北海道東部湿原の群落学的研究 (第4報) : ヒラギシスゲ根系隆起の構造
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(2) . 第10巻, 第1号. 北海道学芸大学紀要(第ニ部). 昭和34年7月. 第4報} 北 海 道 東 部 湿 原の 群 落 学 的研 究 ( ヒ ラ ギ シ ス ゲ 根 系 隆 起 の 構 造※ 田. 中. 瑞. 北海道学芸大学釧路分校. 穂 生物学教室. i I Studies on the i ルl ologi ca zuho TANAKA: Phytosoc i i E H k k d t N[ oors n as ern o a o IV. l ikerootsystem in l ana lyses on the tonsure - Structura ty , the Cαγe海 A2 7虎c湖αCommuni ′ だo 9⑦婚前 . ,. ibed each ig i l ttyPes and descr iv idedth i ty into e l s commun ) 1 ,1d . 1n the previous paper(Report3 l i l l i k h b t up by l l h t ‐ l h t t v i n e a a s u l s r e u h r e o u e i l t r t e r s a e o p i t s a f h t t s n t u c u r e p n a s r p v e a o p , e r e o g . i ion, tut lystages makeastrongconst inchl ikethebuninear i i i h b l T h i h n sr s n c the a v a e s eu e y rroots g p , i i ion ofthe moorin th l expl i tat sreg1 on tura ly the agr tura1 and pas o , cul and they checkintense ing in May ing l i l ts in spr i esnow me 2 . After sprout , ed under mud wh . The young onesare bur i t h t E r in i l l ing L s from seven o t r y a ye f fected by therepeatof t r andthe number i i e the se r growthi , , ing ・ ike a bunch type wi th years i nud se upwards l , keep s in a sunny place where they r our sample i l l ing part 1 m ー er a ong the t . l l igh i i l netres h 3 se more than ten cent , we can see that the head gradua y grows . VVhen they r ion of i 1 1 T d h t 1 i k b t t V s e ct ighthe irshapeseems e er ca imetres h ea reverSe o e i 1arge . rty cenヒ ,andin th ight 1 1 s i th owing threes sstageshowsthe fo . ti l sscanty i tuted With bund i t ed roots . s ch eay cons ) The narrow necki a , andthe mudini. imes l t l lant neck upheava ow・ ideof the l l l arge head ascend as y in a l , but they some b ers ins ) Ti l i ly in a high‐neck one zonta extend hor . l i ds the ▼ ; ’ ion. 舌o9α郡Brsoγ伽dz t加 08α膨れ新潟 bu l ? β ? ?煽る of ( dd ) ln the mi e of the head c , an ant poPulat f h h t t T f t l k h h e head d e o o t r e i t r o tsan s a s ere ee p tructs the place ー law ng roo , nest and recons . ,g. l d stages imes barein o ion and somet i . s poorin vegetat i l ・ l etres deep d h i k h t . The s n the nec reac un er e ground twenty to forty cent 4 esof root . Bundl i ly l dt i b h l f h t i n . o u t es o ght i i w w e r e dl e d v e i i m a r a , i vng ones are co p y ty ofthem s w there up an , major l i 丘 d t 1f i i t n w i 1 r e o r c a i h n sa e n o d h u n c o b tt h o c a h t r S o . d tr n e g Under the hea , many S or oos ang ow , u py ’ ll ica ) ig inatein the mechan ressin 1 1 perhapS or 1 i 1 i i s growth wi The change of the d er on of a t rect. ion of ants tat the central part of the head andin theinhabi .. 1 。. は. じ め に. ヒラギシスゲは密集団を構成して, 主として湿原の周辺部に生育するものであるが, 隆起上の )し ) し またその発達の過程については別に報告2 所生植物についてはすでに第3 報において報告1 , た. し か し, 開 発 に と も な う 泥 炭 地 利 用 に さ い して 大 き い 障 害 に な る こ の 隆 起 の 性 状 に つ い て は,. )の報告がある )および辻井4 舘脇,辻井3. みで, 隆起内部の構造などまだ不明の所が少く ない, 筆 956年以降隆起の断 面をもとに内部の構 造を調査し, 若干の知見をえたのでここに報告いた 者は, 1 した い.. 升 本報告の一部は第23回日本植物学会大会( 1 958 ) で講演した. . -126-.
(3) . 北海道東部湿原の群落学的研究 (第4報). は じめに, つねに ご指導をうけ報丈の校閲をもたまわつた千葉大学文理学部沼田真助教授にあ. つくお礼申し上げる,. 2 . 研究の方法. 調査は第3 報と同じく, 主として釧路湿原の周辺部にみられるヒ ラギシスゲ純群落あるいはそ. れ に近 似 した 密 集 団 を え ら び, ラ ン ダ ム ・ サ ン プリ ン グ に よ っ て 抽 出 した 各 々 の 標 本 に つ い て 行 っ た, す な わ ち. \、 ぬ \\. ′. / & ′. Fi g・1. 隆起 の 縦 断 面 図. 調 査 し た.. 3 。 結果ならびに考察. 生育当初のヒラギシスゲは螺集分布にちかく, 湿原周辺の沢あるいはヤチダモの林下など比較. ′ 的 裸 地 の 多 い 局 地 に 生 育 し, 隆 起 を 形 成 す る には い た っ て い な い (Photo ) ,2 . 筆者はこれらのうち. の若干を標本にとり, 春季出芽の状況を観察してきたが, この結果によれば, 前年の枯死した茎葉 は春季融雪水とともに移動する泥土によって全く埋淡され, 5月 中旬にいたって泥土中より出芽し て く る. は な は だ しい 例 で は 5cm 以 上 の 泥 土 に 埋 捜 して い る の も 観 察 さ れ る(Phot o ) .3 . 1茎より 5~17 本の根が教えられ ( Pho t ) o ,1 , また年間における分けつ数は 7~30 を数えたが, これは生育. 後の年数に関係すると思われるので一般的な数値とはいいえない. 実験室内で水耕したものにあっ て は, 7 月 1~15 日 の 間 に 4 個 の 分 け つ を み た. 隆 起 を 形 成 す る に い た ら な い 若 齢の も の で も, 分. けつを重ねた株は枯死した茎葉の間に泥土を含んで密な組織となり, 地下根群とともに泥土の流亡. を 防い で い る, こ の こ と か ら み れ ば, 隆 起 の 形 成は 年 々 泥 土 を か ぶ っ て 組織 を 強 固 に す る と と も に, 旺 盛 な 分 け つ に よ る 増 大 と 周 囲 土 壌 の 流 亡 と の 二 つ が 相 ま っ て 促 進 さ れ て い く もの で あ ろ う. つ ぎ に, す で に 隆 起 を 形 成 して い る も の に つ い て は, つ ぎ の ごと き 結 果 を え た. Tabl e l。. 縦 断 面 に み られ る A, a , H,h の測定値 No e P1 ot ‐ of Sampl. 6 A a. 11. H. 7. h. の. 718. 14 17 18 20 9. 9. 8. 7. 10. 9. 9. 10 11 12 13 14115 16 17 18 19. 16 18 18 18 26 24 23 30 34 35 27 14 11 11 10 11. 9. 11. 9. 13 12 15 16. 10 13 13 16 17 19 20 20 20 22 24 24 25 28 28 30 30 31. 10 13 ) 9 ( )(. 9. 10 12 ( 20 ) 12 14 11 13 11 13 12 17 14 13 17 No ot . of Sample P1. 21 22 23 24 25126127 28 29 30 31 32 33 A a H h. 34 35136 37138 39 40. 29 28 35 46 37 39 40 39 43 48 39 35 40 49 46 47 49 47 59 18 20 19 18 13 20 22 19 23 25 19 14 21 19 21 25 24 27 29 35 38 38 40 41 42 44 46 47 49 50 50 51 52 54 55 61 66 70 19 22 25 18 24 28 30 27 34 24 23 25 30 27 29 30 29 32 35. -1 27-.
(4) . 田 中 瑞. 穂. X ・ △ △ A △× ×. . △ ヌ . , ,,. x・△ ・・ x. X・”. ・力 も .・ ・九 ・”. ・ a △ …・ .. △. 6 0. βo. Fig. 2.. ′ ク ク. 0 ′2. ′デ ー タ. H と m,n な ら びに α の 関 係. 1 ) 底面ならびに頭部の大きさの関係についてみれば, 時計皿をふせた形状から膨大していく 0~20cm の 間 に お い こ の 隆 起 は 1ocm 以下では底部の方が大きい安定型となっているが, 高さ 1. て 頭 部 は しだ い に 底 面 よ り も 膨 大 して い き, 30cm にいた れば明らかに頭部の大きい逆徳利型にな. る. しかし, この頭部は根の集合したものではなく, 現に生育するか, あるいは枯死 したまま重な っている分けつ部位の集合した組織でしめられ, その間を比較的少数の根がのびている. このため Pho t ) o 中心を通る縦断面をみれば分けつの方向を容易に知ることができる ( .5 , 頭部の西端にお ,6. )をとれば, q が び に近いほど上方にまつ すく 生長 して い る こ と を ける分けつ方向のつくる 角度( Q 0 0 1 8 意 味 し, に近 づくにつれて, 生長方向は 斜めから水平方向に向っていることを示すものである. さらにこれを 互 と対比させれば, 斜めに生長を始 めるのはおおむね 20~30cm の 間 に あ り, 50~. 60cm の高さの隆起ではほとんど水平方向に生長するものまでみられる. このような生長方向の変. 化は, 頭部の中央部は周辺部に比較して組織が密で強固であるという機械的原因と思われるが, 高 さ の 限 界 に つ い て の 一 因 を な す も の で あ ろ う. し か し, こ の こ と に つ い て は 後 述 す る 隆 起 内 の キイ. ロシリアゲアリとの関連 からも考察しなければならない, 2 ) 地 下 にの び る 根 数 に つ い て は, Fig .2 の ごとく 隆起の高さ 30~40cm の 間 で 減 少 す る の が. り下面から垂下する根数が 急激に増加することを示している. ヒ 目立ち, その反面膨大 した頭部の憤 o J ラ ギ シ ス ゲ は 前 年 の 枯 葉 が 隆 起 を 全 く お お っ て 周 囲 にた れ さ が っ て い る の で (Phot .4 , 垂 下根の. ある内部は常に高い湿度を保ち, 空気中でも枯死 しないで伸長 する. しかし長さは 5~15cm が多. く 地 下 に まで 達 して い る も の は み ら れ な い, こ の 根 の 生 理 学 的 な 働 き に つ い て は ま だ 明 ら か で な い.. 高い隆起を示す若干の例では, 枯死 したものを除いて地下にまで達している根の皆無のものが みられたのは興味をひく所で, 直接の生活圏が隆起内部に限定 されていることを示している. この ような例では, 生育地が乾燥し隆起内部の土壌 水分が減少するにつれて生育が困難になっていくこ とが当然予測されるが, まれに枯死した裸の隆起が残さ れているのはこのような条件に起因してい るものと考察される,. -128-.
(5) . 北海道東部湿原の群落学的研究 r第4報) 枯 死 して い る も の も 含 め て, 根 は -20~ 一40cm に 達 して い る の が 普 通 で あ る が, 頭 部 は 泥 土. が少なく, 束状の根群でしめられており, 流水による泥土の流亡と春季にみられる頭部 ・塊の剥離 によ る も の で あ る こ と は す で に 述 べ た,. 3 ) つ ぎ に, 頭 部 には 中 心 部 を え ら ん で キイ ロ シ リ ア ゲ ア リ が 造 巣 して い る こ と が 多 く, 筆 者. の 調 査 で は 30cm 以 上 の 隆 起 につ い て 253 例 中 208 例 を 教 えた, と く に ヒ ラ ギ シ ス ゲあ る い は 他 の. 第 2次所生植物が頭部の周辺部 に集まり, 頂上部に少ない場合にはつねにアリの造巣がみられると. いってよい. このアリは低温な釧路地方 においても, 団塊状に多数集合したまま隆起内部で越冬す る. このような例では, 造巣部の根茎はこまかく 噛みきられ, 頂上部にも内部より運ばれた土粒が つ ま れ て い る. こ の た め 中 心 部 に お け る ヒ ラ ギ シ ス ゲ の 分 け つ は 阻 害 さ れて 上 方 へ の 隆 起 の 伸 長 が. おとろえ水平方向への生長にかわるため頭部の膨大が促進されることも予想される, 上述のごとき隆起の構造は生育地の条件によってかなり変化し, とくと に傾斜地に生育する場合 においては隣接 する隆起群落の位置関係によって分けつの方向もかたより, あるいは2この群落が. 連結するなど, なお今後の研究にまつ所が多い, 4 。. ま. と. め. 1 ) ヒ ラ ギシ ス ゲ 群 落 の 形 成 す る 隆 起 に つ い て, そ の 断 面 か ら高 さ, 径, 分 け つ の 方 向, 根 数,. 垂下する根数などを調査して, 各要素の関連を考察 した. 2 ) 頭部における分けつは, 隆起の高さが20~30cm の間に次第に上方より斜めに方向を変え. る. このため頭部は水平方向に膨大し逆徳利型の形状をつくる, この原因としては, 分けつにより 中 心 部 の 組 織 が 強 固 に な る こ と と, キイ ロ シ リ ア ゲ ア リ の 造 巣 に よ る こ と の 二 つ が 考 え ら れ る,. 3 ) 頭部の膨大した隆起では, その形状に応じて側下面より空気中 に根が垂下してくるが, こ. の働 き につ い て は 不 明 で あ る, 丈 ) 1 2 ) 3 ) 4 ). 献. 4( 13 19 58 ) 23- 田中瑞穂: 北海道学芸大学紀要, 9 . ,1 1 99( 95 8 ) ----; 釧路泥炭地研究所研究報告, 1 . ,95- 9{ 1 95 2 ) -5 館脇 操・辻井達一: 北海道牧野の植物学的研究, 51 . 辻井達一: 日本植物学会大会講演要旨, 38( 19 57 ) .. --129--.
(6) . 田 中 瑞. 穂. 写 真 説 明 1 . 生育初期のヒラ ギシスゲ 2 . 隆起を形成するにいたらない幼群落集団 3 . 泥土に埋浸した幼群落 4 . 隆起をおおっている前年の枯葉. 5 . 中型隆起の縦断面 6 . 大型隆起の縦断面 (矢印は分けつの方向). -130-.
(7) . 北海道東部湿原の群落学的研究 (第4報) ” -… ” ◆ … 「. れ, \. 、.. . ザ . . . 毒 . . . -131-.
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