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不正競争法序説-4- 利用統計を見る

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(1)

不正競争法序説-4-著者

山崎 晴一

雑誌名

東洋法学

7

1

ページ

1-37

発行年

1963-09

URL

http://id.nii.ac.jp/1060/00007821/

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

拙 腕

次 同 国 第 一 立 総 説 第 一 節 総 説 一、営業自由と不正競争 二、フランス・ドイツ及び我が国の概要 三、イギリス及びアメリカの概要 第 二 節 不 正 競 争 法 の 組 成 一、不法行為主義と特別立法主義 二、不法行為主義 三、特別立法主義(以上二巻二号) 第 二 宮 不 正 競 争 法 の 沿 革 第 一 節 営 業 自 由 の 沿 平 一、封建制経済│円以村│ 二、封建制経済│都市│ 不 正 競 争 法 序 説

n

、絶対王制と市民階級の勃興 ー一般的営業自由の確立

l

四、アメリカ 第 二 節 不 法 行 為 責 任 の 沿 革 一 、 古 代 二、中世 l 結 果 責 任 主 , 義 三、中世

l

結果責任主義の絞和 四、近世

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過失責任主義 五、近世

l

過失責任主義の修正 第 三 節 不 正 競 争 法 の 発 展 一、ギルド経済の時代 二、近代的不正競争法の発展 三、アメリカ(以上三巻二号) 第 三 章 不 正 競 争 の 概 念

(3)

京 洋 法 学 第 一 節 概 念 の 柔 軟 性 第二節不正競争の定義 一、営業上の競争 二、営業競争における不正 三 、 宮 田 山 口 問 。 ロ ( 詐 称 通 用 ﹀ と 不 正 競 争 四 、 定 義 第三節不正競争の範囲 一 、 イ ギ リ ス 二、アメリカ 三、不正競争と不正な競争方法(以上六巻二号) 第四章不正競争の要件 第一節不法行為責任の基礎 一、総説 二、責任一元論と多元論 三、両論の比較 第 二 節 競 争 者 一、総説 二、私的企栄休 三、専門的知識職業人 四、労倒者 第 三 節 権 利 侵 害 l 暖 僚 │ 一、総説 二、暖僚の芯義 三、阪僚の性質 四、段使の評価 第 四 節 損 害 の 発 生 第 五 節 動 様 一、守山諮問 二、イギリス 三、アメリカ

第四章

不正競争の要件

一般に不法行為が成立するために、まず客矧的要件として、イ、被告の行為があること、 ロ、原告の椛利が侵害さ れたこと、ハ、原告が担容をうけたこと、-一、被告の行為と原告の抗告との問に因果関係が存在することを要し、 wつ ユ,、、 にミ

(4)

に主観的要件として、 イ、被告が不法行為能力を有すること、 ロ、故意または過失の存在することが必要とされる。 しかしこれは原別であって、 たとえば可

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ロ σ 巳のように損害発生を要件としない不法行為(これら を 一 0 2 包 江

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旬。門的。﹁それ自体訴え得る不法行為﹂という)もある。主観的要件についても、不法行為が成立す るために故意過失を必要としない場合、すなわち厳格責任の認められることがあり、逆に特に勤扱が問題とされる場 合 も あ る 。 コ モ ン ・ ロ

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上の各種の不正競争の要件については各論で述べるが、本章では一般的な観点から第二節において不 正競争の主体たる競争者、第三節に権利侵害、第四節及び第五節にそれぞれ損害の発生及び動機について、若干考察 を 加 え る 。 つぎに、不法行為責任の基礎が多元的であるか一元的であるかは、不法行為全般に通ずる問題で学説もわかれる。 その何れを正当とするかは、 にわかに決し得ないが、 傾向的には一元論を認める方向にあるものといふ得るであろ う。他方すでにしばしば述べたように制定法の影響をうけて、 コ モ ン ・ ロ l 上の不正競争も徐々に概括的な概念で把 えられようとする傾向にあるものと思われる。これはさきの不法行為責任の根拠に関する判例の方向と一致する。も しこの傾向の把握が正しいものとすれば、この傾向は当然に不正競争の要件を考察する場合にも考底しなければなら ないことであろう。この意味でコモン・ロ l 上の不正競争の一般的な要件について述べる前に、以下第一節において 不法行為責任の基礎について考察してみたいと思う。 不 正 競 争 法 序 説

(5)

京 活 γ ・町 d E 法 手 四 第一節 不法行為責任の基礎 一 、 総 説 イギリス及びアメリカのコモン・ロ l 上不正競争として防遇されてきた行為の態様はさきに列挙したが、こ斗に不 正競争という言葉は、 一 九 世 紀 の 末 頃 か ら 、 アメリカで始めて用いられるようになったものであり(と、未だ不正競 争一般に通ずる法理は存在しないとされている。営業競争に採用された方法は、時を具にし所を具にすることにより あるいは公正な競争であるとされ、または不正な競争として取扱われるのである。逆言すれば不正競争の法的性格の 不正確さこそが、この法の性格を表すものであるとともに、この法に関する、常に変化してやまない商業上の要求に 最も効果的に適応し得るともいえるのである︿ 2 ) D このように、不正競争一般に通ずる概括的法理がないことは、 イギリス・アメリカにおいては、不正競争は、営業 競争のうち在来認められていたある種の不法行為、またはそれが発展した型の不法行為に該当する行為の単なる総称 であり、同じく不正競争といっても、何れの不法行為に属するかによって、夫々適用される法も又具るのであって しかもその不法行為を通ずる明確な一般的法理が存在しないことに原因がある。この意味で、 イギリス・アメリカに おける不正競争法の究明には、その沿革的要素を欠くことができない。この点については前述したところにゆずり、 それとともに、不法行為責任に関して問題となる一元論と多元論について、こ、﹀に概観することが、不正競争におけ る責任の根拠を考察するために使であろう口

(6)

( 1﹀ポロックは、﹁アメリカではこの主題に関する法則はとみに発達し、通常、不正競争という題目で取扱っている。この言 莱は、イギリスの法廷ではほとんど知られていない﹂といっているハ H i o -。 。 F H V -N ω ω ﹀ 。 ハ 2 ) Z E H F H Y N 二、責任一元論と多元論 わが国では、不法行為について民法七

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九条に拍象的概括的規定があり、各種の不法行為につき、これを演訳的に 解釈適用し解決するのであるが、英米のコモン・ローにはかふる一般的な法理が存在せず、各種の臭った型の不法行 為について、夫々具った法則、が適用されるのである c こ れ は 、

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によって最終的に廃止さ れた限定的な訴訟方式公

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町宮去るに基因するのであるが、訴訟方式が廃止された後も、そこに生成発達した 実体法はそのまふ存続し、 メイトランドがいったように、 いまだに訴訟方式は墓場の中から支配を続けているのであ る @ 不法行為とは、 ウインフィルドの定義に従えば、法律によって定められた不特定多数の人々に対する義務違反で、 不確定金銭賠償請求の訴訟によって救済されるものであるとされるが ( 3 ﹀、不法行為責任の基礎に関する理論は、現 在責任多元論と責任一元論の二説に分れている。 責任多元論によれば、不法行為の程願や内容は既定されてあり、 各種の不法行為全般に通ずる一般原則 ( 向 。 ロ O H N H ︼ 匂 円

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﹀なるものはないのであって、定った型以外の不法行為責任を認めることはできないという ( 4 ) O

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権利侵害なき損害) という言葉は、この立場を表したものであるといわれる。すなわち、原告が明 不 正 競 争 法 序 説 五

(7)

東 洋 法 字 -'-ノ、 らかに不法な行為による損害を蒙ったことを立証しても、その行為が認められた権利侵害にあてはまらないときは、 不法行為とはならないというのである。サーモンドは、 ﹁刑法においては、特定の罪に関する一国の法則が定立して いるように、不法行為法でも特定の侵害に関する一国の法則があるが、両者ともに責任の一般原則なるものはないの である。私が特定な罪を犯したと訴追され、 または不法行為があったとして訴の被告となった場合、それらの行為が 責任の特定の規定に該当するものであることを立証することは、私の相手のすべきことである。しかし、私は自分を 防禦するためにその行為が何等かの特定な免責事由の法則に該当するものであることを示す必要はない﹂と述べてい る ( 5 ) O 責任一元論の立場をとる学者は、最近になって漸次その数を増してきた。この説によれば不法行為は、定った名称 をもった各種の不法行為のカテゴリより広く、それらを通ずる一般的な法則があるのであり、すべて法律上正当な理 由にもとずかない侵害行為は、不法行為になるというのである。そしてその根拠として、 一元論者の一人であるボロ ツクは、三つの原則的義務をあげている。すなわち、ィ、故意に他人に損害を与えないこと、 ロ、他人の財産を尊重 す る こ と 、 ハ、他人に損害を与えないように相当の注意を払うこと、がそれである ( 6 ) 0 さ ら に 、 一元論の具体的根 拠として、プラット判事の﹁不法行為は無限に多種で、制限もされない﹂ ( 7 ) という言葉や、ポウエン卿の﹁人が他 人に、正当な理由がなく故意に損害を与えた場合は、 コ モ ン ・ ロ l 上すべて訴権が認められた﹂ ( 8 ) など、判決の傍 論にあらわれた言葉が引用されるのである。この理論はアメリカでも一九

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一年にホームズ判事によって認められた ( 9 ) O

(8)

( 3 ) しかし、不法行為 Q 0 3 6 不法行為法 Q P J 4 0

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ω ) 不法行為責任 Q 2 z o s -m H E -q ) という言葉を正確に定義する ことは種々の理由から困難であるとされる(司 B ω ω o F 日

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ハ 一 E C H ) ﹀ 。 三、両論の比較 責任一元論と多元論の何れが正当であるかは、極めて困難な問題で学説もわかれている(叩 ) O 一元論者が述べる通 り各種の不法行為は固定的なものでなく、幾多の新しい型の不法行為が発展してきたことは事実である丘)。しかし これに対し多元論者であるジエンクスは、成程新しい型の不法行為は創造され得るし、また事実されてきたが、それ も裁判所が、既存の不法行為と実質において類似であるとみなしたからであり、不当な侵害はすべて不法行為である 不 正 競 争 法 序 説 七

(9)

京 洋 法 学 入 という一般原則の根拠たるものではないというのである

2

コ ﹂れに対しスタリプラスは、 ﹁われわれはまだ責任の一般原則なるものを見出さないが、:::その方向に向って進 み つ L ある﹂と述べている。さらにロロ

525

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五日百の事件は、責任多元論の根拠たるものではないとの批判 がある

( 3

。それによれば、すべて不当な侵害は不法行為であるからとて、すべての侵害が不法行為であるとか、侵 害を受けた者がすべて訴によって救済を与えられるとかいうのではなく、もし原告が特定の不法行為に関する訴を起 しても、その主要な要件を立証できないときは、彼は何等賠償されるところはないのである。たとえば詐欺 ( b o n o s の訴を起した原告が必要な主観的要件を証明することができないときは、何の賠償も得られないのである。過失の訴 において、被告に注意義務があることを立証できない場合も同様である

2

コまた、原告が取引において被告の適正 な競争によって損害を蒙った場合

( 5

、あるいは、被告が法によって認められる方法で自分の土地を使用することに よって原告が損害を受けたとき

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などのように、原告が被告の権利を過少評価した場合は何の賠償も得られない D 結局、不当な侵害が不法行為となるのであって、この要件は、裁判官が新しい不法行為を創造することを制限はする が、否定するものではないというのである。 また一方、ジエンクスの説は確に一面の説得力を有するが、それは事実と相違するとの批判がある(江口すなわち 実際に、あらゆる新しい不法行為は既存のそれと実質的に同じであるのかどうか。例示すれば十三世紀における詐欺

22

巳円)(児)と一七八九年に独立の不法行為となった詐欺白)との聞に、如何なる実質的類似性があるのであろうか。 家畜によるトレスパスの責任と月三 ω

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によって認められた原則との間の類似した不法行為とは何

(10)

か。あるいはまた、過失に実質的に類似した不法行為とは何か。更には、不法行為としての共同謀議についてみても 古くエドワード一世の時代に弓門広え

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によって救済が与えられていた訴訟手続の濫用のための結合より は、現在でははるかにその態様において広いのである。右に挙げたものは一例にすぎないが、これ以上つけ加える必 要はあるまいとして反論している。 (叩﹀末延三次﹁英国不法行為法概説﹂法律タイムズ一帯八号一一頁(昭和二二年)。 (日)ウインフィルドは、悪意告訴ハ自巳片山。

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ろは一の共同謀義の場合から、エドワード三世よりエリザベス一 世に亘る長い期間を経て発生した不法行為であり、詐欺ハ b o n o -f 片 町

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も始めは裁判所を欺すという限られた意味であっ たのが、一七八九年の判例

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では土地から発 散した有害物に対する責任が確立された。また一八八一年には契約京反の悪烹誘致(自己

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﹀・の・戸。)すべて侵害のある場合に補償をうけ得るのではな く、被害者に対し義務を負うある人の過失によって侵害が生じたときのみであるという判示もある(目。ロ︿・叶包︿

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不 正 競 争 法 序 説 九

(11)

東 洋 法 尚 子

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含 J1 ・ 司 - o 円 。 日 百 円 の 品 目 川 口 旦 口 小 に 動物の侵害に関する飼主の責任の原理が存在するものであることは否定することができないであろうし、過失責任の 原則とても、トレスパスの訴から離れたケ l スの訴が利用されるに及び、被告の行為と発生した結果との接続性の吟 味が裁判所によってなされ、それが過怠の責任に固定したものといふ得るであろう︿

80

実質的類似性があるか否か は程度の差に過ぎない。原告は不当な侵害を立証することによって訴の原因を具体化するものではない。原告は不法 行為があったことを立証するのであって、学理を述べるわけではないのである

2

﹀ O 発達も歴史も拾て﹀現行の不法

(12)

行為法をみるときは、まさに多元論に歩があり、法史的観察を交えるときは、 一元論が正当であるといえるようであ る ( 幻 ) 0 といって、あらゆる侵害は正当な理由がないかぎり、全部不法行為になるという原則が確立しているのであ って、損害があるにもか L わらず救済を与えられない場合

2

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は例外であるとするのは無理があると思われるが不法 行為法の趨勢は徐々に一元論を認める方向に向って進んでいるとみることが、法を発展的形態において把握するうえ からいっても妥当であるとい L 得るのではあるまいか。 かようにして、この傾向は、 コ モ ン ・ ロ l 上の不正競争法にも影響し、制定法の影響とあいまって不正競争を統一 的に把握する方向ヘ志向せしめるものと思われる。しかるときは、不正競争の成立要件もその傾向に導かれて統一的 に設定され、従来個別的な各種の不法行為の要件を指導形象としていた不正競争も、 たとえば経済的反倫理性という ような概括的な概念を、不正競争の成立要件とすることによって、画一的に規制される方向に進み、 コ モ ン ・ ロ

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に おける不正競争法も徐々に柔軟な態度を示し、経済態勢の発展にともなって展開される新しい不正競争に対処するこ とになるものと思われる。ともあれ、具体的な場合におけるこの点に関する考察は各論においてなされる。ゆえに本 章ではコモン・ロ l における不正競争一般に通ずる問題としてその成立要件を考察するにとどめる。 ( 幻 ) ( 幻 ) ( お ) ( M ) 有 泉 亨 前 掲 三 四 頁 o HUo ロ O の -C M ︾ ・ 島 町 ・ d J ﹁山口片山 O H 門 Y H V ・H U 可 . のロ戸。・侍

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不 正 競 争 法 序 説

(13)

京 洋 法 b一一・ 寸4 的 ? 同 ・ の 0 ・ 4 ・ 目 。 口 百 円 。 -D U 同 ω 斗 4 0 ロ ロ ・ 。 ω 叶 ( H U H -J ・ 0 円 。 ・ 第二節 並コ仕. 艮兄 争 者 一 、 総 説 不正競争の主体は、 いうまでもなく営業における競争者である D 社会生活において競争の行われるところでは、必 ず他人をその競争の場から放逐せんとする努力がなされ、そのための手段が用いられまた新に考案される。この手段 が競争秩序を破壊するものであるときは、その競争は不正な競争となるわけで、 たとえば競技において、定められた 規則を破るときに違反者は、その競技の敗者とされたり、あるいは一定の制裁を受ける。この場合、競技規則の規制 をうけるのはもちろん競争者のみである。同様に不正競争による禁圧の対象となる行為は、営業上の競争者の行為で なければならない。 ところが営業上の競争者を定めることは、競技上の競技者ほど明瞭にはなされない。しかも法の発展は不正競争に ついて、競争という要素よりは、不正という要素により重点をおき、 いわゆる営業競争の存在しない場合にも不正競 争を認め、これを防遇せんとする傾向にある。したがって本節でいう競争者とはひろく、 いわゆる営業競争を行わな い者も合んでいる。 営業とは、生活の資あるいは利誌を得ることを終局の目的とする自由な継続的芯思的活動の全部または一部をいう のである ( 1 ) 。ゆえに営業は交換経済を前提とする。実物経済の行われる時代にあってはここにいう営業は存在し符

(14)

ないし、自分が消費する目的で物を生産することも営業行為には合まれない。しかし交換経済における貨幣の対象と なるものは、動産たると、または精神的労働たると肉体的労働たるとは問うところではない。 国家、公企業休もまた営業行為をすることができるが、これが営業的行為をする場合は、その目的は対仰の獲得に あるのではなく、公益を計ることを目的とするのであり、支払われる対価は租税に類似したものである c ゆえに国家 あるいは公企業体を主体とする営業競争は存在せず、したがって不正競争もあり得ない ( 2 ) D ( 1 ) 回 o z i o 円 d F p d

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・ お H ・ 二、私的企業体 資本制経済の維持発展は私的企業体を中心として遂行される。私的企業体の自由な営業活動が、資本的経済に今日 の繁栄をもたらしたのであり ( 3 ) 、営業競争もこれら企業体聞に最も激しく行なわれるものであるロ私的投資者は投 資による危険を負担するものであり、その危険を回避し投下資本を有効に働かせるために、他の私的企業体も同様の 自由を有するという制肘をうけっ・ヘその有する機能を充全に発揮する自由を有するのである ( 4 ) 。この意味で典型 的な営業競争者は私的企業体であり、したがって営業競争の弊害もこふに集中的に表れるのである。 専ら営業活動をする私的企業体が営業競争の当事者、 したがって不正競争の主体たることに問題はないが、慈善団 不 正 競 争 法 序 説

(15)

京 洋 法 宇 四 体や学術団体などが不正競争の主体たり得るや否やは問題である。これらの団体が純然たる慈善的あるいは学術的自 的に従って活動することは営業行為ではなく、この限りではいわゆる不正競争は存しないといえるであろう。 ﹁ 慈 善 行為には独占はなく、誰しも善行という賛沢から追放されることはない﹂ ( 5 ) のである。しかしこれらの団体といえ ども、活動の方法いかんによっては通常の企業体と同様に不正競争法の規制をうけるものである。団体に営利的目的 がないということは、・その団体が他の類似の団体と競争的行為をするために、 いかなる行為に出ることも詐されると いうのではない︿ 6 ) 0 た と え ば 、 慈善団体や学術団体などの名称は商標と同様の保護をうけるものであるとされる ( 7 ﹀ O ( 3 ﹀ 巧 吋 B m w p 。句・巳?匂・お ω ・ ハ 4 ﹀ の m H E M H ロ PHYN ・ ハ 5)HU58 ロ ぐ -mHMB52PE 日明 -Q 3 U 叶 ∞ ハ の ・ の ・ ﹀ -t y H C P E ) ・ ハ 6 ﹀回円 c o w -u己出。 σ 円 。 話 回 0 5 0 仲出。 ω 日 ) 円 H m H H 同 O 円 吾 O ﹀ 問 。 仏 ︿ ・ し ﹁ 0 4 i m F 出 。 EO 向 。 円 ﹀ 問 。 己 ロ ロ 仏 H ロ ロ ロ H H W H H U 呂 町 。 ・ ω む ハ 一 S N H 一 ) ・ ( 7 ) ﹀ ロ の 向 。 ロ 仲 間 四 一 三 ) 己 M H D k r g 立 の O 円 。 。 門 戸 富 山 の H H ω ロ F N 3 d ・

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。 円 。 ・ 、専門的知識職業人 医師・弁護士・教師・科学者・芸術家・俳佼などは、厳密な怠味では営業者とはいえない。これらのもの L 専門的

(16)

知識労務は、その対価を獲得して営利を追究することを本来的な目的とするものではない。たとえば医師の本分は医 波及び保健指導をすることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与して、健康な国民生活を確保することにあり、ま た弁護士は基本的人松の擁護、社会正義の実現をその使命とする ( 8 ﹀ものである。しかし資本主義的社会にあっては これらの者の労務の提供は、多くの場合その労務の利用者と、専門的知識職業者との合意にもとずいてなされるので あり、労務の利用者は専門的知識職業者に対し、反対給付を提供する契約上の義務を負う、 したがってこの限りにお いては、専門的知識職業者といえども、第三者の交換的自由芯思紘一ねの機会を有するのであって、競争者たり得る。 対価を得るための労務が物質的なものであると精神的なものであるとで営業の性質に影響を与えるものではなく、近 代的な営業活動は程度の差こそあれ、物質的精神的両面を併せもつのである。しかし右に述べたような特殊の専門的 知識を有する職業者は、 一般に高度の倫理的規制をうけるのであって、それらの者の活動に競争的要素が存する場合 も、その競争を支配する法則は適者生存という、 いはど自然的な競争法則ではなく、より高い倫理的根拠をもったも のでなければならない ( 9 ﹀ C このように、これら専門的職業者は倫理的批判をうける機会が多く、この故に一回彼等 がその生活の資を得る方法が法的に保護されなければならないともいム侍る。 こうして専門的職業者もまた競争者として競争秩序に妥当する法の適用をうけるのであるが、その範囲は労務とそ の対価が関連する場合、すなわち交換的自由意思護得の機会ある場合のみに限られなければならない。そしてこのと きは、これら専門的知識職業者もやはり不正競争の主体となる白)。 ( 8 ) わ が 国 の 医 師 法 第 一 条 、 弁 護 士 法 第 一 条 参 照 。 不 正 競 争 法 序 説 玉

(17)

東 洋 法 A日L 寸 一 六 ( 9 ) ( 刊 )

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・ ω 口 口 ・ ω ・ 臼 ∞ (HU お ) ・ 四、労働者 労働組合が独自の名称やマ l クを使用することができ、第三者がその名称やマ!クを不正使用することに対して保 鼓されることは、その他の場合と同様である。ゆえに労働組合が、その名称の不正使用者や誹誘者に対する差止命令 を訴求できるということだけでは白)営業競争における不正競争法の法理をもってこれを律することはできない。す な わ ち 、 た

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それだけの理由のみで、労働組合を営業上の不正競争の主体とすることはできない。 コールマンによれ ば労働者に関する関係を、イ、個々の労働者問、 ロ、組織労働者及び非組織労働者問、 ハ 、 組 織 労 働 者 問 、 ニ、労資 聞の四種の関係に区分し、営業競争の場合と比較し、これらの関係に対して営業上の不正競争法を適用し得るや否や を論ずべきものとしている

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労働の自由市場は資本制経済の一支柱である。一雇主は自由にこの市場において労働力を購入し、労働者との任意の 合意によってその対価を決定する

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このことは私的企業体が、自由な商品市場において取引をする枢利を有する 事情と現象的には相似るものである D したがって両者ともそこに競争が存する。しかし前者と後者では、その競争は 相互の力関係を具にし、労働者が自由労働市場における場合と、私的企業体が自由商品市場における場合とを同日に 論ずることはできない D このことは、労働者の資本家に対する経済的劣後性によっても自明である包)。 個々の労働者の弱体を団結によって補うことは、もはや営業競争に適用される法の規制し得る対象ではない。むし

(18)

ろ、労働市場における労働者の自由を確保し、一腿術者と対等の立場に立たしめるための社会立法的考慮からしても、 労働者の団結が促進されなければならない。かようにして、労働者及び労働組合は相互間に競争関係が存在するも、 営業上の不正競争の主体となる競争者とはならない D (日﹀同 E N m o g E J 1 ・

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司 -ミ z -、 、 ふ J ・ 幻 ふ J , 刀 いかなる契約条件によっても雇傭契約を締結するという自由に過ぎない 第三節 権 利 侵 害 │ 暖 簾 │ 一 、 総 説 不法行為が成立するためには、被告の行為によって、何等か原告の法律上の権利を侵害することが要件とされる。 たとえば身体格の侵害は

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(19)

来 β r 、 可 J も 法 宇 l¥ が法によって認められた権利の侵害にあたらないときは、これを 念 日

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巴 ロ σ 円 五 三 宮 ( 枢 利 佼 守 な き 担 守 一 口 ) と い っ て、不法行為とならない場合であるとされる ( 1 ) 。しかし権利侵害の対象である権利は、社会生活の発展にともなっ て漸次拡張されるものであり、固定的に類型的な権利をとらえ、これに対する侵害のない限りは不法行為が成立しな いとするときは、公平に反する場合も生じる。殊に常に新奇な方法が考案され激しい競争の行われる営業生活におい て、この点が顕著である。営業競争上の不当な行為が、従来認められてきた定型的な不法行為に該当する場合に、こ れを不正競争として禁圧することに問題はなく、実際にも不正競争はそのような発展過程を経てきたものであること は前述した通りである。 ところが、十九世紀産業の興隆は不正競争の観念に大きな発展をもたらした。取引上の営業財産の価値が高まり、 不正競争も、競争者が相手方の顧客獲得の期待を含む暖簾と称する包括的な財産を侵害する点に核心があるものとさ れるに至り、従来の不法行為の定型にあたらぬ行為にも不正競争法が適用されるようになったのである。すでに述べ たように不正競争を禁遇するにつき不法行為理論をもってのぞむ場合は、 たとえばフランスのように、不正競争によ って侵害をうける権利は包括的な営業全体に対する工業所有権的な支配権であるというような法伴杭成によって不正 競争を把握してきたのである。 一方この工業所有権説に従い得なかったドイツは、特別法の制定によって不正競争に のぞんだが、この法によって保護される法益が何かにつき学説が展開されている。わが国も特別法主義によっている が、特別法の規定を欠く場合についてはやはり問題が残る ( 2 ) 。このように大陸法殊にドイツにおいては不正競争に よる被害法益の法律構成に幾多の試みがなされたが、英米法においては、それを阪阪という机念に包括するにつき特

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に問題の生じないことは、大陸法との考え方の相違によるものといい得るであろう。すなわち英米法的な思想は只体 的経験を中心として、バウンドのいうように﹁各個の事件における正義の要求するところに従って、現在問題となっ ている事件を注芯深く処理してゆくということを中心としているのである D 故に現に不正な競争行為によって相手方 はいかなる椛利の侵害をうけたかを問題にするより強い。したがって、大陸法がまず、普遍的命題を設定するために 顧客獲得可能性というような、不確定な利益を合んだ、包括的な枢利としての企業を認めようとするとき感じる程の 困難を党えることなく、英米法は具体的事件における正義の要求に従って、不正競争を防遇するために倒くのであり この目的のために、顧客獲得の期待をも合めた暖僚を不正競争による被害法益と認識するにつき特に問題はないので ある。以下この暖簾についてさらに詳しく述べてみる。 ( 1 ) もっとも責任一元論によれば、たとえ特に法の認めたいずれかの枢利侵害、すなわち個々の不法行為に該当しない場合で も、正当な理由なく故意過失によって他人に損害を与えた場合は不法行為とされる。 ハ 2 ) 四宮教授は特別法の規定を欠く場合について、﹁特許等の無体財産杭の侵害に対しては、それが排他的支配杭であるとこ ろから(それは工業所有権と呼ばれる)物程的詰求権としての妨害排除・妨害予防の請求権が認められる。しかし従来の物杭 的諮求椛の理論を前捉とするかぎり、排他的な支配経として法伴上公認される前段階のものには、それは認められず、まして 顧客獲得可能性ハそれは不正競争の被害法益の大部分を占める)のような不確定な利益を根拠とする侵害除去の詰求などは、 とうてい認められない﹂としさらに、これを認める理論には第一に不京競争によって侵害される法益を排他的支配枢として杭 成する方法及び、第二に、物程的詰求権を物枢の独占物とは考えずすべての程利に侵害除去の詰求権を認める方法を上げ、釘 一の場合には工業所有程説・人格権説などがあるが、何れも﹁不正な手段によって侵害された場合にのみ述法と判断されるよ うな利益である﹂ところの顧客獲得可能性を合めた統一体としての企業を認めることは困難であるとしておられる。同教授は 不 正 競 争 法 序 説 九

(21)

来 洋 法 字 二 O 第二の場合も、企業の利益を害する総ての不正競争について差止命令を認めるには、企業を包括的な権利として椛成する方法 と結合しなければならないが、この考え方によれば、被僻者を誘致するような従来の理論では差止命令の認められない依椛佼 害の不正競争にも侵害除去の利点があるとして、この説に拠っておられる。(四宮和夫前掲一八頁)。 なお、ドイツにおける保護法益論には、コ l ラ!の提案になる人格権説や無体財産権説があり、今日では人格松説よりも無 体財産枢説の方がやや有力であるが、ウルマ l が不正競業法は競業者の利益だけでなく一般公衆の利益をも保護するものであ ると主張して以来保護法益に関する論争は今日重要性を減ずることとなった。保護法益論につき、笠崎光街﹁ドイツの不正競 争法﹂前拘二五頁以下参照。 二、暖簾の意義 暖簾 ( 3 ) の観念は固定的なものではなく、時代により、また営業の種類によって具るものである。それは単に個人 的な評判や信用のみに限られるものではなく(三、 ひろく営業上の価値ありとされる多くの利益を合む。たとえば営 業名称・商標・営業上の秘密・営業上の捺印契約・営業に与えられた賞状などすべて包含される ( 5 ) O 一 六 二

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年に、暖僚とは顧客の愛顕であると定義された例がある ( 6 ) 。さらに一七四三年にハ l ドウイック卿は、 ﹁もし家が大きな営業に使用されるものであるならば、 いわゆる暖簾と称されるものの価値をも勘案しなければなら ない﹂と述べている︿ 7 ) O あるいはまた利益であるとか D 期待であるともいわれた。 エルドン卿の定義 ( 8 ) によれば ﹁販売の目的たる暖簾は、古い顧客は歴史の古い場所に頼るものであるという期待以外の何物でもない﹂という。事 件は荷馬車の輸送に関するもので、こ t A において取者の有する暖僚の価値とは、その地方の人々は誰も馬車が何時も 定った場所から出発するのであり、馬車に用事があればその場所ヘ行けばよいことを知っているという単なる事実で

(22)

あるというのである。また一説は、暖簾とは家屋に附加された有利な地位であるとしす)、あるいはまた、それは、 問客は多分以前から営業されていた場所ヘ集るであろうという見込と期待であると述べている白)。これらの事件で 把握された暖係の意義は、地方的な価値を有するものに限られていたが、暖僚の意義はエルドン仰が述べたように狭 いものではなく、営業に附随したり、営業遂行上に得られる有利な地位のあらゆるものを包含するのである︿

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このように暖僚の観念をひろく解することは、多くの事例にみられるところである。たとえばラ l ネット・ハンド 判事は﹁ニューヨークの法は暖簾の観念を、他州と同じように、 エルドン卿が定義したよりはひろく解する。:::そ れは古い顧客はもとから営業が行われていたなじみの場所へやって来るであろうというばかりではなく、営業者はな じみの名称で営業を続けるであろうという期待をも合むものである﹂といっている

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アメリカの裁判所で最も多 く用いられた定義は次のようである。すなわち、暖簾とは﹁企業によって獲得される価値であり、企業に内包される 資本、資金、あるいは財産の個々的な価値を超越したものである口そしてそれは地方的な、地位とかまたは、技術、 官、さらには古くからの偏見・依佑による一般的な評判などのために、継続的な顧客から与えられる愛加によって得 られるものである﹂というのである

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さらに他の裁判所の定義を引用すれば、 ﹁暖保とは特殊な名称や商号で他と区別された営業所に対して顧客が抱く 好感であると定義づけられてきたが、それは決して不思議なことではないのである。こふに一個人でも会社でも、特 定の車業を継続して営んでいて、その問中あらゆる債務の弁済については細心であり、取扱商品の根年を維持し、絶 対的に正直で公正であるならば、その営業者との取引において、顧客は将来も必ず同様に満足を得るであろうと信ず 不 正 競 争 法 序 説

(23)

東 丘 ﹁ 、 叫 d z 法 '子 るものであり、なじみの朗容の良い評判は新しい顧客を生んで、こ L に、ときには営業が運営される工場とか、機械 以上に重要な価値が生ずるのである。暖簾が財産であるということはひろく認められるところである。:::それはま た地方的特殊性あるいは有体財産と密接な関連性を有する口:::もし、暖僚が寄生的な附加的なものであるとするな らば、それは営業自体から発生した存在であり、営業を遂行するための単なる機枯に寄生するものではない﹂という (日)。またある裁判所によれば、暖簾は継続的な顧客の愛顕であるともいう

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思うに暖係とは、営業者が自分の 営業の継続中に獲得する営業上のあらゆる利益を含むものであり(立、それは地域的な特殊性に関述することもあり また商号などに関連することもあり、顧客によって与えられる営業全体に対する総括的な信用であるが、それ自体無 体財産経の一程として財産権たるの性質を有するものである。 ( 3 ) 回収僚あるいはグッド・ウイルという言葉は一般に使用される言葉であるが、わが国における名称は統一されていない。た とえば、老舗、家戸、営業枢、得意先、報償金、などの言葉が用いられている。段使は、もともと会計学経済学において多く 問題とされたところである(の山口 B m ロ

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カ ード!ゾ判事のいうところによれば、暖簾とは、営業競争において、営業に関する場所、名称、機杭その他が継続あ るいは承継して使用されることにより、顧客がその営業を選択するであろうという妥当な期待である完)という。そ しでか L る期待は、顧客の多少にかふわらず、現存営業に対して、有形的な財産や流動する金銭を超越する価値を与 えるものである

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暖僚は財産である︿却 ) O したがってそれは相続も譲渡も可能である。しかしその移転は営業と共にしなければなら 不 正 競 争 法 序 説

(25)

東 洋 法 戸竺4 寸ー 二 四 ない。すなわち暖僚は、 ﹁地方的特性とか名称を有する継続中の事業と関連してのみ有体的となるのであって、独立 のものとして取扱うことはできない﹂ (幻)のである。暖簾は営業に附随してのみ価値を有するのであって、独立にこ れを取引の対象とすることはできない。たとえば特定の商品に附された商標を商品から分離して該渡することは、暖 僚の継続性を切断するものであり、公衆を混乱に導くものであるゆえにこれを是認することはできない

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結局暖 僚が財産的な価値を有するのは、それが特定の営業または商品などと結合し継続的に使用されることによって、営業 あるいは商品などと一体をなすものとして、公衆がその特殊性を評価するところにあるといえるであろう白それゆえ に、ある生産者が製作した商品の販売者が、その商品に使用している商標のみをその商品の生産者に譲渡したり、ま たは逆に生産者から販売者に譲渡することは有効である口けだし、その譲渡によって商根と商品の結合は破れないか らである(包。しかし、これは例外の場合で、原則的には、暖簾の譲渡はその附随する営業あるいは商品などと共に しなければならないのである

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に売却された場合も同様であり、そのような期待は価値があるものである﹂と述べている。 ハ初)つとにハ i ドウィック判事の指摘するところであり、その後多くの判例によって認められたところである U

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HV ・ 実際に暖僚が譲渡された場合に、それがいかなる営業または商品と結合して譲渡されたかについては、必ずしも常 に明確であるのではなく、暖簾に関する訴訟で多く問題とされてきたところであるが(包、これは具体的な場合に当 事者の意思及びその他の状況を劃酌して定められなければならない D たとえば商品目標や商椋のあるレッテル︿包、 商標の付された商品を生産する機械(む、営業の場所(お)、顧客の名簿(却)の譲渡は、暖簾と共になされたものであ る。またある場合には営業の全部かまたは暖僚が関連する総ての物、あるいは少くとも、公衆によってその暖係に与 不 正 競 争 法 序 説 二 五

(27)

京 洋 法 手 一 一 六 えられた特徴が移転したことを証するに足る、充分な物の移転がなされる必要があるものとされる(叩﹀。また、暖保 の該波の有物性は、談受人がいかなる財産を獲得したかという点のみに関するのではなく、議波人の芯思も充分考慮 されなければならないのである(泊三 暖僚は一般に人的要素(技術的要素)、自然的要素(地域的要素)、法令的要素(人為的要素)に分けられるが、暖 僚はこれらの要素の複合的価値の総称であって、右の要素を個別的に考察することは暖僚の一面的な把握に過ぎな い。また産業規模の発展にともなって、暖簾の観念も変化する。たとえば従来暖簾の重要な要素とされていた自然的 地域的特質は、交通・通信機関の発達によって漸次その重要性を失ってゆく D これに反し、労使間の複雑化は雇主及 び労働者の好訟を営業繁栄のための重要な要素たらしめる。その他営業活動が複雑になるにつれ、広告、居仰のデザ イン、優秀な使用人、公共事業への貢献など、大衆の愛顧を得るためのあらゆる行為をも暖簾創設努力として考慮し なければならない宕 ) O このように営業者にとって重要な財産である暖簾も、それを構成する要素の性質上、極めて侵害され易いものであ る ︿ お ) D それゆえに不正競争訴訟の基本的な目的の一つは暖簾の保護にありとされるのである。営業者が競争者の商 恒何とか商号を浴用したり模倣した場合、彼は大なり少なり競争者の評判を利用していることになり、そのために競争 者は自分の利益を害せられる結果になるのである(包 o 商根侵害の事件においても同様に、暖僚の保護がその基本的な目的となる。そもそも E 問枚板の根本は、防只者をし て営業の同一性を識別せしめる暖簾に存するのであって、その暖簾という観念から離れた商標自体では存在芯義はな

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いのであり、それを専用することによって生ずる価値は法的に認め得ない。したがって商標事件において救済が認め られる根拠は、営業上の暖慌に対する権利は保護されるべきであるという思想に立脚するものであるお ) O (お)ロ o J 1 0 - o 句 50 ロ Z 5 5 0 H k m H J 3 4 5 巳 0 ・ZR-GP ロ 仏 ロ ロ 甘 円 円 。 OB 旬 。 H E o p 出 υ 円 ︿ ・ ﹁ 問 。 ︿ ・ 0 ∞ ( H U U 印) 句 ・ ∞ ∞ ∞ ・ ( m m ) 同 v p 江 戸 自 ω の o E m u -E の -J 1 ・ z m H C 門 戸 の 円 O U 1 ﹀ F R Z 出 与 民 吋 の 口 円 E 幻 戸 . w ∞ 巴 H 口 . ω . 同 司 戸

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・ 5 N H ) では、﹁木件の事実よりし て陸路営業及び生産物に附随した暖僚を将来共維持することは、単に広告がその暖僚に示される摂準を維持することばかりで なく、実に被告もそのために間違を犯さないことにも怒っていることは明かである﹂と述べている。 ( お ) し ﹁ 0 ω O H ) ﹃ 印 の 巴 芹 ω 回 円 O J J 刊 山 口 問 の 0 ・ J 1 ・ 出 O己 m山円。 ロ OH ロ o h v ロ ・ の 0 ・ w M 台 司 ・ ∞ 戸 寸 ( の ・ の ・ ﹀ -m F W H D H u -) ・ 四、暖係の評価 暖慌の評価は事実問題である。評価に関する定った法律上の方法はないが、法廷でひろく認められた方法は、死者 の財産の評価に関しニューヨーク州で用いられたもので、その後多くの州でも採用されるに至った方法である。それ 不 正 競 争 法 序 説 二 七

(29)

来 洋 法 学 二 八 によれば、暖簾の評価は、暖簾と関連する営業の平均年間純益と、暖保使用の年数の相乗積であるという。したがっ てこの方法によれば、暖僚の価値だ暖簾使用の年数及び暖僚に与えられる評判の性質や程度によって左右されること になるわけである。この方法を更に詳細に説明すれば(号、ィ、まず公正な代表的期間に基く平均年間純益を決定し、 ロ、周期間中の年間平均投資を決定し、 ハ、平均年間純益から平均年間投資の利子所得

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六、七パーセント及び有体 財産以外の会社財産の年間余剰取益を減額するというのである。こうしてなされた評価は、財産の無体的部分や暖係 の価値を示すことになるのである。暖僚が公衆によって認められ、価値あるものとされるためには、継続的使用が必 要であり、その期間は暖傑評価算定の基準となるのであるが、判例によって認められたところは大体二年から六年間 位である(む。 しかしこのニューヨーク方式に従っても、暖簾の価値は数学的な正確さで計算され得るものではなく、この評価方 式では捕捉し得ない不確定的な要素が暖僚を結成していることは否定することができない。ゆえに殴係の評価に当っ ても、この不確定的な要素を充分に考慮しなければならない。たとえば、特定の営業にとって不可欠の個人的な信用 とか熟練などは、当然暖簾の評価の際に勘案されるべきものであり、それらを有する特定人が殺害されたり、他の営 業者に誘致された場合は、それによって暖僚が侵害されたことになり、損害額の算定のためには、それらの技術や信 用が充分考応されなければならないであろう

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あるいは商号や商根の継続的使用に関する契約なども、同様に評 価の対象とされるべきである(担。 一方、暖僚はあくまでも事実的根拠に基いたものでなければならないのであって、観念的にのみ存在するものでは

(30)

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ヨユ

o ~ぎ経 1長持榊 Q 紘~~箆ト与~.~' ~兵 11--\) -#l~さや\-'~巡回 ~Q 思~-#l箆令← ~Q t-'~.c--'[[ 苦手l1 t長 J字削 Q 拭 ~rf 沼 4さえ)-#lぎをさ Q 思主主 11 自主部品 l再三'~←-#l Q t-' ~~O (お) Bettendorf v. Bettendorf , 190 Iowa 83 く 1920). (~) .;2..1J A x 古川崎~..1Jれ}~.;2..,4) Q Matter of Rosenberg , 114 N. Y. S. 726 (Sur r. Ct. NY (1 908)). Matter of Gun-binner , 92 Misc. 104 (1915) 川叶 4 れ )~.;I..,4) Q Matter of Silkrnan , 121 App. Div. 202 く 1907); Matter of Ba l1, Div. 79 (1914) etc. ~司叶Alれ )~.;I..,4) Q Bettendorf v. Bettendorf , 190 Ia. 83 (1 920); Pett v. Spiegel , 202 N. Y. S. 650 く 1923) ~(叶 ..1J-o/(J~.;I..,4) Q Von Au v. Magenheirner , 126 App. Div. 257 (1 908) 制.;2 Tifaby & Co. , New York City ~tO~~急会 1鑓判←tO Qll 十母会 J)gM←tOAlれ )~.;I 窓..,4)*itO。 (沼) Bettendorf v. Bettendorf , 190 Ia. 83 , (1920); Waterbury v. Waterbury , 278 Ky. 254 (1 939) , etc. (お) Matter of Brown , 242 N. Y. 1 (1 926); Matter of Borden , 95 Misc 443 (1916); Matter of Bijur , 127 Misc. 206 く 1926). 眼目活思制

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来 洋 法 字

と こ ろ で 、 アメリカ及びイギリスのコモン・ローにおける不正競争は営業競争の方法が従来コモン・ロ l 上不法行 為として認められてきた行為にあたる場合、及びそれからの派生として把捉されたものであるが、営業活動が複雑と なるにつれて激烈となる営業競争において、その秩序を維持し公正な競争を助長するためには、微温的なコモン・ロ ーの保守性のみにその成果を期待することは無理で、制定法による取締措置が話じられたのである。しかし、 コ モ ン ローでも、社会的経済的情勢に対応して、不正競争の範囲を拡張してきた。 そこで従来不法行為とされた行為にあたる営業競争の手段を、不正競争として考察する場合に、損害の発生を要件 とするか否かは、原則としてその不法行為の成立要件によって定るところであるが、従来の不法行為の型にあたらな い 行 為 で 、 しかも営業上不法な競争行為に対して、これを不正競争として禁圧するために、損害の発生を不正競争成 立の要件とするか否かは問題であり、個々の不正競争については各論にゆずるが、 一般に不正競争の訴は差止命令を 求めるのが通常であり、そのため平衡法の考え方が支配的であったこと、すなわち、担害の発生の有無を問わず財産 権を保護するという見地から差止命令が発せられたので、損害の発生は要件とされなかったようである。 損害の発生と行為との因果関係あるいは損害の評価はまた困難な問題を合むが、これについては次試に述べる。 ( 1 ) 訴訟形式の点からみた不法行為は可

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宮 ω ω の訴及び

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の訴によったものが多いのであるが、前者は人・土地・有体 動産に対する直接の侵害に対する訴であって、実在の発生したことを立託する必要がなかった。これに対し後者は同じく人・ 土地・有体動産に対する侵害で、可

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宮訟に至らない場合に用いられた訴訟形式であって、この訴においては災害の発生を立 証することが要件とされた。両者の相呉は訴訟形式の υ 防止された今日も残り、可。 ω 宮 ω ω に当るお合は不法行為の成立要件とし

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て 突 出 古 の 発 生 を 立 証 す る こ と は 不 要 で あ り 、 。 υ ω o の 訴 に あ た る 場 合 は 実 害 発 生 の 立 証 を 要 す る の で あ る 。 第五節 動 機

義 動機 ( 5 2 Z O ﹀ とは、行為がなされた理由をいう。ある行為がなされた場合に、 たとえ行為の外部的態様は同一で あっても、行為時の状況や行為者の内心はほとんどすべての場合に具るとい L 得る。たとえば暴行とか殺人とかいう 行為も、あるときは復舎のためになされる場合もあり、あるいは、他の侵害から自分の自体を詑るためになされるこ ともあるわけである D 同じく他人の間の契約を破棄せしめるためにその一方を誘引する行為も、単に忠行への欲求を 満足せしめるためにすることも、また営業競争のため、あるいは自分の属する労働組合の利益を擁詑する目的で行わ れるときもある。この行為をして特定の行為に出でしめる目的とか理由が動機であって、それは行為に対する行為者 の意思あるいは故意 ( E H O E -o p ) とは異る。故意は動機よりは行為に対する直接性があり、動機は特定の行為を行う 意思の背後にあり、その意思に出でしめる原因となっているものである ( 1 ) 。したがって、故意は動機の普思によっ て岩色されるものではない。自己を防街せんとして他人に暴行を加える場合も、 やはり暴行の芯思は存在するのであ る 。 動機にはとくに邪悪の動機 ( 2 0 -B o Z S ﹀とされるものがある。動機が不法行為の成立に関係するか否かというこ とは、行為自体は違法でない場合に、邪悪の動機があるためにその行為が不法行為とされるか、あるいは行為の外形 不 正 競 争 法 序 説

参照

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