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黒心可鍛鋳鉄の高温強度

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(1)

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HighTemperatureProperties

ofMalleableCastIron

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Masao Shiga TakashiMitsutani

ボイラ付属設備材料として広く使用されている黒心可鍛鋳鉄の高温強度を明らかにするため,FCMB28(3溶 解材),FCMB32(1溶解材),FCMB35(5溶解材)について300∼500℃で,高温引張試験および10∼13,700 時間までのクリープ破断試験を行ない,回帰分析手法を用いて強度のばらつきおよぴ100,000時間強度の推定 を行なった。黒心可鍛鋳鉄のクリープ域は約380℃以上で,これ以 ̄Fの温度では引張強さが許容応力を支配す ることを明らかにし,また380℃以上で使用する場合の許容応力についても一応の根拠を得た。

隆***

1.緒

言 男心可鍛鋳鉄はボイラ付属設備材料として広く使用されており, 近年その使用制限温度も230℃から350℃に引き上げられた。しかし, その高温強度については若干の報告はあるが(1) ̄(3),長時間のクリ ープ破断データほきわめて乏しい。筆者らのひとりはさきにFCMB 28相当材の高温強度を調べ,男心可鍛鋳鉄ほ350℃まで十分使用で きることを明らかにしたが(4),クリープ破断強度は同一鋼種間であ ってもかなりばらつくのが普通で,信頼度の高いクリープ破断強度 を求めるにはそのばらつきを検討しなければならない。そこで FCMB28(3溶解材),FCMB32(1溶解材),FCMB35(5溶解材) について300∼500℃で10∼13,700時間までのクリープ破断試験を 行ない,回帰分析手法を用いて強度のばらつきおよび100,000時間 強直の推定を行なうことにした。

2.実

験 2.1試 料 黒心可鍛鋳鉄FCMB28相当材3溶解,FCMB32相当材1溶解お よびFCMB35相当材5溶解,計9溶解の試料を実験に供した。地 金の配合は高ケイ素銑8%,鋼くず40%,もどしくず52%とし,キ ュポラと電気炉の二重溶解法によって得た溶湯を図1に示す鋳造方 案の生砂型に鋳込,同図中のキールブロック型の自銑素材を作り, これに所定の可鍛化焼鈍を施し,キールブロックの底部より図2iこ 示す各種試験片を採取した。表1は試料の化学組成を示したもので ある。 2.2 引 弓長 試 験 20tアムスラ試験機を用いFCMB28についてほ室温∼550℃, 衷1 供試材料 の 化学組 成(%) 洪 試 材 料 】 C - Si l Mn FCMB28 No.1 No.2 No,3 2.93 2.89 2.55 1.23 1.25 1.15 FCMB32 No.1 2.93 FCMI∋35 N N N N N 1.49 3 2 〔XU 3 4 3 0 0 0 5 <U * 日立製作所日立研究所 工学博士 ** 日立製作所日立研究所 *** 日立金属株式会社桑名工場 ノ軸 16

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391 416-1・ f、CMB28No2 416-5 FCMB32 415-33・ FCMB35N()2 図3 試料の頗徽銘糾織 一一一一一イ、-・、 △【二F】:No.1 X111j:Nり.2 口付:八り.3 トヽ き:10 0 議 20 茸≦10

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0+TTr lこimL h+__________________+ 500 ()肘 100 200 300 400 試験f址哩(Oc) 図4 FCMB28の高温引張試験紡果 ×400 ×400 ×400 FCMB32についてほ室温∼450℃,FCMB35についてほ宅温 ∼500℃で試験した。 2.3 クリープ破断試験 東京衡機製造所製C-3形クリープ破断試験棟を用い,300、500℃ で試験Lた。これらの結果を応力一破断時間線囲およびLarson& Miller法によるMaster破断曲線で整理し,平均クリープ破断強度 40 顎30 \卓 bん 20 車20 三)  ̄巨10 0 盲20 ミゴ

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100 200 3()D 試験溢rtと(〇c: 50ロ 図5 男心可鍛鋳鉄の高温引張試験結果 40 O nり 3 2 (刊∈乍址+一い要式一へ ニニ き20 255 Vハ=-バ 〓 む 図6 0〔l 61)0 (〃c) 200 40〔) FCMB35の高温リl張試験結果 (iuO および強壕のばらつきを求めた。 クリープ破断強度の平均値およぴ95%信煩限界は回帰分析手法 によって求め,回帰分析には応力一破断時間線囲およぴLarson& Miller法のMaster破断曲線のあてはめを次の8偶の式を用い比較 した。 (1)(1)および(2)式 指定破断時間に対する破断応力げは対数正規分和をすると仮左 し,10即を確率変数,10gfを指定変数と考えて次の1次式およ び2次式で回帰を行なった。 10g(7=α1十α2(logJ). 10g(丁=α1十α2(10g∠)十α3(10g才)2 ここに, f:破 断 時 間(h) げ:応 力(kg/mm2) (1) (2)

(3)

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100章33・02l35・9叫38・78

1,0001 10,000 100,000;36.12;39.27:42.42 450℃ 41.66 42.97 44.27 500℃ 44.54 45.94 47.33 45.57148.72 団13 FCMB28のMaster破断曲線(2次回帰)-(7)式一 図10 FCMB28の応力一破断時間緑図(2次回喘)一(、4)式一 し2)(3)およぴ(4)式 一定応力のもとでは破断時間は対数正規分布をするものと仮定 し,10がを確率変数,10g(7を指定変数と考えて次の1次式および 2次式で回帰を行なった。 10gg=α1+αヱ(10g(7).. ‖(3) logg=α1+α2(log(7)+αB(10gげ)2 ‥(4) 図14

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FCMB28のMaster破断曲線(2次回帰)-(8)式-(円∈【て細J‥ (小∈乍哲土 市 臼

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【l 図22 FCMB35の応力ー破断時間線図(2次回哺)-(6)式一 げ=α1+(r2(10g∼) ‥(5) げ=(rl+α2(10g才)十α3(10gJ)2 ..(6) 以上り)∼(6)式は応力ー破断時間線図のあてはめである。 (4)(7)および(8)式 (7)および(8)式はLarson&MillerのMaster破断曲線に2 次曲線のあてはめを試みたものである。(7)式は指定パラメータ のときに破断応力が対数正規分布をすると仮定し,Iogげを確率変 数,パラメータPを指定変数と考えた。(8)式は(7)式と辿に一

(5)

394 昭和43年5月 二.′ゝ 甜18 第5()世 第5一妄さ ㌧【2 ヱ一一ニ !)コ′ :i5n'r ・岬 ̄(1 J15口`し' 3二) :り ′ミラメ 亡】と)■′ ≧≡≡…≡≡ :川 3六 川 王  ̄Ⅰ'二川Ⅰ‖ビ1・川 一夕 P=rぐ30十10gJ、■×10 ̄3 て.n,0nP;35.09

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3.実

3.1供試材の組織 図3は供試材の顕微鏡組織である。FCMBNo.3の一部にはごく 微量のパーライトが認められたが,そのほかの試料はすべて粒状思 鉛とフェライトからなっている。 3.2 引張試験結果 図4∼るほ高温における引張試験結果を示したものである。宣子占左 の引張強さはFCMB28が30.2∼31.2kg/mm2,FCMB32が34.8 kg/mm2,FCMB35が35.1∼36.7kg/mm:であり,伸びはFCMB 35が最も高い。図5はFCMB32No.1の高温引張特性であるが,比 較のためFCMB28およぴFCMB35の平均値曲線を図示した。こ r+ ヾ 滋 、≡

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(6)

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規格輯影位置 /′′黒鉛\ 火100 フェライト

6 81(1 ×400 XlOO 右の組織説明囲 ・:500℃,5kg/ノcm2,4,775時間破断) 団32 FCMB35No.2のクリープ破断試験片の組織 X400

4.検

討 4.1100,000時間強度およびばらつきの推定に関する検討 本鋳鉄のクリープ破断強度のばらつきは試験前の予想より非常に 小さい。特にFCMB35のこごらつきは小さく,試験時間範関内では 95%后板限界で平均強度のたかだか±1.5kg/mm2程度である。

(7)

396 昭和43年5月 FCMB28とFCMB35については(1)∼(8)式による 回帰分析を行なったが,「A式によれば高めの外そう値が 得られる+とか「B式によれば低めの外そう値が得られ る+とかいうことはデータのばらつき状態により回帰線 の傾向が変わるので,一般的傾向として明言できない。 しかし本報の男心可鍛鋳鉄のように組織変化がなく,応 力+波断時間線図が直線的なものに対しては2次回帰に よるより1次回帰による外そうのほうがまさっていよ う。2次回帰は一般に放物線となり(4)式あるいは(8) 式の場合,外そう線はある応力で破断時間の最大値があ +エ 20 15 0 (m∈モ葺、〔 ヨ らわれ,それ以下の応力では破断時間が逝に短くなると p

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許布引弓㌻三応力 いう不合理がある。(2)式あるいは(7)式では座標が入 れ変わっているのでこのような不合理は形に出てこな い。長時間側の信板限界は一般iこ平均値そのものの不確 定のために広がり,特に100,000時間で著しく広がり実 用上のばらつきを推定することはできない。冶金学的に みて強度のばらつきが長時間側で極端に広がるとは考えられないの で,応力一破断時間線図の2次回帰で100,000時間強度の信煩限界を 求めるのは不適当と思われる。 Master破断曲線の回帰分析により求めた平均クリープ破断強度 は(7)式でも(8)式でも同一値が得られる。信煩限界においては高 温長時間側で(7)式によるよりも(8)式によるほうが若干幅広く推 定される。 どの方法によって求めた推定値が真の100,000時間強度およぴそ のばらつきを与えるのかほ,100,000時間の実測値がなければ明言 できないが.下記の点から考えると本鋳鉄に対してはMaster破断 曲線の2次回帰((7)または(8)式)が比較的妥当性のある推定値を 与えるようである。 (1)(7)またほ(8)式による平均値ほ図1るおよび図2るに示さ れる8個の式の推定値の平均にはぼ等しいか,またはわず かに低目である。したがって100,000時間強度が高目に推 定されることがないので実用的に安全である。 (2)(7),(8)式では種々の温度でのデータを統一して推定を 行なうため,一温度のデータのみから得られる推定値より 信煩性が大きいと考えられる。 (3)(7)および(8)式の信頼限界は極端に大きくなることほ ない。 4.2 許容応力に関する検討 従来ボイラ付属設備材料としての黒心可鍛鋳鉄の使用制限温度は 230℃とされていた。しかし製造技術の発達により鋳鉄の品質は著 しく向上し,JISが改訂されたのに引き続いて昭和40年の発電用ボ イラ火力技術基準では使用制限が350℃まで引き上げられ,許容応 力も1.6倍に引き上げられた。ボイラ用材料の許容応力を決める場 合,基準値として次に掲げる値のうち最小のものが用いられるこ (a)引張強さの0.25倍 (b)耐力の0.625倍 (c)1,000時間に0.01%のクり-プ速度をfじずる応力の平均値 佗(⊂c) 500 (h⊆ぷて葺 Tヽ i三 20 15 10 第50巻 第5号 FCl柑32

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潅′.E朴ノ・こノJ托術非準 二よる話`どi引弓圭拡プJ 300 400 500 (い∈モ申告 只 唱 〔‖) 5 2 FC九・IB35

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400 500 I!と(Oc) (丁 佗(で.) ロB‥引引油‡言 CR=1+arSOn&1■Ⅰ川eI・ 二▲∴求めた105l】ク 図33 黒心可鍛鋳鉄の許容応力と高温強度 よってこれらの値を比較してみよう。図33は(a)および(d)の 値と温度の関係を示したもので,高温側でほ(d)の値より(a)のほ うが高いが,約380℃でこれが同一値となり,これ以下の温度でほ (d)の値のはうが高い。(b)の値は引張試験結果から推察して, (a)の値をかなり上回るとみられる。また(c)の値は図30および 図31から(d)の値と同等あるいはそれ以上と推定される。したが って許容応力の規定されている350℃までは前述した4項目のうち (a)の値が最小となり,本鋳鉄の許容応力は引張強さで決まる。す なわち,一般的には黒心可鍛鋳鉄のクリープ域は380℃以上で,ま た450℃までの温度においては100,000時間破断強度の60%に CastingQualityFactorを乗じた値を許容応力と考えてよいであ ろう。

5.緒

以上 男心可鍛鋳鉄9溶解材について長時間クリープ破断試験お よび高温引張試験を行ない,高温強度を明らかにするとともに,そ のばらつきを調べた。8とおりの式を用いてクリープ破断データの 回帰分析を行ない,木鋳鉄ではⅠノarSOn&Miller法のMaster曲線 の2次回帰が比較的妥当な外そう値を与えるものと考えられる。ま た男心可鍛鋳鉄のクリープ域は約380℃以上で,これ以下の温度で は引張強さが許容応力を支配することが明らかにされた。また380 ℃以上で使用する場合の許容応力についてもー応の根拠をうること ができた。 本研究を行なうに当たり,試料の作製に尽力された日立金属株式 会社桑名工場の関係のかたがた,ならびに実験の一部を分担された 日立製作所R立研究所池田伸三氏に厚くお礼申し上げる。 (1) (2) (3) (d)100,000時間で破断する応力の平均値の0・6倍-または削、値 (4) の0.8倍 参 男 文 L.C.Marshall,G.F.Somlner, Progress,77,102(1960)

Materialsin Design Engineel-ing,

ASTM:Properties of CastIron tures STP No.248 献 D.A.Pearson:Meta1 5】,105(1960) at Elevated Tempera-佐々木:日本材料試験協会,第11閉経会講演会前刷,79 (1962) 】 12 【

参照

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