• 検索結果がありません。

土の凝集力と付着力との関係-香川大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "土の凝集力と付着力との関係-香川大学学術情報リポジトリ"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

土の凝集力と付着力との関係

山田 宣良

RELATIONSHIP BETWEEN COHESION AND ADHESION OF SOIL

NoriyoshiYAMADA

Tensile tests of soilswere carriedoutwithpowdercohesionapparatustoresearch the correlation between cohesion,thatisin case of failure surface growingininner SOil,and adhesion,thatisincase of failure surface growing at the border of soiland metal

Three kinds of cohesive soilsin Kagawa prefecture,kaolin and bentonite壷ere prepared for the experiment and the moisturelevelof these samplesare rangingfrom LL to air dry

Results obtained are as fo11ows:

(1)Cohesion and adhesion of soilalterswith anincreasein soilmoisturein two CaSeS:One has a convex curve having a peak and another riseslinearly with an irlCreaSein soilmoisture

(2)Generally,inlow moisture range,COhesionislarger than adhesion,but when moistureincreases near LL,adhesion comes to belarger than cohesion

(3)Based on the cohesion at a point of contact,the ability of soilparticle to make aggregate may be decided

(4)Asmoisturelevelatwhichcohesionislargerthanadhesionisprofittable to tilage Orearthwork,the optimum moisturelevelis proved to be alittle dryer than PL キーワード:顔集力,付着力,LL,PL 緒 土のような粉粒体には,引張応力として内部結合力(凝集力=Cohesion)と,外部結合力(付着 力=Adhesion)とが作用することが知られている”この両者はしばしば混同して使用されている が,テイルス(Tilth)のような応用的側面からみると,その意味には異なるものがあり,区別して 取り扱う必要がある すなわち,農作業や土木施工など,金属の道具を用いて土に応力を加えた場合,凝集力>付着力 の場合にほ土は金属の表面に付着することなく,作業を容易に行うことができるが,付着力>凝集 力の場合には,型体や撥土板などに土が付着して作業が困難なものとなる,したがって土の凝集力 と付着力との関係を的確に把捉することは,土の基本的性質を知るのみならず,農作業や土木施工 計画などにも幅広く応用しうる側面を持っている 土の溌集力や付着力に関する研究ほ,既に今世紀の初頭,Atterbergらによってその端緒が開か れ,その後多くの研究者によって,主として「付着力」に関する研究が行われてきた‖ その間の歴 史的発展課程は秋山(1)が詳述しているい また同論文においては,凝集力と付着力との関係について も検討され,金属一土壌間の圧着力を大きくするほど,付着力に対する凝集力の割合が大きくなる

(2)

香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 48 ことが示されているしかしながら,測定装置そのものが付着力のみの計測を対象としているの で,測定データは凝集力>付着力の場合のみに限定されている そこで本論文では,引張型の粉体付着力測定装置(島津ED−2000CH型)を使用することにより, 試料の破断面が土の内部に生じる場合(凝集力)と,破断面が土と金属との境界面に生じる場合 (付着力)との双方について土の結合応力の測定を行い,両名の関係を実験的に検証した

実験の方法

1供試試料 実験には2種類の原料粘土(カオリン,ベントナイり と,3種類の香川県下の土(五色台A, 五色台B,由良山土)とを供試した.それらの試料の物理性は表−1に示すとおりである この表において,LL以下の4項目ほ.420/Jmふるい通過試料を対象とした測定結果であり,そのう ち比表面培および平均粒子径は透過法(島津SS−100型)による測定結果から算定した この表からわかるように,供試試料はいずれも粘性土(細粒分が50%以上の土)に属するが,そ れぞれの活性度はかなり異なっている −・般に凝集力及び付着力に影響を及ぼす国子としては,水分,密度,有機物などが考えられてい るので(2),本実験においては,水分を風乾∼PLの4∼5段階に,また密度を各測定水分時の最大お よび最大の0.8倍の2段階に設定して測定を行った.なお有機物量ほ,全試料が無機質であるので, 制御の対象から除外した 表−1 供試試料の物理性

密度 粘土分 シルト分 秒 分 LL PL 比表面積 平均粒子径

(g/d) (%) (%) (%) (%) (%) (103c撼/g)(10−4血) 五色台A土 2.67 24 46 30 1050 460 5‖73 397 五色台B土 2.75 16 36 48 570 38‖6 105 208 由 良 山 土 266 19 43 38 29.0 23‖4 2.58 8小75 カ オ リ ン′ 2、60 74 26 0 57小3 46い8 454 5.07 ベン†・ナイト (2け55) (91) (9) 0 310.3 416 17い3 1.34 2引張応力の測定 凝集力および付着力測定の基準となる,引張応力の測定方法を模式的に示すと図−1のとおりで ある 凝集力の測定に際しては,上部と下部の両セルを連結した円筒内の試料を,速度一億の引張力に よって破断し,破断に要した外力から破断面より上部の重畳を差し引いた値を,試料の断面斎(10 c虚)で除し,応力として求めた. また付着力の場合は,下部セルに金属のスペーサー■を入れ,破断が試料とスペ、−サー の接触面で 生じるようにした

(3)

「ニーl 図−1 測定方法の模式図 試料はあらかじめ水分を調整し,セル内において専用の充填器で圧縮した後引張試験を行った 測定は各水分,各密度についてそれぞれ3回ずつ行い,誤差が大きい場合には適宜測定回数を増加 した 実験の結果ならびに考察 1凝集力と付着力との関係 表−1に示した各試料の凝集力および付着力の測定結果は図−2に示すとおりである この図からわかるように,凝集力や付着力は,水分の増加に対して単調増加する場合と,極大値 を示す場合とがある‥ たとえばベントナイトの場合には,密度の大小にかかわらず極大値をもつ が,由良山土でほほとんどが単調増加となる−また五色台A土では,凝集力は極大値をもつが付着 力は単調増加する 測定が図−1に示したセルに試料を詰めた上で行われるので,−・般にLL以上の水分を含む試料 では測定中に水が漏出し,安定した計測が困難となるが,もしLLより水分が多い場合までデータが 拡張できれば,ほとんどすべての測定値が極大値をもつものと考える なお,この際の判定基準としては,それぞれの測定値に対して−・次回帰および二次回帰を行い, 一・次回帰のほうが有意性が高い場合には単調増加,二次回帰のはうが有意性が高い場合にほ.極大値 をもつものとした 全般的にみれば,水分が少ない場合(PL以下)には凍集力が付着力を上まわる傾向がみられ,水 分が多くなると逆に付着力が凝集力より大となる‖ すなわち,付着力の極大値は凝集力のそれより も多水分側にあることがわかるい この結果は,やや乾燥した土のほうが耕転や施工に適していると いう経験的事実を支持している 2接点凝集力と接点付着力 凝集力と付着力はマクロな引張応力として取り扱われているので,たとえば土の構造性の発達に 関与した土粒子の凝集性とほ,必ずしも密接な関係を持つもーのではない..そこで,個々の土粒子が もつ凝集力や付着力を表すものとして,接点凝集力と接点付着力とを求めた

(4)

香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 1接触点当たりの付着力Fと,充填層の破断強度qとの間には,Rumphの式 50 9 (1−e) ・kF (r=− 8 方d2 が成立する(3).実用上はSmithの実験からe・k≒打として ♂=1.1.__ e

d2

で接点付着力を求めている.ここで∈ほ間隙率,dは粒子の直径である この式をもとにして,接点凝集力と接点付着力(ともに粒子径が均一・の場合1接触点に働く力) を求めると図−3のようになる 図−3を図一2と比ぺてみると,とくに付着力を接点付着力に変換した場合に極大値が生じる場 合が増加していることがわかるたとえ.ば五色台A土および由良山土の付着力は,図−2ではいず れも密度にかかわらず単調増加を示したが,図−3の接点付着力では極大値をもつように変化して いる.また相対的な数値としてみると,ベントナイトのように図−3の値のほうが小さくなったも のと,由良山土のように図−3の億のほうが大きくなったものとがある 接点凝集力ほ土の構造の発達とも関係があるものと考えられるので,この値の大小から土の構造 形成能が判定できる可能性があるしかしながら図−2を図−3に変換する計算では,球状粒子の 平均径を用いて接点数を求めているので,均等係数が大きい土や,粒子の形状が球ではない試料に 対する適合性ほやや低いものと考えられる小

ま と め

図−2および図−3で得られた結果を模式的にまとめてみると図−4のようになる 試料全般について凝集力と付着力との関係をみると,基本的にはAのバク−ンとなり,B,C, DはAの特殊な例ともみ.られる −・般に水分がLLとPLの中間より少ない場合には,凝集力は付着力を上、まわり,土は耕転や土木 施工に適した状態である..この水分範囲内ではり凝集力や付着力が小さいはうが作業が容易となる が,風乾堺態に近づくと土の飛散などの弊害が生じるので,土の水分はPLよりやや少ない程度が最 も適当な状態であることがわかる 図−4に示した4種のバク・−ンと,測定値の特色とを各試料別に示すと表−2のようになる 表中における活性度は表−1の後半4項目から,構造形成能は図−3の接点付着力から,また作 業水分範囲は図−2において凝集力>付着力となる水分範囲から,それぞれ判定した 表−2からわかるように,原料粘土であるカオリンとベントナイt・ほ,活性の違いはあるもの の,典型的な粘土としての性質を示しているのに対して,一−・般の粘性土はそれとはやや異なる性質 をもち,とくに由良山士と五∵色台B土とは,かなり砂質土的な面をあわせもっている.すなわち, 粘性土は本来図−4のAのパタ・−ンを示し,作業水分範囲も相対的に広いものであるが,香川県下 の土の中には,砂質粘性土と称すべきものもあることがわかる また構造形成能は,粗大団粒畳と関連性をもち,微細団粒が多い場合には接点数が多ぐなるの で,むしろ形成能小と判定されることがわかる 以上の結果,凝集力と付着力との相互関係から判断すると,わが国のように.降水量が多く,土壌 水分が過湿となる場合が多い自然条件の下では,耕転や土木施工はできるだけ土が乾燥した状態と なるのを待った上で実施するのが,現実的な対応となろう

(5)

5 4 3 2 1 5 4 3 2 1 kPa % 40 60 五色台A土 0 0 1 0 8 % 20 40 60 五∵色台B土 kPa % 2し 40 60 カオリこ/ % 100 200 300 ベントナイト † 凝集力(密度大) ■・・・・・・・○−一 付着力(密度大) …●−− 凝集力(密度小) −−0−一 付着力(密度小) kPa % 10 20 30 由良山土 図−2 試料の凝集力,付着力と水分との関係

(6)

香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 52 % 40 60 80 100 % 20 40 60 五色台A土 五色台B土 % 20 40 60 % 100 200 300 ベントナイト カオリン ・十 接点凝集力(密度大) ・−0一 接点付着力(密度大) −●−− 接点凝集力(密度小) −−0−− 接点付着力(密度小) % 10 20 30 由良山土 図−3 試料の接点凝集力,接点付着力と水分との関係

(7)

PL 風乾

(功

(8)

香川大学農学部学術報告 第46巻 第1号(1994) 表−2 各試料の特性 54 図一2の図一3の 作琴水分範囲 バク−ソバク・−ン′

活性度

(%) 五.色台A土 B A >1′25 20 60 五.色台B土 (D) D 1± 2 由 良 山 土 C <0‖75 60 20 カ オ リ ン’ A A <0い75 20 50 ベントナイ t A A >1l25 2 200 要 約 引張型の粉体付着力測定装置を利用して,試料の破断面が土の内部に生じる場合(凝集 力)と,破断面が土と金属との境界面に生じる場合(付着力)の引張力を測定し,土の凝 集力と付着力との関係を求めた 香川県下の3種類の粘性土と,カオリン,ベントナイtを供試して,風乾からLLまでの 水分範囲内での実験を行った結果,次の事柄が判明した (1)凝集力と付着力は,水分の増加に対して単調増加する場合と,極大値を持つ場合とが ある (2)一般に低水分領域では凝集力が付着力より大きく,水分がLL近くまで増加すると,付 着力が凝集力より大きくなる (3)接点凝集力をもとにして,土の構造形成能が判定できる可能性がある 極)凝集力が付着力より大きく琴る水分範囲は,耕転や土木施工の作業水分範囲とみなさ れ,PLよりやや少ない程度が最適と考えられる

引 用 文 献

(1)秋山豊:土壌の付着性について土壌の物理性,(3)たとえば,神保,浅川:粉体付着力の測定‖ 粉体 24,21−26(1971) の物性と工学,pp87−102.イヒ学同人,京都(1967) (2)新垣,長田:土壌の粒子間結合力の発現につい (1993年10月29日受理) てい虔土論集,143,101−106(1989)

参照

関連したドキュメント

試験体は図 図 図 図- -- -1 11 1 に示す疲労試験と同型のものを使用し、高 力ボルトで締め付けを行った試験体とストップホールの

C =>/ 法において式 %3;( のように閾値を設定し て原音付加を行ない,雑音抑圧音声を聞いてみたところ あまり音質の改善がなかった.図 ;

文献資料リポジトリとの連携および横断検索の 実現である.複数の機関に分散している多様な

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

腐植含量と土壌図や地形図を組み合わせた大縮尺土壌 図の作成 8) も試みられている。また,作土の情報に限 らず,ランドサット TM

絡み目を平面に射影し,線が交差しているところに上下 の情報をつけたものを絡み目の 図式 という..

(2)

測定結果より、凝縮器の冷却水に低温のブライン −5℃ を使用し、さらに凝縮温度 を下げて、圧縮比を小さくしていくことで、測定値ハ(凝縮温度 10.6℃ 、圧縮比