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< 目次 > はじめに 1 章商店街の歴史 1. 商店街の成り立ち 2. シャッター通り商店街の形成 2 章商店街の現状 1. 商店街の類型 2. 商店街の衰退 3 章近隣型商店街の活性化戦略 1. 後継者問題への戦略 2. 後継者問題の解決策 3. 集客力の低下への戦略 4. 東京都青梅市の事例

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近隣型商店街の活性化戦略

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<目次>

はじめに 1 章 商店街の歴史 1.商店街の成り立ち 2.シャッター通り商店街の形成 2 章 商店街の現状 1.商店街の類型 2.商店街の衰退 3 章 近隣型商店街の活性化戦略 1.後継者問題への戦略 2.後継者問題の解決策 3.集客力の低下への戦略 4.東京都青梅市の事例 5.集客力の低下の問題の解決策 おわりに

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はじめに

近年、「シャッター通り」という言葉をニュースや新聞で目にする機会が増えてきてい る。そして、この言葉に表されているように商店街の衰退が大きな問題となっている。こ うした状況の中で行政でも各自治体が衰退する商店街に対する様々な施策を行っている。 中小企業庁では、全国各地の商店街の中で特色のある取り組みを行う商店街を「がんばる 商店街77 選」、「新・がんばる商店街 77 選」と題してホームページ上で紹介している。ま た、私自身も公務員試験を受験する際に市役所や区役所の施策を調べていく中で商店街に 対する施策が重要なものとして位置づけられているのを見て、商店街の衰退という問題を 行政が重要視しているということを改めて感じた。これらのことから私は商店街の衰退と いう問題に興味を持ち、なおかつ来年以降公務員として働いていく中で商店街への施策を 行う立場になる可能性もあることから今回の論文のテーマで商店街の衰退という問題を取 り扱うことを決めた。 ではなぜ商店街の衰退が大きな問題となっているのであろうか。その理由としては商店 街が衰退し、機能しなくなることで買物弱者を生み出してしまうということが1 つ挙げら れる。買物弱者とは全国的な人口の減少や少子高齢化、過疎化の影響もあり、流通機能や 交通網の弱体化とともに買物環境が悪化し、食料品等の日常の買物が困難な状況に置かれ ている人々のことである。1商店街の衰退は買物環境の悪化につながる恐れがある。なぜな ら、ショッピングモールやコンビニエンスストアなどが近隣にない地域に住んでいる人に とっては、近隣にある商店街は貴重な買い物をする場所である。これが衰退してしまうと 少し離れた位置にあるショッピングモールやスーパーなどに買い物に行くしかなくなる。 そうなると長い距離を徒歩や自転車で移動することが難しい高齢者はバスやタクシーなど の交通手段に頼るしかなくなる。しかし、買い物の度にバスやタクシーの利用をしていて は金銭的な負担が大きくなってしまうのである。そうなると結局高齢者は徒歩で少し離れ た位置にあるショッピングモールやスーパーに通うしかなくなるのである。このように商 店街の衰退は買物環境の悪化につながる恐れがあり、それが買物弱者を生み出してしまう 可能性がある。また、商店街は地域コミュニティを形成する機能も備えている。地域の 人々が集う場所としての側面も商店街は持っているのである。これは社会問題ともなって いる孤独死などの解決にもつながる機能なのである。しかし、商店街が衰退をしてしまえ ばこうした地域コミュニティの形成機能も失われてしまうのである。これらのことから商 店街の衰退は大きな問題となっているのである。そして、買物弱者や地域コミュティの形 成機能の喪失といった問題は近隣型商店街においてより重要なものとなる。これは近隣型 1総務省『買物弱者対策に関する実態調査』(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.soumu.go.jp/main_content/000496982.pdf

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2 商店街が基本的に商店街付近に住む人々が利用する類型の商店街であるためである。この 論文ではこうした商店街の衰退という問題の解決をするために近隣型商店街においてはど のような戦略をとるべきなのかということを考察していく。

1 章 商店街の歴史

この章では商店街の成り立ちと「シャッター通り」の広まりという商店街の転機ともな った歴史についてそれぞれ述べていく。

1.商店街の成り立ち

商店街という理念が生まれたのは第一次世界大戦前のことである。ここで言う商店街と は商店同士の連携があり、そして地域社会のシンボルとして見なされるものである。2こう した商店街の理念とは一体どのように形成されていったのであろうか。 第一次世界大戦によって日本は戦時好景気に沸いていた。しかし、この好景気というの は長く続かなかった。第一次世界大戦が終戦すると一転して日本に不況が訪れたのであ る。さらにこの不況は1923 年の関東大震災、1927 年の金融恐慌、1930 年の昭和恐慌な どの影響によって継続した。不況の影響は都市部に留まらず、農村にまで拡大して大きな ダメージを与えた。この結果、農村部の農民たちは都市部に女性や子供たちを送り込むこ とで生計を立てるものも現れるほどであったが、もう一つの生計を立てる手段として農村 を捨て家族ごと都市部に移住するというものがあった。こうした農村を捨て都市部に移住 してきた農民は企業に勤めることはできなかった。その理由は第一次世界大戦後に進めら れた企業・工場の大規模化に伴う近代官僚制にある。第一次世界大戦後の不況により多く の中小企業が没落し、財閥は没落した中小企業を次々と吸収していった。その結果、採用 の際に重視されるのが学歴になったため、学歴を持たなかった農村部から移住してきた農 民たちは企業で働くことができなかったのである。そこで多くの農民は小売業者となる道 を選んだ。そのため、都市部では零細小売商が急増した。そして、こうした小売業者の急 増は都市の物価を激しく変動させ、粗悪品の流通にもつながった。そして、この粗悪品の 流通という問題を解決するために都市住民は協同組合を設立した。これと時を同じくして 都市部では公共市場の設立に向けた動きも始まった。公共市場設立の目的は2 つあった。 1 つは都市部の住民を激しい物価変動から守り、安価で買い物を行う場所を確保するとい うことである。もう1 つは小売業者の安定である。また、協同組合と公共市場の登場と同 時期に百貨店という新たな小売業の形態が登場した。百貨店はもともと中・上流階層が顧 客層であり、主に高級衣料品や装飾品を取り扱っていた。しかし、関東大震災の際に一般 大衆向けに生活必需品などの販売を行い、一定の成功を収めたことで大衆化へと舵を切っ 2 新雅史(2012) 51 ページ

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3 た。関東大震災後、百貨店は大衆向けの娯楽空間としての機能を備え発展していった。こ の結果、一般大衆相手にサービスを行っていた零細小売商とテリトリーが被ってしまった のである。このため零細小売商は百貨店と対立した。こうした状況の中で零細小売商は生 き残りをかけて協同組合、公共市場、百貨店のそれぞれの長所を取り入れようと動き始め たのである。不況の影響により生まれた多くの零細小売商は爆発的に数が増えたために事 業に行き詰まるものも多かった。当時の小売業者の営業継続期間を見てみると、1 年未満 の者が12.96%、5 年未満の者が 46.7%、10 年未満の者が 67,95%であった。3このように 当時の小売業界は入れ替わりが激しい状況であったのである。こうした状況を打開するた めに協同組合・公共市場・百貨店のそれぞれの長所を取り入れ、小売店を組織化して規模 の拡大を図りつつ、それぞれの小売店が専門性を高めていくという戦略がとられた。こう して現在の商店街の概念が形成されたのである。

2.「シャッター通り」の広まり

第一次世界大戦前に生まれた商店街は戦時の経済体制によって一時的に壊滅状態に陥っ た。しかし、その後に発展して様々な地域に多くの商店街が誕生した。そして1950 年か ら1970 年代にかけて商店街は最盛期を迎えたのである。しかし、近年では「シャッター 通り」という言葉に表されるように商店街の衰退が問題視されるようになった。ここでは なぜ「シャッター通り」が広まっていってしまったのかということについて述べる。 「シャッター通り」が広まっていってしまった原因として挙がるのは旧まちづくり3 法 とモータリゼーションの2 つである。 表1 旧まちづくり 3 法の概要 法律 所管官庁 施行年 概要 中心市街地活性化法 経済産業省 国土交通省 総務省など 1998 年 大型小売店舗の郊外進出や公共施 設の移転などの理由で衰退した中 心市街地の活性化が目的とされ る。TMO(まちづくり会社)を拠点 に再生策が組まれることとなっ た。 改正都市計画法 国土交通省 1998 年 街並み保全、商業開発の促進・規 制について定めている。 3 新雅史(2010)70 ページ

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4 大規模小売店舗立地法 経済産業省 2000 年 交通・騒音・廃棄物など生活環境 維持の観点から大型小売店舗の出 店調整を行う。実際は原則自由化 された。 出典:「シャッター通り再生計画」p21 表 2-1 「旧まちづくり三法の概要」より 表1 は旧まちづくり三法の概要である。大規模小売店舗立地法は中心市街地商業地区と 郊外型の大型ショッピングセンターとの競争を許容するため、大規模小売店の立地条件を 緩和したものである。また、大規模小売店の出店が容易になれば中心市街地は活気を失う 恐れがあった。そのため、中心市街地の衰退を防ぐ必要が生まれた。そこでTMO に補助 金を出すなどの支援を行い、TMO を中心市街地活性化の拠点に据えたのが中心市街地活 性法である。しかし、このまちづくり3 法はあまり効果を発揮することはなかった。大規 模小売店舗立地法によって出店が原則自由化されたショッピングモールやスーパーは郊外 に次々と出店していった。1990 年にはその数が 6333 店であった大規模小売店は 2001 年 には倍以上の13300 店を超えてしまうまでに増加したのである。4そして、郊外に大規模 小売店が次々と出店していくのと時を同じくしてモータリゼーションも進んでいった。 1980 年代末、自家用車・自動二輪車の保有台数は全世帯数に近づいていたが、1991 年に は保有台数が全世帯数を超えるようになった。5これは世帯内で夫が仕事場に通う車の他に 妻が買い物などに利用する車を保有するようになったためであると考えられる。このよう にモータリゼーションが進むことで郊外の大規模小売店にも車で通いやすくなったため、 買い物客は郊外の店に流れていき、中心市街地は衰退していった。中心市街地の衰退を防 ぐことを目的として施行された中心市街地活性化法もその効果を発揮できず、多くの中心 市街地では人口が減少してしまった。人口が減少すれば、店の売り上げもそれに比例して 低下してしまう。そうなれば、経営がうまくいかなくなった店は閉店を余儀なくされてし まう。そして、閉店した店が多くなれば商店街景観がさびれたものとなり、さらに客足は 遠のいていってしまう負のスパイラルが生まれてしまうのである。こうした理由によって 「シャッター通り」は広まっていってしまったのである。 ここまで商店街の成り立ちと「シャッター通り」の形成の歴史について述べてきた。次 章では商店街の現状について述べる。 4 杉田聡(2013)25 ページ 5 杉田聡(2013)26 ページ

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5

2 章 商店街の現状

「シャッター通り」という言葉に表されているように商店街は衰退の一途をたどってい るのが現状である。この章ではそうした衰退の一途をたどっている商店街の現状について 述べる。

1.商店街の類型

まず初めに商店街の類型について述べる。商店街の類型は、その商店街が規模や取り扱 う商品、買い物客が利用する交通機関などによって4 つに分類される。 表2 商店街の類型 類型 説明 近隣型商店街 最寄品※中心の商店街で地元主婦が日用品を徒歩又は自転車等に より買い物を行う商店街 地域型商店街 最寄品及び買回り品※が混在する商店街で、近隣型商店街よりも やや広い範囲であることから、徒歩、自転車、バス等で来街する 商店街 広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型店があり、最寄品より買回り品が多い 商店街 超広域型商店街 百貨店、量販店を含む大型店があり、有名専門店、高級専門店を 中心に構成され、遠距離から来街する商店街 ※ 最寄品:消費者が頻繁に手軽にほとんど比較しないで購入する物品。加工食品、家庭 雑貨など。 ※ 買回り品:消費者が 2 つ以上の店を回って比べて購入する商品。ファッション関連、 家具、家電など。 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf

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6 図1 商店街の類型別内訳 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 表2 と図 1 は商店街の 4 つの類型の説明と商店街に占める類型の内訳を示している。類 型について見てみると近隣型商店街が他の3 つの商店街と異なる点として取り扱う商品と 利用される交通機関の2 つが挙げられる。まず、取り扱う商品について述べる。近隣型商 店街と地域型商店街では生活においての必需品を多く取り扱っている。これに対し、広域 型商店街と超広域型商店街では買回り品を多く取り扱っている。次に利用される交通機関 について述べる。近隣型商店街は徒歩又は自転車で買い物を行うのに対して他の3 つの商 店街では徒歩や自転車以外にもバスなどを利用して買い物を行っている。すなわち、近隣 型商店街で買い物をする客はほとんどその商店街の周辺住民であるのに対して、他の3 つ の商店街では周辺住民以外にもバスのなどを利用して遠方からやってきて買い物をする客 がいることがわかる。これらのことから近隣型商店街の役割が見えてくる。近隣型商店街 とはその商店街の周辺住民が徒歩や自転車などで生活必需品を買いに来る商店街なのであ る。 次に類型別内訳について見てみると、近隣型商店街が商店街の半数以上を占めているこ とがわかる。このことから商店街の衰退について述べる際には近隣型商店街の存在を無視 することはできない。さらに前章で述べた買い物弱者の問題という観点からみても近隣型 商店街はこの問題を解決するうえで重要な存在となる。なぜなら、徒歩での移動を強いら れやすい高齢者にとって近隣型商店街は通いやすい買い物をできる場所となるためであ る。これらのことから近隣型商店街における活性化戦略を考えることが商店街の衰退とい う問題の解決において有効であると考えられる。

2.商店街の衰退

商店街の衰退が問題となっていることをここまで述べてきたが、実際にはどの程度商店 街の衰退が進んでおり、衰退の原因はどういったところにあるのであろうか。ここでは衰 退している商店街の現状と商店街の衰退原因について詳しく述べていく。まず初めに商店 近隣型 51% 地域型 35% 広域型 6% 超広域型 2% 無回答6% 近隣型 地域型 広域型 超広域型 無回答

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7 街の景況と商店街への来街者数の推移を見てみる。 図2 商店街の景況 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 図3 商店街の来街者の変化 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 図2 は平成 21 から平成 27 年における商店街の景況についての回答である。自分の商店

1

2

17.9

33.4

44.2

1

2.3

18.3

33

43.2

2.2

3.1

24.7

31.6

35.3

0

10

20

30

40

50

商店街の最近の景況

平成

21年

平成

24年

平成

27年

5.6

16.1

76.8

6.7

17.3

72.6

11.2

24.1

56.6

0

50

100

増えた

変わらない

減った

商店街への来街者の変化

平成

21年度

平成

24年度

平成

27年度

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8 街が「繁栄している」ないし「繁栄の兆しがある」といった回答をしている商店街は合わ せても全体の3~5%とかなり少ないのが見て取れる。その一方で「衰退している」ないし 「衰退の恐れがある」と回答している商店街は合わせて全体の60~70%とかなり多いのが 見て取れる。また年度ごとの比較をしてみると「衰退している」ないし「衰退の恐れがあ る」と回答した商店街は減少をしており、その分「横ばいである」と回答した商店街が増 加していることが見て取れる。これは一見すると事態が好転しているように見て取れる が、衰退した商店街がそのまま横ばいの状態であるということを表している。 次に図3 であるが、こちらは平成 21 年から平成 27 年における商店街への来街者数の変 化についての回答である。増えたと回答した商店街は平成21 年には 5.6%であったが、平 成27 年には約 11.2%にまで増加している。さらに減ったと回答した商店街は平成 21 年に は77.8%であったが、平成 27 年には 56,6%に減少している。これらのことから回復の兆 しが見えてきているということがわかる。しかし、減ったという商店街が半数を占めてい る現状は非常に厳しい商店街の状況を表している。 図4 1 商店街あたりの空き店舗数及び空き空き店舗率の推移 中小企業庁「商店街実態調査報告書」より作成 (2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 図4 は平成 12 年から平成 27 年における商店街内の空き店舗数と空き店舗率の推移を示 している。1 商店街あたりの平均空き店舗数は平成 12 年では 3.9 店舗であったが、平成 27 年では 5.3 に増加しており、15 年間で 1 商店街あたりの空き店舗が約 1 店舗増えてい ることがわかる。空き店舗率についても平成12 年では 8.53%であったが、平成 27 年には

3.9

8.53

3.9

7.31

5.3

5.6

6

5.3

8.98

10.82

14.62

13.17

0

5

10

15

20

平成

12年度 平成15年度 平成18年度 平成21年度 平成24年度 平成27年度

1商店街あたりの空き店舗数及び空き店舗

率の推移

空き店数

空き店舗率

(%)

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9 13.17%まで上昇している。空き店舗が増加しているということはそれだけシャッター化が 進んでいるということを意味する。1 章で「シャッター通り」の広まりの歴史について述 べたが、現在もシャッター化は進んでいるということがわかる。 表3 商店街を取り巻く問題 1 位 2 位 3 位 平成15 年度 後継者問題 魅力ある店舗の少な さ 商業者の商店街活動 への意識の薄さ 平成18 年度 魅力ある店舗の少な さ 商業者の商店街活動 への意識の薄さ 後継者問題 平成21 年度 後継者問題 魅力ある店舗の少な さ 核となる店舗がない 平成24 年度 後継者問題 集客力の高い店舗の 少なさ 店舗の老朽化 平成27 年度 後継者問題 集客力の高い店舗の 少なさ 店舗の老朽化 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 次に商店街衰退の原因についてである。表3 は平成 15 年から平成 27 年における商店街 を取り巻く問題についてのアンケート結果である。ここから商店街衰退の原因としては主 に2 つのことが挙げられる。1 つ目は「後継者問題」である。これは商店街の内の店舗に おいて後継者がいないために店を閉めざるをえないという問題である。後継者として第一 に候補に挙がるのは店舗の経営者の子供であるのだが、衰退傾向にある商店街において店 舗を自分の子供に継がせることがリスキーであると考える経営者は少なくない。また、後 継者として考えられる子供の側からみてもこうしたリスクを避けようとするため、そもそ も店を継ぐつもりがない子供も増加しているのである。このように自分の子供を後継者に するということは難しくなってきているのが現状である。2 つ目は「魅力ある店舗の少な さ」や「集客力の高い店舗の少なさ」あるいは「核となる店舗がない」といった集客力の 低さについてことである。これは商店街そのものの集客力が低下していることを商店街の 人々が感じ取っているということを表している。 ここまで商店街の現状について述べてきた。商店街の人々は来街者の減少や自分の商店 街の衰退を感じ取っている。また、商店街内の空き店舗も増加を続けており、シャッター 化も進んでいることを表している。近年ではショッピングモールやスーパーだけではな く、楽天市場やAmazon などのインターネットショッピングも台頭してきており、商店街

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10 の競争相手は増えてきていることから商店街を取り巻く環境は年々厳しいものとなってい る。次章ではこうした厳しい状況の中で近隣型商店街がどのような活性化戦略をとるべき なのかということについて述べる。

3 章 近隣型商店街における活性化戦略

2 章で商店街衰退の原因は主に後継者不足と集客力の低下の 2 点にあるということを述 べた。すなわち、この2 つの問題を解決していくことが商店街の活性化を成功させる鍵に なるということである。まずは後継者問題について述べる。

1.後継者問題への戦略

図5 後継者問題への対策 中小企業庁「商店街実態調査報告書」(2017 年 1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf 図5 は平成 27 年における商店街における後継者問題への対策の実施状況を示している グラフである。後継者対策を行っていないという商店街が9 割にも占めているのは非常に 深刻な問題である。これは自分の子供が後を継いでくれなければ店を閉めるしかないと諦 めている商店街が多いためであると考えられる。また、2 章で述べたように自分の子供に 店を継がせるということは難しくなっているのが現状である。こうした状況の中で後継者 問題への対策を行わないということは商店街内の店の経営者が店を継続する意思を失って 3.8, 4% 2.4, 2% 90% 3.7 4%

後継者問題への対策

研修を実施している 外部から後継者を募集している 対策を講じていない 無回答

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11 いる可能性も高いとも考えられる。もし、後継者問題によって多くの商店街内の店が閉店 に追い込まれるようになれば街の景観はさらにさびれたものとなり、商店街は絶滅してし まう恐れがある。そのため後継者問題はすぐにでも解決にしなくてはならない問題なので ある。 では、どのようにして後継者問題を解決していけば良いのだろうか。ここでは2 つの方 法が挙げられる。1 つ目の方法は既にいる店の従業員に研修を積ませなどして、後継者に なってもらうという方法である。この方法のメリットは2 つある。1 つは店の内情をある 程度知った人が店を継ぐことができるということである。店の内情をある程度知っていれ ば店を継ぐ際のギャップが生まれにくいのである。2 つ目は店を託す側の経営者が店を継 ぐ人のことを把握しやすいということである。普段から一緒に働いている人に店を託すた めじっくりと時間をかけて店を託せる人を選ぶことで不安が軽減されるのである。一方、 デメリットは従業員が自分の他にいない店ではこの方法を取れないということである。2 つ目の方法は外部から後継者を募集するというものである。この方法のメリットは自分以 外に従業員がいないような店でも後継者を見つけることができるという点にある。一方、 デメリットは自分の店を託すのにふさわしい人とはなかなか出会いにくいということであ る。

2.後継者問題の考察

ここまで店の従業員を後継者にする方法と外部から後継者を募集するという方法の2 つ の解決策を挙げた。この2 つの解決策のうちより重要なのは外部から後継者を募集すると いう方法である。商店街内の店というのは個人経営であるものが多く、他の従業員がいな いケースが多い。そのため、外部から後継者を募集するという方法をとらざるをえない店 が多いというのが理由である。現在、金融機関などがイベントを開催するなどして、後継 者問題に悩む店が外部から後継者を招き入れられるよう支援をしている。そして、外部か ら後継者を招くことで店の存続に成功した事例も増加しつつある。このように後継者問題 の解決策というのはある程度確立されている。しかし、前述したように後継者問題への対 策を講じていない商店街が9 割を占めている現状を鑑みると、これらの後継者問題の解決 策というのがまだ浸透していないのではないかと考えられる。すなわち、これらの方法が 後継者問題の解決において効果的であるということを示せれば後継者問題の解決に取り組 む店が増えていき、後継者問題は解決していくのではないかと考えらえる。

3.集客力の低下の問題について

次に集客力の低下を改善する戦略について述べる。集客力の低下という問題は近隣型商 店街において後継者問題以上に深刻な問題である。前章で集客力の低下の理由として挙げ られていたのは、「魅力ある店舗の少なさ」と「集客力のある店舗の少なさ」といったも

(14)

12 のであった。これは広域型商店街や超広域型商店街では当てはまりにくいのである。なぜ なら、広域型商店街や超広域型商店街は大型店舗や高級専門店などを内包している商店街 であるためである。大型店舗や高級専門店は単体でも客を呼び込める確率が高いために商 店街全体の集客力の低下は起こりにくい。これに対して近隣型商店街は大型店舗や高級専 門店などを持たない小規模の商店街である。そのため集客力の低下は起こりやすくなるの である。これらの理由から近隣型商店街おいては後継者問題以上に集客力の低下という問 題が深刻な問題となっている。 では、どのようにして集客力の低下という問題の解決をしていけば良いのだろうか。足 立(2010 年)は地域の個性を生かした戦略をとり、地域独自の魅力を創出することこそが最 も重要であると述べている。6これまで再生を目指す商店街は成功した商店街の戦略を真似 してきた。中沢(2001)は、活性化のプラン作りがシンクタンクに委託されたものであり、 それによって全国のどこでも同じメニューが並んでいたということを指摘している。しか し、成功事例を真似るという取り組みはなかなか成功しなかった。これは当たり前のこと で商店街ごとに立地や周囲の環境は異なっているため、成功した戦略といえども地域性を 考慮しなければうまくいかないのである。このことから地域の個性を理解し、その個性に 合わせた戦略を取らなければ商店街の活性化は成功しないということがわかる。さらに足 立(2010 年)は商店街の活性化の戦略として次の 4 つの戦略を挙げている。

➀コンバージョン型…街並みを保存・整備して景観を重視 必要資金:中

➁再開発型…街並みそのものを変える 必要資金:多

③現状保存型…ソフト面の施策を行う 必要資金:少

④行政指導型…行政が住宅政策や交通機関整備を行う 必要資金:多

①のコンバージョン型は街の景観を重視し、街並みの整備や保全を行う戦略である。こ の戦略は主に観光資源を活用する戦略であるため観光資源がある商店街においてより効果 を発揮する戦略である。➁の再開発型は巨額の資金を使い、街並みそのものを変化させる 戦略である。しかし、この戦略は街そのものを変えてしまう戦略であることから街がもと もと持つ地域の魅力を失わせる恐れがある。そのためこの再開発型の戦略を取る際には慎 重に検討をするべき戦略である。また、再開発のもととなる資金は民間投資によるものが 多いのも特徴である。③の現状保存型は資金があまりかからないソフト面の施策を行う戦 略である。具体例としてはイベントの開始や各店舗の逸品をPR する一店逸品運動、ある いは空き家の活用などが挙げられる。必要な資金が他の3 つの戦略と比べて少ないことか ら実行しやすい戦略である。④の行政指導型は行政が主導して公共交通機関の整備や住宅 6 足立基浩(2010)51 ページ

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13 政策を行う戦略である。ハード面の施策という点で2 の再開発型と似た面はあるが、こち らは主に自治体などの財源が使われている。ここで実際に行われている商店街の活性化戦 略の事例として東京都青梅市の事例を挙げる。 4.

東京都青梅市の事例

東京都青梅市では市内の上町商店会、仲町商店会、本町商店会、仲通り睦会、キネマ通 り睦会、住江町商店街、西分町大通り振興会、東栄会の8 つの商店街が協力して大正昭和 のレトロな街並みを意識した街づくりを行うというコンセプトのもと商店街の活性化戦略 を行っている。代表的な取り組みは、「青梅宿アートフェスティバル」と「昭和レトロ商 品博物館」や「青梅赤坂富士夫会館」といった博物館の設立の2 つである。「青梅宿アー トフェスティバル」は毎年秋に開催されているイベントである。このイベントは平成3 年 から住江町商店街が始めたものである。年を追うごとに市内の他の商店街も参加し、平成 15 年には 7 つの商店街による共同開催となった。そして、このアートフェスティバルで映 画看板を掲示したところ、これが好評であり全国に映画看板がある街として知られるよう になった。また、このイベントは市内の商店街の交流も盛んにし、商店街同士の協力体制 の形成を後押しした。この「青梅宿アートフェスティバル」は映画看板というインパクト のあるものを商店街内に掲示し、大正昭和のレトロな街並みづくりにつなげたことからコ ンバージョン型の戦略に分類される。次に「昭和レトロ商品博物館」や「青梅赤坂富士夫 会館」といった博物館の設立であるが、「昭和レトロ商品博物館」は平成11 年に、「青梅 赤坂富士夫会館」は平成15 年に設立された。これらの博物館は商店街内の空き店舗を活 用して設立されたのが特徴である。こちらは空き家店舗の活用といったソフト面の事業を 行っていることから現状保存型の戦略に分類される。これらの取り組みによって市内の商 店街の来街者数は増加した。また、平成27 年には青梅市は民間との共同出資で都内初と なるまちづくり会社「まちづくり青梅」を設立した。7

5.集客力の低下の考察

ここまで事例を挙げ、実際にどのような活性化戦略がとられてきたかを説明してきた。 ここからは事例を踏まえ、近隣型商店街において有効な活性化戦略を考察していく。戦略 の構想としては元からある商店街に観光の要素をプラスするということである。そして、 この構想を実現させる戦略を立てる際に重要となるポイントは2 つある。1 つ目のポイン トはコンバージョン型と現状保存型の戦略をとるということである。これには2 つの理由 がある。1 つ目の理由は資金の問題である。近隣型商店街において資金力が高い商店街は 7 商店街をサポートする情報サイト EGAO (2017 年 1 月 22 日アクセス) http://www.syoutengai-shien.com/news/201504/24-01.html

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14 多くない。そのため多額の資金を要する2 の再開発型と 4 の行政指導型の戦略をとるのは 困難なのである。2 つ目の理由はコンバージョン型と現状保存型の戦略は地域の個性を生 かしやすい戦略であるということである。コンバージョン型の戦略は街並みそのものの保 全や整備を行う戦略であるため元の街の個性を生かしやすく、現状保存型の戦略はソフト 面の施策を行うため変更もききやすく周囲の環境にマッチした戦略をとりやすいのであ る。次に2 つ目のポイントであるが、街にある複数の商店街が協力をして商店街の活性化 に取り組むということである。これは商店街の性質を考えれば難しいことである。満薗 (2017 年)は、商店街は組織としての活動があまり得意でなく、利害調整が難しい性質を持 っていると述べている。商店街内の商店は業種や経営への意欲、あるいは能力など様々な 部分で差異がある。そのため、足並みを揃えるというのが難しいのである。商店街同士で の協力ともなればさらに難易度は上がる。しかし、近隣型商店街は規模の小さい商店街で あることから商店街単体で何らかの施策を行ってもその効果が現れにくい。そのため複数 の商店街が協力して施策を行い、施策の効果を高めるということが必要になる。実際に東 京都青梅市の事例では市内の8 つの商店街が協力して活性化戦略を行うことで商店街への 来街者数を増やしている。

おわりに

ここまで商店街の歴史や現状、そして近隣型商店街における活性化戦略について述べて きた。1 章では商店街の成り立ちと「シャッター通り」の広まりの歴史について述べた。2 章では衰退する商店街の現状と現在の商店街を取り巻く問題ついて述べた。そして、商店 街衰退の原因として後継者問題と集客力の低下の問題の2 つが挙げられた。3 章では現在 の商店街が抱えるこの2 つの問題をいかにして解決し、近隣型商店街を活性化させていく のかという戦略について述べた。後継者問題に関して言えば外部から後継者を募集すると いう方法の効果を示し、商店街内の店が後継者問題の解決に乗り出させることが解決策で あり、近隣型商店街においてより重要な問題である集客力の低下に関して言えば従来の商 店街に観光の要素を取り入れるということが解決策であった。そして、従来の商店街に観 光の要素を取り入れるためには複数の商店街が協力し、街並みの保全や整備を行うコンバ ージョン型の戦略とソフト面の施策を行う現状保存型の戦略を取るべきであるということ であった。これは裏を返せば観光資源を活かせないあるいは観光資源が乏しい商店街は活 気を取り戻していくのが非常に困難な道のりであるということを表している。そして、観 光資源のある商店街はいかにしてその観光資源を活かし、地域独自の魅力を創出していく かが活性化戦略を成功させる鍵となる。商店街は今後このまま衰退の一途をたどってしま うのか、それとも活気をとりもどしていくのか。商店街の動向に注目していきたい。

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15 <参考文献> ・足立基浩著『シャッター通り再生計画 明日から始める活性化の極意』(2010) ミネル ヴァ書房 ・新雅史『商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道』(2012) 光 文社新書 ・杉田聡『買い物難民をなくせ! 消える商店街、孤立する高齢者』(2013) 中央公論新社 ・中沢孝夫『変わる商店街』(2001) 岩波新書 ・満薗勇『商店街はいま必要なのか 日本型流通の近代史』(2017) 講談社現代新書 参考URL ・商店街をサポートする情報サイト EGAO (1 月 22 日アクセス) 『都内初のまちづくり会社で中心市街地を活性化 東京都青梅市』 http://www.syoutengai-shien.com/news/201504/24-01.html ・総務省『買物弱者対策に関する実態調査』(1 月 2 日アクセス) http://www.soumu.go.jp/main_content/000496982.pdf ・中小企業庁 『がんばる商店街77 選:青梅市内 8 商店街』(1 月 20 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/shoutengai77sen/download/166-167oume.pdf ・中小企業庁 『商店街実態調査報告書』(1 月 2 日アクセス) http://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2016/160322shoutengaiB.pdf

参照

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