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学位論文題名Bone Morphogenetic Protein(BIVIP)による

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 齋 藤   彰

     学位論文題名

Bone Morphogenetic Protein(BIVIP) による

水 平性骨欠 損部の再生療法の研究

学位論文内容の要旨

    緒言

  歯周 炎 に よ り 破壊 さ れた 歯周 組織の 再生療 法とし て、GTR法が 行 われ て き て い る。 し かし 現在 行われ ているGTR法は全 ての 症例 に有効 なわけ では なく、 水平性 骨欠損 の場 合、歯 周糾織の再生、

なかで も歯槽 骨の 再生は ほとん ど期待 でき ないの が現状である。

  U ri stが1965年 に 骨 を 誘 導 形 成 す る 成 長 分 化 因 子 で あ る BMP(bonemorphogeneticprotein)を発見して以来、I臨床応Jllを 目 指 し 研 究 が 行 わ れ て き て い る 。BMPを 応 用 す る場 合 、 局 所 で BMPを 効 率 良 く 作用 さ せ るため の担 体が必 要であ る。当 教室 では BMPを 歯 周 治 療 に応 用 す る場合 の担 体とし てアテ ロコラ ーゲ ンを 膜状にカriニ匸したコラーゲン膜(FCM)を研究してきてしゝる。しかし これま で松本 、伊 藤らが 用いたFCMllrよ移 植時に 血液などを吸収 すると 軟化し 、移 植操作 が行い ずらく なり 、骨形 成量にぱらっき が 生じ 、 安 定 し た成 果 が得 られ ない欠 点があ った。 そこでBMPの 担体と してよ り優 れたコ ラーゲ ン膜の 開発 が必要 であると考えら れた。

  一方 、BMPの 研究 に は ラット が用 いられ てきた が、ラ ット の歯 と 歯周 組 織 は 小 さく 骨 欠損 の作 製やBMPに より誘 導され た新 生骨 と歯枚とのff‖にどのような付着形式が生じるかを正碓に評価する ことが 困難と 思わ れる。 そこで 、より 大型 動物を 用いて水平性骨 欠 損 部 を 作 製 しBMPへ の 移 植 実 験 を 行 い 、BMPに よ り 新 生 さ れ た骨と根而とのluiの付着の様相を明硼!にする必要があると考えら れる。

(2)

  本 研究 は、BMPを 水平 性 骨欠 損を ともなう歯 周組織破壊の再生 療法に応用する ことを大きな目的 として、まず担体の 改良を試み ると と もに 、ネ コ に水 平性 骨 欠損 を作製し、BMP配合コラーゲ ン 膜を移植し病理 糸n織学的な 観察を行った。

  実 験1: 改 良FCM1の 作 製 とBMPの 担 体 と し て の 有 効 性 の 検 討   コ ラーゲン膜 の作製は熟田らの 方法に従い、手術 時の操作性を 向上 させる ため中性透析外液 の緩衝液を塩酸ト リス緩衝液から、

リン 酸緩衝 液に変更した。そ の結果、移植操作 時に血液等を吸収 し て 軟 化 す る 欠 点 は 改 善 さ れ た 。 そ こ で こ れ を 改 良FCMlと 呼 び 、BMPの 担 体 と して の有 効 性を 検討 し た。 実験 動 物に は5週 齢 ウイ スター 系雄性ラット3匹を用い、移植 部位は背部皮下4部位、

計12部位 と しこ れを 実 験群 、比 較 群、 対照 群の3群 に区分した。

B NfPはKubo kiらの 方法 を 用い てS300BMPを精製し 、実験群は改 良F‑CMl(平 均 重量O.5mg) にBMPを0.1、0.3、0.5、0,7mg配合 し 移 植 し た 。 比 較 群はIBM(不溶 性骨 基 質) にS300BMPを0.3mg配 合 し 移 植 し 、 対 照 群 はBMPを 含 ま な い 改 良FCM1を 移 植 し た 。 移 植2週 後 に 移 植 材を 一 塊と して 摘 出し 、軟X線写 真を 撮 影し 比 較検 討 した 。

  そ の結 果 、対 照群 で はX線不 透 過性 の高 い部分は 見られなかっ た。 一方、 実験群と比較群で は全てに不透過性 の高い部分が見ら れ 、 異 所 性 骨 形 成 が 生 じ て い る と 判 定 さ れ た 。

実験2:ネコ犬歯 頬側の水平性骨欠 損部への移植実験

  ネコ にBMPを移 植 して骨 を誘導する場合、 ラットに比ベ多量 の BMPを 必 要 と 考 え ら れ る が 、 実 験1で 用 い たS300BMPはBMP以 外の蛋白質も多く含 み、担体であるコ ラーゲン膜0.2 mgに1.5mg 以上配合できなかっ た。そこでBM‑P精製時に高 濃度化を行い、こ れを高濃度BMPと 呼び実験に用いることとした。実験動物に.は雄 性成ネコ2匹(4.3.4.7Kg)を用い、実験部位は上下顎犬歯の頬側(8 部 位 ) と し た 。 こ れ を3群 に 分 け 、 実 験 群 は 改 良FCM1(2mmX 4mm)にS300BMPを0.5|1.5 mgおよぴ 高濃度BMPを0.5|1.0 mg配 合 し 移 植 し 、 対 照 群 はBMPを 含 ま な ぃ 改 良FCM1を 移 植 し 、 非

(3)

移植群は移植せず手術のみを行った。骨欠損の作製は、犬歯頬側 の歯肉骨膜弁を飜転し、頬側の歯槽骨を垂直方向には骨頂より根 尖方向に4mm、近遠心方向にtま前歯隣在歯と前臼歯の隣接而に及 ぷ幅4mmを削除して犬歯頬側に水平性の骨欠損を作製した。根而 のセメント質を除去した後、欠損底部の根而にノッチを付与した。

長さ4mm幅Lmmの 移 植材 を煩 側の 中央 に 世き 、近 遠心 側は隣接 而の歯槽骨から各々Imm離し、根尖側は移植材が残存歯オ舛骨而を Lmm覆 い、 歯 冠側 は露 出根 而に2mm接 触 する よう にし た。移植 後、歯肉弁が移植材を完全に覆うように復位し縫合した。移植5 週後に、通法に従い病理標本を作製し、光学顕微鏡にて観察した。

  その結果、非移植群と対照群では、歯tf骨およびセメント質の 再生 はみ ら れなかった。 実験群のS300BMP移植部 および高濃度 BMPO.5mg移植部でも 歯槽骨再生はなかった、しかしセメント質 の 再 生 が 膜 に 対 応 す る 根 而 に み ら れ た 。 一 方 、 高 濃 度BMP 1.0 mg移植部では、新生骨がほぼ移植材の形態と一致して形成さ れており、ノッチ下縁から歯冠側に約Lmm、根尖側は残存歯槽骨 の頬側面上に約Lmmみとめられた。根面ノッチ部ではセメント質 が再生し、歯而と垂直に線維の走行が見られ新生骨との|出に歯根 膜が再生し、ノッチより歯冠側ではセメント質は形成されず新生 骨が歯根表而と癒着していた。一方骨欠損の近遠心側約Immの範 囲 で は 、 骨 お よ び セ メ ン ト 質 の 新 生 は み ら れ な か っ た 。     考察

  実験1では実験群全てに骨の形成がみとめられた。これは松本 がFC Mlを担体として同様にS3 00BMPを移植した実験網f果より も成績が良く 、改良FC MlはS3 00B MPの担体として十分有効で あることが確認された。

  実 験2では 、S3 00BMPおよ ぴ高 濃度BMPの0.5mgを配合して 移植した場合 、新生骨はみられなかったが、高濃度BMPのl.Omg を配合して移 植した場合には、移植した改良FCM1の形態にほぼ 一致して新生骨の形成がみとめられた。これは適切な濃度と量の BMPを配合した改良FCM1を移植すれば 、骨の再生が従来ほとん ど期待できなかった水平性骨欠損でも、歯冠側方向への骨新生が 可 能 性 で あ る こ と を 示 唆 し て い る と 考 え ら れ る 。

(4)

  新生骨と露出根面との付着形式を観察すると、根面のノッチ部 では、セメント質が新生し新生骨とのIf;Jに線維が垂直に走行して いるのがみられ、新生骨と歯根の間に歯根膜が再生していた。これ は移植時に移植材と根面との問にスベースが生じていたためと思 われ る。一 方、ノ ッチよ り歯冠 側では 、新生 骨と歯 根面との 癒着が生じていた。これは移植時、移植材と根而が直接接触して いたためと思われる。このことから移植材と根而とのI瑚に適度な スベースを確保して移植すれば、歯槽骨、セメント質および歯根 膜の再生が可能であること考えられた。

  今 回の実 験によ り、適切な高濃度BMPを改良FCM1に配合して 移植すれば、大型動物の水平性骨欠損部でも、骨が誘導形成され る可能性が高いこと、移植材と根面との問にスベースを作るとセ メント質を含む歯根膜も再生する可能性があること考えられた。

    結論

  本研究は水平性骨欠損の再生療法にBMPを応用する方法を検討 する 目的で 、2つ の実験を 行った 。実験1では 、改良FCM1を試 作しBMPの担体としての有効性を検討した。実験2では、ネコに 水平性 骨欠損 を作製 し、BMPの濃度と量を変えて配合した改良 FCM1を 移 植 し 、 病 理 組 織 学 的 に 観 察 し た 。 そ の 結 果 、 1.改良FCM1は、BMPの担体として十分有効であると判定した。

2.ネコの水平性骨欠損に、高濃度BMPの1.0 mgを改良FCM1に配   合して移植した結果、新生骨が移植材とほぼ同じ形態に形成し   た。

3.新生骨と露出根面および残存歯槽骨との付着形式は、残存歯槽   骨の頬側面では、新生骨が母骨と連続していた。根面ノッチ部   は、移植時に根面と移植材との問にスベースが生じており、新   生骨との問に歯根膜が再生していた。ノッチより歯冠側部分で   は、移植時に移植材と根而が直接接触しており、新生骨と根面   との癒着が生じていた。

(5)

学位論文審査の要旨 主 査 , 教 授

  

加 藤

  

熈 副査

  

教授   久保木芳徳 副 査

  

教 授

  

松 本

  

    

学 位 論 文 題 名

Bone Morphogenetic Protein

BIVIP

)に よ る 水 平性骨 欠損部の再生療法の研究

  審 査 は 、 担 当 者 全 員 の 出 席 の も と 、 論 文 提 出 者 に 対 し 口 頭 試 問 に より論文の内容と関連分野について行われた。

  歯 周 炎 に よ り 破 壊 さ れ た 歯 周 組 織 を 再 生 さ せ る こ と は 、 歯 周 治 療 の 大 き な 目 標 の ー つ で あ る 。 し か し 、 水 平 性 骨 欠 損 の 場 合 、 現 在 行 わ れ て い る 再 生 療 法 で は 歯 周 組 織 の 再 生 、 特 に 歯 槽 骨 の 再 生 が 困 難 で あ る 。 そ こ で こ の よ う な 症 例 の 歯 周 組 織 の 再 生 を は か る た め に 、 骨誘導冑ヒのあるbo ne  mo rphogenetic  protei n(BMP)を応用することカミ 有 効 で は な い か と 考 え た 。BMPを 用 い る 場 合 、 適 切 な 担 体 が 必 要 で あ り 、 松 本 、 伊 藤 ら は 、 コ ラ ー ゲ ン 膜 (FCM1) を 担 体 と し て 用 い た が 、 移 植 時 に 血 液 な ど を 吸 収 し て 軟 化 し 、 臨 床 的 に は 操 作 が 困 難 だ っ た と 報 告 し て い る 。 そ こ でBMPの 担 体 と し て よ り 優 れ た コ ラ ー ゲ ン 膜 の 開 発 が 必 要 で あ る と 考 え た 。 一 方 、 従 来BMPの 研 究 に は ラ ッ ト が 用 い ら れ て き た が、 ラ ッ ト の 歯 と 歯 周 組 織 は 小さ い た め 、 骨 欠 損 を 正 確 に 作 製 す る の が 難 し く 、 歯 周 組 織 の 再 生 を 詳 細 に 評 価 す る こ と が 困 難 で あ っ た 。 さ ら に 大 型 動 物 で はBMPに 対 す る 組 織 反 応 が 異 な る 可 能 性 が あ り 、 ヒ ト に 応 用 す る た め に は ラ ッ ト よ り 大 型 動 物 でBMPの 移 植 実 験 を 行 う 必 要 が あ る と 考 え ら れ る 。 本 研 究 は 、BMPを 水 平 性 骨 欠 損 を と も な う 歯 周 組 織 破 壊 の 再 生 療 法 に 応 用 す る こ と を 目 的 と し て 、 ま ず 担 体 の 改 良 を 試 み る と と も に 、 ネ コ に 水 平 性 骨 欠 損 を 作 製 し 、BMP配 合 コ ラ ー ゲ ン 膜 を 移 植 し 病 理 組 織学的な観察を行った。

(6)

実 験1: 改 良FC Mlの 作 製 とBMPの 担 体 と し て の 有 効性 の 検 討   コラーゲン膜の作製は、手術時の操作性を向上させるため、従来 の作製法の一部を変更した。すなわち中性透析外液の緩衝液を塩酸 トリス緩衝液から、リン酸緩衝液に変更した。その結果、移植時に 吸湿軟化する欠点が改善された。そこでこれを改良FCMlと呼ぴ、

BMPの 担体 として の有効性を検討した。改良FCMl(0.5 mg)に部分 精製BMP(S300BMP)をO.l|0.3.0.5,0.7 mg配合し、ラット背部皮下に 移植し、移植2週後に軟X線写真撮影を行い検討した結果、全てに 骨が形成されていた。これは松本がFCM1を担体として行った実験 結 果 よ り も 成績 が 良 く 、 改良FCM1はS300BMPの担体 として 十分 有効であることが確認された。

実験2:ネコの水平性骨欠損部への移植実験

  成ネコの犬歯頬側(8部位)の歯槽骨を骨頂より根尖方向に4mm削 除して水平性の骨欠損を作製し、根面のセメント質を除去した後、.

欠 損 底 部の根 面にノ ッチを 付与 した。 実験群 は改良FCMl(2 mmX 4mm)にS3 00BMPを0.5,1.5mgおよび高濃度BMPを0.5,l.Omg配合し、

対 照 群 はBMPを 含 ま な い 改良FCM1を 骨 欠 損中 央の露 出根 面から 残存歯槽骨面上に移植した。なお非移植群は移植せず手術のみを行 っ た 。 移 植 5週 後 に ト 殺 し 、 病 理 組 織 観 察 を 行 っ た 結 果 、   非移植群、対照群、S3 00BMP0.5,1.5mgおよび高濃度BMP0.5mg を移植した部位には、骨の新生はみられなかった。しかし、高濃度 BMPl.Omg移植部位には、移植材とほぼ同じ形態に新生骨が形成さ れていた。これは適切な濃度と量のBMPを配合した改良FC Mlを移 植すれば、水平性骨欠損でも、歯冠側方向への骨新生が可能である ことを示唆していると考えられる。

  新生骨と露出根面との付着状態を詳細に観察すると、根面のノッ チ部では、セメント質が新生し新生骨との間に線維が垂直に走行し、

新生骨と歯根の問に歯根膜が再生しいた。これは移植時に移植材と 根面との問にスベースが生じていたためと思われる。一方、ノシチ より歯冠側で移植材を根面に直接接触させた部分でtま、新生骨と歯 根面とが癒着していた。このことから移植材と根面との問に適度な スベースを確保して移植すれば、歯槽骨、セメント質および歯根膜 の再生が可能であると考えられた。

(7)

  非移植群と対照群でtま、歯槽骨とセメシト質の再生はみられなか っ た。 一方 、実験群のS300BMP0.5.1.5 mg移植部および高 濃度 BMPO.5mg移植部では、骨の新生はみられなかったが、移植材に対 応する根面 にセメント質の再 生が観察された。このことは、BMP がセメント質の再生にも影響する可能性があることを示唆するもの と考えられる。

  主査ならびに副査は本論文提出者に対し論文の概要の説明を求め、

次に本研究の内容ならびに関連のある質問を行った。これらの試問 に関して学位申請者から適切な回答が得られた。本研究は、歯周組 織 の再生が最も困難 とされる水平性骨欠 損部でも、BMPを応用す ることにより歯槽骨が再生される可能性を示唆し、さらに移植手術 時に、移植材と根面との岡に適切なスベースを作ることによルセメ ン ト 質を 含む 歯 根膜 を再 生 でき る可 能性を示唆した点 、さらに BMPはセメント質形 成にも影響する可 能性があることを 示唆した 点が高く評価された。これらのことは歯科医学の発展に十分貢献す るものであり、博士(歯学)の学位授与に価するものと認められた。

参照

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