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ケーブル構造設計指針

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Academic year: 2021

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(1)

改 定 の 序

1994 年 6 月に刊行された「ケーブル構造設計指針・同解説」は,当時の新しい構

造形式に対するニーズを踏まえて,ケーブル構造の設計指針となるべき概念の提示と

設計用の参考資料の整理を目的として編纂された.すなわち,

(1)スポーツ施設・集会

場・展示場・工場・多目的ホールなど,空間構造を形づくる重要な構造要素として,

広範囲の建築物にケーブル構造が用いられるようになったこと,

(2)極めて剛性の高い

構造要素で成り立っている従来の構造システムに比して,フレキシブルなケーブル材

料を用いた構造については設計資料が未整備であったこと,

(3)特にケーブル張力の大

きさが剛性に影響を及ぼすような構造については,その挙動を評価するためには在来

構造とは異なる概念と知識が必要となること,などが挙げられる.その後,本指針の

影響もあって多数のケーブル構造の実施例が実現されてきたことは周知のとおりで

ある.そうした実績もあり,2000 年 6 月の建築基準法改正時に「構造用ケーブル」

という用語が施行令と建設省告示に記載され,続いて

2002 年には国土交通省告示に

構造用ケーブルの基準強度が指定された.これらのことは,ケーブル構造の設計面に

対して本指針が果たした役割の大きさを示している.

しかしながら,刊行からすでに

24 年あまりが過ぎ,ケーブル材や膜材を用いたテ

ンション構造の分野では,従来の指針で扱っている範疇を超えた構造システムやケー

ブル材料の新たな使われ方も出現している.また,2000 年以降の性能設計が潮流と

なる中で,ケーブル構造では従来あまり議論されていなかった終局状態に対する設計

の要求も高まってきている.

このような状況を踏まえて,テンション構造小委員会を立ち上げ,現在のテンショ

ン構造の実情の分析・評価に基づき,

「ケーブル構造設計指針・同解説」の改定を行う

こととした.主な改定内容は,

1994 年以降に制定・改正された関連法規への対応,な

らびに実情分析に基づいた設計指針として有用性を踏まえた章立ての再編や,従来の

指針に掲載されている内容の精査および同指針に盛り込まれていない終局状態等に

関する内容についての追記などである.付録についても可能な限りディテールまで公

開しているため,構造設計者のみならず,意匠設計者にも有用な資料として活用され

ることを期待している.

2019 年 12 月

日本建築学会

(2)

ケーブル構造はスポーツ施設・集会場・展示場・工場・多目的ホールなど,大空間

構造を形づくる重要な構造要素として,広範囲の建築物に用いられるようになってき

ている.また,重層の吊床構造の引張部材としてケーブルが用いられている例も少な

くない.

本格的な吊屋根の世界最初の実例といわれる,米国の

Raleigh Arena(1953 年完

成)から

40 年の間に,ケーブル構造は実に多様な発展をみせてきた.交差するケー

ブル群が曲面を形成するケーブルネット構造,ケーブル同士で梁をつくるケーブルガ

ーダー,梁やアーチとケーブルの複合構造,ストラットとの複合によるテンセグリテ

ィー,膜とケーブルの複合構造等々である.これらの構造はいずれも,高強度でフレ

キシビリティーに豊むケーブル構造の良さを利用し,また,張力を導入されたケーブ

ルの剛性を期待して成立している.

しかし,極めて剛性の高い構造要素で成り立っている在来の構造システムに比して,

フレキシブルなケーブル材料についての設計資料は十分でなく,また,張力の大きさ

が剛性に影響を及ぼすような構造については,その挙動が在来構造とは異なるという

こともあって,この種の構造の普及が妨げられてきた.

このように,現在の建築基準法や,他の構造についての学会規準などでは律するこ

とのできないケーブル構造の設計に対して,安全性と機能の確保という観点から,本

会としてどのように考え,どのような資料が提供できるかが問われるようになってき

た.

本会のシェル・空間構造運営委員会に属する空間構造計画・構法小委員会では,こ

の問題をとりあげ,ケーブル構造の設計指針となるべき概念と資料の作成に取り組ん

できた.

4 年間にわたる作業の結果,一応の成果をみるに至ったので,この度指針の形で

とりまとめ,出版することとなった.

作業の過程で内外の文献・規準・規格・指針などを数多く参考にしたが,国内のも

のとしては特に日本鋼構造協会「建築構造ケーブル設計施工指針」に負うところが大

きい.

本指針ができるだけ多くの設計者によって活用され,ケーブル構造の自由で健全な

発展に寄与することを望むものである.

1994 年 6 月

日本建築学会

(3)

指針作成関係委員

―五十音順・敬称略― 構造委員会 委 員 長 塩 原 等 幹 事 五十田 博 久 田 嘉 章 山 田 哲 委 員 (略) シェル・空間構造運営委員会(~2019 年 3 月) 主 査 竹 内 徹 幹 事 熊 谷 知 彦 武 藤 厚 諸 岡 繁 洋 委 員 遠 藤 龍 司 大 崎 純 岡 田 章 小 澤 雄 樹 加 藤 史 郎 川 口 健 一 河 端 昌 也 近 藤 典 夫 柴 田 良 一 谷 口 与史也 永 井 拓 生 中 澤 祥 二 西 村 督 萩 原 伸 幸 浜 田 英 明 濱 本 卓 司 原 隆 松 本 幸 大 宮 里 直 也 山 下 哲 郎 ケーブル構造設計指針改定編集ワーキンググループ 主 査 宮 里 直 也 幹 事 廣 石 秀 造 矢 島 卓 委 員 大 矢 賢 史 形 山 忠 輝 杉 内 章 浩 鈴 木 実 福 島 孝 志 山 岸 俊 之 渡 辺 康 弘 テンション構造小委員会 主 査 岡 田 章 幹 事 宮 里 直 也 委 員 形 山 忠 輝 斉 藤 嘉 仁 杉 内 章 浩 鈴 木 実 田 畑 博 章 陳 沛 山 中川路 勇 中 島 肇 原 田 公 明 矢 島 卓 山 岸 俊 之 渡 辺 康 弘

(4)

改定版執筆担当

全体の調整 岡 田 章 形 山 忠 輝 中 島 肇 廣 石 秀 造 宮 里 直 也 1 章 1.1,1.2 1.3 岡 田 章 田 畑 博 章 形 山 忠 輝 鈴 木 実 宮 里 直 也 矢 島 卓 2 章 2.1 ~ 2.5 2.6 2.7 岡 田 章 岡 田 章 宮 里 直 也 岡 田 章 3 章 3.1 ~ 3.2 形 山 忠 輝 鈴 木 実 宮 里 直 也 矢 島 卓 4 章 4.1 ~ 4.3 原 田 公 明 福 島 孝 志 5 章 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 中 島 肇 鈴 木 実 中 島 肇 中 島 肇 山 岸 俊 之 岡 田 章 大 矢 賢 史 斉 藤 嘉 仁 中 島 肇 鈴 木 実 中 島 肇 岡 田 章 6 章 6.1 ~ 6.5 陳 沛 山 7 章 7.1 7.2 7.3 7.4 7.5 ~7.7 形 山 忠 輝 杉 内 章 浩 中川路 勇 中 島 肇 山 岸 俊 之 矢 島 卓 大 矢 賢 史 斉 藤 嘉 仁 鈴 木 実 矢 島 卓 8 章 杉 内 章 浩 中川路 勇 中 島 肇 付録 1 鈴 木 実 矢 島 卓 2 鈴 木 実 矢 島 卓 3 鈴 木 実 矢 島 卓 4 形 山 忠 輝 5 大 矢 賢 史 斉 藤 嘉 仁 廣 石 秀 造 宮 里 直 也 6 廣 石 秀 造 宮 里 直 也

(5)

原案執筆担当

1 章 総 則 川 口 衞 坪 井 善 昭 2 章 構 造 計 画 川 口 衞 斎 藤 公 男 3 章 ケーブル材料 岡 田 章 北 沢 寛 篠 原 浩一郎 清 水 訓 雄 水 口 茂 4 章 荷 重 大 山 宏 日 置 興一郎 中 田 捷 夫 5 章 構 造 設 計 阿 部 優 中 田 捷 夫 6 章 構 造 解 析 大 山 宏 日 置 興一郎 黒 木 二三夫 7 章 ディテール設計 荒 木 毅 北 沢 寛 小 松 清 中 島 肇 水 口 茂 8 章 支 持 構 造 中 島 肇 真 柄 栄 毅 付1 構造用ケーブル材料の規格 篠 原 浩一郎 付2 PC鋼線およびPC鋼より線の種類と機械的性質 荒 木 毅 付3 被覆PC鋼より線の種類例 荒 木 毅 付4 PC端末金具の種類例 荒 木 毅 北 沢 寛 付5 PCジャッキ諸元 荒 木 毅 付6 ケーブル構造設計例 阿 部 優 岡 田 章 川 口 衞 黒 木 二三夫 斎 藤 公 男 真 柄 栄 毅 中 島 肇 付7 ケーブル構造実例リスト 阿 部 優 岡 田 章 斎 藤 公 男 付8 ディテール集 小 松 清

(6)

ケーブル構造設計指針・同解説

目 次

1 章 総 則 1.1 一 般 ··· 1 ··· 13 1.2 適 用 範 囲 ··· 1 ··· 14 1.3 用語の定義 ··· 1 ··· 15 2 章 構 造 計 画 2.1 ケーブル構造の構造計画概要 ··· 2 ··· 17 2.2 ケーブル構造の設計時に留意すべき事項 ··· 2 ··· 19 2.3 ケーブルの初期張力の設定 ··· 2 ··· 22 2.4 ケーブル構造の分類 ··· 2 ··· 23 2.5 ケーブル構造の接合部の計画 ··· 3 ··· 28 2.6 ケーブルの施工方法の計画 ··· 3 ··· 30 2.7 ケーブル構造の限界状態の設定 ··· 3 ··· 34 3 章 ケーブル材料 3.1 ケーブル材料 ··· 3 ··· 38 3.2 機械的性質 ··· 4 ··· 41 4 章 荷 重 4.1 荷重および外力の種類 ··· 7 ··· 63 4.2 荷重および外力の組合せ ··· 7 ··· 65 4.3 その他考慮すべき荷重 ··· 8 ··· 65 5 章 構 造 設 計 5.1 ケーブル構造の設計概要 ··· 8 ··· 68 5.2 許容引張力 ··· 8 ··· 69 5.3 形状の設定 ··· 8 ··· 73 5.4 初期張力の設定 ··· 9 ··· 74 5.5 変形に対する配慮 ··· 9 ··· 77 5.6 施工方法に対する配慮 ··· 9 ··· 78 本 文 ページ 解 説 ページ

(7)

5.7 設計に際して留意すべきその他の事項 ··· 9 ··· 83 6 章 構 造 解 析 6.1 構造解析におけるケーブルの仮定 ··· 9 ··· 90 6.2 構造解析モデル ··· 9 ··· 95 6.3 構造解析理論に基づく構造分類と解析概要 ··· 9 ··· 97 6.4 構造解析の手法と基礎理論 ··· 10 ··· 108 6.5 模型実験による検証 ··· 10 ··· 121 7 章 ディテール設計 7.1 ケーブル端末部 ··· 10 ··· 125 7.2 ケーブル定着部 ··· 10 ··· 134 7.3 ケーブル中間接合部 ··· 10 ··· 140 7.4 仕上材の取付け ··· 10 ··· 161 7.5 ケーブルの防食と防護 ··· 11 ··· 168 7.6 耐 火 被 覆 ··· 11 ··· 177 7.7 ケーブルおよび中間接合金具などの維持管理 ··· 11 ··· 183 8 章 支 持 構 造 ··· 11 ··· 186 付 録 付1 構造用ケーブル材料規格 ··· 195 付2 PC 鋼より線の種類と機械的性質 ··· 208 付3 ジャッキ諸元 ··· 209 付4 ピン接合部に関する設計式の比較 ··· 211 付5 ケーブル構造設計例 ··· 216 付5.1 東京ドーム ··· 216 付5.2 大阪プール ··· 227 付5.3 グリーンドーム前橋 ··· 235 付5.4 天城ドーム(天城湯ヶ島町立総合体育館) ··· 243 付5.5 唐 戸 市 場 ··· 252 付5.6 出雲ドーム(出雲健康公園プロジェクト) ··· 259 付5.7 茨城県笠松運動公園体育館 ··· 266 付5.8 上海万博会世博軸 ··· 277 付6 建築構造用ケーブルの可とう度 ··· 287

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