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高密度高齢化集住スポットにおける自助・互助の実態(その2)-横浜市W地区・B団地を例として-

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Academic year: 2021

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(1)高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). 研究ノート. 高密度高齢者集住スポットにおける 自助・互助の実態(その 2) ―横浜市W地区・B団地を例として― 佐 藤 由 美 1.はじめに 日本の人口は 2004 年をピークに減少局面に入ったが、同時にいわゆる団 塊世代と呼ばれる 1940 年代後半に出生した世代の高齢化も進展し、地域社 会に大きな変化をもたらしている。とりわけ、そうした世代が一斉に持ち家 を取得した時期に開発された住宅地ではその変化が顕著である。 本稿はそうした背景のもと、高齢化が急速に進む集合住宅団地を対象に、 高齢居住者の日常生活や意識・意向、自助・互助の実態等を把握し、住宅と 福祉等に係る複数の主体の連携による新たなまちづくりのあり方、とりわけ、 既存の資源の活用に着目して考察することを目的としている。 なお、本稿は、前稿 1 のA団地に続き、同じ調査対象横浜市 W 地区にある、 B 団地における実態調査をもとにしたものである。. 2.単位自治会レベルの活動 (1)団地概況 調査対象となる B 団地は、W 地区で 2 番目に早く、1980 年に神奈川県住宅 供給公社が分譲した団地である。高層(12 ~ 14 階建)で、エレベータが 3 階 おきに停止するスキップ型の 5 棟から成り、3LDK・4LDK 主体の 641 戸と集 会所 1 室、クラブハウス 1 室がある。その他、共用部分としては、住棟内の エレベーターホール横のコミュニティスペースや住棟 1 階のピロティ等があ る他、緑豊かなプレイグラウンド、プレイロット等の公園があり、マンショ 地域創造学研究. 17.

(2) 研究ノート. ンの共有部分として管理されている。ただし、敷地内高低差が大きく、車道 から住棟入口の間等、随所にスロープ等が設けられている。周辺は自然緑地、 幼稚園・中学校、バス路線道路等に接しているが、食料品や日用品等を販売 する店舗は団地近辺には立地せず、閑静な専用住宅地となっている。 B 団地には、自治会、マンション管理組合法人、老人会等の居住者による 組織と、民生委員・児童委員(以下、民生委員等)等が団地コミュニティの 運営に大きく関わっている。. 住戸を活用したクラブハウス. エレベーターホール横の コミュニティスペース. レベル差のあるプレイグラウンド. 敷地内にも坂道あり (ベンチを設置). 団地集会所・会議室. 住棟 1階のピロティ部分. 図 1 B団地の共用部分. (2 )B自治会 B 自治会には全世帯の約 90%が加入している。その運営は、事務局と専 18.

(3) 高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). 門部(広報部、福祉部、防犯・防災部、環境部、青少年部、スポーツ・文化 部) 、5 名の棟長、階段室ごとに配置された 26 名のブロック長(各専門部に所 属)が中心となって担っており、その他、ボランティアの会が行事等の支援 を行っている。 主な活動は、自治会全体の定例の活動(会員総会等の会議、納涼祭、敬老 祝賀会、防災訓練、紅葉祭、ゆずりは美術館等のイベント等)や専門部ごと の独自の活動(広報誌の発行、地域のふれあい活動、小学生の登下校時の見 守り等の防犯活動、クリーンデーや資源ごみ回収等の環境維持活動、ラジオ 体操や祭りの準備・実施、グランドゴルフ大会等)等がある。この他、連合 自治会や地区社会福祉協議会活動への参加協力も行っている。 平成 26 年度自治会活動方針によると、災害時対応に向けた活動に力を入 れており、近隣住民のふれあい機会の創出、親睦や交流の促進をめざした棟 別運営の活性化等に重点を置いている。また、高齢者等に対する福祉活動の 継続・推進、関係諸団体との連携等も引き続き進めていくことになっている。 (3 )マンション管理組合法人 マンションとしての住宅管理を担う管理組合は、2001 年に管理組合法人に 移行した。そのきっかけは、同年に団地内の空き住戸を規約共有部分として 購入したことであり、現在、その住戸は区分所有者のクラブハウスとして活 用されている。このクラブハウスは、団地集会所(1 か所・定員 80 名)を補 完する役割を有し、自治会・老人会等が主催するサロン活動・食事会等に利 用されるほか、居住者同士の交流、冠婚葬祭時の家族の宿泊等、有料で使用 することもできるようになっている。 また、自治会との定例連絡会を設ける等、連携も密である。例えば、管理 組合法人の区分所有者台帳や居住者台帳等の居住者等の情報については、階 段室ごとの自治会役員(ブロック長)とも共有が図られている。 なお、調査時点のマンション管理組合法人理事長は民生委員等も兼任して おり、見守り活動との一体的な取組が容易な体制となっている。. 地域創造学研究. 19.

(4) 研究ノート. (4 )民生委員・自治会・老人会による高齢者居住への支援 B 自治会と連携した活動を行っている老人会は、約 140 人の会員(約 70% が 75 歳以上)を擁し、延べ 600 人 / 月の参加者を集め、サロン活動や趣味の 活動(健康麻雀、手芸、輪投げ、将棋、囲碁等)の他、自治会や民生委員等 との協働による「ふれあいネット(1 回 / 月、歌声喫茶、映画上映等) 」等の定 期的な交流活動を行っている。また、ひとりぐらしの方を対象とした「ふれ あい昼食会(2 回 / 月) 」や弁当の戸別配達等を通じて、高齢者の地域見守り 事業を推進している。これら活動を支えるのは、自治会福祉部、友愛活動員 (5 人) 、民生委員等(2 人)等の協働体制であり、その情報交換のための「福 祉三者会議(主催は民生委員等) 」を 2 カ月に 1 回開催している。また、それ ぞれが異変に気がついた際には、随時、民生委員等や自治会長に連絡するが、 認知症対応等の個別の課題については、地域ケアプラザに連絡し、その後の 対応を委ねる流れが周知・定着されている。以上の関係を模式図に示したの が図 2 である。 市役所. 県公社 区役所. 地域包括ケア体制. 住民管理の体制. 住民団体:地区レベル 地域ケア プラザ. 病院・医療 機関 福祉施設・ 介護保険 事業所. 地区社会福祉 協議会 NPO・ ボランティア団体. まちづくり センター. 連合自治会. 10 単位自治会. 単位自治会レベル (B団地) 民生委員等 (2 人). 自治会. 全世帯の 90%. ・事務局・専門部会 (福祉部、 福祉三者会議 防犯防災部等) (1 回/ 2 ヵ月) ・棟長 (棟単位:計 5 人)+ ブロック長 (各階段室:26 人). 老人会 (約 10 人) 友愛活動員 5 名. マンション 管理組合法人 全区分所有者、 クラブハウス 定例連絡協議会 (2 回/年). 図 2 W 地区の互助・共助体制 (B 団地を中心に). (5)課題 これら単位自治会の活動の多くは、自治会長のリーダーシップのもと、計 画的・組織的に行われている。特に、民生委員等、自治会福祉部、友愛活動 20.

(5) 高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). 員による定期・随時の情報の交換、マンション管理組合法人との情報共有等、 団地ぐるみの取り組みや棟単位のふれあい活動の推進等により、団地居住者 間の「互助」の醸成を図っている点に特徴がある。 しかし、課題としては、居住者の半数が高齢者となる中、様々なイベント に全く参加しない孤立しがちな居住者の見守り、認知症等の個別的専門的な 支援が必要な居住者への対応等、居住者が主体となった互助活動だけでは解 決が難しい問題も徐々に拡大しつつある。 また、現在、精力的な活動を継承・発展させるための次世代の育成、連合 自治会や地区社会福祉協議会等として活動の展開、介護保険制度の変更に伴 う介護予防等の領域への参画要請やそれに伴う専門職・専門機関との新たな 関係構築等も、新たな課題として検討する必要性が高まりつつある。. 3.高齢居住者からみた支援体制 つぎに、何らかの支援を要する高齢居住者からみた自助・互助等の実態を 把握するため、個別インタビュー調査を実施した。調査対象者は、自治会・ 民生委員等の人選により、見守り対象のひとりぐらし 3 例(男性 1 例、女性 2 例)と、夫婦のみ世帯 3 例である。調査時期は 2015 年 3 月 24 ~ 25 日、団地 集会所にて行った。 (1)ひとりぐらしの事例 (3 例) ①事例 a1(男性・80 歳代・要支援 2) 調査対象者は、団地開設当初に入居し、1 年半前に妻を亡くし、ひとりぐ らしをしている男性である。日常生活は自立し、掃除以外の家事はほぼ自分 で行っている。趣味活動、老人会活動等にも参加し、家事に関する情報交換 ができる友人にも恵まれている。一方、近隣とはお互い体調を崩しているこ ともあり、積極的なつきあいは遠慮しており、週 3 回の家事援助を行うヘル パーや地域ケアプラザのケアマネジャーに相談することが多い。今後、腰痛 の悪化や歩行機能の低下等があれば、介護施設に移りたいと考えている。. 地域創造学研究. 21.

(6) 研究ノート. 趣味活動:囲碁サークル、老人会活動:月に 1 回の例会 室等. 共助. 自助. ケアマネジャー(地 域ケアプラザ):何 かあれば相談 ヘルパー:週 3 回の 掃除。何かあれば相 談. 民生委員・友 愛 活 動 委 員:つながり はあるが交 流は深くな い。. 高齢者・ひとりぐらし歴 1 年・男性・80 歳代・要 支援 2. ・家事はほぼ自分で行うが、掃除はヘル パーが行う。食事の片づけとふとん干 しが負担。買い物は団地中央の商業施 設と団地外へバスで行く。 ・息子夫婦は川崎市在住だが電話連絡程 度。 ・人には頼りたくない。介護施設への入 所を希望している。. 互助 自治会会員. 近隣住民:近隣 も介護が必要 な方が多く、近 所づきあい困 難。夜間の急病 時は自分で救 急車を呼んだ。. ひとりぐらしになった男性同士で家事 の情報を共有. 図 3 a1さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」. ②事例 a2(女性・80 歳代・要支援 2) 調査対象者は、団地開設当初に入居し、10 年以上前からひとりぐらしの 女性である。持病や歩行機能に支障があるが、要介護 2 から現在は要支援 2 となっている。日常生活は、週 2 回、家事援助(介護保険)を受けているが、 食事の準備や買い物等は自分で行うこともできる。息子や妹との交流の他、 近所の方に緊急時の連絡先を伝えたり、民生委員等からの見守り・生活支援 を受けたり等、地域の方たちから見守られていると感じており、自助・互助・ 共助を組み合わせて在宅生活を継続・維持している。 共助. 共助. 趣味活動:歴史教室(旭区). ケアマネジャー(地域ケア プラザ) :月に 1 回の訪 問。話し相手 ヘルパー:2 人・週 1 回 ずつ、昼食の準備と買い 物、かさばる物の洗濯、 電球交換等 かかりつけ医:内科に 1 回/月通い、検査。 住宅改修(手す り)・福祉用具(シャ ワーチェアー)利用. 自助 民生委員 :急 病 の際の通院 や 買い物の支 援 。お弁当を 届けてくれ る。相談相手。. 高齢者・ひとりぐらし歴 10 年以上・女性・80 歳 代・要支援 2・持病有. ・千葉在住の息子が時々泊まりに来る。 妹と交流あり。 ・ヘルパーができない銀行手続きや重く ない買い物はコミュニティバスを使 って自分で。調理も簡単なものは自分 で行う。. 友人と電話で話す. 図 4 a2 さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」. 22. 互助 自治会会員 近隣住民 :向 かいの方とは 仲が良い。緊 急時の連絡先 を伝え、常時、 安否を気にし てくれる。.

(7) 高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). ③事例 a3(女性・80 歳代・要介護 2) 調査対象者は、団地開設当初に入居し、3 年ほど前からひとりぐらしとなっ た女性である。複数の持病を持ち、路線バスやコミュニティバスを利用しな がら、週 2 ~ 3 回、リハビリ施設への通所や買い物等を自力で行っている。 日常生活は、週 1 回のヘルパーによる掃除以外は自分で行っており、娘の 定期的な訪問、何かあったときの自治会役員や民生委員さんの支援、ケアマ ネジャーへの相談等のもと、定住意向を持ち、自立生活継続を希望している。 共助. 互助 自助. ケアマネジャー(地域 ケアプラザ):相談相 手 ヘルパー:週 1 回、掃除 リハビリ:週 2~3 回、 路線バスで行く。体を 洗う。接骨院や脳外科. 民生委員:訪問 してくれる。救 急搬送も。 団地内の催し に誘ってくれ るが、坂の上り 下りがつらい。. 等にも通院 住宅改修(手すり) 設置. 高齢者・ひとりぐらし歴 3 年・女性・80 歳代・要 介護 2・持病有. ・娘(東京在住・子育て中)が 1~2 回/月ぐらい訪問。ゴミ捨て等を頼 む。 ・家事は掃除以外は自分で行う。買い 物はリハビリの帰りに中央で。コミ ュニティバスで戻る。 ・定住意向あり. 自治会:役員の 方に電球の交 換を頼むこと あり。 震災時の帰宅 を支援しても らった。 近隣住民:声を かけてもらう が、あまり物事 を頼めない。. 図 5 a3さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」. (2)夫婦のみ世帯の事例 (3 例) 3 例はいずれも団地開設時から居住し、夫婦のいずれかが介護・介助を要 する世帯が 2 事例、夫婦とも要介護の世帯が 1 事例である。 ①事例b 1(夫:70 歳代・要介護 3 /妻:60 歳代・自立) 調査対象世帯は、夫が重病の後遺症を抱え、複数のリハビリテーション サービスの利用や団地住民が中心となったボランティア団体の会合に参加 し、在宅時の身体介助はほぼ必要ない程度まで回復している。妻は健康で自 立しており、週 2 回程度、地区内で就労している。家事全般や自治会活動は 妻が担っているが、妻の弟や娘に通院の送迎等を頼むことがある。夫が病気 を患う前には、地域コミュニティのリーダー的存在であり、地域に知人も多 いが、現在はつきあいが減少してきている。. 地域創造学研究. 23.

(8) 研究ノート. 共助 ケアマネジャー(夫) 地域ケアプラザ以外 デイケア・通所リハビリ (夫):各 2 回/週ずつ。入浴 も。身体と言語の 2 か所を 使い分けている。. 仕事:(妻)週 2 回・団地内の病院、老人会(夫)以前. 自助 ボランティア 団体 (夫) :失語症 の会に参加(2 回/月) 。. かかりつけ医(夫) 団地内の病院に妻の弟の車 で通院(1 回/3 カ月). 高齢者・夫婦 (夫)70 歳代・要介護 3 (妻)60 歳代・自立 ・家事全般は妻が行っている。買い物 も毎日徒歩で行く。 ・夫の介助は、服の着替え・服薬等の補 佐 ・妻の弟か娘に頼みごとをする。都合 があわないときは先延ばし。子ども は月に 1 回程度訪れる。. 住宅改修(手す り)設置. 互助 自治会:お祭 りや月一回会 等には外との 交流のために 参加 近隣住民:あ まり会わない が、会えば立 ち話等。夫は 病気になって 以降、近所つ きあい減少。. 図 6 b1さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」. ②事例b 2(夫:90 歳代・持病あり・自立/妻:要介護 4) 調査対象世帯は、妻の介護度が高く、月の半分は施設に短期入所している。 在宅時の介護は 90 歳代の夫が行っているが、本人も持病があり、歩行にも 支障がある。日常生活の家事は夫が担っているが、妻の在宅時でも、他人が 自宅に出入りするのが煩わしく、家事援助サービス等を利用したいとは思っ ていない。妻が短期入所している間には、旅行に行ったり、長年継続してい る老人会活動、サークル活動等を行い、多くの人から声掛けをしてもらって いる。しかし、何かを手伝ってもらうことには遠慮がある。今後、状況の変 化にあわせ、施設入所の必要性も感じ始めている。 共助. 趣味活動:(夫)グランドゴルフ、老人会. ケアマネジャー(妻) (地域ケアプラザ) :. 自助. ショートステイ(妻) :2 週間/月利用のリハビ リセンター。妻在宅時の 相談相手 かかりつけ医(妻) 訪問医療 訪問看護・訪問リハも利 用 住宅改修(手す り)設置. 民生委員・友愛 活動員:声をか けてもらい、安 否を気遣ってく れる。. 高齢者・夫婦 (夫)90 歳・持病有 (妻)要介護 4・短期入所等 ・息子 2 人とは電話する。たまに訪ねて くることもある。 ・家事・妻在宅時の介護は夫が行う。 ・妻の短期入所時(2 週間/月)は外出 することも多い。. カロリー食の宅配(妻 ・施設入所の必要性を認識 用). 図 7 b2 さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」 24. 互助. 近隣住民:入居 当初から関わ りのある人か ら声掛けあり。 手伝ってもら ったことはな い。.

(9) 高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). ③事例b 3(夫:70 歳代・要介護 3 /妻:要介護 1) 調査対象世帯は、70 歳代で要介護の夫と妻である。夫婦で同じケアマネ ジャー・ヘルパー(家事援助)等の介護保険サービスを利用し、かかりつけ 医のいる病院に通院している。息子 2 人が交代で週 1 回程度訪問・支援する ほか、妻の妹の訪問・支援もある。夫婦とも外出に支障があるため、買い物 は宅配等を利用している。集会所まで行くことが難しく、住棟内に外出でき る空間があればよいと考えている。近所とのつきあいは妻が病気になってか らあまり多くないそうだが、夫が転倒した際の手助け等、急を要する場合に 駆けつけてくれる友人が隣棟にいる。病気に関することなど専門的な内容に なりがちなので、困った場合の相談は民生委員等よりもケアマネジャーにす ることが多く、全体に「互助」よりも「共助」への依存度が高くなっている。 共助 ケアマネジャー(夫妻) (地域ケアプラザ) ヘルパー・看護師(夫妻)訪問 :1 回/週のヘルパー(掃除・ゴミ出し等)、妻に 4 回/週の訪問リハ(看護師)。24 時間の訪問が 可能 デイサービス(妻)通所:週 2 回 かかりつけ医(夫妻) 通院(団地内)、往診も利用。2 回/年は遠方 の病院に通院(子の車で). 互助. 趣味活動:(夫)囲碁サークル(参加は少ない). 自助 高齢者・夫婦 (夫)70 歳代・要介護 3・外出は歩 行器使用 (妻)70 歳代・要介護 1・歩行器・車 いす併用 ・息子 2 人のいずれかが週 1 度訪問。片づ け・買い物・銀行・電球交換等. ・市内に住む妻の妹が時々訪問。 住宅改修(手すり)・福祉 ・小さな袋のゴミ出しは夫がする。 用具(歩行器・介護用ベ ッド 2 台) 食料 品等の日 常の買 ・夫の転倒に備え、緊急通報サービスの利 用を検討中。 い物は宅配・ネットス ーパーを利用. 隣棟の友人 :転倒等、何か あれば電話す る。 近隣住民:妻が 倒れてから近 所づきあいは ほとんどない。 民生委員:病気 のこと等はケ アマネに相談 する。. 図 8 b3さんをめぐる 「自助」 「互助」 「共助」. 4.考察 計画開発市街地の一斉の高齢化・人口減少は自治能力の低下やコミュニ ティとしての地域の持続性に大きな影響を及ぼす可能性が高く、住み続けた いと考える高齢者が住み続けることができ 2、かつ、次世代にコミュニティ を継承するための取組みがますます重要となるものと思われる。 調査対象の W 地区では、前稿でみたように連合自治会や地区社会福祉協 議会、NPO 法人等の住民が参加しながら、地域ケアプラザ(地域包括支援セ 地域創造学研究. 25.

(10) 研究ノート. ンター含む)や、公社・まちづくりセンター(住宅・施設・都市計画全体の 管理者)等の地区全体を業務エリアとする専門機関が連携・協働する体制が 定着しており、互助の基盤は整っている。さらに、2015 年度には NPO が主 体となり、 「24 時間高齢者見守り事業」として、商店街の中に見守り相談セ ンターを設ける予定があり、これにより地域包括ケアシステムを補完する機 能が追加される。従来、地域住民が主体となるインフォーマルなサービスは、 フォーマルサービスの手が届かない領域を中心に展開されてきたが、W 地区 では両サービスの相互補完や融合が一足早く、進められつつある。 こうした中、居住者同士の互助により、身近な見守り体制が単位自治会ご とに構築され、自治会や民生委員等が連携して取り組んでいる。調査対象の B自治会では、さらに老人会の友愛活動員が加わり、定期的な会議だけでな く、何かあればいつでも協働できる関係を形成している。また、マンション 管理組合法人との情報共有が進められており、自治会・老人会・マンション 管理組合の 3 種類のネットワークが融合し、団地を網羅している。さらに、 自治会では、棟単位の活動を重視し、顔見知りを増やし、いざという際に助 け合う近隣関係の構築をめざしている。 しかし、外出を困難とする立地・地形・建物条件があることから、歩行機 能が低下した居住者に対応したよりレベルの高い外出環境の改善が求めら れ、外出支援等の課題もますます大きくなっている。また、近隣の居住者の 中にも支援を要する人たちが増加していることから、お互いに遠慮しあう傾 向があることや、必要となる支援がより専門化する等の変化もみられ、互助 を基盤とした対応の限界も徐々に認識されつつある。 一方、何らかの支援を必要とする人の日常生活の特徴をみると、ひとりぐ らしの方、特にひとりぐらし歴の長い方の中には、活用できる地域資源の情 報を持ち、近隣からの支援を受け入れながら、強い定住意向を有している例 (a2)や、家事の情報を共有できる友人を持つ男性のひとりぐらしの方の例 (a1)等があった。これらのことから、配偶者との死別等に際して、早期の情 報提供(相談や話し相手等)やイベントへの参加促進等による近隣関係構築 が重要であると思われる。 26.

(11) 高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態(その 2). また、夫婦世帯は、夫婦どちらかが自立している場合は、近隣からの支援 が入りにくく、さらに、夫婦とも介護が必要になった段階では、専門的な相 談の比重が増え、近隣よりも専門職に依存する傾向がみられた。しかし、そ のような状況でもいざという時に近隣・友人等の支えがあることで、安心感 を持って生活している例(b3)もあった。 以上のようなことを踏まえ、今後の取組みついてみると、既存の資源の活 用という点で以下のような課題を指摘できる。 まず、空間資源の有効活用である。団地内には当初からの団地集会所や独 自のクラブハウス等があるが、B 自治会活動・老人会活動等、多人数が集ま るには規模が十分でなく、また、敷地内段差の存在から、身体機能の低下し た居住者が増加する中、より身近に利用できる「集いの場」が求められる。 しかし、現行の法規定では建ぺい率や容積率の増加(増築)が難しく、増築 以外の共用空間の有効活用が必須となる。例えば、エレベーターホール横の コミュニティスペースの活用や空き住戸の取得等も考えられる。 つぎに、団地内の人的資源の発掘・人材育成である。自治会・民生委員 等・友愛活動員等が中心となった団地内の見守り体制の担い手の拡大を進め るため、これまでの世代内の相互支援から、世代間の相互支援に移行してい くことが徐々に求められる。専門的や技能を持つ居住者が主体になる等、一 部、サービスの有償化(利用料の設定や報酬の授受等)も視野に入れつつ、 退職直後の 60 歳代の参加を促していくことも必要ではないだろうか。 さらに、外部サービス資源の活用も検討していく必要がある。調査事例に も多いように、近隣の居住者も一斉に高齢化し、お互いが遠慮する中で、互 助により個別の条件に対応した支え合いを展開するには限界がある。 「何か あれば地域ケアプラザへ」という流れを活かしつつ、要介護・要支援の方の 増加に対応した共助(介護保険サービス等)の導入のための体制づくりにも 新たに着手すべき時期がきている。すなわち、見守りの次のステップ(専門 機関・職との連携)として、例えば、新たに空間資源を活用し、外部の専門 サービスを提供する事業所等の専門機関に賃貸し、そこで地域の有償ボラン ティア(団地居住者に限らず)が支援活動をするような既存資源の活用が想 地域創造学研究. 27.

(12) 研究ノート. 定できる。そのための法的な課題の確認や区分所有者の合意形成等、マン ションとしての今後の団地のあり方についても議論を始める必要がある。 なお、本研究は文部科学省・科学研究費助成事業(平成 25 ~ 27 年度「高 密度高齢者集住スポットにおける居住マネジメントシステムに関する研究 (25420645) 」 )の一環として行ったものであり、阪東美智子氏(国立保健医 療科学院)との共同研究である。 註. 28. 1 佐藤由美「高密度高齢者集住スポットにおける自助・互助の実態 ~横浜 市W団地を例として」、地域創造学研究 XX Ⅵ , 奈良県立大学研究季報第 25 巻 第 4 号、pp. 45-60, 2015. 3 2 2014 年 3 月に B 自治会の 70 歳以上の居住者を対象に実施した「集合住宅団 地における高齢期の生活実態に関する調査(配布:100 票・回収:72 票) 」に よれば、介護が必要な場合の住み方・暮らし方として、 「在宅介護・医療サー ビスを利用しながら、できるだけ自宅で暮らしたい」が 43.1% で最多。次い で「なるべく家族などに介護してもらいながら、自宅で暮らしたい」27.8% と 多く、在宅生活継続が希望されている。.

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