で は そ の 高 ま りが み ら れ た が 、 そ れ に は 歴 史 教 科 書 の 検

(4)

日本 と中国 ・韓 国 の国 民 間 の相 互 認 識 の比 較

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(5)

定 ・採 択 問 題 や小 泉首 相 の8月13日 の靖 国神 社 参 拝 問題 が 大 き く影 響 し て い る こ とは ま ちが い な い だ ろ う。 しか しそ れ だ け で は な く、 中国 人 ・韓 国 人 の 「嫌 日」 意識 の 基 底 には 、戦 前 の 日本(人)の 侵 略 戦 争 や植 民 地 支 配 に よ る 「被 害 」 の記 憶 ・伝 承 と、 両 国 の 「建 国 の 正 当 性 根 拠 」 と して の

「抗 日」 と 日本 か らの 「解放 」 とが あ り、 両 者 が相 互 に補 強 しあ う状 況が あ る とみ られ る(こ の こ とは北朝 鮮 で もい え る だ ろ う)。 したが って 、 日本 で た とえ ば歴 史 教 科 書 の採 択 問題 や首 相 の靖 国神 社 参拝 問題 が 生 ず る た び に、

この 「嫌 日」 意 識 は 噴 出 す る こ とに な り、 ま た強化 され る こ と にな るの で あ る。 い いか えれ ば 、中国 で は 「親 日」 は状 況 に よってはい つで も 「媚 日」、

さ らに は い さ さか 古 め か しい言 葉 で はあ るが 「漢 好 」 に転 化 す る政 治 的 社 会 的 磁 場 が あ る、 と もい え るだ ろ う。 また韓 国 で は 、 「親 日」 派 あ る い は

「日韓 癒 着」 を政 権 の 基 盤 に しなが ら、外 交 的 に は対 日強硬 姿 勢 を もつ とい う二 律 背 反 状 況 に あ っ た歴 代 政権 に対 して 、民 主 化 をす す め る国 民 に と っ て も・ 「反 北=反 共 」 政 策 を支 持 す る 国民 に と って も、 日本 か らの1解 放 」 は 戦 前 ば か りで な く戦 後 の 問題 と して も意 識 され て い た 、 と考 え られ る。

した が って 、 中 国 人 ・韓 国 人 の 「嫌 日」 意 識 は 、 戦 後 の そ れ ぞ れ の 国 の 国 内政 治 の面 か らい って も、 再 生 産 され る基 盤 が あ っ た、 とい っ て よい で あ ろ う。

これ に対 して、 日本 人 の 中 国(人)・ 韓 国(人)に 対 す る意 識 の特 徴 は、

「どち らで もない 」 が 大 半 で あ る点 に あ る。 これ は戦 後 の 日本 に お い て は 、 中 国(人)・ 韓 国(人)に 対 す る 「好 き ・嫌 い」 の 思 いや そ の表 現 が 一種 の

タブ ー とな っ て い る こ と と無縁 で は な か ろ う。 そ して、 こ う した タ ブー意 識 は、 戦 前 の 行 為 に対 す る一種 の 「う しろ め た さ」 と経 済復 興 に よる 「優 越感 」 とが合 流 して形 成 され た とみ られ る(こ の 「優 越 感 」 に は そ の基 盤 が ちが う とは い え、 戦 前 ・戦後 を通 じた連 続 性 が あ る)。 したが って 、 こ う

した タブ ー 意 識 の下 で は 多 くの 国 民 は 一般 的 に い って 、 中 国(人)・ 韓 国 (人)に 対 して は 、 「あ た らず さわ らず」 とい う行 動様 式 を とる こ と に な る だ ろ う。

(6)

日本 と中 国 ・韓 国 の 国民 間 の相 互認 識 の 比較

以 上 の よ う に、3か 国 の 国 民 の 包括 的意 識 の特 徴 と して、 中 国 人 ・韓 国 人 の根 強 い 「嫌 日」 意識 と日本 人 の 中 国(人)・ 韓 国(人)に 対 す る タブ ー 意 識 が あ げ られ る が 、 まず そ の こ と を確 認 して お く必 要 が あ る だ ろ う。

皿.「歴 史 問 題 」 に対 す る ズ レ 中 ・韓 国 人 の 日本(人)へ の 不 信 感 と 日本 人の 「 新 た な関係 作 り」 志 向

先 にの べ た よ うに 、 中 国 人 ・韓 国 人 の 「嫌 日」 意 識 の核 と して戦 前 の 日 本(人)の 侵 略 戦 争 や植 民 地 支 配 に対 す る 「抗 議 」 が あ るが 、 そ の こ とは 中 国 人 ・韓 国 人 が 戦 後 の 日本(人)の この 「歴 史 問題 」 に対 す る向 きあ い 方 を強 く意 識 してい る こ と を意 味 す る、 とい っ て よい だ ろ う。 しか し同時 に、 「歴 史 問題 」 を 日本 人 もまた意 識 して い る こ とは、 まちが い なか ろ う。

実 際 、99年 の調 査 で は 、韓 国 人 で は94%が 「歴 史 問題 は決 着 してい な い 」 と答 え て い るが 、 日本 人 で も 「決 着 した」23%、 「決 着 して い な い」

70%と な って い るので あ る。 また調 査 年 も設 問 も異 な るが 、02年 の 日 ・中 の調査 で は、 「日本 は、 中国 に対 して戦 争 な ど過 去 の 問題 につ い て の償 い を 十 分 に して きたか」 とい う問 い に対 して 、中国 人で は 「十分 して きた」3%・

「まだ不 十 分 」86%で あ るが 、 日本 人 で は 「十分 して きた」42%、 「まだ不 十分 」44%と な って い る。 中国 人 ・韓 国 人 と日本 人 との 数量 的 な 開 きが 注 目 され るが 、 しか し多 くの 日本 人 もまた 「歴 史問題 」が 「決着 してい ない」、

あ るい は償 いが 「不 十 分 」 と意 識 して い る、 とい っ て よい だ ろ う。

しか し、 この 「決 着 して い な い」 あ るい は 「不 十 分 」 と意識 され て い る 、 そ の理 由 の相 違 に こそ 注 目す べ きで あ る。表2に み られ る よ うに、99年 調 査 で は 、 「決 着 して い ない」 と認識 してい る韓 国 人 の場 合 、 「過 去 に対 す る 謝 罪 が 十 分 で な い」35%、 「歴 史 認 識 や教 科 書 の 記 述 に問 題 が あ る」23%

で あ る の に対 して 、 日本 人 の場 合 で は そ れ ぞ れ20%、13%で あ り、10ポ イ ン ト以 上 の 差 が み られ る 。韓 国 人 で は 「謝 罪 」 や 「歴 史認 識 」 が そ の理 由 の多 くを 占 め る の に対 して 、 日本 人 に は そ れ は少 な い 。 日本 人 の場 合 、

(7)

表2.過 去 の歴 史 の 問題 が 未 決着 と思 う理 由('99年)(%)

韓 文化交流の制限が残っている 3234﹂ワ畠θ9臼

韓国人に対する差別

意識が残 っている

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歴史認識や教科書の

記述に問題がある

232623 9θ‑⊥9﹂009自9自‑

補償などの問題が解

決 していない

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過去に対する謝罪

が十分でない

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日 文化交流の制限が残っている 44564634454

韓国人に対する差別

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記述 に問題がある

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補償などの問題が解

決 していない

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過去に対する謝罪

が十分でない

202019 2170399522122111

回 肢択

選 体

全 性男 性女 歳歳歳歳歳歳歳上

溺 認 瀧

0505000022334567

性別 1年齢別

資 料 出 所)前 出 『朝 日 総 研 リポ ー ト』No.141,に よ る 。 注1)韓 国 側 の 年 齢 区 分 に つ い て は 、 表1を 参 照 。

多 くの 国 民 が 「歴 史 問 題 」 は 「未 決 着 」 と意 識 して い る に も か か わ らず 、

「謝 罪 」 や 「歴 史 認 識 」 の 問 題 を意 識 的 か ど うか は と もか く と して避 け て い る とい っ て よ い だ ろ う。 そ し て そ の こ とが 、 韓 国 人 に 日本 人 は 「歴 史 問 題 」 に 誠 実 に 向 き あ っ て い な い と い う意 識 を 強 め させ る の か も しれ な い 。 い ず れ にせ よ 、 「歴 史 問 題 」 が 未 決 着 で あ る理 由 を め ぐっ て 、 日本 人 と韓 国 人 の

「ズ レ」 は 大 き い(な お 、 中 国 人 に つ い て は 同 一 の 設 問 が な い の で 推 測 の 域 を で な い が 、 後 述 す る 「過 去 の 問 題 に つ い て 、 日本 が 一 番 力 を入 れ るべ き 点 」 の 回 答 か らみ て 、 韓 国 人 と 同様 の 意 識 を も っ て い る 、 と考 え られ る)。

そ して 、 こ う した 理 由 に か ん す る 「ズ レ」 が 、 「過 去 の 問 題 に つ い て 、 日 本 が 一 番 力 を 入 れ る べ き だ と 思 う の は 、 ど ん な こ と か 」 と い う 問 題 に も

「ズ レ」 を 生 じ させ る こ と に な る の で あ る 。 表3に み られ る よ う に 、99年

(8)

日本 と中 国 ・韓 国 の 国民 間 の相 互 認 識 の 比 較

表3.過 去 の 問 題 に つ い て 、 日本 が 一 番 力 を 入 れ る べ き 点(,99年,'02年)

(%)

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性別年齢別

資 料 出 所 〉 前 出No.141,No.159に よ る 。

注1)韓 国 の 年 齢 区 分 は 、20歳 代 、30歳 代 、40歳 代 、50歳 以 上 、 中 国 の'Oi年 の そ れ は30歳 代 ま で は 日 本 と 同 じ で あ る が 、40〜44歳 、45〜49歳 、50〜54歳 、55〜59歳 、60〜64歳 、65〜69歳

と な っ て い る 。 た だ し、 中 国'a2年 の 年 齢 区 分 は 日 本 と 同 じ。

2)()内 の 数 値 は'02年 の も の 。

3)'02年 の 選 択 肢 の う ち 「ア ジ ア へ の 積 極 的 貢 献 」 は な い 。

調査 で は、 韓 国人 の場 合 、 「被 害 を与 えた 国 に対 す る心 か らの 謝 罪」42%、

「被 害 者 へ の金 銭 的 な補 償」18%が 多 い 。 「歴 史教 育 の充 実 」 が12%と 少 ない の は、 調査 が01年 の 歴 史教 科 書採 択 問題 以前 に行 わ れ た ため と思 わ れ る。 中 国人 の場 合 で は、99年 調査 で は、 「心 か らの謝 罪 」39%、 「被 害 者 へ

(9)

の補 償 」19%が 多 い が 、02年 調 査 で は 「心 か らの謝 罪 」41%の 他 に、 「歴 史 教 育 の充 実 」 が25%と な っ てお り、99年 調 査 の ほ ぼ2倍 に増 加 して い る。 調 査 年 に よ っ て 多 少 の相 違 が み られ る もの の 、 韓 国 人 ・中 国 人 で は 、 r歴 史 問題 」 が 「未 決 着 」 の理 由 が そ の ま ま 「日本 が 一番 力 を入 れ るべ き」

こ と と して 認 識 され て い るの で あ る。

こ れ に対 して 、 日本 人 の場 合 、99年 調査 で は、 「心 か らの 謝罪 」 は20%、

「被 害 者 へ の補 償 」 も10%と 少 な く、 これ にか わ って 「過 去 に と らわ れ な い 新 た な関係 作 り」41%、 「ア ジ アへ の積 極 的 な貢献 」21%が 多 い(「 ア ジ アへ の積 極 的 な貢 献」 とい う選 択 肢 が あ るの は、99年 調 査 が ア ジア8ケ 国 に わ た る調 査 で あ っ た た め と思 わ れ る)。 こ う した傾 向 は 、01年 に歴 史 教 科 書 の採 択 問題 や小 泉 首相 の靖 国神 社 参 拝 問 題 が 生 じた1年 後 の調査 に も か か わ らず 、02年 調査 で は、 よ り強 くなっ て い る とい って よい だ ろ う。 す な わ ち、 歴 史 教 育 の充 実」 が13%と わず か に増 加 した もの の 、 「心 か らの 謝 罪」 は13%と 逆 に減 少 し、 「新 た な 関係 作 り」 は67%と な っ て い る (02年 調 査 で は 、 「ア ジ アへ の積 極 的貢 献」 の 選 択 肢 が な い た め 、 「新 た な 関係 作 り」 が増 加 した とみ られ る。99年 調査 の2つ の選 択 肢 の合計 数値 と 02年 調査 の 「新 た な関係 作 り」 の数 値 は ほ ぼ 同 じで あ る)。

こ う した 日本 人 の 「新 た な 関係 作 り」 志 向 は、 一見 して 未 来志 向 の よ う にみ え る。 しか し、 そ れ は 「歴 史 問題 」 の 「未 決 着」 理 由 と して の 「謝 罪」

と 「歴 史 認 識 」 を避 けて い る こ とと一 つ なが りで あ る、 とみ るべ きで あ る。

い い か えれ ば、 「謝 罪」 と 「歴 史 問題 」 を 回避 す る こ とに よっ て、 「歴 史 問 題 」 に対 す る 「未 決着 」 意 識 と未 来 志 向 とは並 存 す る こ とに な るの で あ る。

しか し、韓 国 人 や 中国 人 か らみ れ ば、 こ う した並 存 こそ 日本 人 が 「歴 史 問 題 」 に誠 実 に向 き合 っ て い な い状 況 を示 す 、 とみ え る だ ろ う。 す な わ ち、

日本 人 の多 くが 「歴 史問 題 」 に対 して 「未 決 着 」 と考 え る な らば 、 まず も って 「心 か らの謝 罪 」 や 「歴 史教 育 の充 実 」 「補 償 」 をす べ きで あ って 、 こ れ を欠 い た 「新 た な関係 作 り」 は あ りえ ない 、 とみ て い るだ ろ う。 したが

って 、 そ れ を欠 い た 日本 人 に お け る こ う した並 存 状 況 に対 して 、韓 国 人や

(10)

日本と中国 ・韓国の国民間の相互認識の比較

中 国 人 は不 信 感 を もつ とい っ て も よい だ ろ う。 こ う した 「ズ レ」 を もた ら す最大 の原 因 は、「歴 史 問題」 に対 す る 「未決 着 」 と考 え る理 由(認 識 恨拠)

とそれ に対 す る姿 勢(政 治 的 、社 会 的 、 心 理 的 な もの を含 め て)の 相 違 に あ る、 と考 え られ る。

もち ろん 、多 くの 日本 人 には、 「謝 罪 」 と 「補 償」 は そ れ ぞ れ の国 交 回復 時 にす で に決着 済 あ るい は ほ ぼ決 着 して い る、 とう け とめ られ て い るか も

しれ ない(た だ し、 と くに 中国 に対 す る 「補 償 」 につ い て は、 実 質 的 に は そ う した意味 や役 割 を もた され た と して も名 目上 は そ うで は ない)。 その 後 も、95年 の 「村 山談 話 」 や 国 会 決議 にお い て 「反省 とお わ び」 が な され 、

「謝 罪」 も何 度 か な され て い る(85年 に行 わ れ た 「ヴ ァイ ツ ゼ ッカ ー演 説」

と比 較 して、ほ とん ど無 内容 で あ った こ とは しば ら くお くと して も)。 また 、 正 しい 「歴 史認 識 や教 育 」 も、98年 の 「21世 紀 の 日韓 パ ー トナ ー シ ップ共 同宣 言 」 にお い て うた わ れ て い る。 しか し、韓 国 人 ・中 国 人 に は、 こ う し た一 連 の 「反 省 とお わ び」 は 日本 政 府 や 政 治 家 が何 か こ とをお こ した び縫 策 と して だ され た もの が 多 く、何 回 も反 古 に され て お り、 しか も 日本 人 の 多 くが そ れ を座 視 してい て 、信 用 で きない 、 とうけ とめ られ てい るだ ろ う。

一 言 でい え ば、 「心 か らの謝 罪 」 で は ない 、 とい う こ とに なろ う。

こ う した 中国 人 ・韓 国人 の 日本(人)に 対 す る二 重 三 重 の不 信 感 が 、 た とえば02年 調 査 で は、 中国 人 の50%が 中国 と日本 の 関係 が うま くい って い ない と回答 して い る こ と に現 れ て い る、 と考 え られ る 。 しか し、 日本 人 の場 合 も、 「う ま くい って い な い」 が45%と 「う ま くい って い る」41%を 上 回 っ て お り、 そ の理 由が 「歴 史 認 識 」 や 「相 互理 解 の 不 足 」 にあ る 点 も 意 識 され て い る。 した が っ て、 問 題 は 日本 人 が この 点 を直 視 して 、 タ ブ ー 意 識 を克 服 して新 しい 意 識 を形 成 しう るか ど うか にか か って い る\ とい っ て よい 。 だ が もち ろ ん 、 そ れ は 簡単 な こ とで は な い。 そ れ を直視 す る こ と は、 天 皇 をは じめ とす る 日本 人 の 戦 争 ・植 民 地 支 配 の責 任 問 題 、 そ れ と直 接 か か わ る靖 国神 社 の位 置 づ け問題 な ど、 さ ら に広 げ て い え ば 明治 以 来 の 日本 の 「近 代 化 」 とそ の 中 で生 きて きた一 人 一 人 の ア イ デ ンテ ィテ ィー の

(11)

あ り方 自体 が 問 わ れ な けれ ば な らな い か らで あ る。 これ らの 問題 は 戦後 半 世 紀 以 上 た っ て も 「未 決 着 」 の問 題 で あ り、 逆 にい え ば そ れ を回避 す るた め に タ ブー 意 識 が 形 成 され た と もい え る か らで あ る。 こ の点 で注 目 され る の は、20歳 代 、30歳 代 前 半 の若 年層 で 、今 後 の 「歴 史教 育 の 充実 」 を重視

してい る こ とや 、01年 調査 で歴 史認 識 の問題 を解 決 で き る とす る 回答 が他 の年 齢 層 を上 回 っ て い る こ とで あ る。 また北 九 州 市 が 韓 国 の 自治 体 交 流 の 中 で、 「歴 史 問 題 」 を あつ か い は じめ て い る な どの動 き もあ る。 そ して幸 い な こ とに、 韓 国 の若 年 層 で も一 方 で 日本 の若 年 層 と同様 の傾 向が 生 じは じ め てい る点 や 、 自国 の歴 史 教 科 書 の見 直 し も一部 で意 識 され は じめ て い る。

当面 は 、 こ う した流 れ を大 き くす る こ とが 必 要 とな っ て い る、 とい っ て よ い だ ろ う。

皿.経 済 分 野3か 国 の 関係 強 化 の 中 での低 い 日本 への 評価 ・ 期 待 と 日本 人 の ジ レ ンマ

「歴 史 問題 」 に対 す る韓 国 人 ・中 国人 と 日本 人 との 間 の 「ズ レ」 が 各 国民 の 相 互 認 識 の 内 容 に大 きな影 響 を もた ら して い るが 、 一 方 で は と くに経 済 分 野 で の3か 国 の相 互 依 存 関係 の深 ま りが み られ るの も事 実 であ る。 こ う した状 況が 、of年 の調査 結 果 に も現 れ て い る とみ て よい だろ う。す なわ ち、

今 後3か 国 で 関 係 を深 め た ら よい と思 う分野 で は 、各 国民 と も 「経 済」 を あ げ て お り、他 の選 択 肢 を引 きは な して い る の で あ る(日 本73%、 韓 国 80%、 中 国66%)。 しか し、 こ う した 関係 強 化 の期 待 の 中 で 、 韓 国 人 ・中 国 人 が 日本 を どの よ うに評 価 し期 待 して い るの か 、 また 日本 人 が どの よ う な ジ レンマ をか か え てい るの か 、 が問 題 とな る だ ろ う。

と こ ろで 、 この経 済分 野 で の 関係 強化 に対 す る期 待 の 中 で、 と くに中 国 に焦 点 が あ わ さ っ て い る点 が注 目 され る。 表4に み られ る よ う に、 日 ・ 韓 ・中 ・米 の うち今 後10年 間で経 済 が もっ と も成 長 す る国 と して、3か 国

と も中国 をあ げ て い るの で あ る。 日本 人 の場 合 、 「中国」 が64%と な って

(12)

日本 と中国 ・韓 国 の国 民 間 の相 互 認 識 の比 較

表4.今 後10年 間 で 、 経 済 が 最 も成 長 す る 国(rO年)

(%)

回 答 国 日 本 韓 国 中 国

選 択 肢

日 本

韓 国

米 国

中 国

日 本

韓 国

米 国

中 国

日 本

韓 国

米 国

中 国

全 体 5 14 9 64 5 11 s 7s 7 6 11 76

性 別

男 性 女 性

4 5

8 12

6 12

76 54

4 6

9 14

4 S

88 72

7 7

7 5

10 12

76 75

年 齢 別

20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 40〜49歳 50〜59歳 60〜69歳 70歳 以 上

S 6 6 5 2 2 5 9

17 17 13 19 12 8 6 5

14 12 11 9 8 5 9 12

56 60 66 63 73 77 64 45

5 4 3 4 5 4 15 19

16 10 9 12

7 14 11 18

7 7 4 5 5 7 12 18

72 79 84 79 83 75 62 45

9 3 5 S 9 12

4

4 10 10 3 4 7 4 5

8 7 S 13 12 17 15

78 79 77 76 75 64 76 89

職 業 別

事 務 ・技 術 製造 ・サ ー ビス

自 営 農 林 漁 業 主 婦

そ の 他 ・無 職 2 5 2 10

6 8

11 12 9 8 11

8 7 9 8 9 12 10

77 68 75 52 54 53

資 料 出 所)前 出 『朝 日総 研 リ ポ ー ト』No.155、 に よ る 。

お り、性 別 で は 「男 性 」、 年齢 別 で は40歳 代 、50歳 代 、職 業 別 で は 「事 務 ・技 術 職」、 「製 造 業 ・サ ー ビス業 」、 「自営 業」、 と実務 にた ず さわ り直 接 間接 に 中国 の 影 響 を こ うむ っ て い る層 で 高 くな って い る 。韓 国 人 の 場 合 で は、 「中国」 が78%と 日本 人 の場 合 以 上 に高 く、年 齢 的 に は30歳 代 、40 歳代 で 多 い。 中 国人 の場 合 で は 、 「中 国」 が76%で あ り、年 齢 的 に は20 歳代 で やや 高 い 数値 となっ て い る。 これ に対 して 「日本」 に対 す る評 価 は、

3か 国 と も きわ めて低 い。 また、 「韓 国」 に対 す る評 価 も低 いが 、 ただ 日本 人 の20歳 代 、30歳 代 でや や 高 くな って い る点 が 注 目され る。

こ う した 日本 人 ・韓 国 人 の 「中 国」 へ の高 い評 価 は、 な に よ り も中 国 経 済の 高 成長 にあ るが 、 同時 に90年 代 にお け る両 国の 中国へ の関係 の深 ま り

を も反 映 して い る、 とい っ て よい だ ろ う。 た とえ ば、 日本 か ら中 国へ の90

(13)

〜94年 の 年平 均 直接 投 資 額 は21億6千9百 万 ドル(そ の逆 は7百 万 ド ル)、95〜99年 の そ れ は42億7千4百 万 ドル(そ の逆 は6百 万 ドル)、 と な って い る ので あ る。 また 、 日中間 の貿 易 額(輸 出 入額)は90年 代 に上 昇

し、01年 で は年 間900億 ドル を こ える とい わ れ てお り、 日本 に とって 中 国 は い まや米 国 につ ぐ2・ 番 目の輸 出相 手 国 で あ る と同 時 に、 最 大 の貿 易 赤 字 国(00年 で約250億 ドル)と もな って い るの で あ る(た だ し、 中国 の貿 易 総 額 の半 分 は 日本 を含 む外 資 との合 弁 会 社 で あ る点 、 また 日本 の 香 港 向 け 黒 字 額 が対 中赤 字 額 に ほぼ相 当 し、 しか も 日本 が 香 港 経 由 で基 幹 部 品 な ど を輸 出 し、 中 国 で加 工 され た製 品 が 輸 入 され る とい う構造 が あ る点 、 な ど を考慮 す る必 要 が あ る)。 韓 国 の 中国へ の直接 投 資 額 も92年 の 国交 回復 以 後 増 加 して お り、93〜96年 の累計 額 は44億7千6百 万 ドル 、97〜00年 で は27億2千1百 万 ドル とな って い る。 こ う した 中で 、 中 国 自身が 巨大

な市 場 と して 成 長 しは じめ て お り、 こ の た め 中 国 へ 進 出 す る 日本 企 業 も

「安 栖 な労働 力」 を求 め る進 出 か ら 「市場 開拓 」 の た め の進 出へ と転換 しつ つ あ る とい っ て よい 。 以 上 の と くに 日中 間の 関 係 の深 ま りに対 して、 日韓 問 の経 済 的 関係 は、99年 に 日本 製 品 の輸 入 制 限徹 廃 後 に韓 国 に現 地 法 人 を 設 け た 日本 企 業 も多 い が 、00年 度 の 日本 の韓 国へ の直接 投 資 額 は 中 国へ の そ れ に逆 転 され る状 況 とな って い るの で あ る。

以 上 の3か 国 とい うよ り、 日中 、韓 中 の関係 の 深 ま り、 そ して欧 米 各 国 の投 資 増 加 の 中で 、 中 国 人 は 「改 革 開放 」 以 後 と くに90年 代 以後 の経 済成 長 に 自信 を もち は じめ て い る(中 国 の 国 内総 生 産 は00年 で 世界6位 、貿 易 総 額 は5位 とな って い る)。02年 の 日中調 査 で は 、 「10年 後 、 中 国 の経 済 は 、 日本 に とっ て脅 威 とな っ て い る か」 とい う設 問 に 、 こ う した状 況 を 反 映 して 中国 人 で は 、 「脅 威 に なる」31%、 「す で に脅 威 だ」10%、 「脅 威 に は な らない」35%、 と な ってお り、 と くに この傾 向 は20歳 代 、30歳 代 に 高 く、 この 年 齢 層 を 中心 に 自信 を もち は じめ て い る 、 とい って よか ろ う。

そ して 日本 人 の場 合 で は 、 「脅 威 に な る」57%、 「す で に脅 威 だ」17%、 と 中 国 人 以 上 に 「脅 威 」 を感 じて い る の で あ る。 日本 人 は一 方 で 中国 に脅 威

(14)

日本 と中国 ・韓国の国民間の相互認識の比較

を 感 じな が ら、 他 方 で 関 係 の 深 ま りを期 待 して もい る の で あ る 。 こ の 点 で 、 韓 国 人 の 場 合 は 、 関 係 の 深 ま りの 方 に 力 点 が か か っ て い る 、 と い っ て よい

だ ろ う。

しか し、 こ う した3か 国 の 関 係 の 深 ま りの 中 で(し か し、 そ の 内 実 は 先 に の べ た よ う に 日中 ・韓 中 に 分 化 しつ つ あ る)、 中 国 人 ・韓 国 人 の 日本 へ の 期 待 は 高 くな い 。 す で に両 国 民 の 日本 経 済 の 現 状 と今 後 に対 す る 評 価 の 低 さ に つ い て は の べ た が 、 期 待 も ま た そ れ ほ ど高 く な っ て い な い の で あ る 。 99年 の 調 査 で 、 表5に み ら れ る よ う に 、 「こ れ か らの ア ジ ア の 経 済 に と っ て 、 日本 、 ア メ リ カ 、 中 国 の う ち 、 ど の 国 の 影 響 力 が 望 ま しい か 」 とい う 設 問 に対 す る 回 答 が 、 そ れ を物 語 っ て い る 。 日本 人 の 場 合 で は 、 「米 ・日 ・ 中 」35%、 「日 ・米 ・中」22%、 「日 ・中 ・米 」16%と な っ て お り、 ア メ リ

カ と 日本 を 中 心 に こ れ に 中 国 が 加 わ る こ とが 望 ま しい 、 と考 え ら れ て い る 。 こ う した 傾 向 は 若 年 層 、 「製 造 業 ・サ ー ビス 業 」 で 高 い 。 これ に対 して 、 中 国 人 の 場 合 、 「中 ・米 ・日」27%、 「中 ・日 ・米 」22%、 「米 ・日 ・中」21%、

「米 ・中 ・日」15%と な っ て い て 、 日本 は ア メ リ カ よ り期 待 さ れ て い な い とみ られ る。 若 年 層 で こ う した 傾 向 が 強 い 。 韓 国 人 の 場 合 で も、 「米 ・日 ・ 中 」35%、 「米 ・中 ・日」24%、 「中 ・米 ・日」15%、 「中 ・日 ・米 」13%、

と 中 国 人 以 上 に 日本 へ の 期 待 は 低 い と み ら れ る 。 日本 人 が い だ い て い る

「望 し さ」 あ る い は期 待 よ りも、 中 国 人 、韓 国 人 の そ れ は低 い とい っ て よい 。 こ の傾 向 は01年 の調 査 結 果 に も現 れ て い る 。 「中 国 に と っ て 、 経 済 の 上 で 、 今 後 、 関 係 を深 め た ら よ い と思 う の は 日本 、 ア メ リ カ 、 韓 国 の ど れ か 」 と

い う設 問 に対 して 、 中 国 人 は 、 ア メ リ カ58%、 韓 国27%、 日本15%と 回 答 し て い る の で あ る 。

以 上 の 調 査 結 果 か ら 明 ら か な よ う に 、 中 国 人 、 韓 国 人 の 意 識 の 中 で は 、 日 本 に 対 す る 「望 ま し さ 」 や 期 待 は 低 く 、 か わ っ て ア メ リ カ に 期 待 が 寄 せ られ た り、 韓 ・中 の 関 係 強 化 へ の 期 待 が 目立 つ 。 も ち ろ ん 、 「望 ま し さ」 あ る い は期 待 は 、 単 に経 済 の 次 元 の 要 因 に よ っ て だ け で 決 ま る わ け で は な く、

「歴 史 問 題 」 な どの 他 の 要 因 が 大 き く影 響 し て い る とみ られ る が 、 経 済 の 分

(15)

表5.今 後 の ア ジ ア経 済 に とっ て、 影 響 力 が 強 い の が望 ま しい国 の順 序 ⑲9年) (%)

15 つ﹂

ワ 量11

罫 諄 雪 捲 ・ 拓

21 り白Qゴワ白 ・‑

舞 壽 昆 話 銘

27 000り臼2 31343346893222332311

22 ρ089臼‑27398230702121223123

6[0755473377541

80078 8538※861019147

B24 052ウ自■⊥﹁03只U9召29臼9召

35 ‑⊥O﹂9000009019臼9臼qj4ユ4

15 Qゾ9右‑⊥‑⊥7﹁だQ4nj11⊥‑iー

131511 0◎59臼1117

6D704561

7戸07﹂7曙QりρOrO/II﹂

7879076976610◎QO7﹁ハ00﹂ρ0

35 4ハ0りQつe 0328624644433332ρ01⊥4つ04∩69﹂4りQqjgJ9

676455636684り07

∩ ン

ハ047﹂

8Q7﹂998987760886751

22 AU49自9白41251124222222224G﹂00439自‑り自19自り臼

16

7 ‑

5119自4ρ0に﹂9臼401811]212ρb4π9編ρ00δ1⊥‑l11⊥2

回 肢択

選 体

"

歳歳歳歳歳歳歳上

鷺 嘉

0505000022334567

讐 業 戦 難論諜

性別年齢別職業別

資 料 出 所)前 出 『朝 日 総 研 リ ポ ー ト』No.141.に よ る 。 注1)韓 国 ・中 国 側 の 年 齢 区 分 は 、 表1、 表3を 参 照 。

野 にお い て も また 、 日本 人 と中 国人 ・韓 国 人 との 問 に 「ズ レ」 が 生 じて い る とい っ て よい 。

しか し、 この 「ズ レ」 を、 実 際 、 多 くの 日本 人 も中 国人 ・韓 国 人 とは違 っ た意 味 で 実感 しつ つ あ る、 とい える だ ろ う。 日本 人 の多 くは、 一 方 で90 年代 の経 済 危 機 あ る い は停 滞 の 中 で 自信 喪 失 状 態 に あ り、他 方 で は と くに 中 国経 済 の 高 度 成 長 や 自信 をみ て い る か らで あ る。 そ こか ら 日本 人 の 中 国 人 ・韓 国人 に対 す る 「優 越 感 」 が 、 ゆ ら ぎは じめ て くる こ と にな る だ ろ う。

しか し、 この 「ズ レ」 は単 に 「優越 感 」 の ゆ ら ぎの レベ ル に と ど ま らない 。 と くに後 者 の 中 国経 済 の 成 長 が 中 国 内部 の こ と と して す ま され るわ けで は な く、 中小 企 業 を含 む企 業 の生 産 拠 点 の 中国 へ の移 転 と 日系 企 業 を 中心 と

(16)

日本 と中国 ・韓 国 の 国民 間 の相 互 認 識 の 比 較

した 中 国 か らの低 価 格 品 の輸 入 増 加 、 デ フ レの加 速 、 そ れ に伴 う 日本 国 内 の産 業 空 洞 化 や失 業 増 大 な ど、 日本 経 済 にい わ ばマ イ ナ ス の影 響 を与 え て い る こ とを実 感 しつ つ あ る か らで あ る。 日本 と中 国 ・韓 国 との 問 で の 経 済 関係 の 強化 、 一体 化 が 進 む な か で 、3か 国 の 経 済 関係 の あ り方 とそ れ に伴 う 日本 国 内 の 再 編 成 とが 連 動 す る とい う問題 に対 して 、 「恩 恵 」 と 「損 失 」 を含 め て そ の 見 通 しが 得 られ な い こ とに、 多 くの 日本 人 は不 安 や イ ラ立 ち を感 じて い る、 とい って も よか ろ う。 そ れ だ け に、 「優 越感 」 の ゆ ら ぎ もこ とさ ら強 く意識 され る こ とに な るの で あ る。 「中 国脅 威 」論 はそ の端 的 な現 れ で あ り、 中国 に対 す るODAや 借 款(79年 度 か ら00年 度 まで に約2兆 5千 億 円 が投 じられ、 沿 海 部 の空 港 、 港 、 鉄 道 な どの イ ン フ ラ整 備 につ か

わ れ た 。 これ は、 旧 ソ連 へ の牽 制 の た め に も中 国へ の援 助 が得 策 と考 え ら れ た こ と、 ま たか くれ た戦 後賠 償 、 とい う2つ の意 味 ・役 割 を もった 「政 治援 助」 で あ っ た 、 とい わ れ て い る)の 見 直 しの動 き も、 こ う した現 実 と 意識 に基 盤 を もつ 、 と思 わ れ る。

こ う した 中で 、01年 の調査 で 、3か 国 がEUの よ うな経 済 面 で の結 びつ きが で きるか とい う設 問 に対 して 、 日本 人 で は 「で きる と思 う」12%、 「そ うは思 わ ない」71%と な ってお り、 中 国人 の そ れ ぞれ32%、68%、 韓 国人 の33%、67%、 と比 べ て否 定的 あ るい は消極 的 な意見 の多 さが 目立 つの も、

当然 の こ と とい え よ う。 もち ろ ん 、 中 国 人 、 韓 国人 で も否 定 的 な意 見 が 多 い が 、 しか し同 時 に肯 定 的 な意 見 も 日本 人 以 上 に多 く、少 く と も中国 ・韓 国 間 で の 関係 強化 を望 む基 盤 が 国民 の意 識 の 上 で も生 まれつ つ あ る、 と考 え られ る。

02年11月 に カ ンボ ジ アで 開か れ た東 南 ア ジア諸 国連 合(ASEAN}プ ラ ス 日中韓 会 議 で、 中 国側 か ら 日本 ・韓 国 に対 して 「自由貿 易 地 域(AFTA}

」協 定 へ 向 け て の提 案 が な され た が 、 これ に対 して韓 国 側 は前 向 きの 姿 勢 をみ せ たの とは逆 に、 日本 側 は 困 惑 の様 相 を呈 した とい われ て い る。 こ う した政 府 レベ ル の姿 勢 の相 違 と各 国 民 の意 識 上 で の相 違 とは、 少 な く と も パ ラ レル な関係 に あ る よ う にみ え る。 もち ろ ん 、 と くに 中国 の場 合 は 、 政

(17)

府 の 姿 勢 が 国民 の 意 識 以 上 に積 極 的 で あ る こ とは い うまで もあ る まい。 実 際 、 同会議 で 中 国側 はAFTAへ 向 け て の 「枠 組 み協 定 」 を東 南 ア ジ ア諸 国連 合 との 問 で締 結 した 。 こ う した こ との基 盤 に は、90〜94年 の ニ ー ズ諸 国か ら中国へ の 年 平均 直接 投 資 額 が 約98億 ドル(そ の逆 は4億 ドル)、 ア セ ア ン4か 国 の そ れが 約12億 ドル(そ の逆 は1億5千 万 ドル) 、95〜99 年 の場 合 は そ れ ぞ れ約114億 ドル(26億 ドル)、13億 ドル(6千 万 ドル)

にみ られ る よ う に、 中国 と東 南 ア ジ ア諸 国 連 合 との 間 の 関係 の 深 ま りが あ る。 この直接 投 資 額 は、 さ きにあ げ た 日本 か ら中 国へ の 同時 期 の 額 の3倍

また は そ れ 以 上 の規 模 で あ る。 したが って 、 中 国 側 が 日 ・韓 に先 きが け て 東 南 ア ジア諸 国連 合 との 間 でAFTAへ 向 けて の 「枠 組 み協 定 」 を締 結 し たの は 、 国際 政 治 上 の戦 略 と もか か わ っ て い る が 、経 済 上 も当然 の こ と と い って よか ろ う。

これ に対 して 、 日 ・韓 の場 合 、韓 国 で 前 向 きの姿 勢 が み られ たの は、 通 貨 危 機 以 来IMFの 管 理 下 で 一定 の 回復 をみ た もの の(同 時 に、 貧富 の格 差 の増 大 や 労働 市 場 の 弾 力 化 の 名 の下 で の 労働 法 改 正 に よる 解雇 の 条件 緩和 な どの問 題 が 生 じて い る)、 こう した 回復 を中 国 さ らに北朝 鮮 へ の外 国資 本 を含 め た投 資 に よっ て さ らに本 格 化 させ た い 、 との意 思 の現 れ と考 え られ る。 そ して 、 盧 武 鉱(ノ ・ム ヒ ョン)新 大 統 領 の 経 済 政 策 の柱 も北 朝 鮮 ・ ロ シ ア を含 め た北 東 ア ジ ア経 済 圏 の 形 成 の 中 で の 韓 国 の繁 栄 とい う点 にあ る、 とみ て よい だ ろ う。

しか し、 日本 の場 合 は 、 中 国 さ らに北 東 ア ジ ア経 済 圏 に対 して 、先 にの べ た よ うに ジ レ ンマ をか か え 、否 定 的 あ る い は消 極 的 な意 見 が 多 い。 そ こ には 、 「優越 感 」 の ゆ ら ぎあ る い は崩壊 と中国 や北 東 ア ジア経 済 圏 と連 動 す る 日本 経 済 ・産 業 の 再 編 成 の見 通 しが た た な い こ と との悪 循 環 さえ生 じて い るの で あ る。 ま た、経 済 の ア ジ ア シ フ トに よる ア メ リカ離 れ 、 あ る い は 関係 悪 化 も、 危 惧 して い る こ とだ ろ う。 しか し、 こ う した 中で 、 現 実 に は 日本 企 業 の 中 国進 出 は 強 くな っ て い る の で あ る。 こ う した事 態 は、 中 国の 経 済 成 長 とそ の 関係 の あ り方 が 、 戦 後 ア メ リカー 辺 倒 で あ った 日本 の経 済

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