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デンプン存在下でのエチルアクリレートの重合

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(1)

工業化学科 重

(1970年

9月

8日 受 理)

Polymcrization of Ethylacrylatc in thc prcsence of Starch

by

YoshihirO SHIGEMASA

(Received September 8,)

Sunwmary

Polymerization of ethylacryユ ate was investigated in aqueous solution at 60° C. AHlmo― nium persulEate was added as an initiator.

By addition Of starch,the yield of polymer decreases with the rise OF starch conce―

ntration, while it increases in the absence of catalyst,

Experiments for the determinatiOn Of grafting efficiency were performed on the polymers PTepared in differe nt concentrations OE starch and catalyst by tractiOnatiOn

technique.

FTo■■theSe data, it was found that grafting eftticiency rises in direct proPortion tO

starch concentration, and mOreover, the proper range of catalyst concentration gives

the highest efficiency at each starch concentration.

In addition, sOme discussiOns were inade on stability Of emulsion ttnd film一 formability of these polymers. 弘 好 政 要

旨 水溶性デ ンプンの存在下で

,エ

チルアクリレー ト(以 下

EAと

略記

)の

水溶液重合を行なった。 触媒には過 硫酸アンモニウム(以下

APSと

略記

)を

もちい

,重

合 温度は 60°

Cと

した。

(1)EAモ

ノマーの重合率につ いてはデ ンプ ン濃度が高 くなると減少する傾向がみ られ た。しか し

,無

触媒の場合にも重合が進行 しその場合は デ ンプン濃度の増加 とともに重合率は増大 した。

(2)

重合生成物を分別 し,この重合の内容に検討を加えた と ころ

,グ

ラフ ト効率については

,デ

ンプ ン濃度の上昇 と ともに

,高

くな り

,さ

らに添加 した触媒濃度の適当な範 囲内では高いグラフ ト効率が得 られることをみ とめた。 なお

,生

成 エマルジ ョンは非常に安定で

,相

分離あるい はエマルジ ョン粒子の沈降を生 じなかった。また,フ ィ ルム形成能はデ ンプン濃度に大 きく依存した。

1緒

言 デ ンプ ンに対する各種 ビエルモノマーのグラフ ト重合 については,1958年

Kaizermanの

報告1)を はじめ と し

,多

数の研究がなされている2-8,11,12)。 中で も

,ア

リロニ トリルお よびメチルメかク リレー トについては多 数 の検討がなされ

, BrOckwayら

はメチルメタク リレ … 卜を

H202 F」

系で重合を行ない

,

グラフ ト物の 生成の確認

,ホ

モポリマーの抽 出法 およびデ ンプン濃 度

,モ

ノマー濃度

,触

媒濃度がグラフ ト効率などにおよ ぼす影響について系統的に研究している6,11,■ 2)。 一方

,水

溶性デンプンをもちいて

,水

媒体中でビニル モノマーの重合を行なうと

,デ

ンプンが保護コロイ ドと なり

,安

定したエマルジョンが得 られる。この場合デン プンは保護コロイ ド作用とともにグラフ ト重合の幹ポリ マーともなり得る。 本報告においては触媒 として

APSを

もちい, これま であまり研究されていない

EAの

水 溶 性デンプンに対 するグラフ ト重合を行ない

,触

媒濃度およびデンプン濃 度がグラフ ト効率

,グ

ラフ ト率におよぼす影響について 検討した。また

,生

成エマルジョンの放置安定性

,皮

(2)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 1巻 第 1号 形成能についても観察 した。

2実

験 方 法 2.1試

EAモ

ノマーは常法通 り精製蒸留した。

APSは

40°

C

で再結晶してもちいた。デ ンプ ンは和光純薬 K,K。 (試 薬 1級

)の

溶性デ ンプ ンをそのままデ ンケーターで乾燥 してもちいた。 2.2重 合 デ ンプ ンを仕込んだ 3っ ロフラスコに所定量の水を加 え

,加

温 して70°

Cで

溶解 し

,

重合温度 60°

Cま

で冷 却する。重合容器を窒素置換 した後

,モ

ノマー

,重

合開 始剤の順に加え

,

撹伴速度

350rpmで

重合を行ない, 重合率は重量法に よりもとめた。 2.3グラフ トポ リマ…の分離 生成 エマルジ ョンを風乾し

,そ

のうちの数グラムにつ いて

,冷

却管をつけたフラスコ中

,熱

水で 5時 間還流を つづけ

,不

溶解部 と溶解部 とに分け

,不

溶部はさらに1 時間還流をして

,ホ

モデ ンプンをとり除いた。ついで, 不溶解部をメタノールで15時間還流 し

,ホ

モポ リエチル アクリレー ト(以下

HPEAと

略記

)を

除去 した。不溶 解部はさらに 5時 間還流を くりかえし,メ タノール液を 水に投入 し

,残

HPEAの

有無を検討 した。なお

,デ

ンプンと

PEAと

の混合物か ら上記の方法で

PEAを

除 去する場合

,除

去に要す る時間は

PEAの

重合度にあま り関係な く

,

どれ も15時間で完全に

PEAは

除去でき た。 2.4定 義 ここでもちいる重合率

,グ

ラフ ト効率な どはこの領域 の研究例での定義にしたがいつざのようにきめた。 側 重合率

=ぜ

妻 :チ×卸

0修

) (2)グ

ラフト効率事葺琵筆景ぎ望げ発楽学毛⊃×

11勿 ) 131 ぢガラフ ト率

=殺

:│一×

100(%)

グラフ ト量

=グ

ラフ トしたモノマー 2.5生成ニマルジ ョンの放置安定性 生成エマルジ ョン約15mlを試験管に とり,コル ク栓 をして

,室

温で生成物の沈降状態をしらべ

,放

置安定性 とした。安定性の基準は相分離およびエマルジョン粒子 の沈降状態で判断した。 2.6生成ニマルジ ョンの皮膜形成能 生成 したエマルジ ョンをガラス板上で

,室

温で自然乾 燥 し

,皮

膜形成状態を観察 した。

3

実 験 結 果 お よ び考 察 3.1重合率および重合速度 Fig。

1は

種 々の段階のデ ンプ ン濃 度 で 重 合 を 行な

,そ

の重合率曲線をしめしたものである。なお

,触

媒 濃度は一定

(1%)に

保 っている。 この図ではデ ンプ ン 濃度が高 くなるにつれて重合速度

,重

合率 ともに減少す る傾 向がみ られ

,20%の

デ ンプン濃度のものは

,や

やは っきりとした重合率の低下がみ とめ られた。 この現象は デ ンプ ンに よる重合系の粘度に起因することも推測 され るが

,

ここでは傾 向をしめす にと どめ てお く。 また

Fig.2に

しめす ごとく

,デ

ンプン濃度を15%にしてお いて

,触

媒濃度を0.1,0.5,1.0%と 増大 してい くと重 合率

,重

合速度 はともに上昇す る。 ここで興味あること は

,開

始剤を入れない場合

,デ

ンプ ン濃度の増大 ととも に重合率が上昇す るとい うことである(Fig。 3)。 この 傾 向はデ ンプ ンがあたか も弱い開始剤の働 きをもつ可能 性を示唆す るが,このことは井本 ら5)もみ とめている。 なお

,重

合 の進行につれ

,生

成エマルジョンが大 きな かたま りを作 る傾 向があ り

,均

―な安定したエマルジ ョ ンを得 るため高速か きまぜを行なった。 このことにつ き 山崎 らは,メ チルメタク リレー トの重合におけるか きま Polymer:zatiOn tine(hr) Starch concentration x: 5% △

:10%

o:15%

o:20%

EA monomer,9,4%,APS catalyst;1.0%

PolymerizatiOn temp. ,60°

C AtmosPhere; N2

F進。1.Effects Of starch cOncentration on the

:鍋

謡号

:° n in the presence of l,0% ︵ ミ ︶ 浪 俯 賣 じ > R 0 0

=署

正 華

=華

三Ξ番正繋三

(3)

︵ ミ ︶ 直 0 一? ω > 一 一 〇 〇 Polmじrizatbィをt e Q10

倣Л

ttt concttdon食

:0.!%

:0.5%

:1.0%

o:1.5%

EA monomer,9,4%,StarCh;15%

Polymerization temp. ;60°C, Acmosphere ; N2 Fig.2,Effects Of APS concentration on the

conversion.

Starch concentration x

Polymerization temp。 ;60°

C,Atmosphere; N2

3缶

:拠i:ユ

翠乱盤躍憲

輩亀躙

,

Table l. Polymerization of EA in the presence of starch

PolJrmerizatお n tinc(11→

Cat穆

;

am呼

IH瞥

1路

鴛 岳∽

Gra賜

Conversュon

(%)

88.5 79,0 72.0 77.0 87.0 89.5 82.0 80.8 84.5 85.0 83.0 76,0 89,0 88.0 87.0 80.0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 5 10 15 20 5 10 15 20 5 10 15 20 5 10 15 20 0.1 0.1 0.1 0.1 0.5 0.5 0.5 0,5 1.0 1,0 1,0 1.0 1.5 1.5 1.5 1.5

O

O

△ ×

O

O

△ ×

O

O

22,3 16.6 11.5 7.2 20,3 16.9 12.1 5,1 17.3 14.1 11.5 3.6 20.1 17.2 16.8 11.5 10.0 26.9 45.3 67.1 17.1 33.3 47.5 77.8 27.2 41.3 50.3 83,2 19.9 30,7 31.4 49,2 16.7 20.0 20.4 24.1 27,0 28.0 24.4 29.5 43.4 33.0 26.4 29.9 33.1 26.0 27.0 18.5 △ × ○ ○ △ ×

斧機絲辞電鴨祥絶ま

Sttleご

2

(4)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第 1巻 第 1号 │ 。 ぜ速度の影響を検討 し

,は

げしいか きまぜは重合速度を 低下 させると報告 している10)が本研究においては

,重

合はすみやかに進行 した。 3.2グラフ ト効率

,グ

ラフ ト率 デ ンプン濃度

,触

媒濃度 とグラフ ト効率

,グ

ラフ ト率 との関係をしめしたものが Table lで ある。グラフ ト効 率は

,一

般に, 1次ラジカルあるいはポ リマ…ラジカル の幹 ポ リマーに対す る連鎖移動定数 と生成 したグラフ ト ポ リマーの反応性に よってきまる。連鎖移動の起 こりや す さはポ リマーラジカルと幹 ポ リマーの構造に よって決 まるので

,共

1き安定化な らびに極性効果に基づいて遷移 状態の活性化エネルギーをもっとも低下 させ るような特 定の位置の結合がもっともお こりやすい。連鎖移動が水 素引き抜 きで進む場合には

,た

とえばポ リ酢酸 ビニル13) については

,水

素原子の引き抜かれやす さは

(3)>(2)>

(1)の 順である。 この順は生成幹 ラジカルの安定性か ら 理解される。デ ンプンにおいては,

(1)(2)

CH2 CH

O

C=0

CH3(3)

水酸基の水素原子が引き抜かれ

,そ

こに連鎖移動が起 こ ると考え られ る。 また

,グ

ラフ ト効率は

,一

般に

,幹

ポ リマー濃度 とと もに増大す ることが知 られている。 しか し

,井

手 らは乳 化剤をもちいたポ リビニルアルコール (以下

PVAと

略 記

)の

存在下におけるアク リル酸エステルの

APSに

よ る重合で

,グ

ラフ ト効率は

PVA濃

度にほ とんど依存せ ず

,む

しろ

PVA濃

度の高いところで低下す る傾 向があ り,この原 因として乳化剤の効果を考え

,か

つグラフ ト 効率が触媒濃度 とともに増大す ることか ら

,グ

ラフ ト重 合が

APSと

PVAと

の直接反応あるいは 1次 ラジカル 機構に よることをしめす と述べている9)。 このほか ,

Brockwayは ,

レドックス系でメチルメタクリレー ト をデ ンプ ン存在下において重合を行ない

,モ

ノマー濃度 が高い ところではグラフ ト効率が低 くなることか ら

,重

合の後半においては,ホモポ リマーの生成が多 くな り, 単位グラフ ト鎖に対す るグルコース量が一定であること か らグラフ ト活性点は新 らしく生 じ な い と述 べ て い る6)。 すなわち

,グ

ラフ トポ リマーの生成機構がポ リマ ー ラジカルのデ ンプ ンに対する連鎖移動のみ と考えるよ りは, 1次ラジカル機構をも合めたものであることを暗 示 している。著者の実験では

,デ

ンプ ン濃度の高いほど グ ラフ ト効率 は高 くな ってい る。 また

,グ

ラフ ト効率 と 触 媒濃度 との関係 は

Table lか

ら明 らか な ごとく

,触

煤濃度0,5∼1,0%でグ ラフ ト効率 が もっ とも よい ようで あ る。 これ らの ことを考え合わせ る と

,グ

ラフ ト化 の大 部分が ポ リマー ラジカルに よる連 鎖移動 の結果 お こって い て, 1次ラジカルの寄与 もある ことを暗示 してい る よ うに思われ る。 なお

,無

触 媒 系でグ ラフ ト効 率

,グ

ラフ ト率につ い て

,詳

細な検討 を加 えてみ る ことは

,グ

ラフ ト重合 の解 明に1つの大 きな手 がか りを与 え るもので ある と思 われ る。 3.4生成 エマル ジ ョンの放 置安定性

,皮

膜形成能 生成 エマル ジ ョンの安定性 は

,非

常にす ぐれ てお り, 相分離 はみ られ なか った。 しか し

,エ

マル ジ ョン自体 は 日数が経過すれ ばかな り粘 ち ょうに な った。 この ことは デ ンプ ン水溶液 の粘度が時間 とともに増大す る ことか ら うなづ ける。そ して

,エ

マル ジ ョンのす く`れた安定性 は この高粘度に起因す る と思われ る。 この ような現象 のた め グ ラフ ト化物 がエマル ジ ョンの安定性にお よぼす効果 につい ては

,今

後 の研究に期待す るもので ある。 また, 皮膜形成能については

,デ

ンプ ン濃度が大 きな因子 とな ってい るようである。 グ ラフ ト物 の効果 について検討 し てみ る ことも興味あることで ある。 付記:種々 ご鞭撻をいた だいた酒沢千嘉弘教授に深謝 の意 を表す る と同時に

,本

研究 を行 な うに あた り実験 に 協力 された大槻辰男君 に感謝いた します。 文

1)MinO,G.,and Kaizerman,S.;J.Polymer

Sci., 31, 242 (1958).

2)Cuest,D.J.;Brit,Pat,809745(1959).

3)Mishina,A,;J.Agr.Chem.Soc.Japan,35,

40 (1961).

4)Kimura,S.,and lmoto, M.;Makromol.

Chem.,42,140(1960).

5)Kimura,s,,Takitani,T.,and lmoto,M.;

BuH. Chem, Soc, Japan, 35, 2012(1962).

6)BrockW ay,C,E.;」

.Polymer Scit,A-12,

3721(196o.

7)Fanta,G.E.,Burn,R,C.,Russell,C.R.

and Rist, C. E. ; J. App. Polymer Sci., 13, 133(1969).

8)BrOckWay, C, E., and Seaberg, P,A.;J. Polymer Sci.,A-15,1313(1967).

(5)

の 井手文雄

,中

野信太郎

,中

塚和夫 ;高化

,26,575

(1969).

10)山 崎信助

,福

田稔

1浜

島求女;嵩化―

,25,276c19

6め.

11)BrOCkヤ

ay,C.E,, and

Ⅲ江oser, x.B・ ;J, Polymer Sci.,A-1,1025(19o3);

12J Bttckway,C・ E。 ,Jo Polymer Sci,,A-2,

3733(196つ .

13)コFeICh,F―.J.ぢ J.Polymer Sci“

,61,243

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