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重力モデルによる大学志願者数データの分析  −慶應義塾大学を例として−

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2003年日本オペレーションズ・リサーチ学会 秋季研究発表会 2−D−6

重力モデルによる大学志願者数データの分析

一慶鷹義塾大学を例として−

01107680 慶應義塾大学

栗田 治 KURJTAOsamu

1.緒言 本研究では,大学の学部別に集計された「各県か らの志願者数」データに基づいて重力モデルのパラメ タ推定を行う方法を提案する.そして,推定されたパ ラメタ値によって学部の性格を位置づけたり,社会経 済の状況変化に応じた大学受験動向の推移に焦点を当 てることを目標とする.利用したデータは慶鷹義塾大 学の各県からの志願者数データである. 受験生が志望大学ならびに学部を決めるに当たっ ては,様様な動機と事情が関係しているに違いない. 素朴に考えると,彼らは受験可能な(勉学の志望が合 致しブランド的にも納得でき学費と生活費が賄える) 大学学部を自宅から近い順に探索してゆき,幾つかの 志願先を決定するという行動が想定される.この想定 に基づいて直ちに適用したくなるのは介在機会モデル であるが,そのパラメタを推定するためには,併願先 に関する個人別のデータが網羅的に必要となる.この データは容易には入手できない.比較的に入手し易い のは,固有の大学の各学部の地域別志願者数データで ある.この場合,複数の大学学部の中から何処を志願 するか,という選択行動の分析は行えない.しかし, 重力モデルを当てはめることによって,その大学学部 がどの程度空間を超えて受験生を引きつけているか (即ち集客力)を分析することが可能となる. 2.データと定式化ならびにパラメタ推定 J県の志願者総数の内,当該学部を志願した率をり と表すと,上式は次のように書き換えられる:

り(=葺)=毒(j=1,

. に行う.先ずは上式の対数を取って hγj=1nた一入hdメ=C一入hdメ (3) と変形した上で(c=hたと定義した),線形最小二乗 法によって(c,入)の推定値(c′,入′)を得る.続いて非線 形最小二乗問題 47 Minimize ¢(k,入)=∑ J=1\【J

を,(たハ)=(eC′,入′)を初期値として解けばよい.

3.分析結果の要約 1.慶鷹義塾大学全体ならびに各学部に対して重力 モデルのパラメタ推定値(鳥,i)を求めたところ, モデル式は受験率を程度良く再現できることが分 かった(図1に例示).例えば2002年度の全学部 志願者合計の場合(図1−a))で,相対偏差の絶対 値の平均は29.5%,標準偏差が35.6%となった. 2.各県の志願者から見た学部の人気度が図1から 読み取れる.例えば(1)商学部は富山県・香川県・ 佐賀県で人気が高く,(2)医学部は奈良県・香川 県・高知県・愛媛県・鹿児島県で人気が高く,(3) 理工学部は富山県・香川県・高知県・佐賀県で 人気が高い.これらには突出した進学校の存在 も影響しているものと思われる. 3.パラメタ推計結果を横並びに比べると(図2),学 部別の集客力が顕わになる.図2の推定曲線が 上部に位置する(即ち定数鳥が大きい)学部ほど集 客力が高く,推定曲線の減衰が緩やかな(即ちÅ がゼロに近い)学部ほど全国から満遍なく志願者 を引きつけている,と見倣せる. 4.概ねどの学部も1998年頃距離抵抗パラメタiが 低い水準となっている.

5.1998年以降は商学部を除いて距離抵抗パラメタ

Åが増加傾向にある.これはバブル崩壊後の社会 経済的衰退が全国の家計を直撃し続けいている 結果と考えられる.大学経営の観点からすると, 18歳人口の減少だけでなく,景気衰退も大きな 問題となり得るのではないだろうか. 県別志願者数の重力モデルを構成するには,まず 当該年度の各県の志願者総数を用意せねばならない. 文部省(現在は文部科学省)学校基本調査報告書【2】に おける表「卒業年次別大学(学部)・短期大学(本科)へ の入学志願者数」には当該年度卒業生と過去2年度卒 業生の当該年度入試における志願者数が大学と短期大 学に分けて記載されている.この表の大学(学部)に 関する“計”の数値をろとする・即ちろは当該受験 年度の現役と2浪までの県別志願者総数を意味してい る・つまりろは3浪以上や社会人を除いたブ県の大学 志願者数であるが,便宜上これをj県の志願者総数と して用いることにしよう. その年度の当該学部へのj県からの志望者数をαjと する.慶鷹大学の場合1997年度までは,このデータ が慶鷹義塾年鑑に掲載されている.1998年度以降の データは慶鷹義塾大学入学センタから提供を受けた. j県から学部への志願者数αメが,j県の志願者総数 ろに比例し,j県から大学への直線距離dゴの入乗に反 比例するというタイプの重力モデルを導入する: αJ= (j=1,2,…,47). (1) ー278− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

(2)

555 . 把 α 0 .1 ︵蓋廿N暮N︶J掛彗朝毒 0・。1

↑ 掛慧喝噌土鳩‖︼喋挙世廿N00N 0 250 5(X) 750 1(X氾 1250 1ヌ氾 県庁所在地から日吉への直線距離頑叫 (a)慶鷹大学全体 25150 0・〇 .〇1 0・0 00 0 α ︵端く世廿M宝N︶ト随筆掛値毒 0 250 500 750 1∝D 1250 15(氾 県庁所在地から日吉への直線距離増b叫 図2 各県への直線距離と学部別受験率 (2002年度入試). 0 250 父氾 750 1∝沿 1250 15(X) 県庁所在地から日吉への直線距離4叫 (b)●商学部 ︵蓋廿M書N︶ト掛率宙軌凶蓋 0 0 ペ銀墜壷賓 0 0 250 5(氾 750 1(Ⅱ) 1250 1文旧 県庁所在地から日吉への直線距離4b叫 (c)医学部 鵬 偶 成 .〇1 0 0000 ︵寓く世廿N雲N︶L掛撃仰朴鼻牡鹿萄 1988 1珊 1舛2 1鱒4 1腕 1労8 2∝氾 2(追2 年鹿 図3 距離抵抗パラメタ推定値iの時系列的変化 参考文献 0 250 5(カ 750 1(X追 1250 15(カ 県庁所在地から日吉への直線距離亜叫 (d)理工学部 【1】文部省大臣官房調査統計課編‥学校基本調査報告 書一高等教育機関−(現時点での最新版は2002年度). 【2】慶鷹義塾大学総合企画室編:慶鷹義塾年鑑(1997 年度まで利用した). 図1各県への直線距離と受験率(2002年度入試). −279− © 日本オペレーションズ・リサーチ学会. 無断複写・複製・転載を禁ず.

参照

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