1986,12月
日豚研誌 23巻 4号
豚 骨 格 計 測 値 と 産 肉 性 と の 相 関 に 関 す る 研 究
XVIII.改
良 種 豚 と桃 園 種 との椎 骨(頸 椎 ・胸 椎 ・腰 椎 ・仙 骨)か
らの品 種 的 特 徴 差 につ い て
友 田
仁 ・丸 山
智 ・和 田 直也 ・山 田雄 一 ・中西
潤 ・鵜 飼 清 弘 ・
豊 生 浩 一 ・松 井
賢 ・松 下 秀 樹 ・西 村 幸 代 ・池 雙 慶*
(明治大学農学部 ・家畜解剖,*台 湾省畜産試験所)
目的:前 報 に 引 き続 き,改 良種 豚 と桃 園 種 との 骨 格 に お け る形 態 的特 徴 及 び品 種 間 に お け る形 態 差 に つ い て, 椎骨 の計 測 値 よ り統 計 学 的 検 討 を 行 な った 。 材 料 と方 法:改 良種 豚D(♂14・ ♀5),W(♂5・ ♀ 3),L(♂3・ ♀5),H(♂4),C(♀6),そ れ に,桃 園 種-T(♂3・ ♀3)以 上 雄29頭,雌25頭 を 供 試 した 。そ し て,こ れ らの 頸 椎-29部 位,第1∼13胸 椎 の棘 突 起 高 ・ 椎 体 長 ・横 突 起 間 全 幅,第1∼5腰 椎 の棘 突起 高 ・椎 体 長 ・左 横 突 起 幅,仙 骨 の12部 位 の計 測値 よ り,主 成 分 分 析 を 用 い て解 析 を 行 な った 。 結 果 と考 察:各 椎骨 計 測 部位 の相 互 の相 関 行 列 か ら固 有 ベ ク トル ・因 子 負荷 量 の値 を 算 出 し,そ の 値 か ら各 主 成 分 の表 わ す 意 味 を 解 釈 した 。そ の 結 果,PC1に お い て 雌 雄 と も,各 椎 骨 の部 位 の 固有 ベ ク トル ・因子 負 荷 量 は 正 の 値 で あ る の で,各 椎 骨 の相 対 的 な大 き さを 表 わ す sizefactorで あ る と考 え られ る 。 また,PC2・PC3に お い て は,形 を表 わ すshape factorで あ る と考 え られ, そ のfactorの 意 味 を 解 釈 す る と以 下 の様 に な る。 頸椎:雄 で は,PC2は,第4頸 椎 ∼ 第7頸 椎棘 突 起 の高 さ の変 化 の比 率 を 表 わ し,PC3は,第7頸 椎 棘 突 起 の高 さ に対 す る軸 椎 横 突 起 の 幅 の 比 率 を表 わ して い る と考 え られ る 。雌 で は,PC2は,軸 椎 ∼第7頸 椎 棘 突 起 の高 さ の変 化 の比 率 を 表 わ し,PC3は,頸 椎 の 幅(軸 椎 と第6 頸椎 の幅)を 表 わ して い る と考 え られ る 。 な お,累 積 寄 与率 はPC3ま で で,雄79.38%・ 雌77.11%で あ った 。 胸 椎:雄 で は,PC2は,棘 突 起 の 高 さ に対 す る横 突 起 の 幅 の比 率 を 表 わ し,PC3は,棘 突 起 の高 さ と横 突 起 の 幅 に対 す る 椎 体 の 長 さの 比 率 を表 わ してい る と 考 え られ る。雌 では,PC2は,横 突 起 の 幅 に対 す る椎 体 の 長 さ,変 化 の比 率 を 表 わ し,PC3は,棘 突 起 の高 さ に対 す る椎 体 の 長 さの 比 率 を表 わ して い る と考 え られ る。なお,累 積 寄 与 率 はPC3ま で で,雄91.02%・ 雌86.52%で あ った 。 腰 椎:雄 で は,PC2は,左 横 突 起 幅 に 対す る 椎 体 の長 さ の 比 率 を表 わ し,PC3は,棘 突 起 の高 さに 対す る 椎 体 の 長 さの 比率 を表 わ してい る と考 え られ る。 雌 で は,PC2 は,棘 突起 の高 さ に対 す る 左 横 突 起 の 幅 の比 率 を表 わ し,PC3は,第1腰 椎 ∼ 第5腰 椎 左 横 突起 幅 の変 化 の割 合 に対 す る椎 体 の長 さを 表 わ して い る と考 え られ る 。 な お,累 積 寄 与 率 はPC3ま で で,雄90.06%・ 雌88.83% で あ っ た 。 仙 骨:雄 で は,PC2は,仙 骨 の 高 さ(厚 さ)に 対 す る幅 の比 率 を表 わ し,PC3は,仙 骨 の 幅 の比 率 を表 わ してい る と考 え られ る。 雌 で は,PC2は,仙 骨 の 幅 に対 す の高 さ(厚 さ)の 比 率 を表 わ し,PC3は,仙 骨 の 幅 と遠 位 端 の太 さの 比 率 を表 わ して い る と考 え られ る 。そ して,累 積 寄 与 率 はPC3ま で で,雄80.05%・ 雌66.40%で あ っ た 。 次 に,こ の各 主 成 分 の固 有 ベ ク トル に各 品 種 の計 測 値 を 乗 じ,PC1・PC2・PC3の 主 成 分 ス コアを 求 め,散 布 図 を 作 製 し,桃 園 種 との 位 置 関 係 を 主 成 分 ス コアの 検 定 と合 わ せ て検 討 した 。 頸 椎:雄 でPC3に お い て,TとWがP<0.05で 有 意差 が 存在 した 。つ ま り,TはWよ り第7頸 椎 棘 突 起 が 高 く, 軸 椎横 突起 間全 幅 が 狭 い こ とが 示 唆 され た 。 胸 椎:雄 でPC2に お い て,TとLがP<0.05で 有 意差 が存 在 した 。つ ま り,TはLよ り各 棘 突 起 が 低 く,各 横 突起 間全 幅が 広 い こ とが 示 唆 され た 。 又,雌 でPC2に お い て,TとDにP<0.05で 有 意 差 が 存 在 した 。 つ ま り,TはDよ り第1胸 椎 椎 体 が 長 く,第7胸 椎 椎 体が 短 くな り,ま た,第13胸 椎 椎 体 で長 くな り,各 横 突起 間 全 幅 が狭 い。PC3に おい て,TとCがP<0.05で 有 意 差 が 存 在 した 。 つ ま り,TはCよ り各 棘 突 起 が 高 く,各 椎 体 が 短 い こ とが 示唆 され た 。 腰 椎:雌 でPC3に おい て,TとLがP<0.05で 有 意 差 が 存 在 した 。 つ ま り,TはLよ り第1腰 椎 左 横 突起 幅 が 狭 く,第5腰 椎 に な る ほ ど左 横 突 起 幅 が 広 くな り,椎 体 が 短 い こ とが 示 唆 され た 。 仙 骨:雌 雄 と も,有 意 な差 は認 め られ なか った 。 上 記 の 主 成 分分 析 の結 果 よ り,各 椎 骨 に おい て 固有 ベ ク トル の 絶 対値 の大 き い も のを 選 び,Tと 有 意 差 の認 め ら れ た 改 良 種 の 間 で 判 別 関 数 を 作 製 し 判 別 分 析 を 行 な っ た 。 そ の 結果,各 椎 骨 と もす べ て桃 園種 と改 良種 の判 別 が 可 能 で あ った 。以 上 の結 果 よ り,雄 で は,頸 椎 にお い てTはWよ り第7頸 椎 棘 突 起 が 高 く,軸 椎 横 突 起 全 幅 が 狭 い 。胸 椎 にお い て,TはLよ り各 胸 椎 棘 突 起 が 低 く, 各 胸 椎横 突起 全 幅 が 広 い 。 雌 で は,胸 椎 に お い てTはD よ り第7胸 椎 椎 体 が 短 く,各 胸 椎 横 突 起 全 幅 が 狭 く,C よ り各 胸 椎 棘 突 起 が 高 く,各 胸 椎 椎 体 が 短 い 。 腰 椎 に お い て,TはLよ り第1腰 椎 左 横 突 起 幅 が 狭 く,第5腰 椎 に な る ほ ど広 くな り,各 腰 椎 椎 体 長 が 短 い 。1986,12月
日豚 研誌 23巻 4号
豚 骨 格 計 測 値 と 産 肉 性 と の 相 関 に 関 す る 研 究
XIX.D種
同 一 豚 にお け る30kg時
生 体 計 測 値 と90kg時
枝 肉 計 測 値 の 相 関 に つ い て
友 田
仁 ・和 田直 也 ・丸 山
智 ・山 田 雄 一 ・中西
潤 ・鵜 飼 清 弘 ・
豊生 浩 一 ・松 井
賢 ・松 下 秀 樹 ・西 村 幸 代 ・戸 田三 樹 雄*
(明治大学農学部 ・家畜解剖,*神 奈川家 畜改良協会 ・産 肉能力検定所)
目的:最 近,豚 の 選 抜 にお い て,体 型 よ りもそ の能 力 に つ い て 評 価 す る傾 向 が あ る。 そ の 中 で も特 に,産 肉 性 に重 点 が置 か れ て い る 。 そ こで早 期 の生 体計 測値 よ り, 産 肉形 質 の 優れ た もの を推 定 し うる事 が,言 い 替 えれ ば 早 期 選 抜 が 可能 で あ るか 否 か を検 討 した 。 材 料 と方 法:神 奈 川 家 畜 改 良協 会 ・豚 産 肉能 力 検 定 所 と の共 同研 究 に お い て,検 定 豚 デ ュ ロ ッ ク種43体 の30 kg時 生 体 計 測 及 び90kg時 屠 体 計 測 を 行 な った 。 生 体 計 測 部 位,屠 体 計 測 部 位 及 び計 測 器 具 は前 報(XIV)と 同 様 で あ る。90kg時 生 体 計 測 と屠 体 計 測 の 相 関 に つ い ては,XVI報 で 矢 間 等 が 発 表 した 。 検 定 豚 は 雌 と去 勢 雄 とか ら成 るが,30kg時 生 体 及 び90kg時 枝 肉 全 計 測 34項 目に つ い て,計 測値 に お け るF検 定 を 行 い 両 者 の 間 に は 全 計 測 項 目 に わ た り 有 意差 が 認 め られ な か った の で,雌 ・去 勢 雄 を 同 一 母 集 団 とみ な した 。30kg時 生 体 計 測 値 と90kg時 屠 体 計 測 値 との 相 関 を 求 め,0.05以 上 の有 意 性 を 示 す 項 目を 選 抜 し重 回帰 分 析 を行 な った 。 重 回 帰 分 析 に は ス テ ップ ワイ ズ法 を 採 用 し,そ の 回帰 式 よ り予 測 値 を 求 め,実 測 値 との 差 を 出 した 。 そ の 差 の 標 準 偏差 の3倍 以 上 も し くは,デ ー タ群95%信 頼 限 界 よ り外 れ た 値 を 削 除 す る残 差 検 定 を 行 な った 。 そ の後,再 度,重 回 帰 分 析 を 行 な った 。 この 回 帰式 に変 数 と して 組 み込 まれ た 生 体 計 測 項 目を 検定 す る こ とに よっ て30kg 時 外 貌 的 特 徴 を ま とめ た 。 結 果 と考 察:30kg時 外貌 審 査か ら産 肉能 力 を 推 定 す る た め の 回 帰 式 は(表-1)に 示 す 通 りで あ る。 そ の 回 帰式 よ り外貌 的特 徴 を ま とめ る と,30kg時 生 体 に お い て,顔 が 長 く,頬 が 締 ま り,目 の 間 が 広 く,胸 前 ・胸 は充 実 し,胴 は長 くな く,後 駆 ・管 囲 は 締 ま り, 後 肢 管 囲 は太 く,尾 根 の 太 い もの の 方 が産 肉 能 力 が 良 い と推 定 され る。(図-1) 生 体 計 測 値 よ り屠 体 計 測 項 目へ の推 定(Duroc) R=相 関 係 数 R2=寄 与 率 X0=残 差 X2=眼 窩 間 X4=頬 骨 弓 幅 X5=顔 面 長 X8=胸 囲 X9=前 腕 囲 X10=管 囲 X12=後 肢 管 囲 X13=尾 根 周 囲 長 X15=胴 長 X16=前 幅 X17=胸 幅 X19=後 幅 Y1=枝 肉 重 量 Y2=前 躯 重 量 Y3=中 躯 重 量 Y5=屠 体 幅 Y6=屠 体 長 Y7=背 腰 長II Y8=ロ ー ス 断 面 積 Y9=肩 脂 肪 層 Y11=腰 脂 肪 層 Y12=枝 肉 歩 留 り 例:Y12=-0.36X15+0.71X16+59.411986,12月
日豚研誌 23巻 4号
豚 産 肉 能 力 現 場 検 定 に お け る 飼 料 と 検 定 終 了 時 体 重 の 効 果 に つ い て
吉 田
力 ・古 川
力 ・村 田亀 松
(岩手県畜産試験場)
目的:豚 産 肉能 力 検 定 及 び系 統 造 成 では,30∼90kg の増 体 能 力 と90kg屠 殺 に お け る 屠 体 形 質 を 測 定す る が,最 近 の農 家 の 出荷 体 重 は,105∼115kgが 一般 的 で あ るた め,特 に,系 統 豚 の組 合 せ 検 定 な どで は,こ の範 囲 で の産 肉能 力 の評 価 が 求 め られ る よ うに な って きた 。 飼 料 条 件 と して も,検 定 飼 料 だ け で な く,市 販 の飼 料 で の能 力 も把 握 す る必 要 が あ る 。一 方,農 家 飼養 形 態 に近 い現 場 検 定 を 行 う場 合 は,出 荷 体 重 を 限 定 す る こ とは難 し く,体 重 のば らつ きが 屠 体 形 質 に 及 ぼ す 影 響 も無視 で きない 。 こ こ で は,WLとWWの2品 種 を 用 い,飼 料 と 屠 殺 時 体 重 が 屠 体 形 質 に及 ぼ す 影 響 に つ い て 検 討 した 。 材 料 と方 法:当 場 で系 統 造 成 中 の大 ヨ ー ク シ ャ ー種 第 4世 代 雌 に ラ ン ドレー ス種 系 統 豚 イ ワ テハ ヤ チ ネ 雄 を 交 配 したWL種 と,大 ヨ ー クシ ャ ー種 の2系 統 を用 いた 品 種 内系 統 間交 配 のWW種 の去 勢 豚 を 各 々検 定飼 料 区14, 8頭 と市 販 飼 料 区12,10頭 に配 置 し,体 重 の揃 った2頭 を30kgか ら,105kgを 目途 に不 断給 餌 で群 飼 した 。 市 販 飼 料 区 では,90kgま で は市 販 育 成 用 飼 料 を,そ の後 は検 定 飼 料 を 給 与 した 。 市 販 育 成 用飼 料 は,TDN77%, DCP13%以 上 の保 証 成 分 を 有 す る もの で あ った 。 屠 体 調 査 は105kg前 後 の豚 を1日 絶 食 後 屠 殺 し,産 肉能 力 検 定 の 方 法 に 準 じて 行 っ た 。 デ ー タの 解 析 は,品 種, 飼 料 の 主 効 果 とそ の 交 互 作 用,さ らに,出 荷 時 体重 を 回 帰 に取 り入 れ た モデ ル を用 い て,最 小二 乗 法 に よ り行 っ た 。 結 果 と考 察:主 要 形 質 の 特 性 は 表 の とお りで あ り,屠 殺 前 体 重 は93∼113kgの 範 囲 に ば らつ い た 。 増 体 形 質 で は,い ず れ の 飼 料 に お い て も,ま た,30∼90kgま で,生 時 ∼ 出荷 ま での い ず れ の 期 間 に お い て も,WWが WLよ り優 れ た 傾 向が 見 られ,飼 料 に よっ て品 種 間差 の 傾 向が 逆 転 す る こ とは なか った 。 しか し,WLに おい て は,30∼90kgで 市 販 飼 料 区 の 方 が 優 れ て い た の に対 し,生 時 ∼ 出荷 で は検 定 飼 料 区 の 方 が 優 れ て い た 。 ロー ス 断面 積 と ハ ム割 合 で は,検 定 飼 料 区 で はWWが,市 販 飼 料 区 で はWLが 大 き く,傾 向 の表 わ れ 方 が 異 った 。 品種,飼 料 の主 効 果 と 交互 作 用 を 取 り上 げ た モデ ル で 分 析す る と,出 荷 日齢,ロ ー ス重 量,ロ ー ス ・バ ラ重 量 でWLがWWよ り 大 き く,格 付,カ タ割 合,背 腰 長I ではWWがWLよ り優れ てい た 。 飼 料 及 び 交 互 作用 に は,統 計 的 に 有 意 な差 は認 め られ なか った 。 出 荷 日齢 を 一 定 と した 屠 殺 前 体 重 と屠 体 形 質 の 偏 相 関 で は,大 割 肉 片 重 量 と長 さ,幅,面 積 の 形 質 に0.33∼0.82の 相 関 が 認 め られ た 。そ こ で,屠 殺 前 体 重 を 回 帰 に取 り入 れ た共 分散 分 析 を行 った と ころ,回 帰 の 項 が 有 意 に な った 形 質 と して,屠 殺 前 体 重 が1kg増 え る につ れ て,カ タ重 量 0.13kg,ロ ー ス ・バ ラ重 量0.12kg,ハ ム重 量0.10kg 増 え,屠 体 長0.36cm,背 腰 長I 0.19cm,II 0.15cm, 皿0.24cm,屠 体 幅0.15cm長 くな り,ロ ー ス 断 面 積 が 0.37cm2大 き くな る とい うも のだ った 。主 効 果 で は,屠 殺 前 体重 を 考 慮 しな い モ デ ル で は 有 意 な品 種 間差 が認 め られ なか った カ タ重 量 に,1%水 準 で 有意 な差 が み られ た 。 また,ロ ー ス断 面 積 に お い て,品 種 間 差 が1.03cm2 か ら1.53cm2に,飼 料 間差 で0.48cm2か ら1.16cm2 に拡 大 した が,い ず れ も 統 計 的 に有 意 な差 で は なか っ た 。 今 回 の 分 析 で は,93∼113kgの 範 囲 に あ った 屠 殺 前 体 重 を 回 帰 に取 り入 れ,屠 体形 質 につ い て共 分 散 分 析 を 行 った が,回 帰 の 項 が 有意 に な る形 質 が 多 く,ま た,主 効 果 が 有 意 に な る形 質 もあ った 。 この ことか ら,組 合 せ 検 定 な どで 現 場 検定 を行 う場 合,調 査 体 重 を 揃 え る こ と に 留 意 す べ きで は あ る が,そ れ が 充 分 で き ない と き は, 本 手 法 に よ り体重 補 正 を 行 っ て検 討 を 加 え る こ とが 有 効 と考 え られ た 。 また,い ず れ の 形 質 に お い て も,飼 料 間,飼 料 ・品 種 交 互 作 用 に 有 意 な 効 果 は認 め られ ず,検 定 飼 料 給 与下 で 判 明 した 効 果 は,市 販 飼 料 給 与 の場 合 に も あ て は ま る も の と推 察 され た が,飼 料 間 で逆 転 す る形 質 も あ り,今 後 さ ら に例 数 を 重 ね て 検 討す る必 要 が あ る と思 わ れ た 。 主 要項 目の平 均 値1986,12月 日豚研 誌 23巻 4号 系 統 豚 維 持 集 団 に お け る 近 交 係 数 と 繁 殖 能 力 の 推 移 に つ い て 古 川 力 ・吉 田 力 ・村 田 亀 松 ・日當 信 夫*・ 北 条 貢**・ 落 合 昭 吾*** (岩 手 県 畜試 ・*岩手 県 野 田村 農 協 ・**岩手 県 金 ケ崎 町 農 協 ・***岩手 県 農 業 短 大) 目的:繁 殖 能 力 は 近 交 退 化 の 影 響 を 最 も受 け 易 い 形 質 で あ る。 そ こで,系 統 豚 の 維 持 に あ た って は,雄 の 頭 数 を 増 や して 有 効 な 集 団 の 大 き さを 大 き くす る,あ るい は,群 を い くつ か の 小 集 団 に 分 け て 維 持 しな が ら,小 集 団 間 の 交 流 を 図 るな ど して,近 交 係 数 の 極 端 な 上 昇 を 抑 制 して い る と ころ で あ る 。 ラ ン ドレ ース 種 イ ワ テハ ヤ チ ネは 昭 和55年 に 系 統 豚 と して 認 定 を 受 け た 。 認 定 群 は 雄11頭,雌67頭 の 集 団 で あ った が,3ケ 所 の 維 持 セ ン タ ーで は,そ れ ぞ れ,雄 6∼12頭,雌30∼36頭 の 規 模 で 維 持 され て きた 。 昭 和 55年 度 か ら60年 度 まで の,年 あた り近 交係 数 の 上昇 率 は0.38%で あ った が,昭 和61年 度 当初 集 団 の 平 均 近 交 係 数 は12.4%と な り,上 昇 率 も0.44%と な った 。 そ の た め,近 交 係数 の上 昇 が繁 殖 成 績 に 及 ぼす 影 響 を 調 べ る こ とが重 要 とな っ て きた 。 本報 告 で は,維 持 セ ン ター の 繁 殖 台 帳 に基 づ き,繁 殖 成 績 に及 ぼす 産 次,分 娩 月,近 交 係 数 の要 因 分 析 を 行 っ た 。 材 料 と方 法:1)材 料;A,Bの2セ ンタ ー で維 持,増 殖 され てい る イ ワテ ハ ヤ チ ネ。 2)調 査 項 目;母 豚 番 号,父 豚 番 号,交 配 年 月 日,分 娩 年 月 日,産 次,繁 殖 成 績 近 交 係 数 。 3):繁 殖 成 績;Aセ ン タ ーで は 分 娩 頭 数,生 産 頭 数,離 乳 頭 数,育 成 率(離 乳 頭 数/生 産 頭 数)。Bセ ンタ ーで は 生 産 頭 数 。 4)統 計 モ デ ル; Yijk=μ+Pi+Mj+(Xdijk-Xd)Fd+(Xsijk-Xs)Fs +(Xoijk-Xo)Fo+eijk た だ し,Piは 産 次(1∼6産 と7産 以 上)の 効 果,Mjは 分 娩 月(1∼12)の 効 果 。XとFは,そ れ ぞ れ 母 豚 (d),父 豚(s),子 豚(o)の 近 交 係 数 とそ れ に 係 る一 次 の 回 帰 係数 。 結果 と考 察:Aセ ン ター の 母 豚61頭 の 近 交 係 数 は 7.1∼22.7%,父 豚19頭 は8.0∼12.9%,子 豚265腹 は 8.7∼33.2%で あ り,繁 殖 成 績 は,平 均 分 娩 頭 数8.7頭, 生 産 頭数8.4頭,離 乳 頭 数7.2頭,育 成 率83.4%で あ っ たoBセ ンタ ー で は 母 豚81頭 の 近 交 係 数 は7.1∼19.5 %,父 豚21頭 は8.2∼14.1%,子 豚267腹 は8.4∼34.0 %,平 均 生 産 頭数 は8.2頭 で あ っ た 。 産 次 は,Aセ ンタ ーで は9産,Bセ ン タ ーで は11産 ま で記 録 が あ った が,7産 以 上 は1つ の 水 準 に ま とめ た 。 Aセ ン タ ー で は,初 産 か ら5産 ま で,分 娩 頭 数8.6∼9.0 頭,生 産 頭 数8.4∼8.6頭,離 乳 頭 数7.2∼7.4頭 で,ほ ぼ 一 定 で あ っ た が,6産 目 以 後 は い ず れ の 項 目 も 減 少 が 目 立 っ た 。Bセ ン タ ー で は,初 産 か ら7産 以 上 ま で 生 産 頭 数 は7.7∼8.5頭 で,産 次 に よ る 変 動 は 少 な か っ た 。 分 娩 月 別 の 繁 殖 成 積 は セ ン タ ー に よ り 傾 向 が 異 な っ た 。 す な わ ち,Aセ ン タ ー で は2月 と5月 の 成 積 が 良 く, 3,4,6,12月 が 悪 か っ た が,Bセ ン タ ー で は,3月, 11月 が 良 く,7月 が 悪 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 統 計 モ デ ル で は,近 交 係 数 の 影 響 と し て 母 豚,父 豚, 子 豚 の 項 を 取 り上 げ た 。 父 豚 の 近 交 係 数 が 直 接 に 影 響 す る 事 項 と し て は,正 常 精 子 数,精 子 活 力,乗 駕 欲 の 減 少 な ど が 考 え ら れ,そ の 結 果 と し て 分 娩 頭 数 が 減 少 す る と 仮 説 を 立 て た 。 し か し,父 豚 の 近 交 係 数 が8.0∼14.1% の 範 囲 に あ っ て は,い ず れ の セ ン タ ー の ど の 項 目 に お い て も 負 の 回 帰 係 数 は な く,こ の 範 囲 に つ い て は,雄 豚 の 近 交 係 数 の 上 昇 は 繁 殖 成 績 へ 影 響 し な い も の と 推 察 さ れ た 。 一 方 ,母 豚 と 子 豚 の 近 交 係 数 と 繁 殖 能 力 に つ い て は, 好 ま し く な い 傾 向 が うか が わ れ た 。Aセ ン タ ー に お い て は,母 豚 の 近 交 係 数 に 係 る 回 帰 係 数 は,分 娩 頭 数-0.100, 生 産 頭 数-0.045,離 乳 頭 数-0.047,育 成 率0.60と な り,Bセ ン タ ー で は,生 産 頭 数-0.047と な っ た 。 こ れ は,近 交 係 数 が10%上 昇 す る と,分 娩 頭 数 が1頭 減 少 し,生 産 頭 数 も0.5頭 近 く 減 少 す る こ と を 意 味 す る 。 こ の 値 はDickersonら1),Bereskinら2),Mikamiら3)の 報 告 し た0.13∼0.40よ り も大 き い 値 で あ っ た 。 子 豚 で は,近 交 係 数 が10%上 昇 す る と,分 娩 頭 数 が0.16頭, 生 産 頭 数 が0.21∼0.71頭 減 少 す る 傾 向 が み ら れ た 。 今 回 の 分 析 で は,産 次,分 娩 月,近 交 係 数 に 係 る 回 帰 の 効 果 は,統 計 的 に 有 意 で は な か っ た 。 し か し,母 豚 の 近 交 係 数7.1∼22.7%の 範 囲 の デ ー タ で あ っ た が,従 来 の 報 告 よ り近 交 退 化 の 程 度 が 大 き い 傾 向 に あ り,系 統 豚 の 維 持 に あ た っ て は,近 交 係 数 の 抑 制 に ま す ま す 留 意 し な け れ ば な ら な い こ と が 示 唆 さ れ た 。
文 献:1) Dickerson, G.E. et a1: Res. Bull. Mo. Agric. Exp. Sta. No.551 (1954)
2) Bereskin, B. et al: J. Anim. Sci., 339, 27 (1968)
3) Mikami, H., H.T. Fredeen and A.P. Sather: Can. J. Anim. Sci., 627, 57 (1977)
1986,12月
日豚研誌 23巻 4号
豚 閉 鎖 群 育 種 に お い て 雄 集 団 の 大 き さ を 世 代 途 中 で 変 更 し た 場 合 の
近 交 ・血 縁 度 等 に 対 す る 影 響 に つ い て
松 本
茂 ・新 井 忠 夫 ・佐 藤 正 寛*
(茨城県養豚試験場,*農 水省畜産試験場)
目的:系 統 造 成 を 行 うに あ た って,基 礎 豚 の集 団 を 大 き くす る(有 効 な集 団 を 大 き くす る)こ とは よ り多 くの 遺伝 子 を 集 団 の 中 に と り入 れ る こ とが で き,そ の後 の 改 良 効果 に対 して プ ラス に作 用 す る と考 え られ る(foun-der effect)。 しか し一 方 で は,有 効 な集 団 の 大 き さが大 き くな る と血 縁度 の上 昇 が 遅れ,造 成 に要 す る年 数 が 長 くな る 欠点 が あ る 。 そ こで,基 礎 集 団 に おけ る雄 の 頭 数 を 多 く し,造 成 途 中世 代 で そ の数 を 漸 次 少 な くす れ ば 改 良 効果 の犠 牲 を比 較 的 少 な く して造 成 年 限 を 短 縮 で きる と考 え られ る 。本 研 究 で は豚 閉鎖 群 育 種 の実 用 規 模 で 構 築 した 幾 つか の モ デ ル につ い て コ ン ピ ュー タ シ ミュ レ ー シ ョ ンに よっ て結 果 を予 測 した 。 材 料 と方 法:コ ン ピ ュー タ シ ミュ レー シ ョ ンの 前 提 条 件 は(1)交 配 は半 き ょ うだ い 以 上を さ け る(2)分 娩 率100 %(3)産 子 数 ♂1♀2(4)遺 伝 子座 位 の数20(5)指 数値 の 遺伝 率0.3(6)指 数 値 に よ る個 体選 抜 等 と した 。 集 団 の 大 きさ につ い て は,雌 の 頭 数 を40頭 に固 定 し,雄 の 基 礎豚 の 頭数 を15頭 に した うえ でそ の後 の 造 成 過 程 で 減 ら して ゆ く幾 つか の モ デ ル を 想定 した 。 雄 の 頭 数 を 減 ら す 世 代 は,1世 代,1世 代 と4世 代,3世 代 及 び3世 代 と6世 代 と し,減 らす 頭数 に つ い て は,10頭,8頭 及 び 5頭 ま で と した 。 結 果 と考 察:1)血 縁 係 数 の上 昇 につ い て(1)血 縁 係 数 は世 代 経 過 に伴 っ て ほぼ 直線 的 に上 昇 しそ の 速 度 は 雄 の 頭数 に よ っ て異 な る 。(2)雄の頭 数 を 変 更 せ ず に 世 代 を 更新 した 場 合,8頭 で は7世 代 で22%ま で 上 昇 す る が 15頭 で は10世 代 に 至 っ て も認 定 基 準 の20%に 達 して い な い 。(3)基礎 豚 を15頭 で 開 始 し1世 代 目 で8頭 に 減 らす 場 合 と10頭 に 減 らす 場 合 の 比 較 で は,3世 代 で 2%,5世 代 で2.6%,7世 代 で3%及 び9世 代 で3.3% の差 が生 じ,前 者 の場 合 認 定基 準 を越 え るに は6世 代 を 要 し更 に4世 代 で5頭 に減 らせ ば5世 代 を 要 す る こ とが 予 測 され,後 者 の 場合 認 定 基 準 を 越 え る に は8世 代 を 要 し更 に4世 代 で5頭 に減 らせ ば5∼6世 代 で認 定 基 準 を 越 え る こ とが 予 測 され た 。(4)基礎 豚 を15頭 で 開 始 し3 世 代 目で8頭 に 減 らす 場 合 と10頭 に減 らす 場 合 の 比 較 で は,3世 代 で1%,5世 代 で1.5%,7世 代 で2.5% 及 び9世 代 で3.3%の 差 が 生 じ,前 者 の場 合 認 定 基 準 を 越 え るに は7世 代 を要 し更 に6世 代 で5頭 に 減 らせ ば6 世 代 を 要す る こ とが予 測 され,後 者 の場 合 認 定 基 準 を 越 え るに は9世 代 を 要 し更 に6世 代 で5頭 に 減 らせ ば7世 代 で 認 定 基 準 を 越 え る こ とが 予 測 され た 。(5)基礎 世 代 か ら最 終 世 代 まで8頭 で行 う場 合,基 礎 豚 を15頭 で 開 始 し1世 代 目で8頭 に 減 らす 場 合 及 び 基礎 豚 を15頭 で 開 始 し3世 代 目で8頭 に 減 らす 場 合 の 比較 で は,基 礎 豚 を 15頭 で 開 始 して も1世 代 目 で8頭 に減 らせ ば 基 礎 世 代 に お け る雄 の 頭 数 の 相異 に よる影 響 は 小 さ い が,3世 代 目で8頭 に 減 ら した場 合 はそ れ ら に 比較 して3世 代 以 降 2.6%∼3.1%の 差 が認 め られ た 。 集 囲 が 認 定 基 準 を 越 え るに は,前 者2例 は6世 代,後 者 は7世 代 を要 す る こ とが 予 測 され た 。(6)基礎 豚 を15頭 で 開 始 し1世 代 目 で 10頭 に 減 らす 場 合 と3世 代 目で10頭 に減 らす 場 合 の 比 較 で は,3世 代 以 降1.7%∼1.9%の 差 が 認 め られ,認 定 基 準 を 越 え るの に 要す る世 代 数 につ い て も約1世 代 の 違 い が 認 め られ た 。 2)近 交 係 数 の 上昇 につ い て 近 交係 数 の上 昇 は,雄 の 頭 数 を 減 ら した こ とに よる影 響 が 血 縁係 数 の上 昇 よ り2 世 代 遅れ て 現 れ る が傾 向 と しては 血 縁係 数 と同様 で あ っ た 。 考 察:系 統 造 成 に お け る集 団 の大 き さ を 小 さ くす れ ば 平 均 血 縁 係 数 の 上昇 速 度 は早 ま り系 統 造 成 期 間 は短 縮 さ れ る。 しか し,そ の反 面,望 ま しい 遺 伝 資源 を広 範 囲 に と り入 れ 集 団 へ 活 用 して い くこ とが で き な い,ま た 系 統 造 成 期 間 の 短 縮 が選 抜 効 果 に対 し不 利 な方 向へ 働 く こ と な どが 考 え られ,こ れ ら の こ と は,系 統 造 成 の本 来 の 目的 か ら 逸 脱 した 集 団を 造 りあ げ る 危 険 性 が あ る こ とを 示 唆 して い る。 こ のた め,最 初 か ら集 団 を 小 さ くす る よ りも基 礎 豚 の集 団 の大 き さを あ る程 度 大 き く して お い て造 成 過 程 で小 さ くす る方 が 良 い と考 え た 。そ こ で,影 響 の 大 きい 雄 の 頭 数 を 変 えた 場 合 の 平 均 血 縁 係 数,平 均近 交係 数 の 上 昇 を 予 測 してみ た と ころ,雄 の 基 礎 豚 の 頭 数 を15頭 で 開 始 し た 場 合,現 在 標 準的 な完 成 目標 と され てい る7世 代 よ りも1世 代 早 め て6世 代 完 了 とす る た め に は早 い 世 代 で8頭 程 度 に 減 ら さ なけ れ ば な らず,さ らに2世 代 早 め て5世 代 完 了 を 目指 す な ら ば3世 代 頃 ま で に5頭 程 度 ま で減 ら さ な けれ ば な らな い こ と が推 察 され た 。 血縁係数 の変化(1) 血縁係数 の変化(2)1986,12月
日豚 研誌 23巻
4号
系 統 造 成 過 程 に お け る 遺 伝 パ ラ メ ー タ ー の 推 定 に つ い て
鈴 木 一好 ・宮原
強 ・井 口元 夫*
(千葉 県畜産 セ ンター,*千 葉県農業 改良課)
目的:系 統 造 成 で は選 抜 指 数 式 に よ る選 抜 が 行 なわ れ てい るが,選 抜 指 数 式 を 作 成 す る為 には,遺 伝 率,遺 伝 相 関 等 の遺 伝 パ ラ メー タ ー の正 確 な推 定 が 重 要 で あ る 。 しか し,遺 伝 パ ラ メー タ ー は集 団固 有 の も の で あ り,造 成 開 始 時 に,そ の基 礎 集 団 に お け る推 定 値 を得 る事 は難 し く,通 常,他 の試 験 等 で発 表 され た 推 定 値 を用 い て式 を 作 り,3世 代 頃 に見 直 しを行 っ て い る 。す なわ ち,よ り少 な い 情報 量 で よ り正 確 な推 定 値 が 得 られ る事 が,選 抜 を よ り有 効 にす る 上 で 重 要 で あ る 。そ こで,系 統 造 成 過 程 の育 成豚 の 成 績 を用 い,3通 りの方 法 に よ り遺伝 パ ラ メー タ ー の推 定 を 行 っ た 。 材 料 と方 法:推 定 に用 い た 成 績 は,「 ボ ウ ソ ウL」 造 成 過 程,第1∼7世 代 の 育 成 豚 の30kgか ら90kgま で の 一 日平 均 増 体 重(以 下DG),90kg時 の 体 長1/2部 位 の 背 脂肪 の 厚 さ(以 下BF)と し,頭 数 は,雄 で67頭 の 父 と交 配 した232頭 の母 か ら生 れ た324頭,雌 で73頭 の 父 と交 配 した300頭 の 母 か ら生 まれ た668頭 と した 。 推 定 方 法 は,(1)枝 分 れ 設 計 に よ る分 散 ・共 分 散 分 析,(2) 父 内 母 の 娘(息 子)に 対 す る回 帰 分 析,(3)選 抜 反 応 に よ る 方 法 の3通 りと した 。 結 果:(1)分 散 ・共 分 散 分 析 に よ る方 法 で は,DGに つ い て,世 代 毎 の 父 成 分 か らの 遺 伝 率 推 定 値 は,雌 で-0. 2706か ら0.9099の 範 囲 に あ り,全 世 代 を プ ー ル した 値 は0.1169で あ り,雄 で-0.8641か ら0.1682の 範 囲 で, プ ー ル した 値 は-0.1977で あ った 。BFに つ い て も同 様 に,雌 で-0.1189か ら0.8687の 範 囲 で,プ ー ル した値 は0.3625で あ り,雄 で-0.6467か ら0.9344の 範 囲 で, プ ー ル した 値 は-0.0844で あ っ た 。 遺 伝 相 関 は ほ とん ど の世 代 で推 定 不 能 で あ っ たが,プ ー ル した値 で,雄 で -1 .4735,雌 で0.7800で あ った 。表 型 相 関 は0.2304で あ った 。(2)回帰 に よる方 法 で は,育 成 豚 雌 と母 よ り推 定 した 遺 伝 率 は,DGで-0.3491か ら0.4333の 範 囲 で, プ ー ル した 値 は0.1980,BFで0.1601か ら0.6100の 範 囲 で,プ ール した 値 は0.4640で あ った 。 遺 伝 相 関 は, プ ール した値 で-0.524で あ った0育 成 豚 雄 と母 よ り推 定 し,標 準 偏差 の違 い で補 正 した 遺伝 率 は,DGで-0. 2078か ら0.3912の 範 囲 で,プ ール した 値 は0.1164,BF で-0.0808か ら1.0339の 範 囲 で,プ ー ル した 値 は0.53 71で あ った 。遺 伝 相 関 は,プ ー ル した値 で0.629で あ っ た 。 (3)選抜 反 応 に よる方 法 で は,各 世 代 集 団 平 均値 の 累 積選 抜 差 に 対 す る 回 帰 に よ り遺 伝 率 を推 定 した と ころ,DG で0.4654,BFで0.7098で あ った 。 考 察:遺 伝 率 に つ い て は,ど の 推 定 法 で もDGよ りB Fの 方 が 大 きか った 。 分 散 分 析 で は,相 対 的 に 雄 の方 が 雌 よ り推 定 値 の 標 準 誤差 が 大 きか った が,こ れ は 雄 の 方 が 頭 数 が 少 ない 為 と考 え られ た 。 回 帰 に よ る 推 定 値 に は,分 散 分 析 の 推 定 値 に 比 べ,よ り多 くの 上 位 性 分 散 が 含 まれ る可 能 性 が あ る事 が 理 論 的 にわ か っ てい るが,プ ー ル した 値 で は,DG,BFと も回 帰 に よ る推 定 値 の方 が 大 きか った 。 遺 伝 相 関 につ い て は,プ ール した 値 で性 別 で符 号 が逆 に な った が,い ず れ に しろ 標 準 誤 差 が 大 き く,正 確 な推 定 が で き てい な い と考 え られ た 。選 抜 反 応 に よる推 定 につ い て は,系 統 造 成 の選 抜 が1形 質 の切 断 型 選 抜 で な く,真 の実 現 遺 伝 率 とは な らな い が,参 考 に な る と考 え計 算 した が,世 代 間 で選 抜 差 の大 小 が あ っ た た め か,DG,BFと も他 の方 法 の推 定 値 よ りか な り大 き な 値 とな った 。第1世 代 か ら各 世 代 ま で の プ ール した値 を 比 べ て み る と,世 代 を重 ね るに つ れ 標 準 誤 差 の 減 少 は み られ た が,推 定値 の バ ラ ツキ が あ り,遺 伝 パ ラ メ ー タ ーの 推 定 値 の 正 確 さ の 側 か らは,選 抜 指 数 式 の 見 直 し の 最 適 の 時 期 は 決 め られ な か った 。 選 抜 指 数 式 の 見 直 し の 為 には,2通 り以 上 の 方 法 に よ る推 定 値 を 求 め,更 に 実 現 した 改 良 量 も考 え あ わ せ,総 体 的 に遺 伝 パ ラ メ ー タ ー の決 定 を 行 うべ き と考 え られ た 。 育 成 豚 雌 に お け る第1世 代 か ら各 世 代 まで の プ ール した 遺 伝 率 の 推 定 値 *回 帰 に よ る推 定 値 で の世 代 は娘 の世 代 を示 す 。198,12月
日豚研誌 23巻 4号
山 形 県 に お け る ラ ン ド レ ー ス 種 豚 改 良 に つ い て
1.原
種豚 育 種 集 団 強 化 推 進事 業 の効 果
富 樫
稔 ・今 田哲 雄 ・鈴 木 淳 一 ・斉 藤 泰 広*
(山形 県養豚試験場,*山 形県庄 内経済連)
目的:昭 和47年,原 種 豚 育 種 集 団 強 化 推 進 事業 が 始 ま る 当 時 は,他 県 か ら導 入 され た 母 豚 か ら増 殖 した 子 豚 を販 売 す る の み で,県 内 で の 改 良 は少 な く,県 外 講 買即 ち 改 良 の形 が とられ てい た 。 しか し,昭 和45年 に オ ラ ンダか ら約130頭 の ラ ン ド レー ス種 豚 が県 と 山形.庄 内 両経 済 連 に よ って 導 入 され た こ と と,養 豚 試 験 場 に産 肉能 力 検 定 施 設 が 整 備 され た こ とに よ り,産 肉性 重 視 の 改 良 を行 う考 え 方 が 醸 成 され つ つ あ る 時,丁 度,原 種 豚 育種 集 団強 化 推 進 事 業 が 実施 され る に 相 俟 って,種 豚 改 良 協 会,指 定 種 豚 場 連 絡 協 議 会 が 設 立 され,徹 底 した 交 配 指 導 と選 抜 に よ り,能 力 の 均 一化 を 図 る こ と と した 。 材 料 と方 法:(1)指 定 種 豚 場 の意 識 の統 一 と改 良素 材 の 抽 出 改 良 目標 設 定 の 後,指 定 種 豚場 の繋 養 豚 中,各 戸 別 に 最 も能 力 の 優 れ た もの か ら産 肉 能 力 検定 に よっ て順 位 を 付 け,産 肉 能 力 検 定 成 績 が38点 以 上 の もの で 各 項 目内 容 を 検 討 し,改 良 素 材 と して 適 当 と判 断 され た もの の 中 か ら,体 型,及 び繁 殖 性 の 優 秀 な もの を見 出す こと と し, な お,優 良能 力 の 出な か った 種 豚 場 は,群 内 の優 良 能 力 豚 を導 入 し て基 礎 豚 とす る こ とに 意 識 の 統 一 を行 った 。 (2)指 定 種 豚 場 各 戸 別 の 改 良 各 戸 別 では,飼 育 され て い る豚 が,血 統 的 な連 が りが な く,多 くの 血 統 を保 有 して い た が,将 来 の改 良 目標 に 向け て,強 力 な 指 導 を行 う必 要 が あ った 。 各 指 定 種 豚 場 は,改 良素 材 と して指 定 され た 原種 豚 に つ い て は,厳 密 な指 定 交配,産 子 検 定,産 肉 能 力 検定 に よ って,そ の産 子 状 況 の産 次別 の判 定 を 行 い,ど の産 次 の豚 を 改 良 素 材 と して 残す べ きか 総 合 的 に 判定 し,判 定 もれ の もの は 総 て 買 却 し,改 良素 材 の血 統 の み が 残 る よ うに指 導 した 結 果,戸 別 の血 縁 が 高 ま り,優 良種 豚 の 融 通 に よ り,指 定 豚 の 血 縁 も高 ま り,能 力 的 に も安 定 して き てい る。 (3)系 統 別 研 究 会 の 設 立 この よ うに し て 年 次 を 追 うご とに 低 能 力豚 が 淘 汰 さ れ,指 定 種 豚 場 各 戸 別 互 に 同 一血 統 に か た ま りが 見 られ る よ うに な る と,各 戸 別 で 改 良す る とい うよ りも群 全 体 と して ど の よ うに改 良 す る か の 問 題 に 突 き当 って きた 。 そ して,近 交 系 数 の バ ラ ツキ を 出 来 るだ け 無 くし,か つ 近親 に な らない よ うにす るた め に は,同 一 血 統 を 持 っ て い る指 定 種 豚 場 が 集 ま り,来 年 度 の 雄 造 りの た め の指 定 交配,及 び 出来 上 った 雄 の 利用 方 式 に つ い て,各 原 種 豚 互 に 決定 し,群全 体 を 改 良 す べ く努 力 した 結 果,前 述 の オ ラ ンダ 系種 豚 を基 礎 と した 輸 入 系,及 び産 肉検 定 に よ って選 抜 され た プ ラム系 のつ の 系 統 に しぼ られ て き た 。 これ は 意 識 的 で な く,各 指 定 種 豚 場 が 優 良豚 を 保 留 し,ま た,自 家 に高 能 力 豚 が い ない 時 に は原 種 豚 を 購 買 して,選 抜,淘 汰 を行 った 結 果,自 然 発 生 的 に群 が 出来 上 った もの で あ る 。 結 果:集 団 の能 力 は55年 度 よ り安 定 度 が 加 わ り,群 の 近 交 系数 も上 り始 め,特 に 当 初 目標 と した,1日 平 均増 体 重 の増 加,及 び ロー ス断 面 積 を 大 き くす る こ とに つい て 改 良 の跡 が見 られ た 。 ま た能 力 選 抜,高 能 力 豚 の保 留,交 換 を 進 めた 結 果, 自然 発 生 的 に2つ の 集 団 が 出 来,特 に,プ ラ ム系 につ い て は近 交 度 も上 り,あ る程 度 斉 一性 の 高 い 集 団 と な った 。 豚産 肉能 力 後 代 検 定成 績 表 品種 ラ ン ドレ ース1986,12月
日豚研誌 23巻
4号
山 形 県 に お け る ラ ン ド レ ー ス 種 豚 改 良 に つ い て
2.ラ
ン ド レー ス 種 の 血 統 分 析
今 田哲 雄 ・鈴 木 淳 一 ・富 樫
稔 ・萱 場 猛 夫*
(山形県養豚試験場,*山 形大学 農学部)
目的:山 形 県 で は 日本 種 豚 登録 協 会認 定 の 指 定 種 豚 場(以 下,農 家 と略 す)の ラ ン ドレー ス種 豚 を 中心 に, 優 良種 豚 育 種 効 率 向上 推 進 事 業 に参 加 し て改 良事 業 を 推 進 して来 た 。そ こ で,今 後 の豚 改 良計 画 等 を 検 討 す るた め,事 業 参 加 農 家 で繋 養 され てい る ラ ン ドレー ス種 につ い て血 統 分 析 を 試 み た 。 材 料 と方 法:供 試 豚 は12戸 の 農 家 で 繋養 され て い る もの で,種 雌 豚116頭,種 雄 豚15頭 の 血 統 図 を用 い, 近 交 係 数,血 縁 係数,遺 伝 的 寄 与 率,世 代 間 隔 に つ い て, 調 査 分 析 した 。 な お,近 交係 数 並 び に 血 縁係 数 は 阿部,西 田1)ら の 細 分 血 統 法 に 準 じ,ま た,遺 伝 的 寄 与率 はWeiner2)の 方 法 に よ り算 出 した 。世 代 間 隔 は分 娩 時 の母 豚 年 令 を 平 均 し て算 出 した 。 結 果 と考 察:(1)近 交係 数;調 査 豚131頭 に つ い て近 交 係 数 を 調 査 した 結 果,5%以 下 の もの が94頭 で約72% で あ り,10%以 上 の もの が15頭 で11.5%を 占め た が, 平 均 では4.1%で あ った 。 (2)血 縁 係 数;農 家 内 に お け る豚 個 体 間 の 血 縁 係 数 は No.3の 農 家 で 平 均32.5%と 最 も高 く,次 い でNo.5, No.4,No.10の 農 家 で 平 均25%以 上 を 示 し てお り, No.8の 農 家 を 除 い て ほ ぼ20%台 で あ り,農 家 内 に お け る 血 縁係 数 は 高 い 水 準 で あ った 。 しか し,農 家 間 の 血 縁 係数 で は,No.5の 農 家 はNo.3,No.9,No.10, No.11,No.12と の 農 家 間 で,No.10の 農 家 は他 の7 戸,ま た,No.12の 農 家 は他 の4戸 の農 家 間 で血 縁 係 数 が いず れ も10%以 上 で あ った が,他 の農 家 群 間 で は 血 縁 係 数 が や や 低 く,ま た,農 家 間 の バ ラ ツ キ も見 られ, 平 均 で は8.1%で あ った 。 次 に,種 雄 豚15頭 にお け る血 縁 係 数 で は,農 家 内 の 種 雌 豚 の血 縁 係 数 と比 べ 高 く,特 に,プ ラ ム,ル ー ド,テ ー ラ,サ イ トー10∼599は 他 の 8頭 の 種 雄 豚 の 間 で20%以 上 の 血 縁 係 数 を 示 した が, 最 少1.2%,最 大59.4%と バ ラ ツキ が 見 られ 平 均 で は 17.5%で あ った 。 (3)遺 伝 的 寄 与 率;種 雌 豚116頭 に対 す る 特 定 種 雄 豚 の 遺 伝 的 寄 与 率 で は プ ラ ム,ル ー ド,ボ ス マ ン,モ リ 2-6が17.9%と 最 も高 く,次 に,プ ラ ム,ボ ス マ ン, ダ ン トス,サ トー5-6の12.9%,プ ラ ム,ア ベ リー ン, ボ ス マ ン,モ リ2-5の10.5%と 続 き,こ の種 雌豚 群 に お い て こ の3頭 の種 雄豚 の寄 与率 が41.3%を 占 め た 。 (4)世 代 間 隔;こ の集 団 にお け る世 代 間 隔 につ い て, 昭 和59年1月28日 か ら11月22日 まで 分 娩 した45例 に つ い て調 査 した 結 果,平 均4.06年 で あ った 。 以 上 の 分 析 結 果 か ら,こ の ラ ン ドレー ス種 豚 集 団 にお け る遺 伝 的 特 徴 は,調 査 豚 の 近 交 係 数 が 平 均4.1%で あ り,集 団 に お け る近 交 度 が や や 低 い もの と推 察 され る。 だ が,農 家 内 に お け る豚 個 体 間 の 血 縁 係 数 は 一部 の 農 家 を 除 き,ほ ぼ20%台 で あ り,農 家 内 の 繋養 豚 で は 特 定 の 雌豚 か ら後 継 豚 を 残す とい う理 由 か ら,斉 一 性 が 進 ん で い る もの と思 わ れ た 。 しか し,農 家 間 に お け る血 縁 係 数 は 農 家 間 で バ ラ ツキ が見 られ,ま た,近 交 係数 が や や 低 い こ とか ら考 え て,こ の 集 団 に お け る群 と して の 斉 一 性 を,さ ら に一 層,高 め て行 く必 要 が あ る 。そ の た め, 今 後 は,グ ル ー プ 内 で供 用 す る種 雄 豚 を 多 くす る と と も に,生 産 子 豚 の遺 伝 的 特 徴 を 予 測 し なが ら計 画的 に 交配 を す す め る こと に よっ て,農 家 間 に お け る血 縁 係 数 の バ ラ ツキ を 是 正 す る とと もに,集 団 と し て豚 の改 良を 促 進 す るた め,世 代 間 隔 の 短 縮 を 図 り,本 県 に お け る ラ ン ド レース 種 系 統 の 造 成 を 推 進 して 行 く必 要 が あ る。 文 献 1)阿 部,西 田;日 本 家 禽 会誌, 8, 4, 245-249 (1971) 2) Weiner. G; J. Agric, Sci. 43, 102 (1953)1986,12月
日豚 研誌 23巻
4号
自 然 寒 冷 環 境 が エ ネ ル ギ ー 要 求 量 に 及 ほ す 影 響
宮 崎
元 ・小 泉
徹 ・高 橋 正 也*
(北海道立滝川畜産試験場,*日 本科学飼料協会)
目的:寒 冷 環 境 下 では,体 温 維 持 に 要す る エ ネル ギ ー 量 が 増 加 し,そ の 結 果 エ ネル ギ ー要 求量 が 高 ま る こ とが 知 られ て い るが,寒 冷 環 境 と肉豚 の生 産 性 につ い て の 検 討 例 は 多 くな い 。 そ こで,冬 期 に豚 舎 で飼 育 す る豚 に 対 し,標 準 的飼 料 を 給 与 した場 合 に お け る増 体 効 率 の変 化 を,環 境 温 度 との 関連 で 検 討 した 。 材 料 と方 法:供 試 豚 は 雑 種 豚(LW・D),4腹24頭 を 用 いた 。試 験 区 分 は寒 冷 区(0∼5℃)と 対 照 区(15∼20℃) の2区 と し,各 区 に4頭 群 飼3群 を 配 置 した 。 試験 期 間 は 群 平 均35∼95kgと し,給 与 飼 料 は産 肉 能 力 検定 飼 料 で 不 断 給 与 した 。 各 個 体 とも105kg到 達 後,1週 間以 内 に 屠 殺 解 体 した 。 屠 殺 は 湯 は ぎ法 に よ り実施 し,翌 日, 産 肉 能 力 検 定 に 準 じて測 定 した 。 な お,畜 舎 内 の気 温 の 測 定 は,最 高 ・最 低 温 度 計 と 自記 温湿 度 計 を用 い,床 上 45cmで 実 施 した 。 結果 と考 察:試 験 期 間 中 の 外気 温 は,最 高 気 温 が-4.1℃,最 低 気 温 が-14.4℃ で あ り,平 均 気 温 は-9.2℃ で あ っ た 。 畜 舎 内 の気 温 は,寒 冷 区 が最 高3.9℃,最 低1.4℃ で, 平 均 気 温 は2.4℃ とな っ た 。 また,対 照 区 はハ ウス 加 温 機 で加 温 した が,最 高13.9℃,最 低11.1℃ で,平 均 気温 が12.5℃ と な り,当 初 の 設 定 値(15∼20℃)よ り低 か っ た 。 この た め,寒 冷 区 と対 照 区 の 気 温 差 は10.1℃ で あ っ た 。 前 期(35∼70kg)の 発 育 成 績 は,寒 冷 区 が対 照 区 に比 べ,1日 平 均 増 体 量 が59g(対 照 区 の92%)低 く,飼料 要 求 率 が0.43(同 様 に114%)劣 っ て い た 。後 期(70∼ 95kg)は,1日 平均 増 体重 が 同 様 の値 であ った が,飼 料 要 求 率 が0.41(111%)劣 って い た 。 この た め,全 期 間 で は,1日 平 均 増 体 量 は 寒 冷 区 が764g,対 照 区 が 800gと 寒 冷 区 が や や 低 か った 。飼 料 摂 取 量 は 寒 冷 区 が 230kgで 対 照 区 よ り27kg多 く 摂 取 して い たた め,飼 料 要 求 率 が0.43(113%)悪 化 した 。 日飼 料 摂取 量 は寒 冷 区 が2.90kg,対 照区 が2.69kgと 寒 冷 区 が 多か っ た 。 これ ら の結 果 か ら,寒 冷 区 は 対 照 区 に 比 べ 気 温 が 10.1℃ 低 い た め,飼 料 摂 取 量 を1日 当 た り約200g増 加 させ たが,維 持 エ ネル ギ ーの 増 加 量 に 対 し不 十分 で あ っ た た め,1日 平 均 増 体 量 もや や 劣 った もの と判 断 され た 。 つ ぎ に,枝 肉 に 対 す る影 響 を み る と,屠 殺 日令 の差 が 小 さ い こ とか ら,枝 肉歩 留,枝 肉 の 長 さ,ロ ー ス断 面 積 や 背 脂 肪 厚 な どに差 が な か った 。 一 方,脂 肪 の 性 状 は 水 分 や 脂肪 色(L値)に 差 が な か った が,融 点 で は 寒 冷 区 が対 照 区 に比 べ や や 低 か った 。 脂 肪 酸 組 成 で は 寒 冷 区 が対 照 区 に比 べ,C16:0,C18:0と 飽 和 脂 肪 酸 が 少 な く,C18:1とC18:2が 多 い傾 向 に あ っ た 。 だ が,胸 最 長 筋 の理 化 学 性 状 に は差 が認 め られ なか った 。 以 上 の 結 果 か ら,寒 冷 環 境 で は飼 料 の 摂 取 量 の増 加 に よ り体 温 維 持 と体 蓄積 の エ ネル ギ ーを 確 保 し よ うと した が,肥 育 前期 で は十 分 量 が 採 食 され ず,増 体 が 劣 った 。 だ が,肥 育後 期 に は採 食 量 が 増 加 し,増 体 確 保 され た も の と考 え られ る 。 この た め,全 期 間 で は 日採 食 量 の増 加 が 十 分 な量 に な ら なか った た め,増 体 が や や 劣 った もの と判 断 され た 。 枝 肉成 績 や 赤 肉 の 理 化学 性 状 は,発 育 成 績 に大 差 が な か った こ とか ら,違 い が認 め られ な か っ た 。 だ が,脂 肪 性 状 は寒 冷 環 境 条件 に よ り融 点 が低 くな り,飽 和 脂 肪 酸 の 割 合 が 減 少 す る 傾 向 が認 め られ た 。 表1 発 育 成 績 ()は 対 照 区 を100と した 値 表2 脂 肪 性 状(背 部 内 層)1986,12月
日豚研誌 23巻 4号
肉 豚 の リ ン 要 求 量,出
納 成 績 に よ る 査 定
森
淳,高
田良 三
(農水省畜産試 験場)
目的:リ ン要 求 量 は 従 来 全 リ ンで 表 示 され て い るが, 利 用 され てい る有 効 リ ン量 よ りもか な り上 回 った 値 と な っ てい る。 リ ンの 利 用 性 は 無 機 リ ンお よび 動 物 性 リン の 利 用 性 は 優 れ るが,穀 類 の リ ンの 大 部 分 は 利 用 性 の 劣 る フ ィチ ン リ ンであ る と され てい る。 した が って リンの 利 用 性 は 飼 料 の種 類 に よ り 利 用 率 が 大 き く 相 違 す るの で,全 リ ンで の 要 求 量 の 表 示 は,リ ンの 要 求 量 に 過 不 足 を 生 じさせ る恐 れ が あ る。 本 研 究 は植 物 性(フ ィチ ン) リ ンの 利 用 性 を 明 らか にす る と共 に,豚 の 有 効 リン量 を 明 らか に し,リ ンの 合 理 的 給 与 の資 とす る もの で あ る。 材 料 と方 法:ト ウ モ ロ コシ ・大 豆 粕 を 主 体 とす る飼 料 に 燐 酸 二 石 灰 を0,0.75,1.50お よ び2.25%配 合 す る こ と に よ り,飼 料 中 の 全 リ ン含量 を0.35,0.45,0.60 お よ び0.75%と し,30∼60kgの 去 勢 豚8頭 を 代 謝 ケ ー ジ に収 容 し,5週 連 続 の 出納 試 験 を 行 ない,リ ンの 蓄 積 量 が 水 平 に 達 した 量 を 要 求 量 とみ なせ る と予 想 して 行 な った 。 飼 料 給 与 日量 は 体 重 の4%を 朝 夕 の2回 に 分 け て 与 え た 。水 は十 分 に給 与 した 。 出納 試 験 は予 備 期4日,本 試 験3日 と した 。 結 果 と考 察:リ ン給 与 量 が 最 高 の0.75%区 は 週 が 進 む に伴 い,リ ン蓄 積 量 が 除 々 に低 下 した 。蓄 積量 が 水 平 に な る き ざ しを み せ た のは3週 目で あ り,完 全 に は5週 目の リ ン給 与 水 準0.60%で 最 高 と な った 。 した が って 30∼60kgの 肉 豚 の リ ン要 求 量 を 出納 試 験 の蓄 積 量 で求 め る に は,少 くと も3週 間 以 上 の飼 養 試 験 を 行 った 後 で な けれ ば判 定 が で き ない の で,発 育 の早 い豚 に と っ て, 発 育 段 階 別 の 正 確 な要 求 量 はか な り困難 で あ る と思 わ れ た 。 トウモ ロ コシ72%,大 豆 粕22.8%,ア ル フ ァル フ ァー ミー ル3%お よび 燐 酸 二 石 灰0%配 合 飼 料 の 全 リ ン 含 量 は,0.35%,消 化 率 は1∼5週 で19.8∼21.1%で あ り, 有 効 リ ン量 は0.069∼0.074,平 均0.07%で あ った 。 但 し本 飼 料 は30∼60kgの 肉豚 の飼 料 と して は,粗 蛋 白質 含量 が17.4%と 高 く,通 常 の も の は15%程 度 で良 い の で,大 豆 粕 の配 合 割 合 が低 く くな り,全 リ ン含 量 で は本 試 飼 料 よ りも0.05%低 い,0.30%程 度 で あ る 。した が っ て,肉 豚 の トウモ ロ コ シ,大 豆 粕 飼 料 の 有 効 リ ン 量 は 0.06%と 考 え られ る 。 ケ ンタ ッキ ー大 学1985年 豚 養 分 推 奨値 で は,ト ウモ ロ コ シ,大 豆 粕 飼 料 の有 効 リ ン量 を 0.05%と して い る の で,本 成 績 と 近 似 した 値 と 言 え よ う。 また 体 重18∼57kgの 豚 の リン 要 求 量 を 全 リ ンで 0.55%,有 効 リ ン量 で,0.30%を 示 して お り,0.25% を 動物 性 か 無 機 リンで 添 加 す る こ とを示 して い る 。 前 記 の 飼 料 に 燐 酸二 石 灰1.5%配 合 し,全 リン 含 量 0.62%の1∼5週 の み か け の リン消 化 率 は33.4∼41.3% とな り,こ の 量 が 体 重30∼60kgの 肉豚 の みか け の有 効 リン量 と な り,ケ ンタ ッキ ー大 学 の 推 奨値 よ りや や 低 い 値 と な った 。 また 全 リ ンの 給 与 量0.45∼0.60%の 間 に 尿 排 泄 リ ン 量 に 大 き な相 違 が み られ た 。 森 お よび 高 田 は リ ンの 要 求 量 以 下 で は,尿 排 泄量 は ほ とん ど増 加 せ ず,要 求 量 以 上 を み たす と尿排 泄 量 が 急 激 に 増 加 す る こ とを 本 誌22巻238,1985,23巻83,1986で 報 告 した が,今 回 の 試 験 に お い て も,全 リン0.35%区 お よび0.45%給 与 区 の リ ン排 泄 量 は4週 目の0.45%以 外 は 体 重1kg当 た り10mg以 下 で,0.60%給 与 区 の36∼ 45mgと 大 き な相 違 が み られ た 。従 来 の成 績 か ら,尿 排 泄 量 が 体 重 当 た り20mg以 上 は,ほ ぼ 要 求 量 を み た す と考 え られ る。 本 試 験 の0.60%給 与 区 の そ れ は40mg 前 後 で,20mgを 大 き く上 回 っ てお り,全 リ ンの 要 求 量 は0.45%区 と0.60%区 の間 に あ る と思 わ れ るが,そ の 中 間 よ りも0.45%給 与 区 に近 い 所,全 リ ンで は0.50∼ 0.55%に あ る と思 わ れ る 。但 し,本 試 験 の 飼 料 は 前 述 し た よ うに全 リ ン含 量 が0.05%多 い の で,通 常 の トウ モ ロ コ シ ・大 豆 粕 飼 料 な ら ば,0.45∼0.50%の 間 に体 重30∼ 60kgの 豚 の リ ン要 求 量 が あ る と思 わ れ た 。 リン出 納 成 績5週 目1986,12月
日豚研誌 23巻 4号
高 蛋 白 質,高
リ ジ ン 裸 麦 の 豚 に お け る 飼 料 価 値
古 谷
修 ・梶
雄 次
(農水省九州農業試験場)
目的:高 蛋 白質,高 リジ ンを 目的 に した 裸 麦 の 新 系 統 が 四 国 農 試 で 開 発 され た 。 そ こで,こ の裸 麦 の 豚 に お け る栄養 評 価 を 行 った 。 材 料 と方 法:供 試 裸 麦 は,1985年 お よび86年 に 四 国 農 試 で 生 産 され た もの で,粗 蛋 白質(CP),総 エ ネ ル ギ ーお よび ア ミノ酸 組 成 の 分 析 と,豚 小 腸 液 を 用 い る人 工 消 化 試 験 に よ るDCPお よび 可 消化 エ ネ ルギ ー(DE) の測 定 を 行 った 。 さ ら に,85年 産 裸 麦 につ い て は 小腸 末 端 まで の ア ミノ酸 の 消 化 率 を腸 管 カ ニ ュー レ装 着 豚 を 用 い て測 定 し,ま た,86年 産 裸 麦 につ い て 豚 に よる代 謝 試 験 を 実 施 した 。 小 腸 末 端 まで の 消化 試 験 では,基 礎 飼 料(ト ウモ ロ コシ32%,ル ーサ ン ミー ル4%,コ ー ン ス タ ー チ60%,そ の他4%)お よび コー ンス タ ー チを 裸 麦 で代 替 した 飼 料 を 供 試 し,各 試料 に4頭 の豚 を 反 復 し て用 い た 。飼 料 は8時 間 等 間 隔 で1回 に600g宛,4日 間給 与 し,後 半3日 間 の午 後1∼2時 に 小腸 内容 物 を 採 取 して分 析 に供 試 した 。 ア ミノ酸 の 消 化率 の算 出 は酸 化 ク ロム 法 に よった 。 また,代 謝 試 験 で は,体 重 約30kg の 子豚6頭 を代 謝 ケ ー ジ に収 容 し,裸 麦 単 味,ト ウモ ロ コシ 単味 お よび トウ モ ロ コシ+大 豆 粕 の3種 類 の飼 料 を 1日1200g宛 給 与 し,予 備4日,採 糞採 尿4日 の8日 間 を1試 験 期 間 と して2期 に亘 って 実施 した 。そ れ ぞ れ の飼 料 のCPは,13.5,6.7お よび11.5%で あ った 。 結 果 と考 察:裸 麦 の原 物 中CPお よび リジ ン含 量(%) は,85年 産(86年 産)で,そ れ ぞ れ,11.5(13.4)お よ び0.54(0.68)で,CP含 量 は 日 本 標 準 飼 料 成 分 表 の 裸 麦 の11.2よ りも 高 か っ た 。 人 工 消 化 試 験 に よ る 原 物 中 DCP(%)お よ びDE(kcal/g)は,そ れ ぞ れ,9.9 (11.7)お よ び2.99(3.14)で,対 照 と し て 供 試 し た ト ウ モ ロ コ シ の そ れ ぞ れ,6.1お よ び2.90よ り も 高 か っ た 。 小 腸 末 端 で の 真 の 消 化 率 は,リ ジ ン,ス レオ ニ ン, メ チ オ ニ ン お よ び 全 必 須 ア ミ ノ 酸 で は,そ れ ぞ れ,89, 87,87お よ び87%と な り,ト ウ モ ロ コ シ の そ れ ぞ れ, 89,86,85お よ び87%と 差 が な か っ た 。 代 謝 試 験 の 結 果 に よ る と,裸 麦 お よ び トウ モ ロ コ シ のCPの 消 化 率 は そ れ ぞ れ84お よ び76%で,裸 麦 の 方 が 高 か っ た が,こ れ は 見 掛 け の 消 化 率 で あ り,主 と し て トウ モ ロ コ シ の CP含 量 が 低 か っ た こ と に よ る も の で,真 の 消 化 率 とす れ ば こ れ 程 の 差 は な い も の と 考 え ら れ る 。 エ ネ ル ギ ー の 消 化 率 は そ れ ぞ れ86お よ び85%,可 消 化 エ ネ ル ギ ー は 3.28お よ び3.17kcal/g,代 謝 エ ネ ル ギ ー は3.19お よ び 3.11kcal/gと な り,裸 麦 の 方 が 僅 か に 優 れ た 。窒 素 の1 日蓄 積 量 は,ト ウ モ ロ コ シ 単 味 飼 料 が3.59で あ っ た の に 対 し,裸 麦 単 味 飼 料 お よ び ト ウ モ ロ コ シ+大 豆 粕 飼 料 で は い ず れ も10.1gで あ っ た 。 以 上 の 結 果 か ら,新 た に 開 発 さ れ た 裸 麦 は,CPお よ び リ ジ ン含 量 が 高 い ば か り で な く,そ の 利 用 性 も 優 れ て い る も の と 判 断 さ れ た 。 裸 麦 の栄 養 価(原 物 中) CP:粗 蛋 白 質 DE:可 消 化 エ ネ ル ギ ー ME:代 謝 エ ネ ル ギ ー1986,12月
日豚研誌 23巻 4号
モ ル デ ン ゼ オ(モ
ル デ ナ イ ト系 ゼ オ ラ イ ト)を
養 豚 飼 料 に
添 加 し た 場 合 の 肉 質 に 及 ぼ す 影 響 に つ い て
和賀 井 文作 ・辰 己功 一 ・榊 原 徳 造*
(朝 日化成興業,*愛 知県農総試 ・畜研)
目的:モ ル デ ンゼ オ(モ ル デ ナ イ ト系 ゼ オ ライ ト)を 人 工 乳A,人 工 乳B,肥 育 前 期,肥 育 後 期 飼 料 に2∼1.1 %添 加 し,発 育,1日 当 た り増 体 重,飼 料 要 求 率,経 済 性 な どにつ い て は,日 本 養 豚 研 究 会 に報 告 した 。 今 回 は ス ーパ ーA(哺 育 用)飼 料 と検 定(肥 育 用)飼 料 に モ ル デ ンゼ オを 添 加 し,離 乳 後 よ り生 体 重105kgま で試 験 を 実 施 し,肉 質 を中 心 に調 査 した 。 材 料 と方 法:こ の試 験 に用 いた 子 豚 は愛 知 県 農 総 試 ・ 畜 産 研 究 所 で生 産 され たWL♂2頭,LWD♀4頭,LW D♂6頭 計12頭 の 試 験 豚 であ る。 生 年 月 日は昭 和59年 12月7日,試 験 開 始 は昭 和60年1月5日 よ り5月22日 ま で の166日 間 であ る 。 モ ル デ ンゼ オ添 加 区(試 験 区) と無 添 加 区(対 照 区)に 分 け,ス ーパ ーA飼 料 に は1カ 月 間 に モ ルデ ンゼ オを2%添 加 した 。 そ の後 検 定 用 飼 料 に 切 替 えた 。 そ の際 の モ ル デ ンゼ オは1.5∼1.1%添 加 した 。 生 体 重105kg到 達 時 点 で,産 肉 能 力 検 定 に準 じ て と 殺 解 体 し,と 体 長,背 腰 長II,背 脂 肪,ロ ー ス断 面 積, ハ ム の 割 合,肉 質 の比 較 と して,一 般 外 観 肉 質 得 点 (L,a,b,pcs,b/a),脂 肪 の 比 較 と し て,脂 肪(L,a, 融 点),水 分 含 量,伸 展 率,保 水 力,肉 質 審 査 と して,肉 色,き め,脂 肪 交 雑,保 水 性,し ま り弾 力 な ど,そ の 他 に 飼 料 消 費 量 な どを 調 査 した 。 結 果 と考 察:1.発 育 成 績 昭 和60年1月5日 の 試 験 開 始 時 の 生 体 重 は 試 験 区5.7±0.4kg,対 照 区5.5± 0.7kgで あ り,両 区 共 ほ ぼ 等 しい値 で あ っ た が,検 定 用 飼 料 に切 替 え て肥 育 後 期60kg以 降 の対 照 区 の体 重 増 加 は 試 験 区 に比 較 して 緩 慢 と な り,5月8日 の時 点 で,試 験 区 の方 が 対 照 区 に 比 較 し て4.8kgの 増 体重 を示 し,5 月22日 の166日 齢 時 の 体 重 は,試 験 区 で94.3±5.2kg, 対 照 区 で90.5±7.2kgと な り,試 験 区 は 対 照 区 よ りも 3.8kgの 増 体 を 示 した 。 2.1日 当 た りの 増 体 量 は,試 験 区 で658.7±38.5g, 対 照 区 で632.3±45.49と な り,試 験 区 を100と した 場 合,対 照 区 は95.99%を 示 し,試 験 区 の方 が26.4g/日 増 体 重 が 多 く,そ の バ ラ ツキ が 少 な か った 。 3.と 体検 査 と体 長 と背 腰 長IIは,試 験 区,対 照 区 共 に ほ ぼ 同 じ値 を 示 した 。 背 脂 肪 は 試 験 区 の 方 が0.33 cm程 度 薄い 結 果 が 得 られ た 。 ロ ース 断 面 積 は 試 験 区 の 方 が1.4cm2程 狭 く,ハ ムの 割合 は 両 区 共 ほ ぼ 同 じ値 で あ った 。 4.肉 質 の比 較 一般 外 観 は 試 験 区 で20,対 照 区 で 22の 値 を示 し,肉 質 得 点 は試 験 区 で18,対 照 区 で20.4 を 示 した 。赤 肉 のL値 は 両 区 共 ほ ぼ 同 じ値 を 示 し,a値 は 試 験 区 で10.25±0.43,対 照 区 で7.84±0.97で,そ の 差2.41で あ り,対 照 区 の 方 が バ ラ ツ キ が 大 き か っ た 。 b値 は 両 区 共 同 じ値 で あ り,PCSも 両 区 共 ほ ぼ 同 じ値 で あ っ た 。b/a値 は 試 験 区 で0.5,対 照 区 で0.6で あ っ た 。 5.脂 肪 の 比 較L値 は 試 験 区 で69.43±1.94,対 照 区 で70.10±1.93,a値 で は 試 験 区3.17±1,53,対 照 区 2.23±0.83を 示 し た 。 脂 肪 の 融 点 は 試 験 区 で37.3± 1.43,対 照 区 で36.3±2.40を 示 し た 。 水 分 含 量 は 試 験 区 で73.98±0.31,対 照 区 で72.25±3.70を 示 し,対 照 区 の 方 が バ ラ ツ キ が 大 き か っ た 。 伸 展 率 は 試 験 区 で38. 31±4.18,対 照 区 で39.20±5.81を 示 し た 。 保 水 力 は 試 験 区 で73.8±2.58,対 照 区 で74.00±2.68を 示 した 。 6.肉 質 審 査 の 比 較 肉 色 は 試 験 区 で3.05,対 照 区 で 3.08を 示 し た が,対 照 区 の 方 が バ ラ ツ キ が 大 き か っ た 。 き め は 試 験 区 で3.83±0.37,対 照 区 で4.0±0.58を 示 し た 。脂 肪 交 雑 は 試 験 区 で4.17±0.37,対 照 区 で3.17± 1.07を 示 し,対 照 区 の 方 が バ ラ ツ キ が 大 き か っ た 。保 水 性 は 試 験 区 で4.33±0.47,対 照 区 で4.0±0.58,し ま り 弾 力 は 試 験 区 で4.17±0.37,対 照 区 で4.0±0.58を 示 し,試 験 区 の 方 が 均 一 な 肉 質 が 得 られ た 。 7飼 料 消 費 量 の 比 較 試 験 期 間 中 の ス ー パ ーA,肥 育 用 検 定 飼 料 の 合 計 を み る と,ス ー パ ーAは 試 験 区 で 170kg,1頭 当 た り28.3kg,対 照 区 で167kg,1頭 当 た り27.8kgで あ る 。 肥 育 用 検 定 飼 料 は 試 験 区 で1,663 kg,1頭 当 た り277.2kgに 対 し,対 照 区 で1,778kg, 1頭 当 た り296.3kgで あ り,全 体 と し て 試 験 区 で1,833 kg,1頭 当 た り305.5kg,飼 料 要 求 率3.05に 対 し,対 照 区 で1,945kg,1頭 当 た り324.1kgを 示 し,18.6kg 多 く飼 料 を 摂 取 し た 。 ま た,飼 料 要 求 率 は3.24を 示 し た 。 な お,ス ー パ ーAのTDNは80,DCPは16で あ り,検 定 用 飼 料 のTDNは70.1,DCPは12.7で あ り, 統 計 処 理 の 結 果 有 意 差 は 認 め られ な い 。 以 上 の 結 果 よ り考 察 す る に,モ ル デ ン ゼ オ を 飼 料 中 に 添 加 す る こ と に よ り,天 然 の 微 量 の ミネ ラ ル が 含 有 し, こ れ ら の 作 用 に よ りPH,胃 腸 内 の 水 分 調 整,吸 着 作 用 に よ り,排 ふ ん 尿 中 の ア ン モ ニ ア 態 窒 素,炭 酸 ガ ス の 減 少 な ど に よ り畜 舎 環 境 が 改 善 さ れ,均 一 な 発 育 と 均 整 な 肉 質 が 生 産 さ れ た も の と推 測 さ れ る 。 文 献 和 賀 井 文 作:家 畜 ふ ん 尿 処 理 と 利 用,277∼289養 賢 堂,東 京1985 和 賀 井 文 作,辰 己 功 一:日 豚 研 誌 22, 125, 1985 同 上,同 上:日 豚 研 誌, 22, 234, 1985 同 上,同 上:日 豚 研 誌, 23, 87, 1986 同 上,同 上:家 畜 の 管 理, 21, 33∼35, 1985-207-1986,12月
日豚研誌 23巻
4号
穀 類 の 種 類 が 豚 肉 質 に 及 ぼ す 影 響
設 楽
修 ・秦 谷
豊 ・山 口和 光
(兵庫県立畜産試 験場)
目的:大 麦,ト ウ モ ロ コ シお よび マ イ ロを主 体 とす る 飼 料 の 肥 育 豚 へ の 給 与 が,豚 肉 質 に 及 ぼす 影 響を,理 化 学 的,物 理 的 並 び に 組 織 学 的 検 査 に よ り調 査 す る と同 時 に,官 能 検 査 を 実施 し,味 との 関連 を 検討 した 。 材 料 と方法:供 試 豚 は ラ ン ドレー ス 種 で,去 勢 豚2 頭,雌 豚2頭 の4頭 を1区 と し,4区 を設 けた 。 試 験 期 間 は4カ 月 齢 か ら6カ 月 齢 と した 。試 験 区 分 は1区(検 定飼 料),2区(大 麦40%),3区(ト ウモ ロコ シ60%) お よび4区(マ イ ロ50%)と した 。供 試 豚 を と殺 後24時 間 冷蔵 庫 内 で 放冷 し,左 側第6-10胸 椎 部 胸 最 長 筋 お よ び皮 下 脂 肪 内 層 を用 い てpH24,肉 色,脂 肪 色,水 分, 保 水 力,伸 展率,ト ラ ンス ミッシ ョ ン値,筋 線 維 の 太 さ, 脂肪 酸 組 成 お よび生 肉 の テ クス チ ャーを 測 定 し,第10胸 椎部 以 降 の胸 最 長 筋 を 用 い て ク ッキ ング ロス と調 理 肉 の テ クス チ ャ ー の測 定 並 び に 官能 検 査 を 行 った 。胸 最 長 筋 は厚 さ2.5cmに 整 形 し,165℃ の オ ー ブ ンで 筋 肉 の 中 心 温 度 が75℃ に達 す る ま で加 熱 調 理 した 。 官能 検 査 は 調 理 肉を1cm角 に裁 断 して1-8の 評 点 法 に よ り行 い, 多 汁性,柔 らか さ,総 合 評 価 等 を 調 査 した 。 結 果:1日 平 均 増 体 重 と 飼 料 要 求 率 は2区 が 最 も 良 く,以 下TDN含 量 に 応 じて 変 化 した 。 と体 成 績 は 飼 料 よ り体 重 の 影 響 が 大 き く,区 間 に 有意 差 は認 め られ なか った 。pH24,肉 色,脂 肪 色,水 分,保 水 力,伸 展 率, トラ ンス ミ ッシ ョ ン値,筋 線 維 の 太 さ お よ び生 肉,調 理 肉 の テ クス チ ャ ーは 区 間 に 有 意差 が認 め られ なか った 。 皮 下 脂 肪 内 層 の 脂肪 酸 組 成 は3区,4区 で飽 和 脂 肪 酸 が 有 意 に 多 く,全 飽 和 脂肪 酸 と リノー ル酸 ・ス テ ア リン酸 比 も4区 が1区 よ り有 意 に優 れ てい た 。 ク ッキ ン グ ロス は 区 間 に 有 意差 が認 め られ なか った が,蒸 発 と ドリ ップ に よ る ロス の 平 均 は30.6%で あ った 。 官 能 検 査 成 績 は す べ て の調 査項 目に おい て区 間 に 有 意 差 が 認 め られ な か った が,多 汁性 で は4区 が,柔 らか さ,結 合 組 織 の量 で は3区 が,総 合 評 価 では1区 が 最 も優 れ て い た 。 今 回得 られ た 成 績 を 用 い て 分 析 値 間 の 相 関 を 見 る と, 多 汁 性 と柔 らか さ は有 意 な 正 の 相 関(r=0.96)を 示 し た 。柔 らか さ は総 合 評 価 と有 意 な正 の 相 関(r=0.96), 調 理 肉 テ クス チ ャーの 硬 さ,ガ ム性 と 有 意 な 負 の 相 関 (r=-0.75,r=-0.63)を 示 し,総 合 評 価 と硬 さ,ガ ム性 も有 意 な負 の 相 関(r=-0.75,r=-0.68)を 示 し た 。 ク ッキ ング ロス と調 理 肉 テ クス チ ャー の ガ ム性 は 有 意 な正 の相 関(r=0.84)を 示 した が 保 水 力 との 相 関 は 低 か った 。 考 察:分 析 値 は す べ て 区 間 に 有 意差 が認 め られ ず,今 回 の配 合 割 合 で は 飼 料 中 の穀 類 は豚 肉質 に は影 響 を 及 ぼ さ な いが,3区,4区 に お い て皮 下 脂肪 内 層 の 脂 肪 酸 組 成 が 有 意 に 多 く,脂 質 に 影 響が 現 れ る も の と 考 え られ た 。 また,パ ネ ラ ーは 多 汁性 の 高 い 肉 を 柔 らか い と感 じ,柔 らか い 肉 を 高 く評 価 す る傾 向 に あ り,肉 の 柔 らか さを 判 断 す る方 法 と して調 理 肉 の テ クス チ ャー 測 定 が 有 効 で あ る と考 え られ た 。官 能 検 査 の柔 らか さ で は3区 が 最 も高 い 値 を 示 し,ト ウ モ ロコ シの 給 与 が 消 費 者 に 好 ま れ る豚 肉 生産 の 可能 性 を示 唆 した 。 今後,柔 らか い豚 肉 を 生産 す る 技術 の 開発 が必 要 であ ろ う。官
能 検
査
成
続
数 値 は1-8の 評 点 法 に よ る-208-1986,12月 日豚 研 誌 23巻 4号 加 工 用 豚 肉(ロ ー ス 部 位)の 生 産 国 別 品 質 に つ い て 宮 崎 元 ・首 藤 新 一* (北海 道 立 滝 川 畜試,*ホ ク レ ン) 目的:わ が 国 は,単 味 品 加 工 用(ロ ー ス ・ベ ー コ ンな ど)豚 肉 の 大 部 分 を 輪 入 に依 存 して い るが,北 海 道 で は 一 部 加 工 用 の 豚 肉 生 産 を 実 施 し てい る。 そ こで ,道 内で 生 産 され る 加工 豚 と輪 入 され て い る 加工 豚 に つ い て,ロ ー ス 形 状 お よび 脂肪 性 状 を比 較 検討 した 。 材 料 と方 法:予 備調 査 と して,ア メ リカ(30点),デ ンマ ー ク(8点),ス ウ ェー デ ン(6点),オ ー ス トラ リ ア(10点)お よ び北 海 道 産 北見(33点)の ロー ス 上 脂 肪 性 状 を 調 査 した 。 本 調 査 は,デ ンマ ー ク(ESS-Food社30点),カ ナ ダ (ゴ メ ッ ト社27点)お よ び北 海 道 産 十 勝(32点)の3力 国 と した 。 ロ ー スは,重 量,肉 色,形 状 な どを 調 査 し, ロ ー ス上 脂肪 の 脂 肪 性 状 に つ い て 分 析 した 。 北海 道 に お け る 加工 豚 の 生産 は,主 に 十勝 と北 見 地 方 で あ る 。品 種 と して は,L,W,LWを 中心 と して い る 。 給 与飼 料 は,肥 育 用 飼 料 に30∼50%の 大 麦 を配 合 した も の で,屠 殺 体 重 は85kg前 後(生 後 日令140∼150日) で あ る 。 結 果 と考 察:予 備 調 査 に お け る脂 肪 性 状 は,水 分 と 脂 肪 色(L値)に 国 別 差 が 認 め られ なか った 。 融 点 は,オ ース トラ リア(33 .4℃)が 他 の 国 に 比 べ て高 く,ス ウ ェ ー デ ン(31 .5℃)が 続 き,北 海 道産 北 見(30.7℃),デ ンマ ー ク(30.6℃)お よび ア メ リカ(30.5℃)が 並 ん で い た 。 また,飽 和 脂肪 酸 は デ ンマ ー ク(42.9%)と オ ー ス トラ リア(42.7%)と 高 く,ス ウ ェ ーデ ン(41%)が 続 き,北 海 道 産 北 見(40.1%)と ア メ リカ(39.5%)と 低 か った 。 これ らの 脂 肪 性 状 の差 は,国 別 の 品 種,屠 殺 体 重 や 給 与飼 料 な どの違 い を 反 影 して い る もの と考 え ら れ た 。 デ ンマ ー ク,カ ナ ダ お よび 北海 道 産 十勝 の ロ ース を比 較 した 。重 量 は,北 海 道 産 十 勝 が 重 く,デ ンマ ー クが 続 き,カ ナ ダが 軽 か った 。 ロー ス長 は カ ナ ダが や や長 く, 肉色 はデ ンマ ー クが や や 劣 っ て い た 。 ま た,カ タ側 の 断 面 積 は 北 海 道 産 十 勝 が 太 く,デ ンマ ー クが 続 き,カ ナ ダ が 細 か った 。 次 に,脂 肪 性 状 で は 水 分 と脂 肪 色 には 差 が 認 め られ な か った 。 融 点 は,カ ナ ダが 高 く,デ ンマ ー クが 続 き,北 海道 産 十勝 が 低 か った が,有 意 差 は 認 め られ なか った 。 また,融 点 の 分 布 は カナ ダが30∼35℃ に 広 い 範 囲 とな っ て い た が,デ ンマ ー ク と 北海 道 産 十 勝 は29∼31℃ に 集 中 して いた 。脂 肪 酸 組 成 で は,C18:0で 北 海道 産 十 勝 が 他 の2か 国 よ り多 い傾 向 に あ っ た が,他 の 脂肪 酸 に は大 き な差 が なか った 。飽 和 脂 肪 酸 は デ ンマ ー ク と北 海 道 産 十 勝 が カ ナ ダ よ り有 意 に 多か っ た 。 この た め,融 点 と飽 和 脂 肪 酸 含 量 に一 定 の傾 向 が認 め られ な か った 。 以 上 の 結 果,北 海 道 で生 産 し てい る加 工 豚 の ロー ス と 脂 肪 性 状 は,輪 入 品 と比 較 して も品 質 的 に大 き な差 が な い もの と判 断 され た 。 加 工 豚 の ロ ー ス形 状 と脂 肪 性 状 異 な る 肩 文 字 間 に 有 意 差 あ り(A:B<0.01,a:b<0.05)