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DSpace at My University: 英語教育リレー随想 72号(2016.1) ニッポンのジレンマ

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 72 号 1 新春には今の社会、これからの社会をマクロ的に考えさせられる討論会や座談会が並 びます。「新世代が解く!ニッポンのジレンマ 元旦 SP」(NHK 1 月 1 日 23 時~放送)もそ んな番組の一つでした。1975 年以降に生まれた若い論客 11人が招かれ、「“競争”と“共 生”のジレンマ」というテーマで資本主義の「自由な“競争”」と民主主義が目指す「平等 な“共生”」の観点から、日本が直面する様々な問題を掘り下げました。取り上げられた問 題は、格差社会、宗教、そして人工知能。番組で出てきたキーワードを手掛かりにして、 格差社会と人工知能について教育を視座に考えてみました。 まず、格差社会について。番組では資本主義原理に基づく競争がもたらした経済的格差 の弊害をなくすためには、富をどの時点で配分するのか、事前配分するのか再配分するの かどちらがいいのか、といった議論が繰り広げられていました。事前配分という考え方は 少しわかりにくいですが、今、盛んに言われている「子どもの貧困」を考えてみればわか りやすいと思います。ピケティの「21 世紀の資本論」を待つまでもなく、経済格差は資本 主義の構造的な問題であり、貧困の問題は今に始まった問題ではありません。それではい つごろから貧困の問題が「子ども」の「貧困」というコンテクストでクローズアップされ るようになったのでしょうか。厚生労働省の「子どもの貧困」調査は1985年に統計が 開始されていますが、このころまでに「人権」が社会問題を考えるときの規範になり、貧 困を子どもの人権の視点で捉えるようになったといえるのではないでしょうか。そして、 貧困を「子どもの貧困」として捉えるときには、教育の力によって貧困の悪循環を何とか 断ち切りたいという「最後の砦」的な希望が込められているように思えます。平成25年 の文部科学省の発表によれば、日本の子ども 6 人に1人が貧困と定義される家庭状況にあ ると言われています。子どもたちの教育を受ける権利を保障し、子どもたちが教育によっ て獲得したスキルを就労に生かし結果的に貧困から脱却できるよう、就学支援や奨学金と いった「事前配分」の政策が実行されること、そしてそれに応える教育実践が行われるこ とが必要です。 次に、人工知能の話。これまでの人工知能は、人の労働の一部を代替して人の生活の利 便性を高めたり、人の時間的・認知的余剰を生み出したりと、もっぱら人が便利に活用す るシステムでした。しかし、近年の技術の進化によって今や人工知能はディープラーニン グという自律的学習をしたり、人間の感性を模すこともできるというのですから驚きです。 大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター

〈英語教育リレー随想〉

2016 年 1 月

ニッポンのジレンマ

東條 加寿子 第 72 号

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大阪女学院大学・大阪女学院短期大学 教員養成センター http://www.wilmina.ac.jp/ojc/edu/ttc/ 〈英語教育リレー随想〉第 72 号 2 うまくプログラミングをすれば、人工知能が人間の労働のほとんどを代替できる日も夢で はないと言われています。番組では、そうなれば「人間は一体何のために生きればいいの か」という究極の問いも投げかけられました。人が創造した人工知能が人の存在意義を脅 かしかねないとすれば、まさにジレンマです。しかし、人工知能にはまだ十分にできない こととして、「主体的に目的を設定すること」、「主体的に関わる相手を模索しコネクトする こと」、「言葉(情報)が相手によりよく届くように工夫すること」などがあるそうです。 人にできて人工知能にはできないことこそ、教育で取り組むべき領域ではないでしょうか。 「子どもの貧困」と「人工知能の進化」の先にはいずれも教育の使命が透けて見えま す。 (とうじょう・かずこ 教授/教員養成センター)

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