周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度(III) : 物質内水蒸気が飽和状態に近い場合の理論的考察
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(2) . 北海道教育大学紀要 (第2部 A). 第20巻 第2号. 5年1月 昭和4. ※ 周期的温 度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導 度 1 1 1 . 物質内水 蒸気が飽和状態 に近い場 合の理論的考察. 谷. 長. 川. 敏. 男. 北海道教育大学旭川分校物理学教室. l l i rom ed f at t cul er a s Ca i i a I DiHus t TI et Porous N1 es of 駅/ vi erma I ion of Temperature Per i odi c Variat. l i s er a I Considerations in Case of VVet・Porous ハ4at i 工 11 t ca , Theore ly Saturated Vapor ini Cont a ng Near Tosio HASBGAWA i t i d Ui s on t h H kk i i y of Educa Depar tmentofPhys cs , Asahikawa Branc , o a o nver. 0月1 6日 受 領 4年1 昭和4. S1 .. 緒. )において 湿った多孔性物質の上表面を周期的 に加熱し )及び第 2 報2 筆者はこの研究の第 1 報1 , KA の く K たとき, 温度変化の1周期波の位相差及び振中比か ら求め られる温度伝導度の値 ,p と ・ い違い が上層か ら下層へ行くにつれて どの様に変化するかを調べ, その一般的傾向を明 らかにす る とともに, その様な傾向 が生ずる原因が主として試 料中の水蒸気の脱灘・吸着及び蒸発・凝結にと もなう時間的平均の吸熱・発熱効果である らしいことを明 らかに した. ) 3 本報では, さきに筆者が展開した湿っ た多孔性物質中の熱輸送と水分移動 の理論 にもとづ いて, △ のくい違い, 及びもっと 一般 p と に. 物質中の空孔内水蒸気が飽和状態に近い場合における K. ) の 間 のく い 違 い に つ い て 考 察 した 結 果 に つ い て 報 告 す る, s=1 的な にp, 韮& ・( , ”,. ,2. S 2.. 瓦lp. と KIA の関係式の誘導. 湿 った多孔性物質中に温度勾配があるとき, 熱輸送にともなって水分移動 が起る. 殆ど乾燥状態 に近い低含水率領域では, 脱離・吸着をともなう水蒸気の拡散が, 含水率がそれより高いがまだ毛 管水の 移動が行なわれない領域では, 蒸発・凝結をともなう水蒸気の拡散が起こる, 更に含水率が 高くなると, 蒸発・凝結をともなう水蒸気の拡散及び液相の水分の毛管移動 が行なわれる, 前の二 つの場 合は 一般にごく低い含水率領域 でみ られる現象であって, もっ とも普通にみられるのは 最後 の場合である, ここでは, この場合の中とくに物質中の空孔内水蒸気 が飽和状態に近い場合を取り 扱うことにする, 上に述べ た水分の挙動及びこれにと もなう発熱・吸熱効果を考慮に入れると, 湿 った多孔性物質 8 ) 中におけ る鉛直方向1次元の熱及び水分移動の基礎方程式は次の様になる , A , 20(1970 ) 53 共 前報 ( 1 工 ) , , 長谷川敏男:北海道教大紀要 (第2部 ) (58).
(3) . 周期的湿度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度. C帯 -&( ん誓)- ◎ のC帯 -釣誓 一 *@ 〆). (.,). ここで (2 1) は熱輸送の式, ( 2 2 ) は水蒸気拡散の式, ( . 2 3) は毛管水移動の式である , , , 尚, Z は 時 刻 ( sec) z は深さ 〃 ( ) 0C) 水蒸気密度 cm である. , び , s ,び , 少 はそれぞれ温度 ( , 8 8 ( ) gcm‐ ) , 飽和水蒸気密度 (gcm‐ lcm‐8 , 容積含水率である, C は単位体積当たりの熱容量 ( c a oC‐i o l l ‐ ス - ) l C は純熱伝 導度 a sec cm ) , C 。 は有効空 孔率であって, 乾燥時の空孔率 を e と ,8 す れ ば, e り=&-り の 関 係 が な り た つ も の と 考 え る, cm l ,pw ca , 乙,た は そ れ ぞ れ液 相 の 水 の 比 熱 ( o l 1 ‐ ‐ 3 ‐ C 1 ‐ ) 密 度 (gcm ) lg ) g 1 ca , ) で あ る. Q , 気化熱 ( sec- 及 び , 蒸 発 係 数 (又 は 凝 結 係 数) ( 偽 。 はそれぞれ水蒸気の流束密度並びに液相の水の流束密度 ( l n sec‐ー) で あ る, gc 1) と (2 2) か ら (2 , ,. C署 山 崎-&( ス帯-. - ◎ 仰 慕. 2 4 ( ) ,. 相対湿度を ゑ とすると, ぴ= 卿s なる関係があるか ら. 3トゐ寄.帯+ぴ帯, 帯 - 寿.誓十び帯. 2 5 ( ) ,. 多一 蹴 誓書 釣--D裟 -- 鳴 。喜. 2 6 ( ) ,. 応3 ¥. 7 2 ) ( ・. 従って. 紬 静 養十 卿 帯. ただし, De は水蒸気の有効拡散係数 ( cm2sec‐1) を あ らわ す, De 。 及 び Dz w も一種の拡散係 数である. 6) 及 び (2 (2 7) を (2 4) に 代 入 し 更 に , . , ,. , 8) (2 . 9) (2 ,. とおいて式を整理すると, 次の式がえ られる .. 帯. cg g ” M 帯 -ス誓 十審.帯‐鰹 ゆ 物蛋+p LD 。 , a(p ) a力 !ゐ上を t , , 十 , az. 10) (2 .. az. こ こ で, C 及び ス はそれぞれみかけの単位体積あたりの熱容量及びみか けの熱伝 導度である. .. 従って物質中の厚さ 4z の任意の層 において 近似的に次の式が成立する , ,. ご帯十 局 帯‐ ’嬰十審,器 請i)物誓+罰嗣 帯 十. 3(pのLD加) a乾 az. 11) (2 ,. az. 上式の各項の係数につけた=印は, その層におけ る Z と す,. ‘は更に次の 2 11) ( 様に書き替え られる. , (59). 2. とについての平均値であることを示.
(4) . 長 谷 川. 男. 敏. ・饗 帯 半,帯 妄署十を{号(-i ) C橿 十P学び a(pwLD 十 よ. az. ご. 鋤 ー. az. 12) (2 ,. ただし . 13) (2 .. C. K はこの層のみかけの温度伝導度 ( cm2sec‐1) で あ る. 2 3) か ら次の式がえられる. 2 2 更に, ( ) 及び ( . , pw& ←. 2 14 ( ) ・. )} q ”‘ 帯 - &{-(. は水蒸気及び液相の水を含めた容積含水率である. 定常状態では, その時間 水の流束 的変化率は0であるか ら, q 。十の=の””, となる, 即ち, 定常状態では 水蒸気及び液相の 密度 (方向も含めて考えて) の和は物質中いたるところで 一定となり, 物質上表面 における単位面 こ こ で, ⑦十6虹/pw. 1 2 - … 積 あ た り の 水 蒸 気 の 流 出 速 度 に 等 しい こ と が わ か る, 従 っ て, こ の 値 を 瓦(gcm sec ) と す れ. ば, 次の関係が成立する. 15) (2 .. ただ し, 物質上表面が密閉されていて, 水蒸気 が外部へ流出不能な場合には, E=0 と な る, 12) は 次 の 様 に な る. 従 っ て, (2 ,. {夢 帯 子・帯更帯を. 著 纂十 中り 3 ・. a(PWLD卿) a″ + ≧, a C. az. 16) (2 ,. z. 2 それ故, 物質中の空孔内水蒸気が飽 和状 態に近いとき, 近似的に ね=1 とみなしてやると, (, 16) は 次 の 様 に な る. 17) (2 ,. 間 いま, 物質上表面の温度は時間 がたつにつれて正弦的に変 化するものとし, は じめか ら充分時 行くにつれて 物質中には一般に温度 が下方へ がたった後の ことを取り扱うもの .とする, この場合, 低下する様な時間的平均温 度勾配 が存在するか ら, 境界条件 は次の様になる, 2=0 に お い て. Z= 節 に お い て. ″= Ao十A,s in(の≠+s ) l β= A. <AO ). 2 キー8) ( 2 ムー9) (. た だ し, の=2冗/T , T は上表面の温度変化の周 期である,. 結局, この問題は半無限煤質における定常的熱輸送と周期的熱輸送とを重ね合わせたものと考え 7) の解は, 次の様に上 の境界条件を二つに分けて, 各々について求 1 られるか ら, この場合の (2 . めた解の和 となる.. 工 ) 境界条件 ( 2=0 に お い て. 2= 閃 に お い て. 20) (2 ,. ″= A0. β= Aの(くAo ). 1 1 ) 境界条件 ( (60). 21) (2 ,.
(5) . 周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度 2=0 に お い て z= 仰 に お い て. ″= A,s i n(のZ+e ) ,. 22) (2 ,. ″=0. (2 ,23). 1 境界条件 ( ) における解は次 の形になる. 24) (2 ,. 1 1 境界条件 ( ) における解は近似的に次 の様になる ,. 従って, 求める ( 2 17 ) の解は近似的に次の様になる . ,. それ故, 温度変 化の位相差及び振中比か ら求め られる温度伝導度の値をそれぞれ に 及 び K A p I ・ と す れ ば, 忙. p= ” と な り, K, p と ”. △ との間の関係をあ らわす次の関係式がえられる.. 2え. . 次に 嵐p と に. 2 2 7) の左辺第2項について考察する 物質中の時間的 A のくい違いを生ずる ( . , 平均の状 態 (これは定常状態に等 しい) について考えると げ 及び ス は 2 のみの関数となるか , ら, ( 2 1 7) か ら次の式がえ られる , ,. i 署 十 県 + 』)署 -o. 2 2 8 ( ) ・. 従って物質中の厚さ 42 の任意の層において 近似的に次の式が成立する , ,. 群 + 侵 + &) 番 o. 2 2 9 ( ) ・. この式か ら次の関 係式がえられる .. バ. . 32″ ー -. a22. 3O) (2 .. . それ故, 実測 りにょ 物 質中の時間 的平均温度分布 ヵ-/( ) の実験式を求め, こキめ ら 誓 及び z 纂 の値を計算す れば ( 30 ) の左辺の値を求 める , , 2. が 出来る訳でぁる・. ま た, さ き に 述 べ た 様 に K. 2 1 3) 2 8 2 9 P= 妄 で あ るか ら, 瓦. ) ) か ら計算する p の値も ( , . . ,( ,( こと が 出 来 る た だ し (2 9 )を . , ,) に お け る D例 の値については, この論文の末尾に挙げた文献 3 参 照 さ れ た い, 従 っ て (2 7 2 2 0 ) 及 び 3 K ( ) に よ り , , , A の値も計算することが出来る しか し .. , , これらの理論値は 実験値とは一般 に一致しない その理由は 実験値 が温度変化の周期の値ととも . , ) に変 わ る か らで あ る4 ,. S3. 時間的平均温度分布と にlp. 及 び にIA. の大小関係. ごく 低い含水率領域を除いたここで取り扱っている様な湿 った多孔性物質中の時間的平均温度分.
(6) . 敏. 長 谷 川. 男. \ . \ \ \. Z s. 布 Fig .1 湿った多孔性物質中の時間的平均温度分. 布は, 上表面 が大気中に露出していて水蒸気 が流出可能な場合と密閉 されていて流出不能な場合と では多少の相違があるであろうが, 高温の上部では 蒸発が起こり, そのため冷却され, 低温の下部 では凝結 が起こるので加熱されるはずであるか ら, 一般に上図に示す様に, ある深さより上 部では 5 ) 上に凹, 下部では上に凸の曲線になるものと考えられ る , 0≦2くz ) では β 図か ら明 らかな様に, 領域 1(. 1 3 ( ) ,. 27) に よ り K. △ 従 っ て, (2 r> に・ , 領 域 口 (zsく2≦zp) で は. 従って. 2) (3.. K, p < K. △. S 点 は 変 曲 点 に な る か ら, 2=2s では (実際には, この深さ附近の ごく薄い層を考える). . =○ -----. / p= て,△ . ”.. . 1 は凝結領域, 2=2 s の とこ また上に述べ たことか ら明らかな様に, 領域 1 は蒸発領域, 領域 1 P<Kい, A p〉 KI ろは水蒸気の飽和する深さと考え られる. 従 って蒸発領域では K・ ,凝結領域では KI (62).
(7) . 周期的温度変化から求めた湿った多孔性物質の温度伝導度 飽和する深さでは K, p= ”. △ と な る こ と が わ か る, こ の こ と は 第 1 報 及 び 第 2 報 で 述 べ た 実 験 の 考 察結果とよく一致 している.. S4.. K8p. 及び K8A の間の大小関係. 次に湿った多孔性物質の上表面の温度がもっと一般的な周期的変化をする場合につい て 考 察 す る. この様な場合の上表面における温度変 化は次の式であ らわされる , ヴニ AO十 1 ん s in( sのご+e ) ぎ. 1) (4 .. 従って, S2 :間的平均温度勾 配が存在するときには, 任意の深 ,における考察により, 物質中に時 z さ における温度は次の式で与 えられる.. それ故, 第 s 成分温度波の位相差及び振中比か ら求めた温度伝導度の値をそれぞれ 瓦 s p 及び 比8A とすれば 次の関係式がえ られる , ,. 2え . . こ こ で, s=1 p= × であるか ら, 次の関係が成立する, ,2 ,3 , … , で あ る. ま た 比s K. 4) p= に2 p= に3 p= … . = × (4 .. 4 3) と ( 2 27 ( ) とを比べると左辺第2項は全く同じであるか ら ( 3) 及び ( 4 4 , ) により, さ . . , , 4 きに述べた領域 工 では, 次の関係が成立する, 比s p> 畠A ゑ竺A<勇捻Aく方角A<..,,. 4 5) ( . 4 6 (,). 同様にして領域 ロ では次の関 係が成立する , 五輪p<五輪A. 4 7) ( , 4 8 (. ). ま た, 2=為 に お い て は Gp=おも△. 4 9) ( ,. 4 4 従って, ( ) を用いて, 次の関係がえ られる, , K. p=勇もp= 畠p= .... ご KーA= 金△=丞畠△=. 10) (4 .. さきに第1報の序論のところで一寸ふれ たが, 沢田の地温の日変 化か ら求めた温度伝 導度の統計. ) )に よ れ ば 一 般 の 土 壌 に お い て 7 結 果6 ’ , , 地 表 ~5cm,5~1ocm,10~20cm,20~30cm の四つの 地層のデータを綜合した統計か らは, 一般に Kα < K. △ △> に2 △ p= 比2 p の傾向があるらしい , K, , 瓦. こ と が見 出 さ れ て い る. ま た, 地 層 ご と の 統 計 に お い て も 各 層 に お い て 大 体 に > K A KA<比 △ p , . ,, , 2 の 傾 向 が あ る こ と が 認 め られ る. た だ, K. p= 比2 p の傾向は第2層及び第3層では認め られるが. , 第1層及び第4層では認め られない, 従ってこの点については多少問題があるが .もしこれらの土 , 壌中では地表~30cm が時間的平均の蒸発領域であっ たとすれば この節の理論的結果は以上の統 , 計結果とほぼ一致 していることになる. 筆者はいまのところこの仮定が正 しいことを証明するはっ きり したデータをもってはいないが, 地下水位が特 に高くない 限りは 充分ありうる事実であると , 考える. (63).
(8) . 長. 谷 川. S5.. 敏. 男. 結. 本報では, 多孔性物質中の熱輸送と水分移動の理論にもとづいて, 物質中の空孔内水蒸気が飽和 状態に近い場合における温度変化の位相差及び振中比か ら求め られる温度伝導度のくい 違いの理論 的考察を行なっ た. 得られた結果は第1報及び第2報の実験結果と定性的にはよく一致 している, また, 沢田による一般の土壌における統計の結果ともほぼ一致する様に思われる, 実験と理論の定量的な比較をするためには, 試料中の時間的平均温度分布のよいデータ が必要で ある. 第1報及び第2報におけるこれらのデータはこの意味で不良である, これは, 試料上表面の 加熱の不均一, 試料側面の断熱の不充分, 測定器による誤差, 調和分析による誤差などのために, 得られた時間的平均温度の値がよくなか ったのが原因である様に思われる. 近い中にこれらの諸点 を改善して実験を行ない, 理論による結果と定量的な比較を行なう予定である. 終りに, いろいろ助言 して下さった当教室沢田孝土教授に厚く御礼申し上げます. 献. 文. 1 ) 長谷川敏男:北海道教育大学紀要 (第2部 A)20(1969)21 , 2 ) 長谷川敏男;北海道教育大学紀要(第2部 A)20(1970)53 . 3 ) 長谷川敏男:北海道教育大学紀要(第2部 A)14(1963)12 . lsc i 4 ) R, D,丁ackson and D. Kirkham: Soi . ,22 (1958) 479 . Amer , Proc ,soc h U A G t 5 on 36 (1955) 615 r e o s ) W.A, Hadiey and R. Ei m e sens adt: Trans , p y . ni . , 6 ) 沢田孝土:学芸 2 (1950) No,2,178.. 7 ) 沢田孝土;学芸 4 (1952) No,1,10,. (64).
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