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Microsoft Word - 平成27年度千葉県教職員国際交流事業派遣報告

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平成27年度千葉県教職員国際交流事業派遣報告

「台湾との国際交流における高大連携について」

県立千葉東高等学校 横山 創 本校では、千葉大学・東京工業大学など複数の大学と高大連携を行っている。千葉大学 との連携においては、ツインクルプログラムにおける東南アジア教育交流やスキップワイ ズプログラムによるマヒドン大学(タイ)マレー大学(マレーシア)ドンナイ学園都市(ベ トナム)等との交流も模索している。千葉大学は、スキップワイズ BOOT「国立台湾大学短 期留学プログラム」があり、ASEAN における台湾との交流が具体化されている。本校とし ては、海外高校修学旅行の特別授業受け入れを実施しており、機会があれば少人数海外フ ィールドワークを高大連携の一環として海外派遣したいと考えている。 1 台湾の高大連携 台湾の大学は現在 172 校あり、約 140 万人の学生が 9 月始業 2 学期制で学んでいる。日 本同様少子化が進んでおり、大学全入時代、学力低下、理数離れ、大学院等の研究職離れ の問題が生じている。 台湾の入試制度は 2002 年より多元入学方法が導入され、2 月の「学科能力測験」を経て、 5 月の「統一入学測験」「推薦甄選」8 月の「聯合登記分発」によって進学先を決めている。 2013 年における日本から台湾の留学生は 750 人であり、目的の多くは華語の知識習得にあ る。台湾から来日する留学生は約 4700 人であり、理数・経済・教育系の知識の取得により 日本系企業への就職を考慮した目的が多い。台湾では大学生や大学院生の就職が難しくな っており、高校卒業後の就職や多国籍企業への就職希望が増加している。男子は 20 歳兵役 があり、過去の大学生兵役免除が卒業後の兵役義務に変わったことも要因の一つである。 今回の視察において、兵役は必ずしも軍隊だけでなく警察・消防・公務員なども含まれて いることがわかった。 台湾では 2006 年から「発展国際一流大学頂尖中心計画」が実施され、2016 年までに世 界大学トップ 100 位になり、2026 年までに世界のトップ 50 位以内の大学に入ることが目 標となっており、一部の優秀指定大学が国の助成を受けている。国立台湾大学が積極的に 交換留学を行うこともその目的の一つである。2015 年 QS 世界ランキングでは、国立台湾 大学 70 位、国立精華大学 155 位、国立交通大学 182 位、国立成功大学 224 位、国立科技大 学 260 位となっており、比較となる日本の大学は、京都大学 38 位、東京大学 39 位、東京 工業大学 56 位、大阪大学 58 位、東北大学 74 位、(千葉大学 551 位~600 位)となってい る。アジア全体の世界ランキングでは、シンガポール、中国、香港、韓国に上位校がある。

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台湾における高大連携は限られた学校でのみ実施されており、今回の視察先である桃園 市立南崁高級中学及び高雄市立林園高級中学での実績は無かった。新しく設置された大学 のオープンキャンパス体験授業はあるが、難関大学での高大連携は厳しい条件がある。 台湾における高大連携は、厳格な審査に基づき全国レベルでの成績優秀で日常生活での 態度が優れており賞罰記録・出席日数・将来計画などの審査に合格した生徒のみ選ばれ、 最近では定員を満たさないことも多いとのことである。米国の AP プログラムに似た制度で あり、国立付属高級中学や難関高級中学が指定されて実施している。今回の訪問先の地域 では台北市立建国高級中学・台北第一女子高級中学・高雄市立高雄高級中学・高雄女子高 級中学などが理数系優秀クラスを設置して数名がプログラムに参加している。千葉県立船 橋高校は SSH 事業として台北市立建国高級中学・台北第一女子高級中学と交流しており、 こうした少人数の目的別国際交流は台湾教育交流事業として重要な事業であり、本校とし ても機会を設けたいと考えている。 2 台湾における日本語授業について 1994 年から台湾では教育部が高級中学教育課程に試験的に第2外国語を導入している。 2000 年に 1 学期 47 高級中学 8,646 名、2 学期 47 高級中学 8,302 名の第 2 外国語として日 本語授業が行われたものが、2010 年には正式に第 2 外国語が開設され 1 学期 221 高級中学 34,858 名、2 学期 217 高級中学 31,501 名の日本語授業が行われるようになっている。 2008 年には第 2 外国語の能力が優れた生徒の能力の発展のため、複数の外国語学部を有 する大学において高校生が履修習得できる第 2 外国語預修課程を設置している。成績評価 については、公的試験が活用され合格すれば大学 4 単位の習得が証明される。2010 年には 13 大学 28 クラスが開設され 1,027 名(日本語合格者は不明)が公的試験に合格した。 台湾では日本統治時代の高齢者が日本語を話せることがガイドブックに書いてあるが、 こうした高齢者と会うことは日常生活の中ではあまり無い。むしろ街中にいる若者が日本 語を片言で話せることが多く、観光客が多い台北・桃園・高雄では市中の複数の店舗の店 員が日本語での会話が可能であることの理由の一つに第 2 外国語で日本語を履修している 生徒が多いことがあげられる。今回の視察においても、日本語で話しかけてくる生徒が多 く驚いたが、こうした生徒の多くは日本のアニメやアイドルに関心があり日本語を学ぶ動

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機になっているそうである。 台湾の英語教育は日本と同様にグローバル化を意識して行われている。日本では英語 4 技能として、「読む」「書く」「聞く」「話す」の授業が推奨されているが、台湾では「読む」 「書く」が中心であり、英語で教育交流を行うには難しい学校が多く日本の状況に似てい る。今後の台湾教育交流としては、「英語」「日本語」「華語」をマルチリンガルとして準備 していくことが求められる。大学での研究発表や研究機関では英語をベースとした内容で あるが、大学の授業は華語中心であり留学する場合には課題となる。研究レベルでの交流 や SSH や SGH における交流では、目的に応じたコミュニケーション手段を確保しなければ 成果を得ることが難しくなるので注意が必要である。 3 台湾とのスポーツ交流 台湾との交流で今後活発に行えることはスポーツ交流である。日中韓スポーツ交流は千 葉県でも数回開催され、相互の文化交流事業にも貢献しているが、台湾とのスポーツ交流 事業は少ない。台湾ではワールドクラシックが行われた野球を始め、ソフトボール、卓球、 陸上競技などが盛んに行われている。視察した桃園市立南崁高級中学でもハンドボール・ 陸上競技などに優れた能力の選手が在籍し、高雄市立林園高級中学では卓球や自転車競技 や陸上競技などに優れた能力の選手が在籍して全国大会で優秀な成績が修めている。 2017 年には、台北でユニバーシアードが開催されることもあり、高校・大学レベルでの スポーツ交流は千葉県と台湾の双方に利点があると思われる。視察時には、台北マラソン 2015 が台北市内で行われていた。年明けに開催される高雄マラソンとともに千葉アクアラ インマラソンとの交流事業はとても重要である。 本校は千葉県で最初に正課体育でラグビーが実施された歴史があり、戦前に日本の全国 大会で優勝経験のある台湾市立建国高級中学を始め、台湾ラグビー発祥の地である淡江高 級中学などのラグビー交流は永年の希望であり実現させたいと考えている。

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4 台湾との教育交流 今回の視察において、今後台湾との教育交流の可能性を考察・検証したのでいくつかの 可能性を示唆しておきたい。 (1)台湾の防災教育 台湾は日本と同様に地震や台風などの自然災害が多い国であり、様々な対策や取組が 行われている。避難訓練は国民学校では行われるが、高級中学では行われず代わりに国防 教育が重要な授業として軍人により行われている。防災教育としての自然科学研究や海洋 研究、防災技術としての耐震設計や自然災害発生時の自治体統制などは参考になる点が多 く、交流事業の主題としては特筆される。 (2)台湾の環境教育 台湾の主要交通手段はバイクであり、通勤時には多くのバイクが利用されている。バ イクの多くは日本製であり、駐車場がいらない安価な交通手段として当面台湾の交通事 情を支えていくと思われるが、排気ガスや騒音問題は東南アジアでの課題と同様である。 日本輸出産業としては、低燃費バイクや低排気ガス式バイクや電動式バイクなど新たな 提案の可能性を秘めている。また、日本の公害防止対策や安全な飲料水の浄化設備など 日本から輸出できる環境設備や環境教育の需要は特筆される。 (3)台湾とのオンライン交流 台湾の教育 ICT 環境は今回の視察により、かなり熱心に取り組まれていることが確認 できた。すべての台湾の学校で取り組みが進んでいるかは不明であるが、多くの教室に オーバーヘッドプロジェクター付きのホワイトボードやインターネット LAN 環境が整っ ているようである。日本では米国などに遅れているが、タブレットや ICT 機材の活用に よるアクティブラーニングが発展すると思われることから、こうした新しい教授法や ICT 活用技術を台湾の教育者と共有し、研究開発していく可能性は無限に広がっている。世 界中で広がりを見せている MOOC 等オンライン講座やスカイプ・ビデオ会議によるオンラ イン交流などを台湾教育者と合同で実施していくことも可能である。

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(4)台湾の特別支援教育 台湾においては軽度の障害者は通常学級で共に授業を受けている。障害の重い生徒は 特別支援学校に行くが、台湾全土に数校しかないだけでなく定員が決まっており、定員を 超すと入学できない。通常学級での支援は、支援員が市の教育部から1名程度派遣されて おり、学校関係者と協力して独自のカリキュラムを編成しており、できる限り健常者と同 様の授業が受けられるように配慮している。障害に関わる特別配慮が必要な生徒用の設備 や道具については市の教育部から支給される。台湾の特別支援教育は、発展途上の印象が 強く日本の特別支援教育機関との交流が必要であり、日本での特別支援教育や福祉教育の 学習希望者も多い。 (5)台湾の学期と時間割 台湾との教育交流で一番課題となるのが、交流時期の設定である。台湾は日本と同じ小 学校 6 年、中学 3 年、高校 3 年という教育制度であるが、新しい学年の始まりは 4 月では なく 9 月である。2 学期制で 9 月〜旧正月(2016 年は 2 月 7 日~2 月 14 日)までが 1 学期、 旧正月の休暇明け(2016 年は 2 月 15 日)〜6 月末までが 2 学期、7・8 月は夏休みとなる。 そのため台湾の学校では交流希望時期を 4 月・5 月又は 10 月を希望しているが、日本の高 校では 4 月は新学年がスタートしたばかりで準備が整わず、5 月はゴールデンウィークと 中間考査があり、受け入れや派遣が難しい時期となる。台湾も学期末試験時期の 12 月や 6 月は避けたい希望があり、交流時期となる 9 月・10 月は日本の文化祭や中間考査と重なる 時期となっており、学校間の日程調整が不可欠となる。 また、台湾の高級中学の日課は 8 時始業の 50 分 8 時限授業となっており、通常小学校は 7 時 50 分までに登校、中高は 7 時半までに校門をくぐらないと遅刻になる。台湾では朝自 習が習慣化していることに加えて、授業時間以外での朝晩の学校施設開放も盛んに行われ ており、朝は 7 時頃から夕方は 18 時頃に親の送迎風景が多く見られる。学校までの通学方 法の確保と学校の立地条件は、学校選択の重要な要件となっている。

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