熱⼒学
授業計画。熱⼒学
1)熱現象と熱力学 2)状態量と状態方程式 3)熱力学第1法則と内部エネルギ熱現象を巨視的に研究
3)熱力学第1法則と内部エネルギー 4)等温過程と断熱過程 5)カルノーサイクルと熱力学第2法則熱現象を巨視的に研究
5)カルノ サイクルと熱力学第2法則 6)可逆過程と不可逆過程 7)熱機関の効率とクラウジウスの不等式 8)中間試験 9)エントロピー の定義 10)エントロピーの計算方法 10)エントロピーの計算方法 11)不可逆性とエントロピーの確率論的意味 12)エントロピーと微視的状態) ント と微視的状態 13)熱力学関数 14)熱平衡 と相平衡 )まとめ基礎熱力学
15)まとめ 16)定期試験基礎熱力学
國友正和
共立出版
熱⼒学
1)熱現象と熱力学
熱⼒学
熱とは何だろうか
1 1 熱力学の成立
熱とは何だろうか
1.1 熱力学の成立
物体間の摩擦や衝突で熱が発生 ⇒ 熱の運動説
熱い物体と冷たい物体の接触 ⇒ 物質(熱素)説
熱い物体と冷たい物体の接触 ⇒ 物質(熱素)説
化学反応で発熱
物体間の摩擦や衝突で熱が発生 ⇒ 熱の運動説
熱い物体と冷たい物体の接触 ⇒ 物質(熱素)説
ランフォード(ベンジャミン・トンプソン)
1753年3月26日 1814年8月21
1753年3月26日 - 1814年8月21
日)はイギリス植民地時代のアメ
リカに生まれた科学者 ある 大
リカに生まれた科学者である。大
砲の砲身の中をえぐる工程で大
量に発生続ける摩擦熱がカ リ
量に発生続ける摩擦熱がカロリッ
ク説(熱素説)では説明しきれない
とを示しカ リ ク説を否定して
ことを示しカロリック説を否定して、
熱力学に先駆的な業績をあげた
ことで知られる
ことで知られる。
温度の定義
温度の定義
温冷感覚の客観化:温度計の発明
教科書 表1 1
温冷感覚の客観化:温度計の発明
教科書 表1.1
⇒ 温度と熱の違い
e.g., 冷蔵庫中の
e.g., 冷蔵庫中の
缶とペットボトル
温度の定義:熱力学の前提!
熱力学第1法則
第1種永久機関
熱力学第2法則
第2種永久機関
第2種永久機関
熱力学第3法則
熱⼒学
1.
4 熱平衡と温度
熱平衡と温度
熱⼒学
温度計の発明だけでは 単に容積変化等の
温度計の発明だけでは、単に容積変化等の
物質の変化を温度の変化と言い直したにすぎない
二つの物体を接触させると、やがて互いの容積等の変化が無くなる これを熱平衡状態
という このとき両物体の温度が等しいということにすれば良いと考えられる この考えは熱力学の第0法則
によって保障される この考えは熱力学の第0法則
によって保障される系
Aと系Bが熱平衡にあり、系Bと系Cが熱平
系
Aと系Bが熱平衡にあり、系Bと系Cが熱平
衡にあれば系
Aも系Cと熱平衡にある
この経験的な法則は自明なことと思えるが、熱力
学上もっとも基本的な法則である
学上もっとも基本的な法則である。
これによ て
温度を定義できる
これによって
温度を定義できる
熱平衡=同じ温度
熱平衡
同じ温度
熱現象は、物質を構成している分子や原子の微視的な乱雑な運動
熱運動エネルギーの目安:温度
熱運動エネルギーの変化量:熱量
1827年(1828年説も)、 イギリスの植物学者ロ イギリスの植物学者ロ バート・ブラウンは、花 粉を観察していた際、細 粉を観察していた際、細 かな粒子が不規則に動 く現象、いわゆるブラウ を 初 ン運動を発見した。当初 はロバートはこれを生命 に由来する現象と考え に由来する現象と考え たが、のちに微細な粉 末なら生物に由来しなく 分子が無秩序な熱運動 末なら生物に由来しなく てもこの運動が生じるこ とも発見した。1905年に 分子が無秩序な熱運動 アインシュタインが媒
質の熱運動
による質
熱
動
物理学的事象だと説明 した。1回目宿題
絶対温度(K)を基準に、摂⽒温度(℃)
及び華⽒(F)温度との変換関係を⽰せ
及び華⽒(F)温度との変換関係を⽰せ
T(K)
=
t(
℃
)
+
273.15
T(F)
=
9/5 t(
℃
)
+
32
T(F)
=
9/5 t(
℃
)
+
32
熱⼒学
1.2 熱現象
熱現象
熱⼒学
熱量の単位
:カロリー
1
cal = 純水1gの温度を1気圧のもとで
14.5℃から15.5℃まで上げるのに必要な熱量
国際単位制:ジュール
1 J =1 N・m
1 cal = 4.19 J
熱膨張
熱膨張
熱振動の非調和性から生ずる
熱振動の非調和性から生ずる
排他律による斥力エネルギー 原子核間距離 エ ネルギー 全エネルギー 排他律による斥力エネルギ 正 負イオン間の静電引力で結合 エ 静電引力エネルギー 正、負イオン間の静電引力で結合熱膨張
熱膨張
1
1
)[
/
]
(
/
1
l
T
dl
dT
T
T
線膨張率
1
/
l
(
T
1
)[
dl
/
dT
]
T
T
1
線膨張率
/
)
(
/
d
d
体膨張率
1
/
V
(
T
1
)[
dV
/
dT
]
T
T
1
)}
(
1
){
(
)
(
T
V
T
1
T
T
1
V
{
}
例題1.1 等方性固体では
= 3
練習問題1.2
練習問題1.
3、1.4
般的に固体は等方
一般的に固体は等方
的ではない
熱量の保存
熱量の保存
二つの物体の接触により一方が失った熱量は他方が得た熱量に等しいmc
C
熱容量と比熱
H t it ifi h t Heat capacity, specific heatおまけ:熱測定は物性研究においても重要 例えば自分たちの下 https://www.google.co.jp/?gws_rd=cr&ei=4hTEUoz_HcOTkQW_p4CYAQ#q=heat+capacity+X.G.+Zheng おまけ:熱測定は物性研究においても重要。例えば自分たちの下 記データ(Google検索で自分の論文を調べた)
2
1
T
T
両物体接触
とすると
)
(
)
(
T
T
m
c
T
T
c
m
2
1
T
T
両物体接触
とすると
)
(
)
(
1
2 22
1 1c
T
T
m
c
T
T
m
例題1.
2 水当量wの熱量計に質量Wで温度Tの水を入れ
ておく ち うど融解点
T にある質量Mの液体状態の金属
ておく。ちょうど融解点
T
mにある質量
Mの液体状態の金属
を入れたら最後に温度が
T
0になった。金属の固体の状態の
比熱を として金属の融解熱を求めよ
比熱を
cとして金属の融解熱を求めよ。
単位質量の融解熱を
L
とすると
)
)(
(
)
(
T
T
0
w
W
T
0
T
Mc
ML
(
m
)
(
)(
)
練習問題1.5
熱の移動
熱の移動
伝導、対流、放射
実例を
熱伝導率
T1 l T2熱伝導率
l
T
T
S
Q
(
)
/
単位時間伝わる熱量
Q
S
(
T
T
)
/
l
2
1
単位時間伝わる熱量
温度勾配
例題1.
3 厚さと熱伝導率それぞれd
1, d
2,
1,
2の2枚の板
を接触させ 2つの板の外側の温度をそれぞれT T (T >
を接触させ、2つの板の外側の温度をそれぞれT
1,T
2(T
1>
T
2)に保ったとき、接触面の温度と単位面積を単位時間に
流れる熱量を求めよ
流れる熱量を求めよ。
2
2
2
1
1
(
T
T
)
/
d
1(
T
T
)
/
d
Q
練習問題
1 6
Q
S
(
T
1
T
2
)
/
l
練習問題
1.6
液体
度が刻 変
注意
l
T
T
S
Q
(
1
2
)
/
液体の温度が刻々変化していることに注意
1.
3 熱力学の対象
熱力学の対象
熱現象は、物質を構成している分子や原子の微視的な乱雑な運動
熱⼒学
熱現象を巨視的に研究
熱⼒学
Thermodynamics
熱現象を巨視的に研究
統計⼒学
熱現象を微視的に研究
統計⼒学
Statistical mechanics
巨視的体系の特徴
巨視的体系の特徴
非常に多くの粒子からなる ~10
23 アボガドロ定数 = アボガドロ定数 = 6.02214129 × 1023 mol-1系
運動を解く とは
能
系の運動を解くことは不可能
多数粒子の平均から
熱を伴う現象の不可逆性
多数粒子の平均から
熱
う
象
例えば:2物体の熱接触、2容器気体の拡散、摩擦熱等熱力学と統計力学:力学と違った取り扱い
1.
5 状態量と状態方程式
状態量と状態方程式
状態量
:熱平衡状態を表す巨視的な物理量
状態量
:熱平衡状態を表す巨視的な物理量
力学的な量:体積V、圧力p、内部エネルギーU等
熱的な量 温度T エントロピ S等
熱的な量:温度T、エントロピーS等
状態量は系の状態だけで決まるものである 状態量は系の状態だけで決まるものである。 熱や仕事は系が外部とのやりとりをするもので系の熱平衡状態 をあらわすものではないから、状態量にあらず をあらわすものではないから、状態量にあらず状態方程式:状態量間の関係
理想気体の状態方程式
(ボイルーシャルルの法則)
:
nRT
pV
nRT
pV
R
=8 31J mol
-1
K
-1
R
8.31J mol K
理想気体:気体分子大きさ無く 分子間に力が働かないと仮定 理想気体:気体分子大きさ無く、分子間に力が働かないと仮定低温や高圧力の場合は実際の気体では大きくずれる
低温や高圧力の場合は実際の気体では大きくずれる
ファンデルワールスの考え方に基づく修正: 教科書p12 ファンデルワ ルスの考え方に基づく修正:(p+a/V
2
) (V b) = nRT
教科書p12(p+a/V
2
) (V-b) = nRT
練習問題
1 1
練習問題
1.1
2)熱力学第1法則
熱と力学的仕事を含めたエネルギー保存則
2.1熱力学過程:
ある熱平衡状態から別の熱平衡状態へ変化する過程
準静的過程:
熱平衡状態を保ちながら変化する仮想過程
可逆的である 変化過程で系の状態を状態量で表せるので 種々の計算ができる 変化過程で系の状態を状態量で表せるので、種々の計算ができる例:(準静的)等温過程 断熱過程
例:(準静的)等温過程、断熱過程、
循環過程(サイクル)等
2.2 熱力学第1法則
熱と力学的仕事を含めたエネルギー保存則
ジュールの羽根車実験:
仕事が熱量を作り出す
W=
J
Q、熱の仕事当量
J
=
4.19J/cal
内部エネルギーの変化量
U=Q+W
Q、
W系に与える時は正
微小変化の場合
:d
U=
Q+
W
状態量の変化と区別するためにδを使用2.3 エネルギーの移動
図
2.3のように、準静的過程において
W
= -
pdV
W
= -
pdV
第1法則:dU=Qーp
d
V
図
2 4のように
図
2.4のように
W
= -
pdV
VBW
=
V ApdV
例題
2.1
水が水蒸気になった時の体積変化に注意
水が水蒸気になった時の体積変化に注意
2.4 内部エネルギー
代表的な実験
自由膨張:
教科書図2.5
真空への自由膨張で仕事
W=0 断熱でQ=0
真空への自由膨張で仕事
W=0、断熱でQ=0
∴ 内部エネルギーの変化
U=0
度変化が観測されず
温度変化が観測されず
内部エネルギーは温度のみに依存する
内部 ネルギ は温度のみに依存する
しかし 実験精度に大きな問題点がある
しかし、実験精度に大きな問題点がある
細孔栓の実験ー
ジュール・トムソン
膨張
多孔質壁を介して気体の入る2つの部屋をつなぎ多孔質壁の両側の 多孔質壁を介して気体の入る2つの部屋をつなぎ多孔質壁の両側の 圧力を一定にしながら(PA>PB) 、一方の部屋から他方へと気体を押 し出すというものである。図
2.6のように
多孔質壁を通して圧
し出すというものである。図
2.6のように
多孔質壁を通して圧
力差を保ちながら膨張させた時に温度の変化を調べる
膨脹においてW
p
AV
A
p
BV
B,Q=0
B B A A A A B BV
U
T
V
W
p
V
p
V
T
U
U
(
,
)
(
,
)
な気体
実験すると 分
さ 気体
いろんな気体について実験すると、分子の小さい気体では
温度変化が小さく、分子の大きい気体では温度変化が大
き
また
力が
さ と温度変化が
さく大き と温度
きい。また、圧力が小さいと温度変化が小さく大きいと温度
変化が大きい
小さい分子・圧力が小さい(密度が低い)⇒温度変化が小
推論:
大きさが無く、分子間引力が
無い
理想気体⇒温度変化しない
B B A AV
p
V
p
RT
t
cons
T
tan
,
理想気体:
0
)
,
(
)
,
(
U
U
T
BV
BU
T
AV
AW
p
AV
Ap
BV
B理想気体の内部エネルギーは温度だけの関数と言える
実際の気体では自由膨張で温度が変化、ジュール・トムソン効果 気体を液化できる気体の液化 1908年 Heike Kamerlingh Onnes、1913年 ノーベル物理学賞