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1-2. 知識社会への推進力としての教育 (1) 工業社会から知識社会への転換期としての現在 パクス ブリタニカ 自由主義国家 軽工業基軸の工業社会 1929 年の 世界恐慌 パクス アメリカーナ 福祉国家 重工業基軸の工業社会 現在の 世界恐慌 頭脳産業基軸の知識社会 (2) 教育による産業構造の

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1 教育再生への財政学(制度主義)的考察 1. 教育の重要性を財政学で考える 1-1.教育による社会統合の使命 (1)三つのサブ・システムが分離している市場社会 ・市場社会とは「生活の場」である社会システム(共同体)と、「生産の場」である経済 システム(市場)と、それらを「公」として統治する政治システム(国家)とが分離し ている社会である。 ・そもそも三位一体であった三つのサブ・システムが三角形に分離しているため、社会全 体として統合している社会統治機能が必要となる。もちろん、社会統合の責任は政治シ ステムが担う。 (2) 財政と教育の統合機能

・「財政(public finance)」とは「公(public)」の「貨幣現象(finance)」である。 政治システムは財政を通じて、社会システムによって営まれる社会の構成員の生活 活動を保障する「社会的セーフティネット」を提供する。 さらに経済システムで営まれる生活活動の前提条件である「社会的インフラストラ クチュア」を提供する。 この二つのネットを整備することによって、社会統合を図っていく。 ・社会・経済・政治という三つのサブ・システムが分離していると、それぞれのシステ ムに参加しても、それぞれのシステムで必要な能力しか身につかない。 そのため経済システムにおける生産活動に必要な能力だけではなく、社会システム で生活を営み、政治システムで民主主義を担う全人格的な社会の構成員を育成する教 育によって社会統合を果していく必要がある。 ジョン・デューイ(Jon Dewey)の教育機能の三原則でも、第一原則として社会的 統合の原則が掲げられている。 三つのサブ・システムと財政 財政 政治システム 政府 経済システム 市場 (生産の場) 社会システム 共同体 (生活の場) 社会的 インフラストラクチュア 社会的 セーフティネット

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2 1-2. 知識社会への推進力としての教育 (1) 工業社会から知識社会への転換期としての現在 (2) 教育による産業構造の転換 ・教育は知識社会の社会的インフラストラクチュアでも、社会的セーフティネットでも ある。 ・重化学工業を基盤にした福祉国家の現金給付による社会的セーフティネットは、教育・ 医療・福祉という対人社会サービスの現物給付に軸足を置いた社会的セーフティネッ トに張り替える必要がある。 ・重化学工業を支えた物的な社会的インフラストラクチュアは、教育投資による人的な 社会的インフラストラクチュアに張り替える必要がある。 (3) 知識社会の教育原則と教育体系 ・知識社会の教育は「誰でも、いつでも、どこでも、ただで」が基本原則である。 ・知識社会では変化が時間圧縮(time compression)する。従来は 10 年間かかった変化 が数年で生じる。そのため常に学び直すことが保障されなければならない。 ・1996 年の OECD 教育大臣会議は、知識主導型社会(Knowledge-Based-Society)では 「すべての人に生涯学習を」と主張している。 ・2001 年の OECD の「国際レベル教育委員会」は、「生涯学習戦略は、知識社会を推進す る主要な手段として役に立ちうる」としている。 ・そうなると学校教育と成人教育を組み合わせたリカレント教育を整備する必要がある。 リカレント教育とは「すべての人々に対する義務教育または基礎教育終了後の教育に関 する総合的な戦略であり、その本質的特徴は、個人が生涯にわたって教育を他の諸活動 と交互に、特に労働と、しかしまた、余暇活動および年金生活者生活とも交互に行うと いう仕方にある」と定義されている。 パクス・ブリタニカ 自由主義国家 軽工業基軸の工業社会 パクス・アメリカーナ 福祉国家 重工業基軸の工業社会 1929年の 世界恐慌 現在の 世界恐慌 頭脳産業基軸の知識社会

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3 スウェーデンの教育体系 2. 知識社会の財政を構想する 2-1. 二つのネットを張り替えられない日本の歳出構造 (1) 遅れる工業社会から知識社会への転換 ・日本は工業社会から知識社会へと経済を転換するため二つのネットの張り替えが進 んでいない。転換期にも依然として重化学工業社会の物的インフラストラクチュア と現金給付のセーフティネットに重点を置いてきた。 ・そのため経済構造の転換は進んでいない。

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4 一般政府の総固定資本形成(対 GDP 比)の推移

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5 スウェーデンにおける就業構造の変化

日本における就業構造の変化

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6 (2) 成功体験を逆転させる ・「経済成長と雇用の確保と、社会的正義(所得の平等な分配)という三つの政策目的 を同時に実現できるのは、教育投資しかない」という確信が知識社会への道を拓く。 ・知識社会の求める教育は、型にはめる「盆栽型教育」ではなく、かけがえのない能 力を伸ばす「栽培型教育」である。問題認識能力や問題解決能力が必要とされるか らである。 ・ノーベル経済学賞に輝いたサロー(Lester C. Thurow)は日本国民に次のように忠 告している。 「さまざまな意味で、日本は第二次世界大戦後の資本主義の勝者であった。…し かし、ゲームの戦い方をうまく習得して勝利を収めてきた者が、ゲームが変わった ことに気づき、新しいゲームの戦い方を学ばなければならないことに気づくのは、 たいていいちばん後だ。この点で、日本も例外ではない」と。 ・オックスフォード大学のケイザー(K. C. Kaser)は、スウェーデンとともに日本を、 経済発展に先立って義務教育を発展させた例外的な国だと指摘している。第二次大 戦後の日本の重化学工業化による驚異的な経済成長は、日本が経済発展に先立って 教育を整備した成果と考えられている。もちろん、後進国として国民統合を図る必 要があったからである。しかし、知識社会を支える「学びの社会」の形成には遅れ をとっている。 2-2. 二つのネットを張り替える租税構造 (1)所得税・法人税基幹税主義を補強する ・第二次大戦後に挙って福祉国家を目指した先進諸国は、所得課税(所得税・法人 税)を基幹税とする租税体系を実現した。 ・福祉国家が基盤とした重化学工業を基軸とする工業社会が行き詰まると、知識社 会へと舵を切るために、二つのネットを張り替える財源を調達することを目指し て、基幹税である所得課税を一般消費税で補強しようとする。 ・所得税には所得のみでは経済力を把握できないという欠陥が存在する。所得の定 義に曖昧さがある上に、財産を食い潰すなどすれば、所得が無い、あるいはわず かでも、贅沢三昧な消費生活が可能となる。しかも、所得税には所得の種類によ って捕捉率に相違がある。こうした所得課税の欠陥を一般消費税をも基幹税に加 えることで是正することによって、二つのネットを張り替えようとしたのである。

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7 OECD 加盟国の租税負担率の推移 (2) 所得税・法人税基幹税主義を崩した日本 ・日本は所得税・法人税基幹税主義を維持することなく、1990 年代に相次ぐ所得税・ 法人税の減税で崩してしまった。 ・その穴埋めに一般消費税が導入・増税されているけれども、補うことができず、租 税負担率は低下して、ネットの張り替えは進まない。 しかも、一般消費税は予算総則で使途を社会保障というネットにのみ限り、ネット の張り替えで重要な教育には充当されない。 0 5 10 15 20 25 30 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2007 個人所得課税 法人所得課税 一般消費税 租税負担率 %

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8 日本の租税負担率の推移 (3)進まない補完税の充実 ・所得課税と一般消費税という基幹税を組み合わせる補完税として、酒税・煙草税 などの個別消費税を補強するように、富裕税とともに環境関係税がネットの張り 替えに充当される。しかし、日本の環境関係税はむしろ減税要求が強く、ネット の張り替え財源としては機能していない。 0 5 10 15 20 25 30 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2007 個人所得課税 法人所得課税 一般消費税 租税負担率 %

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9 3.教育財源拡充の指針 3-1.所得課税と一般消費税を車の両輪とする租税体系を確立する。 (1) 所得課税を基幹税に再設定する ・所得税は実質的累進性を確保するように、諸控除を見直した上で、累進税率を引 き上げていく。源泉分離となっている資産所得については、総合合算するか、源 泉分離のままであれば、税率を引き上げるべきである。 ・法人税も税率引き下げよりも、課税ベースの拡大を図るべきである。 (2) 一般消費税を社会保障・教育というネットを張り替える財源を増加させるため に増税する。教育という使途について予算総則で明記してもよい。 (3) 富裕税・環境関係税という補完税を整備する。 ・休眠している地価税は純資産税つまり富裕税として再生させるべきである。 ・環境関係税は拡充し、二重の配当として使途に教育を考えてよい。 3-2.教育財政支出と租税負担の好循環の形成 (1) 教育財政支出と租税負担は相関する ・教育を充実するためであれば、租税を受け入れる。教育財政支出が低水準で家計 費の教育支出が高ければ、国民は増税に抵抗する。こうした傾向は一般的に指摘 できる。地方税で超過税率を採用した根拠として、教育の充実が多く用いられた ことからも明らかである。 租税負担率と教育投資(全教育段階)2011 年 (2) 教育目的税を考える ・教育財政支出と租税負担の好循環という観点からすれば、教育目的税を構想する こともできる。 ・目的税には使途目的税と作用目的税がある。作用目的税を構想するのであれば、 教育環境を悪化するような行為や物件に課税することになる。 ・使途目的税であれば、既存の租税への付加税を含め幅広く検討できる。

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10 ・しかし、ノン・アフェクタシオンの原則からいって、一般的に目的税は好ましい わけではない。とはいえ、地方税では法定外目的税も認められているので、地方 税としては充分に検討に値する。

参照

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