• 検索結果がありません。

国立国会図書館デジタル資料長期保存基本計画

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "国立国会図書館デジタル資料長期保存基本計画"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

国図電 2102181 号 令和 3 年 3 月 3 日 国立国会図書館デジタル資料長期保存基本計画 2021-2025 1 背景 国立国会図書館(以下「当館」という。)は、近年、デジタル形式の資料を多く所蔵するよう になってきている。平成 12 年から継続的に所蔵資料のデジタル化を進めてきたことに加え、同 年には、CD-ROM、DVD など有形の媒体に情報を固定した電子出版物(以下「パッケージ系電 子出版物」という。)の納本制度による収集を開始した。さらに、インターネットの発展に対応 して、平成 14 年からインターネット情報を収集・保存する事業に取り組み、平成 22 年には、 国等の公的機関が発信するインターネット情報の制度的な収集・保存を開始した。平成 25 年か らは、民間で出版された無償かつ DRM(技術的制限手段)のない電子書籍、電子雑誌等をオン ライン資料収集制度により収集・保存し、有償又は DRM の付されているものの収集について も検討を進めてきた。 しかしながら、デジタル形式の資料には、媒体のぜい弱性、再生装置の入手困難化及び再生 ソフトウェア等技術の陳腐化という課題がある。そこで、デジタル形式の資料を適切に管理し、 長期にわたる利用を保証するための諸施策が必要となっている。 当館では、平成 29 年度から、パッケージ系出版物に対する保存対策の試行、光ディスクの劣 化状況調査等を実施し、試行等の状況を踏まえた取組を進めているところである。 2 本計画の位置付け 本計画は、1 に示した背景及び「国立国会図書館における資料保存の在り方」(平成 15 年国 図収第 37 号)を踏まえ、当館が所蔵するデジタル形式の資料の長期保存に係る取組の基本的な 進め方について定めるものである。本計画において「長期保存」とは、特に断りのない限り、 長期的な利用を保証するための保存をいう。 本計画に基づき、具体的な対策を行う際には、必要に応じて計画等を定めて実施するものと する。 なお、本計画の計画期間は令和 7 年度までとし、必要に応じ改訂を行うものとする。 3 目的 当館は、国立図書館として、国民の文化的財産・知的資源としての国内出版物を収集・保存 し、後世に伝えるという役割を担っている。この役割を果たすため、当館は、所蔵するパッケ ージ系電子出版物、インターネット資料・オンライン資料、デジタル化資料等(以下「デジタ ル資料」という。)を永く保存し、長期的な利用を保証するために必要な施策を講ずる。 4 対象資料 本計画で対象とするデジタル資料は、次に示すものとする。各資料の数量は別表を参照のこ と。 (1) パッケージ系電子出版物 当館が、納本制度等により、物理的媒体の形式で収集したフロッピーディスク、CD、DVD、 Blu-ray Disc 等の電子出版物

(2)

(2) インターネット資料・オンライン資料 当館が、インターネット資料収集保存事業によって収集したウェブサイト等のインターネッ ト資料及びオンライン資料収集制度によって収集したオンライン資料 (3) デジタル化資料等 当館が作成又は他機関等から収集した、デジタル化資料1(保存用データを含む。)及び図書 館資料と同等の内容をもつデジタル成果物2で(1)、(2)に該当しないもの並びに当館が保存の ために作成した(1)の複製物 5 基本方針 (1) デジタル資料のデータの破損・欠損を防止し、長期的な利用を保証するため、組織全体とし て取組を進める。 (2) 媒体のぜい弱性、再生装置の入手困難化及び再生ソフトウェア等技術の陳腐化を、当館の基 本的役割に係る重要な課題と位置付けて対応に取り組む。 (3) 保存対策を実施するデジタル資料の優先順位は、次の判断基準を基に総合的に判断し、決定 することとする。媒体や資料群としての判断のほか、劣化状況等に応じて個体単位で保存対策 を実施することがある。 ① 再生環境の陳腐化並びに媒体の脆弱性及び劣化状況に応じた保存の緊急性 再生装置・ソフトウェアが陳腐化し入手困難となっている資料、媒体の特性上脆弱な もの、劣化が進行している資料 ② 唯一性・希少性 他媒体との内容の重複がない資料、他機関における所蔵が確認できない資料 ③ 長期保存への社会的ニーズ 長期保存への社会的ニーズがあり、当館の使命、他機関との役割分担等に照らして当 館が対策を行うことが妥当な資料 ④ 保存のための対策手段の確立状況及び対策に要するコスト 保存対策の技術的手段及び利用提供方法が確立している資料並びに保存対策の実施に 要するコストが過大とならない資料 (4) (3)の判断基準に基づき、まずパッケージ系電子出版物について保存対策を実施する。な お、予防的対策として、デジタル化資料等の作成時においても、保存対策の観点に留意するも のとする。 (5) 保存対策に当たっては、資料の特性、再生環境の有無及びその他の状況を踏まえ、媒体変換3 ファイルフォーマット変換等のうち最適な手段を選択して実施する。 なお、保存対策においては、媒体変換、ファイルフォーマット変換等を総称して「マイグレ ーション」という。 (6) この分野における国際的標準化の動向を注視し、可能な範囲で標準化活動にも参画する。国 1 アナログ媒体資料の代替として利用に供するため、画像・音声・動画等の形式で当該アナログ媒体資料をデ ジタル化したもの 2 デジタル形式の画像・音声・動画・テキスト等 3 媒体変換には同種の媒体への移行を含む。

(3)

際規格その他既存の標準にできるだけ準拠する。 (7) デジタル資料の長期保存に係る議論に積極的に関与し、取組の必要性について周知・啓発に 努める。当館における実践内容を広く発信する。 6 保存対策 デジタル資料を長期に保存し、利用を保証するための対策として、次の事項を実施する。具 体的な実施策は、7 に記載する調査研究の成果も踏まえ、決定する。 (1) 資料の状態検査 所蔵資料4の状態を継続的に検査し、適切な基準に基づきリスク評価を行う。特に、所蔵数が 多く劣化状況の個体差が大きい光ディスクについて、検査手法の検討及び体制の整備を進め、 検査を実施する。 (2) メタデータの整備 長期保存のために必要なメタデータを保存対象の内容とともに保存する。さらに、望ましい メタデータ(保存対策前の原資料に係るメタデータを含む。)のデータ項目、データ保管方法、 整備体制等について検討を行いつつ、整備を進める。 (3) 適切なファイルフォーマットの選択 デジタル資料作成時(アナログ資料のデジタル化、オンライン資料等のデジタル形式のコン テンツ作成等を含む。)には、長期保存の観点から適切なファイルフォーマットを選択する。フ ァイルフォーマットの選択においては、可能な限り、広く普及し、標準化されたフォーマット を選択する。 (4) マイグレーション等の実施 マイグレーション等の対策を本格的に実施する。ファイルフォーマットの変換を行うと資料 の再現性の確保が困難となる等の場合には、データの読出し可能性の確保を優先し、原資料の ファイルフォーマットを維持した媒体変換等を行った上で、再生環境を疑似的に再現するエミ ュレーション等の対策を検討する。 (5) 保存環境の整備 デジタル化資料やマイグレーション後のデータの保存に関し、標準的な技術を利用した保存 媒体、保存方式等について検討を進め、データの破損・欠損を防ぐための合理的かつ安定的な 保存環境を整備する。 (6) 再生環境の維持 長期的な利用保証を目的として再生装置の状態を定期的に確認し、必要に応じて修復・交換 作業等を行う。 (7) 対策後の利用環境等の整備 マイグレーション等の対策後のデータを利用提供するために、システム・ハードウェア等の 環境(エミュレーション・仮想化等による利用を含む。)を整備する。 (8) 原資料等の保存環境の維持 マイグレーション後の原資料及び保存対策の実施に至らない資料を適切な環境において保存 する。 4 別媒体にマイグレーションした場合にはマイグレーション後の資料を含む。

(4)

(9) 長期保存の必要性及び各種情報の周知 デジタル資料の長期保存の必要性、長期保存の観点からのデジタル資料作成時の留意点等、 取組の成果を踏まえた関連情報に関して当館ウェブサイトその他の広報媒体を通じて適切に周 知する。 7 技術的調査研究 デジタル資料への長期にわたるアクセスの保証を目的とし、具体的な保存対策の推進のため、 次に掲げる事項について、適用可能性の高いと考えられる技術に関する調査研究を計画的に実 施する。加えて、保存対策の長期的な検討に資するため、海外の長期保存システム等の技術動 向について継続的に調査する。 ① 保存媒体(光ディスク・ハードディスク等)の検査手法 ② 長期保存の観点から望ましいファイルフォーマット ③ 長期保存のために必要なメタデータ項目及び保存システム等への実装方法 ④ 媒体・コンテンツに応じたマイグレーション・エミュレーション手法(大量の資料を 対象とした実施手法を含む。) ⑤ 標準的な技術を考慮した、合理的かつ安定的な保存環境(媒体、システム等) ⑥ マイグレーション後データの効果的な提供方法 8 連携・協力及び人材育成 電子情報保存に関する国際学術会議(iPRES)等の関連する会議・イベント等に職員を派遣 し、継続的に情報収集に努めるとともに、国内外の関係機関、企業等との情報共有及び連携を 促進する。あわせて、当館職員の長期保存に関する知識をかん養し、長期保存に係る人材育成 及び専門性の向上を図る。 9 進捗管理等 デジタル資料の長期保存は、当館として部局横断的・全館的に取り組むべき課題であり、電 子情報部門、収集・書誌・資料保存部門及び利用提供部門が連携して施策を実施する。本計画 に係る調整及び進捗管理は、電子情報部が行う。 なお、調査研究については、具体的な保存対策に係る領域は関西館が、技術的実証実験を伴 う領域は電子情報部がそれぞれ担当するが、実施に当たっては両者が密接に協力して進めるも のとする。

(5)

(別表) デジタル資料の所蔵数(令和元年度末時点) 種類 数量(概数) データ量 パッケージ系電子出版物 磁気ディスク(フロッピ ーディスク等) 12,400 点 - CD、DVD、Blu-ray Disc 873,400 点 その他光ディスク(MD 等)、半導体メモリ等 4,600 点 計 890,400 点 インターネット資料・ オンライン資料 インターネット資料 177,000 件 1678.6TB オンライン資料 1,247,000 点 1.5TB デジタル化資料等 画像 2,772,000 点 150.9TB 音声・動画 (DAISY 含む) 75,000 点 その他(点字データ) 2,000 点 計 2,849,000 点 ※ パッケージ系電子出版物の点数には、複本は含まれない。付属資料(組み合わせ資 料、付録等)は含まれている。 ※ インターネット資料の件数は WARP 収集個体の累積保存数を示す。 ※ オンライン資料及びデジタル化資料の件数はアイテム数を示す。 (令和 2 年 7 月調査)

参照

関連したドキュメント

また,文献 [7] ではGDPの70%を占めるサービス業に おけるIT化を重点的に支援することについて提言して

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、製造業において、資源価格の上昇に伴う原材料コストの増加

(b) 肯定的な製品試験結果で認証が見込まれる場合、TRNA は試験試 料を標準試料として顧客のために TRNA

したがって,一般的に請求項に係る発明の進歩性を 論じる際には,

燃料取り出しを安全・着実に進めるための準備・作業に取り組んでいます。 【燃料取り出しに向けての主な作業】

・「SBT (科学と整合した目標) 」参加企業 が所有する制度対象事業所の 割合:約1割. ・「TCFD

当面の間 (メタネーション等の技術の実用化が期待される2030年頃まで) は、本制度において