• 検索結果がありません。

運動器障害に対する理学療法のエビデンス

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "運動器障害に対する理学療法のエビデンス"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

理 学療 法 学

 

40

巻 第

4

 

264

268

2013

疾 患 別

ミナ

運 動 器 障 害

対 す

理 学療

ン ス

市 橋 則 明

1

池 添 冬 芽

1

中 村 雅 俊

D

は じ め に  運 動 器 障害に対 する 理学療 法のエ ビデ ン ス として

講 演の中 で は

1

ス ト レッチング が筋腱複 合 体に与える影 響

2

高齢 者の下 肢 筋や体 幹 筋の萎 縮と日常 生 活 動 作 自立 度の関 係

3

パ ワ

ト レ

ニ ング とスロ

ニ ング

4

選 択 的 筋 力ト レ

ニ ングの

4

つ の内 容に関 して

最 新の知 見 を 紹 介し た

 

本 稿で は

誌 面の都 合上

1

ス ト レッチ ング が 筋 腱 複 合体 に

5一

える影 響

2

高 齢 者の ド肢筋や 体 幹 筋の萎縮 と 日常生活 動 作 自立度の関 係に 関 し て

我々の 研 究 成 果 を 中 心 に紹 介 す る

ス ト レッ チン

筋腱 複

に 与 え る 影 響

1

ス トレッチング の効 果判 定の 問 題点

 

ス トレッチング が 関節 可 動 域 (以下

ROM

)に

える即 時 効 果 や 継 続 的 実 施 効 果に関し て は

ROM

の増

無お よ び 増 加の程 度とい う 内容 で 数多く 報 告 さ れて いる1

6)

た だ し

ス トレ ッチングの効果 を 示 し た そ れ らの報 告のほ と ん ど は

徒 手に よ る他 動 的な

ROM

テス トの結 果 をア ウ ト カム と してお り

測 定 時の抵抗 量が規 定さ れ て お ら ず

信 頼 性 が 低い という 指摘 が な さ れて い る7)

すなわち

ス トレッチン グ に よ る柔 軟 性向上の指 標と して の他 動 的

ROM

痛み や

伸 張

刺 激に対 す る耐

性 (慣 れ ) な どの心 理 的要 因の影 響を

ける た め

筋や腱

靱 帯 お よ び 関節 包の粘 弾性 を 評価

る に は不

切である とされ てい る

8

9

そこで

ROM

に代わ る柔 軟 性の評 価の指 標と し て

他 動 的に 関節を 動 か し た 時の受動 的トルク が推 奨 されて い る

さ ら に

こ の受動 的 トルク と 関 節角度 との関係は

トル ク 角 度 曲線と し て描 くことが 可 能 で あ り

その傾 き を筋腱 複 合 体 全体の ス テ ィ フネスと し て定 義す る 方 法 が 考 案 さ れて いる

2

ストレッチ ン グ に関 する我々 の研究 紹

1

>ス タ テ ィッ クス ト レッチング

SS

に おける即 時 効 果 およ

 

び即 時 効 果 を 得るための

SS

時 間の

 

健 常 若 年 者

15

名 (平均 年 齢

21

5

±

L6

を対 象に

5

分 間   Evidence  of  

Physical

 

Therapy

 

fer

 

Musculoskeletal

 

Disorders

l

) 京 都 大学 大 学 院医 学研 究科 人問健康 科学系専攻

  (〒

606

8507

 京 都 市左 京 区聖護院 川 原 町

53

 

Noriaki

 Ichihashi

 

PT

 

PhD

 

Tome

 

Ikezoe

 

PT

 

PhD

 

Masatoshi

 

Nakamura

 PT

 

MS

Human

 

Health

 

Sciences

 

Graduate

 

School

 of

 

Medicine

 KyotQ  

University

  キ

ド:ス トレッチン

筋 萎 縮

高齢 者 の

SS

が筋 腱 複 合 体 (以 下

 

MTU

全体 や 筋の スティ フネス

筋 東長 に 及 ぼす 影 響を検討 し た10 }

その結果

MTU

全体と 筋の スティ フネスは

と 比較し て介 入 直 後と介 入

10

分 後 で有 意に減 少した が

筋束

長 に は有 意な差は認め ら れなかっ た

1

こ れ ら の

果より

5

分 間の

SS

MTU

全 体 や 筋の柔 軟 性 を

増加

さ せ

その効 果は

10

分 後 まで持 続 する こ と が明ら か に なっ た

 

5

分 間の

SS

により

MTU

全 体や筋の柔 軟 性が増 加 するこ と が明ら かにはなっ た が

MTU

全 体や筋の柔軟 性を 増 加 さ せ る た めに必 要 な

SS

時 聞につ い ては 不明で あ る

そこで

健 常 若 年 者

20

名 (平 均 年 齢

21

5

±

L6

歳 ) を

5

分 間

SS

MTU

全体の柔 軟 性 (受 動 的 トル ク)や筋の柔 軟 性

腱移 行 部の移 動 量 )に及ぼす 影 響 を経 時 的に検 討し

MTU

全 体や筋 の柔軟 性 を 増加 させるため に必 要 な

SS

時間を

討し た ID

そ の結 果

受 動 的 トル ク は

SS

前 と比較し て

2

分 目 以 降 が有意 に 低 値 を示し

さ ら に

1

分目 と 比較し て

4

分 目 と

5

分目

2

分 目 と比 較し て

5

分 目 は有意 に 低 値 を 示 し た (表

2

受 動 的 トル ク と 同様に筋腱移 行部 (以 下

MTJ

)の移動量 も

SS

前と 比較 して

2

分目 以降が有 意に 高 値 を示し

さ ら に

1

分 目と比 較 して

4

分 目と

5

分 目

2

分目と

3

分 目 と 比較し て

5

分 目は有 意に高 値 を示 した 俵

2

これ ら の結果 より

MTU

全体や筋の柔 軟 性 を増 加 させるた めに必 要 な

SS

時間 は

2

分 間で あ ること が示 唆 され た

2

) 継 続 的な

SS

介入 に お け る

MTU

お よ び筋の柔 軟 性の変 化  

SS

が 即 時 的 に

MTU

全 体 や 筋の柔 軟 性を増 加さ せる ことを 報 告し た が

SS

の 継 続 的 介 入効 果につ い ては不 明である

そ こ で

2

分間の

SS

4

週 間 継 続 的 に 行 うこと が

MTU

や筋に及 ぼす 影 響 を検

する た め

健 常成人

18

名 (平 均 年 齢

21

4

±

1

7

歳) を 無 作為に

SS

介人群

9

と対 照 群

9

名に群 分 け し

 

SS

入群に は

1

2

分間

4

週間の

SS

入を行っ た 12} 。 その 結 果

介 入 群で は背 屈

ROM

MTJ

の移動量 は有 意に増 加し

30

°

に お ける受 動 的トル ク は

意に減 少し た (表

3

なお

対照群 で は背屈

ROM

と 受 動 的 トル ク

 

MTJ

移 動量に有 意 な 変 化 は み ら れず

筋 束長 に 関 し て 両 群 と も に有意 な変 化は認めら れ なかっ た

これ らの結 果 よ り

4

週間の定 期 的 な

SS

介 入に よ り

MTU

全 体の柔 軟 性 や筋の柔 軟 性が増 加 する こと が示 唆さ れ た

ま た

の柔 軟 性 増 加の要 因 と して

筋 束 長に は

変化

がな かっ た こ と より

筋 線 維 自体の長さ が増 加し たの で はな く

線維

の周 囲を取 り囲 む結 合 組 織の柔 軟 性が

増加

し た可 能 性 が 示

さ れ た。

(2)

Japanese Physical Therapy Association

NII-Electronic Library Service

Japanese  Physioal  Therapy  Assooiation

運動 器 障 害に対 する 理学 療 法のエ ビデ ン ス

265

lMTU

と筋の ス テ ィ フネス

筋 東 長の変 化

SS

介 入 前

SS

介 入 直 後

10

分 後

MTU

の ステ ィフネス (

Nm

deg

) 筋の スティ フネス (

Nm

/cm ) 筋 東 長

 

背 屈

oe

cm

筋 東 長  背 屈

30e

(cm >

L48

 ± 

0

16

37

5

±

4

65

7

±

1

6

7

±

1

1

1

32

±

0

3

23

8

 ± 

2

3

5

0

±

0

86

ユ±

0

9

L29

 ± 

0

12

29

7

 ± 

2

6

5

5

±

0

76

4

±

0

7

* :

p

0

05

* * :

p

O

01

SS

介入 前 との有 意 差

2

受 動的 トル ク お よ び

MTJ

の 移動量 の経 時的 変化

動 的トルク

 (

Nm

MTJ

の移 動量

cm

SS

1

分 目

2

分 日

3

分 目

4

分 目

5

分 目

49

4

 ± 

2

9

42

9

 ± 

2

6

37

5

 

±

 

2

4

* *

36

8

 ± 

2

4

* *

35

9

 

±

 

2

4

* *##

33

3

 

±

 

2

3

* *## $$

0

90

 ± 

0

06

Ll3

 士 α

07

1

21

±

0

07

L25

 

±

 

0

07

**

1

30

 

±

 

0

07

* *##

1

35

 

±

 

0

08

* *##

S

$† * :

SS

前との有 意 差 (* :

p

0,

05,

* *:

p

0.

Ol

# :

1

分 目との有 意 差 (#:

p

0

05

##:

p

0

Ol

1

2

分 目との有 意 差 ($$:

p

0

Ol

T :

3

分 目との有 意 差 (†:

p

O

05

3

入群 と

照群の

変 数の変 化 介入群 対照 群 介 入 前 介 入

足 関節 背 屈

ROM

°

0

°

の受

的トルク

Nm

30

°

の受 動 的トル ク (

Nm

MTJ

の移 動量 (cm ) 腱の移 動 量 (cm )

0

°

の筋 東 長 (cm )

30

°

の筋 束 長 (cm )

329

 ± 

2

83

6

±

0

6

462

±

5

6

0

93

 ± 

0

06

1

41

 ±

0

06

59

±

0

56

8

±

0

5

39.

6

 ± 

5

9

* *

4

6

±

0

7

40

0

 ± 

5

0

* *

1

33

 ± 

0

05

* *

1

01

±

0

06

* *

5

6

±

0

46

7

±

0.

5

32,

0

 ± 

3,

04

0

±

0

4

37

4

 ± 

2

8

1

03

 ± 

0

09

1

22

 ± 

0

09

5

8

±

0

36

7

±

0

3

31

3

 ± 

2

74

0

±

0,

5

39

5

 ± 

2

2

1

04

 ± 

0

09

1

21

±

0

0

5

8

±

0

36

8

±

0

4

* * :

p

O

01

介 入前との有 意 差

3

)ス タテ ィッ ク ス トレ ッチ ング と ホ

ル ド リラ ッ クス ス ト   レッ チ ン グ の効 果の違い  

SS

に関 する報 告 は 多いが

 

SS

と並ん で よく使 用さ れ るス ト レッチング 方 法であ る ホ

ル ドリラックス ス ト レッチング

以 下

HRS

) が 他 動 的 性 質 (

ROM

動 的トル ク

筋の ス ティ フネス)や筋 力に及ぼす 影 響は明ら かでは な く

SS

との違い も不 明で ある

そこ で

健 常 若 年 者

28

名 (

男 性

15

女 性

13

平 均 年 齢

21

9

±

1

2

歳 )を対 象に

2

分間の

HRS

お よ び

SS

MTU

の他 動 的性 質お よ び筋 力に及ぼす 影 響を 比 較 検 討し

両ス トレッ チ ング方 法の効 果の違いを検 討し た13)141

その結 果

両ス トレ ッチング方 法と も最大 背屈

ROM

と最 大 背 屈

ROM

時の受 動 的 トルクは有 意 に増 加 し

背 屈

30

°

に おける 受動 的 トルクと筋の ステ ィフネス

等 尺 性 底屈 筋 力は有 意に減 少 し た (表

4

また変 化 率の比 較で は

最 大

ROM

に有意 な 差は認め ら れなかっ た。 しか し

背 屈

3D

°

における

受 動

的トル ク と筋の ス ティ フネス の変 化 率は

SS

HRS

よりも有意 に 大 き く

最大

ROM

時の受 動 的トル ク の変 化 率では

HRS

SS

よ り も 有意に大き かっ た

さ ら に

底 屈 筋 力の変 化 率で は

SS

HRS

よ りも有 意に大 きな値 を 示し た

これ らの結 果より

両 ス トレッチング方 法とも他 動 的 性 質および筋 力に影 響を及ぼ し

HRS

SS

と比 較して筋 力 低 下を起こ しにくい ス トレッ チ ング方 法である が

筋の柔軟 性 を増 加 させ る よりも

対 象 者の 痛み に対 する閾値 を 変 化 させることで

ROM

を増 加 させ るス ト レッチング方 法であるこ とが 明 らかとなっ た。

高 齢 者

の 下

肢 筋

体 幹 筋

萎 縮 と

常 生 活 動 作 自立 度

関 係

1

加 齢 に伴 う骨 格 筋の萎 縮

 加齢

に より筋

格系

呼 吸

循 環 器 系

神 経 系の退 行 性 変 化が生じ

運動 機 能が低下する

運 動 機 能の なかで も筋 力は加

に伴

低下 が著しく

特に後 期 高 齢 者においては加 齢に伴 う 筋 力

下 が顕 在 化し

容易に要 介 護 状 態 あるい は寝 た き りを招 く

加 齢に伴い骨 格 筋の筋 量 も減 少 することが 知 られてい る

近年で は 筋 量の評 価 と し て超音 波診断装置 に よ る筋 厚 測 定が よ N工 工

Eleotronio  Library  

(3)

266

理学 療 法 学   第

40

巻第

4

号 表

4HRS

SS

介 入 前 後にお ける各 変 数とそ れ らの変 化 率

HRS

SS

HRS

SS

介入前 介入後 介入前 介入後 変 化 率 (%)  変化 率 (%) 最 大 背屈角 度 (

°

)     

33

6

±

0

5

最 大背屈角度 時 の受動 的 トルク (

Nm

) 

43

1

±

2

0

背 屈

30D

の受 動 的トル ク (

Nm

)       

41

1

±

2

3

筋の ステ ィフネス (

Nm

/cm )     

32

6

±

2

9

底 屈 筋 力 (

Nm

)     

163

6

±

8

9

39

4

±

0

6

46

7

 ± 

22

* *

37

1

 ± 

2

2

* *

26

7

±

2

3

* *

156

5

 ± 

8

4

33

6

 ± 

0

5

   

39

0

 ± 

0

5

   

17

4

 ± 

0

8

43

0

± 

1

9

   

44

4

± 

L9

* *    

82

± 

1

4

40

4

±

2

0

   

33

7

± 

L8

* *   

10

0

± 

1

6

31

9

±

2

6

   

23

9

±

2

3e

  

172

±

2

3

161

9

 ± 

8

1

   

143

8

 ± 

7

ユ**   

4

 ± 

1

6

16

0

±

0

8

      # #  

3

3

±

1

2

16

6

 

±

 

1

3

# #       ##

26

ユ ± 

1

7

ll

2

 

±

 

L3

# * 介 入 前 と の有意 差 (* :

p

0

05

*s :

p

0

01

) # :

HRS

の変 化 率との有 意差 (#:

p

O.

05,

## :

p

O.

Ol

) 表

5

若 年 者と高 齢 者の下肢の筋 厚 (mm ) 若 年 者 高速歩 行群 低速歩 行 群 歩 行 不 可 群 大 殿 筋 中殿 筋 小 殿 筋 大 腰 筋 大腿

直筋

外 側 広 筋 中 間広 筋 大腿二頭筋 腓 腹 筋 ヒラメ筋

25

0

 ± 

2

98

22

9

 ± 

5

80

19

3

 ± 

6

47

28

7

 ± 

4

1

22

9

 ± 

3

39

22

0

 ± 

3

25

21

5

 ± 

3

52

36

5

 ± 

4

87

16

3

 ± 

2

31

34

5

 ± 

6

ll

14

9

 ± 

3

56

* *

15

0

 ± 

4

16

**

12

8

 ± 

4

08

* *

13

0

 ± 

5

58

* *

16

7

 ± 

3

50

* *

14

ユ ± 

3

76

* *

16

9

 ± 

2

99

17

9

 ± 

5

Ol

* *

10

8

 ± 

2

63

* *

29

8

 ± 

8

25

14

7

 ± 

4

46

* *

14

6

 ± 

3

97

* *

12

3

 ± 

4

36

* *

15

0

 ± 

2

93

* *

15

4

 ± 

5

42

* *

122

 ± 

3

08

12

8

 ± 

4

68

* *

17

1

 ± 

383

* *

10

5

 ± 

4

Ol

* *

27

1

 ± 

4

93

8

60

 ± 

2

42

* *

9

69

 ± 

2

23

* *

9

54

 ± 

L76

* *

10

9

 ± 

4

07

* *

4

08

 ± 

L36

3

73

 ± 

1

26

4

69

 ± 

2

39

* *

11

2

 ± 

4

40

* *

7

04

 ± 

1

67

17

6

 ± 

6

26

* *

p

O

Ol

 

若 年者 との有 意 差 を 示 す く用い ら れ て お り

超 音 波 法 に よ り加齢に伴 う筋 萎縮 を調べ た 研究が 数多くみ ら れ る ように なっ て き た15

19〕

 

筋量 は 加 齢 に よ る 退 行 性 変化のみ な らず

不 活 動によっ ても

下 する。 た とえば起 居 移 動 動 作 を まっ た く行 わ ないベ ス ト状 態にする と

ベ ッ ドレ ス ト

7

日後とい う早 期 か ら大 腿四 頭

の筋萎 縮が み ら れ る こ とが 報 告 されてい る

20

。一

方で

高 齢 者で も 運動によっ て筋量 は増 加 する こ とも知ら れ てい る

21

この よ

量 は 日常の メカニ カルな負 荷に よっ て異 な り

高 齢 者 で 特 に 筋 量の個 人 差 が拡 大 することも

こ の日々 の メ カニ カルな負荷

す な わ ち身 体 活 動の程 度が影 響して い ると考 え ら れ てい る

高 齢 者 に とって身 体 活 動の程 度は各個 人の歩 行 自立 度 な どの 日常生活 動 作 能 力が大 き く影 響して い る ことか ら

加 齢に よ る筋 萎 縮と

H

常生活 動 作との関 連につ いて知ることは高 齡 者の生活 自立

介 護 予 防 を 目指 した 筋 力 トレ

ニ ングを処 方 するうえ で非 常に重 要である。

2

高齢 者の筋 萎 縮に関する我々 の研 究 紹 介

1

) 加 齢に よ る 下肢 筋の筋 萎 縮と歩 行 自立度との関 連   健 常 若 年 者

20

名 (平 均 年 齢

19

8

±

O

8

 

ue

)と高 齢 者

34

名 (平 均 年 齢

85

3

6

5

歳 )を対 象に超 音 波 診 断装 置 を用い た 下 肢

の筋 厚 評価によっ て加 齢に よる下 肢 筋 萎 縮と歩 行 自立 度 との 連につ い て検 討 し た

22

結 果

ラ メ

年者

し て歩 行 不 可 群 (歩 行 困 難で半 年 以 上歩 行 を 実 施して いない

齢 者 )では有 意に低いが

若年 者 と高速 歩行 群 (歩 行が自立 し てお り

最 大

行 速 度が

1m

/秒以 上 で あ る 高 齢 者)お よ び若 年 者と低 速 歩 行 群 (最 大 歩 行 速 度

1m

/秒 未 満で あ る が歩行 が 自立して い る高 齢 者 )との問 に は有 意 差が み ら れ ない こと が明 らかとなっ た

5

す なわち

下肢 筋ので もヒラ メ筋は 歩 行 が 自立し てい る

高齢者

で は速

く歩行

できる か ど

か に か か わらず 加 齢に よ る筋

縮 が少ない こと が確 認さ れ た。 さらに

若 年 者の筋 厚 平 均

対 す

齢 者の筋

低 下 率を求めると

歩行 不 可 群 に おい ては 特 に外側 広筋 大腿 直 筋

 

中 問広 筋の筋 厚 低下率が

78

2

 

 

83

0

% と 著 し く高い値を示し た (表

6

す な わ ち

歩行 が 困 難 と な り 長 期 間歩行 を 実 施 して いない高 齢 者 で は

下肢 筋の中 で も 特 に 抗 重 力 筋の大 腿 四 頭 筋の廃 用性 筋 萎 縮が著しく進

してい るこ とが示 唆さ れ た。

2

に よ る

体幹筋

萎 縮と日常生活 動 作 能 力との 関 連 に   つ い て

 

下肢 筋のみ な ら

ず体

幹 筋の筋 力 低 下 も高 齢 者の座 位 保 持 能 力 や立 位

歩 行 能力な どの 日常生活 動 作 能 力の低 下をもた らす大 き な 要 因 で あ る

そ こで

健 常 若 年 者

33

名 (平 均 年 齢

20

  ±

0

8

歳)と 高 齢 者

41

名 (

86

9

±

62

歳)を対 象に

加 齢に伴 う体 幹 筋の筋萎 縮 と 動 作 能 力 との関 連 につ い て調べ た23 )

その結 果

体 幹 筋の 中 で も 腹 横 筋 お よ び多 裂筋の筋 厚に おい て は若 年 者と

立群 (起 居

移 動 動 作 が 自立して いる 高 齢 者 ) との間に

意差 は み ら れなかっ た (表

7

日常 生 活 動 作 が 自立 してい る健 常 高 齢 者において腹 横 筋 や 多 裂筋 は加 齢の影響 が 少 ない いう報 告は散 見さ れz4>

25

我々の 研 究 で も 同様の結 果が示さ れ た

。一

高 齢介 助 群 (起居 移 動 動 作 に介 助を要し

自力 座 位 保 持 も不可能である 長期臥床高 齢 者)の腹横 筋や多 裂 筋は若

(4)

Japanese Physical Therapy Association

NII-Electronic Library Service

Japanese  Physioal  Therapy  Assooiation

運動 器 障 害に対 する理 学療 法のエ ビ デン ス

267

6

高 齢 者

3

群にお ける 下肢の筋 厚 低 下 率 (%) 高 速 歩 行 群 低 速 歩 行 群 歩 行 不 可群 大 殿 筋 中 殿

小 殿

大 腰 筋 大 腿 直 筋 外 側 広 筋 中 間広

大 腿二頭 筋 腓 腹 筋 ヒラメ筋

40

3

 ± 

14

8

34

7

 ± 

18

9

339

 ± 

21

9

54

8

 ± 

20

1

26

9

 ± 

15

9

36

0

 ± 

17

7

21

3

 ± 

14

5

51

0

 ± 

14

3

34

0

±

16

7

13

5

 ± 

24

8

41

0

 ± 

17

9

36

ユ ± 

17

3

36

4

±

22

6

45

9

 ± 

10

2

32

8

 ± 

23

7

44

3

 ± 

14

0

40

3

 ± 

21

8

53

1

 ± 

10

5

35

4

 ± 

24

6

2L6

 ± 

14

3

65

5

 ± 

10

2

* *††

57

7

 ± 

10

2

* *††

50

6

 ± 

9

51

62

3

 ± 正

48

822

 ± 

6

19

* *††

83

0

 ± 

6

00

**††

78

2

 ± 

11

6

* *††

69

4

 ± 

12

6

56

8

 ± 

10

7

* *

49

1

 ± 

18

9

* * * *

p

0

01

p

0

05

高 速 歩 行 群 との有 意 差 を示 す †+:

p

0

01

†:

p

く  

05

低 速 歩 行 群 との有 意 差 を示 す 表

7

 若年者

体幹

筋の

筋厚

(mm

若 年者 高齢自立群 高 齢 介 助 群 腹 直筋 外 腹斜 筋 内 腹斜 筋 腹 横筋 脊 柱起立筋 多 裂筋

11

4

 ± 

1

7

799

 ± 

2,

2

10

8

 ± 

2

2

4

32

 ± 

1

4

10

3

 ± 

3

2

26

7

 ± 

7

6

7

36

 ± 

2

4

* *

4.

79

 ± 

1

7

* *

5

66

 ± 

1

5

* *

3

79

 ± 

1

7

73

 ± 

1

9

* *

23

2

 ± 

7

4

5

59

 ± 

1

5

* *

2

76

 ± 

1

0

* *††

4

68

 ± 

1

6

* *

208

±

0

5

††

3

81

±

2

ユ*

††

22

8

 ± 

5

4

* *†† * *

p

0

01

 

若年者 との有 意 差

 

††:

p

0

Ol

 

高 齢 自立 群 との有 意 差 表

8

高 齢 群に おける体 幹の

筋厚低

(%) 高 齢 自立群 高 齢

介助

群 腹

外腹斜筋

内腹 斜 筋 腹 横 筋 脊 柱 起立筋

裂筋

35

5

 ± 

2

3

40

2

 ± 

21

9

47

6

 ± 

14

6

11

8

±

26

6

24

9

 ± 

19

1

10

2

±

18

4

50

9

 ± 

13

3

65

5

 ± 

12

9

56

6

 ± 

15

4

5L5

 ± 

11

8

63

〔レ± 

2Ll

29

5

 ± 

14

6

40

8

 ± 

26

5

れ てい る

高 齢 介 助 群では立 位や座 位での抗 重 力 活 動 を行っ て い ない た め

裂 筋や腹 横 筋 とい っ た体 幹 深部 筋に加 えて抗 重

力筋

脊柱

起 立

も長 期 臥 床に よ る萎 縮 が 著 しい こ とが推 測 さ れ た

お わ り に

Muscle

 

tota1

20

9

 ± 

24

6

年 者や高 齢自 立 群 よ り も有 意に低い 値 を 示し た (表

7

腹 横 筋や多 裂 筋は椎 骨に 直接付着

あ るい は筋 膜 を介して椎 骨に付 着し

脊 椎の安 定 性 に 寄 与 す る

脊 椎 中 間位で姿 勢 を保 持 する の に必 要 なこ れ ら

体幹 筋

筋活

動 量は最 大 収 縮の

1

3

% で十 分と さ れ て おり26)

生 活が自立して い る高 齢 者におい ては 日 常の姿 勢 保 持に おける わ

かな筋 収 縮の持 続によ り腹 横 筋 や 多 裂 筋の

量 を

持できてい る が

長 期 臥 床 する と

これらの深 部 筋は萎 縮 する ことが示 唆さ れた

 

ま た

若 年者の筋 厚 平 均 値 に 対する高 齢 者の筋 厚 低下率 をみ る と

腹 横 筋

多裂 筋

胸 部脊 柱 起立筋で は高 齢 自立 群に比 較 して 高齢 介助 群 に おいて は

3

4

倍 大 きい 値 を示した (表

8

脊 柱起 立筋は姿勢 保 持 に 重 要 と さ れ てい る

Type

 

I

線 維 が 優 位 であ る

27

)28 〕。胸 部 脊 柱 起立

に対し て重 心 線は

を 通る ため

脊 柱 起 立 筋 は重 力に抗し て絶えず 低い レ ベ ルでの活 動 を 強い ら  ス ト レッ チング と筋 萎 縮に 関する我々 の最 新の研 究を紹 介 し た

可動域制限 と筋 力 低下は

理 学 療 法に とっ てもっ と も 重 要な

目 である

ス トレッ チ ングに関して は

もっ と も効 果的 な ス ト レッチング の時 間

頻 度や効 果の持 続 時 間等でさ え ま だ

になっ てい ない のが 現 状であ る

我々 の研 究 結 果で は

2

分 間

タ ル で)のス トレッチング が よい とい うこ とを 明ら か に し た が

こ れ は 健 常若 年 者の 腓腹 筋 を対 象 とした 結 果 であ り

高齢 者や 患 者 に おい て さ ら に検 討 する必 要がある

筋 力ト レ

ニ ング に 関 し て は

ス トレッチング よりも効 果 的 な 強 度や 頻 度 は 明 ら か に なっ てい る が

これも健 常 若 年 者 を対 象と し たものが

稿

で は

高 齢 者の萎 縮 しやすい筋と自立度 の関係を示し た が

高 齢 者に対して行 う 安 全で効 果 的な筋 力ト レ

ニ ン グ を

今後検討

し てい こ とが必 要である

効 果 的 なス トレッチングの

方法

と筋 力 ト レ

ニ ング法 を 明確にす るこ と は 我々理学 療 法士 に とっ てもっ と も重 要 な研 究 課 題である

文    献

1

Ryan

 

ED

 

Beck

 

TW

 et

 at

Do

 practical 

durations

 of  stretching

 aLter  muscle  strength ?

Adose

response  study

 

Med

 

Sci

 

Sports

 

Exerc

2008

40

  :

1529

1537

(5)

268

ge7fith\ij4otsm4e

2)

Boyce

D,

Brosky

JA,

J=

Determining

the minimal number of

cycLic passive stretch repetitions recommended

for

an acute

increase

in

an

indTrect

measure of

hamstring

length,

Physiother

Theory

Pract.

2008;

24

(2)/

113-120.

3)

O'Sut[ivan

K,

Murray

E,

et al./

The

effect oEwarm-up, statie

stretching and

dynamic

stretching on

hamstring

fiexibility

in

previeus]y

injured

subjects.

BMC

Musculoskelezal

Disorders.

2009i

10

(1),

37.

4)

Bandy

WD,

Irion

JM/

The

effcct of

timc

on static stretch on the

llexibility

of the

hamstring

muscLes,

Phys

Ther.

1994;

74

{9}/

845'

850:

cliscussion

850-842.

5)

Feland

JB,

Myrer

JW,

et at:

The

effect of

duration

of stretching

of the

hamstring

muscle group

fer

increasing

range of motion

in

people

aged

65

years or older.

Phys

Ther.

2001:

81

(5)/

1110-1117,

6)

Chan

SI],

Hong

Y,

etal,/

Flexibility

and passive resistance efthe

hamstrings

of young adults using two

different

static stretching

protocols.

Scand

J

Med

Sci

Sports.

2001:

11

(2),

81-86.

7)

Weppler

CH,

Magnusson

SP/

Increasing

muscle extensibility/ a

matLer of

increa$ing

length

or modifying sensation?

Phys

Ther.

2010i

90

C3):

438-449.

8}

McHugh

MP,

Kremenic

IJ,

et al,/

The

role of mcchanicat and

neural restraints to

joint

range of motion

during

passive stretch.

Med

Sci

Sports

Exerc.

1998;

3e

(6)/

928-932.

9)

Sale

D,

Quinlan

J,

et at./

Influence

ef

joint

position

on ankte planzarfiexien

in

humans.

J

AppL

PhysieL 198Z;

52

(6)/

1636-1642.

Ie)

Nakamura

M,

Ikezoe

T,

et al./

Acute

ancl prolonged effectofstatic stretching on thepassive stiffness of

the

human

gastrocnemius musde tendon unit

in

t,ivo.

J

Orthop

Res.

2011;

29

(11)/

1759-1763.

11)

Nakamura

M,

Ikezoe

T.

et al:

Time

course ofchanges

in

passive

properties of the gastrocnemius muscie-tendon unit

during

5

Tninutes of static stretching.

Man

Ther.

2013;

18

(3)/

211-215.

12}

Nakamura

M,

Ikezoe

T,

etal./

Effects

of a

4-week

static stretch

training program olt passive stiffness of

human

gastrocnemius

muscle-tendon unit

in

vivo.

Eur

J

Appl

Physiol.

2012:

112

(7)/

2749-2755.

13)

H"Nnee,

thtrsasrr-,

ma/*-]vFv7vb1xFL.yftzprdif

wtsstMeezaaptopxtf7$x4:xcltHvvesum

ze7t-y

e

x

F

v

v

f

y

rt

otltut.

mp#fitaer,.

2o12:

3g

{suppr.2)/

o13s.

14)

diJTIfintj(,

rp6tnue,

{ta/

X

1・

Vv")fh;ftttmBSzahnfi

C:MCge-l-HPeetszaS.frvopmev

xS7tv7xF)vf>".t

*-JV

V

i

・y

7X-

F

V

・7

f

tz

tia)rktc.

U7tath#.

2012i

39

{SuppL2),

0487.

15}

Kubo

K,

Kanehisa

I'I,

etal;

Muscle

architectural characteristics

in

women aged

20-79

years.

Med

Sci

Sports

Exerc.

2003;

35,

39-44.

16)

Arts

IM,

PilLen

S,

etal./

Normal

values

for

quantitative muscle

ultrasonography

in

aduLts.

Muscte

Nerve.

2010:

41/

32-41.

17}

Kubo

K,

Kanehisa

H.

etal:

Muscle

architecturaL characteristics

in

young and elderly rnen and wornen.

Int

J

Sports

Med.

2003:

24/

125-I30.

18}

Reimers

CD,

IIarder

T,

et al,/

Age-related

muscle atrophy

does

not affect allmuscles and can partly

be

compensatcd

by

physical activity/ an ultrasouncl study.

J

Neurol

Sci,

199S:

159:

60-66,

19)

Fujiwara

K,

Asai

H,

et al:

Changes

in

muscle

thickness

of gastrocnemius and soleus associated with age and sex, Aging

Clin

Exp

Res.

2010:

22:

24'30.

20)

Ferrando

AA.

Stuart

CA,

et al./

Magnetic

resonance

imaging

quantitation ofchangcs

in

muscTe velume

during

7

clays

ofstrict

bed

rest

Aviat

Space

Environ Med, 1995/

66/

976'981.

21)

Latham

N,

Anderson

C.

et al./ ?rogressive resista"ce strength training

for

physical

clisability

in

older peop]e, The

Cechrane

Library

2009,

Issue

3,

CDe02759.

22)

Ikezoe T, Mori

N,

etal./

Atrophy

ofthe

lower

limbs

in

elderiy women/ isitrelated

to

watking ability?

Eur

J

Appl

PhysioL

2el1/

111

(6),

989-995.

23)

Ikezoe T,

Mori

N,

etal./

Effects

of age and

inactivity

due

to

prolonged

bed

rest on atrophy of trunk muscles.

Eur

J

Appl

Physiel.

201Z;

l12

(]),

43-48.

24)

Ota

M,

Ikezoe

T,

et al:

Age-related

changes

in

thethickness of

the

deep

and sllperficial abdominal muscles

in

women.

Arch

Gerontot

Geriatr.

2e12:

55

(2)/

e26-e30.

25)

Stokes

M,

Rankin

G,

et al./

Uttrasound

imaging

of

lumbar

multifidus musc]e/ normal reference ranges

for

measurements

and

practical

guidance

on the technique.

Man

Ther.

2005;

10/

l16-126.

26)

Cholewicki

J.

Panjabi

MM,

et al.,

StabiLizing

function

of trunk

flexor-extensor

muscles around a neutral spine posture.

Spine.

I9971

22:

22e7-2212.

27)

Johnsen

MA.

Polgar

J,

etal:

Data

on the

distribution

of

fibre

types

in

thirty-six

human

muscles.

An

autopsy study.

J

NeuroL

ScL

1973:

18/

111-129.

28)

Mannion

AF/

Fibre

type characteristics and

function

of

thc

human

paraspinal muscles/ llermal values and changes in association with

Tow-back

pain.

J

EIectromyogr

Klnesiol.

1999:

9,

363-377.

参照

関連したドキュメント

The inclusion of the cell shedding mechanism leads to modification of the boundary conditions employed in the model of Ward and King (199910) and it will be

Abstract The representation theory (idempotents, quivers, Cartan invariants, and Loewy series) of the higher-order unital peak algebras is investigated.. On the way, we obtain

Definition An embeddable tiled surface is a tiled surface which is actually achieved as the graph of singular leaves of some embedded orientable surface with closed braid

Classical definitions of locally complete intersection (l.c.i.) homomor- phisms of commutative rings are limited to maps that are essentially of finite type, or flat.. The

Yin, “Global existence and blow-up phenomena for an integrable two-component Camassa-Holm shallow water system,” Journal of Differential Equations, vol.. Yin, “Global weak

We study the classical invariant theory of the B´ ezoutiant R(A, B) of a pair of binary forms A, B.. We also describe a ‘generic reduc- tion formula’ which recovers B from R(A, B)

After performing a computer search we find that the density of happy numbers in the interval [10 403 , 10 404 − 1] is at least .185773; thus, there exists a 404-strict

For X-valued vector functions the Dinculeanu integral with respect to a σ-additive scalar measure on P (see Note 1) is the same as the Bochner integral and hence the Dinculeanu