福岡県配食サービス栄養管理ガイドライン
平成25年3月策定
平成27年3月改訂
福岡県保健医療介護部健康増進課
介護予防市町村支援委員会栄養改善部会
目 次
1 目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 高齢者の身体の特徴(食生活に関連のある部分) ・・・・・・・・・・・・・1 3 高齢者の食事の工夫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 4 食事摂取基準を活用した食事計画 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 5 献立の作成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 6 衛生管理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 7 その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 ※ 参考資料 ①口の体操説明図(一般社団法人福岡県歯科衛生士会) ・・・・・・・・・・7 ②日本人の食事摂取基準[2015 年版](70 歳以上)に対応した食品構成の例・・10 ③食事アセスメント票の例 (福岡県地域支援事業「栄養改善マニュアル H22.2 月改訂版」から抜粋)・・11 ④大量調理施設衛生管理マニュアル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 ⑤献立表の様式例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 ⑥一般高齢者の食事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38 ⑦高齢者向けおすすめレシピ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 39 ⑧食事療法用宅配食品等栄養指針について (H21.4.1:厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)・・・・・・・ 42 ⑨配食サービスの委託基準について ~平成23年度に福岡県(健康増進課)が行った 公的配食サービス実態調査の結果から、実際に掲載されていた内容の紹介~・・・46 ⑩高齢者の食事摂取基準 (「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」策定検討会報告書から抜粋)・・・・471 目的 急速な高齢化社会が進行し、高齢者のみの世帯や一人暮らしの高齢者等が増加している。 このような中、在宅高齢者に対する食生活支援として行われている配食サービスが、健康・ 栄養学的に適正に提供されるよう栄養管理ガイドラインを定めることにより、高齢者等を 対象とする在宅配食サービスの向上を図ることを目的とする。 2 高齢者の身体の特徴(食生活に関連のある部分) 高齢者は、加齢に伴う身体の機能の低下、疾病や傷害の保有率の増加や、個人差が大き くなることから、食事を摂るという能力も衰えてくることが多い。そこで、配食サービス を実施する事業者(以下事業者という。)は、下記のような高齢者の身体の特徴を理解し、 食べやすい食事を提供するように努めること。 (1)味覚や臭覚、視覚の機能低下により、嗜好が変化したり食欲の低下につながる。 ⇒特に味覚が鈍くなり、濃い味付けを好むようになるので薄味に心がける。 ⇒季節感、盛り付け、臭覚視覚を刺激する調理や言葉かけ等が必要である。 (2)飲み込む力が低下したり、唾液の分泌が減少するため、誤嚥(ごえん)しやすくなる。 ⇒飲み込む力の低下を防ぐため、口の周囲の筋力を維持向上させる体操や、唾液の分 泌を促す体操を食前に行うのも効果がある。 *参考資料①:「口の体操1(口唇・舌)」「口の体操2(口唇・頬)」「唾液腺マッサー ジ」の説明図 (3)腸の動きが低下し便秘や下痢がおこりやすくなる。 ⇒野菜不足に留意する。 水分摂取が重要である。 (4)骨粗鬆症のため、骨がもろくなり骨折しやすくなる。 ⇒日光浴、運動、体操をする。カルシウム摂取を心がける。 (5)歯周病や歯の欠損及び義歯のため、噛み砕く力が低下する。 ⇒調理は切り方や軟らかさなど、工夫をする。 (6)日常の活動量や食事の摂取量が低下する。 ⇒低栄養になりやすいので、急激な体重の減少に留意し、少量でも栄養価の高い食品 を用いるなどの工夫をする。 (7)加齢とともに疾病を伴いやすい。 ⇒利用者の疾病の状況に配慮した献立が求められる。 (8)消化液の分泌が減少し、消化吸収能力が低下する。 ⇒脂肪分の多いものや消化の悪いものは控える。 1
3 高齢者の食事の工夫 高齢者の食事は、楽しんで食べられる食事であること、食事のリズムから1 日の生活 のリズムを整えること、また、低栄養に気をつけること等が大切である。また、飲み込 む力や噛む力が低下していることに留意し、調理の工夫に配慮が必要とされる。 (1) 高齢期の食事のポイント ・1 日3食、バランス良く食べる。 ・たんぱく質を十分にとる。 ・食塩をとり過ぎない。 ・水分の不足に気をつける。 1 日に大きめの湯呑み5杯程度(食事時に 1 杯を3回と食時と食事の間で2杯) のお茶を飲むようにする。 ・食べやすくするため、切り方、大きさ、軟らかさなど調理方法を工夫する。 *参考資料 実際には、上に詰める <低栄養を予防し老化を遅らせるための食生活指針> *低栄養予防ハンドブック(厚生労働省・地域ケア政策ネットワーク)から抜粋 1.3食のバランスをよくとり、欠食は絶対さける 2.油脂類の摂取が不足しないように注意する 3.動物性たんぱく質を十分に摂取する 4.肉と魚の摂取は1:1程度の割合にする 5.肉は、さまざまな種類を摂取し、偏らないようにする 6.牛乳は、毎日200ml以上飲むようにする 7.野菜は、緑黄色野菜、根菜類など豊富な種類を毎日食べる 8.食欲がないときには、特におかずを先に食べ、ごはんを残す 9.食材の調理法や保存法を習熟する 10.酢、香辛料、香り野菜を十分にとり入れる 11.調味料を上手に使い、おいしく食べる 12.和風、中華、洋風とさまざまな料理をとり入れる 13.会食の機会を豊富につくる 14.噛む力を維持するために、義歯は定期的に点検を受ける 15.健康情報を積極的に取り入れる 2
4 食事摂取基準を活用した食事計画 事業者は、適正な献立の作成のため、次の(1)から(5)の事項について、1 日の栄 養基準を定めておくこと。また、1 日に2食または 1 食のみ提供を行う場合は、1 日の栄 養基準のうち、それぞれの栄養量等がその栄養基準の3分の2又は3分の1となること。 *参考資料②:日本人の食事摂取基準[2015 年版]に対応した一般高齢者(70 歳以上) の食品構成の例 (1)日本人の食事摂取基準[2015 年版]の高齢者(70 歳以上)の食事摂取基準を参考と し、対象者の性、年齢、身体活動レベル等を考慮して栄養基準を決める。 *参考資料③:食事アセスメント票の例 (2)三大栄養素 たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー比は、次のとおりとする。 たんぱく質 13%~20%の範囲内で適量 脂質 20%~30%の範囲内で適量 炭水化物 50%~65%の範囲内で適量 (3)ビタミンおよびミネラル 日本人の食事摂取基準[2015 年版]の高齢者(70 歳以上)の食事摂取基準を参照する。 (4)食塩相当量 1 日あたり男性 8g 未満、女性 7g 未満とする。 (5)動物性脂質と植物性脂質について 脂質は、植物性由来、魚油由来、動物性由来の食品をバランスよく組み合わせる。 5 献立の作成 (1)栄養基準に基づいて作成されていること。 (2)食品構成は、食品に偏りがなくバランスのとれた配分とすること。 (3)献立の栄養量は、おおむね1 週間の平均が栄養基準を満たすように配慮すること。 (4)変化に富んだ献立であること。 3
(5)食品材料の種類は、次のとおりであること。 ① 多様な食品を組み合わせること。 ② 野菜は1 日 350g 以上を目標とし、そのうち緑黄色野菜を 120g 以上とすること。 ③ 季節感をとりいれた素材を盛り込むこと。 ④ 食塩含有量が多い食品は避けること。 ⑤ 日常入手しやすい食品を利用すること。 (6)献立表には、次の事項を記載すること ① 献立名 ② 材料名、使用量、調理方法 ③ 栄養量 エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン A、ビタミン B1、ビタミン B2、ビタミンC、カルシウム、鉄、ナトリウム(食塩相当量)、食物繊維 (少なくともエネルギー、たんぱく質、食塩相当量については記載する。) なお、上記の栄養素については、食品成分表に基づき栄養量を算定すること。 (7)献立作成者は、栄養管理について知識経験を有する管理栄養士・栄養士が望ましい。 6 衛生管理 施設・設備、調理器具、従事者の衛生管理及び食品等の取り扱いなどについては、次の ことを参考にする。 (1)施設、設備の衛生管理 ① 施設、設備は、定期的に清掃し、清潔を保つこと。 ② 施設は、換気、照明、採光に十分留意し、必要に応じて温度及び湿度の管理を行う こと。 ③ 調理室は、ネズミや昆虫等の進入を防ぐ設備を備えるとともに、定期的な駆除を行 うこと。 ④ 調理室は、手洗い設備を備え、洗浄剤、爪ブラシ、ペーパータオル、消毒液等を備 えること。 ⑤ 便所は、消毒液を備えた手洗い設備を備えること。 ⑥ 食品保管庫、冷凍冷蔵庫などは整理整頓をし、定期的に清掃すること。 ⑦ 冷凍庫については-15℃以下、冷蔵庫は10℃以下(生鮮魚介類は5℃以下)で 管理すること。 ⑧ 使用水は、飲用適の水を用いること。 4
(2)器具、容器等の衛生管理 ① 器具や容器は、使用のつど、十分に洗浄、殺菌を行うこと。 ② 器具は、用途や原材料によってそれぞれ専用のものを使用すること(特に、包丁や まな板など)。 ③ 器具や容器は、衛生的に保管すること。 (3)従事者の衛生管理 ① 従事者は、自己の健康管理に十分注意すること。 ② 従事者は、嘔吐、下痢、発熱などの症状があった時、または手指等に化膿創があっ た時は、調理作業に従事しないこと(手指に傷がある場合は、耐水性の指サックまた は手袋を着用すること)。 ③ 従事者は、調理室では清潔な作業衣と髪の毛を完全に覆う帽子やマスク等を着用し、 爪は短くすること。 ④ 従事者は、作業前、用便後、未加熱又は未加工の原材料を取り扱った後、その他必 要に応じて、手指の洗浄及び消毒を十分に行うこと。 (4)食品等の取り扱い ① 食品等の仕入れにあたっては、品質、鮮度、品温、表示等について点検すること。 ② 原材料は、戸棚、冷蔵・冷凍設備に適切な温度で保存すること。 ③ 食品の保存にあたっては、相互汚染が生じないように区分すること。 ④ 仕入れた原材料は、速やかに調理・加工すること。 ⑤ 能力以上の調理を行わないこと。 ⑥ 食事時間を考えて、調理・加工を計画的に行うこと。 ⑦ 食品は、できる限り加熱調理すること ⑧ 加熱は、食品の中心温度が75℃で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそ れのある食品の場合は85~90℃で90秒以上)になるよう十分に加熱すること。 ⑨ 調理済み食品を室温で長時間放置しないこと。 ⑩ 調理後は、速やかに衛生的な容器に入れ、早めの喫食を促すこと(調理終了後から 2時間以内に喫食することが望ましい)。 * 利用者への注意事項として、次の点を徹底すること。 ア 配食された食事は早めに食べる イ 食べ残した食事を後で食べない 5
(5)検食の保存 検食は、万一、食中毒等の事故が発生した時、その原因を明らかにするとともに、再 発防止など適切な対応を講じるために重要な意味をもつ。 【検食の保存方法】 原材料及び調理済み食品をそれぞれ食品又は料理ごとに、50g程度ずつ清潔な容器 (ビニール袋等)に入れ、密閉し、-20℃以下で2週間以上保存する。 (6)配達中の衛生管理 ① 配達中の温度管理等、安全性を常に配慮すること ② 調理完了後2時間以内を目処に、利用者に配達すること (7)従事者に対する衛生教育 事業者は、配食サービスの栄養及び衛生の質の向上をはかることを目的とし、業務従事 者を対象とした研修等を行うこと。 (8)その他 健康増進法、食品衛生法その他関係法令を遵守すること。 ★参考資料 大量調理施設衛生マニュアル(別添) 7 その他 (1)関係書類の整理 利用者名簿、栄養管理及び衛生管理に関する書類を整備していること。 (2) 実態把握 事業者は、利用者のニーズを把握するために喫食状況調査やアンケート調査をし、その 結果を業務に反映させること。 (3) 連携 事業者は衛生管理や栄養管理に関して、必要に応じて保健所、市町村及びその他関係機 関との連携を図ること。 6
一般社団法人 福岡県歯科衛生士会 参考資料①-1
一般社団法人 福岡県歯科衛生士会 参考資料①-2
一般社団法人 福岡県歯科衛生士会 参考資料①-3
参考資料② 日本人の食事摂取基準〔2015年版〕(70歳以上)に対応した食品構成の例 日本人の食事摂取基準〔2015年版〕70歳以上 身体活動レベルⅠ 身体活動レベルⅡ 男性 女性 男性 女性 備考 エネルギー (kcal) 1850 1500 2,200 1,750 たんぱく質 (g) (75)60 (60)50 (90)60 (70)50 ( ( )内の数値は目標量である推奨量 16.5%エネルギーに相当するたんぱく質量) 脂 質 (g) 40~60 35~50 50~70 40~55 20~30%エネルギーに相当する脂質量 炭水化物 (g) 235~280 190~225 275~330 220~260 相当する炭水化物量50~60%エネルギーに 食物繊維 (g) 19以上 17以上 19以上 17以上 目標量 食塩相当量 (g) 8.0未満 7.0未満 8.0未満 7.0未満 目標量 食品構成(1日あたり) 160(80) 120(60) 180(90) 160(80) 24(12) 12(6) 24(12) 12(6) 60 60 120 60 50 50 70 50 5 5 5 5 15 10 20 15 15 15 15 15 60 60 60 60 90 60 90 60 70 50 70 50 50 50 50 50 200 200 250 200 120 120 120 120 230 230 230 230 150 150 150 150 5 5 5 5 10 その他の野菜 果実類 海藻類 大豆製品 魚類 肉類 卵類 牛乳及び乳製品 緑黄色野菜 重 量(g) 栄養素項目 味噌類 油脂類 芋類 パン 食 品 重 量(g) 精白米 麦 砂糖類
参考資料③ 食事アセスメント票の例(地域支援事業 福岡県栄養改善マニュアルH22.2月改訂版から抜粋) 記入年月日: 平成 年 月 日( ) 記入者名[ ] 氏名 ( 男 女 ) 生年月日:明治 ・ 大正 ・ 昭和 年 月 日 歳 はい ・ いいえ 答え〔 自宅 その他 〕 備考〔 〕 答え〔 ひとり 家族 その他 〕 備考〔 〕 答え〔 本人 家族 その他 〕 備考〔 〕 答え〔 本人 家族 その他 〕 備考〔 〕 ごはん( )杯、 他( ) どのくらい( ) はい ・ いいえ はい ・ いいえ 備考) はい ・ いいえ 備考) はい ・ いいえ はい ・ いいえ はい ・ いいえ はい ・ いいえ はい ・ いいえ 1 (^o^) 2 (^-^) 3 (│_│) 4 (-_-) 5 (>_<) 1 (^o^) 2 (^-^) 3 (│_│) 4 (-_-) 5 (>_<) 計測結果(または、健診等検査結果) 身長 体重 BMI 体重減少 上腕の周囲長 上腕の脂肪厚 上腕の筋面積 血清アルブミン値 11 歯の治療をしていますか? 何 を ( ) 質問 毎日、牛乳・乳製品を食べていますか? はい ・ いいえ 毎日、主食(ごはん等)をどのくらい食べていますか? お肉( )お魚( )他( ) 答え 動 機 付 け 医師・栄養士から食事について何か言われていることがありますか? 昼食によく食べる物は何でしょうか?(又は昨日の食事) 食べることは、楽しいですか? 食べ物が飲み込みにくいときやむせることがありますか? 食事はどこで食べる事が多いですか? どなたと食事を食べる事が多いですか? 毎日の食事は誰がつくりますか? 食事の買い物は誰がしますか? 夕食によく食べる物は何でしょうか?(又は昨日の食事) 食べにくいおかずはありますか? 答え〔ある( )・ ない 〕 咀 嚼 嚥 下 状 況 身 体 状 況 食 生 活 状 況 食物アレルギー(下痢や湿疹などの症状がでる食べ物)がありますか? お腹は弱いほうですか? お薬を飲む時に食べ物に気をつけるように言われたことがありますか? 毎日、体を動かすように気をつけて何かしていますか? お通じはいいですか? 義歯の使用 有 ・ 無 答え やってみたい事は何でしょうか(いくつでもお答え下さい) 食 事 摂 取 状 況 食事は、何時に食べますか?食べる時間を教えてください 答え〔朝 時、 昼 時、 夕 時、他( )〕 質問 そ の 他 朝食によく食べる物は何でしょうか?(又は昨日の食事) 嫌いな食べ物は何でしょうか?(いくつでもお答え下さい) 好きな食べ物は何でしょうか?(いくつでもお答え下さい) 間食によく食べる物は何でしょうか?(又は昨日の食事) 1非常に高い 2高い 3まあまあ 4低い 5全然ない 1大変よい 2よい 3普通 4よくない 5大変よくない 表情 食への関心度