古谷 倫貴 (北里大学一般教育部)
グラフの禁止構造条件について
1. 禁止部分グラフ a. 問題設定 b. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ c. 完全マッチングのための禁止部分グラフ d. 禁止部分グラフ条件の完全決定の難易 2. 自明な禁止部分グラフ条件 3. 禁止部分グラフ条件の比較 話の流れ
グラフのある性質 𝑃 について,𝑃 のための(十分)条件と して良いものを考えたい. 例えば “完全マッチングを持つ” という性質に着目してみる. ※完全マッチング:グラフの全頂点を用いる独立辺の集合 ※グラフに完全マッチングが存在するための有名な必要 十分があるが,それについてはとりあえず無視する. 問題設定
… 奇数 完全マッチングを持たないグラフとは? 奇位数グラフは完全マッチングを持たない 下は完全マッチングを持たない偶位数グラフの無限列 このグラフたちには共通して の形が現れている! (このグラフをclawという。) ➡ 偶位数グラフにclaw の構造を“禁止”すれば,完全 マッチングの存在が言える? … … … 奇数 𝐾2𝑚−1 𝐾2𝑚−1 … 𝐾2𝑚−1 𝐾2𝑘−1 2𝑘 + 1 問題設定
𝐺 をグラフとする. 𝑆 ⊆ 𝑉 𝐺 について, 𝑢𝑣 ∈ 𝐸 𝐺 ∶ 𝑢, 𝑣 ∈ 𝑆 を辺集合と する 𝑆 上のグラフ 𝐺 𝑆 を,𝑆 で誘導される 𝐺 の誘導部分 グラフという. 𝐺 がグラフ 𝐻 と同型な誘導部分グラフを含むとき,𝐻 ≺ 𝐺 と書く. 𝐻 ⊀ 𝐺 となるとき,𝐺 は 𝐻-free であるという. 注意 2つのグラフ 𝐻1, 𝐻2 に対して,𝐻1 ≺ 𝐻2 が成り立つとき, 任意の 𝐻1-free グラフは 𝐻2-free である. 特に,𝐻1-free グラフのクラスより,𝐻2-free グラフのクラス の方が大きい. 問題設定
定理 (Sumner, 1974) 偶位数連結 claw-free グラフは完全マッチングを持つ. (証明) ある偶位数連結 claw-free グラフ 𝐺 が完全マッチングを 持たないと仮定する. すると 1-因子定理(Tutte, 1947)より,ある ∅ ≠ 𝑋 ⊆ 𝑉 𝐺 に対して, 𝐺 − 𝑋 の奇位数成分の個数 ≥ 𝑋 + 2 が成り立つ. このような 𝑋 を最小にとると,𝑋 の頂点は 𝐺 − 𝑋 の奇位数 連結成分のうち,少なくとも3個と隣接する. ➡ clawが誘導部分グラフとして見つかり,矛盾する. 問題設定
グラフが “ハミルトン閉路を持つ” という性質について, グラフの禁止条件は? ※ハミルトン閉路:グラフのすべての頂点を通る閉路 ハミルトン閉路を持つグラフは 2-連結であるから,対象の グラフは 2-連結グラフに限る. 下はハミルトン閉路を持たない 2-連結グラフの無限列 これらの共通の誘導部分グラフは? ➡ (𝑃3)が最大の共通の連結誘導部分グラフ. … … … … ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
命題 連結 𝑃3-free グラフ 𝐺 は完全グラフである. (証明) 𝐺 が完全グラフでないと仮定すると,ある非隣接な2頂点が 存在する. 𝐺 は連結であるから,距離が 2 となる2頂点 𝑢, 𝑣 が存在 する. このとき,𝑤 ∈ 𝑁𝐺 𝑢 ∩ 𝑁𝐺 𝑣 について,𝑢𝑤𝑣 が誘導 𝑃3 と なる. 命題 2-連結 𝑃3-free グラフはハミルトン閉路を持つ. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
ℋ をいくつかの連結グラフからなる集合とする. グラフ 𝐺 が, ∀𝐻 ∈ ℋ, 𝐻 ⊀ 𝐺 を満たすとき,𝐺 は ℋ-free であるという. いくつかの連結グラフからなる集合 ℋ1, ℋ2 に対して, ∀𝐻2 ∈ ℋ2, ∃𝐻1 ∈ ℋ1 s. t. 𝐻1 ≺ 𝐻2 が成り立つとき,ℋ1 ≤ ℋ2 と書く. 注意 ℋ1 ≤ ℋ2 ならば 任意の ℋ1-free グラフは ℋ2-free である. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
定理 (Duffus et al., 1981)
2-連結 claw, 𝑁 -free グラフはハミルトン閉路を持つ.
定理 (Bedrossian, 1991)
2-連結 claw, 𝐵1,2 -free グラフはハミルトン閉路を持つ. 定理 (Broesma and Veldman, 1990)
2-連結 claw, 𝑃6 -free グラフはハミルトン閉路を持つ.
定理 (Bedrossian, 1991) 2つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が命題 「2-連結 𝐻1, 𝐻2 -free グラフはハミルトン閉路を持つ」 を満たすための必要十分条件は, (1) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝑁 (2) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝑃6 (3) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝐵1,2 のいずれかとなることである. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
定理 (Faudree et al., 1995) 2-連結 claw, 𝑍3 -free グラフは,以下の2つを除き ハミルトン閉路を持つ. 「2-連結 claw, 𝑍3 -free グラフはハミルトン閉路を持つ」と いう命題は,反例があるため成り立たない. (よって Bedrossian の特徴付けに claw, 𝑍3 は現れない) しかし,反例が2個しか存在しないことが分かっているため, claw, 𝑍3 はハミルトン閉路のための禁止条件と見なして 良さそう. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
定理 (Faudree and Gould, 1997) 2つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が命題 「位数が十分大きい 2-連結 𝐻1, 𝐻2 -free グラフは ハミルトン閉路を持つ」 を満たすための必要十分条件は, (1) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝑁 (2) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝑃6 (3) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝐵1,2 (4) 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw, 𝑍3 のいずれかとなることである. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ 小さい例外グラフを認めて,今後は「位数が十分大きい」と いう仮定の下で問題を考える.
ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
「位数が十分大きい 2-連結 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 -free グラフは
ハミルトン閉路を持つ」
を満たす3つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 の特徴付けも 知られており,本質的に12種類に分類される.
ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ 禁止するグラフの個数を増やすと,命題は(ある意味で) 強くなる. claw, 𝑍3 ≤ claw, 𝐵1,3, 𝑅 なので, 位数が十分大きい 2-連結 claw, 𝑍3 -free グラフは ハミルトン閉路を持つ(Faudree et al., 1995) が導かれる. 定理 (Brousek, 2002) 位数が十分大きい 2-連結 claw, 𝐵1,3, 𝑅 -free グラフは ハミルトン閉路を持つ.
定理 (Fujisawa, 2012) 2つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が命題 「位数が十分大きい 3-連結 𝐻1, 𝐻2 -free グラフは ハミルトン閉路を持つ」 を満たすならば,ある 𝑖 ∈ 1,2 に対して 𝐻𝑖 ≺ 𝐾1,3 かつ (1)𝐻3−𝑖 ≺ 𝑃10 (2)𝐻3−𝑖 は 𝐾3 から3本の点素な道を出した位数12以下の グラフ (3)2つの 𝐾3 を長さ 1,3,5,7 いずれかの道で結んだグラフ のいずれかとなる. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
予想 (Matthews and Sumner, 1984)
4-連結 claw-free グラフは,ハミルトン閉路を持つ. 定理 (Kaiser and Vrana, 2012)
最小次数 6 以上の 5-連結 claw-free グラフは,ハミルトン 閉路を持つ.
【(この講演での)グラフの禁止条件】 性質 𝑃 に対して,それを見つけるためのグラフの禁止 条件を見つけたい. 性質 𝑃 の自明な十分条件 (完全マッチング:偶位数,ハミルトン閉路:2-連結性) は仮定しておく. ただし,より強い仮定(ハミルトン閉路について 𝑘-連結) を仮定することもある. 対象のグラフは,位数が十分大きいもののみを考える. ※一般に,禁止するグラフの個数を増やすと考えるべき 状況も増えて,強い命題が得られる. ハミルトン閉路のための禁止部分グラフ
定理 (Sumner, 1974)
偶位数連結 claw-free グラフは完全マッチングを持つ.
完全マッチングのための禁止部分グラフ
定理 (Plummer and Saito, 2005) 連結グラフ 𝐻 が命題
「位数が十分大きい偶位数連結 𝐻-free グラフは完全 マッチングを持つ」
を満たすための必要十分条件は,𝐻 ≺ claw となることで ある.
定理 (Fujita et al., 2006) 2つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が命題 「位数が十分大きい偶位数連結 𝐻1, 𝐻2 -free グラフは 完全マッチングを持つ」 を満たすための必要十分条件は, 𝐻1, 𝐻2 ≤ claw と なることである. 完全マッチングのための禁止部分グラフ
定理 (Ota et al., 2010) 3つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 が命題 「位数が十分大きい偶位数連結 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 -free グラフは 完全マッチングを持つ」 を満たすための必要十分条件は, (1) 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 ≤ 𝐾1,3 𝑝 ≥ 4, 𝑞 ≥ 2 (2) 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 ≤ 𝐾1,𝑝, 𝑌𝑞, 𝑄1,𝑟 𝑝 ≥ 4, 𝑞 ≥ 4, 𝑟 ≥ 3 (3) 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 ≤ 𝐾1,𝑝, 𝑃4, 𝑄2,𝑟 𝑝 ≥ 4, 𝑟 ≥ 3 のいずれかとなることである. 完全マッチングのための禁止部分グラフ 𝐾𝑛 … 𝑘 頂点 𝑄𝑘,𝑛 … 𝑛 頂点 𝑌𝑛
定理 (Ota and Sueiro, 2013) 連結グラフの集合 ℋ が命題 「位数が十分大きい偶位数連結 ℋ-free グラフは完全 マッチングを持つ」 を満たすための必要十分条件は, ℋ ≤ 𝐾1,𝑝, 𝑌𝑞, 𝑊𝑟, 𝑍𝑖,𝑠+ ∶ 0 ≤ 𝑖 ≤ 𝑞 − 2 𝑝 ≥ 4, 𝑞 ≥ 2, 𝑟 ≥ 2, 𝑠 ≥ 3 となることである. 完全マッチングのための禁止部分グラフ … 𝑛 頂点 𝑌𝑛 𝐾𝑛 … 𝑊𝑛 𝐾𝑛 … 𝑚 頂点 𝑍𝑛,𝑚+ 禁止条件の 完全決定
完全マッチングのための禁止部分グラフ
連結度を上げると?
定理 (Sumner, 1975; Plummer and Saito, 2005) 𝑘 ≥ 2 を整数とする. 連結グラフ 𝐻 が命題 「位数が十分大きい偶位数 𝑘-連結 𝐻-free グラフは完全 マッチングを持つ」 を満たすための必要十分条件は,𝐻 ≺ 𝐾1,𝑘+1 となることで ある.
定理 (Fujisawa et al., 2011) 𝑘 ≥ 2 を整数とする. 2つの連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が命題 「位数が十分大きい偶位数 𝑘-連結 𝐻1, 𝐻2 -free グラフは 完全マッチングを持つ」 を満たすための必要十分条件は, (1) 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾1,𝑘+1 (2) 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾1,𝑘+2, 𝐹𝑝 1 ≤ 𝑝 ≤ 𝑘 2 + 1 のいずれかとなることである. 完全マッチングのための禁止部分グラフ … 𝑛 頂点 𝐹𝑛
完全マッチングのための禁止部分グラフ 連結度の高いグラフにおいては,star を禁止すれば完全 マッチングが存在する. ➡ 禁止する star に対して,連結度を “もっと” 大きくすると, マッチングに関してより強い性質が得られるのでは? 整数 𝑚 ≥ 0, 𝑛 ≥ 0 に対し,グラフ 𝐺 が 𝐸 𝑚, 𝑛 を満たす とは,辺素な任意の2つのマッチング 𝑀, 𝑁 ⊆ 𝐸 𝐺 𝑀 = 𝑚, 𝑁 = 𝑛 について,𝐺 が 𝑀 ⊆ 𝐹 かつ 𝐹 ∩ 𝑁 = ∅ なる完全マッチング 𝐹 = 𝐹𝑀,𝑁 を持つことである.
完全マッチングのための禁止部分グラフ
定理 (Aldred and Plummer, 1999)
𝑘 ≥ 1, 𝑚 ≥ 0, 𝑛 ≥ 0 を,𝑚 + 𝑛 ≥ 1 かつ 𝑛 ≤ 𝑘−2𝑚+1 2 を 満たす整数とするとき,位数が十分大きい偶位数 𝑘-連結 𝐾𝑘−2𝑚−𝑛+2-free グラフは 𝐸 𝑚, 𝑛 を満たす. 定理 (Egawa and F., 2016) 𝑘 ≥ 4, 𝑚 ≥ 0, 𝑛 ≥ 3 を,𝑘−2𝑚+2 2 ≤ 𝑛 ≤ 𝑘 − 2𝑚 − 1 を 満たす整数とするとき,位数が十分大きい偶位数 𝑘-連結 𝐾 𝑘−𝑚+2 2 -free グラフは 𝐸 𝑚, 𝑛 を満たす. 𝑛 に依存しない 禁止条件
禁止部分グラフ条件の完全決定の難易
グラフの禁止条件が,(自明な必要条件下で)完全決定 している問題
HIST (F. and Tsuchiya, 2013)
※HIST:葉以外の頂点の次数が 3 以上の全域木
0 < 𝑡 < 1 に対する 𝑡-タフ(Ota and Sueiro, 2013) ※𝐺 が 𝑡-タフ ⇔ ∀𝑆 ∶ cutset of 𝐺, 𝑆
# of compo. of 𝐺−𝑆 ≥ 𝑡 全域 2-歩道 (F., 2014)
禁止部分グラフ条件の完全決定の難易
命題 (Jackson and Wormald, 1990) 𝑘 ≥ 2 を整数とする. グラフ 𝐺 が全域 𝑘-歩道を持つならば,𝐺 は 1/𝑘 -タフで ある. また, 1/𝑘 -タフであるが全域 𝑘-歩道を持たないグラフの 無限列が存在する. 一方で,「 1/2 -タフのための禁止条件」と「全域 2-歩道の ための禁止条件」は一致する! 問題 グラフの2つの(強弱のある)性質について,それらの ための禁止条件が等しいものは他にあるか?
禁止部分グラフ条件の完全決定の難易
グラフの禁止条件として,“ 𝐻1, 𝐻2 -free” の形でも未決定 の問題
𝑘 ≥ 3 に対する全域 𝑘-木 (cf. Ota and Sugiyama, 2010)
※𝑘-木:すべての頂点の次数が 𝑘 以下の木
全域部分 Halin グラフ (cf. Chen et al., 2017+)
※Halin グラフ:HIT の葉を閉路で繋いだ平面グラフ 辺支配閉路 (cf. Chiba, F. and Tsuchiya, 2015, 2016)
※辺支配閉路:取り除くと孤立点のみが残る閉路
問題
グラフの禁止条件を考えるに当たって,簡単・難しいの 違いは何か?
自明な禁止部分グラフ条件 定理 (Fujisawa et al., 2013) 5-連結 claw, 𝐾4 -free グラフは,正二十面体グラフに限る. 特に 「位数 13 以上の 5-連結 claw, 𝐾4 -free グラフのクラス」 は(空なので)どのような性質でも満たす. このようなグラフのクラスを考えることは無駄であるが, 禁止条件を考える上では避けられないので,予め特定して おきたい. 禁止部分グラフを考えるとき,位数が十分大きいことを 仮定するのが通常であった. ➡そこに弊害も…
自明な禁止部分グラフ条件 𝑘 ≥ 1 を整数とする. 𝒢𝑘 を 𝑘-連結グラフ全体からなる集合とする. 連結グラフの集合 ℋ に対して, と定める. -free 𝒢𝑘 ℋ = 𝐺 ∈ 𝒢𝑘 ∶ 𝐺 は ℋ 問題 𝒢𝑘 ℋ < ∞ を満たすような ℋ を決定せよ.
自明な禁止部分グラフ条件 定理 (Diestel) 連結グラフの集合 ℋ が 𝒢1 ℋ < ∞ を満たすための 必要十分条件は, ℋ ≤ 𝐾𝑝, 𝑃𝑞, 𝐾1,𝑟 𝑝 ≥ 1, 𝑞 ≥ 1, 𝑟 ≥ 1 となることである. (必要性の証明) 𝐾1,𝑛 ∶ 𝑛 ≥ 1 は無限集合であるから,ある 𝑟 ≥ 1 に対して 𝐾1,𝑟 は ℋ-free でない. よって,∃𝐻 ∈ ℋ s. t. 𝐻 ≺ 𝐾1,𝑟 となる. したがって,ℋ ≤ 𝐾1,𝑟 となる. 同様に, 𝐾𝑛 ∶ 𝑛 ≥ 1 と 𝑃𝑛 ∶ 𝑛 ≥ 1 を考えれば,ある 𝑝 ≥ 1, 𝑞 ≥ 1 について ℋ ≤ 𝐾𝑝 と ℋ ≤ 𝑃𝑞 となる.
自明な禁止部分グラフ条件 (十分性の証明) 𝐺 を連結 𝐾𝑝, 𝑃𝑞, 𝐾1,𝑟 -free グラフとする. 𝑝 ≤ 2 または 𝑞 ≤ 2 または 𝑟 = 1 だと,𝐺 ≃ 𝐾1 となるので, 𝑝 ≥ 3, 𝑞 ≥ 3, 𝑟 ≥ 2 として良い. 𝐺 は 𝑃𝑞-free なので,diam 𝐺 ≤ 𝑞 − 2. 𝑥 ∈ 𝑉 𝐺 を 𝑑𝐺 𝑥 = Δ 𝐺 を満たす頂点とする. 𝐺 は 𝐾𝑝, 𝐾1,𝑟
-
free なので,𝑁𝐺 𝑥 はサイズ 𝑝 − 1 の クリークも,サイズ 𝑟 の独立集合も含まない. よって Δ 𝐺 = 𝑑𝐺 𝑥 ≤ 𝑅 𝑝 − 1, 𝑟 (𝑅 ∗,∗ :ラムゼー数). 以上より 𝑉 𝐺 ≤ Δ 𝐺 diam 𝐺 ≤ 𝑅 𝑝 − 1, 𝑟 − 1 𝑞−2.自明な禁止部分グラフ条件 連結度を上げると? 命題 (Fujisawa et al., 2013) 𝑘 ≥ 1 を整数とする. 連結グラフ 𝐻 が 𝒢𝑘 𝐻 < ∞ を満たすための必要十分 条件は,𝐻 ≺ 𝐾2 となることである.
自明な禁止部分グラフ条件 命題 (Fujisawa et al., 2013) 𝑘 ≥ 1 を整数とする. 連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が 𝒢𝑘 𝐻1, 𝐻2 < ∞ を満たすならば, ∃𝑝 ≥ 3, 2 ≤ ∃𝑟 ≤ 𝑘 𝑠. 𝑡. 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾𝑝, 𝐾1,𝑟 となる. 定理 (Fujisawa et al., 2013) 1 ≤ 𝑘 ≤ 6 を整数とする. 連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が 𝒢𝑘 𝐻1, 𝐻2 < ∞ を満たすための 必要十分条件は, (1) 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾𝑝, 𝐾1,2 𝑝 ≥ 3 (2) 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾3, 𝐾1,𝑟 3 ≤ 𝑟 ≤ 𝑘 if 3 ≤ 𝑘 ≤ 6 (3) 𝐻1, 𝐻2 ≤ 𝐾4, 𝐾1,3 if 5 ≤ 𝑘 ≤ 6 のいずれかとなることである.
自明な禁止部分グラフ条件 定理 (F. and Okubo, 2015) 連結グラフ 𝐻1, … , 𝐻4 が 𝒢2 𝐻1, … , 𝐻4 < ∞ を満たす ための必要十分条件は以下のいずれかとなることである. (1) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃5, 𝐾2,𝑟 𝑟 ≥ 2 (2) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃6, 𝐾2,2 (3) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃6, 𝐾2,𝑟, 𝐻𝑠1 𝑟 ≥ 3, 𝑠 ≥ 2 (4) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃7, 𝐾2,2, 𝐻𝑠2 𝑠 ≥ 2 (5) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃𝑞, 𝐾2,2, 𝐻𝑠3 𝑞 ≥ 8, 𝑠 ≥ 3 (6) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾3, 𝑃𝑞, 𝐾2,𝑟, 𝐻𝑠4 𝑞 ≥ 7, 𝑟 ≥ 2, 𝑠 ≥ 3, 𝑞, 𝑟 ≠ 7,2 (7) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾𝑝, 𝑃5, 𝐾2,𝑟, 𝐻𝑠5 𝑝 ≥ 4, 𝑟 ≥ 2, 𝑠 ≥ 2 (8) 𝐻1, … , 𝐻4 ≤ 𝐾𝑝, 𝑃6, 𝐾2,2, 𝐻𝑠5 𝑝 ≥ 4, 𝑠 ≥ 2
自明な禁止部分グラフ条件 … 𝐻𝑛1 … 𝐻𝑛2 … 𝐻𝑛3 … 𝐻𝑛4 … 𝐻𝑛5 大抵の場合は禁止するグラフを制限するので,当初の目的 のためにはこの位調べておけば十分.
自明な禁止部分グラフ条件
𝒢3 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 < ∞ について
(Egawa and F., 2014; Egawa et al., 2015)
禁止部分グラフ条件の比較 連結グラフの2つの集合 ℋ1, ℋ2 について, “ほとんど” 𝒢𝑘 ℋ1 ⊆ 𝒢𝑘 ℋ2 “ほとんど” 𝒢𝑘 ℋ1 = 𝒢𝑘 ℋ2 などが分かれば,禁止条件の問題について,一方の情報 が他方に知見を与える. ℋ1 ≤ ℋ2 であれば,𝒢𝑘 ℋ1 ⊆ 𝒢𝑘 ℋ2 であったが,それ 以外の状況でも(ほとんど) 𝒢𝑘 ℋ1 ⊆ 𝒢𝑘 ℋ2 が成り立つ ことはあるか? 問題 𝒢𝑘 ℋ1 − 𝒢𝑘 ℋ2 < ∞ や 𝒢𝑘 ℋ1 △ 𝒢𝑘 ℋ2 < ∞ を 満たすような ℋ1, ℋ2 を決定せよ.
禁止部分グラフ条件の比較 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ かつ 𝐻1 ⊀ 𝐻2 を満たす 𝐻1, 𝐻2 は 存在するか? 命題 下のグラフ 𝐻1, 𝐻2 について, 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ かつ 𝐻1 ⊀ 𝐻2 を満たす. rep. 十分大のトーラス上 6正則三角形分割 𝐻1 𝐻2 (証明) 𝐻1 ⊀ 𝐻2 は自明. 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 = 𝐻2 ,すなわち 𝐻2 を誘導部分グラフ に持つ連結 𝐻1-free グラフは 𝐻2 のみを示せば良い.
禁止部分グラフ条件の比較 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ かつ 𝐻1 ⊀ 𝐻2 を満たす 𝐻1, 𝐻2 の 特徴付けは難しそう… 定理 (Fujita et al., 2013) 連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ かつ を満たすならば,以下が成り立つ. (1)𝛿 𝐻1 = 1, Δ 𝐻1 = 𝑉 𝐻1 − 1 (2)∃𝑎1, ∃𝑎2 ∈ 𝑉 𝐻1 s. t. 𝑁𝐺 𝑎1 = 𝑁𝐺 𝑎2 (3)∃𝑏1, ∃𝑏2 ∈ 𝑉 𝐻1 s. t. 𝑁𝐺 𝑏1 = 𝑁𝐺 𝑏2 (4) 𝑉 𝐻2 ≥ 2 𝑉 𝐻1 − 3 (5)𝛿 𝐻2 ≥ 𝑉 𝐻1 − 2 𝐻1 ⊀ 𝐻2
禁止部分グラフ条件の比較 𝒢1 𝐻1 △ 𝒢1 𝐻2 < ∞ を満たす 𝐻1, 𝐻2 は? 定理 (Fujita et al., 2013) 位数 3 以上の連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が を満たすための必要十分条件は 𝐻1 = 𝐻2 となることである. (必要性の証明) 背理法と対称性より 𝐻1 ⊀ 𝐻2 と仮定する. 𝐻1 = 𝑃3 と仮定すると,𝒢1 𝐻1 = 𝐾𝑛 ∶ 𝑛 ≥ 1 となる. 𝐻1 ⊀ 𝐻2,すなわち 𝐻2 は 𝐻1-free であるから,𝐻2 は完全 グラフである. このとき, 𝐾𝑛 ∶ 𝑛 ≥ 𝑉 𝐻2 ⊆ 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 となり, 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ に反する. よって 𝐻1 ≠ 𝑃3 である. 𝒢1 𝐻1 △ 𝒢1 𝐻2 < ∞
禁止部分グラフ条件の比較 𝒜1 = ∶ 𝑛 ≥ 1 は 𝐻2-free でない連結グラフの 無限集合であるから,𝒜1 ⊆ 𝒢1 − 𝒢1 𝐻2 を満たす. 𝒢1 𝐻1 − 𝒢1 𝐻2 < ∞ であるから, ∃𝑛1 ≥ 1, ∃𝐻2′ ≺ 𝐻2 s. t. 𝐻1 = となる. 𝒜2 = ∶ 𝑛 ≥ 1 について同様に考えると, ∃𝑛2 ≥ 1, ∃𝐻2′′ ≺ 𝐻2 s. t. 𝐻1 = となる. 特に Δ 𝐻1 = 𝑉 𝐻1 − 1, 𝛿 𝐻1 = 1 となる. また,𝒜2 の 𝑃𝑛 の根本の選び方より,𝛿 𝐻2 ≥ 𝑉 𝐻1 − 2. 𝐻2 … 𝑃𝑛 𝐻2′′ … 𝑃𝑛2 𝐻2 𝐾𝑛 𝐻2′ 𝐾𝑛1
禁止部分グラフ条件の比較 以上より,以下のようになる. よって, 𝑉 𝐻2 − 𝑁𝐻2 𝑥 ≥ 𝑉 𝐻1 − 2 となる. したがって, 𝑉 𝐻2 = 𝛿 𝐻2 + 1 + 𝑉 𝐻2 − 𝑁𝐻2 𝑥 ≥ 2 𝑉 𝐻1 − 3. 𝑉 𝐻2 > 𝑉 𝐻1 であれば 𝐻2 ⊀ 𝐻1 なので,同じ議論 により 𝑉 𝐻1 ≥ 2 𝑉 𝐻2 − 3 が得られて矛盾. 𝑉 𝐻2 ≤ 𝑉 𝐻1 であれば 𝑉 𝐻1 = 𝑉 𝐻2 = 3 と なり,𝐻1 ⊀ 𝐻2 より 𝐻1, 𝐻2 = 𝑃3, 𝐾3 となって,最初 の議論で矛盾. 𝑥 𝐻2′ 𝑑𝐻1 𝑥 = 1 𝐻1 =
禁止部分グラフ条件の比較 定理 (Fujita et al., 2013) 𝑘 ≥ 1 を整数とする. 位数 3 以上の連結グラフ 𝐻1, 𝐻2 が を満たすための必要十分条件は 𝐻1 = 𝐻2 となることである. 𝒢𝑘 𝐻1 △ 𝒢𝑘 𝐻2 < ∞ 定理 (Fujita et al., 2013) 連結グラフ 𝐻 と ℋ ≤ 3 なる連結グラフの集合 ℋ が 𝒢1 𝐻 △ 𝒢1 ℋ < ∞ を満たすならば, (1)𝐻 ∈ ℋ (2)𝐻 = 𝐾3 かつ ℋ = 3 のいずれかとなる. ※ 𝒢1 𝐾3 △ 𝒢1 𝐾4, , < ∞ 𝒢1 𝐾3 △ 𝒢1 𝐾5, , < ∞
禁止部分グラフ条件の比較 ここで, 𝒢1 𝐾3 △ 𝒢1 𝐾4, , < ∞ という事実に着目 する. この右側は,𝐾3 に1頂点を加えて適当な辺を加えた集合で ある. 一般に,連結グラフ 𝐻 に対して,𝐻 に1頂点 𝑥 を加え, 𝑥 と 𝐻 を1本以上の辺で結んで得られるグラフの集合を ℋ𝐻+ と表す. 注意 連結グラフ 𝐻 に対して,𝒢1 𝐻 △ 𝒢1 ℋ𝐻+ = 𝐻 となる.
禁止部分グラフ条件の比較
グラフの禁止条件で重要な,claw に注目する. 注意
ℋclaw+ = .
禁止部分グラフ条件の比較 定理 (F. and Yokota, 2017+) 整数 𝑘 ≥ 1 と ℋ ⊆ ℋclaw+ が 𝒢𝑘 claw △ 𝒢𝑘 ℋ < ∞ を 満たすための必要十分条件は以下のいずれかとなること である. (1)𝑘 = 1 かつ, 𝐻1, … , 𝐻6 ⊆ ℋ (2)𝑘 = 2 かつ, 𝐻1, … , 𝐻6 ⊆ ℋ または 𝐻1, … , 𝐻4, 𝐻7 ⊆ ℋ (3)𝑘 = 3 かつ, 𝐻1, … , 𝐻5 ⊆ ℋ または 𝐻1, … , 𝐻4, 𝐻7 ⊆ ℋ (4)𝑘 ≥ 4 かつ, 𝐻1, 𝐻2, 𝐻5, 𝐻6 ⊆ ℋ または 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3, 𝐻6, 𝐻7 ⊆ ℋ または 𝐻1, … , 𝐻5 ⊆ ℋ または 𝐻1, … , 𝐻4, 𝐻7 ⊆ ℋ
禁止部分グラフ条件の比較 定理 (F. and Yokota, 2017+) Matthews-Sumner 予想は,以下と同値である. (1)4-連結 𝐻1, 𝐻2, 𝐻5, 𝐻6 -free グラフはハミルトン閉路を 持つ. (2)4-連結 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3, 𝐻6, 𝐻7 -free グラフはハミルトン 閉路を持つ. (3)4-連結 𝐻1, … , 𝐻5 -free グラフはハミルトン閉路を 持つ. (4)4-連結 𝐻1, … , 𝐻4, 𝐻7 -free グラフはハミルトン閉路を 持つ.
予想 (Matthews and Sumner, 1984)
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (Chiba, Fujisawa, F. and Ikarashi, 2017) 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 を位数 3 以上の連結グラフとする. 𝛿 𝐻1 ≥ 2 であるとき, 𝒢1 𝐻1, 𝐻2 △ 𝒢1 𝐻1, 𝐻3 < ∞ を 満たすための必要十分条件は (1)𝐻2 = 𝐻3 (2)𝐻1 ≺ 𝐻2 かつ 𝐻1 ≺ 𝐻3 のいずれかを満たすことである. 禁止条件には claw が現れることが多いので,𝐻1 として claw を考えておくことも重要. より一般に,twin-less(∄𝑥1, ∄𝑥2 𝑠. 𝑡. 𝑁𝐺 𝑥1 = 𝑁𝐺 𝑥2 )で 考えてみる.
禁止部分グラフ条件の比較 𝐺 をグラフとする. 𝑉 𝐺 上の同値関係 ~ を 「𝑥~𝑦 ⟺ 𝑁𝐺 𝑥 = 𝑁𝐺 𝑦 」 に よって定める. 𝒞𝐺 を ~ に関する同値類とし,𝐵 𝐺 を 𝒞 上のグラフで 𝐶𝐶′ ∈ 𝐸 𝐵 𝐺 ⟺ 𝐶 と 𝐶′ の間に 𝐺 の辺が存在 を満たすものとする. 𝐵 𝐺
禁止部分グラフ条件の比較
グラフ 𝐺 が点推移的であるとは,任意の 𝑥, 𝑦 ∈ 𝑉 𝐺 に
対して,ある自己同型写像 𝜙 で 𝜙 𝑥 = 𝑦 を満たすものが 存在することである.
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (Chiba, Fujisawa, F. and Ikarashi, 2017) 𝐻1, 𝐻2, 𝐻3 を位数 3 以上の連結グラフとする. 𝐻1 が twin-less であるとき, 𝒢1 𝐻1, 𝐻2 △ 𝒢1 𝐻1, 𝐻3 < ∞ を満たすならば (1)𝐻2 = 𝐻3 (2)𝐻1 ≺ 𝐻2 かつ 𝐻1 ≺ 𝐻3 (3)𝐵 𝐻2 ≃ 𝐵 𝐻3 が点推移的であり,ある 𝑖 ∈ 2,3 に 対して,𝐻𝑖 は 𝐻5−𝑖 のある1点をクリークに置き換える ことで得られる. のいずれかとなる.
禁止部分グラフ条件の比較 命題 下のグラフ 𝐻2, 𝐻3 について, 𝒢1 claw, 𝐻2 − 𝒢1 claw, 𝐻3 = ∅ かつ 𝒢1 claw, 𝐻3 − 𝒢1 claw, 𝐻2 = 𝐻2 である. 特に, 𝒢1 claw, 𝐻2 △ 𝒢1 claw, 𝐻3 < ∞ を満たす. 𝐻2 𝐻3
禁止部分グラフ条件の比較 ここまでは有限個の例外のみを誤差として扱ってきた. しかし次の定理のように,グラフのクラスの差が無限で あっても,その表記が簡単であれば考えやすい. 定理 (Olariu, 1988) 𝒢1 − 𝒢1 𝐾3 は,部集合が 3 個以上の完全多部 グラフからなる集合と一致する. 上の定理より,𝐾3-free グラフに関する命題は,部集合が 3 個以上の完全多部グラフをチェックするだけで -free グラフの命題に拡張できる.
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (Duffus et al., 1981)
2-連結 claw, 𝑁 -free グラフはハミルトン閉路を持つ.
定理 (Bedrossian, 1991)
2-連結 claw, 𝐵1,2 -free グラフはハミルトン閉路を持つ. 定理 (Broesma and Veldman, 1990)
2-連結 claw, 𝑃6 -free グラフはハミルトン閉路を持つ.
定理 (Faudree et al., 1995)
位数 10 以上の 2-連結 claw, 𝑍3 -free グラフは, ハミルトン閉路を持つ.
禁止部分グラフ条件の比較
まず,𝒢1 claw, 𝐵1,2 − 𝒢1 claw, 𝑁 に注目する.
以下のようなグラフが属するため,これは無限集合である. 例
(このようなグラフを generalized comb と呼ぶ.)
➡ このグラフは claw, 𝐵1,2 -free であるが,𝑁-free でない. 1. 𝑚 + 1 ≥ 4 個の点素なクリーク 𝐶, 𝐿1, … , 𝐿𝑚 をとる. ただし 𝐶 ≥ 𝑚 とする. 2. 𝑅1, … , 𝑅𝑚 を 𝐶 の点素な部分 クリークとする. 3. 𝐿𝑖 と 𝑅𝑖 を完全に辺で結ぶ. …
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (F. and Tsuchiya, 2015)
𝒢1 claw, 𝐵1,2 − 𝒢1 claw, 𝑁 は,generalized comb から なる集合と一致する.
定理 (Duffus et al., 1981)
2-連結 claw, 𝑁 -free グラフはハミルトン閉路を持つ. 上の2つの定理の系として,Bedrossian の定理(2-連結
禁止部分グラフ条件の比較
𝐺 を 2-連結 claw, 𝐵1,2 -free グラフとする.
𝐺 が 𝑁-free であれば,𝐺 は 2-連結 claw, 𝑁 -free なので ハミルトン閉路を持つ.
𝐺 が 𝑁-free でなければ,𝐺 ∈ 𝒢1 claw, 𝐵1,2 − 𝒢1 claw, 𝑁 となるため,generalized comb である.
すると,𝐺 にハミルトン閉路が見つかる.
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (Chen, F., Shan, Tsuchiya and Yang, 2017+) 𝒢1 claw, 𝐵1,2 − 𝒢1 claw, 𝑃6 グラフ 𝐺 の各頂点を1点以上のクリークで置き換えて 得られるグラフ全体の集合を 𝒜 𝐺 によって表す. 𝐺 ∈ 𝒜 𝐺 = 𝑛≥6 𝒜 𝑃𝑛 ∪ 𝑛≥7 𝒜 𝐶𝑛
禁止部分グラフ条件の比較
定理 (Broesma and Veldman, 1990)
2-連結 claw, 𝑃6 -free グラフはハミルトン閉路を持つ. 上の2つの定理の系としても,Bedrossian の定理(2-連結
claw, 𝐵1,2 -free グラフはハミルトン閉路を持つ)が得られる. 定理 (Chen, F., Shan, Tsuchiya and Yang, 2017+)
𝒢1 claw, 𝐵1,2 − 𝒢1 claw, 𝑃6 = 𝑛≥6 𝒜 𝑃𝑛 ∪ 𝑛≥7 𝒜 𝐶𝑛
まとめ グラフの性質 𝑃 について,𝑃 を満たさないグラフの共通 構造を禁止すれば,𝑃 のための“本質的”な十分条件が 得られる. グラフの問題では,位数が小さいものが例外になりがち なので,位数十分大という仮定を加えるのが自然だが, それによって対象のクラスが空になることも… 性質 𝑃 を満たさない共通構造は似たようなものになる ことがあるため,実は本質的に等しい(or 包含関係) かも? ➡ もう一度,対象のクラスに目を向けましょう! ご清聴ありがとうございました