肺癌に対する定位放射線治療前後の免疫応答
山梨大学医学部放射線科
前畠良康
荒屋 正 幸大西 洋
斎藤 亮
栗山健吾
荒 木 力 青木 真 一 要 旨:手 術 や 麻 酔 な どの 生 体 侵 襲 が免 疫 能 を低 下 させ 、残 存 腫 瘍 の 転 移 増 殖 の 促 進 に 関 与 す る こ とが 知 られ て い る。 今 回 わ れ わ れ は 、 原 発 性 肺 癌 に 対 して 定位 放 射 線 治 療 を行 った39症 例 につ い て 、治 療 前 後 で の免 疫 能 の 変 化 に つ い て 検 討 した 。 定位 放 射 線 治 療 は 患 者 の免 疫 能 を若 干 な が ら低 下 させ 、 そ の 影 響 は1か 月以 上 の長 期 に わ た って 遷 延 す る可 能 性 が示 唆 され た。 キ ー ワ ー ド:肺 癌 、 定 位 放 射 線 治 療 、 免 疫 応 答 は じめ に 外 科 手 術 や 全 身 麻 酔 な ど の 生 体 侵 襲 が 、患 者 の免 疫 能 を低 下 させ 、残 存 腫 瘍 の 転 移 や 再 増 殖 の促 進 に 関 与 す る こ と は 以 前 か ら報 告 され て い る1)2)。 近 年 、 早 期 肺 癌 に 対す る定位 放射 線 治療 は 、外 科 手 術 と遜 色 な い 治 療 法 で あ る こ と が 明 らか に な りつ つ あ る3)。そ こで 、定位 放 射線 治 療 は 、患 者 の免 疫 能 に どの よ う な 影 響 を及 ぼ す の か 検 討 した 。 定 位 放 射 線 治 療 開 始 直 前 と 完 遂 直 後 に 血 液 を 採 取 し 、 総 リン パ 球 数(TLC)、 お よ びCD3、CD4、CD8、CD19、CD56抗 原 陽 性 細 胞 数 とNK細 胞 活 性 、血 中IL-6値 を 測 定 した 。39症 例 中10例 は 治 療 完 遂 1週 間 後 、 さ ら に5例 は 完 遂1か 月 後 も 検 体 を 採 取 し経 時 的 な 変 化 を 調 べ た 。統 計 学 的 解 析 はpaired-t検 定 を 用 い て 行 い 、P〈0.05を 有 意 差 あ り と し た 。 表1.患 者 背 景 対 象 と方法 2009年3月 か ら2010年10月 に 原 発 性 肺 癌 の診 断 で 当院 に入 院 し、定 位 放 射 線 治療 を受 け た 患者 で 、本 研 究 に関 す る 説 明 を行 い 文 書 で 同 意 が 得 られ た39症 例 を対 象 と した 。対 象 の 内訳 と処 方 線 量 は 表1の とお りで あ った 。性別
男 女 r O 4 9 自 1年齢
69-83(中 央 値72)処方線量
70Gy/10fr 60Gy/5fr 50Gy/4fr 48Gy/4fr 9 ﹁0 4 1 二 9 自結 果 TLC、 お よ びCD3、CD4、CD8、CD19、 CD56抗 原 陽 性 細 胞 数 、NK細 胞 活 性 は 、 治 療 前 と 比 較 し て 治 療 後 は い ず れ も 有 意 な 低 下 を み と め た 。 一 方 、 血 中IL-6 値 は 治 療 前 後 で 有 意 な 変 化 を み と め な か っ た(図1)。 ま た 治 療 前 と比 較 して 治 療 直 後 に リ ン パ 球 の 減 少 を み と め た30症 例 に っ い て 、治 療 完 遂1週 間 後 の 値 を 検 討 した と こ ろ 、TLC、 お よ びCD3、CD4、CD8、CD19、 CD56抗 原 陽 性 細 胞 数 、NK細 胞 活 性 が 、 治 療 前 の 値 ま で 回 復 して い る 症 例 は1 例 も な か っ た 。 さ ら に 、完 遂1か 月 後 の 採 血 を 行 っ た4例 に つ い て は 、そ れ ぞ れ 3例 以 上 が 治 療 前 値 ま で の 回 復 を み と め な か っ た(図2)。 考 察 外 科 手 術 に 伴 う 生 体 侵 襲 に 対 す る 反 応 と して 、リ ン パ 球 数 は 侵 襲 の 程 度 に 応 じ て 減 少 す る と 考 え られ て い る4)。 今 回 、 定 位 放 射 線 治 療 に よ っ て 、TLC、 お よ び CD3、CD4、CD8、CDI9、CD56抗 原 陽 性 細 胞 数 、NK細 胞 活 性 は 、 い ず れ も 治 療 前 に 比 べ 治 療 後 有 意 に 低 下 した こ とか ら 、 定 位 放 射 線 治 療 は 一 般 に 低 侵 襲 治 療 と 言 わ れ て い る も の の 、患 者 の 免 疫 能 を 低 下 させ る こ と が 考 え られ た 。 ま た 、外 科 手 術 で は 種 々 の サ イ トカ イ ン が 分 泌 され 、 中 で も 血 中IL-6の 変 動 は 手 術 侵 襲 の 大 き さ と相 関 す る こ とが 知 られ て い る5)。今 回 わ れ わ れ の 検 討 で は 、血 中IL-6は 定位 放 射線 治療 の 前 後 で有 意 な変 化 をみ とめ な か っ た が 、一 般 的 に放 射 線 肺 臓 炎 は 治 療 完 遂3か 月 以 後 に 発 症 す る こ とが 多 く、 検 体 採 取 と IL-6上 昇 の 時 期 が 一 致 して い な か っ た 可 能性 が 考 え られ た 。 さ らに 、Leaverら は 、 開 胸 術 群 と胸 腔 鏡補 助 下 手 術 群 を比 較 した と ころ 、後 者 の 群 でCD4抗 原 陽性 リンパ 球 減 少 の 程 度 が 有 意 に低 く、さ らに両 群 とも に術 後7日 目に は手 術 前 の値 以 上 に 回 復 し た こ とを報 告 して い る6)。今 回 の わ れ わ れ の検 討 で は 、リンパ 球 に関 す る全 項 目 にお い て 、完 遂1か 月 後 に も検 体 を 採 取 した4例 の うち3例 以 上 が 、治 療 完 遂 か ら1か 月経 過 して も なお 治 療 前 の値 に 回 復 して い なか っ た。 この こ とか ら、定 位 放 射 線 治 療 に お け る免 疫 抑 制 が1か 月 以 上 の 長 期 に わ た っ て遷 延 す る可 能 性 が 示唆 され た 。 結 語 定位 放 射 線 治療 に よっ て 、患 者 の 免 疫 能 は低 下 し、1か 月 以 上 の 長 期 に わ た っ て遷 延 す る 可能 性 が 考 え られ た。
緬 傭 綱} 400ゆ 3000 2000 10むゆ o' tしc ゆ 幡 ノ叫 3000 200Q ユ◎絹ゆ e
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CP3 完遂塵後 (ceuatsノ解1} 2000 1500 1000 500 0舗
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CD8 完遂直後 治療前 完遂穫後 {oo鰭酪 加} 800 600 靭 200 e CPl9 重【◎urrts!凶 ユ5◎o 1000 500 治療前 CD56 完遂匿後 0 治療 前 完遂穫後 NK 偶き 2000 1s◎0 1000 500 0 治療前 完遂痘後 眺而 {曜 禰 50 4e 30 20 塞⑤ o 治療 前 完遂澄後 図1.放 射 線 治 療 前 と治 療 完 遂 直 後 の 値岡 150 10G 50 ◎ {勤 150 「Lc 治療前 完遂獲後1遊 後1か 月後 CD3 き 鷺 o { 5 ユ 100 50 o {%} 15e 100 CD19 治療前 完遂産後 遡 暖 功 、月後 CD56 100 5◎ o {%} Iso 100 50 e {%, 15e leo 50 0 治療前 完遂 直後1逓 後 功 、月後 ¢D4 治療 前 完遂薩後1逓 後1か 月後 Cb8 5◎ a {購 2.so 100 50 治療前 完遂蓬後1迎 後1か 月後 NK e 治療醜 亮遂塵後1遵 後iカ 、月後 図2.治 療 前 と比 較 し て 完 遂 直 後 に 低 下 し た 症 例 に お い て 、 治 療 前 の 値 を100% と した と き の 、治 療 完 遂 直 後 、完 遂1週 間 後 、1か 月 後 の 値 治療醜 完遂 塵後1遷 後1か 月後
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