核 医 学 58 巻 1 号(2021 年) 核 医 学 58 巻 1 号(2021 年) ― 13 ― ― 13 ― ■1.本ワーキンググループ立ち上げの経緯 2012年に学会雑誌記事として掲載され,後に学会ウ エブサイトの記事1)にもなった Gamut of FDG-PET は幸 いにして好評で,解釈に困る画像や見慣れない病変分布 に出会った時などに活用していただいてきたようであ る.しかし,完成から 8 年が経過し,関連分野の進歩に 合わせて内容を一部変更する必要が生じてきた.そこ で,初版刊行時のベテランメンバー7 名に,当分野の牽 引役になりつつある中堅どころ 2 名を加えた 9 名の体制 で,改訂にあたった. ■2.実際の活動内容 活動開始後は,計 3 回の通常の対面会合とその合間の 頻回のメール会議を行った.コロナ禍により 2020 年 4 月に横浜で予定していた第 4 回会合は中止となり,同年 10月にウエブ上で最終会合を行った. 以下の 4 点につき協議・検討を進めた結果,2020 年 6 月には文字原稿としてほぼ完成した状態となった. ①構造的改変:第 2 章で,脳以外の頭頸部の記述を脳 より先行させることにした.また,第 6 章(全身的な 異常)に新たに「多領域のリンパ節を侵しうる疾患・病 態」の項目を新設した.改訂版の体裁見本を兼ねて, Table 1にこの追加箇所の抜き書きを示す. ②時勢に合わせた用語の改正:例えば,Wegener 肉 芽腫と呼ばれていた疾患は多発血管炎性肉芽腫症 (granulomatosis with polyangiitis)2)に改めた.ただし,
利用者が新しい用語に慣れていない可能性も考慮し, また古い病名を使って書かれた引用文献もあるため, 脚注で旧病名との関連がわかるように配慮した. ③疾患名・病態の追加:学術雑誌や症例検討会などに発 表された珍しい疾患への異常集積像や,日常臨床でよ く見かけるのに初版の一覧に載っていなかった病名な どを,順次加えて行った.ただし,最近営利目的の粗 悪な雑誌で査読が十分になされず病理学的な裏付け等 も怪しい症例報告が多いことが問題視されており3), 特に商業誌(学会誌ではなく)に掲載されているものは よく吟味してから収載の可否を決定した. ④文献の追加:初版では時間や人的資源の制限から引用 文献を付けていない病名も少なくなかった.これを補 うべく,病名追加分の引用も含めると 130 を超える新 たな論文,それもできる限り英文のものをリストに加 え,また初版で和文論文を引用していた箇所の一部は 英文の別文献に差し替えた.
平成 30・31 年度 ワーキンググループ報告
Gamut of FDG-PET の改訂
代 表:御前 隆1 メンバー: 石津 浩一2 石守 崇好3 奥山 智緒4 工藤 崇5 中谷 航也6 中本 裕士3 東 達也7 細野 眞8 1天理よろづ相談所病院 RI センター 2京都大学医学研究科人間健康科学系専攻 3京都大学大学院医学研究科放射線医学講座画像診断学・核医学 4滋賀県立総合病院研究所画像診断部門 5長崎大学原爆後障害医療研究所 6倉敷中央病院放射線診断科 7量子科学技術研究開発放射線医学総合研究所 8近畿大学高度先端総合医療センター©2021 Japanese Society of Nuclear Medicine
Table 1 新設されたブロック:第 6 章 全身的な異常, II.多領域のリンパ節を侵しうる疾患・病態 頻度が高い 悪性リンパ腫101)a 102) サルコイドーシス103) 時々ある メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患104) まれ 菊池病(組織球性壊死性リンパ節炎)105)106) 膠原病に伴うリンパ節炎107) 多中心型キャッスルマン病108) ネコひっかき病109) 免疫チェックポイント阻害薬への反応110) 野兎病(tularemia)b 予防接種後111) 引用文献番号や脚注記号は実際の改訂版とは異なる.
核 医 学 58 巻 1 号(2021 年) ― 14 ― ■3.成果の発表形態 今回の改訂版は出版物としての発行は予定しておら ず,インターネット上での公開のみである.場所として は,京都大学大学院医学研究科放射線医学講座(画像診 断学・核医学)のサーバーに置いていただけることにな り,掲載の実務的な詳細を調整しているところである. ウエブ掲載に向けて文書全体としての体裁を整える作業 も,2020 年内に終了した. ■4.おわりに 以前から,そして本ワーキンググループの活動期間中 も,Gamut を各種学会・研究会の特別企画の題材の一部 として取り上げていただくなど,いろいろな形で広報し ていただき大変有難かった.それ以外にも今回の改訂作 業にあたり,各方面から様々なご協力や助言・励ましの 言葉を頂いたことに,この場を借りて深謝申し上げる. この改訂版が初版と同様に,これから FDG-PET につい て学習しようとする若い先生方の理解を深め,またベテ ランの方々の日々の臨床業務の効率化に少しでもお役に 立てば幸いである. 【文献】 1) 御前 隆,石津浩一,石守崇好,工藤 崇,中本裕士, 東 達 也, 他:Gamut of FDG-PET. 核 医 学 2012; 49: 357–389.
2) Kubaisi B, Abu Samra K, Foster CS: Granulomatosis with polyangiitis (Wegener's disease): An updated review of ocular disease manifestations. Intractable Rare Dis Res 2016; 5:
61–69.
3) Grudniewicz A, Moher D, Cobey KD, Bryson GL, Cukier S, Allen K, et al: Predatory journals: no definition, no defence.