【「幾年
い く と せも」と「永遠
えい えんの記憶
き お く」】
日本正教会のどこの教会でも歌われてい る聖歌として「幾年も」と「永遠の記憶」があり ます。「幾年も」は生存者のために、「永遠 の記憶」は死者のために歌われるものです が、いつ頃から日本語で歌われるようになっ たのでしょうか。 感謝祈祷やパニヒダは聖 歌隊が歌う頻度が高いご 祈 祷 で す か ら、「主、憐 れ めよ」が函館で歌い始めら れたように、これらの日本 語聖歌も函館から始まった かと思いきや、聖ニコライ の日記を見ると、意外と遅 い時期であることが判ります。 「幾年も」は、1889(明治22)年に東京で歌 われ始めました。聖ニコライの日記には次 のように書かれています。 「ムノーガヤレータ」は「幾年も」と訳すこと にした。これを提案したのはパウェル中井 で あ る。……リ ヴ ォ フ ス キ ー が 採 譜 し た」 (1889年1月26日、東京)。 一方、「永遠の記憶」については、聖ニコ ライは日記 の中で 次のよ うに書 いて いま す。 「アルセニイ師の司祷は とても良かったし、聖歌も 悪 く な か っ た。日 本 語 で 『永遠の記憶』と唱和され るのを日本で初めて聞い た。東京でもそろそろこれ をパニヒダで唱和する必要 があるだろう」(1891年7月 27日、福山)。 「福山」と聞くと、本州では殆どの人が本 州の「福山」だと思うのですが、この「福山」2015年10・11月 第44号
発行者:函館ハリストス正教会 長司祭ニコライ・ドミートリエフ 〒040-0054 函館市元町3-13 TEL(0138)23-7387/FAX (0138)23-7939 URL http://orthodox-hakodate.jp 編集者:会報編集委員会 郵便振替 02660-5-1721函館
ハリストス正教会
- 1 -― 聖歌について(5) ―
▲ 初秋の函館復活聖堂- 2 - 啓 蒙 記 事 は北海道松前地方の福山なのです。函館 を中心とする道南には、早くから正教会の 教会が沢山ありました。現在でこそ函館正 教会と上磯正教会の二教会ですが、明治 期には、その他に瀬棚、寿都、黒松内、江 差、福山、岩内などに正教会があったので す。この日記は、聖ニコライの北海道巡回 の時のものです。 「アルセニイ師」とは、修道司祭アルセニイ (ティモフェーエフ)師で、信徒の間ではあ まり 記憶 さ れて いな いの です が、1890年から1892年の間、函 館復活聖堂の管轄司祭だった 神父さんです。後にロシアに帰 国し、ヴラジーミル・ヴォルィン スク教区の主教となりました。 話を元に戻しましょう。 聖ニコライは、1891年に福山 で初めて「永遠の記憶」が日本 語で歌われているのを聴いたと いうことですから、函館ではそ れより前に歌われていた可能 性がありますが、いつ頃からという年号は判 りません。 「Многая ム ノ ー ガ ヤ лета レ ー タ 」を和訳した「幾年も」は、 詠隊教師リヴォフスキーが楽譜に起こすま でなかなか歌われなかった(歌いにくかっ た)のに対し、「Вечная ヴ ェ ー チ ナ ヤ память パ ー ミ ャ チ 」を和訳し た「永遠の記憶」は、そのような手間もなく、 聖ニコライが知らない間にも人口に膾炙し ていったのには理由があります。 母音の数を数えると「Многая ム ノ ー ガ ヤ лета レ ー タ 」は、 5音節で「幾年も」も5音節ですから、一見 すると「Многая ム ノ ー ガ ヤ лета レ ー タ 」の旋律は、直ぐに 「幾年も」で歌えるように思えます。しかしよ く見ると「Многая ム ノ ー ガ ヤ лета レ ー タ 」は3音節の単語と 2音節の単語から成っているのです。従っ て旋律も単なる5音節の感覚ではなく、「3 音節+2音節」の感覚で付けられているた め、「Многая ム ノ ー ガ ヤ лета レ ー タ 」に付けられている旋 律で「幾年も」を歌おうとすると無理がある のです。 そ れ に 対 し て「 Вечная ヴ ェ ー チ ナ ヤ память パ ー ミ ャ チ 」と「永 遠 の 記 憶」は、 楽譜に起こすまでもなく、簡単 に原語とほぼ同じ旋律で違和 感なく歌うことができます。何故 そうなるかというと、「永遠の」+ 「記憶」というように、原語と同じ ように日本語を二単語に分ける ことができることと、「ん」(「えい え ん」の「ん」)を 教 会 ス ラ ブ 語 の「н」(子音)と同じように扱い、これに音符 を ふ らな い(歌 わな い)こと がそ の理 由と なっています。 このように原語の旋律に訳語をあてはめ ていく音楽的な作業(編曲)を、ロシア語で 「переложение ペ レ ロ ジ ェ ー ニ エ 」と言います。原語を翻訳 す る 言 語 的 な 作 業 は、ロ シ ア 語 で「 перевод ペ レ ヴ ォ ー ト 」と言います。どちらも伝道初期 においては欠かすことのできない重要な仕 事です。〔次号に続く〕 (S.Y.) ▲ 修道司祭アルセニイ (ティモフェーエフ)師
- 3 - で き ご と
「
2015年度函館ハリストス正教会信徒総会」
7月26日(日)、「2015年度函館ハリストス正教会 信徒総会」が行われた。先ずは過ぎし前年度の 活動、収支、消息などを振返り、次に今年度の 活動に向けて心構えを新たにした。 社会的な高齢化・過疎化という波は、教会にも 例外無く及んでいるが、この厳しい状況の中で、 信徒たちは結束する力をより堅固なものとしてい るように思える。何を行うにしても、皆が気持ちを一つにしなければ何も始まらない。しかし、 ひとたび皆の気持ちが一つになれば、主・神は私たちが予想だにしなかったような“見ゆると 見えざる”成果を与えてくれるものである。 2016年は、現在の二代目函館復活聖堂100年記念の年となり、教区会議函館開催など関 連行事が行われる。また2016年3月の北海道新幹線開業に伴い、観光面での新たな対応が 既に始まっている。 ▲ 信頼と理解の心をもって「キャンプだホイ!
2015 in 道南」
▲ ▲ 感謝祈祷後の全体写真(キャンプ三日目) ▲ ▲ 「 道 南 へ よ う こ そ ! 」 上 磯 の 皆 さ ん と 感 謝 祈 祷 7月28日(火)~30日(木)、大沼湖畔にある北海道立青 少年体験活動支援施設「ネイパル森」にて、北海道ブロッ ク主催夏恒例の「キャンプだホイ!」が行われた。今年は 函館が当番教会。函館・上磯の多くの信徒が奉仕を行 い、本州や道内の諸教会からの参加者を迎えた。ホスト側 として反省すべき点も多々あったが、それでも皆で協力し て何とか楽しく過ごせてしまうのが、キャンプの良いところ。 来年は道東上武佐で会いましょう!- 4 - で き ご と
山上大神宮訪問
2015年第2回イースターエッグ講習会
9月2日(水)、函館ハリストス正教会管轄司祭ニコライ神父が、山 上大神宮(やまのうえだいじんぐう/函館市船見町)を訪問し、澤 辺益美宮司と懇談した。 函館ハリストス正教会と山上大神宮には深い縁があるのだが、そ のできごとが両者にとってわだかまりのようなものとなり、近隣に居 ながら今日までこれといった交流もなく100余年の歳月が流れた。 山上大神宮は1874(明治7)年以前は神明社(しんめいしゃ)と言 い、八第目宮司澤辺琢磨は、当時在箱館ロシア帝国領事館附属 聖堂の管轄司祭であった聖ニコライとの出逢いがきっかけとなり、 1868年に正教の洗礼を受けた最初の日本人の一人だった。また、 自分の信条に熱心であった澤辺は、1875年に日本正教会最初の 司祭として叙聖されている。 このようなできごとがあったため、函館ハリストス正教会現管轄司祭のニコライ神父も山上大 神宮のことが気に掛かりながらも、お近づきになるきっかけを作ることができず、函館に着任 してから七年が経ったのだった。 今回、澤辺宮司の奥様の友人がニコライ神父との共通の知り合いであったため、その方の セッティングで訪問が実現した。 現在の14代目宮司澤辺氏は、白いお着物と紫色の袴で奥様と一緒に穏やかに出迎えて 下さり、函館ハリストス正教会からの訪問者らと、積もり積もった歴史上の諸事について話に 花が咲いた。澤辺氏は温厚な方で、「琢磨の生き方について賛同はできませんが、あの時 代〔江戸末期から明治初期〕に生きた一人の人間の複雑で熱い思いを理解することはできま す」と語った。また、ニコライ神父との談笑の中で「その昔のニコライ神父と出会った澤辺(琢 磨)の二の舞になりそう」などと冗談も飛び出した。懇談は、有意義で楽しくさえあった。 ▲ 第14代宮司澤辺益美氏 (右)とニコライ神父 9月26日(土)、27日(日)の両日、2015年第二回目の イースターエッグ講習会が行われた。近年では、市外 からの参加者が混じるのは珍しいことではなくなり、今 回も青森、室蘭、札幌からの参加者があった。また、講 習会の開会にあたって、ニコライ神父よりイースターエッ グについて、また聖書勉強会について話があった。敬 老 会
- 5 - で き ご と ▲ 〔2015年敬老会参加者〕 前列左から ソフィヤ村井幸枝姉、アンヴロシイ花野英 昭兄、セルギイ下田行孝兄、ニコライ神父、タイシヤ高井醇子姉、リディヤ中居寿子 姉/後列左から イリヤ吉川征悦兄、エレナ吉川君枝姉、マリヤ大谷孝子姉、エカテ リーナ門間郁子姉、ナデジダ高島昭子姉、エカテリーナ茂木由枝姉 9月20日(日)、主日聖体礼儀の後、敬老会感謝祈祷、続いて秋のパニヒダが行われ、その 後場所を信徒会館に移し、敬老会祝賀会が行われた。昨年に続きマトロナ藤村春恵姉が、 遊戯、歌、連想ゲームなどで参加者を楽しませた。今年は、諸般の都合で敬老会に出席で きない信徒の多くが返信はがき通信欄に近況を一筆書かれたため、敬老会の席上で披露し たが、この紙面において改めて紹介したい。(以下順不同) ◎折角のご案内ですが、老齢の身、失礼させていただきます。お陰様で変わりなく過ごし ております。皆様のご多幸を祈ります。(ウラジミル鈴木昭兄、アンナ鈴木陽子姉) ◎私は、足が不自由になりましたが、周囲の方々の手助けで穏やかに暮らしています。どう ぞ皆様も健やかにお過ごし下さい。(エウウーラ近藤智子姉) ◎膝関節が痛くて今治療中で早く治して参祷致したいと思っております。 (ナタリヤ西村栄子姉) ◎パウェル高島俊彦が病気がちなので欠席します。皆様の御多幸と御健康を祈っています。 (パウェル高島俊彦兄、ソフィヤ高島槇子姉) ◎夫が入院しましたのですみませんが行けなくなりました。よろしくお願いします。 (エレナ薄井さち子姉) ◎二人とも病気で出席出来ないので残念至極です。尚子は赤十字で病魔と戦っていま す。皆様に御伝え下さい。失礼いたしました。(イオアン関本博兄、ソフィヤ関本尚子姉) ◎皆様のご平安をお祈り申し上げます。(オリガ荻原ハル姉) ◎敬老会のご案内を受け、感謝申し上げます。(アキラ宮崎昭兄、アントニーナ宮崎ミツ子姉) ◎ご隆盛をお祈りいたします。( リディヤ森久子姉 96歳) 〔次頁へ続く〕その他のできごと
- 6 - で き ご と ◎函館恋しの毎日です。一カ月に一度は札幌の教会に参るようにしております。お逢いしたい、み なさんに… (ルキヤ西橋曜子姉) ◎主の御名により、ご平安をお祈り申し上げます。変わりなく暮らしております。 (モイセイ斎藤貞夫兄、ニーナ斎藤梅子姉) ◎皆様お元気でお過ごしでしょうか。何時の間にか初秋となりました。毎年の行事に何時も欠席致 しまして、申し訳なく思います。悪しからずご了承下さいませ。(腰痛の為)。 (アニシヤ鈴木和子姉) ◎祝う立場から逆になり、もうそんな年になってしまったの?と自分でもがっかりしてます。気持は45 ~55才のつもりでいますのに。アッと言う間ですね。後は何時お迎えが来てもいいように準備だけし ておきましょう。この年齢まで生かされて感謝です。(エリザヴェタ小畑牧子姉) 今年は敬老会総勢51名のうち、参祷者は11名だった。来年はさらに一人でも多くの敬老会信徒が 教会に来ることができるよう、健やかな長寿を祈念する。幾年も! 〔前頁より続く〕市民向けの聖書勉強会
9月17日(木)、市民向けの聖書勉強会第一回が行われ た。第二回は10月15日(木)、第三回は11月19日(木)の予 定。未信徒の友人、知人が正教会に興味を抱くよう、声掛け をしてみて下さい。日本サハリン協会来堂
9月7日(月)、サハリンに住む日本人の一時帰国 者たちが来堂した。彼らはロシア国籍で、今では日 本語を話せる人は殆どいない。自分たちのルーツで ある日本にロシア所縁の教会があることを知り、とて も親しみを感じたようであった。キリル高井秀樹兄が “ガンガン寺”の鐘で彼らをもてなした。トウモロコシ畑の草取り
連休中の9月22日(火)、函館の信徒有志が上 磯を訪れ、函館正教会バザーのために上磯正 教会信徒有志の育ててくれているトウモロコシ畑 の草取りをした。今年は1,000本(!)以上のトウ モロコシがバザーのために“出荷”される予定。- 7 -
〔洗礼〕
消 息
消 息〔永眠〕
▲イオアン・アルトゥホフ兄 (五か月) (7月26日) ▲ 笠原家 (9月21日)〔パニヒダ〕
▲ アントニイ水谷アルベルト兄 (六か月) (8月3日)〔婚配〕
▲ アンナ三上沙貴子姉 アファナシイ信平優作兄 (8月3日) ▲ ワシリイ中田哲雄兄 (9月21日)〔洗礼〕
〔洗礼〕
▲ アンナ三上沙貴子姉 アファナシイ信平優作兄 (8月2日)〔洗礼〕
〔洗礼〕
〔誕生〕
▲ イーリー落合新望 ニ ノ (2015 年5月16日生)/グレゴリイ・ イーリー輔祭とマトシカ・ペラ ギヤ落合美歩夫妻 長女 ▲ ミハイル・パノフ兄 (九か月) (9月13日) ▲ フェオドラ中田良子姉(78歳) (8月13日永眠/15日埋葬式)- 10 - お 知 ら せ / 上 磯 バザーの後片付け、信徒会館の清掃を行います。 特に男性信徒のご協力があると大変助かります。
【清掃奉仕のご案内 : 10月18日(日)、主日昼食会後】
婦人会より
お当番さん、宜しくお願い致します! ◎10月のお当番 … カテリーナ門間郁子姉、ソフィヤ落合京子姉 (昼食準備は10月4日、18日) ◎11月のお当番 … ペラギヤ南純子姉、マウラ大村くみ子姉 (昼食準備は11月1日、22日) 上 磯上磯ハリストス正教会だより
8月9日(日)、主日聖体礼儀後、野崎墓地に新し く建てられた大村家の墓において、イオアン大村冨士 雄兄(2015年5月30日永眠)の納骨が行われた。 ▲ 8月13日(木)、夏恒例の墓地祈祷が行わ れた。 ▲ 8 月13 日(木)、北見 に 在 住して い た モイセイ佐藤豊志雄兄の納骨が佐藤家の 墓において行われた。モイセイ兄はフォマ 佐藤正一郎兄の実弟。 ▲- 11 -
10月の奉事・行事予定
3(土) 函館 17:00 主日徹夜祷 福音経;イオアン63端20:1-10 4(日) 函館 10:00 五旬祭後第18主日聖体礼儀 第1調 使徒経;コリンフ後188端9:6-11/福音経;マトフェイ77端18:23-35 ※聖体礼儀の後、10月の聖名祭モレーベンを行います 13:00 信徒学びの会/婦人会 10日(土)、11日(日)ニコライ神父、上磯正教会出張 10(土) 上磯 19:00 主日晩課式 11(日) 上磯 10:00 主日聖体礼儀 函館 10:00 五旬祭後第19主日 代式祈祷 第2調 使徒経;コリンフ後194端11:31-12:9/福音経;ルカ17端5:1-11 12(月・祝) 函館 10:00 函館ハリストス正教会バザー 17(土) 函館 17:00 主日徹夜祷 福音経;イオアン65端20:19-31 18(日) 函館 10:00 五旬祭後第20主日聖体礼儀 第3調 使徒経;ガラティヤ200端1:11-19/福音経;ルカ26端6:31-36 13:00 バザー後の大掃除/執事会/聖歌練習 24(土) 函館 17:00 主日徹夜祷 福音経;イオアン66端21:1-14 25(日) 函館 10:00 五旬祭後第21主日聖体礼儀 第4調 使徒経;ガラティヤ203端2:16-20/福音経;ルカ30端7:11-16 31(土) 函館 17:00 主日徹夜祷 福音経;イオアン67端21:15-25 10月の奉事・行事予定日時:10月12日(月・祝)
午前10時~午後2時
2015年「函館ハリストス正教会バザー
【信徒会館】 物品コーナー:「雑貨」 「キリル陶房」「教会頒布品」 など 【信徒会館前】 食品コーナー:おしるこ・やきそば 焼き鳥・うどん・赤飯・ピロシキ ボルシチ・コーヒー・フランクフルト 野菜(上磯正教会より) 【聖堂】 午前11時・午後1時 ニコライ神父による 聖堂拝観雑貨物品受付中!
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