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不溶性高分子担持型Rh (II )錯体の創製と 分子 内不 斉 C ― H 挿入反応への応用

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Academic year: 2021

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     博士(薬学)竹田幸司 学位論文題名

不溶性高分子担持型Rh (II )錯体の創製と 分子 内不 斉 C ― H 挿入反応への応用

学位論文内容の要旨

  Rhユ(OAc)。に代表されるロジウム(n)錯体は、a―ジアゾカルボニル化合物を速や か にジ アゾ 分解 して ロジ ウム(n)カルベン中間体を生成し、C・IH挿入反応をはじ め と す る 多岐 にわ たる 反応 を媒 介す る。 当研 究室 では これま でに 光学 活性N‑フ タ ロイルアミノ酸を架橋配位子として組み込んだロジウム(n)錯体を創出し、様々 なaージアゾカルボニル化合物を基質とする不斉触媒反応で高いエ・ナンチオ選択性 を 実現 して いる 。し かし 、均 一系触媒反応において非常に高価なロジウム錯体の 使 用、 金属 の生 成物 への 浸出 、錯体の回収・再利用がしばしば困難であることな ど が問 題と なる 。こ れら の問 題に対する解決策のーっとして、固相への錯体の担 持 が挙 げら れる 。固 相触 媒を 用いることで、反応生成物の分離を容易にし、触媒 の 回収 ・再 利用 が可 能と なる 。これまでにいくっかのグループにより不溶性高分 子 担持 型不 斉ロ ジウ ム(iD錯体 が開 発さ れて いる が、 触媒 活性、選択性、再利用 回 数、 浸出 等に 改善 の余 地を 残している。既存の不溶性高分子担持型不斉ロジウ ム(n)錯体は、樹脂上に配位子を担持した高分子配位子とロジウム(II)錯体の配位 子 交換 反応 によ り調 製し てい るため、触媒部位が樹脂の表面に集中し易い。従つ て 、樹 脂内 部に 取り 込ま れた 基質と錯体触媒の接触が損なわれ、反応性が低下す る一因となっている。今回筆者は樹脂内部にRh2(S̲Prl`TL)4を担持した不溶性高分 子 担持型Rh2(S‑PI`TL)4を創製し、分子内不斉C‑H挿入反応への適用を検討した。

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  筆者 は高 分子 内部 に配 位子 を導入した高分子配位子を配位子交換反応に付すこ と で、 樹脂 内部 に取 り込 まれ たロ ジウム(iD錯体 の担 持率 が向上すると考えた。

ま ず、 スチ レン 、単 量体 配位 子、自由度の高い架橋剤の共重合反応を行い、高分 子 内部 に配 位子 を担 持し た高 分子配位子を調製した。元素分析における窒素原子 の 含有 量か ら、 高分 子配 位子 の組成は、反応に使用した単量体の比を反映してい る こと が判 明し た。 本高 分子 配位子は自由度の高い架橋構造により、種々の有機 溶 媒に 対し て優 れた 膨潤 性を 示した。次に、クロロベンゼン中、高分子配位子と Rh2(S‑PI`TL)4の配位子交換反応を行い、第一世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PTTL)4 を 調製 した 。本 反応 は平 衡反 応で あるた め、1当 量のRh2(S‑PTTL)4を用い、同様 の 配位子交換反応を二回行った。第一世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PI'TL)4の組 成 を元 素分 析に おけ る窒 素原 子および金属ロジウムの含有量から決定し、71%の 導 入率 でロ ジウ ム(iD錯体 が担 持さ れて いる こと が判 った 。この結果はクロロベ

(2)

ンゼンに対して高い膨潤性をもつ高分子配位子がロジウム錯体を取込み、樹脂内 部でも 配位子交換 反応が進行したことを示唆している。不溶性高分子担持型 Rh2(S‑PTTL)4の性能を評価するため、D→ベンジルオキシフェニルジアゾ酢酸エス テルの分子内不斉C−H挿入反応への適用を試みた。錯体を2 mol%用い、‑60°C で反応を行った場合、Rh2(S‑PTTL)4と比較して反応時間が延長したものの、シス 選択的、且つ均一系と同等の不斉収率で環化体が生成した。この結果から、今回 の担持方法はロジウム(II)錯体の不斉反応場にほとんど影響を与えていないと考 えられる。また、錯体の回収・再利用を検討し、収率、不斉収率を損なうことな く15回の繰り返し使用を達成した。

2:笠三堂岱丕溶世高金壬担撞型Rlh(S‑PI'TL)4 Q創製と金壬白丕査垈堂捶△厘広 全Q広周

    第一世代不溶性高分子担持型Rh2(S̲PrI`TL)4は、高分子配位子にRh2(S‑

Pl'TL)4を担持する方法で調製したため、未反応の配位子が一部存在している。

ロジウム(II)カルベン中間体は高い求電子性を示すため、遊離カルボキシラー ト配位 子の存在は 不溶性高分子担持型Rh2(S‑PrTL)4の適用系拡張の妨げとな りうる。筆者は、あらかじめ単量体ロジウム(II)錯体を調製し、共重合反応に 付すことで、理論的には遊離カルボキシラート配位子が存在しない、第二世代 不溶性高分子担持型Rh2(S‑PI丶TL)4の創製を試みた。まず、Rh2(S‑PTTL)4とN‑4− ヒドロキシフタロイル‑S‑tert‑ロイシンの配位子交換反応により、四っの配位子 のうち、一つの配位子が交換した錯体を調製し、末端スチリル基をもっアルキ ルブロミドとのアルキル化反応を行うことで単量体ロジウム(iD錯体を合成し た。次に、スチレン、単量体ロジウム(II)錯体、架橋剤の共重合反応を行い、

第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PI`TL)4を調製した。高分子錯体の組成は、

元素分析における窒素原子および金属ロジウムの含有量から、共重合反応に使 用した単量体の比を反映していることが判った。そこで、第一世代および第二 世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PTTL)4の触媒活性を比較検討した。両錯体を2 molワ。の用い、178゜CでD―ベンジルオキシフェニルジアゾ酢酸エステルを基質 とした分子内不斉C・−H挿入反応を行った場合、反応完結に長時間を要するも のの、いずれも完璧なシス選択性、且つ均一系と同等の不斉収率で環化体が得 られた。この結果は、単量体ロジウム(n)錯体の共重合反応を経る担持方法が 母型錯体の不斉反応場を保持していることを示唆している。第一世代と比較し て、第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S̲Prl`TL)4は反応時間を短縮し、より高 い収率で環化体を与えた。両錯体のトルエンに対する膨潤性がほば同程度であ ることから、ロジウム(n)錯体の架橋高分子内部への担持率の向上が反応性の 差に寄 与している ことを示している。また、160°Cで第二世代不溶性高分子 担持型Rh2(S‑PI'TL)4の回収・再利用を検討した結果、収率、不斉収率を損な うこと なく第一世 代を用いた場合と同じ15回の使用が可能であった。第二世 代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PI`TL)4は他のジアゾ基質にも適用可能であった。

2 moI%の錯体存在下、c卜ジアゾエステルの分子内不斉C―H挿入反応を行った 場合、完璧なシス選択性、且つ同等の化学選択性およぴ不斉収率を示した。さ らに、本反応系で第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑PI'TL)4は、収率、選択 性、お よび不斉収 率を損なうことなく20回の使用が可能であった。第二世代 不溶性高分子担持型Rh2(S―P11TL)。の組成を、誘導結合プラズマ原子発光分析

(3)

(ICP‑AES)により確認した結果、元素分析の結果とほば―致し、今回の調製法 で遊離のカルボキシラート配位子が存在しない、不溶性高分子担持型ロジウム (n)錯体を供給できることが明らかとなった。さらに、樹脂断面の任意の3点 における金属ロジウムの分布をX線分析機付走査型電子顕微鏡(EDS/SEM)に より測定し、ほば均一にロジウム錯体が担持されていることが判明した。

(4)

学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 准教授

橋 本 俊 一 佐 藤 美 洋 齋 藤    望 中 村 精 一

学 位 論 文 題 名

不 溶性 高分 子担 持型 Rh ( H )錯体の創製と 分 子 内 不 斉 C − H 挿 入 反 応 へ の 応 用

  本 論 文 は 不 溶 性 高 分 子 担 持 型Rh(II)錯 体 の 開発 と 分 子内 不 斉C― .H挿入 反 応 へ の 応 用 に 関 す る も の で あ る 。 不 斉Rh(II)錯 体 の固 相 へ の担 持 は 、反 応 生 成物 の 分 離 を 容 易 に し 、 触 媒 の 回 収 ・ 再 利用 を 可 能と す る 。こ れ ま でに い く っか の グル ー プ によ り 固 相 ロジ ウ ム(II)錯体 が 開 発さ れ て いる が 、 触媒活 性、選択 性、

再 利 用 回 数 、 浸 出 等 に 改 善 の 余 地 を 残 し て い る 。 既 存 の 固 相 ロ ジ ウ ム(n)錯 体 は 、 樹 脂 上 に 配 位 子 を 担 持 し た 高 分 子配 位 子 とロ ジ ウ ム(II)錯 体 の 配位 子 交 換 反 応 に よ り 調 製 し て い る た め 、 樹 脂 内部 に 錯 体を 担 持 する こ と が困 難 で ある 。 従 っ て 、 樹 脂 内 部 に 取 り 込 ま れ た 基 質と 錯 体 触媒 の 接 触が 損 な われ 、 反 応性 が 低 下 す る 一 因 と な っ て い る 。 今 回 筆 者は 、 樹 脂内 部 にRh2(S‑PTTL)4を担 持 し た 不溶 性 高 分子 担 持 型Rh2(S‑PITL)4を 創 製 し、 分 子 内不 斉 く ニ‑H挿入 反応への 適 用を 検 討 した 。

  筆 者 は 、 高 分 子 内 部 に 配 位 子 を 導 入 し た 高分 子 配 位子 を 配 位子 交 換 反応 に 付 す こ と で 、 ロ ジ ウ ム(II)錯 体 の 担 持 率 が 向上 す る と考 え た 。ま ず 、 スチ レ ン 、 単 量 体 配 位 子 、 自 由 度 の 高 い 架 橋 剤 の共 重 合 反応 を 行 い、 高 分 子内 部 に 配位 子 を 導 入 し た 高 分 子 配 位 子 を 調 製 し た 。本 高 分 子配 位 子 は自 由 度 の高 い 架 橋構 造 に よ り 、 種 々 の 有 機 溶 媒 に 対 し て 優 れた 膨 潤 性を 示 し た。 次 に 、高 分 子 配位 子 Rh2(S‑Pl'TL)4の 配 位 子 交 換 反 応 を 行 い 、 第 一 世 代 不 溶 性 高 分 子 担 持 型 Rh2(S‑PTTL)4を 調製 し た 。本 反 応 は平 衡 反 応で あ る ため 、1当量 のRh2(S‑Pl'TL)4 を 用 い 、 同 様 の 配 位 子 交 換 反 応 を 二 回行 っ た 。本 錯 体 の組 成 を 元素 分 析 にお け る 窒 素 原 子 お よ ぴ 金 属 ロ ジ ウ ム の 含 有 量 か ら 決 定 し 、71%の 導 入 率 で ロジ ウ ム (n)錯 体 が 担 持 さ れ て い る こ と が 判 っ た 。 不溶 性 高 分子 担 持 型Rh2(S‑PI'TL)4 性 能 を 評 価す る た め、D― ベン ジ ル オ キシ フ ェ ニル ジ ア ゾ酢 酸 エ ステ ル の 分子 内

(5)

不斉C−H挿入反応への適用を試みた。錯体を2 moIワ。用い、―60°Cで反応を行 った 場合、Rh2(S‑Pl'TL)4と比較して反応時間が延長したものの、シス選択的、

且つ 均一 系と 同等 の不斉 収率 で環 化体が生成した。この結果から、今回の担持 方法 はロ ジウ ム(II)錯体 の不 斉反 応場にほとんど影響を与えていないと考えら れる 。ま た、 錯体 の回収 ・再 利用 を検討し、収率、不斉収率を損なうことなく 15回の繰り返し使用を達成した。

  次 に筆 者は 、あ らかじ め単 量体 ロジ ウム(n)錯体を 調製 し、 共重合反応に付 すこ とで 、理 論的 には遊 離カ ルポ キシラート配位子が存在しない、第二世代不 溶性 高分子担持型Rh2(S‑PI'TL)4の創製を試みた。まず、Rh2(S‑PTTL)4と〃―牛 ヒドロキシフタロイル―ぷセヵ‐ロイシンの配位子交換反応により、四つの配位子 のう ち、 一っ の配 位子が 交換 した 錯体を調製し、末端スチリル基をもっアルキ ルブ ロミ ドと のア ルキル 化反 応を 行うことで単量体ロジウム(II)錯体を合成し た。 次に 、ス チレ ン、単 量体 ロジ ウム(II)錯体、架橋剤の共重合反応を行い、

第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑Iyl`TL)4を調製した。高分子錯体の組成は、

元素 分析 にお ける 窒素原 子お よび 金属ロジウムの含有量から、共重合反応に使 用し た単 量体 の比 を反映 して いる ことが判った。そこで、第一世代および第二 世代 不溶 性高 分子 担持型Rh2(S‑PTTL)4の触 媒活 性を 比較 検討 した。両錯体を2 mol% 用い 、178°CでD― ベン ジル オキシフェニルジアゾ酢酸エステルを基質と した分子内不斉くニ・lH挿入反応を行った場合、反応完結に長時間を要するもの の、 いず れも 完璧 なシス 選択 性、 且つ均一系と同等の不斉収率で環化体が得ら れた 。こ の結 果は 、単量 体ロ ジウ ム(iD錯 体の 共重合 反応 を経 る担持方法が母 型 錯 体 の 不斉 反 応 場を 保持 して いるこ とを 示唆 して いる 。第 一世 代と 比較 し て、第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑VL ̄TL)4は反応時間を短縮し、より高い 収率 で環 化体 を与 えた。 両錯 体の トルエンに対する膨潤性がほぼ同程度である こと から 、ロ ジウ ム(II)錯体 の担 持率の向上が反応性の差に寄与していること を示している。また、‑60 0Cで第二世代不溶性高分子担持型Rh2(S‑IyI`TL)4の回 収・ 再利 用を 検討 した結 果、 収率 、不斉収率を損なうことなく第一世代を用い た 場 合 と 同 じ15回 の 使 用 が 可 能 で あ っ た 。 第 二 世 代 不 溶 性 高 分 子担 持 型 Rh2(S‑PTTL)4は他のジアゾ基質にも適用可能であった。2niolワ。の錯体存在下、

Q―ジ アゾ ェス テル の分 子内 不斉C―H挿入 反応 を行っ た場 合、 完璧なシス選択 性、 且つ 同等 の化 学選択 性お よび 不斉収率を示した。さらに、本反応系で第二 世代 不溶 性高 分子 担持型Rh2(S‑PTTL)4は、収率、選択性、およぴ不斉収率を損 なうことなく20回の使用が可能であった。

  以 上 筆 者 は 、 樹 脂 内 部 に ロ ジ ウ ム 錯 体 を 担 持 し た 不 溶 性 高 分 子担 持 型 Rh2(S‑PTTL)4を創 製し、 分子 内不 斉C―H挿入反応に適用した。本研究により得 られ た結果は、固相担持型ロジウム(n)錯体の開発の一助となるものと考えられ る。

  従って、審査委員会は竹田幸司氏の論文が博士(薬学)の学位を受けるのに十 分値するものと認めた。

    ―63―

参照

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