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土木学会論文集 B3( 海洋開発 ), Vol. 72, No. 2, I_646-I_65, 26. 国土地理院電子国土ポータルの背景図をもとに作成 布引貯水池 生田川 調査日 採取時刻 表 - 表層砂採取日 潮汐 M.W.L からの距離 (cm) 前 週間降水量 (mm) 気温 ( ) 25/8

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(1)

都市河川河口域における

酸素消費速度の時間変化

宇野 宏司

1

・北村 美咲

2

・辻本 剛三

3

・柿木 哲哉

4 1正会員 神戸市立工業高等専門学校准教授 都市工学科(〒651-2194 神戸市西区学園東町 8-3) E-mail: [email protected] 2非会員 大阪瓦斯株式会社(〒541-0046 大阪市中央区平野町四丁目 1 番 2 号) 3フェロー会員 熊本大学教授 社会環境工学科(〒860-8555 熊本市黒髪 2 丁目 39 番 1 号) 4正会員 神戸市立工業高等専門学校教授 都市工学科(〒651-2194 兵庫県神戸市西区学園東町 8-3) 閉鎖性水域では,夏季に底層付近の水塊が貧酸素状態になり,底生生物の大量死を引き起こすなどの 問題が生じている.一方,局所的な集中豪雨等による底質の更新によって湾奥部の貧酸素状態が解消さ れる可能性があることが予想されるが,海域での事例に比べると都市河川河口部を対象に調べられた報 告は少ない.本研究では生田川(神戸市,2 級河川)の河口域において表層砂を採取し,これを用いた 室内実験を行い,流動特性の異なる 2 地点(生田川本川・人工わんど)での底質の酸素消費速度の時間 変化や有機物量との関係を明らかにした.滞流性の強い人工わんどでは本川よりも酸素消費速度,有機 物量ともに多く,高い生物活性が示された.

Key Words : oxygen consumption velocity, fluvial artificial lagoon, sediment on the surface layer,

Ikuta river mouth

1. はじめに

都市閉鎖性水域では,再生行動計画に基づく様々な施 策によって水質・底質の環境改善が試みられ,一定の効 果を挙げているところであるが,過去の埋立事業によっ て複雑に入り組んだ湾奥部では,夏季に発生する貧酸素 水塊が長らく停滞し,依然として生物生息等の環境機能 は低下したままとなっている.一方,短期集中豪雨によ る出水は,湾奥部の水環境だけでなく,極めて停滞性の 強い底質環境をも更新する可能性が秘めているが,その 動態については明らかにされていない.また,このよう な環境インパクトによらず,酸素消費速度には時間的な 変化があることが予想される. 底質の酸素消費を定量的に評価することは,貧酸素水 塊の形成プロセスや空間スケールを解明する上で重要で あり,これまでにも多くの研究が進められている.例え ば,細井ら1) は,徳島市内の河川感潮域に堆積している底 泥の酸素消費量について調べ,酸素消費速度定数が底泥 の強熱減量や間隙水中の第一鉄イオンと良い相関がある ことを見出している.また,中村ら2) は,島根県宍道湖の 底泥の酸素消費速度と栄養塩の溶出特性を調べ,底泥か らのリンの溶出フラックスと酸素消費量は直上水の溶存 酸素濃度に依存することを明らかにしている.また,徳 永ら3) は,有明海湾奥部において1昼夜の観測を行い,高 濁度層における濁度とDO濃度との間に負の相関がある ことを明らかにし,高濁度層において酸素消費が進行す ることを示している.また,李ら4) は夏季における諫早湾 の底泥表面からの酸素消費速度の空間分布について調べ, 酸素消費速度が底層水温の上昇とともに増加する傾向を 明らかにしている. 本研究は大阪湾湾奥部に位置する神戸港周辺水域を対 象としているが,近傍水域における最近の研究としては, 入江ら5)が西宮市御前浜で採取した底泥コアを対象に酸 素消費速度を計測しその定式化を行った事例や,遠藤ら 6)が堺泉北港堺2区北泊地において底質の酸素消費特性の 季節変化を調べた事例などが報告されている. これらの多くの先行研究は,海域を対象にしたものが ほとんどで,より閉鎖性の強い湾奥部に流入する都市河 川河口部を対象に,底質の酸素消費速度の時間変化につ いて調べられた報告は少ない.湾奥部に流入する都市中 小河川は貴重な淡水供給源であり,降雨時に見られる短 期集中豪雨による出水は,閉鎖性を打破する貴重な駆動 力になりうることが期待される.したがって,都市河川 河口部においても同様の研究を行うことは,閉鎖性水域 の課題解決を図るためにも必要であると考えられる. 以上の背景を踏まえ,本研究では,大阪湾奥部・神戸

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港周辺に流入する都市河川河口域の流動特性の異なる空 間において採取された底質の酸素消費特性の把握に係る 室内実験を行った.

2. 研究方法

(1) 調査地点の概要 調査対象である生田川(図-1)は,六甲山系摩耶山や 石楠花山を源とし,布引貯水池からJR新神戸駅を経て 神戸市街地を抜け,神戸港に注ぐ流域面積 11km2,延長 1.8km の 2 級河川である.本河川の上流には古くから名 瀑として知られる布引の滝や,赤道直下でも腐らないと 船乗りたちの間で評判となった神戸ウォーターの採水地 がある.同河川の公共用水域水質調査地点である小野柄 橋における水質は,T-N 0.64 mg/L,T-P 0.011 mg/L,BOD 1.1 mg/L(平成 24 年度実績値)となっている. 生田川河口には面積 1200m2の人工わんどが本川に隣 接しており,図-2 に示すように潮の干満によって本川の 汽水が出入りする構造となっている. 本研究では流水形態の違いによる河口空間の酸素消費 速度の差異についても比較検討するため,生田川本川(流 水域)と人工わんど(止水域)の 2 地点を採取場所とし て選定した. (2) 実験方法 表-1 に示すとおり,2015 年 8 月から 2016 年 1 月まで の間の毎月 1 回,干潮時に上記 2 地点で採取した表層砂 を実験室に持ち帰り,高さ約 8cm,内径約 4.7cm のガラ ス製のサンプル瓶 22 本(各地点 11 本ずつ)の底 3 分の 1 程度に湿重量が等しくなるように表層砂を敷き詰め, 空隙を蒸留水で満たした.その後,直ちに図-3 に示すよ うに溶存酸素計にて底層直上の初期溶存酸素量を計測し た後,これらのサンプルを密栓し,遮光した恒温槽(25℃) で保存した.これらを一定の時間間隔にしたがって,順 次開栓し,直ちに底層直上の溶存酸素量を計測すること で,その時間変化を調べた.また,得られた時間変化か ら,表層砂の酸素消費速度を評価した.なお,計測時間 間隔については,計測開始から 3 時間までは約 30 分ご 表-1 表層砂採取日 図-3 溶存酸素量の計測 調査日 採取 時刻 潮汐 M.W.L か らの距離 (cm) 前1週間 降水量 (mm) 気温 (℃) 2015/8/14 12:51 大潮 -54 38.5 31.6 2015/9/27 12:20 大潮 -52 27.0 26.2 2015/10/21 6:38 小潮 -32 0 18.2 2015/11/18 6:18 小潮 -53 37.5 17.0 2015/12/16 6:20 大潮 -51 69.0 13.5 2016/1/13 6:35 中潮 -28 0 4.4 図-1 調査地点(生田川河口) 【満潮時】 【干潮時】 図-2 人工わんど ※国土地理院電子国土ポータルの背景図をもとに作成 採泥地点 神戸港 布引貯水池 生田川 小野柄端 生田川本川 人工わんど

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と,それ以降は約 1 時間ごととし,合計 8 時間行った. また,分析試料に付着している有機物量を把握するため, 強熱減量試験(JIS A 1226)を実施するとともに,画像計 測7) によって表層砂の平均粒径を算出した. (3) 溶存酸素低下率と酸素消費速度 表層砂表面から酸素消費過程は, V𝑑(𝐷𝑂)𝑑𝑡 + 𝑆𝑣[𝐷𝑂] = 0 (1) で記述される.ここで,[𝐷𝑂]は時刻 𝑡(h)における溶存酸 素濃度,𝑉(m3)は容器内の試料水量,𝑆(m2)は底質表面 の面積,𝑣(𝑚 ℎ⁄ )は表層砂表面から酸素消費速度である. なお,底泥による酸素消費速度を交換速度で表現する場 合には,厳密には底泥内での溶存酸素濃度も考慮した上 で式を構成するのが一般的であるが,ここでは,底泥内 での溶存酸素濃度の計測ができていないこと,また既往 文献 4)との結果を比較するため,既往文献と同様にこれ を考慮していない. 式(1)において,試料水の水深 ℎ = 𝑉 𝑆⁄ = 0.04 (m)を用 いると以下のように変形できる. 𝑑(𝐷𝑂) 𝑑𝑡 + 𝑣 ℎ[𝐷𝑂] = 0 (2) さらに,式(2)第 2 項の𝑣 ℎ⁄ を𝑐𝑆 (1 h⁄ )として,これを 表層砂表面からの酸素消費による溶存酸素低下率と定義 すると,式(2)は次のように記述される. 𝑑(𝐷𝑂) 𝑑𝑡 + 𝑐𝑠[𝐷𝑂] = 0 (3) 式(3)の解は, [DO] [DO]0= 𝑒𝑥𝑝(−𝐶𝑠𝑡) (4) 図-4(a) 溶存酸素量・溶存酸素低下率の時間変化(2015 年 8 月-10 月) 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 DO [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 0 8 / 1 4 人工わんど 生田川本川 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 0 8 / 1 4 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 DO [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 0 9 / 2 6 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 0 9 / 2 6 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 D O [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 1 0 / 2 1 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 1 0 / 2 1

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と求められる.ここで,[DO]0 は表層砂を敷き詰め,空 隙を蒸留水で満たした直後の溶存酸素濃度である.式(4) より,試料水中の溶存酸素濃度は砂表面からの酸素消費 によって指数関数的に減少することがわかる.本研究で は,得られた溶存酸素量の計測値から,上述の関係式で 定義される溶存酸素低下率や酸素消費速度を求め,これ らの指標をもとに整理・考察を行った.

3. 実験結果及び考察

(1) 溶存酸素量,溶存酸素低下率の時間変化 図-4(a),(b)に生田川本川及び人工わんどで採取された 表層砂の溶存酸素量及び溶存酸素低下率の時間変化 (2015 年 8 月~2016 年 1 月)を示す. 溶存酸素量の時間変化(図-4(a),(b)の左段)について みると,いずれの月においても,生田川本川の方が人工 わんどよりも溶存酸素濃度が高くなる傾向が示された. また,その差は夏季ほど大きくなっていた.生田川本川 では上流から河川水の供給があり,人工わんどと比較し て流動性が高く,流下過程での酸素の取り込みも大きい ため,このような傾向があらわれたと考えられる.また, 生田川本川は人工わんどと比較して土粒子に付着するミ クロベントスや微生物が少ないため,これらの呼吸によ る酸素消費がもともと低いことも上記の傾向の理由のひ とつであると考えられる.なお,遮光条件での実験にも 関わらず,溶存酸素量の時間変化が所々で増加している のは,開栓・計測時の表層からの酸素溶解の影響が考え られる. 溶存酸素量の季節変化についてみると,生田川本川, 図-4(b) 溶存酸素量・溶存酸素低下率の時間変化(2015 年 11 月-2016 年 1 月) 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 DO [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 11 / 1 8 人工わんど 生田川本川 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 11 / 1 8 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 DO [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 1 2 / 1 6 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 1 2 / 1 6 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00 7.00 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 DO [ mg /L ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 6 / 0 1 / 1 3 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 溶 存 酸 素低下率 Cs [1 /h ] 測定経過時間 (時間) 2 0 1 5 / 0 1 / 1 3

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人工わんどともに気温の高い夏季で大きく,気温の低い 冬季に低くなる傾向が示された.一般に水中の溶存酸素 量は水温が低いほど高くなるとされるのに対して,本実 験ではその反対の傾向が示された.この理由としては, 採水時間の違いによる影響が最も大きいと考えられる. 当該水域では 10 月以降は早朝に採取した底質を試料と したため,表層砂の間隙等に保持されていた溶存酸素は 生物の呼吸によってそもそも少なくなっていたと考えら れる. 一方,溶存酸素低下率 Csの時間変化(図-4(a),(b)の右 段)についてみると,人工わんどでは,2015 年 12 月の 結果をのぞいて,実験開始直後に溶存酸素低下率が著し く下がっていることがわかる.これは,表層砂中の生物 によって酸素が著しく消費されたことを示している.暗 条件で密栓された状態では酸素が新たに供給されること はないため,これらの生物相の活動は低下する.そのた め,以降の酸素消費は進まず,低下率は横ばいで推移す る.2015 年 12 月の実験において開始直後の溶存酸素低 下率の減少が見られなかったのは,観測日直前にまとま った降雨があり,これによる出水の影響で人工わんどの 底質環境までもが更新された可能性が考えられる. 一方,生田川本川の溶存酸素低下率については,人工 わんどに比べて小さく,実験期間を通じて概ね横ばいの 傾向が示された.上流から恒常的に流れがある本川では 土粒子に付着するミクロベントスや微生物が少ないため, 人工わんどに比べて酸素消費量も少なくなるのではない かと推察される. (2) 酸素消費速度の季節変化 図-5 に生田川本川,表層砂の酸素消費速度の季節変化 を示す.また,図-6 と図-7 に強熱減量,平均粒径の季節 変化を示す.図-5 では各実験における酸素消費速度の最 大値,最小値,平均値と標準偏差を示している.人工わ んどでの酸素消費速度の平均値の推移は 0.01~0.02 m/h 程度であり,夏季から冬季にかけて微減している.図-6, 図-7 において,2015 年 12 月期の人工わんどの強熱減量 や平均粒径が生田川本川に近づいているのは,出水の影 響で生田川本川から輸送された土砂がわんど内に流入し 図-8 強熱減量と酸素消費速度の関係

0.005

0.01

0.015

0

5

10

酸素消費速度 X [m/h]

強熱減量

Y

(%)

人工わんど 生田川本川 Y=547.01X + 0.0025 (R2=0.576) 図-5 表層砂の採取地点の酸素消費速度の季節変化(2015 年 8 月-2016 年 1 月) 図-6 強熱減量の季節変化(2015 年 8 月-2016 年 1 月) 図-7 平均粒径の季節変化(2015 年 8 月-2016 年 1 月) 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 -0.02 -0.01 0 0.01 0.02 酸素 消費 速度 ( m /h) 8月 9月 10月 11月 12月 1月 最大値 平均値 最小値 標準偏差 標準 偏差 ( m /h) 人工わんど 0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 -0.02 -0.01 0 0.01 0.02 酸素 消費 速度 ( m /h) 8月 9月 10月 11月 12月 1月 最大値 平均値 最小値 標準偏差 標準 偏差 ( m /h) 生田川本川 0 2 4 6 8 10 12 14 8月 9月 10月 11月 12月 1月 強熱減量 (%) 人工わんど 生田川本川 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 8月 9月 10月 11月 12月 1月 平均粒径 (m m ) 人工わんど 生田川本川

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たことが考えられる.2016 年 1 月期に人工わんどの強熱 減量が増加に転じていたのは,閉鎖性が強いため有機物 が蓄積しやすい状況であったことを示していると考えら れる.一方,生田川本川での酸素消費速度の値はさらに 小さく,期間を通じて0.01m/hを超えることはなかった. 同様の定義で算出された李らの調査報告4) によると,諫 早湾底泥の酸素消費速度は,3.18×10-3~1.68×10-2 m/h の 範囲にあり,その平均値は 9.06×10-3m/h である.この平 均値と比較すると,生田川本川の酸素消費速度は諫早湾 でのそれを下回るが,人工わんどではこれを上回る結果 となる.このことは間接的にではあるが,生田川河口の 人工わんどにおける生物活性の高さを示しているともい える. 図-8 に強熱減量と酸素消費速度の関係を示す.生田川 本川と人工わんどにわけてプロットすると酸素消費速度 0.006 m/h 付近に明瞭な境界を見ることができる.また, 強熱減量との関係をみれば,決定係数 R2=0.576 の正の相 関がみられる.強熱減量は底質試料に含まれている有機 物量を示す指標であり,生物にとっては餌資源の豊富さ を表すもので,生息ポテンシャルを間接的に示すものと いえる.事実,生田川河口の人工わんどでは本川に比べ てミクロベントスや微生物が多数生息しており,こうし た生物の活性の高さも酸素消費速度の違いの一因となっ てあらわれたものと推察される.

4. まとめ

本研究では,大阪湾に流入する都市河川・生田川河口 域の流動特性の異なる調査地点において採取された底質 の酸素消費特性の把握に係る室内実験を行った. 滞留性が強い人工わんどでは,有機物も蓄積しやすい ため,生物活性も高く酸素消費速度が大きくなった.ま た,暗条件,密封状態のもとでは,系に閉じ込められた 生物による初期の酸素消費が著しいことがわかった.一 方,流動性の大きい生田川本川では,人工わんどと比べ 溶存酸素量が多く含まれているが,定着性の高いミクロ ベントスや微生物の生息が人工わんどよりも少ないと考 えられるため,酸素消費速度は小さく,その時間変化も 顕著ではなかった. 今回の室内実験では,採取した表層砂をそのまま使用 したため,得られた酸素消費速度は含有生物の呼吸作用 によるところが大きい.一方で,覆砂等の環境改善技術 の観点からは,これらの素材は無生物状態であることが 多い.したがって,今後は強熱処理や酸処理によって無 機化されたものを用いた実験を行うことにより,媒質そ のものの酸素消費特性(潜在ポテンシャル)を明らかに していく予定である. 参考文献 1) 細井由彦,村上仁士,上月康則:底泥による酸素消費 に関する研究,土木学会論文集,No.456/II-21,pp.83-92,1992. 2) 中村由行,井上徹教,山室真澄,神谷宏,石飛裕:未 撹乱底泥コアを用いた連続培養系での酸素消費・溶出 実験,海岸工学論文集,第 43 巻,pp.1091-1095,1996. 3) 徳永貴久,松永信博,阿部淳,児玉真史,安田秀一: 有明海西部海域における濁度層の観測と懸濁物質に よる酸素消費速度の実験,土木学会論文集,No.782/II-70,pp.117-129,2005. 4) 李洪源,松永信博:諫早湾底泥の酸素消費速度,土木 学会論文集 B,Vol.66,No.4,pp.335-343,2010. 5) 入江政安.窪田勇輝,中辻啓二,西田修三:都市海浜 における底質の非一様性を考慮した酸素消費量の推 定,海岸工学論文集,第 54 巻,pp.1026-1030,2007. 6) 遠藤徹,重松孝昌:港湾海域における底質の酸素消費 特性の季節変化に関する研究,土木学会論文集 B2(海 岸工学),Vol.B2-65,No.1,pp.1051-1055,2009. 7) 宇野宏司, 濱森彩, 辻本剛三,柿木哲哉: デジタルカ メラ画像を用いた淡路島・成ヶ島における底質環境モ ニタリング, 土木学会論文集 B2(海岸工学), Vol.66, No.1, pp. 676-680, 2010. (2016.2.4 受付)

A TIME CHANGE OF OXYGEN CONSUMPTION RATE

AT URBAN RIVER MOUTH

Kohji UNO, Misaki KITAMURA, Gozo TSUJIMOTO and Tetsuya KAKINOKI

Formation of poor oxygenation at the bottom layer water and sediment in the semi-closed water zone near urban area is a typical agenda and many findings have been reported. However, most of them target sea area and there are few reports on the urban river mouth. In this study, to clarify the characteristics of a time change of oxygen consumption rate at urban river mouth, laboratory experiments were conducted. Sampling spot was Ikuta River mouth in Kobe City, Japan. In this river mouth, fluvial artificial lagoon is created. In each the laboratory experiment, time change of dissolved oxygen of sediment both of fluvial artificial lagoon and main stream was measured. From the series of laboratory experiments, the oxygen consumption rate at fluvial artificial lagoon is larger than at main stream.

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