• 検索結果がありません。

不実の公示送達申立により確定判決を得た場合と再審事由

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "不実の公示送達申立により確定判決を得た場合と再審事由"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

判例時報一

0

五二号六六頁 最高裁昭和五六年①︱二七七号︑昭和五七・五・ニ七第一小法廷判決

︹事

実の

概妻

前訴訟で

X l

ふ・

X a

︵原告︑再審被告・被控訴人・被上告人︶

は ︑

Y︵被告︑再審原告・控訴人・上告人︶に対して離婚等請

求の訴を提起した︒ところが︑Yが行方不明であったため︑公 示送達の申立が認められ︑Y欠席のまま

x

勝訴の第一審判決が

確定

した

そし

て︑

Yは︑民事訴訟法四二

0

条一項三号を理由に再審の

訴を提起した︒原審は︑公示送達の申立による勝訴判決があっ ても再審事由に該当しないこと︑そして︑右場合には上訴の追完が可能であるから再審の訴を認める必要はないとの理由で︑再審の訴を却下した︒そこで︑更にYは次のような理由で上告

した

︹上

告理

由︺

﹁原判決は判決に影響を及ぼすこと明らかな民事訴訟法︵同四

0

条一項三号︶の解釈に違背せるものであって破棄されるべ

きで

ある

不実の公示送達申立により確定判決を得 た場合と再審事由

3‑2‑307 (香法'83)

(2)

ところで前件訴訟においては公示送達の手続により︑上

一八

四頁

︶︒

原判決は公示送達の申立により欠席のままの勝訴判決に

0

条一項三号の解釈ということにな

0

条一項三号にも同一の条文があり同様に解

0

条一項三号は同じ内容であって︑同一に解釈

0

条一項三号においても当事者の責に帰し得ない

︵裁判長裁判官

谷口

正孝

︶ 中

村 治 朗 裁 判 官 団 藤 重 光 藤 崎 萬 里

よって︑民訴法四

0

一条︑九五条︑八九条に従い︑裁判官全 ができる︒論旨は︑採用することができない︒ かかる場合は当然公示送達の取下げをしなければならなく︑︹

判決

理由

し上告人にこの訴訟がわかっていれば︑攻撃防禦方法の提出の 機会もあり︑判決の結果は変っていたものと考えられる︒まさ しく本件の場合は︑当事者の責に帰さない事由に基づく欠席の

ままの判決ということができる︒

右上告人の事実主張も充分証拠調べし︑これに基づく判断を

原審はすべきであり︑違法をまぬがれない︒﹂

上告棄却 由に該当しないとした原審の判断は︑正当として是認すること

員一致の意見で︑主文のとおり判決する︒﹂

本山︹

批評

﹁当事者ノ住所︑居所其ノ他送達ヲ為スヘキ場所﹂︵民訴一七

八条︶を知りながら︑公示送達の申立をして︑相手方当事者欠 席のまま敗訴判決が確定した場合︑その相手方は︑再審の訴に よる救済が認められるか︒本件は︑この問題について最高裁と

しての判断を示したものである︒ ﹁上告人の主張する事由は民訴法四二

0

条一項三号の再審事

一 四

(3)

不実の公示送達申立により確定判決 を得た場合と再審事由(三谷)

れたり︵刑一五五条以下・一六五条以下︶ 公示送達の申立をした者の事情から︑二つに分けて考え

てみるのがよいであろう︒

,1 , 

た場

合が

していることもある 公示送達申立人が故意に公示送達許可の要件を偽ってい

その︱つである︒

この場合には︑種々の再審事由を考えることができるであろ

う︒公示送達により訴訟が進められる場合には︑擬制自白の適

用がないから︵民訴一四

0

条三項︶︑原告は︑請求が認められる

べく︑その要件を主張・立証しなければならない︒そうすると︑

故意に公示送達の許可の要件を偽る位であるから︑虚偽の陳述

があったり︵刑一六九条︑民訴三三九条︶︑文書や印章が偽造さ

であろう︒そのような場合には︑それらについて有罪確定判決

等の要件︵民訴四二

0

条二項︶を具備すると︑立派に再審の訴

が認められる︵民訴四二

0

条一項五号ないし七号︶︒

右のような事情がなければ︑果して不実の公示送達の申立を

したということだけで︑いずれかの再審事由に該当するもので

あろうか︒よく言われるのは︑詐欺罪によって民訴四二

0

条一

項五号に該当する︑ということである︵例えば︑兼子一・条解民事

訴訟

法上

五二

0頁

・九

九一

頁︑

長崎

地判

昭和

一二

九・

八・

ニ五

判時

三九

0号四二頁以下等︶︒しかし︑この場合に注意しなければならない

のは︑不実の公示送達申立により得た判決が何らかの形で利用

一 五

されていなければならないということである︒それが給付判決

なら︑執行による判決内容実現がなければ詐欺罪︵刑二四六条︶

が成立しない︒判決による執行前には︑残念ながら詐欺罪が成

立することは︑まず考えられない︒したがって︑詐欺罪から民

訴四二

0

条一項五号の再審事由というのは︑必ずしも全確定判

決には妥当しないことになる︒

そこで︑民訴四二

0

条一項三号の拡張解釈ないし類推解釈を

認める学説も有力である︵斎藤秀夫編著・注解民事訴訟法③八五頁

の―つに、上訴の追完の余地がある(最判昭和三六•五・ニ六民集

一五巻五号一四二五頁参照︶ことも挙げられているのである︒確か

に︑再審の訴の性質として︑補充性とか従属性とか言われてい

る︒しかしながら︑再審と上訴の追完とは︑どういう関係にあ

るかを忘れてはならないのである︒すなわち︑上訴の追完は専

ら判決後の上訴提起の障害を理由とするものであるのに対し

て︑再審の訴は判決前の手続や資料の瑕疵を理由とするものな

ので

ある

︵例

えば

︑兼

子・

条解

上九

八四

頁︑

新堂

幸司

・民

事訴

訟法

︹第

が利用できるから再審の訴を認める必要はない︑ 二版︺五八三頁︶︒したがって︑上訴の追完と再審とは相互に代替できるものではないのである︒その意味で︑上訴の追完の制度

との

議論

は︑

ところで︑本件判決の原審では︑再審事由に該当しない理由 ︹斎藤︺等︶が︑最高裁判所はそれを否定した︒

3‑2‑309 (香法'83)

(4)

O ・

︱ニ

・ニ

六︵

民集

0

条一

項︱

︱一

号に

該当

しな

0

条一項は制限列挙

0

条一項三号は含むものである︑として

S i l

一四

一頁

︹花

村治

郎︺

参照

︶︒

そう

する

と︑

前記

O ・

︱ニ・ニ六のように単純に解することはできず︑ やはり︑民訴四二

0

条一項三号の背景・趣旨を考える必要があ

事情も考慮すべきであろうか︒この点を考えるについて参照す

べきは︑横浜地判昭和五三・九・六︵判時九三八号九三頁以下︶で

ある︒すなわち︑この横浜地判は︑

﹁公示送達は︑送達名宛人の所在不明により訴訟上の書類の

送達ができず︑訴訟手続の進行が不能になるのを避けるため

の最後の︑補充的な送達制度であり︑従って︑当事者が︑相

手方の送達場所を知っていながら公示送達の申立をなし︑又

は︑送達場所を知ろうとすれば容易に知ることができたのに

重大な過失により知らずに公示送達の申立をなし︑公示送達

の許可を得たうえ︑勝訴判決を得たという場合のように︑公

示送達制度が本来予定していた実質的要件を欠くような場合

にまで︑過失なくして公示送達を了知しえず︑そのため訴訟

追行の機会が与えられなかった当事者に再審による不服申立

を拒むのは酷に失するというべきであり︑右のような場合に

は︑民事訴訟法四二

0

条一項三号を根拠に再審の訴を提起し

うるものと解するのが相当である︒﹂

と説明している︒相手方の事情を再審事由該当事由か否かの問

題に包含させる点には︑誤解がひそんでいるように思えてなら る ︒

公示送達の申立をした者だけではなく︑受送達者の側の

一 六

(5)

不実の公示送達申立により確定判決 を得た場合と再審事由(三谷)

ないのである︒

して

いる

つまり︑民訴四二

0

条一項各号に該当する再審 事由の問題と︑民訴四二

0

条一項但書の補充性の問題とを混同

と思われるのである︒

ドイツの有名な一九三一年草案五四六条六号によれば︑

﹁当事者が悪意の欺岡によって判決の確定力を騎取した場合﹂が

再審事由の一っに加えられている︒この種の規定が設けられる ことに対して別に異を唱えるつもりは全くないが︑それだけで よいのかは問題であろう︒一九三一年草案では︑再審事由たる 瑕疵と判決の結論との間に因果関係を認める原状回復事由に分 類されていることに注意しなければならない︒そこでは︑有罪 確定判決等が要求されていない︑という点で他の可罰行為の再 審事由の場合よりも要件が軽減されているにすぎないのであ また︑大韓民国一九六

0

年民事訴訟法四二二条一項︱一号に

は︑﹁当事者が︑相手方の住所又は居所を知っていたにもかかわ

らず所在を不明とし︑又は︑その住所若しくは居所を偽って訴

を提起したとき﹂という再審事由が認められている︵法務大臣官

房司法法制調査部編集・韓国六法四四七頁︶︒ここでは︑故意が要件

となっているようである︒この立法例が示唆していることは︑

右の理由は上訴の追完の理由たりえない︑ということと︑相手

方の故意・過失は再審事由そのものとは無関係である︑という る ︒

一 七

立による判決獲得が包含されないのであろうか︒

前述のように︑上訴の追完の制度があるということは︑再審 の訴を妨げる理由にはならない︒そうすると︑公示送達の制度 との関係が問題になる︒本件の原審によれば︑公示送達による 呼出を当事者が受けた場合には︑擬制自白も認められていない

︵民

訴一

0

条三項但書︶ことを理由の︱つに挙げている︒しか

し︑そのことも理由にならない︑と考える︒公示送達の制度は︑

公示送達申立人の便宜のために認められたにすぎず︑三審制ま で保障するものではない︒擬制自白が認められていないとはい

え︑判決前の理由で上訴の追完は認められないことになれば︑

再審の訴による救済を考えるべきであろう︒もし︑本件原審の ように︑上訴の追完もできるというのであれば︑再審の訴とい う名称で当事者が救済を求めてきたとしても︑そういう名称に こだわることなく︑上訴の追完と善解して︑そういうものとし て対処すればよいのである︒当事者の呼称に拘束されず︑裁判 所が善解して処理することは︑今までもいろいろな場面で見ら れるところである︒判例にも争いがあり︑学説の間でも争いが あるような場合に︑当事者の呼称だけに振り回される必要はな

四 そ れ で は

︑ 民 訴 四

0

条一項三号に︑不実の公示送達申

ということも前提にされていよう︒ ことである︒そして︑代理権欠訣の再審事由に包含されない︑

3‑2‑311 (香法'83)

(6)

じないのである︒ ら

ない

が︑

おそら

級 す な わ ち お そ ら く は 第 一 審 か ら 審 理 さ れ る こ と に な という違いに

その瑕疵と判決の結論との間の因果関係を問わな から見ても理解できよう︒代理権欠訣がなかっ

それ

しかし︑代理権欠訣なら︑本人を納得させること

関係なく︑上訴によって主張できるものである

このように考えてくると︑公示送達の申立にかかる判決の場 合にも︑民訴四二

0

条一項三号に代理権欠訣を再審事由とした

のと同じ配慮をしてもよいのではなかろうか︒そして︑

しか

し︑

そのこ

達の申立は何も不実の申立である必然性はないのであって︑公 示送達にかかる判決によって敗訴した場合すべてが民訴四二

0

そうすると︑受送達者に余りにも肩を入れすぎであ る︑という批判が出てくるであろう︒そのような批判が当らな いことは明白である︒再審の補充性たる性質を忘れた議論であ

る︒民訴四二

0

条一項三号の再審事由は︑上訴の追完とは全く

︵民

訴四

0

一項但書︶︒したがって︑受送達者の方に故意・過失で住民票の

変更届等をしていなければ︑補充性の点で再審の訴は結局認め られないのである︒更に︑擬制自白が公示送達の場合のときに は認められないから必ずしも判決の結論が間違っているとは限

これも民訴四二八条があるから旧判決が常に取り消

されるわけではないので︑公示送達があっただけで民訴四︱

1 0

条一項三号の再審事由に含まれるとしても︑不合理な事態は生 条一項︱︱一号に包含されることになるのである︒ 訣を再審事由として認めた趣旨・背景を考えるならば︑公示送 とは更に大事なことを意味するのである︒すなわち︑代理権欠

一 八

(7)

不実の公示送達申立により確定判決 を得た場合と再審事由(三谷)

かくて︑私は本件判例理論には反対したい︒そして︑明 確を期するために明文規定を設けるとしても︑従来の学説や外 国の立法例のように悪意による確定判決の瞬取の場合だけにと どまることなく︑公示送達によって得られた確定判決すべてに 理想の︱つである適正の要求実現のために設けられた制度であ

る︑ということが生かされるのである︒

なお︑公示送達と再審で問題になる事例は︑どうも男女のも つれのものが多いのではないか︑と思われるが︑この点の検証

は後日を帰したい︒

︹参

考文

献︺

最近の文献として︑梅本吉彦「不意打防止と訴訟法理論|—八ム示送達・追完・

再審ーーー﹂月刊法学教室三三号二九頁以下︑

本件の解説として︑

池田辰夫・民商法雑誌八八巻一号一三

0

頁以

下︑

石井彦壽・季刊実務民事法

1ニニ四頁以下︑

があ

る︒

そうすることによって始めて︑再審判度が︑民事訴訟制度の

対して再審の訴が認められるようにすべきである︒

一 九

3‑2‑313 (香法'83)

参照

関連したドキュメント

道垣内正人・判評 391 号[判時 1388 号] 44 頁( 1991 年) 、早川吉尚・ジュリ 1050 号 194 頁( 1994 年) 、横溝大・判評 475 号[判時 1643 号] 40 頁(

ミルは,人文・社会諸科学の多岐の分野にわたって多くの業績を残 した 19

[r]

Kant, Handschriftlicher Nachlass, Bd., 4,

た判決は,特許権の存在を否定しておらず,むしろ,特許権の存在を前提とし

従って、本判決から、同じ引用例に基づく発明の進歩性判断過程において、ある特定の

わが国の民訴法においては、判決書は当事者に送達しなければならない

ら見ると,本判決は『建物の基本的な安全性』という新しい法益を創出し