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一つのクリープ試験が、開始から40年を突破 !

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Academic year: 2021

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同時発表: 筑波研究学園都市記者会(資料配布) 文部科学記者会(資料配布) 科学記者会(資料配布)

一つのクリープ試験が、開始から40年を突破!

- 世界第2位、国内初の40年超のクリープ変形データを取得 - 平成21年6月16日 独立行政法人物質・材料研究機構 概要: 1.独立行政法人 物質・材料研究機構(理事長:岸 輝雄)は、中期計画における 知的基盤の充実に向けた取り組みの一環として、クリープデータシートプロジェク トを実施している。 この度、昭和 44 年 6 月 18 日に開始したクリープ試験1)が、平成 21 年 6 月 18 日 に試験開始から 40 年が経過し、クリープ試験時間が約 348,310 時間(正午時点) に到達する。 2.ドイツ、ジーメンス社で 2000 年に中止したクリープ試験が、これまでに世界中 で報告されている最長のクリープ変形データであり、試験時間は 356,463 時間であ る。300,000 時間を超える長時間クリープ変形データはドイツで他に 3 件が報告さ れているが、当機構が取得した 40 年のクリープ変形データは、世界第2位の長時 間クリープ変形データとなる。当機構は、300,000 時間を超えるクリープ破断デー タをすでに 3 点取得しており、11 本のクリープ試験が 30 万時間を超え、世界最長 を目指し、現在も継続中である。 3.試験片はボイラー及び圧力容器用炭素鋼鋼板(JIS G3103, SB480)から採取した 0.3%炭素鋼であり、クリープ試験条件は温度が 400℃、応力は 294MPa である。 【40年クリープ変形データについて】 電気炉の省エネ化の改造に伴う1回の中断(昭和60年2月21日から5月29日までの 97日間)を除き、事故などによる中断のない連続試験により、40年のクリープ変形 データを我が国で初めて取得した。取得したクリープ曲線(ひずみと時間の関係) を図1に示す。荷重を負荷したクリープ試験開始時に約1.8%のひずみが生じ、そ の後、試験時間の増加に伴い徐々に試験片のひずみが増大し、40年間が経過した時 点で約23.8%のひずみに到達した。

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【40年クリープ変形データ取得に伴う波及効果について】 当機構で発行するクリープデータシートは、国内ばかりでなく海外でも十分なデ ータが無い長時間クリープ試験データを、中立的な立場で厳しい試験規格に従って 取得していることから、信頼性の観点からも国際的に高く評価されている。 これまでに発行してきたクリープデータシートは、クリープ破断データが主体で ある。クリープ破断データは、高温での許容引張応力2)を決定する強度特性であり、 国内外の規格策定で規準的参照データとして利用されている。 一方、発電プラントや化学、石油化学プラントなどの、高温・高圧の厳しい条件 で使用される機械構造物の安全性を高めるためには、許容引張応力による設計だけ でなく、微小領域の応力状態や変形挙動の解析が求められている。今回取得した40 年クリープ変形データは、そのような解析に必要な材料の基本強度特性を与える。 現在も多くの長時間クリープ試験を継続実施中であり、多くの長時間クリープ変形 データが蓄積されつつある。 系統的に取得された、これら数多くの長時間クリープ変形データは、国内だけで なく海外でも十分なデータが見当たらず、信頼性の観点からも国際的に高く評価さ れている。そのため、国内外での高温機器構造物の強度設計における設計応力の設 定や材料選択などでの基盤的な材料強度特性データとして、また、長期間使用され た高温機器部材などの金属材料の劣化状況や、余寿命評価などを判断する場合の基 準的参照データとして、広く活用されることが期待される。 【参考情報】 クリープデータシート発行に向けた取り組み クリープデータシートの作成は、知的基盤の充実に向けた主要課題の一つで、国 産高温用金属材料のクリープ強度データを取得し、データシートとして発行するこ とを目的としたものである。長時間クリープ試験は、旧金属材料技術研究所時代の 昭和41年度から開始しているもので、66種類の耐熱金属材料について、10万時間(約 11年5ヶ月に相当)を超えるクリープ変形量や破断データを得ることを目標とした試 験が現在も続けられている。また、リラクセーション試験3) を昭和43年度から行っ ている。 クリープデータシートは、既に初版、A版、B版4) を含めて延べ134冊が発行され、 国内外の研究機関、政府機関、学協会、大学、企業等で高温構造物の設計や、維持 管理、材料開発、規格制定などの基準的参照データとして利用されている。また、 データシート作成の一環として、微細金属組織及び評価データを収めた微細組織写 真集、長時間クリープ変形データを収めたクリープ変形データ集やデータシートと してはなじみにくい計画策定主旨、試験方法、解析手法等の情報を提供する目的で、 資料集を作成している。

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クリープデータシートプロジェクトで取得した長時間クリープ試験データを用い て、高温での長期使用に伴う経年劣化機構の解明や、クリープ寿命予測法の高度化 に関する研究を進めている。当機構が提唱した『領域分割解析法5)』は、高強度フ ェライト耐熱鋼の長時間クリープ強度の見直しにおいて採用され、火力発電プラン トの設計基準である「発電用火力設備の技術基準の解釈」に規定された許容引張応 力の引き下げ6)や、寿命評価式7)の策定に反映されている。このように規格・基準 などを通して、クリープデータシートプロジェクトの成果は火力発電プラントなど の安全性確保に貢献している。 問い合わせ先: 〒305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 独立行政法人 物質・材料研究機構 企画部 広報室 TEL 029-859-2026 FAX 029-859-2017 事業内容に関すること: 独立行政法人 物質・材料研究機構 データシートステーション長 木村一弘 TEL: 029-859-2229 FAX: 029-859-2201 E-mail:[email protected] <用語説明> 1)クリープ試験 高温で金属材料に荷重がかかると、時間の経過に伴って徐々に塑性変形が進むク リープ(Creep: 「這う」という意味である)という現象が起こる。このため、ボイ ラーやタービンなどの火力発電プラント、石油化学プラントの圧力容器などの大型 高温機器に使われる材料でクリープが問題になる。クリープ試験とは、高温に加熱 された試験片に一定の荷重をかけて、金属材料の時間の経過に伴うクリープ変形量 や破断するまでの時間を測定する試験である。 2)許容引張応力 機械構造物を設計・製作する場合、部材にかかる荷重が、材料と使用温度毎に決 められた許容引張応力以下になるようにしなければならない。室温および約400℃以 下の比較的低温では、引張強さと降伏応力あるいは耐力が許容引張応力を決定する。 しかし、400℃以上の高温では、クリープ強度が許容引張応力を決定する。日本国内 では一般に、1,000時間で0.01%のひずみ(10万時間で1%のひずみに相当)が生じ る応力と10万時間でクリープ破断する応力の最小値の80%あるいは平均値の67%の

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3)リラクセーション試験 応力のリラクセーションはクリープ現象と表裏をなす現象である。すなわち、高 温における一定ひずみ条件下で、金属材料に負荷された応力が時間の経過とともに 低下する現象である。例えば、フランジを強固に締付けたボルトの締付力が時間の 経過とともに低下するという現象が起こる。このため、クリープと同様に、高温機 器部材の設計では金属材料のリラクセーション特性が問題になる。リラクセーショ ン試験とは、高温に加熱された試験片を一定のひずみに保持して、金属材料の時間 の経過に伴う応力低下量を測定する試験である。 4)出版条件 初版出版条件: 約 1万時間までのデ-タが得られたとき A版出版条件: 約 3~5 万時間までのデ-タが得られたとき B版出版条件: 10万時間を超えるデ-タが得られたとき ただし初版の内容は A版に、 A版の内容は B版に吸収される。 5)領域分割解析法 高強度フェライト耐熱鋼のクリープ強度を、高精度で評価及び予測可能な手法と して当機構が提唱した。引張試験で求めた0.2%耐力の1/2という簡便な指標を用い て、高応力域と低応力域に領域を分割して、クリープ強度を解析するものであり、 長時間クリープ強度の予測精度を大きく向上させることができる。従来法と領域分 割解析法によるクリープ強度の予測結果を比較して、図2に示す。 6)許容引張応力の引き下げ 我が国の火力発電プラント用設計基準である「発電用火力設備の技術基準の解釈」 に規定された高強度フェライト耐熱鋼(高クロム鋼)の許容引張応力は、『領域分 割解析法』による再評価結果に基づいて、平成17年12月14日付(経済産業省原子力 安全・保安院 NISA234c-05-8)及び平成19年8月1日付(同 NISA234a-07-2)で引き 下げられた。 7)寿命評価式 上記6)において、許容引張応力が引き下げられた材料を使用する火力設備につ いて、適切な余寿命診断を基本とした維持管理を行うための評価式であり、『領域 分割解析法』による再評価結果に基づいて、平成17年12月14日付(経済産業省原子 力安全・保安院 NISA234c-05-9)及び平成19年8月1日付(同 NISA234a-07-4)で制 定された。

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図1 0.3%炭素鋼の40年クリープ変形データ

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National Institute for Materials Science

超長時間の高精度クリープ変形データ

1969年6月18日 試験開始

2003年12月14日

30万時間到達

1977年

ひまわり1号打上げ

王選手 世界新記録

756号達成

1985年

つくば科学万博

1992年

毛利さんエンデバーで宇宙へ

348,262h経過

試験進行中

(2009年6月16日)

1969年7月20日 アポロ11号月面着陸

平成

21世紀

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参照

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