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近畿大学中央図書館の貴重書目録作成会

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Academic year: 2022

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近畿大学中央図書館の貴重書目録作成会

 近畿大学中央図書館貴重書目録作成会は、

令和 3年 8月で 224回を迎えた。平成 21(2009)

年 1 月 24 日に第 1 回を開いてから、12 年と 7 か月が経つ。この間、活動内容(計画)や会 の名称、参加者などで変遷があり、貴重書目 録作成会について記録しておく必要があると 思われたのでまとめておきたい。

 まず、私が近畿大学さんにお伺いすること になった経緯から始めたい。近畿大学さんの ことを私が初めて耳にしたのは、西洋古版地 図の整理をしてくれる人を近畿大学さんが探 しておられるので神﨑さんを紹介しました、

という書店さんの一言であった。それは、平 成 17 、18 年頃であったと思う。その後何も なく過ぎたが、広島経済大学図書館さんが所 蔵する貴重書の展示会が京都で開かれたとき に初めて収書・整理課の永井惠美子課長にお 目にかかった。本格的に話が進み始めたのは、

平成 20年 12月に東京で行われた雄松堂書店の

‘YUSHODO FORUM 2008’に私が講師の一人 として出席したとき、永井さんに再びお目に かかり、フォーラム終了後、永井さんと天理 図書館事務長と私の 3人で話をしてからである。

近畿大学さんと天理図書館との間でやり取り が始まり、翌年 1 月から行かせていただくこ とで天理図書館長の了承を得た。

 貴重書目録作成会の最初の名称は、「貴重書 勉強会」(以下、勉強会という)である。勉 強会は、一年に均して月に一、二回程度土曜 日に開催し、時間は、お昼を挟んで 10時から 15時半までであった。平成 20年度は、4回勉 強会が行われた。主な議題は、貴重書の①基 準、②排架、③目録規則、④コレクションの 管理、⑤ EW(東西交渉史資料、以下 EW と

いう)の整理方針、⑥その外の貴重書コレク ションの管理についてである。参加者は、永 井課長、松本牧子さん外 4名である。

 平成 21 年度は、第 5 回から第 17 回まで 13 回の開催である。この年度は、EW 未整理図 書の書誌データ作成を行った。EW は、資料 の大きさによって EW-1 、EW-2 、EW-3 の記 号で排架上の別があるが、EW-1 は、『1579年 から 1581年までイエズス会神父によって書か れた日本通信集』(1584年刊)など、EW-2 は、

カルディム『日本殉教精華』(1646 年刊)な ど、EW-3 は、ケンペル『日本誌』(1729 年刊 フランス語版)などの貴重書の目録を作成し た。勉強会では、貴重書を前に折帖記号や透 かし模様で本の構造を確認し、COPAC などの 海外の書誌を参照して目録の校正を行った。8 月には、秋に農学部で開催される貴重書展示 のためのキャプションの校正や西洋古典籍の 修理について、9月には自筆書簡の保存方法に ついて相談を受けた。

 勉強会で和漢古書の目録作成についても取 り上げて欲しいとの要望があり、第 10回(10 月)から、日本図書館協会目録委員会編『日 本目録規則 1987年版改訂 2版 追加および修 正』の古典籍に関する箇所の勉強をした。

 勉強会としてはカウントされていないが、

平成 21 年度は、上記以外に 6 回お伺いした。

主な内容は、閲覧申請のあった貴重書の資料 確認、未整理の西洋古版地図資料や印刷関係 コレクション、コーイング・コレクションの 目録作成のための資料確認。また、貴重書庫 の防虫剤や、貴重書を他学部へ移動する際の 保険について相談を受けた。

 平成 22年度は、第 18回から第 32回まで 15 天理図書館 司書 神 﨑 順 一 近畿大学中央図書館の貴重書目録作成会(神㟢)

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−   −12 回の開催である。参加者にご退職等で出入り があった。午前は、和漢古書の目録規則の勉 強会、午後は、EW の書誌データ作成と、外 に西洋古典籍の目録作成。和漢古書と洋古書 で参加者に入れ替えがあった。EW は、この 年度で終了し、2 年間で 70 点余りの目録を作 成した。

 勉強会としてのカウントはないが、10月に 2 度、第 16 回蔵書展「「Science」の革命」の 展示キャプション原稿の校正を行った。この ほか、天理図書館での貴重書の閲覧申請方法 や貴重書閲覧席の必要性、複写とその申請方 法について質問を受けた。

 この年度 9月末で、勉強会の中心的な役割を 担ってこられた松本さんが異動となった。勉 強会の事務は、松本さんから武田美樹さんに 引き継がれた。

 平成 23年度は、第 33回から第 50回まで 18 回の開催である。参加者にご退職等で出入り があった。この年度の勉強会は、主に午前は、

目録未作成の和漢書貴重書、午後は、目録未 作成の洋書貴重書の目録作成を行った。この 年度に取り上げられた資料は、奈良絵本『た むらのさうし』やアダム・スミス『国富論』

(1776年刊)などである。

  平 成 24 年 度 は、 第 51 回 か ら 第 73 回 ま で 23 回の開催である。時間は、9 時半から 12 時 半までに変更になった。勉強会は、書誌未作 成の和漢書と洋書を交互に開くことになった。

参加者は、3 名から 10 名に増え、毎回全員の 方が参加されるわけではないが、1回の参加者 は、多いときで 8名の勉強会になった。

 第 64 回(11 月)から、開催方法が再び変 更になった。時間は同じであるが、全員が同 じ目録作成を経験するように同じ勉強会を 2 回開き、そのいずれかへ参加する方式である。

第 66回(12月)から、和漢古書の目録作成は、

「和古書および和古書目録作成講義」の名称に なり、『徂徠集』(30巻 20冊、元文元年序)な どの資料を使って平成 22年度日本古典籍講習 会資料の上田由紀美講師「国立国会図書館に おける和古書書誌データ作成」を読む勉強会

となった。これは、平成 25年度一杯まで続い た。洋古書は、第 72回(3月)から、「洋古書 に関する講義と目録作成」の名称になった。

 第 71回(2月)から平成 26年度7月にかけ て、農学部図書館と医学部図書館にお勤めの 方が 8名ほど分散して参加された。

 平成 25年度は、第 74回から第 93回まで 20 回の開催である。勉強会の名称は、「貴重書図 書目録ワーキング・グループ」(以下、WG と いう)に改まった。

 平成 26 年度は、第 94 回から第 114 回まで 22 回の開催である(カウントされていない WG が 1回あり)。参加者は、武田さんの外に 多くの場合1名の参加があった。また、会の 名称が第 97 回(6 月)会議録から「貴重書図 書目録勉強会」(以下再び、勉強会という)に 変更になった。この年度は、和古書の勉強会 資料に、橋口侯之介氏が成蹊大学で行ってお られた講義のレジュメ「文学研究のための書 物学」を使用したいという希望があった。

 勉強会は、すべて武田さんが目録作成し、

和漢古書では、『唐詩選畫本 . 初編[~七編]』

(35 巻 35 冊、初編と二編は文化二年と同一一 年の再刊、三編~七編は寛政三~天保七年刊)

や洋古書では、アウグスティヌス『神の国』

(1468年以前刊)などインキュナブラ 7点を含 む貴重書が取り上げられた。

 また、11 月に、第 21 回貴重書展「誰もが 知っている書物展」のミニ講義のご依頼があ り、「十五、十六世紀初期のプトレマイオス

『地理学』出版と世界図」と題する講義を勉強 会の 1回として行った。

 平成 27 年度は、第 115 回から第 138 回まで 24回の開催である。参加者は、武田さんの外 に 12名である。最初の半年は、偶数月が和漢 古書、奇数月が洋古書の勉強会で、毎回 6 、7 名、 多 い と き に は 8 名 の 参 加 者。 そ の 後 は、

和書洋書か、洋書和書交互に勉強会が開かれ、

毎回、3 、4名の参加者となった。

 内容は、「和書目録添削」「洋書目録添削」

となり、一資料に 2 、3名がグループとなって 目録を作成した。和書目録添削では『帝鑑図 香散見草:近畿大学中央図書館報  No.54, 2022

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−   −13 説』(秀頼版有跋本と無跋本、異植字版、八尾 助左衛門尉開版本)、洋書目録添削ではデカル ト『哲学原理』(1644 年刊)などが取り上げ られた。この年度末に武田さんが異動となり、

勉強会の事務は、岩見淳代さんに引き継がれ た。

 平成 28 年度は、第 139 回から第 159 回まで 21 回の開催である。参加者が 3 名増えた。勉 強会は、毎回 3名前後。参加者は、一度参加す ると次回は二、三月ほど開けての参加で、和 漢古書と洋古書の担当を交互に受け持って原 稿作成しておられたようである。

  平 成 29 年 度 は、 第 160 回 か ら 第 179 回 ま で 20 回の開催である。6 月から、過去の勉強 会で作成した目録の一部を見直しすることに なった。これは、過去に作成の目録が事務用 としての利用に限られていたが、公開するこ とになったためである。勉強会は、毎回 3 、4 名の参加者であった。

 平成 30年度は、第 180回から第 199回まで 20回の開催である。この年度から井村徹さん が参加し、勉強会の事務は、岩見さんから井村 さんに引き継がれた。勉強会の名称は、「貴重 書目録作成会」(以下、目録作成会という)に なった。井村さんの外に毎回 2名ほどの参加者 で、井村さんが勉強会の原稿を作成して事前に 神﨑にメールで送ってくる方法に変わった。

 この年度も過去に作成した目録の見直し作 業を継続し、第 191 回(10 月)勉強会をもっ て終了した。第 192 回からは、和書では『韻 府羣玉』(20 巻 20 冊、五山版と李朝版)など、

洋書では、インキュナブラ 4 点の目録作成を 行った。

 令和元年度は、第 200 回から第 216 回まで 17回の開催である。インキュナブラの目録作 成を継続し 11点作成した。インキュナブラの 目録作成点数は、これで 23点となった。この 外に、ガリレオ『太陽黒点論』(1613年刊)な どの貴重書の目録作成をした。

 令和 2年度は、第 217回から第 219回まで3 回の開催である。COVID-19 の感染拡大防止 のため、リモートワークとなった。前年度作

成した目録の校正と、ミュンスター「アジア 図」など 3点の西洋古版地図の目録を作成した。

近畿大学さんが西洋古版地図の整理をしてく れる人を探しておられるという話を聞いてか ら約 15年。感慨深いものがある。

 書籍や地図帳などから切り取られた零葉の 地図は、もともと収まっていた資料を突き止 める必要があるが、図書館等所蔵資料の画像 公開が進んだ結果、インターネット上で調べ てかなり判明する時代になった。ミュンス ター「アジア図」は、ミュンスター『地理学』

など約 20 の版に収められており、近畿大学所 蔵図は、1552年刊ラテン語版所収図であった。

 令和 3年度は、第 220回から始まり、8月に 第 224回の目録作成会を迎えた。この年度から、

目録作成会の開催方法がまた改まった。月に 土曜日 1 、2 回の開催が平日に 1 回の開催に なった。今回、天理図書館長が交代していた こともあり、改めて天理図書館長に諮り、振 替休日もしくは有給休暇を使って平日に近畿 大学さんにお伺いすることで了承を得た。時 間は、お昼休み 1時間を挟んで 9時半から 17 時半まで(COVID-19 の関係で内 1 時間はリ モートワーク)。午前は、未整理資料の目録作 成会、午後は、私に井村さんがついて下さっ ての未整理資料、とくに西洋古版地図の調査 ならびに目録作成時間である。

 目録作成会は、224 回であるが、お伺いし たのは 234 回である。目録作成数は、和漢古 書 141点、洋古書 281点である。この中で印象 に残った資料に第 62回勉強会のシェイクスピ アのフォース・フォリオ(1685年刊)がある。

折帖記号 L の第 1 葉目表裏がそれ以外の頁の 活字に比べて小さい活字で、しかも毎頁 74行 のところ 91行で印刷されている。この箇所は、

『恋の骨折り損』第 5幕の一部で、どうしても この 1 葉表裏に収めなければならない事情が あった。西洋書誌学では印刷者、出版者が出 版しようとした理想的な本の形(理想本)を 考えるが、これは印刷が上手く運ばなかった 一例である。目録作成会では、このような経 験を重ねて目録を作成している。

近畿大学中央図書館の貴重書目録作成会(神㟢)

参照

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