鳥取大学教育学部 研 究報告 (自然科学), 47 (1998), 69-79
強磁性鉱物の熱磁化特性によるテフラの同定
Shomei Om《Identiacation OfQuattrnaly tephras by hermomagneic properLes offerroコ nagneic minerals
(1998年 3月30日 受理)
は じ め に
強磁性鉱物 のキュ リー温度 に よるテ フラの同定 は MomOse etal。 (1968)イ こ始 ま り,Maenalca
(1971),会田
(1978,1994),Okada(1980),Yoshida(1980射 b),近
藤 (1980),岡田 (1996) な どによ り, 日本の各地で成果 をあげて きた。 しか しなが ら,火
山ガ ラスの屈折率や斑 晶鉱物 の化学組成 による同定法 な どと比べ れば,充
分 に普及 した方法 となって い る とはい えない。 鳥取県の大 山火 山を噴出源 とす るテフラ群 は,下
位 か ら大 山最 下部火 山灰層,下
部火 山灰層, 中部火 山灰層,上
部火 山灰層 に層序 区分 され る。 これ らを構 成す るテ フ ラの内容 は,大
山を中 心 としてその東西南北 の各地域 で少 しずつ異 なるが,と
くに東方域 に もっ とも多数 のテ フラが 分布 してい る。 大 山東方域のテフラは,降
下軽石 を主 とし,火
山礫 まじり粗粒火 山灰 (以下火 山砂 と呼ぶ)お よび風化火 山灰土 (以下 ロー ム と呼ぶ)で
構 成 され る。 肉限的 に特徴 的 な大 山上部火 山灰層 を 除 くと,こ
れ らは各 々 よ く似 た層相 を呈 し,野
外観察のみでは同定 。対比が困難であ る。 岡田 ほか (1990)は,大
山最下部火 山灰層の模式露頭 にみ られ る各 テ フラについて,有
色 鉱物組成 と強磁性鉱物 の熱磁化特性 を検討 し,と
くに強磁性鉱物 のキュ リー温 度 が テ フラに よって固有 の値 をもち,同
定 。対比 に有効 であ るこ とを示 した。 同様 な結果 は大 山上部火 山灰層 につ いて も明 らかにされている (岡田,1994)。 大 山最下部火 山灰層か ら上部火 山灰層 までのすべてがそろって観察で きる露頭 は数少 ない。そ の数少 ない一つ として倉吉市 の西方,大
栄町西高尾 に西高尾 ダムの建 設 に伴 って出現 した露頭 がある。そ こでは,溝
口凝灰角礫岩 を覆 って大 山最下部火 山灰層,下
部火 山灰 層,中
部火 山灰 層,上
部火 山灰 層 が累重 してい る。小論 で は,こ
れ らを構成す るテ フラを試料 として用 い,そ
の熱磁化特性 を明 らか にす るとともに,強
磁性鉱物 のキュ リー温度が テ フラの同定示標 と して きわめて有効 であることを改めて述べ る。 本露頭 の存在 を教 えていただ き,露
頭調査 と試料採取 に協力 いただいた東伯 町立東伯 中学校 の寺谷直美教諭 にお礼 申 し上 げます。 *地学教室Departnlent of Eartll Sciences,Faculty ofEduca■o■,Totton Universiけ ,TOttOA 680-8551,」 apall
明* 昭
田 岡
昭 岡 テ フ ラ の 産 状 西高尾 ダム露頭 は
,大
山の北東約16 1dnにあ り (図1),溝
口凝灰角礫岩がつ くる火山麓扇 状地の末端部に位置 している。西高尾 ダム建設の際に掘削されてで きた切 り通 し露頭で,標
高180mほ
どのやや開析 された台地上にある (図2)。 露頭は高 さ最大約12m,南
東に面 し,北
東―南西方向に約200mに
わたって連続 している。この北東端のスケ ッチを図3に示す。 露頭最下部には,径
10数cm∼数10 cmの風化の進んだデイサイ ト礫 をもつ溝口凝灰角礫岩(Mz)が
約lmの
厚 さで顔 を出 してお り,そ
の表層25 clnは赤色味の強いロームに漸移 してい る。 これを覆って全層厚約12mの
大山テフラ群が,ほ
ぼ水平 に累重 し,平
坦 な現地表面 をつ くっている。露頭中位の灰 白色火山砂層 と,そ
の上位の黄褐色軽石層がそれぞれ層厚70cm,180
cmと
ひときわ厚 く, 日につ く。黄褐色軽石層は,そ
の厚 さと本露頭の位置か らみて大山倉吉軽 石(DKP)で
あるとしてまず間違いない。灰 白色火山砂層の下位 には, 5枚
の軽石層 と3枚
の 火山砂層およびそれぞれの間に くるローム層が見 られるが,ロ
ーム層はいずれも赤色味が強 く, この特徴か らこれ らが大山最下部火山灰層に相当するものであると判断で きる。 最下部火山灰層 を構成す る上記5枚
の軽石層 は,下
位の ものか ら層厚9,28,15,18,20 cnaで , いずれも薄 く,風
化 も著 しい。 とくに上位2枚
の軽石層は, ともに断続 していて連続性が悪い。 下か ら2枚
日と3枚
目の軽石層の間には,三
枚の火山砂層がはさまれる。 このうち中位のもの は,層
厚 35 cmと やや厚 く,か
つ主に粒径の違いによる水平な縞 目が発達 していて特徴的であ る。上位の火山砂 にも同様な縞 目が見 られるが,中
位のものより薄 く (層厚20 cm),ブ
ロック 図1
調査露頭の位置 (黒枠 は図 2の 範囲.) 1:大栄町西高尾 ダム露頭2:倉
吉市大河内露頭3:関
金町荒田露頭強磁性鉱物の熱磁化特性 によるテフラの同定 図
2
西高尾 ダム露頭の位置 と周辺の地形 (目土地理院発行 2万 5千 分の1地形図「伯者浦安Jを使用) 状 に分割 されて断続的に続いている。下位の火 山砂 (層厚15 cm)は ロームをはさまず下か ら2枚
目の軽石層の直上に位置 し,縞
目は見 られない。後述するように,こ
れ ら5枚
の軽石層 と3枚
の火山砂層 は,最
下部火山灰層の模式露頭である倉吉市大河内 (図1,地
点2)の
c/pm,dpml,gpm,hpml,hpm2の
各軽石層およびdvs,evs, sの 火山砂層にそれぞれ対比 されるもので ある。なお,赤
色 ローム層の層厚 は,下
位か ら62,30,55,67,45,55,95 cmで あって,本
露頭 に おける最下部火山灰層の全層厚 は,約
5.7mに
なる。 はじめにふれた灰 白色火山砂 は,最
下部火山灰層の上位 にあ り,中
部火山灰層構成層である 大 山倉吉軽石層の下位 にあることか ら,下
部火山灰層の構成層で大山の北麓に分布す る名和火 砕流 に封比 されるものと考えられる。ただ し,本
露頭の灰 白色火山砂は,火
砕流本体ではな く むしろ降下推積物であって,津
久井 (1984)や 荒川 (1984)が指摘 した “火砕流周辺の薄層部" にあたるものと考 えられるため,以
下では名和火山砂(Nw)と
呼ぶことにする。 名和火山砂 とその上位の大山倉吉軽石 との間には,下
位か らローム層 (層厚20 cm),軽
石層明 5m 葬 無 一 ― … ― い ― ― ‐ 器 ´ ― 婁 ヤ ー ー 主 ′ 図
3
西高尾 ダム露頭のスケ ッチ (凡例 は図 5参 照) (10 cln),ロ ーム層 (40 cm),軽 石層 (23 cm),ロ ーム層(25cm),軽
石層(5cm)お
よびロー ム層(15m)が
はさまれる。ローム層はいずれも褐色 ロームで,上
か ら2枚
日のものだけにク ラックの発達が認め られる。三枚の軽石層の うち中位の ものは比較的厚 く水平的な連続性が良 いが,上
下の2枚
はごく薄 く,連
続性 も悪い。 また,上
位2枚
を構成する軽石粒 は黄褐色 を呈 し,大
山倉吉軽石層の軽石粒 とよく似ているのに射 して,下
位層の軽石粒 は淡灰色で粒子の外 形は不明瞭である。下位層のこの特徴は,名
和火 山砂のす ぐ上に位置するとい う層位関係 も含 めて,大
山山麓における三瓶木次軽石 (K3)の産状 と一致 している (津久井・柵山,1981;岡
田 。谷本,1986)。 下位の軽石層が三瓶木次軽石である可能性が強いことか ら,こ
れと大山倉吉軽石 にはさまれ る2枚
の軽石層は,大
山東麓の標準層序 (岡田ほか,1995)に
照 らし合わせて,そ
れぞれ下位 か ら大山生竹軽石(DNPl,大
山関金軽石(DSP)で
あると考えられる。大山関金軽石は大山倉 吉軽石 とともに大山中部火山灰層 を構成するものであ り,名
和火山砂,三
瓶木次軽石お よび大 山生竹軽石は下部火山灰層の構成層である。なお,下
部火山灰層 にはこのほか大山荒田軽石1(DAPl),大
山荒田軽石2(DAP2)が
あるが,こ
れ らは大山東方域に分布するものの南部に限 ら れるため (岡田・谷本,1986),本
露頭 には存在 しないと考えて良い。 大山倉吉軽石層の上位 には,ク
ラックの発達 した褐色 ローム (層厚35 cm)が
あ り,こ
れを 覆って一見 して大山上部火山灰層 と判断で きる一連のテフラが露頭最上部にのっている。 これ らは下位か ら姶良Tn火
山灰lAT:層
厚25 cm),下 のホーキ火山砂 (Sh i 35 cln),オ ドリ火 山 砂 (Od i 20cm),上のホーキ火山砂(Uh:35cm),弥
山軽石(MsP:25 cm)で
あ り,最
上部 は 35 cmの ロームが覆って現地表をつ くっている。強磁性鉱物の熱磁化特性によるテフラの同定 強磁 性鉱物 の熱磁化分析 とテ フラの同定 ロームを除 く全 テ フラか ら試料 を採取 し
,磁
気 天秤 に よる熟磁化 分 析 をお こなった。試料 は 水 中で良 くもみほ ぐしたあ と,舗
い分 けによ り1/4∼1/8mmの
粒径 部 を選別 し,こ
の粒径部か ら棒磁石 に吸着す る粒子 を集めた。吸着粒子 には単体 の強磁性鉱物 のほか に,細
粒 の強磁性鉱 物 を取 り込 んだ斜 方輝石 な どの有色 鉱物 も含 まれ るが,こ
れ らを一緒 に分析 に供試 した。熱磁 化分析 は,室
温か ら600°Cま
での温度の変化 に対す る試料 の磁化変化 を測定す るもので,得
ら れた熱磁化 曲線 か らキュ リー温度 を求めた。以上 を含 め,試
料処 理法,熟
磁化分析法の詳細 に ついては岡田ほか (1990)に従 った。 図 4に 各テフラについて得 られた熟磁化曲線を示す。これ らはすべて 2回 繰 り返 し測定を行っ たうちの, 2回
目の加熱過程 曲線である。図中,実
線の曲線が西高尾 ダム露頭か らの試料の測 定結果で,点
線の曲線 は,大
山東麓における標準試料 についての測定結果である。各曲線か ら 求めたキュリー温度の位置 を曲線か ら垂直におろした破線で示 してある。標準試料の測定結果 には,中
部火 山灰層お よび下部火山灰層 については,そ
れ らが模式的に分布する関金町荒田の 露頭 (図1,地
点3)か
らの試料の測定結果を,ま
た,最
下部火山灰層については,そ
の模式 露頭である倉吉市大河内で得 られた結果 (岡田ほか,1990)の
うち,層
相や層序に矛盾がな く かつ熟磁化曲線が もっとも良 く一致するものを示 してある。野外での同定が確実な大山上部火 山灰層について も,比
較のために倉吉市大河内露頭 (最下部火 山灰層模式露頭の約100m東
) の試料についての測定結果 (岡田,1994)を
示 した。各試料か ら得 られたキュリー温度の値 を 表 1に まとめて示す。 図4に明 らかなように,西
高尾露頭の試料の分析結果は,標
準試料の分析結果 と,熱
磁化曲 線のパ ター ンもキュリー温度 もきわめて良 く一致 している。図5に露頭柱状図に対応 させて各 テフラのキュリー温度 を図示 した。黒丸 と白丸は,そ
れぞれ西高尾露頭の試料のキュリー温度 と標準試料のキュリー温度を示 してお り,同
一試料中に複数種の強磁性鉱物が含 まれる場合は, 主成分の強磁性鉱物 (主相)の
キュリー温度を大 きな丸,副
成分の強磁性鉱物 (副相)の
それ を小 さな丸で表現 してある。主相,副
相 ともに,西
高尾露頭の試料 と標準試料のキュリー温度 の,層
準間での変化 はほぼ完全 に一致 しているといえる。 以上の結果,西
高尾露頭の最下部火山灰層構成テフラは,下
位か らcpm軽
石層,dpm軽
石 層,dvs火
山砂層,evs火
山砂層,hG火
山砂層,gpm軽
石層,hpml軽
石層お よびhpm2軽
石 層にそれぞれ矛盾無 く同定で きる。最下部火山灰層か ら得 られるキュリー温度の特徴 について は,す
でに岡田ほか (1990)や岡田 (1996)で 述べたが,今
回の測定結果か ら改めて列挙すれ ば以下のようになる。(1)主
相の示すキュリー温度は450°C付
近に集中するが,evs火
山砂 とhpm2軽
石ではやや 低 く,角G火 山砂ではやや高い傾向がある。(2)副
相 として得 られるキュリー温度は層準ごとに大 きく変化 し,個
々のテフラの特徴づけ に大 きく役立つ。ただ し,evs火山砂だけは,得
られるキュリー温度が一つで,副
相 に相当する 成分をもっていない。(3)hpm2軽
石層が もつ副相のキュリー温度は,50°C以
下 とい う際だって低い温度 を示 し, 逆にcpm軽
石層や s火山砂層 には200°Cを
越えるとくに高いキュリー温度の副相が含 まれて いる。明 田 脚 卿 IIPE, 脆(0,1町 則 H・ I 朗 Z・ jI" 朧(C,・V W 割 :dvs IIl 畑 主 庄 評 岳 〔t'c,W tt Ш U・ tt π 「ぶ嵩Цω W tt IIIH 削 IIIU HmttHn 411 m Ш lm ttd I盛 鵡 Ⅸ,W WJ 硼 i田 211.に耐能 (・0 1Ш tt Ш
埒
4
1
1
i
D
軒
lLE tt IB.酬 出:(C)`W 削 叫 U漿 糾I XIPE胡 性 (C)°W tt Ш I“ 即 ItWfd貰推(ど,C 削 ・J 図4
各テフラ中に含 まれる強磁性鉱物の熱磁化曲線 実線 :西 高尾 ダム露頭の試料 点線 :標 準試料 (曲線か ら降ろ した破線 はキュリー温度の位置 を示す) 球 , ヽ , ︰ 0 四 ZI I度 辞 脱(C)E 即 錮強磁性鉱物の熱磁化特性 によるテフラの同定 表
1
西高尾 ダム試料 (上段)と 標準試料(下段)中 の強磁性鉱物のキュ リー温度 キュ リー温度 (°C) テ フ ラ <200 200-300 300-400 400-500 500-550 550< ISP I:: Uh i49 Od i:! 451453 Sh i:: 454 452 AT I:I ::!′
:; :ち! DKP I!: 415 419DNP
511 567 506 561Nv i::
459 465 573 hpm2 4: 438 565422 560 hpml i子 ! 161 gpm 160 S 9!! 4::dVS i:!
dpml :4: Cpna 9i9 4:息 次 に,下
部火 山灰 層 お よび中部火 山灰層 につ いては,露
頭調査 時 に推定 された対比 に誤 りは 無 か った と結論で きる。 と くに,岡
田・谷本 (1986)や 岡田ほか (1990)がす で に指摘 した よ うに,三
瓶木次軽石からは510°Cと
560°C付
近にキュリー温度が明瞭に求まり, きわめて特 徴的であって,同
定の確かさを裏付けるものである。また,大
山倉吉軽石,大
山関金軽石,大
昭 西高尾ダム キ ュ リー 温 度 (℃) 200 300 400 囲 1甥 2囲 3圏 4国 5園 6園 7圃 8 図
5
西高尾ダム露頭の柱状図と各テフラ中の強磁性鉱物のキュリー温度 1:ロ ーム2:赤
色ローム3:ガ
ラス質火山灰4:火
山砂5:縞
目の発達する火山砂6:軽
石 7:凝灰角礫岩8:ク
ラック帯 (黒丸は西高尾ダム露頭の試料,白丸は標準試料) 山生竹軽石 に含 まれ る主相のキュ リー温度 は,410∼
430°Cに
あって,他
の多 くの大 山テ フラの それが450°C付
近 に集 中 しているの と比べ てやや低 い ことも大 きな特徴 といえる。 なお,こ
の 三枚の軽石層のうち大山倉吉軽石層のみに副相が検出されていて,他
の二枚の軽石層 との識別 に役立ちそうに見えるが,場
所によっては大山関金軽石層や大山生竹軽石層からも同様な副相 が認められる場合がある。 大山上部火山灰層は,野
外での同定が容易であるが,そ
れでも上のホーキ火山砂層と下のホー キ火山砂層は,互
いに層相が酷似 していて,そ
れぞれが単独に露出するような場合には同定は 困難となる。岡田 (1994)は,多
数の試料の分析結果から,下
のホーキ火山砂層 とオ ドリ火山 大 山 上 部 火 山 灰 唐 火 山 灰 層 大 山 中 部 火 山 灰 層 大 山 下 部 大 山 最 下 部 火 山 灰 層強磁性鉱物の熱磁化特性 によるテフラの同定 図
6
柱状対比図 (柱状図の位置は図1,凡例は図 5参 照) 砂層 の副相 のキ ュ リー温度 は135∼ 170℃ の範囲にあ り,上
のホーキ火 山砂層 と弥 山軽石層のそ れは 110∼135°Cに
あ って,前
二者 と後二者 とはこれに よ り識別可能であることを示 した。今 回分析 した西高尾露頭 の場合 も,こ
の結果 と完全 に一致 してい る。上部火 山灰層 の基底 に位置 大 山 最 下 部 火 山 灰 層 溝 口 凝 灰 角 礫 岩明 する姶良
Tn火
山灰層か らは, 4つ
のキュリー温度が得 られるが,こ
のうち,150°Cと
450°C
にあるものは直上の下のホーキ火山砂層か ら混入 した強磁性鉱物の ものであって,350°Cお
よ び520°Cの
キュリー温度がAT火
山灰層本来の強磁性鉱物によるものである (岡田,1994)。 以上に述べてきたように,大
山東麓に分布するテフラに含 まれる強磁性鉱物の熱磁化特性,と
くにキュリー温度は個 々のテフラ層 に固有の値があ り,か
つそれが分布の拡が りに関わ らず水 平的に安定 していて,優
秀な同定示標であるといえる。図6は,小
論で取 り扱った4露
頭の柱 状対比図である。最下部火山灰層や大山生竹軽石層,大
山関金軽石層などの場合,西
高尾 ダム 露頭はその主要分布地か ら北方へはずれているため,こ
れ らがいずれ もきわめて薄 くなってい ることが読み とれる。小論では触れなかったが,た
とえば最下部火山灰層のcpm軽
石やhpml
軽石の重鉱物組成は,西
高尾ダム露頭の試料では不透明鉱物の合有率が60∼95%に
達 していて, 模式露頭での組成 と大 きく異なっている。薄層であることによ り風化が著 しく進行 した結果で あると考えられるが,こ
のように重鉱物組成が同定示標にな り得ない場合であっても,キ
ュリー 温度を用いれば確実な同定が可能である。 なお,本
研究の結果,詳
細 な分布が まだ充分に解明されていない大山最下部火山灰層の構成 層のうち,apm,bvsl,2,dpm2,Ⅲml,2,3の
各テフラの分布範囲は,西
高尾 ダム露頭が位置する 大山北東部へは達 していないと結論で きる。 引 用 文 献 会田信行 (1978):八 ヶ岳新期火山灰層の自然残留磁化 と強磁性鉱物.第
四紀研究,17(2),86-94. 会田信行 (1994):関 東地方に分布する “PttP'の 熱磁気特性.第
四紀,27,11-16. 荒川 宏 (1984):大 山火 山北西部における火 山麓扇状地の形成.地
理評,57(12),83卜855. 近藤 務 (1983):石 狩低地帯南東部の後期更新世テフラAafa Mpfaの 強磁性鉱物の熱磁気的性質―一対比 への適用例一―.地
球科学,37(4),205-218.Mttnalca K(1971): Feromagnedc minerЛsin volcanic ash ofhe Osaka Group in」 apala.J.G.R"76,279併 2802.
Momose K Kobayashi K Minagawa K,and Machida M.(1968): Idenincation ofttphra by Means offero‐ magnetic minerns in punice B■1.Eal・tllq.Res.Inst,, 46,1275-1292.
Okada S.(1980): ThermOmagneuc properties offerromagnedc mineralsin he ShikotsI Pumice Fall Deposh
distributed h Sotttlavest Hokkaido,Japan.」 .F艇 .Educadon Totto Un .,Nat,Sci.,20(2),173-183.
岡田昭明・谷本慎― (1986):大 山下部火山灰か ら新たに発見 された2枚の降下軽石層について,鳥取大学 教育学部研究報告 (自然科学),35(卜2),33望2. 岡田昭明・谷口 恵・木下直美 (1990)i模 式地における大山最下部火山灰層中の強磁性鉱物の熱磁気特性. 鳥取大学教育学部研究報告 (自然科学),39(2),143-160. 岡田昭明 (1994):大 山上部火山灰 と姶良Tn火山灰に含 まれる強磁性鉱物の熱磁化特性,第四紀,26,5-16. 岡田昭明・佐治孝式・樋 口和之 (1995):大山テフラと蒜 山原.日本地学教育学会第49回全国大会 (鳥取)野 外研修案内書,28p. 岡田昭明 (1996):大 山蒜山原軽石 (DHP)と大山最下部火 山灰hpm2軽石 について.島根大学地球資源環 境学研究報告,15,53-60. 津久井雅志 。ltX山雅則 (1981):大 山山麓における三瓶 山起源の降下軽石層の発見 とその意義
.地
質雑 , 87(3),559-562. 津久井雅志 (1984):大 山火 山の地質.地質学雑誌,00(9),643-658,強磁性鉱物の熱磁化特性によるテフラの同定
Yoshidtt MI(1980): Identtillcaio■ oftфhrasbymagnetic lneasuremellt(1) AkahoyanidMtte pumice h sttdЛ attensiOn to grain size erect_.The Quaternary ReseaFCh,10,39-47こ
Yoshida,M.(1980b): Identtcatilon Of tepllras by magnetic mcasttrement(2)― Applic on to tephras in
souhvestem Kyusllu―.The Quttmav Rescarch,と t99-106.
Abstytract
For idenmcate and correlate he Quattmary tephFaS,he hennOmaglletic pFOpemes offerromagnedc mh‐ erals contancd in the Daisela tephrafomatiton are analysed by means oftherlncllnaglletic bЛ 韓 、
The investigated Outcrop is■ 6ha nortlleast ofhe Daisen― voにall。.Athe outcrop,tea p■ l cc falllayers and
eightash falllayersare expoeed.AlmostЛ Ithesetephra layers areveryhinand remarkablyWeatherdbecau申 he outcЮp is simated apaFttOm heiFdistribuu6n axes,The res■ 皓 Ofhetterlnomagneic analysis ttowhat hesenh ttdweatheFed tephraS arecOmpletely∞茸datedtOnck ttd moren・csh tephFaSOfhetrmれdist洋 bu柱Om area.The thermolnagnett properlies of ferromagnetic ninerals hcludillg he CunO temperature arel