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新品種保護に掛かる地域事例 新潟県 新之助の取組

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- 47 - 第1表 新之助の生産状況.

新品種保護に掛かる地域事例 新潟県 新之助の取組

皆川律子

* (*新潟県農林水産部農業総務課,新潟市,〒950–8570)

The Regional Approach to Protect the Intellectual Property Rights to New Agricultural

Varieties. The Example of Niigata Prefecture with the New Rice cultivar, “Shinnosuke”.

Ritsuko MINAGAWA*

(*Agricultural Affairs Division, Department of Agriculture, Forestry and Fisheries of Niigata Prefecture,Niigata,950–8570,Japan)

キーワード:品種,知的財産,水稲

Key Words:Cultivar, Intellectual property, Rice

北陸作物学会報(The Hokuriku Crop Science)55:47 ~ 48(2020)

 新潟県が育成した水稲新品種「新之助」は,トップブランド米としての地位定着を目指し,研究会による生産 体制の下,食味・品質基準を遵守しブランド管理を徹底している.併せて,国内外において知的財産に掛かる権 利を取得し,ブランドの保護も進めている.これら「新之助」に掛かる本県の取組について,新品種のブランド 化を図る事例として紹介する. 1.水稲新品種「新之助」  新潟県では,地球温暖化の進行に備え,水稲晩生品種「新 之助」を開発した.2017 年から一般販売を始めた「新之助」 は,大粒で甘味とコクが強く,コシヒカリとは異なる特長 を有しており,県では「コシヒカリと並び立つトップブラ ンド米」の地位定着を目指し,生産・販売宣伝両面で取り 組みを進めている. 2.「新之助」のブランド確立 (1)「新之助」のブランド管理  「新之助」については,高いレベルで安定した食味・品 質の確保を最優先としており,出荷にあたっては、全県統 一基準となる食味・品質基準を設けている.生産は,県内 の JA や集荷業者を主宰者とする「新之助研究会」を単位 としており,食味・品質基準の適合確認や区分販売につい ても研究会が管理を行っている.生産者は,指針に基づく 栽培管理や栽培履歴の記帳など,一定の要件が課せられる とともに,研究会に属する者以外には、新之助の種子及び 苗の譲渡を認めていない.こうした体制を設けることで, 限定された生産者による栽培管理,食味・品質基準の遵守 を図り,新之助のブランド管理を実現している.  デビュー 3 年目を迎える現在,72 の研究会に約 1500 人 の生産者が属しており , 令和元年産の新之助は昨年産の約 1.5 倍となる約 1 万 5 千トンの生産が見込まれている (第 1 表). (2)「新之助」のブランドイメージの醸成  本県農業にとって米は特に重要な品目であり,その新品 種のデビューに向けては,数年前からブランド戦略を定 め,準備を進めてきた経緯がある.まずは,2015 年度に 名称「新之助」を発表した.誠実で芯が強く,かつスタイ リッシュな現代的日本男児をイメージし,品質への自信を 表現した名前である.続いて 2016 年度はパッケージデザ インを発表した.赤と白のツートンカラーに加え,ロゴは

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- 48 - 水引をモチーフにしたデザインで,おめでたい「ハレの日 のお米」として格別感を表現している(第 1 図).これら により,デビュー前から品質の高さや特別感を持つ米とし てのイメージ醸成を図り,一般販売以降のブランド確立に 繋がったものと考えている. 3.知的財産としての保護 (1)県育成品種に対する基本的対応  県が育成した品種について,知的財産保護という観点か らの基本的な対応としては,国内及び主要な海外で品種登 録出願を中心に,特に戦略的にブランド化を図る品種につ いては必要に応じて商標取得を進めてきたところである.  品種登録出願については,県育成品種のうち,国内では 県内農業者の利用が期待されるものを中心に県として当該 品種の位置付けを重要視するものを出願している.更に, 当該品種の輸出可能性や海外での栽培可能性が高いと想定 される国・地域に対しては,農林水産省の「植物品種等海 外流出防止環境整備緊急対策事業」を活用し,品種登録出 願を進めている.  商標登録に関しては,国内に加え海外での名称の無断使 用によるブランドイメージの損失を防ぐため,輸出可能性 第1図 新潟米「新之助」パッケージデザイン. 第 2 図 知的財産保護の基本的対応. の高い国・地域を選択して出願している(第 2 図). (2)「新之助」での対応  「新之助」に関しては,前述のいずれについても対処し ており,品種登録は国内及び海外 6 カ国・地域で出願手続 きを取っているほか,商標登録は国内及び 5 カ国・地域に 対して出願・登録している.  「新之助」としての商標は,名称のほかパッケージデザ インの元となるキービジュアルを登録している.このため, 新之助の紅白の基本パッケージ等を使用する際には,商標 権者である県に使用許可申請をいただく仕組みを設けてい る.  県がパッケージデザイン等の商標権を所有することは, 類似デザインによる商品の出現を回避し、ブランドイメー ジの維持を図る上で重要となるだけでなく,デザインを商 品等に展開できることが,特に初期の認知を拡大する面か らは有益である.現在までに新之助は,菓子類や味噌といっ た食品だけでなく ,T シャツや食器の関連商品が開発・販 売されており,これらのパッケージに新之助のデザインが 使用されることで,米以外の商品も通じて多角的な情報発 信ができ、幅広く「新之助」が認識される効果が得られて いる.  知的財産という視点から見た新品種への対応について は,個々の品種に応じて,保護に係るコストや権利を取得 しなかった際のリスク検討に加え、取得した権利の積極的 な活用を検討することが重要であるが,そのためには,海 外情勢や先行事例等の情報収集を行うことも大切となる. 今回紹介した「新之助」の事例が,今後育成される新品種 の取組の参考になれば幸いである.    (2019 年 10 月 24 日受付,2019 年 10 月 24 日受理)

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