エンジン精密制御技術
Preci$ionControITechno10giesforAutomotiveEngines
藤i軍正明*
肋∫〟〝か叫/ね√=〉√′永野正美*
肋∫〟川7∧如プ7(ノ エンジンコントロールユニット ち≒-転転
も†石井俊夫*
m5ん才りム/∼∼才 藤下政克* 此z∫α々〟/.ゞ∼イflz少7.ゞ仙〟 エンジンの精密制御技術 排出ガス浄化技術 燃費向上技術 オンボード診断技術 運転性向上技術 環境保 全 快適性 エンジンの精密制御技術 精密なエンジン制御方式と小型・高性能な]ントロールユニットを開発し,環境保全と自動車の性能向上の両立を図った。コントロールユニ ットは,狭い空間への装着を可能とするため,高密度実装技術によってダウンサイジングを進め,体積比で従来の45%(当社比)にした。自動車のエンジン制御には,地球環境保全のため
の排出ガス浄化や燃費向+_しこと,快適で安全な自動車
のための動力性能や静粛性の向上などが同時に求め
られている。これらを両立させるためには,エンジンの挙動をより精密に解析し制御することが必要と
なる。そのため,(1)排∼1■■ガス浄化技術として,エンジン
に供給される空気と燃料の挙動をモデル化し,それ
に基づいて空燃比を精密に制御するモデノ.レ規範型制
御方式,(2)燃費向上技術として,エンジンのノッキ
*r=†二製作所臼軌車機器さ拝業部ングの振動波形をリアルタイムで周波数分析して高
精度に検出するディジタルノック検出方式,(3)米国
カリフォルニア州のOBD【Ⅱ(OnBoardDiagnostic
SystemPhase-Ⅱ)規制に対応するオンボード診断
技術,(4)運車云性の向上をねらったアクティブノ.1火時
期制御などの新しい制御方式を開発した。
また,これらの制御を車載用として実現するため,
高性能ワンチップマイコン(マイクロコンピュータ)
を搭載した高密度実装のエンジン
コントロールユニットを開発した。
n
はじめに 地球環境保全のための排出ガス規制への対応と,より 快適で安全な自動車とするための運手引生や性能の向上を 両立させるには,従来のエンジン制御方法に比べエンジンの挙動をより精密に解析し,その結果に基づいて制御
することが必要である。ここでは,このような要求にこたえるために日立製作
所が開発した代表的な新しい制御方式と,それを車載用
として実現するためのエンジン コントロールユニット について述べる。8
排出ガス規制対応技術
排出ガス規制に対応するため,図lに示すような技術 について開発を行い実用化してきた。ここでは特に空燃 比の精度向上のための技術について述べる。 空燃比の精密制御は,図2に示すように空燃比を14.7 の近傍に制御することにより,触媒の排出ガス浄化効果 を最大限に引き出すことを目的としたものである。 空燃比を正確に制御するためには,シリンダに流人し た空気量に基づいて燃料噴射量を決める必要がある。し かし,実際には図3に示すように,熱線式空気流量セン 燃焼の改良 空燃比の精度向上 混合気の質の向上 点火エネルギーの増大 触媒浄化 効率の向上 触媒の早期活性化 空燃比の精度向上 始動時の最適燃料噴射制御 嘆機時の最適空燃比制御 過渡時の最適空燃比制御 燃焼センサによる 空燃比フィードバック リーンリミットの制御 デュアル02センサシステム エアアシストインジェクタ 燃料噴射タイミング制御 イグニッションコイルの大型化 イグナイタの大電流化 電動エアポンプシステム 冷機時点火リクード 暖横時の最適空燃比制御 暖機時の最適空燃比制御 過渡時の最適空燃比制御 図l排出ガス規制対応技術 排出ガス規制に対応するための制御技術の体系を示す。れ(センサで流量を検出してから実際に空気がシリンダ
に流入するまでの時間),吸気管を流れる空気の慣性による週給効果などにより,センサで検出した空気量とシリ
ンダに流入した空気量とは一致しない。また,インジェクタが噴射した燃料量と実際にシリンダへ流人する燃料
畳も,吸気管内壁面への付着,気化などによって一致し ない。そこで,空気吸入系と噴射された燃料の挙動を図4に
示すようなモデルで表し,これに基づいてシリンダ内に流人する空気量と燃料量を正しく推定するモデル規範型
制御方式を開発し,空燃比制御幅を従来の半分以下の±0.5以内に制御できた1)。エアフローセンサの応答遅れ
に対しては進み補償を行い,慣性週給の影響は吸気管内
圧力推定値とエンジン回車云数から推定する。また燃料系の液膜補償は,蒸発時定数と付着率をパラメータとして
計算する。 ホ唱ぺ屯玉茸G懸河僧蕃要 CO HC l 現状 空燃比制御幅 目標 NOx l l l l 8 10 12 14 16 18 20 22 14フ 空燃比 (理論空燃比) 図2 三元触媒の浄化効率 空燃比が川.7近傍で触媒の排出ガス浄化効率は最大となる。 熟練式空気流量センサの応答遅れ,行程遅れ 慣性過給効果\
熱線式空気流量センサ 吸気管 エ ジ ン イ′′′-′ クタ 着 付 料 燃 液膜 図3 燃料噴射系の模式図 空燃比を精密に制御するためには,空気の流入遅れや燃料の吸気 管への付着などの影響を正確に把握することが必要である。熱線式 空気流量センサ 吸気管内圧推定値P エンジン 回転信号〃 センサ進み補償 圧力差分式 P-〃マップ検索
p野
シリンダ流入 空気量 気筒別液膜補償 パラメータ ●蒸発時定数 ●付着率 燃料 噴射量 図4 燃料噴射系の制御モデル 空気系と燃料系をモデル化して,真の空気量と燃料量を推定 する。この結果,図5に示すようにFTP(FederalTestPro-cedure)モードでCOを13%,HCを25%それぞれ改善す
ることができた。 燃料噴射系の動特性をモデル化したことによ-),実験 は基礎データの採取だけでよく,最適なパラメータの設 定はコンピュータ上で行えるため開発工数を低減する効 果もある。凶
燃費向上技術
3.1ディジタルノック検出方式エンジンの点火時期を最適に制御することにより,燃
焼効率と燃費の向上が図れる。そのため,異常着火であ
るノッキングを検知して,点火時期を最適に制御するノ
ック制御が従来行われている。今回ノッキングをより正確に検知する方法として,ディジタルノック検出方式を
開発した2)・3)。州恥小山外部巾恥心叫叫什㈲紅叶叶汁止U
m ′叩4 3 2 1 速 ]阜 C H +A-4COLDエミッション試験結果(1山目) 注:-(モデル規範型制御) ・・・t・(従来制御) LA-4HOT18山CVS結果 (従来制御此) 0 ヽ、 C .\ _lI ′/ 効 果 CO -13% HC -25% NOx 図5 空燃比精密制御の効果 FTPモードでCOを13%,HCを25%それぞれ改善できた。 15 12 ミ 9 +こ_ t\ qく ぺ 6 な でき 型でク 乗出ツ 従検ノガ㌃召
10 15 20 周波数(kHz) 図6 ノックの周波数分析と従来のノック検出の問題点 従来のノック検出方式は,複数のノック周波数成分のうち特定周 i皮致しか検出できなかった。ノッキング発生時のシリンダブロックの振動には,複
数の共鳴周波数成分があるが,従来はそのうちの特定周波数成分だけを用いてノッキングを検出していた(図6
参照)。これに対しディジタルノック検出方式は,シリンダブ
ロックの振動をリアルタイムで周波数分析し,その結果
から複数の周波数成分に基づいてノッキングを判定するものである。高度な演算処理は高性能マイコン(日立H8/
330)の採用によって実用化した。ディジタルノック検出方式によってノック検出能力は
従来に比べ1.5倍に向上し,燃費低減が図れた(図7参
照)。 また,これに用いられるノックセンサは筒内圧センサ でなく,従来使用されてきた圧電式ノックセンサを用い 100 0 0 0 0 ▲‖0 企U 4 2 只謎ヨ埜へ>\ ディジタルノック検出方式 (周波数分析型)一く
従来方式 ▲--■●■ 2 3 4 5 エンジン回転数「/min(×1,000) 図7 ノック検出率の比較 従来方式とディジタルノック方式のノック検出能力の比較を示す。 複数の周波数成分を用いる後者のほうが優れた検出能力を示す。3.2充電系制御システム 充電系制御は,オルタネータの発電電J_1三を最適に調整 して充放電バランスを確保しながら,エンジンに与える
発電負荷を最小限に制御することによって燃費を向.卜さ
せる技術である。充電系制御には次の二つがある。その 効果を表1にホす。 (1)負荷トルク漸増制御アイドル運転中に電気負荷が投入されたとき,オルタ
ネ一夕の発電負荷を滑らかに変化させる。この制御によってエンジンの回転変劾を抑制し,アイドル回転数を低
く設立できるため燃費向上が凶れる。 (2)可変電1t制御 運転条件に応じて光電電圧を最適に制御する。この制御により,バッテリの化学反応熱として損失となる余剰
発毛を防止し,燃費向上が阿れる。巴
オンボード診断技術
米匝Ⅰカリフォルニア州のCARB(CalifonliaAirResources Board)は,従来診断内容を人幅に強化したOBD-Ⅱ規制 を1994年型辛から実施した。日立製作所は1994年型車で の規制内容を満足したシステムを開発し,1994年1月か ら製品化した。 0Ⅰ〕D-Ⅱ対応エンジン制御システムを図8に示す。診 断方法の概要について以下に述べる。(1)エンジンの失火状態検け1
エンジンのl叫転角速度変化を評佃し,エンジンの失火状態を検汁ける。
(2)触媒劣化桧山
表l 充電系制御の効果 オルタネ一夕の発電を最適に制御することによって回転変動を 抑制し,かつ燃費の向上を図る。 制御目的 制御内容 効果 ア イ ド ノレ 回 車云 (l)電気負荷外乱時の 負荷トルク漸 増制御 回転落ち75r/min アイドル回転変動低減 低減 (2)アイドル回転数低下 アイドル燃費2∼ による燃費向上 3%向上 運 転 性 川加速性向上 可変電圧制御 回転応答時間0.09s 短縮(アイドルー 4′000r/min) (2)始動性向上 回転応答時間0.07s 短縮 (400→l′000r/min) 燃費向上 可変電圧制御 燃費向上0.5∼l.6% (LA-4CHモード) 媒の機能を診断する。 (3)02センサ劣化検‖センサの応答特性を評価し,空燃比フィードバック用
02センサの機能を診断する。 (4)エバポフロー診断 キャニスタからの混合気の流量を評価することによ り,キャニスタパージ系の機能を診断する。 (5)燃料系システム診断 空燃比学習伯を評価し,燃料系の機能を診断する。 (6)排出ガス関連部品の診断 電気的な接続状態を評価することにより,排出ガスに影響を与える関連部品の診断を行う。
(7)MIL(MalfunctionIndicator Light)検出された故障の状態によってMILを点灯する。
(8)GST(Generic Scan T()01)検出した故障の状態を表示するためのツールに,故障
の内才子を出ノJする。同
運転性向上技術
連車云性は人間の感件に訴える部分であり,運転者や用 途などで好みが異なる点に対応の難しさがあるが,運転 性向_卜は中の商品性にとって重要である。このため,一醐
[至極垂直]
キャニスタ 燃料タンク EGR パルプ' パージバルブ EC] 熟練式 空気流量センサ ISC パルプ' 後02センサ触媒 回転数 センサ1 回転数センサ2 エンジン リングギヤ直観
[夏麺]
二次空気 ポンプ ソレノイド バルブ 二次空気 システム診断 前02センサ 02センサ 劣化診断 エミッション 関連部晶診断 注:略語説明 EC](E=gineCo=trOlU=itこエンジンコントロールユニット) EGR(ExhaustGasRecirculation;排気還流) 】SC(IdleSpeedContro】;アイドル回転数制御) 図8 0BD-Ⅱ対応エンジン制御シ,ステム 最小限のセンサ追加によってOBD-Ⅱ機能を実現している。制 御 な L 制 御 あ り 0 0 2・5 (∪二モ上 4321■山1ウ. 〇.□.ト.00 TO▼□.ト.可 (.首一己可家督¥叫 葺意収回八八八H 5A-32+0+ 00 0 0 0 0 一 (叫)U雌噸コ蒜塙匪僻 加速 〃ど ADV G 加速 Ⅳe ADV G
宝達走行時に車両が前後方向に振動するサージ,加速時
のもたつき,息付き,アイドル運転時のエンジン回車云変 動などを解決することが重要である。 一定速足行および加速時のサージの原田は,燃二晩の変 劾やトルクの急変によって引き起こされる馬区動系のねじり振動である。前後方向の振動の主成分は,10Hz以下の
低周波振動であi),人間が最も敏感な振動城と重なる。アイドル運転時のエンジン州車云変動の原岡は燃焼の変
動に起因するものであり,車体やステアリングを振動さ せる。 そこで,一定速足行および加速時のサージや,アイドル運転時の回車云変動を防止して静粛性を確保することを
目的として,アクティブ点火時期制御方式を開発した。 これは,エンジンL叫転数の変動をきめ細かくとらえ, 点火時期を凶転_1二昇時は遅くし,下降時は早くすること によって回転変動を抑制するものであり,図9,川に示すように車両前後方向の振動(G)やエンジン回転数の変
軌幅を抑えることができた。 制 御 な し 制 御 あ り Ⅳel』〃e=45「/min
点火時期 Pi変動率(%)24,0 回転変動賽(%)8.8 〃e=700「/min CO十CO2十THC=15.3% Ⅳe +JV2=30「/mi【 23・1点火時期 7.5 図10 アクティブ点火時期制御の効果(2) アイドリング時の回転数変動を抑制することにより,安定したア イドリングが得られる。 注:略語説明 〃e〔エンジン回転数(r/min)〕 G〔車両前後加速度(g)〕 ADV〔点火時期(deg.)〕 図9 アクティブ点火時期制 御の効果川 加速時の車両前後加速度を抑 制することにより,滑らかな加 速感が得られる。8
エンジンコントロールユニット
以_L述べたような新しい制御方式をエンジン コントロールユニットとして実現するためには,半導体技術,
高密度実装技術,シミュレーション・解析技術などが必 要である。また,コントロールユニットの製造工程そのものも環境保全を考慮したものにする必要がある。
6.1マイコンの高性能化
日立製作所は1979年から8ビットマイコンを用いたエ
ンジン コントロールユニットを生産し,1992年から16ビットワンチップマイコン(日立H8/500シリーズ)を採
用した。これにより,CPU,Ⅰ/0,メモリの3LSIがワン
チップに集積化でき,また,演算処理能力も約10倍と飛
躍的に向上して大規模かつ複雑な制御に対応できるよう になった。 エンジン コントロールユニットでのCPU,メモリ,および周辺Ⅰ/0の集積度は図‖に示すように,およそ10
年間で4∼5倍になっている。今後もこの傾向は続き,要求機能・性能は増大してさらに高性能のマイコンシス
テムが必要になると思われる。そのため,現在の16ビッ トマイコンシステムに加え,さらに上位の32ビットRISC(ReducedInstruction Set Computer)のマイコン(目
立SHシリーズ)を・採用した次世代型システムの開発を 推進中である。 6.2 高密度実装 コントロールユニットは機能・性能を拡大しながら,
自助車の居住空間の拡大や,自動車1台当たりに使用さ
れるコントロールユニットの台数の増加に応じて,サイズは小型化しなければならない。口立製作所は,表面実
装を主体とする高密度実装技術により,エンジン コント ロールユニットのダウンサイジングを進め,1987年に体 積比で従来の60%(当社比),さらに1992年にはr司45%に100 轟 空 蝉10 鰹 琳: 1980 1985 1990 1995 2000 年 度 図Il半導体集積度の推移 エンジン コントロールユニットに使われる主な半導体(LS卜)の 集積度(使用トランジスタ数)を,1979年をlとして表したもので示 す(1995年以降は予想値)。 小型化した製品を開発した(15ページの写真参照)。 将来はさらに小型化が促進されるとともに,エンジン 室内への搭載も多くなると思われ,こうした要求に対応 できる小型・高信頼性コントロールユニットの開発も進 めている。 6.3 信頼性設計技術 コントロールユニットの小型・高密度実装設計でCAE