C A N C E R
12 (2003),
p. 7 - 9宮崎市一つ葉入り江のヒメシオマネキ個体群の発見
要 ・三浦知之
鈴木虞志・矢野香織 ・大園隆仁 ・三浦
vocans
は,南西諸 島から東南アジアに分布し,奄 美大島や石垣島では河口干潟に普通に見られ,巨 大甜脚の 二型性や左右性が精査されている( 山口・ 武田, 1973 ; 武 田 ・山 口, 1973; 和田, 1996). 北 海道 か ら 九 州 ま で の 日 本 本 土 か ら の 報 告 は ほ とんど無く,和歌山県などから小型の個体が記録 される程度である (山下・山西, 1999). このよ うなことから, 北 海道から九州までの海岸線には ヒメシオマネキは恒常的に生息しているのではな く,幼生などが流れ着 くものと考えられる. 宮 崎 市一つ葉入り江での最初の発見は平成 14年 4 月28 日で,明らかに周囲のハクセンシオマネキ と異なるオレンジ色を帯びた頼粒のある鉛脚が目 をヲ│ いた . この時点では, 1個 体 に つ い て 撮影 と 採 集 を 行 った (表1 ). 4月 に 採 取 し た 個 体 は 甲 幅 17. 1 m m の雄であ った. 図鑑などの記述に見ら れる 最大個体と同程度であ り,成体と思われる. 宮崎市一つ葉入り江で採集されたヒメシオマネ キとそのサイズ 甲長 (m m) 表1 採集場所 雌 雄 西側中央 西側南端 西側や や北側JI 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雄 雌 雄 甲幅 (m m) 17.1 27.6 29.6 27.2 13.3 13.4 10.5 10.7 9.9 10.3 11.3 11.5 9.6 9.0 11.0 15.7 F h d ρ o n y A U R d R d q L ワ t q O 4 9 q L n L 0 0 4 今 唱 A 0 6••.•••
1 8 9 8 9 9 7 7 7 7 8 8 6 6 8 0 唱 i 1 A 1 A 1 A・
i 採集年月日 日 本 の 海 岸 か ら 貴 重 な 浅 海 域 や 干 潟 環 境 が 失 われていくことが危倶されている中にあ って,ス ナガニ科カニ類は砂泥底の干潟環境を代表する生 物 の一つである . 日 本から出現するシオマネキ属Uca
には8
種 が 知 ら れ , そ の 半 数 が 多 様 性 保全 の 観 点で は危険あるいは希少な種とされている (和 田, 1996). 宮崎県版レッドデータブ ック (宮崎県, 2000) にもシオマネキUca arcuata
とハクセンシ オマネキι
lactea
が リ ス ト さ れ て い る . このた め,著 者等 も宮 崎県内の干潟や海岸のカニ類につ いて調査 を開始した . 特 に,宮崎市の宮崎港内に ある 一つ業入り江に関 しては, 底生生物やその捕 食生物にと って貴重な浅海域を形成していること もあり, 鳥類 ・貝類・ 甲殻類の動物相調査を継続 している. 宮崎港周辺の開発が行われる以前は , 広大な汽水域性浅海域としてノコギリガザ ミやウ ナギを近隣の料亭 に提供していたほどであ った一 つ葉入り江は,現在わずかにその 3 分の 1 程 度 (10 ヘクタール) が残されているにすぎない. この海 域での調査の中で, 日本本土では比較的発見例の 少ないヒメシオマネキについて,すでに 宮崎 に 定 着 したと思われる個体群を発見したので,その記 録 を報 告する. 2002.04.28 2002.06.09 2002.06.09 2002.07.24 2002. 10.05 調 査 地 お よ び 調 査 方 法 調 査 は , 平 成 14年 4 月, 6 月, 7 月, 10月に 宮 崎市東部に位置する 一つ葉入り江で行 った. 目視 観察を 主体に ,随時写真撮影および手取りによる 採 集 を 行 った. 結 果 お よ び 考 察 2002.10.09 シ オ マ ネ キ 属 の 中 に あ っ て ヒ メ シオマネキu.
H iroshi SUZUKI
,Kaori YANO
,Takahito O ZONO
,K aname M IURA
,Tomoyuki M IURA: Population of
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宮崎市一つ葉入り江のヒメシオマネキ個体群の発見 当初,個体数などが判然としない状態で同定を行 う必 要性から,標本を採 りすぎないように注意し ていた . そのため ,採集記録は多くないが,一つ 葉干潟の東岸 ・西岸に限 らず全域でヒメシオマネ キの大型個体が時々観察できた . 以後, 7月の末 までに採集された個体はいずれも甲幅が25 m m
を 超える大型個体であった . この時点までには,雌 個体も見つか っており,雄が雌に向か つて 紺脚を 振る行動も観察できた . いずれもかなり大きな個 体であり,もし 宮崎で繁殖しているものなら ,い ずれ抱卵個体が確認できるものと思 って ,採集は しなか った( 図1 ). その 後, 7月28日に は 抱卵 雌2
個 体 を入り江西側中央部で見つけ,撮影した (図2 )
. なお , これらの雌も採集はしなか った . 図1 宮崎市の一つ葉入り江に生息するヒメシオマネキの雄 (左) および雌 (右). 観察された 中で最も大きいと恩われる雄を2002年7月2 8日に撮影した. 図 2 宮崎市の一つ葉入り江に生息するヒメシオマネキの抱卵雌. 2002年7 月 2 8日に2個体の抱卵雌を見つけ,それぞれ撮影後司巣穴に戻した.鈴木賢志 ・矢野香織・大圏隆仁・三浦 要 ・三浦知之