重症心身障害児の呼吸障害に対する治療

岨’ ；t療r2

、

￥

”

1 _第26 _巻

・

イ

，

iり　

33

〜

381

「

｛

q999

イ　1

症 例 研 究

重 症 心

身 障 害児

の

呼 吸 障

_害

に

対 す

る

治療

…

_{運動療 法}

_と

_舌根沈

_{下 防}

【

卜装 具

の

併

川

＊

佐 藤 昌 代

V

　

金 子

断 行

1

．

）

　

砂

野

義

信

2〕

要 旨

　

予症

心

身 障

害 児

・

者の

1

_{威 道}

_同

プ

’

_{性 呼 吸}

_「†

_、

_；：_は

，

_{卜顎 後 退}

・Ff

_{根 沈 卜}

．

_{によ る 中）1［iし∫〔の迪 過}

臣 害

が

・

囚

で あ る



ド顎 後 退

，

舌 根 沈 ト によ る ヒ気 旭 閉真性

呼

1嚠

軋

il：_{の り}

_目

_尺を

「

_＋

1

_{し た} 1_{『疔 児に対 し}

，

_遅

動 療 法

を

施 行

し

，

胸 郭 呼

吸 運

動

の L石

ら

を み た

．

運

動 療 法 効 果

の

劫

痍 と （

道

！i

｛

i

保

のた め

舌根 沈

卜防IL用∫．具 を

、

r人

f1

：し た

。

装 具

装

肩 に よ

り

，

i

ぜ

li

　

I1

無

呼

吸 数の減 少

，

脈 扣 数の

減

少

，

動 脈

lllLガ ス値の改 善 を 認め た

　

運 動 療 法 と 長 具の

併

用が

本 児

の

呼

吸 機 能の改 〆1に繋 がっ た と 考 え ら れる キ

ー

ワ

ー

ド

　 重

：

疔

心

身

［

，

害 児

・

汗

，

舌 根 沈 ド

，

λ 具 は じ め に

　

Ti

　ft_］：

_{心 身}

F、、

、

：

_児

・K− O

_{／ ド丁}

．

_{疽 児}

₁

_{の ［ （亘1}

閉

プ

_「

生

呼

吸

隣

口

の

・

因に

，

　

ドゥ頁後 退

，

舌 根 沈 トに よ る 中ロ囚 頁の通

過 障害

が

指 摘

さ れ てい る1

　

1

／

　

L

’

　

ヒ気 辺

閉

穴

性呼

吸

1

　

・

の 治 療 は

，

姿 勢 保 持 川 具で の

姿

勢

の 匚

丿

C

”v

，

鼻

咽顕エ _ア ウ ェ イの使 川の 功 果5

−

71ガ 報

告

さ れているが

．

　

uT

’

切

開の選

択 を

除 き

，

そ0）対 応 は 循 LZ _されて い _ない



_ヒメ」道

閉

穴へ の

対 策

は

未

だ

発 展 途

ヒと

ぢ

え ら れ

，

理

学 療

法

lr

とし て

治療 的 観 点

に よ り対 応 して い

_く

こと がwy

ま

しい _と

_考

_える

．

　

今 回

，

我

々 は

舌根 沈

ドに よ る

1

メ（

道

の 閉基 と

胸

ず

「

311

乎

吸 運

動

1，1

∵

に よ る

呼

吸

i

了

、

E

：_{を 巳 した}

f

_{：症 児 に 対}

．

_し

，

_{呼 吸 傲}

能

の

_向

L

を

冂的

と

し

た

治 療 を行

っ た

　

胸

郭

ll

乎

吸 運 動

障 ∴

： へ _運

_{動 療 法}

_を

_{施 行}

_{すると と}

_も

_に

，

_{閉 广}

11

．

_呼

_吸

ISIIL

，

，

_に対

’

_し 舌根 沈 ド防IL装 具 をII

式作

し

，

呼

吸 機 能の 変 化 を 測 定 す る ことで装

具

の

_有川性

を

検

li

｛

した 症 例

紹

介 ヱ

8

［

．

r　

L，

　

し

弓

‘

1．

卜

　

Ii参

1

＊

斤斎

／l　

i

よ

fLk

椴 素性

儿

岳

lrl

囗【月

畄

亨1

彳

麦遺 蹟

1・

　R　P［ra【〔，ryD｝　LLLI

）

th

【

〕

11　Trea〔mc

・

nL　f

嚠

〕

1

’

　a　Chlld　SNI匸1］　『u、t

・

rピ 　M−tmlanfltntullt

，

cTLL

｝

btDLI1八ppiiu

、

［tl｛u1　⊂〕f　丶r〕、elτ1cnl 　The　I　“lth　a　Bl

』

／1cv　 Il101

．

1　r

〔

，

　Pr

し【

・

m　Gll

目〕

_Pk〕

ll」1

・

「 悔flト

ロ

・

伸

1

セン タ

ー

武 い勺1

り

L

　 I_現り1属　〒98≧

−

0805宮 城［1「f「1［台r』太1「「x _{月取 イ}

、

川

r2

　h

−

111F

・

［

」

ンニ

　 療 養け1 ［s掬多 賀病 院 f／1俸11

「

i代

　 丶L

・

｛｝ SIIr〔，　

、

RPT ／　l　

・

uki　K／u

’

i｛

・

k〔）　RPT

，

　MSC 　 N

：

／

rio

［

〕

a1

　 （

・

n 〔er　H

⊂

〕SP1Ld 　f｛）T 、h

・

11 ［ 丶 「・

・

〕uS ｝［11d　M 

・

ul…廟r ［）IS

．

。

1

．

d

ヒ

・

rS

　 〔　1

）

r@l　rl　

r

_丶@　1　_トit　歪ig‘し　　

丶

　匸吐　し　1c，1

　

匡ご吐」　I　　r⊂〕　　

1

　　　　　　

1

　　　

S

し」　「1　〔1　と

l

　　　　

Pt

　I　

L

｝　と吐

9i

　　g82@　　C　〕h｛

　

｝

，〕 21

川

付グルー フ

画開 発 　Yl 川1u1 川

11

　ME．　K／txv川 nl

暇

1　Gl ．〔川p　Depと吐rnLle

〔 ， 1 　

M

：1ut’uCture 　D　・bP】聖

IIt

　Li・“「1998 年3

月

27

［1’ 乏∫暢I　_{l99St 日}I

6

日

1

脳 性

麻 癖’精神

発

｝ 筆 迎 帥

・

て ん かん

．

項 度 痙

旧

型四

肢

麻

1

与

．

瓦 晴

分類

1 　

在胎

37

週，

1758g

で

看

仮

_死

にて 出 生　

6

歳

及

び

10

歳 ト1．j に 心 肺 停1 ヒ

の既

在

あっ た

　

体

獄 調_節

阮

1

_{∵を合併二し ，}

低

f

温

で あっ た

，

、 　

臨

床 疔

1

犬 ： 姿 勢 運

動

パ

タ ー

ン

は引

対 性

を

伴

_う

∫ 出 曲 パ タ ーン　後頸部勾縮，頭「コ

］

Y

，

｛

lilb

，L

，

ノ

D

体

蛉

短 縮 ， 肩 関

節 内 秒 　

肘

関

節

屈

川1 ， 右 股

関 節 内

転

内 旋

，

左

股 関節 外 臥 ，

外旋， 向

閃

節 屈曲位 を

II

ミ し

た

　重 度 の

屈

筋

り 性が大

胸

筋

，

腰背部，後頭

部

に分布し

，

イ

il

］ 要

t

・ ｝ 口

「

s

，

　

後

頸

剖≦の

過

剰筋 緊

弘

こ ｝

_身

’ 叫

i

の屈 曲

i

パタ

ー ン

の引

き

全

と な って いた 大

胸

筋

の

重度兆陸

に よ

り両ヒ 肢 は 常 陶 休

rl

≧ に 密 着し お り， 胸

郭 は 中

央諞の膨 隆

し

た

ピ ラミ ッド状 変 形 を₁

ミし

、． 右肋骨

は

後ノ∫

に

降

起

し，脊椎

は

cobb

角

115

：の 右II 「 ［

迴  

､

弯

， 後

弯

を

ll

忍めた ／

t

こ の 形態異常と 運 動 タ

ー

ン

によ り

肋

骨

は 羊

卜

f

・

’

に

固

定

さ れ ， 　 ド制 近 の 側

限

を

め

， 胸 郭 呼吸運 動

を

1

与 して い た （

図

D 　 痰

貯

溜 や不リ 丶 時 などに は

屈

曲

パタ ー ン

が

増

悪

し

，須 ン 貝部

が 過 イ 申

辰し，

　

頴 後 退 ，

li

十

Je

沈 ドを生

閉

塞

性 ゴ

ll

〔呼

吸

をた

び

た び 起 こし て い た 、 顎関節 は ，舌_骨

ヒ

_{筋 群}

_の

_ヂ

_{性 の} ためド 顎が後

退

，

前ノi へ

の

11 ］’動性に制

限

を．督め

て

いた

．

　

IIT

パ

タ

ー

ンは

吸

．（

Ht

に 胸 孑

ll

が

沈

む シ ー

ソーパタ

ー

ン で 多

ti

’ の 気 道内 分泌 物 と

と

もに吸気時に常阿」 ・喘 鳴を 認 め た。 右肺

L

栄

（

S

レL．

11

　

L

？

（

： 野

）

で

吸 式

か

ら

呼気 の 始

に

か

け て水

泡

lr

が

聴

診

で

き

た　 口

34

_{理 学 療 法 学}

_第

₂₆

_{巻 第1号}

纏

纏

_蘿

1

_備

．

、 、

聯

嬲 鰡

_誌

灘嚇蘿

継

熱

細

壷

難

、

櫻

　

韈

鱶

 

瀞

〆

灘

翼 丶

 、

、

尠

璽

誌

欝

_孚料蹄丶 、

_蠣

灘

ttt

“

鑼

韈

韈鑞

L

・・

驪

　 図1　 典型 的 な 姿 勢パタ

ー

ン 図

2

　

（上）体 幹の 回旋

・

伸 展 を 促 し な がら全 身の屈 曲パ タ

ー

　 　 　 　 　ンの緩 和 をは か る

　 　

（下） 後頸 部の伸 張と下 顎の可 動 性 を促 す

運

動

療

法

　 1996

年

4

月

か ら

9

月

の

5

か 月 間

，

1

回

40

分

の

運 動 療 法

を

週

3

回 行っ た

。

　

全

身の 屈 曲パ タ

ー

ン の

軽 減 を

はか り

，

胸 郭 呼 吸 運 動 障

害

を

改

善

さ せ

，

本 児

の

呼 吸 機 能 を向

h

さ せ ること を

凵的

に 運

動療 法

を

施 行

し た

。

　

は じ めに

，

背 臥 位

で

_脊椎

を

前 弯 方 向

に

誘 導 しな

が ら 骨 盤 を

右 方 向

に

回 旋 さ

せ

，

右

腰

背 部

の痙

性

の

減 弱 を

は かっ た

。

さ らに

体 幹

の回

旋

，

伸 展 を 促 し

，

胸 郭

，

後頸 部

に 運 動 性 を 促 し た

。

後 方 隆 起

してい る

胸 椎 部

に

操 作 を 移

し

，

脊

椎

伸 展

，

回

旋 方 向

へ の

動 きを促

し な が ら全

身

の

屈 曲

パ タ

ー

ン の

緩 和 を

は かっ た

。

肋 骨

の下

制

運 動 を 介 助 し

，

努 力 性

呼

吸の

軽 減 を

はか り

，

両 上 肢 を

体 幹

か ら

分 離

し な が ら

胸 郭

を

拡 張 し

た

（

図

2

上

〉

。

　

屈 曲パ タ

ー

ン の

緩 和

と

と も

に

，

後

頸 部

の

伸 張 方 向

へ _の 可

動 性

を

促

し

，

舌 骨

上

筋 群

の痙 性の 減

弱

を は か

り

，

下

顎

の

_{可 動 性 を改 善}

_{さ せ て}い っ た （

図

2

下 ）

、

　

運 動療 法 施 行 中

の

分

泌

物 貯

溜に は

，

吸 引器

で対 応 し た

。

呼

吸

機

能

評

価

　

運

動 療 法 施 行

5

か 月 後

，

1

回の運

動 療 法

の

前 後

で

，

染

谷

8）_{が 提 唱 し た}

呼 吸 機 能

評 価 を 応 用 し

，

以 ドの

項

目 をビ 表

1

呼吸 機 能 評 価の概 要 評価項 目 _{評価 内容}   呼 吸 数   呼 吸パ タ

ー

ン   喘 鳴   陥 没 呼 吸の有 無   肋 骨の可 動 性   顎 関 節の ロ_{∫動 域}   分泌 物貯 溜 状 態

 

SpO

，   脈 拍 数   無 呼 吸の出 現 回 数 臍上腹 部の動 きで観

察 （

回 ／分 ） 胸 郭と腹 部の協 調 性yl （胸 腹 式

，

時々 シ

ー

ソ

ー．

シ

ー

ソ

ー

）

異 常 呼 吸パタ

ー

ン の有 無 （奇 異 呼 吸

，

鼻 翼 呼 吸

．

あ え ぎ呼 吸

．

口鼻 呼吸の分 離等 ） 出 現 時の状 況 （呼 気

．

吸

気

）

・

程 度 （常 時

．

時々

．

無 し） 下胸 部 肋 間

・

剣 状 突 起

窩

で

著

明

．

わずかに見 える

．

無しの 3

段

1

響 胸 郭の拡 張 性 を触 診及 び 背 臥 位 矢 状面で観 察 日本リハ ビ リテ

ー

シ ョン医 学 会の基 準に 基づ _{く関 節 可 動 域}測定川 （下 顎の 下制

・

下 顎の前 方 突 出） 気 管支

・

肺の聴 診 パ ルス オ キ シメ

ー

タ

ー

（ネルコア社 製

N

−

200

） にて指 尖 より測 定 パ ル スオキ シメ

ー

タ

ー

（ネ ルコ_{ア杜 製}N

−

20e_{）に て指 尖よ り測定} 無呼 吸 （呼 吸に伴 う気流 が 鼻孔 あ るいは口 の レベ _{ル で}

10

_{秒以 上停止 し た状 態}1 う の出 現回数

重症 心身障害 児の呼吸障 害に対 する治 療

35

表2 施 行

5

か 月 後の

1

回の運

動療 法前後

で の評

価

結 果 運動 療 法 施 行 前 運 動療 法 施 行 後   呼 吸数   呼 吸パ タ

ー

ン   喘 鳴   陥 没呼 吸の有無

 

肋 骨の可 動 性

 

顎 関節の可 動域 　 下 顎の下 制

　

下

顎

の

前 方

突 出

  分

泌

物貯

溜 状

態

 

SpO

，

 

脈 拍 数

 

無 呼 吸の 出 現 回 数 平 均

27

，

05

±

3

．

24

_{回 ／ 分} 　 　 　 シ

ー

ソ

ー

　 　

常

時喘鳴

　

剣 状 突 起

窩

で

著

明 　 ほ と ん ど 動 か ず 　 　 　 3

，

5cm 　 　 　 　

−

1

．

5cm

　 左 右 肺上葉 （

SiS

≧

S3

区野 ） 吸気か ら呼 気の初めで の水 泡 音 　 　 平 均

93

．

83

±

5

．

03

％ 　 平 均

85

．

90

±

7

，

13

回 ／分 　 　 　 　8回／40分 　 平 均

26

．

43

±

2

．

74

_回／分 　 　 　 　 ン

L．

・

ソ

ー

　 　 吸気 時 時々喘 鳴 剣 状 突 起 窩でわず かに見 える 　 　 　 　 拡 張 　 　

50cm

　

−

O

．

5cm 水 泡 音の

減

少 　平均95

．

44±2

，

45％ 平均85

，

54±13

．

1_{回 ／ 分} 　 　

8

回／

40

_分 デ オ

撮 影

と と

も

に

視 聴 触 覚 的

に

評 価

し た

。

  呼

吸 数

，

 

呼 吸パ タ

ー

ン

，

 

喘

鳴

の状

態

，

  陥没 呼 吸

の

有 無

，

  肋

骨

の可

動 性

，

 

顎 関 節

の可

動

域

，

  分 泌 物 貯 溜 状 態

の

変

化

，

 

動 脈

血

酸

素

飽

和

度

（以 下

SpO2

）

，

 

脈 拍 数

，

  無

呼

吸の 出 現 回 数

。

評 価の概 要 を

表

1

に

示 す

。

呼 吸 数

は

1

分

間

の

_呼

吸 回

数

を

臍

上

腹 部

で

観 察 し

た。

呼 吸

パ タ

ー

ンは

胸 郭

と

腹 部

の

協 調 性 を

3

段 階

で

評価

し

，

さ ら に 異 常

呼

吸 パ タ

ー

ンの有 無 を 視 診に て

行

っ た

。

喘 鳴

は

出

現

時

の

状

況 と と も に

程 度

を

3

段 階

で

評 価 し

た。

陥 没 呼 吸

の

有 無

は

，

下 胸

部 肋 間

陥

没

と

剣 状 突 起 窩 陥 没 を視 診

に て

著

明

，

わ ず か に 見 え る

，

無 しの

3

段 階で

評 価

し た

。

肋 骨

の可

動 性

は

安 静 呼

吸 時の 可 動 性の程 度 及 び

方 向

を

視

，

触 診

に て

行

っ た。

顎 関 節

の

可動 域

は 日

本

リハ ビ リテ

ー

ショ ン医

学

会

の

関 節 可 動域 測 定 法

に

基

づ き

計

測 し た

。

分 泌 物 貯 溜 状 態の

変化 は気 管 支 と肺

の

聴 診

に て

評 価

し た

。

運 動 療 法

の

結 果

　

運 動 療 法 後

に は，

呼

吸

数

は

27．

05

±

3

．

24

回 ／

分

か ら

26

．

43

±

2．

74

回 ／

分

に

変 化

し た

。

喘

鳴

の

軽

減

，

左 右 肺

上

葉

の

水 泡 音

の

減

少

，

胸

骨

剣

状 突 起 窩の吸 気 性 陥 没の軽

減

，

顎 関節

の

可 動 域

の

改 善

，

肋 骨 運 動

の

拡 張

を 認 め た

。

し か し

，

シ

ー

ソ

ー

パ タ

ー

ンは

出 現 し

，

無 呼 吸

は

40

分

に

8

回

と変 化

が な かっ た

。

評価 結 果

を

表

2

に

示 す

。

舌 根 沈

下

防 止 装

具 の 紹

介

　

運

動 療 法 直 後

で

全 身

の

屈 曲

パ タ

ー

ンは

減 弱

し

，

舌

骨 上

筋

群

も痙 性

の

軽 減 を認

めた が

，

下

顎 後 退 も認

め た。 これ は，

本 来 顎 関節

は

不 安 定

で

，

下 制 方 向

に

過 可 動性

で

あ り

痙 性

に よ り 固

定

さ れていた ため と

考

え られ

，

その

痙 性

の

軽 減

に よ り

固

定

性

を 失っ た た め

下 顎

は

後 退 し

た と

考 え ら

れる。 そのた め

舌 根 沈

下 が 出 現 し， 無

呼

吸 を き た し た

。

この上

気

道

閉

塞によ

り

全

身

の

屈 曲

パ タ

ー

ンが

増 悪

し た た め

，

向 上 し た

呼

吸

機 能

の

継 続

が

困 難

だっ た。 そこ で， 運

動

療

法 直 後

か ら

舌根 沈 下

を

予 防す

ること

が必 要

で

あ

っ

た

。

　

舌 根 沈 下の防 止には

，

背 臥 位

で下

顎 枝 を前 方 介

助 す る 装 具 が

報 告

12）さ れて い る が

，

本 症 例

で は

脊 柱 側 弯

に よ

り装 着

不 可

能

で あっ た

。

そ こ で

，

ド

顎 後

退 を

抑

え

，

舌根

沈

下 を 予 防 す る 装 具 を 試 作 し た

。

　

舌根 沈

下 防 止 装

具

を

紹 介 す

る

。

下 顎 受 け

をベル

ト

に よ

りネ

ッ ト

素

材

の

帽 子

に 止 め た

構 造

と し た。

下 顎 受 け

で

下

顎 全

体

を 包 み

，

こ の下

顎 受 け

にベ ル ト

を

と

り

つ け 頭

部

の 帽 子 状 ネッ トに と め た

。

ベ ル トは

耳 介 前方

と

後 方

に二

本

のベ ル ト

を

通 し

，

耳

介

後 方

のベ ル トに よ

り下 顎 受 け を固

定 し

，

耳 介 前 方のベ ル トで下

顎 受 け

を

前 方

へ

_引

っ

張

る こ とで_， 下 顎 枝 を

前 方

へ _{引 き 出}

_す

_工

_夫

_{を し た} 。

頭 部

の

帽 子

状 ネ

ッ ト とベル トは

伸 縮 性

のあ るベ ルクロテ

ー

プ に よ

り

調 整

し た。 こ の た め

，

唾 液 嚥

下 や 分 泌 物 排 出 時の下 顎 運 図3　 舌 根 沈 下 防 止装 具 装 着 状 態

36 理学 療 法 学 　 第

26

巻 第

1

号

動

は

妨

げ ら れ な かっ た

。

装

具

装

着

状 態 を 図

3

に 示 す

。

本 装

具

は 以 上の よ

う

に

簡 便

な

構

造 で あっ た

。

表

3

　 装 具 装 着 に よ る 呼 吸 機 能 評 価 （抜 粋 ）の平 均 結 果 装具装 着 前 　 　 装 具 装 着 中

舌 根 沈

下

防 止 装 具

の

評 価

　 舌根 沈

下

防止 装 具

の

効 果 を吟 味 す

るため

，

運 動 療 法 施

行

5

か

月 間

に

，

装 具 装 着 前

1

時 間

と 装

具 装 着 中

1

時 間

に お い て

，

表

1

か ら

抜 粋

した

呼

吸

機 能 評 価

を

合 計

4

同

行

っ

た

。

装 具 装 着 前

と

装 着 中

の

呼 吸 数

，

呼 吸

パ タ

ー

ン

，

閉塞

性 無呼 吸

の

出現

回

数 を

ビデ

オ撮 影

に よ

り評価 し

た。 ビデ オ 撮

影

と同

期

させ パ ル ス オ キ シ メ

ー

タ

ー

（

ネ

ル コ ア

社

製

・N −200

） を用

い て

SpO2，

脈 拍 数 を測 定 し

た。

　

呼 吸 数

，SpO2，

脈 拍 数

，

閉 塞 性 無 呼 吸 数

は

4

回

の

平

均 値 を算 出

し

，

装

具

装 着前

，

装 着 中

で の

統 計 学 的

比

較

を

行

っ た。

さ

らに

，

運 動 療 法 施 行

2

か

月 後

に

，

装 着 前

，

装

着 中

の

動 脈

血 ガス

値

を 比

較

し た

。

舌 根 沈

下

防止 装 具 装 着

の

結 果

無呼吸の出 現 回 数 （回　 時） 呼吸パ _タ

ー

_ン SpO

、

（％） 脈拍数 （回／分 ） 呼 吸 数 （回

・

分 ）

11

．

0

　±

3

．

65

　　　　

5

．

50

±

0

，

58

シ

P一

ソ

ー

　 　 　 　胸 腹 式 92

．

0　±2

．

3892

，

45±1

．

84 99

．

12±9

．

9492

．

90±9

．

19＊

30

．

70

±

5

ユ

1

　　　　

32

．

67

±

3

，

2D

＊　：p＜0

．

05

．

表

4

　運動 療 法 施 行

2

か月後の動 脈 血ガ ス値 装 具 装 着 前 装 具装 着 中

PaOz

　　〔torr）

PaCOz

　　（torr）

52

．

1045

．

0

73

．

2043

．

70

　

図

4

に

装 具 装 着 前 及

び 装

着 中

での

閉

塞

性無呼

吸の出 現 回

数

，

呼 吸 数

，

SpO2

，

脈 拍 数

の

経 時

的 な 変

化

パ タ

ー

ン

を示 す

。

閉 塞性 無 呼

吸

出 現 後

に

脈拍 数

が ヒ

昇 す

る

傾 向

が み ら れ た。

　

4

回 の

呼

吸

機 能 評 価

の

平 均

の

結 果

を

表

3

に示 す

。

閉 塞

性 無 呼 吸 数

は

装 着 前

11

，

0

±

3

，

65bl

か ら 装

着 中

5

．

5

±

0

，

58

回 に 減 少 し た

。

SpOz

は 装

着 前

92D

±

2．

38

％

，

装

着

中

92

，

45

％ ±

L84

％であっ た （

p

＞

0．

05

）

。

脈 拍 数

は

，

装 着

160

140

　 　 120

冒

至

1

。。

馨

曹



₈₀

バ

∈

8

　

60

一

＄　 　

40

20

0

装 具 装 着 前

前

99

．

12

±

9

．

94

同

．

分 か ら 装

着

巾

92

．

90

±

9

．

19

回 ／ 分 に

減 少

し た

（

p

〈

0．

05

）

。

呼 吸 数

は

装 着 前

30．

70

±

5，

ll

回 ／ 分

，

装 着 中

32．

67

±

3．

20

回 ／ 分であっ た

。

　

ま た， 運 動

療 法 施 行

2

か 月

後

で の装 具

装 着 前

及び

装 着

中 での

動 脈

血 ガス

値

の測

定

で は

，

動 脈

血

酸 素 分

圧

（

以 ド

PaO2

） が 装

着

前

52

．

IO

　

torr

_{か ら装 着 中}

73

，

20

torrへ

L

_昇 し た

。

動 脈

血二 酸

化

炭

素 分

圧

（

以 ド

PaCO2

） は 装 着 前

45

．

0

　torr_{か ら 装}

着

_中

43．

70

　

torr

へ

減 少

_{し た}

（

表

4

＞

。

考

察

　 本 症 例

に

対

し

，

運 動 療 法

にて

全 身

の

屈 曲

パ タ

ー

ン の

軽

減 を

は か

り

，

後 頸 部

の

運 動性

と 下

顎

の可

動性

を

引 き出

し

，

装 具 装 着 中

0

　　　10　　

20

　　

30

　　40　　

5060

　　　

70

　　　

80

　　　

90

　　100　　110　　120　　130 Time ［min ］

100

90

80

70

60

50

40

30

20 10

0

　 　 　＋ 脈 拍 数

冢

：　

＋ 呼吸数

霧　

＋

s

，。2

　 　 　 　

図4

　

装 具 装 着 前 及び装 着 中に おける

各

変 数の経 時 的 変化 SpOL，：動 脈 血 酸 素 飽 和 度

．

矢 印は無 呼 吸の出 現 を示 す

．

無呼吸 出 現 後に脈拍数が 上昇する傾向を認め た

，

ft

’

症心身 障 害 児の1呼吸 障害に 対 す る 治 療 37

胸 郭 呼 吸 運 動

を

促

し

，

呼 吸 機 能

の

向

L

を

み た

。

し か し

，

運 動 療 法

で

舌骨

上

筋 群

σ

．

）

痙 性

が

減 弱 す

る ことで

，

不

安 定

な

1

・

．

顎

が

後

退 する た め

閉

塞

性 無

1

呼

吸が

tlLIJL

し

，

向

．

ヒ し た 呼 吸 機 能の持 続 が 困 難 だっ た

．

．

そこで

，

本 児 特

有

の

舌

’

根

沈 ド防

ll

：装 具 を 試 作 し

，

運 動

療 法 後

に装

着

し た

．

，

　

舌 根 沈 ド防

．

111装 具 使

Jti

で は

，

閉

塞

性 無 呼

吸の 川

現

回数 の 減 少

，

脈 拍 数の 減 少 をみ た

．

．

／

これ は 装

具

に より

閉

塞が

改 簿 し

た た め と

考 え

られ る



さ ら に

PaO ．

，

の

．

L

昇

，

PaCO

。

の

減 少

が 認め ら れ

，

動 脈

lfl［ガス

値

が 改 簿 し

，

気 道

確 保

による

換 気 不

全の改

酵

が

示 唆

さ れた、

，

動 脈

［血［ガ ス

値

の

改 善

に

比 し

，

SpO

．

，

に

変 化

がみ ら れ な かっ たこ と は

，

本

児が

低 体

温であ り四

肢 末梢 部

に

循

環

障 害

を認め る た め と 推 察 し た

、

、

　

ま た

．

装 具 装 着 に 対 し

，

卜

．

顎

の

煎

ノ∫へ _の lr_∫

_動

_{域 が 改}

_善

さ れ たこ とが

，

装 具 を 容 易に装 着で き た 要 因 と

考

え ら れ る

．

．

す な わ ち

，

本 装 具 は 運 動 療 法 後の装

着

が 適 してお り

，

運

動 療 法

と

併川

す る

も

の と

位 置 付

け ら れる、、

　

本 論 文の要 旨は

第

32

　

1ir

［日

本

理

学 療 法

1

：

学 会

に おい て

．

撮 告

し た

、

　

謝 辞 ：ご指

導

い _{た だ き ま し た 国 立}

_{精 神}

・

_{神 経}

セ ン タ

ー

武 蔵 病 院 医 師

・

山

Irl

男先 生に

深

謝 し ま す

．

．

／

引 用 文 献 1〕北イ

il

映 ： ：脳性 囀疋

ll

児 挿：症 児 1 の 呼 吸 機 能 障 害 と 治 療

．

　 ボバ

ー

_スジャ

ー

ナル

14

（P ：2935

．

ig9］

．

L）　

．

「匕住1映　：

・

f

也：神 辛旨　1筋〕疹ξ患 児　〔

i

／

1

こ弔：度神辛剳算 害 り己丿 　 にお け る閉 塞 型 睡 眠 時 無r_呼吸

ffi

_{作 を 含 む ヒ気 道 閉 塞性 換 気} 　 障 害の 診 断と治 療 法の検 討

．

｛_そ の

1

〕

，

小 児 耳

10

「

21

_： 　

・

10

−

｛2

，

　1989

，

3）船橋 満 寿

r・・

他 ：重 度脳性 麻輝！l_己の _呼吸 に 関 す る 研 究

，

リ

　

ハ ビ リテ

ー

ショ ン医学

26

〔

L

）：

971

〔）

・

’

］

，

1989

．

4）染 谷 淳司 ：_{慢 性}1_呼吸 不令を 有 す る19，：症 脳 才員傷児の運動 療 法 　 　と冫_奏勢

f

_呆ヨ

．

_{芋用 具の}

f

_貪 li4

．

_，

理

’

1

≧航層去

ii

：2_〔］（1〕：36

−・

11

，

　且993

．

5V

長

　

噂雪

・

他 ：_{前 度 市 複 障}

’

，

ii二_児 の呼1吸不 全に対

．

す る評 価と 　 対

．

策

．

　甘畄と 発 達

2

〔〕：

301

　3〔［7

，

　1988

．

6

）米］rl 明

・

他：神経 萌か 疾 患 児 住

i

こ重 度 十中経 障 害児：1 　 におけ る閉 塞 型 睡 眠 時 無呼1吸 発 作 を 含 む

L

気 道 閉 塞 性 換 気

　

障 害の 診 断と治 療 法の検

、

；」

．

〔その 2，

．

小 児耳

1

〔

M2

〕： 　

・

13

−

46

，

　1989

．

7｝花 片丈 夫

・

他 ：重 度脳 性 麻輝児のlr

’

r

｛_吸

1

_{簟害の対 策と経過の} 　 極ミ詞

．

．

　珥｛

’

羊ザオξ

1

去eii

：

₁₉ 疋D　：76　82

．

　匠

992

．

8）染 谷淳iiJ：弔：症脳 子員傷 児

・

者の1呼吸 機 能へ の ア プ ロ

ー

チ 　 　

C2

｝

．

ボバ

ー

_スジャ

ー

ナル

201

⊥｝：

6371

，

］9

．

｛7

．

91

渡辺

　

勇 ：

NIC

じ看 護に 必 要 な 基 礎 知 識 と 技 術 ： ［1乎吸窮 　 迫

．

小 児 看 護

12r9

月臨時上IX

，

d

．

i

：ID ／L2291236

，

］989

．

10｝N〔〕rki11 ⊂：

C

．

　WhiteJ ：関 節」り

．

動 域 測 定 法

．

木 村

』

哲 彦 〔監 修〕

、

　

協

1i

−

rlIX，

．

_吉 lh_開反密ヒ

，

　

1987

，

　

Pp

　

112

一

レ13

，

11

］

Guillemuina

しttt　

C

．

　

Tlkiall

　

A

，

　

Dcmmt

　

WC

．

（et　ai

、

：The　sleep 　 apnea syndrorl1 〔／s

、

　Aml RevN

．

led

27

：

465

−

485

、



1976

、

参 考ビ デ オ

12〕児匡和 憂

・

北 住凵りと　 蠕

rll

修

・

指 導｝ ：弔 度 脳性 麻 蝉 児の _呼 　 　吸障 害と その対 策

．

ジャム コ出 版

，

19

．

　89

．

38 Hlli',lfii･ki}E

rg26

ts"･1

}"

<Abstract>

Respiratory

Dysfunction

Treatment

for

a

Child

with

Severe

Motor

and

Intellectual

Disabilities

-Application

_of

_Movement

_Therapy

_{with a}

_Brace

_in

_Order

_to

_Prevent

Glossoptosis-Masayo

SATO",

RPT,

Tatsuyuki

KANEKO,

RPT,

MSc

National

Center

Hospital

_for

Mbntal,

IVbrvous

and

Muscular

Di.sorders

#Present:

_Nishita.oa

_Nationat

_Hospitat

YoshinobLt

ISANO,

X,II,l

K?iwamura

Group

Department

of

Manufttcture

Devetopmeizt

One

of the reasons that respiratory

dysfunction

occurs

in

rhe children "'ith severe tnotor and

intellectual

disabi}ities

are obstruction of

breath

caused

by

_{glossoptosis.}

iKie

tried inoverrient tiierapy to

iniprove

ventitation via rhe ('hest

for

a child ",ho

had

respira-tory

dysfunction

caLiscd

by

glossoptosis.

In

order to

keep

the air"'uy upeT] a]id to inaintain the effecr of niovenient therapy, "'e also

tnanLtfactured a

brace

to p]'evenr glossoptosis, IN"hen

the

child "ras ",earing the

brace,

the

obstruc-tion of

breath

alld

the

heart

rate ",ere

dccreased,

nnd the

I'a(),,

inipreved,

The

ehild'srespiratory

function

sho",ed exceltent progress after eur treatment Lising inovenient