6
9
炭素性煙霧体?と関するコロイド化学的研究一一線香の煙
応 用 化 学 科 佐 野
果
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環 境 工 学 研 究 所 太 田
洋
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Isamu SANO
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要旨:燃焼e凝集法によって得られる線香の煙;aj克伴下lこ放置,京お邑時聞による粒子直径および伺数濃 度の推移を実験的 lζ追究したととろ, 30分の聞に粒子直径は1.0から2.3fllこ成長し,個数濃度は3.1xl05 から2.3XI05個/C71131乙低下する乙とが観察された.その他,粒子の洗降速度や煙の重量濃度などを測定 し,これらの結果から線香の煙粒子の密度が 0.317/C7113程度でゐることを推定し,また粒子のブラワン運 動による凝結定数を算出して理論値と比較した. 筆者は以前に,コロイド化学的見地からp たばこの煙 中の粒子の粒度(大きさ)や粒子の帯電量などを測定 したことがあるが,最近,同じく炭素性煙霧体である線 香の煙についてー,二の測定を行なったのでその結果の 一端を以下に報告する. まずp 図 2のようとfアクリル樹脂板製,円筒形のスモ ークチャンバー〔直径58cm
,
高さ80cm)を用意する.チ 線香の煙の発生と測定:の方法 線香は苦から経過持閲の尺度に使われていたし,今日 でも使われることがあるらしいが,事実,燃焼量は,図 1の如く, 時間に比例する.図は湿度が低く,隙間風のH
2
52
3
初 出 ど ば 怒 一ノ
.
.
4
10 時間(分)同
図1
線 香 の 燃 焼 速 度 通らない室内で線香を垂直に立て上端に点火した場合で あるが,湿度が高いと燃焼速度は遅くなるであろうし, 風があると速くなるであろう. 測定用の線香の煙の製法は次の通りであるが,燃焼速 度が定常的であるために濃い煙でも淡い煙でも線香の本 数や燃焼の持簡を調節することにより簡単に造ることが でき,便利であった. 図2
実 験 装 置7
0
佐 野 ャンバーには撹枠用のスターラー(回転数:8
0
回/分) が取り付けである.線香を1
0
本 束iこして点火し, これを チャンパーの孔 Hl(直径 1.5cm)から揮し込み煙の漏 れるのを防ぐためチャンバーをゴムテープで密閉した 後,スターラーで援持しながら3分間線香を燃焼,チャ ンバー内に煙を充満させる.燃焼3分間の後,線香を取 り出してチャンパーを密閉し*1,引きつづき撹持しなが ら煙を老化させ柏,時々,チャンパーの子L
H2 (直径3
.
8
α
w
)
から,その都度,新らしい注射器(容量100cm3)を 使ってその内に煙を吸引,採取する圃これらの,煙を採f
果 太 田 洋 取,充満させた注射器を,それぞれ,ピストンを抜き去 ってから顕微鋭用カバーガラス上に垂直に立てて2時 間相放置すると,煙粒子がカバーガラス上に沈降し,付 着するのでこれを光学顕微鏡で観察し,粒度を測定料す るとともに個数を計数桁する.カバーガラス上の面積 a (CJll3) 内の{回数をnとし,注射器の高さを d(cm)とす ると煙 1c討中の例数濃度 x ({回/α'1[3)は次式 一 d 同 n 一 ・ ヲ 心 一a
れ 二 ら X ﹀ え 与 て つ L 4 ζ A4
0
数イ
閏
3
0
数%
2
0
102
4
粒 子 直 径(μ)
2
4
粒 子 直 径 (μ)4
0
A H υ A H U η d q ι 個 数 ( % 102
4
粒 子 直 径 (μ)4
0
ハ U n u q o η 5 4 個 数 ( %1
C
4
0
n u n u n 4 u q , ι 個 数 ( % 102
4
粒 子 直 径 (μ)2
4
粒 子 直 径 (μ) 図3
老化による粒度分布の変七 老化時間(分):A 0
,B 3
,C 9
,D 1
5
,E 3
0
れこの時点を老化時間の原点とする.*
2
チャンバー内はi
温度2
0
'
C
,湿度50%
前後でそれぞれ一定に保つである. 相 直 径0
.
5
μ
の粒子が注射器の高さ (18cm)を落ち切るのに要する時間は,計算_I:,5
0
0
0
秒程度である. 料 倍 率1
5
x
l
0
0
*
5
倍率1
5
x
4
0
*
6
d=18cm炭素性煙霧体に関するコロイド化学的研究一一線香の煙 表
1
老化時間による粒度分布の変化 '~老化時間(分)I '-.._- -粒度ω(戸)戸1'1'''~-~ I~
0.5I
-h d 吋 S よ 口 u q u 30 0.5~ 1.0 1.0 ~ 1.5 1.5 ~ 2.0 2.0~ 2.5 2.5~ 3.0 3.0~ 3.5 3.5~ 4.0 4.0~ 4.5 4.5~ 5.0 5.0~ 5.5 5.5~ 6.0 6.0~ 札粒子直径 ρhunLn 白 -a F U つ 臼 円 / つ れ ︼ n 4 2 1 0 引 っ A U K -7 4 0 マi q u つ リ 9.5 13.1ョ
:
;
;
j
;
;
;
j
l
21.4 17.9 15.5 7.1 2.81 3目21 -1 4.8*
2
頻度(個数%) 表2
老化時間と平均粒度 老化時間 │ 粒度範囲 │ 平均粒度 (分) (戸) (μ〕o
0.5~ 3.0 1.00 3 0.5~ 4.0 1.51 9 0.5~ 4.0 1.72 15 30 1.7ヶ 2.26 0.5~ 5.0 0.5~ 6.0 狽JI定結果とその考察 結果の一例は表1の如くで,これを図示すると図3が 得られる.表1から平均粒度を計算すると表 2の通りに なる.これらの結果から線香の煙は粒度1~数 ρ 程度の 多分散系で,老イ七とともに粒度の成長して行くことが知 られる. 表3中i己表1と同時に測定した粒子の洗降速度が示し 71 であるが,これは各老化時間毎にスモ{クチャンパーか ら注射器で煙を採取し,暗視野コンデンサー型限外顕微 鏡(倍率7
x10)のセル内に注入して粒子が一定距離 (325/1)を沈降し去るに要する時聞を測定することによ って求めたものである.粒子の密度を1と仮定して次式 (Stokes-Cunninghamの式) V二_YJ_P_ご18p'1.
d
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g・d-p2 (l十 K _,_l) (1) p ,_. --dp 与 ~. dp2 (2) 18万 3.6v
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降速度 pp 粒子の密度 内:媒体(空気〉の密度 g:重力の加速度 dp 粒子の直径(粒度) K: Cun凶nghamの係数 1・媒体(空気〕分子の平均自由行路 から粒度を計算すると (20'C), 表の(計算値)が得ら れる. 一方,粒子粒度と枕降速度の各測定値を Stokes-Cunninghamの式(2)に代入して計算すると表 3の如く 粒子密度の欄の(計算値1)が得られる.同じ欄中の(計 算値 2)は表 3中のイ回数濃度と重量濃度から粒子を,や はり,球状と仮定して勘定した値であるがe一般に煙霧 体に関する測定には障害が多く,従って再現性に乏しい ことを考慮すると,これらの計算値1および2は期待以 上に良い一致を示しているといってよい. 煙霧体の粒子は,構造が多孔性で綴密でないためであ ろうといわれているが,一般にその密度の小さいことが 知られている.例えば酸化カドミウム(密度 6.95),酸 化マグネシウム(3.65),水銀(13.6)などの煙霧体の場 合,粒子の密度はそれぞれ 0.51,0.35, 1.70などであ ると報告されているし,筆者もたばこの煙や硫酸ナトリ ウム(密度2.68)Lどの煙霧体について粒子の密度がそ れぞれ0.74および0.62であることを観察している .t
こば ζの煙や線香の煙の粒子が炭素の綴密な粒子であるなら 表3
老 化 時 間 と 煙 の 物 性 二二二二二ニ一一一一二二二二二二二---でアーでτ二二二二二二二二ごでτ二二アででτ 二二二=一一二二二二ニニニニ」二二 てて=二二→一一ーム二二二二二二二二二7て--二二二二ご7 τ二二ニ二二二二二二二二.-二三二二二二4二三二二二L二=二二二二ご=二二二二ニL二二二二二二=二二こ二=二二二二二二二二二二二二二二ご士二=二二二二ご二L一二二--二二二二二二2 / / , n y A り ×α
, r j J ' ' 羽 当 6 w t マ 1 マ H 川 山 口 U ヴ 4 舟 b q o ワ h u n u q o り ん ηdq4qL ×日 刊
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丸 一 測 一 間 同 一 時 分 0 3 9 日ω
一 割 ( 一*
1
表2参照 ホ2 粒子若干個に係る平均値 個 数 濃 度 重 量 濃 度 1.8
6
1.81 1.752
.
0
8
7
2
佐 野 ばその密度は炭素の密度2
.
2
6
1
乙等しいであろうと思われ る. なお,表中の重量濃度はスモークチャンバーの孔 (Hli)からサンプラー*によって煙を吸引し,サンプ ラー中の漉紙の重量増と煙の吸引量から算出した値で, 表の如く,測定時間中(
3
0
分間)ほとんど一定にとどま っているようである. ブラウン運動のために粒子は相互に衝突し,従って凝 結,成長することが知られている.これに関し,次式一旦旦=
dt kn---. k 2 •=
t
(
士
一
占
)
t :経過時間n
:
個数濃度 (t=t) no:個数濃度 (t=O) k:凝結速度定数 が成立するが,式中のkについては Smoluchowski(
1
9
1
7
)
により,次式 ) a a -( T ﹁w
a
一 部 kR"
気体定数(
8
.
3
X
1
0
7エルクソ。K
・モJレ) T:温度(
O
K
)
N:アボガドロ定数(
6
.
0
X
1
0
28) が誘導されている.(4)式によると凝結速度定数は粒度に 関 係 な し さ ら にSmoluchowkiは粒子が球状の単分散 系を仮定しているので(4)従って(3)式は単分散の球状粒子 から成る煙霧体でしかも凝結過程開始後の短かい時間内 において成立する乙とが想像される. 図4
1
乙表3中の測定値(個数濃度aと 経 過 時 間 t) が目盛ってあるが,大体において直線関係が穿在してい るのでその勾配を求めると,すなわち k =6
.
2
g
x
1
0
-
8 (cm3/分)が得られる.これに対し,理論値は,2
0
0C
のf
架 ・ 太 田 洋 ー晶“ xl0 -'5。
(思¥間E
)
/ / /。
。
ロ ¥ H (3) q J W 偲 故 田 川 内 記 10 20 時間, t (分) 図4
凝結速度式の検討 場合, k =1
.
7
5
x
1
0
-
8(α13/分)であるから両値は数倍 の開きで一致していることが見られる.開きの原因は煙 が多分散性でしかも粒子が総じて球状でないなどの点に あろうかと思われる. 終りにのぞみ,装置の製作,測定の実施などが学部学 生苅谷陽一,井置善彦および佐藤弘樹の3君によって行 なわれた旨を記し, 3君に謝意を表する. 引 用 文 献 1)佐野保,藤谷義保,阪田貞弘:日化,7
4
(
1
9
5
3
)
,6
6
4
;
佐 野 傑 : 化 学 と 工 業1
0
(
1
9
5
7
)
,
2
7
2
.
2) H. S. Patterson,
R. W hytlaw-Gray: Proc. Roy. Soc. (London),
A1
1
3
(
1
9
2
7
)
,
3
0
2
3) Y. Ueno
,
1
.
Sano : Bull. Chem. Soc.Japan