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マラヤ北西部の稲作農村 : 農地所有の零細化について [A Padi Farming Village in the Northwest Part of Malaya, Interium Report : The Fragmentation of Landholding]

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(1)

マ ラ ヤ 北 西 部 の 稲 作 農 村

1)

-

農 地 所 有 の 零 細 化 に つ い て

-口

A PadiFarmingVillageintheNorthwesternPartofMalaya lnterim Report

-

TheFragmentationofLandholding

-by

MasuoKuchiba,YoshihiroTsubouchiandNan'fumiMaeda

Thispaperisapartialresultofthesociologicalandanthropologicalfieldworkheld inavillageofMalaya during theperiodfrom JulytoDecdmberin 1964. Although theruralpovertyandindebtedness,especiallyoftheMalaypeasants,areconsidered aseriousproblem inMalayatoday,theiractualconditionsarenotwellknown. This paperisan attempt to clarify these respectsbyanalyzing such problems asland tenure,the patternoflandlord and tenantrelationship,incomeofMalay farming households,peasantcreditsystem andtheinheritancepatterninthevillageconcerrled.

Thevillage,locatedinthe"ricebowl"inthestateofKedah,has287households:

208Malay households,75Chinese households and 4Indian households. Thelarge numberofChinesehouseholdsin thevillageisduetothefactthatthelocaltrading centerofthemukim(sub-district)isinthisvillage. 135OutofthetotalMalayhous e-holdsareengagedinpadifarming,butthehouseholdsowning padifarmsareonly 75innumber. Theaveragesizeoffarmscultivatedbythefarminghouseholdsis6.5 smallrelong(about4.4acres). Anditisveryinterestingthatmosttenantscultiva・ tingsmallareasrentthepadifarmsfrom theirparents. Comparedtotheintensive farminginJapan,theaverage areaofpadifarm cultivatedbyahouseholdandthe averageyieldofpadiperacrearenotsosmallasmightI)esupposed. Theusersof chemicalfertilizersarerapidly increasinginnumber and the employmentoffarm labourisunexpectedlyhigh,becauseofthecomparativelylargeareaundercultivation.

Howevertheproblem ofthelowerincomeofMalaypeasantsliesinthefactthat thepriceofpadiis,comparativel)speaking,very low. Those farming households cultivating padifarms under6smallrelonginarea are almostallindebtedtothe 1) この報告 は,マ レー シア地域研究 計画 の一部 として,1964年6月 よ りマ ラヤ において行 われ た社会学

的 ・人類学的調査結果 の一部であ る。 調査班長棚瀬襲爾 博士 は,12月10日,帰国後調査の整理 をわれ われの手 に残 して急逝 され た。謹 んで哀悼 の意 を捧 げます。4月10日記。

(2)

-Chinese merchantsin the villagebyPaditimor(Padikuncha). In order to avoid becoming indebted,a farming household has to cultivateaminiumum padifarm over7relong.

Forthepoor peasants thereisalmostnopossiblitytopurchase and rentfarms inthevillage. Thegovernmen'Spolicytoaidthesepeasantshasnotbeeneffectively broughtintooperation. Besides,theinheritancepatterns,adatorsharia',inthevil -1agearefurtheracceleratingthefragmentationofthelandholdingofthepeasants.

1 問 題 の 所 在

新 興 国 マ レー シア連 邦 は , 文字 通 りの多民族 国家 で あ る。 総 人 口 (表 1) の46.2,% は マ レ -人 を主 とす る土 着 民 ,42,2% は 中 臣1人 , 9.4% は イ ン ド ・パ キ ス タ ン人で あ るO 土 着 尺 と申 国 人 の人 口の割 合 には余 り差 は な い が , サバ とサ ラ ワ クの土 着 民 の 内

,

非 マ レー人 人

H

(Sea Dayaks,Land Dayaks,Kadazans,Bajaus,Muruts, Kedayans な ど)

/

J

L

土着民 'Jj総人 口 か ら除 けば , マ レー人 の総 人 口 (407.8万 人) は, 中 国 人 の総 人 「] (430万 人) よ り下

る程 で あ る。 しか し,各 民族 の割 合 は地域 に よ って か な り異 な って い る。 マ ラヤ (マ レー-半 畠) で は,土 着 民 の殆 ん どが マ レ-人 で あ り, マ ラヤ の全 人 口の約50% を 古め , しい国人 は37,%, イ ン ド ・パ キ ス タ ン人 11% で あ るO シ ンガ ポー ルで は,圧 倒 f射 こr=l沌 ]人 が多 く,全 人 口ur)75% を「吊 う, マ レー人 は 14% , イ ン ド人 は8.3% で あ る。 サバ とサ ラ ワ クにお いて も,

国 人 人 口の比 率 は少 な くな く, それぞ れ23% と31,%で あ る。 マ レ- シア全 体 につ いて い うな らば

,中

国 人 は主 に都 市 か村 落 の開 発 され た地域 に多 く, イ ン ド ・パ キ ス タ ン人 は ,都市 住 民 か ゴム閑労 働者 で あ る に対 し, マ レ-人 は都 市 近 辺 の村 落 (kampong) に,他 の土 着 民 は,未 開発 地 域 に多 い 。 この よ うな 多民 族 国家 マ レー シア連 邦 に お け る一 つ の重要 な問題 は , マ レー人 が政 治的優 位 を占め な が ら, 大 多数 の マ レー人 が経 済 的水 準 の

い村落 地域 の居住者 で あ る とい う貢 にあ る。 本 論 で は , マ ラヤ にお け るマ レー人 稲 作 農民 が主 題 とな るが ,最 初 に, マ ラヤ の村 落 に居 住 す るマ レ-人 は, どの よ うな状 態 に胃 か れ , どの よ うな 問題 に直面 して い るか を, 巨視 的 な 蓑 1 マ レ ー シ ア の 人 口 1961年 マ ラヤ シンガ ボ - ル サ ラワク サ バ 土 中 着 民 3.62 0.24 0.53 0.32 国 人 2.67 1.28 0.24 0.ll イン ド・パキスタン人 0.81 0.14 そ の 他 0.13 0.04 0.008 0.045 r 7.23 1.70 0.780 0.475 百万単位 計 % 4.71 46.2% 4.3() 42.2% 0.95 9.4% 0.22 2.2% 10.18 100.0% 70.9,% 16,7% 7.7/%' 4.7,9,3' 100.0.7b'

(Offi'cialYearBookofMalaysia1963. K.L.,1964,pp.ll-12) -

(3)

23-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 観点 よ り指摘 してお こう。 マ ラヤ にお け る非 マ レー人 人 口の比率 が高 いのは, 英 国 の植民 地時代 に, ゴム栽 培 と錫 の 開発 のため,人 口過 剰 の中国 とイ ン ドか ら労働 者 が マ ラヤ に導 入 され た ことに起 因す る。ゴ ム と錫 は, 現在 で も, マ ラヤの重要 な輸 出品 目で あ り, 1962年 の輸 出総額 の それぞれ52.1% と 23.6% を 占めて い る。 2) 人造 ゴムの 出現 は,今 日マ ラヤの天然 ゴムにと って,一 つの脅威 とな りつつあ るが, それで もなお, ゴムは マ ラヤで最 も収益 の多 い産物 で あ る。 一般 的 にい って, マ ラヤの 経 済で , ゴム栽 培 を も含 め た 農業 の 占め る 地位 は 卓 越 してお り, マ ラヤの総労働人 口の 54% (1957) は,農業従事者 で あ る。 3) 農 業 の 内で は,収益 と耕 作 面積 の点 か ら, ゴムが最 も 重要 な作物 で あ り, ゴム園 は全耕 地面積 (1960) の64% (344.2万 acres) を 占めてい る。 これ に反 し, マ ラヤの殆 ん どの住民 の主食 で あ る米 の作付面積 の割合 は, 全耕 地 のわず か 17% (94.1万 acres) に過 ぎない。4)米 の需要 の約 33% は外 国か らの輸入 によ って まかなわれて い る。 5) 連 邦政府 は,米 の 自給 自足 のため, 生 産量 を高 め よ うと稲 の品 種改良や単 作地帯 の二毛作 地帯化 の ための 港翫水 路 の整備 に力 を入 れてい るが,未 だ充 分 の効 果 を挙 げて いない。 マ ラヤの主 産業 は, ゴム栽培 ,稲作 , 錫鉱 で あ るが, これ ら主産 業 に従 事 してい る労働人 口の民族 別 割合 (表 2) を眺め ると,興 味深 い問題 が生 ず る。 マ レ-人 には,稲 作 とゴム栽 培 の従 事者 の割合 が多 く,全 マ レー人 労働人 口の52.6% を 占めてい る。 中国人 とイ ン ド人 の場合 には, ゴム栽培 と錫鉱 の従事者 の割合 が多 いO しか も,稲 作従 事者 の圧 倒 的大 多数 は, マ レー 人で あ る。 1957年 の人 口統 計 (表 3) によれば,全村落居住 人 ロの約70% は, マ レー人 で あ る が, その大 部分 が稲作農民 か ゴム栽 培 の従 事者 なので あ る。 問題 は, この よ うな マ レー人農民 の経 済生活 の水 準 が低 い点 にあ る。 稲 作 の経 営規模 に関 す る民族 別 統計 はないが, マ ラヤの稲作全体 につ いてみ ると (1960年農業 セ ンサス),経 営規 模 10acres (約 14relong) 以下 の農家 は,全体 の97% ,5acres (約 7relong) 以下 は78%,

表 2 マ ラ ヤ に お け る 産 業 人 口 (抄)1957 単位千 人 産 莱 業 作 培 業 栽 産 鉱 ム 全 稲 ゴ 錫 総 数 (%) lマ㌫ 蒜 人(%

)l

中 国 人(%) j ィ ン ド人 (%) 2,164(100.0) 398(13.7) 614(28.3) 1,023(100.0) 381(37.2) 260(25.4) 50( 2.3) 】 7( 0.7) 771(100.0) 9( 1.2) 200(25.9) 36( 4.7) 312 (100.0) 0.5( 0.2) 150 (48.0) 5 ( 1.6)

(1957PopulationCensusoftheFederationofMalaya,ReportNo.14よ り抄 出) 2) Offl'cialYearBookofMalaysia1963.K.L.:Govt.Printer,1964,p.522.

3) Federation ofMalaya:1957Po♪ulationCensusofikeFederat3'OnofMalaya,ReZ'ortNo・ 14. K.L.:Dept.ofStatistics,1960,Table14.

4) OoiJinBee:Land,PeopleandEconomyinMalaya. London:Longmans,1964,p.224.

5) Offc'ciaZYearBookofMalaysia1963. K.L.:Govt.Printer,1964,p.519. - 24

(4)

-蓑 3 マ ラヤにおける村落居住人 口 1947,1957 全 村 落 居 住 人 ロ マ レ - 人 非 マ レ ー 人 1947 1957 3,607 3,611 2,153 2,521 1,454 1,090 単位千人

E.K.Fisk:"FeaturesoftheRuralEconomy,''(∫.H.Silcock&E.K. Fisk ed.ThePoliticalEconomyofIndependentMalaya,1963,p.165.)

3acres (約 4.3relong)以 下 は54% で あ る。6) 稲 の 単 作 地 域 で は , 経 営 規 模 が大 体 5acres

も あ れ ば , 後 述 す る よ う に村 落 生 活 に お い て 不 足 の な い程 度 の 収益 は あ るが,3acresで は不 充 分 で あ る。 そ の上 , マ ラヤ で は , 小 作 経 営 農 家 が農 家 総 数 の46% を 占めて い る。 7) この よ う な マ レ-人 稲 作 農 民 の零 細 性 に 関 す る詳 純 な 調 査 報 iI]tは , 殆 ん どな い が, 8) マ レー 人 農 民 の経 済 生 活 の低 水 準 は, 1957- 58年 に行 な わ れ た家 計 調査 (表 4) に よ って も明 白で あ る。 都 市 , 村 落 に居 住 す る マ レ-人 , 中 国 人 , イ ン ド人 の 内 ,最 も収 入 の 低 い の は , 村 落居 住 の マ レー人 で あ る。

収 入 M $ 2

5

満 M $ 2

5-

50 M $ 5

0-

75 M $ 7

5

- 100 M $ 10

0

- 125 M $ 12

5

- 150 M $ 15

0

- 175 M $ 17

5

- 200 M $20

0

- 225 M $ 22

5

- 250 M $ 25

0

- 275 M $ 27

5

- 300 M $ 30

0-蓑 4 マ ラヤ連邦 における民族別世帯収入の分布 1957-58 i- 育 藩 ー審 「 ー市、 村∼ー 落一一一【都ー J「市一 村J一一一

二、

二 都二二 二市 マ レー人 マレ-人 中 国 人 中 国 人 イ ン

イン ド人 1.3 0.5 7.7 1.5 15.0 2.8 20.0 5.2 20.0 10.0 ll.0 13.0 7.5 11.0 4.8 9.0 4.5 8.0 2,7 7.0 1.5 5.3 1.0 4.7 3.0 22.0 計 100.0 100.0 0.5 0.5 0.5 1.0 2.0 2.5 4.0 4.0 7.0 8.0 9.5 8.5 9.5 9.5 10.0 8.0 ll.0 8.0 6.3 6.0 6.2 5.0 5.5 5.0 28.0 34.0 100.0 100.0 0.3 1.0 0.7 2.5 2.0 4.5 4.0 10.0 ll.0 15.0 ll.5 12.0 ll.5 9.5 13.3 6.3 1L7 6.2 8.8 4.5 5.7 3.5 4.5 3.0 15.0 22.0 10().0 100.0

HouseholdBudgetSurveyoftheFederationofMalaya1957-58,p.39.

6) 耕地面積 の単位 としての relongに大 relongと小 relongがある。Kedah州の Gunong Jurai

以北 は小 relong(0.7111acres)が,南部 は大 relong(1.3225acres)が用い られている。Padang Lalang村では小 relongが使われてい る。

7) 築林 昭明 :「マ ラヤにおける小農経営の実態」『東南アジア研究』 2巻3号,1965.p.21.

8) マ レー人稲作農民 の農業経営の実態 に関す る唯一 の報告書 は,T.B.Wilson:TheEconomicsof PadiProductioninNorthMalaya (PartI),LandTenure,Rents,LandUse and Fra g-mentation.FederationofMalaya:Dept.ofAgriculture,1958.

(5)

5-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号

しば しば指摘 され ることで あ るが, マ レー人農民 の 貧 困は, 人 口の急増, 地代 ・小作料 の 上昇 , マ レー人 の相続形 態,農外 収入 の少 ない こと,零細 な経営規模 ,潜在失業者 の多 い こと な どによるといわれてい る

9

) しか し, この ような事実 が, 具体 的 にどの よ うな形 で村落 に見 出され るかは,殆 ん ど知 られていない。 以下 の報告 は, この点 に照 明を当て た-村落 の調査結 果 の一部 であ る。 この調査 は,1964年 7月末 よ り12月末 にかけて,Kedah州 の稲作農村 Kam-pong Padang Lalangにおいて行 なわれ た社会学 的,人類学 的調査 であ るが,以下 で は,特 に 農地 の所有状況 ,地主 ・小作 関係 の形 態 ,農家 収入 と金融 ,農地 の零細 化 と相続 に分析 の焦点

を置いてい る。

2

Padang Lalang村の概況

マ ラヤの北西 部 Kedah 州 は, 生 態学 的 に三 つの地域 , す なわち稲作水 田地域 , 森林 地域 とゴム園地域 に区分 で き る。 海岸沿 い に南北 に広 が る Kedah 平原 は, マ ラヤの穀倉地帯 とも いわれ る水 稲 の単 作地帯であ り,稲 の作付面積 の31% が, この地 にあ るとさえいわれてい る。 川や水路沿 い に ココや し,バ ナナ, ニ ッパ や しやパ ンダ ヌスな どの樹木 によ って覆 われて点在 す るマ レー人村落 (kampong)を除 けば,水 田ばか りの ところであ る. Kedah州北部 の タイ国 との国境 や東部 の Perak 州 との州境 に 近 い ところは,森林 地帯 であ り,南部 に移行 す る につれて, ゴム園が多 くな る。

Padang Lalang 村 は Kedah 州 の 首 府 AlolrStarか ら北西 に 5マイルばか り離 れ た 稲作地帯 のほぼ中央部 にあ る。 この村 は,九 力村 か ら構成 され る Padang Lalang区 (mu

-kim) の中央部 にあ って,localtrading cen-ter とな ってい るため, 必ず しも典型 的 なマ レー人 の稲作農村 とはいえない。村 内の総世 帯数 287の民族別 内訳 は, マ レー人世帯 208 (72.5%), 中国人世帯75 (26.1%), イ ン ド・ パ キ スタ ン人世帯 4 (1.4%) であ る。 マ レ ー人 の大部分 は農民 で あ るが, 中国人 には, 小売店主や賃金 労働者 が多い (表5;6;7;8)0 図1 調査地点 PadangLalang村

9) Ginsberg,N・& C・F.Roberts:Malaya.Seattle:Univ.of Washington Press,1958,p. 385;OoiJim-Bee:op.cit.,pp.236-5;Jacoby,Erich H.:AgrarianUnrestinSoutheast Asia.London:AsiaPublishingHouse,1961,pp.123-127;Puthuchelary,J.I.:Ownership and ControlintheMalayanEconomy.S'pore:EasternUniv.Press,1960,pp.5-18.

(6)

6-① 港蘭 局 (DID)事 務 所 ② penghuluの 家 ③ マ レー人 小学校 ④ 警察 署 ⑨ 中国人 小 学校 ㊥ 精 米所 ① 診 療所 ④ 水 門

図 2 Padang Lalang村 略 図

'i個 人 が 多 い の は,この 村 に 商 店 が集 中して い る た め で あ り,周辺 村 落 の中国 人 人 口 は ず っ と少 な くな る。 村 内 の 総 人 口 は ,1,546人 , そ の 内 訳 は,マ レー人 986(63.8%),中 国 人 546(35.3,%,), イ ン ド ・パ キ ス タ ン人14 (0・9% ) で あ る (表 9 ;10)。10' しか し, 同 じ村 に居 住 して い る とは い え , マ レ- 人 と

申F

E

ヨ人 の/i f舌様 式 は際 立 って 異 な る 。 マ レー 人 農民 は,禰 東 か ら北西- と,村 の中 央 部 を貫 流 して い る AlorJanggus川 沿 い に点在 す る高 床 家 屋 に住 み, 中国 人 の家 屋 は床 が セ メ ン トや

の た た き で 作 られ た平 屋 で ,

の北

西

瑞 の 川 軌 、に 密 集 して い る。 宗 教 も マ レー 人 が イ ス ラ ム教 徒 で あ る に対 し, 申

人 は 圭 と して 道 教 の 神 が み を信 仰 して い る。

言語

も,

中国

人 は マ レー 語 を解 す るが , マ レ一・人は 中 国語 を 話 さ ず , 村 の 大 部 分 の中国 人 は福 建 人 で あ るた め,ll)中 国 人 の あ い だ の 口常 の 言語 は 福

祉語

で あ る。

表 5 マ レ ー 人 世 帯 の 職 業 構 成 (Padang Lalang 村) 1964.10

農 非 農 雑 魚 下 大 南 精 年 也 作 耕 業 店

.-J/√.

労 家 主 働 役 商 男 工 常 夫 金 135(64.8) 6 (2.9) 25(12.0) I D 警 官 D L'1. 7(3.4) 人 夫 1 (0.5) 3 (1・4) ・ ホ ス ピ タル ・ア シ ス タ ン ト 1 (0.5) 5 (2.4) 1 (0.5) 5 (2.4) 3 (1.4) 1(0.5) 1 (0.5) 助 無 不 茂 如 1 (0.5) l l 」 汁 208(100.0) 10) 村内の民族別

帯数 と人 口は,中国人 の場合のみ・後述す る理 由によ り裾 封寸KubangSiam に居住す ll) 福建人63世乱 広東人8世帯,潮州人 3世乱 不明 1世帯。 -

(7)

27-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 表 6 中 国 人 家 族 扶 養 者 の 職 業 莱 農 夫 商 店 主 理 髪 店 主 米 金 金 動 精 賃 賃 自 無 所 経 営 者 労 働 者 (常雇 い) 労 働 者 (日雇 い) 車 運 転 手 職

実 数

(

%)

6 (8.0) 31 (41.3) 1 (1.3) 3 (4.0) 26 (34.7) 5 (6.7) 2 (2.7) 1 (1.3) 75 (100.0) (註) 隣接 す る KubangSiam 地域居住者 を含 む。 表 7 マレー人職業(Padan gLalang

)14才以上の者 につ いて 1964.10 職 莱 些 ■i別i;⊆

:

!

農 夫 非 耕 作 地 主 農 業 労 働 者 商 店 主 理 髪 店 主 店 員 行 商 人 請 負 師 警 察 官 小 学 校 教 師 成 人 学 校 教 師 官 吏 ホス ピタル ・アシスタン ト 助 産 婦 D.Ⅰ.D. 人 夫 精 米 所 人 夫 大 工 日 雇 労 働 者 下 男 (女) 兵 隊 家 事 イ ス ラ ム 塾 々 生 就

(小 学 校) 〝 (中 学 校) 〝 (アラビック ・ス クール) 無 職 不 明 . 計

l

男 57 一 12 6 2 2 1 0 1 7 3 1 2 1 1 3 3 5 1 6 1 2 一 4 4 9 7 25 ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ∼-ノ ) ) ) . 1 . 2 . 1 . 7 . 7 . 5 . 4 . 5 . 1 . 4 . 7 . 4 一 . 1 . 1 . 8 . 7 . 4 . 7 1 . 4 . 4 . 2 . 5 . 8 5 4 2 0 0 3 0 2 1 0 0 へU 1 l 1 5 0 0 1 1 3 2 8 5 ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( 女 (%) 153 (52.2) 2 (0.7) 24 (8.2) 1 (0.3) - ( -) - ( -) - ( -) - ( -I) - ( -) 2 (0.7) - ( -) - ( -) - ( -) 1 (0.3) - ( -) - ( -) - ( -) 4 (1.4) 1 (0.3) - ( -) 51 (17.3) 6 (2.0) 2 (0.7) 1 (0.3) 2 (0.7) 43 (14.6) 1 (0.3)

2

8

3(

1

0

0.0 ) ⊆ 294 (100.0) - 28

(8)

-表 8 店 米 金 金 動 農 商 商 仲 精 賃 賃 自 家 就 〃 無 衣 中 国 人 職 業 14才 以 上 の 者 に つ い て 1964.10 性 別 所 経 営 労 働 者 (常 労 働 者 (口 重 運 転 学 (小 学 (中 学 計 ' ・ . ・・ [ : . ' ・ . ( ・・ -[・・ 男 (%) 9 (5.8) 31 (19.9) ll (7.1) 1 (0.6) 2 (1.3) 52 (33.3) 8 (5.1) 2 (1.3) 女 (%) 1 (0.7 ) 2 (1.3) 8 (5.3 ) - ( 一一一) 3 (2.0) 3 (2.0 ) 2 (1.3) -- ( - )

-

( -)

69 (45.3) 2 (1.3) - ( - ) 23 (14.7) 5 (3.3) 15 (9.6) 59 (38.8) (註) 隣接す る KubangSiam 地域居住者 を含 む 表 9 マ レ ー 人 性 年 令 別 人 口 (PadangLalang村) " 4 9 14 19 24 29 34 39 44 49 54 59 64 69 74 79 84 89 94 99 明 令

5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 不 午 計 男 52 86 80 44 29 29 32 33 20 12 18 12 20 3 6 2 4 女 75 77 64 50 34 30 39 23 2l l5 2l l2 19 3 6 3 2 一 一 4 2 計 127 163 144 94 63 59 71 56 41 27 39 24 39 6 12 5 6 1 3 5 2 7 6 5 1 0 0 6 8 1 5 7 5 1 6 2 8 4 男 0 . 7 . 6 . 9 . 6 . 6 . 6 . 6 . 4 . 2 . 3 . 2 . 4 . 0 . L o . 0 . = H 日 日 叩 1 . 6 . 2 一 〇 〇 100.0 100.0 0 1 4 6 9 1 一二一日 . 2 6 4 9 6 6 7 5 4 2 4 2 4 0 1 0 0 ↓l 1 1-0 0 0 仁 . 9 5 6 5 4 0 2 7 2 7 0 4 0 6 2 5 6 1 . 3 . 5 . 2 100.0

(9)

東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 表 10

中 国

人 性 年 令 別 人 H 1964.10 性 別 年___

争二

二三二三 二 0

4 5

9 10

14 15

-

-

19 20

24 25

-

29 30

34 35

J

39 40

44 45

49 50

54 55

59 60

-

64 65

69 70

-

74 75

79 80

84 85

89 90

94

数 女 計 33 71 54 102 33 80 30 63 20 40 19 33 15 35 12 21 9 15 11 19 8 18 8 15 5 9 5 12 0 3 5 9 1 計 ・ 279 267 546 E 6 2 8 8 2 0 つ ︺ 2 2 9 6 5 4 5 1 4 4 男 正 17 16 ; 7 . 5 . 7 . 3 Cj 2 . 3 . 2 . 1 . 2 . 1 . 1 . 0 12 .4 20.1 12 .4 ll.2 7.5 7.1 5.6 4.5 3.4 4.1 3.0 3.0 1.9 1.9 1.9 計 0 0 7 5 3 0 4 8 7 5 3 7 6 2 5 6 2 3 9 4 1 7 6 6 3 2 3 3 2 1 2 0 1 0 日U 引 引 引 100.0 100.0 100.0 (註) 隣接す るKubangSiam 地域居住者を含む 中国人 の居 住 地域 は, 区 (mukim) の 中心 地 とな って お り, Alor

J

anggus と呼 ば れて い て , そ こに は警 察署 , 診 療 所 , マ レ ー人 国民 学 校 (sekolah kebangsaan),中国人小学 校 と中 国人 の経 営 す る精 米 所 や 隣村 を も含 む約100軒 の家 に電 気 を供 給 す る小 さな私 設 発 電 所 が あ る。 この地域 か ら AlorStar まで は,1955年 に村 び とに よ って作 られ た約 5う即 扇の道 路 が あ って, 毎 日バ スが通 って い る。 この道路 の開 通 が村 の生 活 に与 え た影響 は大 き く, バ スが通 うよ うに な って か らは,AlorStar まで の買物 や 映画 を見 に行 くことが容易 にな った。 更 に1963年末 に は ,AlorStar か ら, この村 を貫 通 して 北上 す る新 しい道路 が政 府 に よ って つ くられ たが, こ の新 道 路 は,完 成 後 日が浅 く, そ こを 自動 車 で通行 す るに は,政 府 の許 可 を必 要 とす る。

区 の 中心 地 で あ る Alor

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anggus は, 那 (daerah)役 所 の書 類 で は, 一 つ の独 立 した村 と 数 え られて い る。 しか し, 実 際 は, そ うで はない。 マ レー人 の考 え方 で は,村 (kampong)

は, 同時 にモ ス ク(masjid)を中心 とす るイス ラム教 の--教 区 (kariah,ア ラ ビア語 の qarya) で あ るo Padang Lalang 村 の中央 部 には,一 つ のモ ス クが あ り, マ レー人 の村 び とは,原 則

と して ,毎 金 曜 ,礼 拝 の た め, モ ス クに行 かね ば な らな い。 しか し,Alor

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anggus に は, モ ス クはな く,大 部 分 の住民 は非 イ ス ラム教 徒 の中 国人 で あ る。

行 政 組織 の上 で も, Alor

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anggus は村 で は ない。 Kedah 州 は, 10

か ら 構 成 され, -

(10)

30-Padang Lalang 村 の所 在 す る Kota Star 郡 には40の区 (mtlkim) が あ る。 Padang Lalang 区 に は,AlorJanggus を除 くと10力

あ り,郡に は郡長 , 区 に は 区長 (pengilulu) が お り, 区長 まで は,

の支 配 者 Sultan に よ って任命 され るが, 村 長 (ketuakampong) は,

とい う形で , モ ス クで の 会 合の後 に, 村び とに よ って 選 ば れノる。 しか し, 村 長 は, 」l二式 に

Su一tan Lj刃T:命 を受 けず , 棒 給 も も らわ な い。 た だ, 精 柿 的 に行 政 に 協力 した村 長 には,賞 Fj -が

え られ る。Padang Lalang 村 に は,

長 はいて も, AlorJanggus には村 長 は な く, 中 国人仲 間 を 代表 す る申 同 人の 長 (ketua china) が 存在 す るだ けで あ る。 この

国人 の 自治 体

は ,地 縁 に基 づ い た もので は な く,Padang Lalang 村 の

隣接

村 に住 む申

人 も, この

治体

に屈 して お り, 州 政 府 の伝 達 事 項 は ,村 長 また は 区長 を通 じて

,

中 国人 の長 にイ云え られ る。 従 って , 行政 組 織 と して は ,Padang Lalang 村 の村長 が ,I---応 AlorJanggus 地域 の 首長 と

え られ るが , この場 合

,

中 国人 は間接 的に統 治 され る形 にな り, マ レー人 と中 国人 の問 に は, 同一 村 へ の

属 の意 識 が乏 しい。Alor

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anggusを 独 立 した- 村 とす る郡 役 所 の 記録 は ,人 口 セ ンサ スの ため の便 宜 的 な 区画 と考 え られ る。 この よ うな Padang Lalang 村 の歴 史 は明 白で はな い が , ケダー州の稲 作地

の歴 史は , 大 体100年 位 と推定 され , マ レー人 農民 が定 若 しは じめ た1850年 頃 よ り人 口 と水 田の江南貢は , 約 8倍 に増 加 した とい わ れ て い る012) - 古 老 の話 に よれ ば , マ レ-人 の村落 の部 分 は古 い が,60年 前 ,Alor

J

anggus には , マ レー人 と1回召人 の 表 11 現 在 地 に お け る 居 住 年 数 1964.10 マ レ - 人 u-・帯: 中 間 人 世 帯* 10 年 以 下 5 年 以 下 6 - 10年 ll - 20年 21 ∼ 30 31 -41 .∼ 0 0 4 5 51 ∼ 60 61 ′∼ 70 71 - 80 81 - 90 91 ∼ 100 101 - 110 111 -- 120 不 明 計 % 須 Er ET の 即 の G r GP Gr の G} ) ) ) ) 3 2 0 4 5 1 0 0 0 1 0 ・ = 0 ・ 5 1 ・ 9 6 4 2 2 ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( 2 9 3 0 2 3 1 1 1 2 1 0 0 1 4 3 8 4 5 1 1 r L L J / % 13 (17.3) ∴ (12.0) (5.3) 9 (12.0) 9 (12.0) 22 (29.3) 14 (18.7) 8 (10.7)

一 ( -)

- L l.) ・. ( -) 208(100.0) ・ 75(100.0) *隣接 す る KubangSiam 地域 の居住者を含む

12) Ginsberg,N.&C.F.Roberts:op.cit"p.198. -

(11)

31-東 南 ア ジ ア 研 究 帝 3巻 第 1号 店 が二 軒 あ っただけで あ る。 この ことは ,

国人 の

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へ の定着 年 代 (

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を見 て も うなず け る。 つ ま り,過 去50年 の問 に

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の中国人集落 は形成 され , 区 の中 心 地 とな った。

3

土地 の所有 状況 (1) 土 地所有 に関す る法律

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村 のマ レー人農家 の土 地所有 状 況 につ い て述 べ る前 に, 土 地所有 に 関 す る 法律 的 な面 につ いて ,若 干説 明 を加 えてお こう。

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州 の現 行 の土 地所有 制度 は, 1891年

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州 に最 初導入 され た

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制度 で あ る。 この制度 は ,約 100年前 に南 オー ス トラ リヤの知事 で あ った

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卿 に よ って考案 され た も ので あ り,二 つ の原 則 に基 づ いてい る。13)第一 は, 鉱 物 ,木 材 ,水 ,砂 利 な どを含 む土 地 に関 す る総 て の権 利 は,土 地 が州 の支 配 者 で あ る

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の名 にお い て, 市 民 に譲 与

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t) さ れ ない限 り,

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の手 中 にあ る。 第二 は ,

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に よ って譲与 され た土 地所有 の名 義 は, 郡役所 内の 土 地 事務 所

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に登 記 され て , その書 類 の写 しが所有 者 の手 に渡 され る。 この よ うに して ,土 地 の所有 者 にな った もの は,所有 地 の譲渡権 を もつ ことにな る。

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州 は, この制度 を1932年 に採 用 したが ,

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よ り市民 に譲与 され た土 地 は,割 譲 地

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と呼 ば れ ,割 譲 され てい ない土 地 は, 「州地

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とされ てい る

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か らの土 地 の譲与 は ,土 地所有 者 が

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制 度 の導 入前 に, 土 地 の開墾 に よ って ,獲 得 した ものか, また は

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よ り直接 得 た もので あ る。

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村 の マ レー人 は,所有 地 の名義 の ことを

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」と呼 んで い る。残念 なが ら, 土 地所有 者 の何割 が,どの よ うに して ,何 時 ,土 地 の所有 権 を獲 得 したか は明 らかで はない が,

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制 度 が施 行 され た1932年 には,村 内の殆 ん どの農 地 は開墾 され てい た と考 え られ る。 表 12 屋.敷地所有状況

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村マ レー人) 1964.10. 所 有 状 況 所 有 ( 借 地 個 人 所 有 共 有 無 料

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有 料 そ の 他* 不 明 計 世帯数

(

%)

63 (30.3) 5 (2.4) 69 (33.2) 19 (9.1) 37 (17.8) 12 (5.8) 3 (1.4) 208(1

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0.0) *借家 および官舎居住者

13)

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,1963.

p.

57. - 32

(12)

-る場 合 は11世 帯 ,購 入 の み に よ る もの11世帯 で あ る。 相続 され た農 地而 精 の総計 は,370.5re -long(約 259acres),購 入 され た農 地面 積 の総計は 193.75relong(約 135acres)で あ る。 しか

し,この総 て の農 地 が村 内 にあ るので は な く,村 内 の農 地 の総面 精 , それ 自体 が 明 白で は な い。 (2) 共 有 地

と ころで村 内 の土 地 の種 類 に は三 種 の ものが あ る。 第- は,共有 地 と して の村 のモ ス クの敷 地 と墓 地 で あ り,第二 は ,庭 を含 め た屋 敷 地 ,第三 は ,水田で あ る。

第一 のモ ス クの敷 地 と墓 地 は, イ ス ラム教徒 の マ レー人村 民 の共有 地 で あ り, 中 国人 は この

場 合,除 かれ る。この共有 地 の管理 に は,モ ス クの役 員 で あ る 「十 人 委 員会」 (orang sapuloh)14)

が あ た ってい る。 これ ら以外 の共有 地 は, この村 には ない。 (3) 屋 敷 (kampongま た は tapak rumah)

マ レー人 の屋 敷 の境 は ,竹 垣 や小 さな溝 で は っき り区画 され てい る若 干 の もの を除 け ば普 通 は ,高 沫家 屋 の周 囲 に樹木 が繁 って い て一 見 ,不 明確 で あ るが ,村 び とは ,殆 ん ど, 自分 の屋 敷 の境を よ く知 ってい る。 屋 敷 の大 き さは , 約 1relong (0.71acres) か ら 3relong(約

2.1acres)まで ,大 小 さま ざ まで あ るが ,普 通 ,一 つ の屋 敷 に は,2- 3の家 が建 ち,近 い親 族 が共 に住 んで い る例 が多 い。 マ レー人 村 民 の問で は,屋 敷 を所有 また は共有 して い る世 帯 数 は,全 体 の32.7% (6811日壬l二) に過 ぎない (表12)。他 の67.3% (140

世帯

) は ,屋 敷 を借 用 して , そ こに 自分 の家 を建 て てい るか ,漕潜 局 (D.Ⅰ.D.)や 農 業 局 の官吏 また は労 務 者 や 警 官で , 官舎 や借 家 に 住 んで い る。 こ の よ うな官 舎 や借家 を除 けば , 屋 敷 の借 用 (sewa)には, 四 つ の形 式 が あ る。 第一 は ,無 料 で屋 敷 を借 用 し,庭 の木 にな る果 実 を食 べ うる場 合,第二 は ,無 料 で屋 敷 を借 用 して い るが , 庭 の木 に な る果 実 を食 べ られ な い場 合 (tumpang),第三 は , 定 額 の 借地 料 を 毎 年 支 払 って い る場 合 ,第 四 は ,定 額 の借 地 料 を長 期 契 約 (5-10年) に よ って前 払 い す る場 合 (pajak)で あ る。 この 内,最 も多 い形 式 は第一 の無 料 借 地 で あ り, 次 いで , 有 料 借地,tumpangとな り, pajakは一 例 しか ない O 貸 手 は ,必 ず しも村 内 に住 んで い る とは限 らな い が , 貸 手 と借手 の関 係 をみ る と (表13), 両 者 の間柄 が親 族 で あ る例 が一 番 多 く,67例 (53.

1

%)

で あ る。 親 族 の 内で も,貸 手 が 借手 の 親 で あ る例 が 目立 って多 く, その大 部 分 の場 合 ,借地 料 は無 料 で あ る.1=封旨者 問 の関 係 が親 族 で あ る場合 には ,借手 は ,わ ず か な収 入 しか な い農 業 労 働者 また は

行 商 人(26例)で あ るか , 14)村のモスクの役員は,原則 として,10名であるところか ら,その役員は,orangsapulohと呼ばれ ている。その構成は,imam (礼拝の指導者)2名,bilal(Khutba説教を し,礼拝の時を告げる者)

2名,penghulumasjid(モスクの維持 ・管理責任者)2名,katib(事務担当者)2名,siak(雑 務担当者)2名の10名であるが,10名 も役員がそろっている所は少 な く, この村でも,imamとその 代理人を除けば,他は一名づつである。

(13)

-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 表 13 屋敷地地主 と借地 人 との関係 (PadangLalang村 マ レ-人) 1964.10. 無料 Tumpang 有料 地主 の借地人 に対 す る関係 レ 夫 妻 夫 妻 夫 妻 息 親 マ 中 そ 不 の の の の 親 親 胞 胞 父 父 子 戚 山 人 他 明 同 同 視 祖 畑 の の 国 の 計 0 5 日 H Hq 1 2 1 2 4 0 2 1 1 1 2 汁 1 5 15 1 3 19 1 l 12 6 L 〓 l E 1 2 15 1 1 37 t 2 2 1 2 6 7 2 4 9 1 1 125

表 14 屋敷地 (TapakRumah)の借地代 (PadangLalang村 マ レー人) 1964.10.

1relongあた り借地代 「/2 naleh 米 によ る 支 払 い 現金払 い / -」 /I1 -し 地 主 の 借 地 人 に 対 す る 関 係 夫 の親 妻 の親 他 の親族 完 .L'-∧ 中国人 ._ (也_.__人〕 1 計 5 6 ::iee: 1 4 7 nalleh . 0 0 0 0 4 7 8 9 S S S S M M M M 0 0 0 2 1 1⊥ 令 令 M M 計 *長 期 契 約 (pajak) i 1 i 〓 5 γ -工 3 7 3 T 1 I i 1 I 一 1 一 二 肌 l l 1 3 4 2 1 1 1 1 1 1 1

5relong(3.5acres)以下 の耕 地 を 自作 または小 作 す る零細 農民 (23例) かで あ る。 tumpang の場合 も同様で あ る。

借地代 の支払 い方法 と して は,籾米 (padi) によ る現 物支 払 い (sewa padi) と, 現金支払

い (sewa tunai) の二方 法 が あ る (表14)。最 も安 い借地代 は, 1relong (約 0.71acres)あ

(14)

-た り,年 に,現物 の場 合 は , 籾 米 2 naleh15) (約8斗),現 金で は M$ 36 16) (4,320Fl」) で あ

り,最 高 は現 物 で 7naleh (約2石 8斗), 現 金 で は M$ 120 (14,400rT]) で あ る。 最 も多 い の は現 物 を 6naleh 支 払 う sewa padiで あ る。

1naleh の籾 米 の価格 は ,大 体 MS9 で あ るか ら, 6 naleh は , M$ 54 に な る。 6 naleh の 借地 料 は ,水 悶 lrelong あ た りの小作 料 の平 均 とほぼ 同 じで あ る。 屋 敷 の借地 代 と貸 借者 の関 係 は ,後 述 の農 地 の貸 借 の場 合 と同様 ,必 らず Lも

,

貸 手 が

族 で あ るか ら,借 地 代 が安 い とは限 らな い(表 14)。 いず れ に して も,屋 敷 地 を所有 して い るt侶 il が ,総 出 は数 の30.3,%で あ り,無 料 借地 や tumpang の よ うに,寄 二生的 借 地 者 の割 合が 多 い の は注 目に価 す る。 しか し, この点 につ いて は ,親 族 の形 態 とも考 え合 わせ て分 析 す る必 要 が あ るので ,他 の機 会 に詳述 す る こ とにす る。

(

4

)

農 地 の所有 状 況 Kedah 州 の農 地 (水 田) は , その収 道 の 差 に よ り, 3等板 に 区分 され てい る。ClassIは ,

収 量 が 1relong 当 り籾 米 2.5kuncha17) (400gantang) 以 上 ,ClassIIは ,収 量 が 1relong あ た り籾米 1.5 か ら 2.5kuncha (240-400gantang),ClassIH は ,収量 が籾 米 1.5kuncha (240gantang) 未 満 の 農地 で あ る。Padang Lalang 村 の農 地 は ClassIに分 類 され て い る。 村 内の水 田 は ,AlorJanggus 川沿 い の細 長 い集 落 の外 側 に並 んで あ り, 水 Ⅲの一 区画 の大 き

さは まち ま ちで あ るが , か な り大 きい。 大 体 ,0.5 relong (約 0.35 acres) か ら 4 relong (約 2.8 acres) 位 で あ る。 村 内の農 地 は ,必 ず しも村 内居 住 農家 に よ って所有 され て い る とは限 らな い。 所有 農 地 が , 家 か ら 3マ イル も離 れノた と ころ にあ る例 は多 い。 この よ うな所 有 農 地 の分布 状態 は ,農 地 の亮 買 が か な り行 われ た こ と,相続 に よ って得 た農地 が ,婚 姻後 の

住 地 移動の ため に,離 れ て い る とい う ことな ど と関連 して い る。 村 内居 住 マ レー人

-

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侶 Fll・-の 内

,農

地 を所有 してい るの は ,88i侶 Il;で あ る。 これ は, マ レ-人 の 総 世帯 数208の42.3% に あ た る (表 15)。 しか し, この 農地 所有 甘描 ユ:の内 ,農 業 に従 事 してい な い世 Jl昔数 を除 くと, 農家 の 内 , 農地 を所有 して い る農家 数 は 75世 帯 で あ り, 総 農家 数 135の 55.6% にあ た る。残 りの農 家 数60世 帯 (44.4%) は,小作農家 で あ る。 しか し,農 地所有 農家 とはい え , 農家 総 数75日用lこの 内,47世帯:(62.7%)は, 6 relong 三桁 1.5'の零 細 な農地 を所有 す るにす ぎな い。 村 内居 住 農家 の所有 農 地而 枯 rJj最 も大 きい 例 は ,50 relong で あ るが , この地 域 に 62 relong の農 地 を

有 す る 本イ打 出主 も一 肌あ る。 しか し, 小 作 の割合が かな り多い 0) が 目立 ち , ま た 6 relong の耕 地 は ,後述 す るよ うに,現 扶 にお い て は , Fr‖'1三して ,!卜_活 に ゆ と りを持 つ 程 の 収 益 を挙 げ う る 規 模で は ない ので , 6 relong 二村苗の農 地 を所有 してい る農家

15) 1naleh-16gantang-16英 ガ ロ ン-こ4斗 16) M$1*120日

17) 1kuncha-10naleh-160gantang.

(15)

35-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 表 15 農 地 所 有 面 積 (PadangLalang,マ レー人 ) 1964.10. 農地所有面積 1relong未満 1- 2未満 2.∼ 3 3-ー 4 4∼ 5 5∼ 6 6∼ 7 7∼ 8 8∼ 9 9∼ 10 10∼ ll ll∼ 12 12∼ 13 13∼ 14 14∼ 15 15∼ 16 16∼ 17 17∼ 18 18∼ 19 19 ∼ 20 20 ∼ 21 21∼ 22 22 ∼ 23 23 ∼ 24 24 ∼ 25 25 ∼ 30 30 ∼ 40 40 -∼ 50 み の 作 自 作 作 小 白 山 + 一 一 4 -1 1 = -L 総 数 (%) 平 均 1 3 6 3 4 5 一 2 1 1 I 一 1 一 B・鮎 (冠 聖 )貸 出のみ ∃ 総 数 (%) 一 1 1 1 1 E 1 3 一 1 1 I 1 2 1 1 1 2 一 一 1 一 3 2 一 1 2 一 一 一 1 一 一 2 1 一 一 4 3 一 1 一 l 一 3 1 一 一 一 1 一 1 1 18 26 15 16 13 (20.5) (29.5) (17.0) (18.2) (14.8) 4.2relong 5.2 12.3 11.9 1 10 1 7 8 7 12 1 2 3 4 3 3 2 2 3 1 1 一 2 2 1 1 1 1 ⊥ ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) ) . 1 . 4 . 5 」 . 0 . 6 . 1 . 3 . 4 . 5 . 4 . 4 . 3 . 3 . 4 . 1 . 1 一 . 3 一 一 l 一 . 3 . 1 」 . 1 . 1 1 1 9 9 8 3 1 2 3 4 3 3 2 2 3 1 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( ( 88 (100.0) (100.0) が ,農 地 所有 農家 総 数 の半 数 以 上 も 占め て い る こ とは ,農 地 所有 とい う観 点 か らは ,極 め て , 零 細 な 農家 が 多 い こ と にな る。

4

経 営 規 模 経 営 規 模 別 農家 数 は ,表 16の通 りで あ る。 当然 の こ とで あ るが ,所有 農 地 の少 な い農 家 は , 小 作 に よ って経 営 規 模 を拡 大 す るか ら, 所 有 農 地 の平 均面 積 は 5.2 relong で あ るが , 経 営 規 模 は,6.4relong とな って上 昇 す る。 この推 移 を ,農 家 形 態 別 に所 有 農 地面 積 の平 均 と経 営 規 - 36

(16)

-表 16 束肘乍面 積 別 ・自作 小 作 別 農 家 数 (PadangLalang村, マ レー人 ) 1964.10. l 1 1 1- 2未満 '. 8 2 ∼ 3 3∼ 4 4∼ 5 5∼ 6 6∼ 7 7∼ 8 8∼ 9 9∼ 10 10∼ ll ll∼ 12 12∼ 13 13- 14 14∼ 15 15∼ 16 16∼ 17 17∼ 18 18∼ 19 19∼ 20 20∼ 21 21∼ 22 22∼ 23 23∼ 24 10 12 10 3 5 1 4 2 3 一 J 一 1 1 一 自作 +小 作 一 I L 2 1 5 2 2 L 2 1 1 L 自作 の み 1 3 6 3 4 5 一 一 2 1 1 1 自作了 黛 山 矧 H ま た li/J\作 総 数 (%) 貸ILH+小 作 L 2 一 3 1 一 3 1 1 1 2 1 1 1 1 1 L 一 2 1 3 一 1 2 1 E 2 1 1 一 1 1 一 2 1 1 (0.7 ) 13 (9.6) 16 (ll.9) 21 (15.8 ) 15 (ll.1) 13 (9.6) 9 (6.7) 7 (5.2) 8 (5.9) 6 ( 4.4) 5 (3.7 ) 6 ( 4.4) 3 ( 2.2 ) 3 ( 2.2 ) 2 (1.5) 3 ( 2.2) こ く - g - (. ) - ( 一 ・) - ( -. ) 3 (2.2) - ( - ) 1 (0.7 ) (%) (44.4) (13.3) (19.3) (lll.1) (ll.9) ; (100 .0) 校 の平 均 とを比 較 して み ると,次 の よ うに な る。 農 家 形 態 小 作 自

自 ・ 小 作 自 作 ・貸 出 し 自作

員 出 し .小 作 敬 家 60 26 18 15 16 農 所有 地平 均 経 営 規 模平 均

0

relong 4.9 relong 5.2 〝 5.2 〝 4.2 ′′ 9.1 〝 12.3 ′′ 7.6 ′′ ll.9 〝 10.0 〝 小 作 農 家 は必 ず しも零 細 な経営面

を持 つ農 家 ば か りとは云 え な い が (表16), 平 均 経 営面

は ,最 低 で あ り,次 いで 自作 農家 が 低 い。 白 ・小 作 農家 の平 均 所有 農 地面 積 は低 い が ,小 作 - 3

(17)

7-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 に よ って,経営面積 の平 均 は上昇 してい る。 所有 農地 を 自作す ると共 に,貸 出 してい る農家 の 所有面積 の平均 は一 番高 いが , この範暗 に入 る農家 は,農外 収入 があ るために所有 地 を貸 出 し てい る若 干 の例外 を除 けば ,一 般 に,必要 な収入 を得 る農 地 を耕 作 して,残 りを貸 出 ししてい る農家 で あ る。 しか し, この場合で も,後述 す る地主 ・小 作 関係 の形 態 におい て見 られ るよ う に,余 分 の収入 が不必要 で あ るか ら, 農地 を貸 出 してい るので はない (40貢参照)。最後 の所 有 農地 を 自作 し, しか も貸 出 した上 に,小作 も してい るとい う農家 には,2種 の ものがあ る。 この分類 に入 る18世帯 の内の半数 の所有 農地面積 は, 6relong 未満 で あ る (表15)。 これ らの 零細農家 は,農 地 に余 裕 が あ るか ら,農 地 を貸 出 して い るので はな く,零細 な所有 農 地 が遠方 にあ るため, その農地 を全部貸 出 し,近 くよ り面積 の広 い農 地 を小 作 してい るもので ,実質 的 には,小 作農家 で あ る.残 りの半数 は所有 農 地 の一 部 を 自作 し,遠方 の所有 農 地 を貸 出 して, 家 か ら近 い農 地 を小 作 してい る。 以上 の5種類 の農家形態 のそれぞれ の平均耕 作面積 が全体 の平均耕 作面積 を越 え る場合 は, 自小 作農家 , 自作 ・貸 出 し農家 , 自作 ・貸 出 し ・小 作農家 の場合 で あ り, 自作農家 と小 作農家 の平 均耕 作面積 は,6relong 未満 であ る。 上 記 の五 つの形態 の内で, 小作農家 の割合 が最 も 多いが,地主 ・小 作関係 は どの よ うな形 で存在 してい るので あ ろ うか。

5

地 主 ・小作 関係 の形態 一 般 にマ ラヤ北部 の農村 には,三種 の小 作形 態 が見 出され る。第一 は,sewa であ る。 この 小 作形態 には, 屋 敷地 の場合 と同様 , 小 作料 を籾 米 で支 払 う sewapadiと, 現金 で支 払 う sewa tunaiの二 つの型 があ る。 第二 は, pajak であ る。 第三 は, 収穫物 を地主 と小 作が分 配 す る pawah であ るが, これ はマ ラヤの北東部 Kelantan 州 に多 く, Padang Lalang 村 に は見 られ ない。

この村 に見 出 され る小 作 の形態 と件数 は,sewapadi91,sewatunai25,pajak 2,無料借 地6,形 態不 明23,計147であ り,圧 倒 的に sewapadiの件数 が多い。 この147件 の 内, 農地 の貸手 が村 内居住者 で,借手 の居住地 が不 明 の場合13件 と,貸手 が地域不 明,借手 が村 内居住 者 の場合10件 とを除 いて,小 作形態別 に 1relong あ た りの小 作料 とその件数 を示 す と表17の

よ うにな る。

小 作料 は,圧 倒的 に sewapadiの 6naleh のケースが多い。 1relong あた りの平 均収量 を 3kuncha (30naleh) とす ると,6naleh は収量 のほぼ 5分 の 1にあた る。

Kedah 州では,1955年 か ら,一 応, 最 高 の小 作料 が, 法 的 に規定 され てい る. ThePadi CultivatorsOrdinance,No.9.(1955)によれ ば,一 年以上 の農地貸借契約 は禁止 され てお り, 契 約 は毎 年更新 され ね ばな らない。小 作料 の最高額 は,農地 の等級 によ り,ClassIは 6naleh/ relong,ClassIIは 5naleh/relong,ClassIIIは 3naleh/relong と定 め られてい るが, 小

(18)

-作 者 が 同 意 す れ ば ,小

作料

は収 量の3分 の 1で も よい こ と に な って い る。 従 って ,6 nalehが 小 作 料 と して最 も多い Ujも不 思 議 で は な い。 しか し,6naleh また は ,これ に 相 当 す る M$54以 上 の小 作 料 も少 な くな く, それ は ,土 地 iM普件 数 の30.5% を 占め て い る(表 17)。 しか も, これ らは す べ て ,農 地 貸 借 契 約 を した上 で定 め られ た小 作 料 で は な いO例 え ば ,契 約 書 の有 無 を66の貸 借 件 数 につ い て調 べ た結 果 は , 表 18 の通 りで あ る。 この数 値 は ,契 約 書 の有 無 を確 認 しえ た件 数 で しか な い か ら, 農 地 貸 借 件 数 全 休 に つ い て 断言 す る こ と は で き な い が ,66件 の 内 の54件 (81.8% )が契 約 書 に調 印 して お らず , しか も,小

料 6naleh を越 え る場 合 も, 6naleh 未 満 の場 合 も, 契 約 書 の調 印 が 行 な わ れ て い な い。 小 作 者 の 問 に は ,小 作 料 が上 昇 しつ つ あ る とい う不 満 が あ るが ,小 作 契 約 書 に

調

しな い小 作 料 7naleh 以 上 と, M$ 60以 上 の 件 数 が 多 い こ とは ,小 作 料 上 昇 の傾 向 を部 分 的 に裏 づ け よ う。 この点 につ い て は他 の 角 度 か ら も指 摘 で き る。 農 地 の貸 手 と借 手 の 関 係 に は ,三 つ の類 型 が

It目され る (表19)。 第 1は , 貸 借 者 の 関 係 が 村 内居 住 の組 子 で あ る 「村 内親 子 型 」,第 2は,. 艮 借 着 が親 子 を除 く親 族 で 村 の 内外 に分

散居

住 して い る 「親 族 分 散 型 」 と, 第 3は , 貸 手 が

外 に居 住 す る他 人 (JF]囚 人 を含 む) で あ る 表 17 小 作 形 態 PadangLalaang村 ・マ レー人 1964.10.

'=二二 議 長 仁 se-apadi . Se-atunai 目

l 、 1 計 6j 4 73 ll 1 2

.

L 1 2 5 6 4 1 4 2i 2 口力 手 の 手 借 質 契 約 124 (100.0) 表 18 小 作 契 約 書 の 有 無 PadangLalang村 ・マ レー人 ユ964.10. (naleh) り 要 録 二_- ・ 料 5 6 借 手 門 T 計 7 10 有 10 - -2 - -1 5 - -1 3 3 42 5 1 - 39-30 一 一 1 現 金 (こM S) 60 70 80 90 一 1 ⋮ 3 柑 1 一 1 " 1 一 100 一二`‖ 「 「 1。 竺 2 11 五 ⋮ 一 " -. ・・・

(19)

東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 「村 外 他 人 型 」 と が あ る。 それ ぞ れ の型 の小 作 料 を 比 べ る と , 必 ず しも 「村 外 他 人 型 」 に お け る小 作 料 が 高 い と は い え な い 。 表20は , 特 に村 内居 住 の小 作 を 中 心 に 分 析 した 結 果 で あ る。 つ ま り, 貸 手 と借 手 が 共 に村 内 に居 住 す る ケ ー ス , 借 手 は村 内 , 貸 手 が 村 外 の ケ ー ス , 計103件 に つ い て ,貸 借 者 の 関 係 と小 作 料 を 示 す も の で あ る が ,親 子 型 に お け る小 作 料 は , 必 ず しも, 村 外 他 人 型 の小 作 料 よ り も安 い と は 言 え な い 。

不 在 地 主 の 内,PadangLalang村 内 に 最 も多 くの 農 地 を 所 有 す る の は , 村 内 の 62relong(約

43.4acres)の 農 地 を 8人 に 黛 して い る例 で あ る。 この 地 主 は , 村 び と の 話 に よれ ば , 約 1000 relong(約 711acres)の 農 地 所 有 者 で あ るが , 村 内 に あ る 62relongの小 作 料 は 7naleh/ relongの 1ケ ー ス を 除 け ば , 総 て 6naleh/relongで あ る。 この 62relong だ け の 一 年 の小 作 料 の 総 計 だ け で も,467naleh(M$4203-50万 円) で あ る。 こ の よ う な 地 代 収 入 の あ る 地 主 は , 別 に小 作 料 を 値 上 げ す る必 要 もな い で あ ろ う し, ま た , 法 的 な 規 制 を も受 け 易 い 。 表 19 農 地 貸 借 者 の 関 係 PadangLalang村マ レー人 1964.10. 計 蓑 20 農地貸借者問の関係 と小作料 PadangLalang村 ・マ レー人 1964.10. 小 作 料 兵事 に \ 対す る関係 \ -ここ-\ 、ん-\ iiZl 借手の m 以 上 n6 払 以 下 5n 6n 7n MS 以 以 下 下 下 子 親 同 親 他 中 国 計 胞 族 人 人 13 1 2 7 8 一 6 2 一 l l 一 一 1 1 1 4 1 1 一 3 1 1 3 t 2 6 一 一 1 1 一 1 1 2 一 2 4 4 4 r: 12

(20)

表 21 親 子 間 の 農 地 貸 借 (PadangLalang村 ・マ レー人) 1964.10. l 7relong以 上 (余裕 あ り) 7rplong未 満 (余裕 な し) 小 1乍 料*

6naleh% I,AJ^1_ 6naleh

:EI'

i

6naleh u⊥⊥謀 議 無 料 こえ 近 14 1 6 3 4 遠 1 1 同 居 1 1 1 近 3 1 2 遠 3 . 3 *現金払 いの場合 は,padiに換算 これ に対 し, 村 内親 子 型 の 農 地 貸 借 関 係 の 場 合 は , ど うで あ ろ うか 。 不 明3ケ ー ス を除 く22 ケ ー ス の 内,17ケ ー ス は , 借手 が耕 作面 積 7 relong 未 満 の零 細 な小 作 農家 で あ り, そ の 内11 ケ - ス は ,耕 作 面 積 3 relong 未 満 で あ る

貸 手 の親 の方 で は , 所 有 農 地 を 7 relong 以 上 持 ち ,一 応 経 済 的 に余 裕 の あ る農 家 数 は,23ケ ー ス申15ケ ー ス で あ る。 この数 は ,村 内で,7r e-long 以 上 の農 地 所 有 農 家 で の 内, 農 地 を小 作 に 山 して い る 農 家 総 数 (20)の3/4に あ た る

。農

地 の貸 借 者 の 関 係 が 親 子 で あ る場 合 は ,小 作 料 が,6naleh(大 体 M$54)よ り低 い 場 合 と 高い 場 合 の両 極 端 が見 出 され るが , この ケ - ス を ,親 の所有 農 地 面 積 と屈 住 地 の遠 近 とを考),厨 こ入 れな が ら,分 析 す る な らば (表21), 規 の所 有 農 地 に余 裕 が あ る と認 め られ , しか も

子の住 居 が 近 い 場 合 に は,小 作 料 は 安 く,そ の道 の 場 合 に は ,小 作 料 は高 い 傾 向 (最 高 M$90/relong) に あ る。 この よ う に農 地 の貸 借 関 係 が 親 子 の 場 合 に は必 ず しも小 作 料 は安 くな く, む しろ , 親 の経 済 生 活 に余 り余 裕 が な い 場 合 ,農 地 の 借 手 と して の零 細 な小 作 農 の 子供 は , 親 の経 済 生 活 を援 助 す る意 味 に お い て ,高い 小 作 料 を支 払 う傾 向 が 強 い 。 大 地 主 は , 地 代 収 入 が 多 い た め に , 直 接 小 作 料 を釣 上 げ る よ う に は見 え な い が , 広 い 農 地 を 占有 す る とい う事 実 そ の もの が , 余 裕 の な い 零 細 地 主 を圧迫 す る結 果 と な り易 く,小

作:

料・を釣 上 げ る要 囚 と な って い る。 地 主 ・小 作 が 親 子 で あ る場 合 に は , 情 的 要 素 も絡 ん で , この

向 が 端 的 に伺 え る。

Padang Lalang 村 に お け る地 主 ・小 作 関 係 の特 色 は ,不 在 大 地 主 の一 例 を除 け ば , 零 細 地 主 か ら零 純 な 農 地 を 借 りて ,耕 作 して い る零 細 な小 作 が 多 い 点 に あ る。

6

農 家 収 入

マ レー シ ア連 邦 政 府 で は ,- 農 家 あ た りの理 想 的 な耕 作

蘭 を 10relong (7・1acres) と し て い るが ,村 内 の 農 家 で は , ど の程度 の 経 営 面 精 の 農 家 が , ど の 程 度 の 収 入 を

て い る の で あ

(21)

41-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 ろ うか。 農家形 態 ,耕 作面積 ,農外 収入 の有 無 (表22) な どを考 慮 に入れ なが ら,有 意 的 にサ ンプル を選 んで計 算 した農家 収入 の平 均 を示 したのが後 に示 す表26で あ る。 ここで取 挙 げ たサ ンプル は, 村 内のマ レー人農家 全 体 の平 均耕 作面積 6.4relong未満 の小 規 模小 作農家40(専 業29,兼 業11) と小 規模 自作農家20(専 業13,兼 業 7)並 びに全 体 の平 均 耕 作面積 を越 え る農地 を耕 作 す る大規模小 作専 業 農家 8と 白 ・小 作農家9,村 内の大規 模耕 作 地主 と して平 均 9.7relongの耕 作農家3と平 均 20relongの耕 作農家2の合計8つ のサ ンプ ル 集 団 であ る。 最 初 に,表26の農家 収入 の計 算方 法 につ い て最 少限必要 と考 え られ る事柄 につ いて説 明 を加 えてお こ う。

先 ず収量 につ いて,農民 は,普 通,1relong当り3kuncha (480gantang)の籾米 (padi)

蓑 2

2

耕作

面積別 ・

業兼業

家 数 (Padeng Lala

n

g

マレ

ー人) 1964.10. _

_

:

-

I _

:

∴ ∴ _∴ 耕作

面積

総 1

r

e

long未満 1

-

2未満 2

3 3

4 4

5 5

6 6

7 7

-

8 8

9 9

-

10 10

-

11 11

12 12

13 13

-

14 14

-

15 1

5 -

16 16

17 17

18 18

-

19 19

-

20 20

21 21

-

22

2

2

23

2

3

24 数

(

%)

平 均 耕 作 面 積 4 1 1 1 1 1 3 一 l 2 2 1 1 103 18 (76.3) (13.3) 6.4relong 9.2 - 4 2-6 4 3 1 4 9 ︼ ・ ∴ 1 3 6 1 5

3

9 7 8 6 5 6 3 3 2 3 1 1 2 1

1

数 1 135 (100.0) 6.4R

(22)

の収量 が あ ると答 え る。 この収量 は, マ ラヤで はか な り高 い。 1acre あた り 672gantang とな り,1960年 の農業 セ ンサ スに よ る Kedah 州 の acre 当 りの平 均 収量 の 2倍 に近 い。 農民 に最 低 収量 を聞 くと,1.5kuncha/relong と答 え る。 公式 の記 録 と して は 州政府 の 収量 調 べ (cropcutting test) によ る統計 があ るoIしか し, この CCT の方 法 は,か な りず さんな もの で あ る。 先 ず , 区 内に5カ所 ばか り, 生 育 期間 6カ月 の 稲 の 田を選 び, それ ぞれ次 の よ うに relong 当 りの平 均収量 を算 出す る。

・1ftx22ft(-ii8-relong)の収量×128-10% (畦 の面積)-1relong の収量

この方 法 で5カ所 の平 均 収量 を 出 し, それ に更 に区長 (penghulu)の推定 収量 を加 え , その平 均 を 出す。 ただ し, この場 合 ,区長 の推定 収量 に5カ所 の平 均収 量 の20% を加 え る。 この よ う に して計 算 され た Padang Lalang 区の1962-3年 度 の収量 が 2.7kuncha(442gantang)で あ る。 どの収量 を平 均値 とす るか につ い て は問題 が あ るが,収量 は,肥 料 の投 入 量や稲 の品種 に よ って相 当異 な る。 例 え ば,1963-4年 末 のあ る農家 で は,次 の よ うな収量 を得 てい る.

PadiBurma18) 早生 5.2Kuncha (832gantang)/relong PadiGoeh 晩生 3.6Kuncha (576gantang)/relong lntan Merah 晩生 3.4Kuncha (544gantang)/relong

この事例 は,村 の最 高 収 量 を示 す もので あ るが ,化 学肥 料 の投 入量 は,ここ2,3年来急増 して い るので ,一 応 , こ こで は,村 び とが平 均 と考 え る 3kuncha/relong を平 均収量 と して計 算 す る。

労 働雇 用 費 もまた, まちまちであ る。 しか し, 田の荒 お こ し,田植 え ,刈 入れ を通 じて , 冒 力 また は 「ゆい」 (berderau)19) に よ って済 ます農家 は,少 ない。例 えば,6relong 未満 の農

地 を耕 作 して い る 自作並 びに小 作農60世 帯 の 内, 全然労 働 を雇 用 しない農家 数 は, その1/4に しか過 ぎない。普 通, 一 世 嵩二に男女 それぞれ 1人 の労 働力 が あれ ば , 少 な くと も 3-4relong (2.1-3.5acres) 位 まで は, 自力 ま たは 「ゆい」 に よ って ,総 て の主要 な 田仕事 を行 な うこと が ,充 分 に可能 で あ る。 従 って ,労 働 の投 入 量 とい う点 か らは,零純 農家 が,集約 的 な農法 を 営 んでい るとは,いえ ないが , これ には,他 の事情 もあ る。 例 えば ,水 田の整地 に は,水牛肇 (tenggala) や水 牛 で ひ くロー ラー に似 た整 地 用具 (peng一 giling) が用 い られ るか , トラクタ-の賃耕 が行 なわれ るかで あ る。 零細 農家 には,水 牛 の所 有 者 は少 な く,水 田整 地 は,水牛 の賃 借 りか ,水 牛所有 者 を雇 うか , トラ クター の賃 借 りのい ずれ かで ,行 わねば な らない。整 地 期 間 の水牛 の賃 借 り代 は, その期間 の長 さに よ って異 な る が ,現 金 で M$ 100前後 ,籾 米 で は 10-17naleh で あ る。 水牛 所有 者 に 対 す る 労 賃 は, 18) 稲の品種については,農民が適当な名を,つけるので,正 しい名は解 らない。 19) berderau には,幾つかの形式があり,それは急変 しつつあるが, これについては,他の機会に詳述 す る。 - 4

(23)

3-東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第 1号

relong 当 り M$15-25, トラクター は1961年 よ り使 用 され て い るが, その賃桝 にはrelong当 り M$8-10が支 払 われ る。 零細 農民 が整 地 にか な り支 出 して い るの は,上 記 の理 由 によ る。 田植 え は,女性 の仕事 で あ り, 「ゆい」 (berderau) も行 な われ るので , 零細 農 の支 出 は少 ないが ,農地 が大 規模 にな るにつれ て ,一 群 の女性 を大体 relong 当 り M$7前 後 で雇 う傾 向 が強 い。刈 り入れ と脱穀 には, タイ領 の Pataniや Kelantanか ら出稼 ぎ労働 者 もや って来 る が ,大体,relong 当 りの労賃 は M$20前後 で あ る。 化学肥 料 が使 用 ざれ は じめたの は,1958年 頃 よ りと云 われ て い るが,1963年 か ら,州政府 の 農業 局 で ,現 金 購 入者 に,20% の割 引 きで肥 料 を供給 しは じめ , その利 用者 は, 急増 して い る。例 えば ,政 府 供給肥 料 の購 入者 は,1963年 には22名,1964年 には46名で あ る。 この数 は, 総 農家 数 の1/3に しか過 ぎな いが ,化学肥 料 は殆 ん どの農家 で利 用 され てい る (表23)0 一 般 に 古 くか ら用 い られて い る肥 料 と して は,村 び とが bajabukit(BB) と呼 び,近 くの 岡 で とれ る 「こうも り」の糞(tahikelalawar) が あ る。政府 の供給 す る化学肥 料 は,baj

acham-poran (窒素 ,燐 酸 , カ リ肥 料 の混合)と bajaurea (尿素 と硫安) で あ る。一 般小 売店 で購 入 で き るの は,bajagula (硫安) で あ る。 表23で も明 らか な よ うに, 耕 作面 積 が大 きい程 , 使 用 され る肥 料 も多いが,bajabukitの使 用率 は,零細 農 に多 いO- 般小 売店 か ら bajagula (BG)を購 入 す る割合 も,耕 作面積 が小 さい程 ,高 くな る (表24)。 政府購 入 の割 安 の肥 料 を零 蓑 23 肥料使 用状況 (PadangLalang村 ・マ レー人) 1964.10.

r 一種 の 孟 撃 以」惑 望BB BB 含 む 含 まず

ル数

J

み使用 小 作 (小規 模 ・専 業) 小 作 (小規模 ・兼 業) 自 作 (専 業) 自 作 (兼 業) 小 作 (大規模 ・専 業) 自 小 作 耕作地主 (自作 +貸 出 し) 0 7 1 4 6 7 2 2 1 1 4 7 1 2 2 1 日 H 3 6 1 2 4 1 2 4 4 1 1 0 蓑 24 BBおよびBG使用農家(合併用)(PadangLalang村 ・マ レー人) 1964.10. サ ンプル数 L 量B使芸 B.G使 用 農 家 小 作 (小規 模 ・専 業) 小 作 (小規 模 ・兼 業) 自 作 (専 業) 自 作 (兼 業) 小 作 (大規模 ・専 業) 自 小 作 耕作地主 (自作 +貸 出 し) 0 7 1 4 6 7 2 2 1 3 2 0 1 0 0 0

(24)

細 農民 が購 入 しない の は, それ が ,現 金 払 い で あ り, ま た その購 入 に は,耕 作面 積 を示 す小 作 契 約書 か,所有 農 地 の登 記書 類 の写 しを必 要 とす るか らで あ る。 しか し,既 に指 摘 した よ うに, 農家 は小 作契 約 を余 り行 なわ ず ,相続 され た農 地 の名 義 変更 も厳 密 に行 なわ な い ので,た とえ, 現 金 を所有 して い て も, 政 府 供 給 の割 安 肥 料 が購 入 で きない とい う事 態 が生 ず る (表

2

5

)

。 零 細 農 の大 部 分 は, 中国人 の店 か ら, 「つ け」 で肥 料 を購 入 し,収穫 後 に ,籾 米 を現 物 で支 払 う

(

padit

i

mo

r

)

場 合 が多 い。 その他 の農 業支 出 と して ,土 地税

M$0.

75

/r

e

l

o

ng

と水 利 費

M$2.

25

/r

e

l

o

ng

を土 地所有 者 は,土 地事 務 所 に支 払 わ ね ば な らな い。 この他 に,宗 教 上 の義務 と して ,農民 は,収 量 の

1

/1

0

z

a

kat

と して州政 府 の宗教 局 に支 払 わ ね ば な らない。 これ につ いて , 論 及 す べ き幾 つ か の 問題 が あ るが ,大 体 ,農民 が

i

nt

e

r

vi

e

w

で答 えて い る収 量 の

1

/1

0

は,

z

a

kat

と して ,州政 府 の宗 教 局 と他 の人 人 に与 え られ て い るので ,支 出 と して は,農民 がわれ われ に知 らせ た収量 の

1

/1

0

z

a

kat

と して い る。 農 業 収入 の計 算 に際 して の収 量 の換 算 率 と して は ,籾 米 価 が ,時 期 に よ って異 な るので , そ の変 動価 格 の平 均 を と り

,1nal

e

h (

1

6ga

nt

a

ng)

M$9

と して計 算 して い る。 政 府 の統 制 価 格 も, ほぼ これ と同 じで あ る。 籾 米 の価 格 の変 動 の幅 は広 く,早 生 の刈 入 れ の初 期

1

2

月 中旬 は,

1

0nal

e

h

(

1kunc

ha

)M$65

, 晩生 の収入 れ 時 の

1

月 に は

M$80

, 整 地 は じめ の

5

月 に

M$95

,田植 え の

7

月 中旬 に

M$1

0

0

,田植 え も済 む

9

月 中旬 か ら

1

0

月頃 に は

M$1

20

位 にな る。 表

2

7

の農家 収入 は, この よ うに して ,算 出 され た お のお の の サ ンプル 集 団 の収入 の平 均 で あ る。 これ らの サ ンプル集 団 の平 均 農 業 収 入 は,耕 作面積 の規模 と比 例 をす るが ,農外 収入 を加 算 す る と,小 規 模専 業 農家 の収入 は,耕 作面 積 の大小 にか か わ らず ,農外 収入 の あ る小 規 模兼 業 農家 の収入 よ り低 い。 聞取 り調 査 に よれ ば ,

5

人家 族 の農家 が

1

カ月 の生 活 に必 要 とす る最 低支 出額 は,

M$5

0

前 後 で あ る。 その年額 は

, M$60

0

で あ るか ら, この経 費 を農業 収入 のみ に よ って まか な うに 表

2

5

肥料 の購入方法

(

Pa

da

ngLa

l

a

ng

村 ・マ レー人)

1

9

6

4.

1

0

.

示 す 「 空′ 函五 示盲.

-

-

、【一

.

扉盲五 ほ八 /1虫†言 十 ∴い L ・.T

S

I

{

S

.(I.rl::・j_) 小 作 (小規模 ・専業) 小 作 (小規模 ・兼業) 自 作 (専 業) 自 作 (兼 業) 小 作 (大規模 ・専業) 自 小 作 耕作地主 (自作 +貸出し)

2

0

1

8

2

7

6

1

4

4

6

3

7

3

2

1

2

1

1

(25)

東 南 ア ジ ア 研 究 第3巻 第1号 蓑 26 類型別農家 の収入 (平均)(PadangLalang村,マ レー人 ) 1964.10. 耕作地 主 耕作地 主 小 作 自 作 自 作 小 作 小 作 (自作 工難

目 星

) 自小作 (不等望= ′憎 聾)(′増 勢 (′憎 肇日 /il菜聾 ) グルー

準耕作

20relong 191r警報 7-10 8-10 1-6 1-6 1-5 1-5 サ ン プ ル

世 帯 負 数 労 働 力 (男) 〝 (女) 平 均 耕 作 面 積 平 均 収 穫 高 借 地 小 作 料 貸 地 也 労 働 雇 用 お 代 荒 田 収 こ 刈 り 入 れ 肥 料 代 その他の農業支 出 Zakat 租 税 農 業

計 (含地

)

農 外 収

総 収

2 3 9 8 29 11 5.0人 1.0人 0.5人 20.0relong 60.0kuncha 5.0relong 325

M$

25.0relong 1,470

M$

250M$ 140M$ 430

MS

不 明

MS

5 ・ 3 1 ・ 7 1 ・ 3 9 ・ 7 9 ・ ー = 5 ・ 3 216 30 41 147 204 2 4 1 1 3 9 0 3 9 0 0 . 0 06 一 5 1 0 9 7 9 5 2 6 4 2 8 0 . 7 39 一 6 1 1 7 3 4 22 0 0 9 3 4 6 0 1 2 0 8 1 4 2 1 3 9 1 450

M$

198 155 145 120

M$

45 11 5,155

M$

2,170 1,438 1,327 1,500

M$

317 6,655

M$

2,170 1,755 1,327 一 25 1 12 59 一 82 10 027 10 7 6 3 0 0 〇 一 4 1 1 3 9 1 43 8 23 48 18 71 9 95 6 6 5 4 3 9 . 1 . 1 . 1 . 8 . 4 . 8 49 一 5 1 1 2 8 2 1 一 31 2 20 64 一 63 一 27 4 0 2 5 4 2 . 4 21 一 5 1 0 2 7 2 1 1 54 9 34 82 一 4 1 9 2 0 9 5 4 0 3 1 1 一 274 は,少 な くと も 3.3relongの 自作 農 家 で な くて はな らず , それ 以 下 の場 合 に は , 何 らか の農 外 収入 を必 要 とす る。 しか し,表 26の農 業 収 入 は ,収 量 や 換 金 率 にお いて か な り多 め に見 積 っ て あ る上 ,

1

カ月 に必 要 な最 低 月 額

M$5

0

は ,主 に食 生 活 に必 要 な最 低 額 に近 い ので ,実 際 問 題 と して ,不 足 の な い 収入 を う るた め の耕 作面 積 は , も っ と大 きい。 例 え ば ,耕 作面 積 1-6relongの小 規 模 農 家 の サ ンプル29の 内,1963年 度 に ,一 年 の保有 米 も充 分 に あ って ,借 金 を全 然 しな か った農家 数 は ,わ ず か3世 帯 で あ る。 この3世 帯 は ,世 帯 員 数 2- 3人 で ,か な りの集 約 農 法 を行 って い る。他 の26サ ンプル で は,保有 米 は充 分 に あ っ て も, 借金 ま た は

つけ」

で 品 物 を購 入 して , 収 穫 期 に粗 米 で 借金 を 支 払 って い る (padi ● ● ● ● ● timor),現 状 にお い て 借 金 をせ ず に済 む程 度 の収 入 を農 業 か ら得 るに は, 少 な くと も 7relong (4.9acres)の耕 作 面 積 が必 要 で あ る。

7

農 民 の 負 債 と金 融

農 家 の負 債 ま た は緊 急 時 の資 金 の調 達方 法 と して は, ①paditimor(また は padikuncha),

(26)

46-② jualpokok padi,③ pajak ④ gadai,⑤ jualjanjiの 5つ の方 法 が あ る。

最 も頻繁 に行 な われ るの は ,第 1の padi timor で あ る。 padiは籾 米 ,timorは東 を意 味 す るが ,東 風 が吹 き は じめ る乾 燥 期 の収穫 時 に, 「つ け」 で 得 た品 物 の代価 を籾 米 で支 払 う方 法 で あ る。 しか し,現 金 を借 金 した場 合 に も, この方 法 が と られ る。 この場 合 ,普 通 ,M$100 未満 の一 カ月 の借 用 に は ,M$4 の利 子 がつ くといわれ るが , 利 子 の計 算法 は決 して 明確 な も の で はな い。一 定 の金 額 を どの程 度 の期 間 借 用すれ ば ,利 子 は どの位 か とい う問 に , は っき り 答 え る農民 は, ご く一 部 で あ って , たい て い , 何 時 頃 か らどの程 度 の金 額 を借 りて , 収穫 期 に ,利 子 を含 めて どの位 返 済 した と答 え る。従 って ,利 子率 は計 算 で きない が ,現 物 を借 用 し た場 合 に は ,M$ 100 相 当の現 物 に対 して , 利 子 は, 籾米 4naleh (M$36 相 当) か ら 10 nalell(M$90相 当) で あ り,現 金 M$ 100 に対 し,利 子 は,M$30 か ら M$60位 で あ る。 この利 子額 の高 低 は, ほ ぼ負 債 期 問 と比 例 す るので はな い か と想 定 され るが ,債 権者 と債 務 者 の間柄 に よ って も,利 率 は上 下 す るの で ,一 般 的 に ,利 子率 は どうだ とはい え な い。 第 2の jualpokok padiは, 緊急 に金 を必 要 とす る場 合に用 い られ る方 法 で , 田柿 え した ば か りの稲 を売 る方 法 で あ る。 この場 合 , 売 り手 は, 1relong あた りの稲 を ,M$ 100-135 棺 で克 るか ら,籾 米 価格 の半 値 以下 とな る。 買 い手 は, この稲 の世 話 を して刈 入 れ る。 第 3の pajak は,土 地 の長期貸借 (5-10年) の方 法 で あ るが, この方 法 は, 貸手 が ま と ま った金額 を必 要 とす る場 合 に用 い られ る。従 って ,小

作料

は ,比 較 的安 く,pajak で は,小 作 が有 利 で あ る。pajak で の小 作料 もま ちまちで あ るか ら, は っき り しないが ,一 例 を挙 げ る と,5relong の農 地 が , 7年契 約 で M$2100で pajak され ると,貸手 に は, 一 度 に M$ 2100 が入 り,借手 に と って , 年 に 1relong あた りの小 作料 は, M$60 とな る。20)1955年 に は,か ん ば つ で大 変 な不 作 だ った とい われ るが , その時 に は , 多 くの人 が , 農 地 を pajak で 貸 し出 した といわれ る。 第4の gadaiとは, 農 地 の耕 作権 を債 権者 にゆず って , 一定 額 の金 を一定 期間借用 す る方 法 で あ り,借 用金 を返 済 す るまで ,債 権者 が 土地 を耕 作す る。 この場 合 ,返 済 に は利 子 を つ け な い。

第5の jualjanjiで は,農地 の所有 権 を担 保 と して , 一 定 の期 間 , 一 定 金紙 を借 用 す る方 法 で あ るが ,借 用金 が返 済 され るまで ,債 権者 は耕 作権 を もち, その耕 地 を更 に小 作 に 出す こ と もで き る。 も しも,借 用期 限 内に借 金 が返 済 され な い場 合 に は,土 地 の所有 権 は債 権者 に移 る。 しか し,借 用期 間 中 ,債 務 者 は ,小 作 と して , その農 地 を耕 作 す る こ とが で き る。 上 記 の5つ の負債 また は資 金 調達 の方 法 の 内,農家 が最 も頻 繁 に利 用す るの は,paditimor 20) relong当 りの一年の小作料 M$60は,かなり高いように思われるかも知れない。 しか し,物価の 上昇 と小作権の長期安定,それに小作地を新 しく確保することの困難な琴調犬を考慮 に入れ ると,割安 である。つまり,M$60を割安 と考えて, pajak をするという点に, 小作料が実質的に 6naleh 以上になっていることを示す ものであろう。 - 47

図 2 Padang Lal ang 村 略 図
表 8 店 米 金 金 動農商商仲精賃賃自 家 就 〃 無 衣 中 国 人 職 業 1 4 才 以 上 の 者 に つ い て 1 96 4.1 0性別所経営労働者 (常労働者 (口重運転学 (小学(中学 計 '・.・・[:.'・.(・・‑[・・ 男 ( %)9(5
表 1 4 屋敷地 ( TapakRumah ) の借地代 ( Pada ngLal ang 村 マ レー人) 1 9 6 4. 1 0.
表 1 6 束肘乍面 積 別 ・自作 小 作 別 農 家 数 ( PadangLal ang 村, マ レー人 ) 1 9 6 4. 1 0. 1 l1 1‑ 2 未満 '
+4

参照

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