模式地 における大 山最下部火 山灰層 中の
強磁性鉱物 の熱磁気特性
岡田 昭明*・ 谷 口 恵**・ 木下 直美***
Shomei OKADA,Mett TANIGUCHI and Naolm KINOSHITA: ThemOmagnetic Propenies of the Ferromagnetic Minerals in the Lowemost Member of he
Daisen Tepllra Fomation at lt's Type Locahty (1990年 8月31日 受 理)
I
は じ め に 大山火山の周囲には,溝
口凝灰角礫岩 (三位・赤木,1967)と
一括 されている火山砕届物お よびその二次的堆積物か らなる火山麓扇状地がひろ く発達 している。“大山火山灰層"(赤
木,1973)は
この溝 口凝灰角礫岩 をおお う降下軽石 を主体 とす るテフラ群で,最
下部・下部 。中 部 。上部 に細分 されている (山陰第四紀研究グループ,1967)。 このうち最下部火山灰層 は数 多 くの軽石層,火
山砂層,風
化火山灰層 (いわゆるローム層)で
構成 されてお り,大
山の北麓, 東麓および南東方の岡山県北部に比較的まとまって分布することがわかっているが (佐治ほか, 1975;岡 田,1983;塩
谷,1987MS),露
出が断片的で不明な点が多い。 ことにこの三地域間の 対比 はまだ充分にはなされていない。下部火山灰層以上に くらべてロームの赤色化がつ よいの が共通す る特徴で,こ
のことか ら最終間氷期以前 にさかのぼる中期更新世テフラであると考 え られて きた (蒜山原団体研究グループ,1975,大
西,1977)。 テフラの同定・対比の際の示標 として,個
々のテフラ層 にふ くまれる火山ガラスや特定鉱物 の屈折率あるいは化学組成力覇U用されることが多い。 しか しなが ら,噴
出年代が古 くかつ乾陸 上に堆積 したようなテフラでは,堆
積後の風化変質により特 に火山ガラスなどはほとんど消失 して しまうことがある。大 山最下部火山灰層 はまさにそのようなテフラ群であって,火
山ガラ スはもちろん,風
化が著 しい ものでは斑晶透明鉱物で さえほとんど検出されないことも稀では ない。 こうした火山ガラスや透明鉱物 に対 して,鉄
鉱物はテフラ中に普遍的にふ くまれてお り, またいかなる風化状態のテフラであって も残存 しているのが普通である。 したがって,テ
フラ の同定・対比 に鉄鉱物の特性 を利用で きれば大いに意義あるものとなる。 一般に,テ
フラにふ くまれる鉄鉱物は強磁性鉱物であ り,そ
の特性の一つにキュリーポイン ト等で しめされる熱磁気的性質をあげることがで きる。キュリーポイン トをテフラの同定・対 比 に活用す る手法は MomOse et』 。(1968),Kobayashi and Momose(1969)によ り開発 され,信 州 ロー ムか ら関東 ロー ムヘ御 岳
PmI軽
石 を追跡 す るの に効 果 をあげた (MomOse and*地
学教室 **地学教室 (現在, ***地学教室 (現在 , 鳥取県西伯郡会見町立会見小学校) 鳥取県米子市立福米東小学校)岡田 昭明・谷 口 恵 。木下 直美
Kobayashi,1972)。 その後
,大
阪層 群 (Maenaka,1971,Maenaka and YokoyaIIna,1972),人 ヶ岳 (会田,1978),支
笏 カルデ ラ (Okada,198α 近 藤,1983)南
九州 lYoshida,1980射b),大
山火 山 (岡田・谷本,1986)な
どの地域 で この手法 に よる成果が報告 されてい る。 岡 田 (1983)は,予
察的熱磁 気分析 デ ー タに もとづ いて大 山東麓 と北麓 の最下都火 山灰層 の 対比 を試 みたが,今
後対比 をよ り確 実 な もの と してい くため には よ りおお くの基礎 的デ ー タを 収集 す るこ とが必要 であ る。 この ため本研 究で は,最
下部火 山灰層 の模式地 を倉吉市大河内 に 設定 し,そ
こにみ られ るテ フラ層 について細 か く試料採取 をお こない,ふ
くまれ る強磁性鉱物 の熱磁気特性 と,あ
わせ て分析 した重鉱物組成 について検討 した。 本研 究 に もちいた磁気天秤 の製作 ・ コ ンピュエ ター との オ ンライ ン化 そ して測定 プログラム の作成 にわた って,本
学部物理学教 室 の安藤 由和 助教 授 に多 くの助 言 ・指導 をいただいた。 ま た,地
学教 室 学生 の高浜禎彦君 には野外調査 の一部 を手伝 っていただいた。記 してお礼 申 しあ げ る。H
模 式地 にお ける大山最下部火 山灰 層 の層序 と産状 大 山最下部火 山灰層 の模式地 とした倉吉市大河内の露頭 は,佐
治 ほか (1975)が詳細 な記 載 を したの と同 じ露頭であ る (図1,Loc,1)。 大 山出頂 か らほぽ東 方17血
の地点で,溝
口凝灰 角礫 岩 のつ くる標 高約200mの
台地上 に位 置 してい る。 ここで は溝 口凝灰 角礫 岩 をおお って, 全層厚約13mの
“大 山火 山灰 層"が
露 出 して い る (図 2)。 露頭 最 上部 に は大 山下都 火 山灰 層 に属 す る生 竹軽石(DNP)が
あ り,そ
の直下の厚 さ約 50 cmの褐 色 ローム とと もに,よ
り下 位 の最 下部 火 山灰層 をゆ る くきって軽微 な斜 交 関係 をみせ てい る。DNPの
基底部 には厚 さ 5cmの
岩片 に富 むや や暗色 の軽石 薄層 を ともな ってお り,ま
た直下 の褐色 ローム中には上 限か ら10 cmの位 置 に,厚
さ5cmに
わ た って岩 片・軽石 が 断続 的 に点在 してい る。 これ らは, 本地 点 か ら約4航
南南 西 の関金 町荒 田 を模 式 地 とす る大 山荒 田軽石2(DAP2)お
よび大 山荒 田軽 石1(DAPl)(岡
田・谷 本,1986)に
そ れ ぞれ対比 され る。 最下部火 山灰層 は複 数の軽石層,火
出砂 (火 山礫 ま じり粗粒火 山灰)層
,お
よびローム層 で 構成 されてお り,内
部 に斜 交 関係 はみ られず台 地面 に平行 にほぼ水平 に堆積 している。軽石層 の風化 は著 しく,色
調 をは じめ と して岩相が類 似 してい るため,野
外 での識 別 ・同定 はむず か しい。岡田 (1983)は佐 治 ほか (1975)の細 分 に もとづ いて,ロ
ーム層 を除 く軽石層・火 山砂 層 を下位 か らa,b,c,d,e,fpm, s,g,hl,範 と よん だ。 これ らの うち,b,e,fvsが
火 山砂層 で, ほか は軽石層 である。本研 究で はこの層序 区分 を再検討 した結果,以
下 の よ うな修正 をお こな 図1
露頭の位置 (国土 地 理 院発 行2万 5千分 の1地形 図 「泰久寺」の一部 を使用)大山最下部火山灰層中の強磁性鉱物 うことに した。 ① まず
,軽
石層 については上記 の記号 に続 けpmを
つけ,火
山砂層 について も同様 にvs をつける(たとえばapm,bvsな
ど)。 ただ しこれは仮称であって,今
後最下部火山灰層の全容 が明 らかになって きた場合 には,主
要分布地の地名 を加味するなどよりふ さわ しい命名が必要 と考えている。 ②apm層
の下位 には溝 口凝灰角礫岩 との間に,厚
さ35 cmの赤色化のやや よわいローム 層がみられ,こ
の基底 を最下部火山灰層の基底 とする。このローム層の上部ではクラックの発 達が著 しい。 ③bvs層
は,水
平 ラ ミナが発達す る基底部 と塊状・無層理 の主部 とに区分 し,そ
れぞれ bvsl,bvs2と する。 ④ фm層
は,中
部層準 に火山砂層 をはさむので これをdvs,下
部 をdpml,上
部 をdpm2 とよぶことに して3分
する。 ③fvs層
の上部 18 cmは あ きらかに軽石質なので,中m2と
してfvsと 区別する。 ⑥fpm2層
と上位のgpm層
とのあいだのローム中に,あ
らたに軽石薄層が識別 されたので これをfpm3とよぶ ことにする。 町田・新井 (1979)は,llpmlを大山西方 に分布主軸 をもつ大山松江軽石(DMP)に
対比 し,hpm2を
大山蒜山原軽石(DHP)と
よんだ。なお,gpm以
下の層準 は津久井 (1984)の下部テ フラ累層 に相当する。 すでに述べたように最下部火山灰層中には斜交関係 はみ られない。 しか しなが ら apm,bvsl,dpml,gpm,hpmlの
それぞれ直下のローム層 には顕著なクラック帯がみ とめ られ,比
較的長期 の堆積体止期があったことをしめ している。 また,最
下部火山灰層の一般的特徴であるローム の赤色化 は,こ
れ らクラック帯の発達するローム層およびhpm2の
直上のローム層で とくに顕 著である。 図2
大山最下部火山灰層の模式露頭 (Loc.1)の スケ ッチ 凡例 は図5岡田 昭明 。谷 口
恵・木下 直美 ローム層 をふ くめたテフラ各層か ら重鉱物分析お よび熱磁気分析用の試料 を採取 した。層厚 が概 ね 30 cmを こえるものについては
,複
数層準 にわけて試料採取 をおこなった。 本露頭の柱状図を図5に,テ
フラ各層の特徴 を表 1に まとめて しめす。HI方
法1)試
料の調製 重鉱物分析および熱磁気分析 に供 した試料 は以下の手順 により調製 した。 ① テフラの原試料 をビユール袋 にとり,水
を加 えて袋ごと手で もみほ ぐし,粒
子 を分散 さ せ る。 ② ♯250の標準ふるいにとうして,シ
ル ト以下の細粒部 を洗い流す。 ③ ①∼② を くりかえして も細粒部 を除去 しきれない場合には,超
音波洗浄器 にかけたのち, ②の処理 をおこなう。 ④ 流水下で +32,#60,+115,♯250の標準ふ るいによ り4粒
度階 (>1/2,1/2∼ 1/4,1/4∼ 1/8,1/8∼ 1/16 mm)に ふるいわける。 ⑤ 1/2 Hlm以 下の各粒度階について半分にわけ,そ
の一方か ら棒磁石 およびアイソダイナ ミック型マグネテ ィックセパ レータをもちい鉄鉱物 と有色鉱物 をとりだ し,あ
わせて重鉱物分 析用の試料 とする。 ⑥ 残 り半分か ら棒磁石 に吸着す る成分 を選別 し,熱
磁気分析用試料 とする。 なお,重
鉱物分析 。熱磁気分析 ともに,主
として1/4∼1/8 HImフ ラクシ ョンについておこ なった。2)重
鉱物分析 重鉱物 を選別 した際に,供
試試料 に対する重量比 をもとめて重鉱物量比 とした。重鉱物 は粒 子の ままカナダバルサムで封入 してプ レパ ラー トに し,偏
光顕微鏡下で200個以上 を数え個数 比 をもとめた。ただ し黒雲母については,試
料の調製段階でヘキ開片に分解 した り浴流 した り して しまうことがあるため個数比か らは除外 し,含
有量の 目安 として多い ものか らA,C, R
の3段
階であらわ した。3)熱
磁気分析 熱磁気分析 は試料の もつ磁化の,温
度 による変化 を測定するもので,磁
気天秤 を使用するの が一般的である。筆者 らの研究室では化学天秤 を利用 した自作 の磁気天秤 をもちいて きたが (岡田・谷本,1986),こ
のたびヨンピューターとつないで記録および制御の自動化 をおこなっ たので,装
置の概要 をやや詳 しく記 してお く。 使用 した磁気天秤装置は天符部,電
磁石部,電
気炉部,真
空系部および制御・記録部か らな る。 この装置による測定では,試
料の磁化 に相当する天秤の振れと温度 とを記録する。天秤部 は,天
秤 の振れを光線 によってCdSで
検出 し,変
位計か ら引 き戻 しコイルヘ電流 をフィー ド バ ックす る自動平衡型天葎 (鰭崎・関沢,1972;灰
田 。近,1974)で
,電
圧 に変換 された フィー ドバ ック電流値がデータとして出力 される。温度 は試料 に密着 させ たP―PR熱
電対 の 熱起電力で,こ
れ ら両電圧 はデジタルボル トメーターで読み取 られ,GPIBイ
ンターフェース大山最下部火山灰層 中の強磁性鉱物 を介 して制御・記録部 の コンピュー ターに と りこまれ る。 電気炉部 は
,試
料温度 を一定速度で昇 ・降温 させ る もので,任
意 の温度 にホール ドす る こ と もで きる。 この温度制御 には,OPア
ンプに よる ミラー積分 回路 を応用 したスウ イープジェネ レー ター を使用 してい る。あ らか じめ選択 した昇 降温速度 に応 じたスウ ィープジェネ レー ター の出力 と,電
気 炉 に接 して い るC―A熱
電女子の起 電力 とを差動増 幅 回路 に導 き,そ
の出力 に応 じた電力 をSCR電
力調 製器 (山菱 電機SPC-1105)か
ら電気 炉 に供給 してい る。 ス ウ ィー プ ジ ェネ レー ターは リレー回路 をはさんで コンピュー ター と結 ばれてお り,温
度 の上昇・下 降・ ホ ール ドの切 り替 えは測定 プログラムに よ リコ ンピューター側 か ら自動的にお こなわれ る。 リ レー回路へ の切 り替 え指令 はPPI(8255)イ ンターフェース を介 して送 られ る。 ここで使用 し た コ ンピュー ターNEC PC-9801Fは
外付 け用5イ ンチ フロ ッピーデ ィスクのイ ンター フェー ス と して8255Aを内蔵 してい るので,こ
れ をその まま利用 した。天秤部,電
気 炉 部 の 自動 制 御 の概 要 を図3に しめす。 電磁石部および真空系部 は自動制御系か らは独立 してお り,そ
れぞれ単独 に操作する。電磁 石 は最大発生磁界5.37K“
の玉川製作所TM一YSF 8511-051型を使用 している。真空系 は試 料の酸化 を防 ぐために必要で,本
装置では油回転 ポンプと油拡散ポ ンプにより10 4 Torrオ ダーの真空度 を達成 している。なお真空引 きしたのみでは装置内の温度勾配が大 きく,加
熱時 と冷却時 との熱磁化 曲線 にずれが生 じるとい う問題があったが,本
研究では真空引 き後 にN2 ガスを封入 し熱伝導度 を高めることによりこの点 を解決することがで きた。 制御・記録部 は前述 のコンピューター とデータ出力用の CRT・ プ リンターお よびデータ保 存用 のフロッピーデ ィスク ドライブで構成 される。BASICで
作成 した測定プログラムは,試
147FURNACE
MAGNETIC 8ALANCE
DIFFERENTIAL AMP.
SWEEP GENERATORRELAY
PRINTER
DISK DRIVE岡田 昭明・谷 ロ 恵・木下 直美 料番号・試料 重量・測定条件 な どのデータ入力都
,測
定 デ ー タ読 み取 り部お よびデータ出力部 か らなる。測定条件 として,測
定 間隔 (温度 間隔)と
最高 至B達温度 をあ らか じめ設定 して入力 す る。 デー タ読 み取 り部で は,つ
ね に試料温度 を読 んでお り,測
定 間隔分温度が上昇す る と変 位計 の出力読 み取 りに切 り替 わる。 この時の読み取 り値 (電圧)と
温度 とが デ ー タとして保存 され る と同時 にCRT画
面上 にプ ロ ッ トされ,再
び温度読 み取 りに もどる。設定 した測定 間隔 ご とにこれが くりか えされて,画
面上 に加熱過程 の熱磁 化 曲線 が描 かれ てい く。温度 が設 定 し た最高温度 に達す る とスウ ィープジェネ レー ターが下降 に切 り替 わ り,以
後室温 まで冷却過 程 の熱磁化 曲線が粘 かれてい く。 なお,こ
のプログラムで は熱磁化 曲線 を描 いてい く過程で,曲
線 の傾斜 が変換 す る ときの温度,す
なわちキ ェ リーポ イ ン トが 自動 的 に検 出 され表示 され る。 本研 究で は,こ
の装置 に よる測定条件 を磁場lK∈ ,昇
降温速度約 10℃/m吼 到達 温度 590 ∼600°C,測
定 温 度 間 隔 2°Cに
統 一 して使 用 した。 図4に
,標
準 試 料 と して エ ッケ ル粉 末 (22 5 mg)と 純 粋 にちか いマ グ ネ タイ ト粒 子 (21.5 mg)と を混合 した試料 の測定記録 を示 す。 」n/Jt ( 116mV) 20.5 61.6 195.6 297.6 357.7 481.6 573.7 590,3 571.4 493.4 357.4 297.4 111.5 91.5 22.6 No.g1575 (2nd:1574)キ
t
貶
│ ゝ 、二
lt
200 300 400 500 600 TEMPERATURE (°C) 図4
磁気天秤 による測定結果の例 1:ニッケル・マグネタイ ト混合試料の熱磁化曲線 2:本文参照 図 中,曲
線1が
試料 の熱磁 化 曲線 で,実
線 は加 熟 過 程,点
線 は冷却 過 程 の もので あ るが 両 曲線 に ほ とん どず れ は ない。 曲線 2は,2°C毎
の変位 計 出力値 の差 を同一画面 にプ ロ ッ トした もの で (縦軸 の単 位 とは無 関係),曲
線 1の傾 斜 変換 点 に対 応 して ピー ク (冷却 過 程 で は負 の ピー ク)が
得 られ る。 図 の右 端 に100°C間
隔 毎 に検 出 され た最 大 ピー クの しめ す 温 度 が 表 示 され ている。 この うち357.7,573.7と 表示 された値がそれぞれニ ッケル とマグネ`タ イ トのキュ リーポイン トである。ただ し小数点以下は意味がな く,温
度の測定精度は ±1°Cで
ある。ま た, このように自動的に検出した値はノイズをひろっている可能性 もあるため,実
際には測定大山最下部火 山灰層 中の強磁性鉱物 後
,曲
線 1と 曲線 2と を見 くらべ てキ ュ リーポイ ン トを決定 してい る。 テ フラ試料 で は,チ
タノマ グヘマ イ トの分解 (小島・小 島,1972)な
ど測定中の試料 の変化 に よ り,加
熟過程 と冷却過程 の熱磁化 曲線 にずれが生ず ることが多 い。本研 究で と りあつか っ た試料で は,こ
のずれはわずかであ り, 2度
の くりか え し浪1定に よ りほぼ一致 した可逆 的曲線 が え られた。 これ はアニ ール効果 によ り,風
化 に際tノて生成 したチ タノマ グヘマ イ トが ほは完 全 に分解 消滅 した ことを しめす もの と考 え られる。 したが ってキ ュ リーポイ ン トは,2nd rln の加熱 曲線か らもとめた。 なお,測
定 に要す る試料 の最少量 は,試
料 の磁化 強度 に もよるが, 一般 には約30 mgであ る。IV
結1)重
鉱物組成 重鉱物分析結果 を表1,図
5にしめす。 まず軽石層・火山砂層 についてみると,す
でに岡田 (1983)で報告 された結果 と同様 に,角
閃石 を主体 として鉄鉱物 をともない,こ
れに層準によって斜方輝石,カ
ミング トン閃石あるい は黒雲母力功日わっている。 斜方輝石 は,下
部火 山灰層 の構成層で は10%以
上の含有率で検 出 され, と くにDNPで
は40%に
達 している。DAPl(16%)→ DAP2(10%)→
DNP(40%)と
い う斜方輝石含有率の変遷 は, 関金町荒田における分析結果(DAPr=19%,DAP2=10%,DNP=41%)と
きわめて よ く一致 している。 これ に対 して最下部火 山灰層 で は,一
般 に斜方輝石含有率 は低 い。 と くにapm, “ml,fpm2,fpm3,gpm,hpml,hpm2の
各層 にはまった くふ くまれないかあるいは検 出されて も1%以
下である。 この ような中で,cpm,dvs,dpm2,evs,fvsは
, 5%程
度以上の斜方輝石 をふ くむ点で特徴的であるといえる。 また,bvs2で
は, 3層
準 に細分 して分析 した結果,下
部 (試料
No.3)と
中部 (No。9)で
は1%強
であるのに上部 (No.10)では24%の
斜方輝石が検出され
,肉
B艮的には一様であって も岩質にはあきらかな違いがみ とめ られる。つ ぎにカ ミング トン閃石 は
,町
日・新井 (1979)に よって指摘 された ように,hpmlを
特徴づける鉱物で
,10%を
こえるような高率で含有 されるテフラはほかにはない。hpmlで
は,下
部 (No.47)で
8%,中
部 (No.48)で20%,上
部 (No.49)で22%の
カ ミング トン閃石 をふ くみ
,下
部 と中・上部 とでは含有率があ きらかに異なる。 角閃石 はいずれ も緑色角閃石であるが,apmに
はこのほかに青色味 をおびた角閃石がふ く まれ,き
わめて特徴的である。 雲雲母 は,あ
くまで 目安的な比較ではあるが,apm,dpm2,ゎ
m3,hpm2の
各軽石層 に多 くふ くまれる。1枚
のテフラ層 を,複
数の層準 に細分 して採取 した試料の分析結果か らは,上
述のbvs2やhpmlの
例のほかにも微量の斜方輝石の有無 はあるが,一
般には鉱物組合せお よび含有率 とも に同一層内での大 きな違いはみ とめ られない。 以上に述べてきた軽石層・火曲砂層 に対 して,ロ
ーム層の重鉱物組成 には鉄鉱物が卓越する 傾向がある。 とくにapm,bvs2,cpm,evs,fpn3の
各層 の上位のロームで は重鉱物の80∼90%
を鉄鉱物が占めている。 しか しなが ら,同
様 なローム層であって もdpm2,fpml,gpm,hpml,
hpm2の
それぞれの上位のロームや下部火山灰層中のロームではこの特徴 は顕著ではない。 ま 果表
1
大山最下部火山灰層の模式露頭における層序 とテフラの諸特性 層序 区分 ] 石 相 層 厚 cm 試 料 No . 重 鉱 物 分 析 結 果肇
:時島翁グ戸
(ら 肉 眼 的 特 徴昆
i勤
蜘成∽キ
1蓬 1曇%)Cum Ho OpX IO i数
1母主 相 副 成 分 α相
:
β相 表 土 40々-80 下 部 火 山 灰 層 DNP 軽 石 67 - 537 401 621309 C 411-:一 粘土化つ よい。下部に偏平につぶれた暗紫色軽石(長径8cm) D4P2 軽 石 5 83 7 10 1 C ―― 1 515 563 岩片多い ロ ー ム 23 1 1 9 62 6 9 3 26 2 1 214 R 385 i ―― i 421 451 505 566 褐 色 DAPl 軽 石 0∼ 5 08 716 C 415i― 568 岩片多い。連続性悪い ロ ー ム 35-40 1 1 54 6 16 3 11 3 10 9 59 4 -- 29 7 R R 3761-4511138 453 510 571 褐色。下部 15 cmは 淡褐色。下位 と斜交 大 山 最 下 ロ ー ム 40´-60 35i 95 549 -- 35612531R 445 1571- 赤色化つ よい hpm2 軽 石 40-46 09 915 09 6723 913 05 60 A A 一 鴎 風化顕者。金色黒雲母めだつ ローム 24‐ヤ25 34347509 - 144 2221R 明褐色。赤色化 よわい hpml 軽 石 90‐ ヤ 100 22 3 67 3 -- 10 5 19 7 77 5 -- 2 8 7 6 84 8 0 9 6 7 A C C 一 一 一 斜長石,岩片めだち白色に風化 した黒雲母あ り 軽石の粒径1∼3cm 基底に径3∼ 6 clnの粗粒軽石・岩片ならぶ ロ ー ム 90-― 100 6 5 59 1 -- 34 4 -- 48 8 -- 51 2 -- 73 3 -- 26 7 2471-2051 R 2151R “ 64) クラ ック帯 赤色化つ よい gpm 軽 石 60´ヤ70 43 42 41 35 34 33 ―- 90 7 -- 9 3 -- 95 2 0 5 4 3 -- 94 4 -- 5 5 215 208 216 C C C 斜長石・岩片(径 1 5cln)・金色∼白色風化黒雲母めだつ 基底 にMn・Feの集積薄層 ロ ー ム 22-30 - 49 05 947 206 - 144 - 856 216 R C 一 一 i(460566 1(450564 クラ ック帝 赤色化つ よい 帥 3 軽 石 4∼ 8 7 1 0 57 1 0 5 41 4 A ― (459)563 暗褐色細粒軽石。風化顕著 ローム 19-30 38 1 1 7 64 5 - 33 8 1 231 1- 460 1 123 (229) 赤色化 よわい фm2 軽 石 10‐-18 - 69 7 0 9 29 4 1 231 R 455 1 118 1(226) 細粒軽石(径 l cln)。 風化顕著 s 火山砂 30´-33 35 34 51 47 ―- 83 6 7 7 8 7 -- 88 9 3 1 8 0 20 22 R R 一 一 灰白色火山礫質火山灰。水平ラ ミナやや発達。 しまりつ よい基底に3cm径 の粗粒岩片ならぶ ロ ー ム 25‐W30 54 i ―- 96 2 -- 3 8 赤色化 よわい ド リ 〇 国 田 コ鴎 溺 ・ 吟 口 弧 ・ テ ヨ 耐部 火 山 灰 層 IDml 軽 石 40-65 32 31 30 56 54 51 ―- 93 3 -- 6 7 1 223 -- 91 0 -- 9 0 1 222 -- 93 1 -- 6 9 1 233 R C C 117 124 131
4 9 ︲
弱
5 5 8
上部15 crnは火山砂まじり 風化顕著 ロ ー ム 30-40 11 20 ―- 27 4 -- 72 6 -- 9 4 -- 90 6 212 212 C C 434 434 一 一 一 一 よわいクラックあ り 赤色化よわく粘質 火山砂 58-‐60 ―… 93 5 4_2 2 3 -- 94 0 2_8 3 3 216 215 R R4 3 5
勒
凸6に似る。乾 くと白っぽい。下半部に水平ラミナ発達 基底にMa・Feの集積薄層 ローム 38-42 W 4 6 ―-- 85 1 6 9 7 9- 87 7 1 4 10 9 220 202 C R 一 一 赤色化 よわい dpm2 軽 石 20´-52 ―- 85 1 8 2 6 7 1 208 1 A ―- 75 8 13 7 10 5 12191 A 2 3 盟 一 一 最大径(軽石3cm,岩片 7cml dws 火山砂 13-15 ―- 80 7 8 0 11 3 R 暗色火山礫質火山灰 dpml 軽 石 40-47 ―- 87 4 2.2 10.4 1231 i C - 85 9 17 124 241iC │(531) 岩片(径3 cln)dpm2よ り多い 基底にMn・Feの集積層(5 cln) ロ ー ム 74"ψ78 ―- 11 6 0 5 87 9 - 4 0 o 4 95 5 - 8 0 -- 92 0 - 29 2 0 5 70 3 2︲ 22 2︲ 2︲ 240 233 228 223 クラ ック帯 上半部赤色化つ よい cpmとの境界なみうつ cpm 軽 石 110∼ 125 55 ∝ 鶴 8.8 93 83 100 123 88 226 229 228 R C C 449 451 450 207 1 -― 2101 -― 209 i ―― 粘土化のため軽石粒の外形不明瞭 基底にMn・Feの集積薄層 ローム 30-37 3 2 -- 96 8 R 赤色 化 よわいぉbvs2との鱗 界 差泳 ら bvs2 火山砂 122∼ 130 10 9 8 ―- 63 4 23,9 12 7 -- 86 6 1 4 12 0 -- 77 5 1 4 21 1 R C C 450 456 456 一 一 一 30 30 30 暗灰色火山礫質火山灰 塊状無層理。 しまりつよい bvsl 火山砂 33∼43 ―- 89 2 1 8 9 0 i 222 i C 461 1230 水平 ラ ミナ発達。基底 にMn・Feの 集積層 (2 5cm) ロ ー ム 78‐-79 ―- 76 5キエ ーー 23 5 -- 39 3*≠ 0 5 60 2 -- 15 0** ―- 85 0 - 20 2** 0 5 79 3 V 09 07 “ A C R R 456 446 445 445 │(525)570 1(520569 11526)569 クラ ック帝 赤色化つ よいapm 軽 石 20-30 ―- 73 5** ―- 26.5 2341A
44i―
│(516)569 風化顕著。岩片多いロー ム 1 5 ―- 30 1 -- 69 9 206 A ― i(525)569 タラ ック帝 溝 口凝灰角礫岩 501n+ > E 却 ■ 裂 澪 巨 瀾 面 I ⑤ 露 隷 蒔 灘 苺 い リ ド *Ctm:カ ミング トン閃石 Ho:角閃石 **青色味をおびた角閃石 をふ くむ Opx:斜方輝石 I.0:鉄鉱物
岡田 昭明・谷 口
恵・木下 直美
日
□
□
圏
墨
日
田
HEAVY HIllこRAL ASSEMBALGE
― ― 卦 ´ ― ― ― ■ 萎 ‐ 峠 ・ ― l ― E ‐ ― =― ■ 器 ・ ― ・ 尋 ≒ 碧 J 尋 ・ ― 崇 ・ 碧 ・ 碧 ・ 碧 ― 口 H 卦 _彊≧≧≧讐讐劃日日日日HHttBIIIIIIBIIIIIIII日
大 山最下部火山灰層中の強磁性鉱物
た
,ロ
ームの赤色化 の程度 とも明確 な関連 はない ようにみ える。 ここで は含有率 は別 に して,ローム層 の鉱物組合せ は直下 の軽石層 あ るいは火 山砂層 のそれ と類似す ることが多い点 に注 目 してお きたい (たとえば
apm,cpm,dpm2,fpml,gpm,hpml,DAPlと
それぞれの直上 の ローム 層)。 と くにapmの
上位 の ローム (No.3∼6)か
らは,apmに
特 有 な上 述 の青色 味 をお びた角閃石力彩J外 な く検 出 され る し, また
hpmlの
場合 は直上 の ローム (No.50)お よび さらにhpm2
の上位 の ローム (No.53,54)か らもカ ミング トン閃石 が高率 で検 出 され る。 ただ し,DAPl直
下 の ローム層 (No.55)に は,そ
れ よ りも下位層準 で含有率 の低 い斜 方輝石が16%もふ くまれ 特異で あ る。 重鉱物量比 について は,軽
石層・ 火 山砂層,ロ
ーム層 を とうして と くに系統的な特徴 はみ ら れないが,evsや
DNPで
は量比が高 く,fpm3で
は きわめて低 い。2)強
磁性 鉱物 の熱磁 気特性 各試料 中にふ くまれ る強磁性 鉱物 につ いての熱磁気 分析結果 を表1および図5に しめす。熱 磁化 曲線 か らキ ュ リーポ イ ン ト(Tc)を読 み取 る際 に,主
成分 の強磁性 鉱物が しめす と考 えら れ る もっ とも明瞭 なTc,こ
れ に準 じる副成分 のTc,お
よび曲線 にわずか に傾斜 変換点がみ と め られ る程度 の微量成分 のTcに
分類 した。 これ らは表1では,そ
れぞれ主相 の欄,副
成分 の 欄,同
欄 の( )内
に しめ し,図
5で
は大 。中・小 の黒九で しめ した。 最下部火 山灰層 の軽石層・火 山砂層 につ いての分析結果 をみ る と,主
相 のTcは
多 くの場合 450°C付
近 に きわめて よ く集 中 してお り,こ
れだけで はテフラ層相互の識別 あるいは同定 の示 標 とはな りが たい。 しか しなが ら,副
成分 と して共存 す る強磁性 鉱物 のTcに
は個 々の層 に特 有 な値 が み とめ られ,こ
れ に着 目す れば識別 。同定が可能 となる。 この副成分 のTcに
は,主
相 のTcよ
り低 温側 に くる もの と高 温側 に くる もの とが あ り,い
ず れ も同一層 中で はば らつ く こ とが な く安 定 した値 を しめす。低 温側 のTcは
,50°C付
近 (hpm2),100∼ 150°C(dpml,
fpml,fpm2), 150∼200°C(dvs,gpm,hpml), 200∼
250°C(bvsl,bvs2,cpm,dpm2,fvsl)と
い った明瞭 に異 なる温度 範 囲 に分布 してい る (図6-1∼4)。apm,evs,fpm3に
は低 温側 のTc
はみ とめ られ ない (図6-5,6)。 い っぼ う,主
相 よ りも高 温側 のTcは apn,fpml,fpm3,gpm
にみ とめ られ,こ
れ らの うちgpmで
は450°C付
近 に,ほ
か は550°C以
上 にある。 以上 の ような熱磁気特性 をもつ最下部火 山灰層 の軽石層・火 山砂層 のなかで, もっ とも特異 なテ フラはfpm3で
あ る。fpm3か
らは459°C,486° C,563°Cに
Tcが
検出 され, この うち後2 者 が と もに主 相 をな して い る (図6-6)。 この ようなTcを
しめす熱磁化 曲線 のパ ター ンは, “大 山火 山灰層"構
成 層 の中で きわめて異質であ る。evsも また,副
成 分 を と もな わず主相 の みか らなるこ と,そ
の主相 のTcも 430∼435°Cと
やや低 い ことで特徴 的であ る。 最 下部 火 山灰 層 の ロー ム層 にふ くまれ る強磁 性 鉱物 の熱磁 気 特 性 は,若
干 の例 外 (No.53,No.46)は
あ るが,直
下 の軽石層 ・火 山砂層 のそれ とほ とん ど一致 している。す なわちローム 図5
大山最下部火山灰層模式露頭の柱状図および熱磁気分析結果 と重鉱物分析結果 柱状図 (A:軽石B:火
山砂C:ロ
ームD:赤
色化 ロームE:凝
灰角礫岩F:ラ
ミナG:ク
ラ ック帯 H:Fe・Mn集
積層。テフラ名の右の数字 は試料番号) Tc(黒丸の大・中・小:それぞれ主成分,副成分,微量成分の強磁性鉱物のキュリーポイン ト)重鉱物組成 (H/T:重鉱物量比
Cum:カ
ミング トン閃石Ho:角
閃石Opx:斜
方輝石 IoO.:鉄岡田 昭明・谷口
恵 !木下 直美 20oに HP:!路w凛に1瑠〕 ?●0 300 400 500 1EMPFけ ^IuFE(。 C, 強磁性鉱物の熱磁化曲線 (点線はキュリーポイン トの位置)
1:hp虚
(試料 No.51) 2:dpml(No.19),fpml lNo.30),fpm2御α36) dvs(N∝ 21),gpm ttα 41),lapa1l lNo.47) bvsl ωα 7),bvs2 1No.8),cpm(No`12),dpm2 1No.22),fFS(No.341 apm(No.2),evs lNo.第) ●m31No.38),K3(関 金町大山』 3 4 5 6大山最下部火山灰層中の強磁性鉱物 155 層 とその直下のテフラ層 には同種の強磁性鉱物がふ くまれるということをしめ している。 とく に直下の軽石層や火山砂層の層厚が薄い場合 には
,さ
らに下位の層準に由来する強磁性鉱物が 混入 しているようにみえる。たとえば層厚4∼8cmの
fpm3の上位のローム (No.39,40)で は, 490°C付
近 (主相),565°C付
近 (副成分)の
ほかに460℃ 付近 にもわずかなが らTcが
検 出 され る。 これ らはfpm3か
らも同様 に検 出 されるが,460°C付
近 にTcを
もつ強磁性 鉱物 は fpm2お よび fvsの 主相 をなす ものであって, これが上位層準 まで混入 している もの と考 えら れる。 以上のような最下部火山灰層 についての分析結果に対 して,下
部火山灰層ではやや異 なった 点がみ られる。その一つは,DAPl,DAPみ
DNPの
各軽石層 中にふ くまれる強磁性鉱物の主相 のTcは
410∼415°Cの
範囲にあ り,最
下部火山灰層の場合 よりあ きらかに低 い とい う点であ る。 また,ロ
ーム層 についてみると,試
料No.55や 57で
は4∼ 5点のTcが
検出され,ふ
く まれる強磁性鉱物の種類が複雑であることを しめ している。V
結果に対する検討 重鉱物分析では分類 しなかったが,最
下部火山灰層 にふ くまれる強磁性鉱物 には,チ
タノマ グネタイ ト系列 (β相)に
属するもの とイルメナイ トーヘマタイ ト系列 (α相)に
属す る もの がある。hplnlの 1/2∼1/4 EImフ ラクシ ョン中の強磁性鉱物 をもちいて,実
体顕微鏡下で こ の両者 を選別 し,そ
れぞれについて熱磁気測定 をおこなった。その結果 と,選
別前の測定結果 とを くらべ ると,hpml中
の強磁性鉱物の主相 はβ相であ り,副
成分は α相であることがわか る (図 7)。 このことか ら他 の層準 に副成分 としてふ くまれる強磁性鉱物 も,主
相 よ りも低温 側 にTcを
もつ ものは α相であると考えられる。 したがって,最
下都火山灰層 中の強磁性鉱物 の主相のTcが
450°C付
近 に一定 してお り,副
成分のTcが
層準 によって異なるとい うことは, β相の化学組成 は一定 しているのに対 して α相のそれは変化 していることを意味 している。す なわちテフラ層の特性 はβ相 よりもα相につ よくあ らわれるということが結論で きる。 重鉱物分析結果か ら,bvs2お
よびhpmlで
はそれぞれの層内に岩質の変化がみ とめ られた が,熱
磁気分析結果にはこれに対応するような 明確 な変化 はみ られない。ただ し,hpmlで
は 下部か ら上部へ主相の強磁性鉱物のTcが
高 く なる傾向があ り,こ
れが岩質の変化 に対応す る ものなのか もしれない。 つ ぎに,こ
れまでのべて きたような強磁性鉱 物の熱磁気特性や重鉱物組成の特徴が,水
平的 にどの程度安定するものなのかを検討 した。 こ のため模式地か ら南東 l hlに 位置す る,北
谷 川対岸の台地上の露頭 (図 1の Loc.2)をえ ら び,そ
こに露出するテフラについて分析をおこ ない比較 。検討 をお こなった (表2)。 ここで は下位 か らcpm,dpml,dvs,dpm2,evs,れ
ml,gpm,hpmlの
各 テ フラを,相
互の累重関係 に 図7
鏡下で選別 したhpml層中にふ くまれる 強磁性鉱物のα相 とβ相の熟磁化曲線 1:α 相2:β
相3:選
別前の試料表
2
模式地南東lhの
露頭 (Loc.2)に おける層序 とテフラの特性 層 序 区 分 相 中石 テ フ ラ 名 層 厚 m 重 鉱 物 分 析 結 果蟄
_時誉包
j、結
r民キ
** 畳 比 % 重 鉱 物 紅 成 (%) Culn Ho Opx I.0鑑 定 数 黒 雲 母 主 相 成 分 1 2** α相 β相 下 都 軽 石 DNP DNP 68 i ―- 79 8 15 2 5 0 C 404(-7〉 ロ ー ム 2 9 80 1 206 i C ―― i 371 501 564 火 山砂 最 下 部 火 山 灰 層 ロ ー ム 205 A 442 ―― i 500 (566) 軽 石 hpml瑞 19 107 A 421く-3〉 50(0) i 560く-3〉 13 1 77 0 C 464(0〉 160(-14): ― ロ ー ム 17 55 8 0 5 38 2 A 避 石 gpm 卸m 15-20 A 451(+1) 170(+7〉 1 540(0) ロ ー ム (IDm9 15´-20 05 167 14 814 C 489(+3) ― 1 565(+2) ローム質軽石 わm2P ねm2 21 1 0 9 63 8 -- 35 3 R 463(+3〉 130(+12〉
│
― 火山砂 sP fpml わml 35‐ヤ45 35 蝸 一 76 4 0 5 22 793 8 -- 6 3 RC 456(+7〉449(0) 130(0〉│
― 129(0〉 i 560(+2〉 軽 石 ローム 35…-40 火山砂:ラミナ 40-70 - 848 -― n412■ R 440(+5) ロー ム 20-30 軽 石 фm2 фm2 ―- 78 9 1 3 19 7 : 228 A 452(0) 239く+4〉│
― 火山砂 dvs dvs - 906 13 8.0 1 224 i C 457(+5) 173(+9〉│
― 軽 石 dpml i dpml C 451(+4〉 164(+16〉 1 529〈-2) ロ ー ム 軽 石 cpm cpm 22 1 - 913 04 83 1 242 1 A 452(+2) 230(+20〉│
― ド リ お コ 田 口出 溺 ・ ヴ ロ 弧 ・ 丼 引 耐 Ж *露頭における同定 料 分析結果による同定 ***く )内は模式地における測定値との差大山最下部火山灰層 中の強磁性鉱物 もとづ き露頭 において識別で きる。fpmlの直上には
,
s,fpm2とお もわれる火山砂 と風化の 著 しいローム質軽石がみ られるが,み
だれた堆積状態のためはっきりしない。これらの最下都 火山灰層 をおお って,露
頭最上部 に下部火山灰層がのる。表層の軽石層 はDNPに
同定 される が,そ
の下位 はローム層 と所属不明の火 山砂でDAP2や DAPlは
す くな くとも肉限的には識 別で きない。 表2から,重
鉱物組成では鉱物組合せ をみるか ぎり,各
テフラとも模式地での組成 とよく一 致 していることがわかる。 しか しなが ら組成比では一致 しない点がみ られ, とくに模式地で特 徴的に8∼14%の
斜方輝石 をふ くんでいたcPm,dvs,dpm2か
らはわずか1%程
度の斜方輝石 しか検出されない。 このことは,鉱
物組成のみを示標 とするテフラの同定 。対比の限界 をしめ している。いっぽ う,熱
磁気分析結果では,模
式地において層準 ごとにみ られた強磁性鉱物の 特性の相違が,本
露頭 において も対応 よ くみ とめ られる。 また,露
頭で対比が不明であった り, 肉眼的に識別不可能であった層準 について,強
磁性鉱物のTcの
特徴か ら,以
下のような同定 がなされた。 ①fvsに
同定 されるのではないか と思われたfpml直
上の火 山砂 は,
α相のTcが
129°C
であることに加 えて,560°Cに
もβ相のTcが
もとまることか ら,fvsで
はな くfpmlその もの に同定 される。つ ま りこの火山砂 は,模
式地でfpmlの上部 15 cmに み られる火山砂 まじりの 層準 (表1参照)に
対比 される。 ②fpmlの
上位 の ローム質軽石層 とgpmと
のあい だ に位 置す るローム層 か らは,489, 565°Cと
い うom3に
固有 な強磁性鉱物 のTcが
検 出される。 したがって この層準 には fpm3 の混入が確認 される。 ③ これ らの同定の結果,fpmlの
上位 のローム質軽石層 は検 出されるTcの
値 に若千の相 違があるがfpm2に対比 され,
したが って本地点では sを欠除することがわかる。 ④llpmlの
上部 19 cmは,そ
の下位の軽石 より濃い色調の黄褐色 を呈 している。 この層準 か ら採取 した試料の分析結果 は,hpmlの
特徴 とは大 きくことな り,検
出されるTcの
値 (50, 421,563°C)か
ら llpm2に 同定 される。 以上のような結果か ら,各
テフラ層 について本地点 と模式地 とでのTc測
定値の差 をもとめ た (表 2)。 同一層 について複数の測定値がある場合 には,そ
の測定値で しめされる温度幅に 本地点での測定値 か入 っていれば差 は ±0と し,は
ずれていれば温度幅両端 の うち近い方の 値 との差 をもとめた。 この差の値力Ⅵヽさければ,強
磁性鉱物の熱磁気的性質は水平的に一定 し ていることになる。表2か
らわかるように主相や副成分の β相のTcで
はこの値 は小 さく,ほ
ぼ8°C以
内にお さまってい る。 これに対 して,
α相のTcで
はこの差が20°Cに
達す る場合 (cpm層)が
あ り, β相 よ りも安定性 に欠ける。 したが って α相 のTcは
テフラごとに固有な 値があるが,そ
のばらつ きは比較的大 きく,同
定・対比の示標 にする場合にはこの点の注意が 必要である。 ところで,下
部火山灰層のローム層 には,ふ
くまれる強磁性鉱物の種類が複雑であることをしめす多数の
Tcが
もとまる層準があった。DAPlの
直下 (試料No.55)お
よびDAPlと DAP2
のあいだに くるローム(No.57)がそれである。 この両層準 の試料か らえられる
Tcの
うち,500°
C以
上の高温部 にある2点のTcは
,三
瓶火山を給源 とす る三瓶木次軽石 (K3)に 特有 な値 と一致す る。大山東麓地域では
,K3は
DAPlの
下位 に くることがわかってお り (岡田・谷岡田 昭明・谷 口 恵・木下 直美 また
,同
じ両試料 か ら検 出 される 380℃ 付 近のTcは
,阿
蘇 カルデ ラを給源 とす る阿蘇4火
山 灰 (Aso‐4町
田ほか,1985)に
ふ くまれ る強磁性鉱物 による ものであ る と考 え られ る (木下 。 岡 田,1989)。 下部火 山灰層 の ローム層 で検 出 され る多数 のTcは ,こ
の ような外来 のテ フラ の混入 を しめす もの と考 え られるが,こ
の問題 については稿 を改 めて報告す る予定である。 最 下都火 山灰層 中で もっとも特徴 的な ゎm3は ,多
くの点で三瓶木次軽石 (恥)に
似 てい る。 図6-6には,Loc.2の
南 方 の関金 町大 山池 で採取 したK3の
熱磁 化 曲線 をfpm3の
それ と重 ね て しめ してある。重鉱物量比が7%程
度 ときわめて低 い こと,黒
雲母 に富みわずかなが ら斜方 輝 石 を もつ こ と,高
温部 に強磁性鉱物 の主相 のTcが
2点検 出 され る こ とな どは,K3の
特性 にほぼ一致 してい る。 ただ し, 2点
もとまるTcの
うち低 い方 のTcは
486°Cで
あ って, 2点
とも500°C以
上 に くるK3の
場合 よ りやや低 い。 こうしたわずか な相違 はあるが,両
者 の類似 性 はfpm3が
三瓶火 山起 源であ ることを しめ している もの と思 われ,今
後 同火 山地域 との対比 が問題 となる。VI
ま1)模
式地 における大 山最下部火 山灰層 は,10層
の軽石層(apm,cpm,dpml,dpm2,ゃ
ml, fpm2,fpln3,gpm,hpml,hpm2), 5層 の火山砂層 (bvsl,bvs2,dvs,evs,fvs)お よびこれ らに介 在するローム層で構成 されている。2)軽
石層・火山砂層 にふ くまれる強磁性鉱物には,チ
タノマグネタイ ト系列 (β相)の
も のとイルメナイ トーヘマ タイ ト系列 (α相)の
ものとがある。 この うち β相 は主成分鉱物 (主 相)と
してすべてのテフラにふ くまれてお り, また apm,ゎml,fpm3,gpmに
は主相 とは異な る組成の β相力渭」成分あるいは微量成分 としてふ くまれている。 α相 はapm,evs,fpm3か
ら は検出されず,こ
れら以外の層準に副成分鉱物 としてふ くまれる。3)主
相の β相が しめすキュリーポイン ト(&)は ,全
層準 を通 じて450°C付
近 にきわめて 良 く集中 してお り,最
下部火山灰 を噴出 した活動中,強
磁性鉱物の主相の化学組成 はほとんど 変化せず一定 していたことをしめ している。4)こ
れに対 して α相の組成変化 は大 きく,検
出されるTcは
テフラ層 ごとに特定の温度範 囲に分布 している。 したが って,
α相の熱磁気的性質はテフラの同定・対比の示標 として有効 であると結論で きる。ただ同一テフラを水平 に追跡 した場合,Tcの
値のば らつ きはβ相 より α相で大 きくなることがみとめられるので,同
定 。対比に際 してはこの点に注意 を必要 とする。5)最
下部火山灰層 のなかで もっとも特徴的なテフラは,本
研究で新 たに識別 されたom3
層である。ゎn3に
み られる強磁性鉱物の熱磁気特性 は,大
山火山を噴出源 とす るテフラのそ れとは異質であ り,重
鉱物組成の特徴 とともにむしろ三瓶火山起源のテフラに類似 している。6)ロ
ーム層 にみられる重鉱物組成および強磁性鉱物の熱磁気的性質は,そ
の下位, とくに 直下の軽石層あるいは火山砂層の もつそれらと類似 していることが多い。つ まり軽石層や火山 砂層にふ くまれる重鉱物・強磁性鉱物は直上のローム層 まで連続 してふ くまれるのが一般的に みとめられる。 したが ってローム層のある特定の層準 にこれらと異 なる特性が検出された場合 には,肉
B艮的に識別がで きな くて もその層準 に別のテフラの混入 を確認で きることになる。大山最下部火山灰層中の強磁性鉱物 文
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Abstract
For identiacation and correlation of the Quaternary teplara layers,the thermo■nagnetic analysis of ferro‐
maglletic mmerals IIa the lowemost member of the Daisen Teptta fomaOon was perfomed and dscussed.
At the type localty, the member is composed of 10 1ayers of punice fal, 5 1ayers oflapユ とbearing coarse volca― c ash and 12 illtercalated iayers of、veathered volca c ash soll. Fifteen lline saコ nples were colected と