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社 会 福 祉 士 養 成 カ リ キ ュ ラ ム 改 正 の 動 向 に 関 す る 一 考 察

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(1)

一︑はじめに

現在︑社会福祉士及び介護福祉士法に関する改正論議が進行し

ている︒この大きな流れの中で︑今春︑保健医療福祉分野のソー

シャルワーカーの業務に関して二つの大きな改正が行われた︒一

点目は︑社会福祉士養成課程の実習指定施設に病院・介護老人保

健施設等が追加されたこと︑二点目は︑二〇〇六年度からの診療

報酬の算定要件に︑社会福祉士の名称が明記されたことである︒

診療報酬上五ヶ所に社会福祉士の名称が明記されることとなり︑

そのほとんどが医師や看護師︑理学療法士︑作業療法士等の多職

種が協働して診療に関連する支援に当った際に算定できるように

改正された︒これら二つの改正は︑今後さらに深刻化する少子高

齢化社会において活躍を期待される福祉人材として︑長く保健医 療の現場で働いてきたソーシャルワーカーの業務が認められた証

であると言えよう︒

社会福祉士及び介護福祉士法に関する改正の議論は︑社会福祉

現場での業務の実態と︑介護福祉士・社会福祉士・保育士等を中

心とした法等に規定される業務との隔たりを認め︑各役割を整理

する作業が緊急に進められている︒社会福祉施設・機関や福祉系

大学等教育機関はこの動きの早さに翻弄されつつも︑それぞれの

立場で期待を寄せているのも現実かと思われる︒そこでこれを契

機とし︑現在進行している改正論議の中で︑保健医療分野のソー

シャルワーク業務が社会福祉の専門性を支える一つの領域として

組み込まれた意義や意図を再認識し︑全体としての専門職の成熟

に積極的に関与すべき一領域であることを理解する必要がある︒

本稿は︑福祉士法改正︑特に養成課程におけるカリキュラム改

︹ 研 究 ノ ー ト ︺ 社 会 福 祉 士 養 成 カ リ キ ュ ラ ム

改 正 の 動 向 に 関 す る 一 考 察

│ │ 保 健 医 療 分 野 の ソ ー シ ャ ル ワ ー ク 教 育 の 視 点 か ら │ │

野 村 裕 美

― 81 ―

(2)

正の現在の動向をとらえ︑社会福祉士の養成課程において保健医

療分野のソーシャルワークに関連する教育内容や科目等が直面し

ている課題を整理することを目的としている︒

二︑保健医療分野のソーシャルワーク業務に

関わる改正点と関連団体の反応

今春の大きな改正の一つとして︑社会福祉士養成課程の実習指

定施設に病院等が追加されたことがあげられる︒本年三月三一日

付の官報では︑障害者自立支援法に規定される障害福祉サービス

等とともに︑介護保険法に規定される介護老人保健施設︑地域包

括支援センター︑そして医療法に規定される病院及び診療所が追

加され︑施行規則の一部改正が行われた︒改正の発表の直前に

は︑実習指定施設への追加を悲願として運動を展開してきた日本

医療社会事業協会︵以下︑日本協会と記す︶が︑全国八ヶ所にお

いて病院等で実習生を受け入れるためのガイドライン説明会を開

催し︑職能団体をあげて︑一部改正へ即対応できるとの意気込み

を見せた︒各都道府県医療社会事業協会レベルにおいても研修会

等を開催し︑日本協会の過去の資格論議への取り組みの経過︑社

会福祉士法成立時に保健医療分野のソーシャルワーク業務が排除

された経緯︑また社会福祉士の実習指定施設に追加されることの

意義等の講演が行われたところもあり︑会員内における周知と理

解の徹底を推進した︒また厚生労働省では︑本年二月一五日から

三月一日まで︑同省ホームページにおいて一部改正案に対するパ ブリックコメントを募集し︑寄せられた意見に対しての同省の考

え方を公開した︒

日本社会福祉士養成校協会︵以下社養協と記す︶は︑上記のパ

ブリックコメントを受けて︑告示後すぐに﹁病院︑診療所︑介護

老人保健施設における社会福祉援助技術現場実習のあり方につい

ての考え方﹂を発表した︒社養協︵二〇〇六a︶によると︑社会

福祉士一般養成施設以外の四年生大学等の社会福祉士養成校に

は︑実習指導者資格要件が遵守義務事項になっていないことを取

り上げ︑実習教育全体の質の維持の観点から︑実習生を送り出す

側の四年制大学等養成校の考えを明示することの重要性を明らか

にしている︒

日本協会︵二〇〇六︶によると︑本年三月に当協会が発表した

実習施設の拡大に対する受け入れガイドラインは︑これまで教育

機関からの要請により各施設・機関が任意で引きうけてきた保健

医療機関での実習が︑国家資格養成としての責任性を帯びること

を受け︑最適化を目指した第一段階目の指標を表わすものとし

て︑﹁ゆるやかなガイドライン﹂と称され発表された︒内容は︑

立場・枠組み・体制との三部構成から成り︑真のガイドラインづ

くりを目指した実習生・教育機関・実習施設との三者の建設的な

議論ができるように︑実習を受け入れる立場として積極的に発言

していく必要性を説いたものである︒一四日間の実習としての目

標設定を日本協会としては基本とする︑望ましい既修得科目とし

て医療福祉論・医療ソーシャルワーク・社会保障・公的扶助・老 社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

― 82 ―

(3)

人福祉論・障害福祉論を例示するなど︑契約を意識した受け手と

しての姿勢や具体的な要望などが盛り込まれている︒本ガイドラ

インの到達目標として︑実習指定施設での社会福祉士の実践が最

適なレベルで実施されることを守る必要性や︑新たに追加された

病院等が社会福祉士の実習ができる施設であることを社会に対し

て実証していくことは必要不可欠であり︑その重要性を会員一人

ひとりが認識することであると理解できた︒今後の課題として︑

実習生の送り手である教育機関側には︑社会福祉士養成の指定科

目と保健医療福祉関連の科目との整合化︑養成カリキュラムの充

実化等が急務であることも当日会場にて指摘された︒

前述の︑指定科目との整合化ならびに養成カリキュラムの充実

化への要望については︑実習指定施設の追加に関する一部改正案

へのパブリックコメントにおいても指摘されている︒パブリック

コメント︵厚生労働省︑二〇〇六︶によれば︑合計九件の意見

は︑医療福祉論等の科目が設置されている福祉系大学が多くはな

いことを理由に改正案は時期尚早であると指摘する反対意見︑現

行の実習指定施設での社会福祉援助技術現場実習を経た後に保健

医療機関での実習を課すべき︑あるいは指定科目に医療福祉論を

追加するべき等の条件付き賛成の意見等︑賛否両論に分かれたも

のであった︒意見の対立は︑保健医療分野のソーシャルワーカー

を社会福祉士に統合するか︑あるいは医療福祉士︵仮称︶という

別の道を選ぶのかに集約される過去の資格関連論議を反映してい

るとも考えられる︒しかし両者とも共通して︑現行の社会福祉士 養成課程では保健医療分野のソーシャルワーカーの養成は不十分

であるとの意向があることが読み取れる︒両者とも現行のカリキ

ュラムの更なる充実を望む要望が様々な形で添えられていたこと

からも伺える︒

一方厚生労働省︵二〇〇六︶によれば︑一部改正案を前向きに

検討しているものの︑保健医療福祉の関連科目等との整合化を目

的としたカリキュラムの改善等についてはむしろ消極的な考え方

を示していると思われる︒現行の実習指定施設と同様に保健医療

機関における実習であっても︑社会福祉援助技術現場実習で指導

を行うことは可能であるとしている︒また︑大学等及び社会福祉

士一般養成施設等の自由な裁量で医療福祉論等を設置することは

支障がないとしながらも︑すでにある指定科目の医学一般には︑

保健医療機関︑専門職と福祉専門職の連携のあり方が盛り込まれ

ているとの理由により︑医学一般において医療福祉関連にまで拡

大して教授することが可能であること等の考え方を示している︒

なお︑社養協は︑望ましい履修科目等に関しては︑上記の厚生

労働省の考え方と一致するところが多い︒医学一般の履修︑社会

福祉援助技術論・社会福祉援助技術演習・社会福祉援助技術現場

実習指導等において︑保健医療機関での業務に則した事前実習指

導の必要性を説いている︒しかし保健医療機関実習を含めた社会

福祉士養成校における実習のあり方については慎重な姿勢を見

せ︑社会福祉士養成校教育課程評価委員会という独自の委員会に

おいて継続審議していく意向を示している︒

― 83 ―

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

(4)

以上の通り︑保健医療分野でのソーシャルワーク業務と社会福

祉士養成に関わる改正内容をふまえ︑次に社会福祉士法及び介護

福祉士法制度改正の動向を概観することとする︒

三︑介護福祉士養成に関する改正の方向性

厚生労働省は︑二〇〇六年一月より七月まで八回に渡り︑﹁介

護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討

会﹂を開催している︒時代により則した福祉人材の確保を目指

し︑まずは一九八七年に社会福祉士制度と同時に制定された介護

福祉士制度から着手し︑二〇〇七年の通常国会に社会福祉士及び

介護福祉士法の改正案を提出する意向を本年五月二二日に明らか

にしている︵﹁福祉人材確保総合的な見直しへ﹂︑二〇〇六︶︒改

正の主旨としては︑制定後一八年が経過し︑求められる社会から

のニーズが大きく変化してきていること︑養成された福祉人材が

長く働ける条件整備として労働面・雇用面の問題に着手すること

等を掲げている︒二〇〇〇年の介護福祉士養成カリキュラムの改

正では︑﹁カリキュラムの内容が高齢者施設での介護にシフトし

ている﹂との指摘がある通り︑一九九〇年以降のゴールドプラン

の策定や二〇〇〇年の介護保険導入など高齢者分野でのサービス

の量的・質的確保が意識された内容であったと思われる︒しか

し︑二〇〇三年には支援費制度が︑続く二〇〇五年には障害者自

立支援法が制定され︑高齢者のみならず︑身体障害︑知的障害︑

精神障害︑また発達障害等がある者への対応という様に︑対象や ニードが拡大し︑高齢者にとどまらず︑より高度化した幅の広い

支援が求められる時代に突入していることは周知のことである︒

本年七月に明らかとなった政府の規制改革・民間開放推進会議の

中間答申では︑一層の少子高齢化への対策として︑外国人労働者

の受け入れ拡大として︑外国人の社会福祉士と介護福祉士の受け

入れが検討されることが提言された︒これに対し厚生労働省は

﹁介護分野は国内労働力でまかなえる﹂として慎重姿勢を示して

いる︵﹁外国人福祉士を容認﹂︑二〇〇六︶︒こうした動きとあい

まって︑より質の高い︑より多くの福祉人材の養成および労働力

としての定着が急務であり︑今回の改正に厚生労働省は力を注い

でいると言っても過言ではなかろう︒

本年七月五日に開催された︑第八回の介護福祉士のあり方及び

その養成プロセスの見直し等に関する検討会の後︑本報告会が

﹁これからの介護を支える人材についてー新しい介護福祉士の養

成と生涯を通じた能力開発に向けてー﹂と題する報告書をまと

め︑制度改正の要点が明らかとなった︒資格制度のあり方︑教育

内容の充実︑実習のあり方︑介護福祉士養成施設のあり方︑資格

取得後の資質の向上︑職場環境整備等︑以上六点である︒要点と

して︑第一に︑現在資格取得としては︑養成施設ルート︑実務経

験ルート︑福祉系高校ルートの三つのルートがある︒養成施設ル

ートを経た場合︑現行の制度においては国家試験は免除されてい

る︒また実務経験三年以上を経た実務経験ルートや福祉系高校ル

ートにおいても︑介護技術講習︵介護福祉士指定養成施設等にお 社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

― 84 ―

(5)

いて行う介護等に関する専門的技術についての講習︶を修了した

場合は︑二〇〇五年度から実技試験を免除できるように改正とな

った︒これに対し︑シラバスやカリキュラムの抜本的改正を行

い︑ある一定の質の教育内容を課した上で︑全ての者に対して筆

記試験と実技試験から成る国家試験を課すという一元化を目指す

という点である︒

第二に︑シラバス・カリキュラムの抜本的改正を中心とした教

育内容の充実化を図るという点である︒二〇〇〇年に行われた改

正では︑総時間数が一五〇〇時間から一六五〇時間となり︑具体

的には老人福祉論・医学一般・介護技術・形態別介護技術・実習

指導などの科目において時間数が増加した︒それが今回は︑当

面︑養成課程は二年制を基本に一八〇〇時間程度までの増加を最

低基準としている︒またカリキュラムは﹁人間と社会﹂﹁こころ

とからだのしくみ﹂﹁介護﹂の三部構成に改変し︑報告書中の

﹁求められる介護福祉士像﹂を目標に︑理論と実践の融合化を図

る指針が掲げられている︒具体的な検討は︑各分野の専門家や実

践家から構成される作業チームがこれから設置され︑本年中にと

りまとめが行われる目途とされている︒

第三に︑介護福祉士養成施設のあり方においては︑教員の資格

要件の見直しや養成施設の情報提供や評価の公開等が盛り込まれ

ている︒また現在養成施設では認められていない転入学や編入学

について指摘し︑介護福祉士が教育を受ける機会の拡大を目指し

た既修得科目の単位認定等取り扱いについても提言している︒そ の他︑資格取得後の様々なキャリアパスを考慮した専門介護福祉

士︵仮称︶の設置︑潜在的介護福祉士の再雇用へのシステムづく

り︑介護報酬での評価の検討等が盛り込まれている︒

以上のように︑一定の質の養成を受け︑介護の専門職としての

視点から︑﹁人間と社会﹂﹁からだとこころのしくみ﹂を十分に理

解している介護福祉士が︑社会福祉士をも含む他職種と対等な立

場で連携して職務を発揮できる方向で教育・養成が行われるよう

に︑介護福祉士制度が改正される見込みである︒それと同じく︑

厚生労働省は社会福祉士の養成に関しても本年三月までの間に関

係機関・団体と意見交換を行い︑社養協に対し教育内容の改正の

意見を求め︑同時的な両資格の見直しを視野に入れている︒また

社会福祉士の任用拡大と社会福祉主事資格のあり方の整備もここ

には含まれている︒︵介護福祉士のあり方及びその養成プロセス

の見直し等に関する検討会︑二〇〇六︶

四︑社会福祉士養成に関する改正の方向性

前述のとおり︑社養協が主に中心となり︑介護福祉士と同じ法

律を根拠として位置づけられている社会福祉士制度についての見

直しを積極的に進めている︒ここにつながる経過として︑二〇〇

五年一〇月八日に日本社会福祉教育学校連盟︵以下︑学校連盟と

記す︶は第一回学長会議を開催し︑﹁社会福祉専門職有資格者の

採用促進と待遇改善に関するアピール﹂を採択した︒それと同時

に︑社養協と学校連盟が社会福祉士国家試験制度問題検討委員会

― 85 ―

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

(6)

︵古川孝順委員長︶を合同で設置し︑一二月に﹁社会福祉士国家

試験制度に関する提言﹂を作成した︒ほどなく両団体は︑社会福

祉士制度の改革の方向性について議論する合同検討委員会を設置

し︑議論の成果を﹁社会福祉士が活躍できる職域の拡大に向けて

︵案︶﹂にまとめた︒

これらの動向と同時平行して︑厚生労働省は学長会議のアピー

ルの採択後の一一月︑学校連盟学長会議世話人と懇談し︑社会福

祉士等福祉人材の養成問題に対する関心を示した︒本年一月には

前述の通り介護福祉士制度改正について検討を開始したが︑社会

福祉士については﹁社会福祉士制度に関する意見交換会﹂を中村

秀一社会援護局長が私的勉強会として開催した︒本年四月四日︑

この意見交換会での成果をふまえ︑厚生労働省は社養協に対し︑

社会福祉士養成における教育の充実と質の向上を問う四つの課

題︑すなはち

漓ュ見のスバラシ・ムラキ社リカの成養士祉福会直

し︑

滷養方りあの育教成士大祉福会社ので学︑

澆実習のあり方︑ 潺を〇〇二︵協養社︒ため求案教提のていつに上向質資の員六

b︶によると︑学校連盟と社養協は︑これを受けて﹁社会福祉士

が活躍できる職域の拡大に向けて︵案︶﹂を取りまとめた合同委

員会を召集し︑制度改正の必要性および教育内容の更なる充実の

必要性を確認し︑社養協が厚生労働省との窓口となって議論を進

めていくこととなった︒

社養協は会員校に厚生労働省社会・援護局長及び福祉基盤課長

宛の意見書︵案︶︑別称﹁今後の社会福祉士養成教育のあり方に ついて︵提案︶﹂を五月一一日付で配布し︑意見書に関するパブ

リックコメントを募集した︒計一五件の意見を参考に引き続き修

正作業が行われ︑六月三日開催の社養協通常総会での議決を目指

した︒総会の決議は︑付帯決議を条件に成立され︑六月五日に厚

生労働省に提出されることとなった︒その後付帯決議に基づい

て︑社養協は会員校に厚生労働省との協議に向けた建設的提案を

募集した︒同時に︑当初は合同で検討を行ってきた学校連盟は

﹁今後の社会福祉士養成教育のあり方について︵提案︶﹂を﹁社養

協提案﹂と称し︑本来学校連盟がナショナルセンターとしての機

能を果たすべき社会福祉系大学等における教育の今後のあり方に

多大な影響を与えることが予測されることから︑社養協提案に対

する独自の意見集約を加盟校に対して行った︒

社養協︵二〇〇六c︶によれば︑厚生労働省に提案した改正の

方向性の具体的内容としては︑第一に︑一般養成施設と比較した

場合の大学での社会福祉士養成教育の現状について指摘し︑社会

福祉士養成にかかる指定科目等の遵守に関して︑大学等に法整備

を求めていくことが提案されている︒第二に︑実践力を持つ専門

家を養成するという観点からのカリキュラム・シラバスの見直し

である︒カリキュラム改定案は三案用意され︑社会福祉援助技術

現場実習は一八〇時間から三六〇時間に増え︑時間数の合計は一

〇五〇時間から一五三〇時間に増加している︒第三に︑第二に同

じ目的として実習時間の大幅な増加︑および実習指導者や社会福

祉援助技術現場実習指導担当教員の資格要件の検討である︒そし 社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

― 86 ―

(7)

て第四に︑見直しを検討しているカリキュラム・シラバスの元で

対応できる教員の量的質的確保のための仕組みづくりである︒

以上のような経過により︑﹁目指すべき社会福祉士養成教育の

目標﹂に向かって︑社会福祉士法についても改正の可能性が検討

されている途中である︒

五︑社会福祉士法改正が保健医療分野の

ソーシャルワーカーの養成教育に及ぼす影響

日本社会福祉教育学校連盟・日本社会福祉士養成校協会︵二〇

〇六︶によれば︑﹁社会福祉士国家試験制度に関する提言﹂の中

で︑社会福祉士に求められているソーシャルワーカー像として︑

複雑多岐化する現代の社会生活におけるニーズに対応できるの

は︑﹁どのような領域においてもその専門性が発揮できる﹂ジェ

ネラリスト・ソーシャルワーカーであるとしている︒要支援者に

適切な支援を提供する場に応じて︑ジェネラリストとしての基盤

の上に︑支援する対象等に最適化された分野別・専門別のスキル

を積み上げることを望ましい姿としている︒

社会福祉士及び介護福祉士法が制定された当時︑その法的範囲

から除外された保健医療ソーシャルワーカーの養成については︑

医療福祉論等の学科目の設置や単位認定するかどうか等を含めた

実習の取り扱いは︑各大学によって差があった︒医療福祉士︵仮

称︶案の登場や︑科目の設置の具合によって︑全ての福祉関係教

員の中には︑保健医療分野のソーシャルワーカーの業務そのもの がスペシフィックであるとの理解であった者も少なくなかっただ

ろうと推察される︒しかし︑今春の実習指定施設への追加によっ

て︑医療という場の論理からとらえるかつての特殊性は取っ払わ

れ︑要支援者が抱えている生活問題の分野別・専門別というレベ

ルでの︑積み上げられた部分での差異に過ぎなくなってしまっ

た︒これはある意味︑社会福祉士資格を基盤として求めていた保

健医療分野のソーシャルワーカーとしては望んでいたあり方であ

った︒

しかし︑今後対応すべく残された課題は︑

漓スペシャリストと

しての積み上げ部分の養成を大学教育の中でどこまで行うのか︑

滷健にかいが目科の系祉福療医保ジにめたの成養トスリラネェ関

わるかという二点である︒

漓︑養士祉福会社はのていつに題課成

教育からははみ出る領域となる︒したがって従来通り各大学の裁

量で医療福祉論等の科目を設置すればよいとも考えられる︒しか

し今般の社会福祉士養成の改正の動向を踏まえれば︑社会福祉士

指定科目の総時間数増により︑他の資格取得のための科目や︑医

療福祉論等その他の選択科目を履修できる余地を与えなくなる可

能性も見込まれる︒過去比較的徒弟的に実習が行われていた印象

の強い医療ソーシャルワーカーの実習であるため︑実習の受け入

れ先である現場のソーシャルワーカーと教育機関側で︑大学等教

育におけるスペシャリストとしての到達目標を議論し確認してお

かねばならないと思われる︒

また

滷設宅在たま︑へ宅在らか施の等院病︑はていつに題課か

― 87 ―

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

(8)

社会福祉士 

介護福祉士 

保育士 

ら病院等施設へといった︑地域生活を基盤とした切れ目のない一

連の流れを支援する専門職として︑高齢者・児童・障害者等の誰

もがなりうる傷病者としての視点から生活問題を捉えることは不

可欠である︒保健医療分野に社会福祉士を輩出するだけでなく︑

ジェネラリストとしての養成のプロセスでこの視点を組み込むべ

きであると考える︒残念ながら社養協提案のカリキュラム改定案

をみると︑保健医療領域のソーシャルワークに関連する科目内容

は︑第一案では︑﹁支援の展開﹂における﹁ソーシャルワークの

方法・技術の展開﹂に﹁関連領域におけるソーシャルワーク﹂

と︑第三案においては﹁社会福祉援助技術論﹂における﹁関連領

域における相談援助﹂と明記されている更に小項目として盛りこ

まれているにすぎない︒第一・第二案は現行の指定科目にとらわ

れずに作成されているだけに︑物足りなさを感じる︒

ただし︑社養協の対応で評価できるのは︑病院等の実習を含む

実習教育に関する継続審議を委員会を通じて行っていく意向を明

らかにしたことである︒場の特殊性の呪縛から解放された保健医

療分野のソーシャルワーカーにとっては︑その実習体験を教員や

現場での実習指導者が︑共通基盤としての社会福祉士養成教育の

体験として意味づけできるかが問われるかと思われる︒真の意味

で保健医療分野のソーシャルワーカーが︑社会福祉士資格を基礎

とすることを社会に認知させることができるかどうかの分岐点と

なるかとも思われた︒ 六︑むすびにかえて

社会福祉士指定科目には入らずとも︑ながきにわたり医療福祉

論や医療ソーシャルワーク実習が社会福祉専門教育の中に位置し

てきている経過を振り返る必要がある︒また︑現在医療福祉論等

の科目を設置している大学等で︑科目設置状況や学生の履修動機

等履修状況の全般なども調査し動向を把握する一方で︑社会福祉

士養成のために︑広義においてはソーシャルワークの専門職養成

のために保健医療福祉関連科目で何を教えるべきかを教育者内で

議論する必要があるかと思われる︒

︵1︶日本社会福祉士養成校協会がまとめた調査報告書﹁社会福祉施設

における社会福祉士の雇用状況と

雇用に向けての調査研究﹂︵二〇

〇六d︶において︑以下の図を用

いて整理している︒三つの資格の

業務の重なりあう部分を業務の実

態として認めた上で︑社会福祉士

の業務を相談援助型・日常援助型

・地域援助型の三類型に分類し︑

これら三類型の相対としてとらえ

られるものが社会福祉士の業務で

あるとしている︒

社会福祉士の業務と介護福祉士 ならびに保育士の業務の関係

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

― 88 ―

(9)

︵2︶本年三月二六日岡山国際交流センターで開催された説明会に筆者

が参加し︑理事からの説明を受けた際の冒頭の発言より︒

︵3︶第一回近畿ブロック社会福祉教育セミナー︵二〇〇六年二月一八

日開催時︶パネルディスカッション﹁これからの社会福祉教育の

あり方を探る﹂において︑介護福祉士養成教育の現状について発

題した岩井恵子氏︵大阪体育大学短期大学部︶の発言より︒

︵4︶この論議で用いられるジェネリック及びスペシフィックという用

語は︑アメリカからの潮流であるジェネラリストソーシャルワー

クとは区別される必要がある︒田中千枝子︵日本福祉大学︶は第

一六回日本医療社会福祉学会シンポジウム︵二〇〇六年九月一七

日開催時︶において︑﹁日本独自のジェネリック・スペシフィッ

クの関係構築﹂という表現を用いて区別している︒

︵5︶すでに日本協会は︑会員の中で医療福祉論等を担当する教員等を

集め︑議論を開始している︒本年八月には﹁社会福祉士法の改正

をめぐる指定科目の改定を検討する会議﹂を開催し︑議論を要望

書﹁社会福祉士養成カリキュラム改定試案について︵意見︶﹂と

してとりまとめ︑社養協へ提出した︒

﹁福祉人材確保総合的見直しへ﹂︵二〇〇六年五月二二日︶︒﹃福祉新

聞﹄︑一頁︒

﹁外国人福祉士を容認﹂︵二〇〇六年七月二九日︶︒﹃読売新聞﹄

厚生労働省︵二〇〇六︶︒﹁社会福祉士及び介護福祉士施行規則︵昭和六

二年厚生省第四九号︶等の一部改正︵案︶について﹂︒Retrieved二

〇〇六年四月二〇日︑fromhttp://www.mhlw.go.jp/ 日本医療社会事業協会︵二〇〇六︶︒﹃実習施設拡大に対する受け入れガ

イドライン﹄︒

日本社会福祉教育学校連盟・日本社会福祉士養成校協会社会福祉士国家

試験制度問題検討委員会︵二〇〇五︶︒﹃社会福祉士国家試験制度に

関する提言﹄︑五頁︒

日本社会福祉士養成校協会︵二〇〇六a︶︒﹃病院︑診療所︑介護老人保

健施設における社会福祉援助技術現場実習のあり方についての考え

方﹄︒

日本社会福祉士養成校協会︵二〇〇六b︶︒﹃社会福祉士の職域拡大と養

成教育水準の向上に向けた当協会の取り組みの現状について︵緊急

報告・重要︶﹄︒

日本社会福祉士養成校協会︵二〇〇六c︶︒﹃今後の社会福祉士養成教育

のあり方について︵提案︶﹄︒

日本社会福祉士養成校協会︵二〇〇六d︶︒﹃社会福祉施設における社会

福祉士の雇用状況と雇用に向けての調査研究︵報告書︶﹄︑十頁︒

― 89 ―

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

(10)

One consideration about a trend of training curriculum revision for the certified social workers :

From the viewpoint of the social work education in medical and health care setting

Yumi Nomura

This thesis suggests about revising new law about the law of certified social workers and care workers. The thesis comes to the point of the social workers in medical and health care setting. Especially, a part of curriculum revision paid atten- tion to discuss of a trend of training. I want to have an effect on the social work education in medical and health care setting clearly.

From this January to July, there were the discussion to revise about the law of certified care workers. The law of certified social workers is revising of curriculum later than the trend of training curriculum revision for the certified care workers. In this discussion, ministry of Health, Labor and Welfare and Japanese Association of Schools of Certified Social Workers used this initiative to promote reform.

社会福祉士養成カリキュラム改正の動向に関する一考察

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