水工学論文集,第59巻,2015年2月
ヘドニック・アプローチを用いた津波災害リス
クに対する住民意識の評価
EVALUATION OF RESIDENTS AWARENESS REGARDING POTENTIAL RISK
OF TSUNAMI DUE TO NANKAI TROUGH EARTHQUAKE BY HEDONIC
APPROACH IN SAIKI, OITA
東野
誠
1・鬼束幸樹
2・横田恭平
3
・古川隼士
3
Makoto HIGASHINO, Kouki ONITSUKA, Kyohei YOKOTA, and Takashi FURUKAWA
1正会員 博(工 ) 大分工業高等専門学校准教授 都市・環境工学科(〒870-0152 大分市大字牧1666) 2正会員 博(工 ) 九州工業大学大学院准教授 工学研究院建設社会工学研究系(〒804-8550 北九州市戸
畑区仙水町1-1)
3正会員 博(工 ) 大分工業高等専門学校助教 都市・環境工学科(〒870-0152 大分市大字牧1666)
This study attempts to evaluate the potential risk of tsunami driven by Nankai trough earthquake with investigation of land price based on the hedonic approach in Saiki, Oita. Simulations have been conducted by the cabinet office, government of Japan and Oita local government, and results, e.g. the estimated inundation height and travelling time of tsunami, have been published. The land prices are assumed to be a good descriptor of the potential risk of tsunami as well as convenience and comfort of the life. The land prices were taken to be a function of accessibility to the Saiki train station, schools, and parks, and of risk factors, e.g. elevation, the predicted flood depth due to tsunami and so on. The multiple regression analyses show that the land prices decrease with increased distance from the Saiki station. The effect of the potential risk of tsunami is also described by the land prices, i.e. the land prices decrease as the estimated flood depth increases.
Key Words : hedonic approach, potential risk of tsunami, land prices, flood depth.
1.
まえがき
宮城県牡鹿半島の東南東沖130kmの海底を震源とする 東北地方太平洋沖地震が2011年3月11日に発生した.こ の地震の規模はマグニチュード9.0で,日本周辺におけ る観測史上最大の地震である.この地震により,場所に よっては波高10m以上,最大遡上高40.1mにも達する大 津波が発生し,東北地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害 をもたらした.この地震による死者は約16,000人であり, それらの約90%が水死と津波によるものである.この津 波を受けて中央防災会議では,南海トラフ巨大地震につ いて,想定される最大クラスの地震,津波に対して被害 の想定の見直しを行った 1) .大分県においても, 2004年 3月にマグニチュード8.6の地震を想定し,県南沿岸部の 津波高は最大で5~6mとしていたが,2011年6月に見直 しが行われ,東日本大震災のマグニチュード9の地震を 想定し,津波高を従来の既定値の1.5~2倍として,再検 討が行われた 2) .そして,県内市町村のハザードマップ 作成に資することを目的に南海トラフ,別府湾,周防灘 を震源とする3地震についてシミュレーションを行い, 県内43地点の津波の高さや到達時間を算出して,これら に基づいた防災対策が検討されている. 本研究は,大分県佐伯市を対象として,3.11以降高ま りつつある地域住民の南海トラフ地震と津波災害に対す る意識をヘドニック・アプローチに基づいた地価の分析 によって把握することを試みるものである.ヘドニッ ク・アプローチとは,財を複数の属性からなるものとと らえ,属性ごとに潜在的な経済価値を推定する手法のこ とである.上述のようなヘドニック・アプローチに基づ く地価分析を用いて,災害リスクの影響や住民行動の評 価が試みられている.これらは,地震危険度 3) や治水安 全性の評価 4),5) を行ったものである.また,東京と大阪 を対象として,水災害リスクの地価への影響は住民の水 災害リスクへの意識の反映であることに注目した分析が 行われている 6) .以上のように,地震や治水安全性の検 土木学会論文集B1(水工学) Vol.71, No.4, I_1381-I_1386, 2015.討に際して地価分析が用いられているが,南海トラフ地 震による津波防災への適用例は無い.
2.検討対象地域の概要
検討対象とした佐伯市は大分県の南東端に位置し(図-1 7) ),2005年の市町村合併によって,九州の市町村の中 で最大の面積903.53km 2 (大分県の面積の約14.3%)を持つ. 東部は豊後水道に面しており,リアス式海岸地帯が広 がっている.また,内陸部は祖母傾山系の山々に囲まれ ており,南部は宮崎県との県境をなしている.市内を流 れる一級河川の番匠川によってできた県南最大の沖積平 野に市街地が拓けており,人口約73400人(大分県の人口 の約6.3%)の大部分が集中する. 中央防災会議や大分県の検討では南海トラフ地震発生 後,約50分で5~7mの津波が到達すると予測されている. 津波による被害軽減にあたっては,ハザードマップ等に よる地域住民への避難方法の周知徹底や防災に対する意 識の向上等の対策が重要である.また,市街地には番匠 川,およびその派川の中江川,中川等が貫流しており (図-2 7) ),それらの河川を津波が遡上し津波被害が佐伯 湾沿岸のみならず内陸部まで拡大することが懸念される. 南海トラフ巨大地震による津波が佐伯湾,そして市街 地へと来襲するという条件下における佐伯市街地での地 震発生時から津波が到達するまでの時間と浸水深に関す る中央防災会議,および大分県の検討結果を図-3,4に 示す 1),2) .図-3より,中川河口付近の最大浸水深は5m以 上であるが,内陸部へと入り込むほど低下する様子が見 て取れる.また,佐伯市街地の大部分で浸水深は2mを 越える.図-4は津波到達時間の検討結果を示したもので ある.この図より,津波は発震後40~50分で海岸部に到 達する.佐伯市街地で海岸に近い部分では約60分,海岸 から内陸部へと入り込み,堅田川との合流点よりも上流 側の番匠川に沿った地域では60~90分となっている. 以上のような,南海トラフ地震による津波に関する検 討結果は,既に新聞や佐伯市HP等において公表されて いる.3.分析手法
南海トラフ地震に伴う津波災害危険度を地価分析を通 して評価することを試みる.住民がリスク回避的であれ ば,津波リスクの高い地域の立地を避けると予想され, その地域の地価は低リスクの地域よりも低くなることが 期待される.本研究では,目的変数である地価として公 示価格を,説明変数として災害危険度に関する指標,お よびその土地の利便性や快適性を表す環境・住宅指標を 用いた.これらを,表-1に総括するとともに,以下に概 説する. (1) 地価 本研究では地価として公示地価,および都道府県地価 調査を用いる.公示地価とは,国土交通省土地鑑定委員 会が毎年1月1日時点の評価として3月に公表するもので ある.また,都道府県地価調査とは,都道府県知事が毎 年7月1日における標準価格を判定するものである.本研 究では,佐伯市内において,津波による浸水が想定され る16地点を選定し,2014年度公示地価 8) 6地点,および 2013年度都道府県地価調査 9) 10地点を利用している.前 述(2.)のように中央防災会議,および大分県による南 海トラフ地震に伴う津波のシミュレーション結果(図-3, 4)は2013年初頭には既に公表されており,公示地価,お よび都道府県地価調査は津波によるリスクが反映された ものであると考えられる. (2) 環境・住宅指標 土地の利便性や快適性を表す環境・住宅指標について 図-2 佐伯市街地 図-1 検討対象地域(大分県佐伯市)図-3 南海トラフ地震による最大浸水深 図-4 南海トラフ地震による津波到達時間 は,既往の研究事例 5),6) を参考に,表-1に示すものを用 いた.先ず,最寄り駅であるが,調査対象とした佐伯市 はJR九州以外,私鉄や地下鉄は無い.また,JR九州は佐 伯市内に狩生,海崎,佐伯,上岡の各駅が存在するが, 佐伯駅以外は市街地から離れており,また列車の本数等 の利便性を考慮して,本研究では佐伯駅のみを対象とし た.これ以外は,既往の事例 6) と同様,「最寄りの小中学 校までの距離」,「最寄りの公園までの距離」,および「下 水道の有無」とした. 各公示地点から佐伯駅までの距離,また,最寄りの小 中学校,および公園までの距離は,数値地図2500(空間 データ基盤) 10) を用いて計測した.下水道の設置状況に ついては,公示地価,および都道府県地価調査から把握 し,下水道が整備されている公示地点を1,されていな い公示地点を0とするダミー変数として扱う.分析対象 とした16地点のうち,下水道が整備されていないのは3 地点であった.
(3) 津波災害リスク ヘドニック・アプローチに基づく地価分析に関する既 往の研究 4)~6) は,殆どが河川の水災害リスクに関するも のであり,リスクを表す説明変数としては年平均期待浸 水深 4) ,累積地盤沈下量や計画高水位と地盤高との差で ある相対水位高 5) ,過去の洪水を対象とした解析で得ら れた浸水深や標高 6) が用いられている.本研究では,前 出(2.)の中央防災会議 1) と大分県 2) による南海トラフ地 震に伴う津波のシミュレーション結果より得られた想定 浸水深(図-3),および津波到達時間(図-4)に加えて,寺 本ら 6) と同様,標高をリスクを表す説明変数とした.な お,各地点の標高については,数値地図50mメッシュ (標高) 11) より調べた. (4) 地価関数のモデル化 本研究では,地価関数として線型の重回帰モデルを仮 定し,目的変数である地価Yを説明変数Xj(j=1,2,・・・, N)を用いて次式で表す. ) 1 ( 2 2 1 1 0 + + + + +ε = a a X a X aNXN Y ・・・ ここに,a0は定数項,aj(j=1,2,・・・,N)は偏回帰係数, εは誤差項である. 説明変数としては,表-1に示す環境・住宅指標に加え て,津波リスクを表す説明変数として,Case1:標高, Case2:津波の到達時間,およびCase3:津波による想定 浸水深を用いる場合,の3通りについて重回帰分析を 行った.それに際しては,目的変数と説明変数を各々の 平均値と標準偏差を用いて正規化した.分析に用いた データは表-2に示す通りである.
4.結果と考察
(1) 分析結果の概要 前述(3.)のようにして推定した大分県佐伯市街地の 地価関数をCase毎に表-3~5に纏める.説明変数につい ては,表中のt値の絶対値が大きいほど,地価に対して 統計的に有意な相関を持つ.これらの表から,いずれの Caseにおいても「JR佐伯駅までの距離」が地価に大きな 影響を持っており,これは大阪や東京を対象とした検討 結果 6) と同様の傾向である.一例として,表-3より,佐 伯駅までの距離が1km増加する毎に,地価は1m 2 あたり 4137円低下している.これは,住民は佐伯駅までの1km の距離の短縮に対して4137円支払っていることになる. 駅までの距離の地価への影響率は,既往の研究 5),6) では, -1.5~-2.5%である.一方,本研究では-10.04~-10.98%, と既往の研究よりも高い値が得られた.本研究で対象と するような地方都市では,大都市よりも自動車の普及率 が高く,公共交通機関への依存性は低くなる傾向がある. 本研究における公共交通機関への強い依存性は,当該地 域が抱える少子高齢化・過疎化に起因すると推察される. すなわち,人口に占める自動車よりも公共交通機関を利 用する60歳以上の割合が高いことが一因と考えられる. なお,分析対象とした16地点のうち,下水道が整備され ていない点は3地点であり,いずれのCaseにおいても, 下水道が整備されている場合,地価は1m 2 あたり約25500 円上昇する. 得られた重回帰式の有意性は,重相関係数,あるいは 寄与率で表される.表-3 ~5 に示すように,いずれの Caseにおいても重相関係数は0.90以上(寄与率0.80以上) であり,回帰による変動が全変動の80%以上である.一 方,大阪寝屋川流域を対象とした検討結果では,サンプ ル数33~35に対して重相関係数0.70~0.74 5) ,大阪と東京 を対象とした検討結果では,サンプル数351~719に対し て 寄 与 率0.534~0.606 6) で あ っ た . 上 述 の 重 相 関 係 数 (0.90以上)より,得られた結果は概ね妥当であると判断 される.しかしながら,本研究でのサンプル数は16であ り,上述の検討例と比べて極端に少ない.また,検討対 象とした大分県佐伯市と東京や大阪等の大都市ではJR, 私鉄,地下鉄,バス等の公共交通機関や病院,学校等の 表-1 説明変数 説明変数 内容 環境・住宅指標 JR佐伯駅までの距離 学校までの距離 公園までの距離 下水道の有無 公示地点からJR佐伯駅までの距離(km). 公示地点から最寄り小中学校までの距離(km). 公示地点から最寄り公園までの距離(km). 下水道整備ダミー. 津波災害の指標 標高 津波到達時間 浸水深 公示地点の標高値(m). 発震から津波が到達するまでの時間(hr). 津波による想定浸水深(m). 表-2 使用データ 地価 平成26年国土交通省地価公示 平成25年都道府県地価調査 地盤高 数値地図50mメッシュ(標高) 日本-Ⅲ,国土地理院 想定浸水深 と津波到達 時間 南海トラフ巨大地震の被害想定につ いて(第一次報告),中央防災会議 大分県津波浸水予測調査浸水予測図 (速報版)社会基盤の整備状況が異なるため,比較に際しては,こ れらを十分に考慮する必要がある. (2) 津波に対するリスク要因 津波災害リスクを表す説明変数として標高,津波の到 達時間,および浸水深を用いて分析を行った.表-3~5 より各Caseのt値は標高が-0.531,津波到達時間が0.400, および浸水深が-1.473であり,いずれも統計的に十分に 有意であるとはいえないが,Case3の浸水深が目的変数 の地価に対して最も有意である.また,地価への影響率 は標高-3.87%,津波到達時間0.14%,および想定浸水深 -7.50%であり,地域住民の津波災害に対する懸念は浸 水深に最も強く表れているといえる.東京を対象とした 検討事例 6) では,標高も地価に対して有意に影響してい ることが示されているが,当該地域では標高の地価に対 する影響は,東京ほど強くない.更に,分析の有意性の 指標である寄与率はCase3では0.85と,Case1,2よりも僅 かに高いので,本研究では津波災害リスクを表す説明変 数として想定浸水深を用いることとし,以下に考察する. 表-5より,津波による想定浸水深が1m増加する毎に, 当該地域の平均的な地価37694円/m 2 の土地は7.5%,金額 にして約2826円減価される.すなわち,津波による災害 の危険性は,津波1mあたり2826円/m 2 と見積もることが できる.なお,東京を対象とした検討 6) においては,浸 水深が0.5m増加する毎に,地価は8%,金額にして約2.9 万円/m 2 減価することが示されている.東京と佐伯とで は地価が大きく異なるので,金額を比較することはでき ないが,これらの結果は,浸水深のように実際に実感で きる水位の高さが,住民の水害に対する不安感に強く影 響を及ぼし,それが土地価格に反映されていると考えら れる. (3) 調査対象地域と大都市域との比較 調査対象地域である大分県佐伯市では,津波災害は未 経験である.一方,比較対象とした東京や大阪は水災害 を経験している.今回,考察した浸水深が地価に及ぼす 影響に着目すれば,1mの浸水深の増加に対して佐伯市 では7.5%,東京では16%の地価の減価となり,水災害を 経験した東京の方がより敏感である様子が伺える. 住民が入手可能な災害リスク情報について,例えば, ハザードマップを既に公表している自治体は多く,佐伯 市も例外ではない.佐伯市民を対象に行ったアンケート 表-3 大分県佐伯市の地価関数(Case1:津波リスクとして標高を用いる) 説明変数 佐伯駅までの距離 (km) 学校までの距離 (km) 公園までの距離 (km) 標高 (m) 標準偏回帰係数 -0.7226 -0.0005 -0.0408 -0.0722 t値 -4.433 -0.003 -0.276 -0.531 金額 -4137 (円/m 2/km) -14 (円/m 2/km) -443 (円/m 2/km) -1459 (円/m 2/m) 変化率(%) -10.98 -0.04 -1.18 -3.87 平均地価:37694円/m 2 ,重相関係数=0.91,寄与率=0.82 表-4 大分県佐伯市の地価関数(Case2:津波リスクとして到達時間を用いる) 説明変数 佐伯駅までの距離 (km) 学校までの距離 (km) 公園までの距離 (km) 津波到達時間 (hr) 標準偏回帰係数 -0.7012 -0.0014 -0.0525 0.0558 t値 -4.308 -0.007 -0.348 0.400 金額 -4014 (円/m 2/km) -37 (円/m 2/km) -570 (円/m 2/km) 54 (円/m 2/hr) 変化率(%) -10.65 -0.10 -1.51 0.14 平均地価:37694円/m 2 ,重相関係数=0.91,寄与率=0.82 表-5 大分県佐伯市の地価関数(Case3:津波リスクとして想定浸水深を用いる) 説明変数 佐伯駅までの距離 (km) 学校までの距離 (km) 公園までの距離 (km) 想定浸水深 (m) 偏回帰係数 -0.6611 -0.0147 -0.2068 -0.2358 t値 -4.372 -0.080 -1.177 -1.473 金額 -3785 (円/m 2/km) -400 (円/m 2/km) -2247 (円/m 2/km) -2826 (円/m 2/m) 変化率(%) -10.04 -1.06 -5.96 -7.50 平均地価:37694円/m 2 ,重相関係数=0.92,寄与率=0.85
調査においても,佐伯市が公表している津波ハザード マップが地域住民に周知され,有効に活用されているの が確認された 12) .したがって,調査対象地域と東京や大 阪のような大都市とで,住民の認知度に大きな差異はな いと考えられる. (4) 津波災害リスクの経済的評価 表-5の分析結果より,生活の利便性・快適性の指標で ある佐伯駅までの距離と津波災害リスクの指標である想 定浸水深に着目して,以下に考察する.現地踏査の結果, 佐伯駅周辺には商店街や病院等の社会基盤施設が集中し ており,周辺地域は当該地域では,生活するうえで,最 も利便性・快適性の高い地域といえる.反面,想定浸水 深は駅周辺で5mにも達し,津波災害リスクは高い.想 定浸水深は駅から内陸部へと遠ざかるほど低下するが (図-3),同時に利便性や快適性も低下する.佐伯駅から 約3km南へと遠ざかれば,津波による浸水深は約1m前後 となる.駅から3km離れる場合の地価の減価は3785× 3=11355円/m 2 であり,浸水深が5mから1mに低下した場 合の地価の上昇は2826×4=11304円/m 2 と見積もられ,津 波災害のリスクと利便性・快適性がほぼ等価であること が確認できる.これは,利便性・快適性を優先するか, あるいはリスクを避けるか,という2者択一のような単 純な問題ではなく,今後の防災対策,都市整備の中で検 討すべき課題である. 津波による想定浸水深は地価に大きなインパクトを有 する.すなわち,浸水深の増大は地価の減価としてあら われてくる.調査対象の大分県佐伯市は,2005年3月3日 に旧佐伯市と南海部郡5町3村が合併して現在の佐伯市と なった.ここでは,人口の約60%が面積197.46km 2 (佐伯 市全体の22%)の中に集中する旧佐伯市を取り上げる. 前出の図-3より,津波による想定浸水深は市街地におい て場所によっては1m以下や4mを超える部分も見られる が,これらを除けば概ね1~3mであるので,浸水深を全 体で平均2mとすれば,これによる地価の減価は2826×2 ×197.46×10 6=1116044 ×10 6 円となり,防波堤等の津波 防災施設整備の為のコストに匹敵する.