長野大学紀要 第15巻 第2号 35-57頁 (218-240頁 )1993
保健医療福祉学の構想 と
医療 ソーシャルワーカーの教育訓練 に関す る考察
The Study of Health and Medical Welfare Science of an Education
and Training Program for Medical Social Workers
Ⅰ. は じめ に 筆者は、 日本社会事業学校連盟医療福祉教育検 討委員会 (委員長 :小松源助 )の連絡委員 として 『「医療福祉教育のあ り方」検討報告書』参考1)を取 りまとめ、1993年3
月
17日に同学校連盟理事会 に 提 出 した。 4年制大学の社会福祉学教育は、1987年 に 「社 会福祉士お よび介護福祉士法」が成立 して 「社会 福祉士」の国家資格が出来て以降、厚生省主導型 のカ リキュラムにシフ トした。同法では社会福祉 士 を 「身体上若 しくは精神上の障害があること又 は環境上の理由によ り日常生活 を営むのに支障が ある者の福祉に関す る相談に応 じ、助言、指導そ の他の援助 を行 うことを業 とす る者」(第二条) と 定義 し、不 当に も 「障害」 と 「疾病」 を区別 した。 そのために、保健医療分野で相談援助業務 をおこ な う医療 ソー シャルワー カーは、社会福祉士の定 義か ら外れ、社 会福 祉士受験 資格 の指 定科 目に 「医療福祉論」系の科 目がな く、かつ 「社会福祉援 助技術現場配属実習」の指定実習先 として保健 医 療機関が含 まれなか った。 厚生省は、「社会福祉士お よび介護福祉士法」案 の国会審議過程 で、医療分野の ソー シャルワー カ ーの国家資格は 「社会福祉士」でな く別途に法制 化す る考 えを示 した。1990年 に、厚生省が 「医療 福祉士」案 を不十分 な形で 「日本医療社会事業協 会」等に示 したことか ら、国家資格化 をめ ぐって 職能 団体 内外の混乱 と、4
年制大学におけ る医療 福祉教育等の社会福祉教育に も戸惑いをもた らし ている。現在の ところ、厚生省お よび職能団体等 に、これ らの混乱に終止符が打たれる兆候 は見出牧
野
忠
康
Tadayasu Makino
せ ていない。 筆者は、保健医療 の領域 で相談援助 の実践 を長 年 にわたって経験 し、保健医療の分野で保健医療 社会学 的ない し保健医療福祉学的な研究 をライフ ワー クとし、かつ 「保健医療福祉論」 と 「社会福 祉方法原論」 を講 じている者 として、専 門職 とし ての (保健 )医療 ソー シャルワー カーの教育訓練 のあ り方について検討 し、私論 を提起 したい と考 える。 ⅠⅠ.保健 医療 福祉 学 的研 究の枠 組 み試論 ⅠⅠ. 1.医療福祉調査研究の枠組み 筆者は、医療福祉調査研究の枠組みの視座 とし て、次の二つの視点 を軸 とす るのが適 当 と考 えた。 一つは、相談 ・援助対象の コアである人間の生活 史上の出来事 として 「疾病 ・障害」の発生 をとら え、労働生活 を含めた人の生活過程に視点 をおい て、患者の生活過程の展開 とともに視点 をスライ ドさせ なが ら生活問題の発生のプロセス とメカニ ズムお よびその問題解決法について研究 をす る視 座 である。二つ 目の視座 は、専 門的問題解決援助 システム としての保健 ・医療お よび看護過程上の 出来事 として とらえ、基本的にはチーム医療の展 開の過程 とともに視点 をスライ ドさせて保健医療 ・ 看護の展開過程 で発生す る患者の生活問題の発生 のプロセス とメカニ ズムお よびその問題解決法 に ついて研究す る視座 である。 この考 えを図示 したのが、図- 1
に示 した 「医 療福祉調査研究の枠組み」である。これは、1989 年 に 「医療福祉教育研究会 第2
回研究会 ・信州 ワ ー クシ ョップ」で示 した牧野試案 を改定 した もの219 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 図- 1 医療福祉調査研究の枠組み (牧野試案
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一部改訂)---
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社会 ・文化 ・経済基盤 である。 また、筆者が これまでに保健 医療の相談 ・ 援助の対象 として取 り組んだ経験 と、研究課題 と して取 り組んできた もの を図式化 した もので もあ る。 ⅠⅠ. 2.保健医療 ソーシャル ワークの 患者生活史への関わ り構造 保健医療福祉学の研究視座 として、生活史を重 視する筆者の考えを先に示 した。個別性の高い生活 史をとらえて保健医療福祉学の研究 をするには、そ の解析方法 としては事例研究 をベース とす る研究 方法 をとり、質的な研究 を重視す る必要があると 考 える。 その上で、あるいは並行的に社会調査法や (社 会 )疫学的な調査研究手法に よる統計学的な解析 方法 をとる数量的な研究 を展開す ることも重視 し な くてはな らない。 しか し、「事例研究」の方法論 としては、社会学 の生活史研究や歴史学のオー ラル ・ヒス トリーの 手法、文化人類学や ノンフィクシ ョン作家の手法 に示唆 され啓発 されるところはあるが、社会福祉回
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地域社会 (自治体) 職域社会 (企業) 窪 報 基本的人権 民主主義 学ない し保健医療福祉学のオ リジナルな研究方法 として有効 と思 える方法が未だ開発 されてはいな い と思われ る。 とりあえず保健医療 ソー シャルワー クが、人間 の生活史の どの時点で どの ような状態に介入 し関 わ りをしているのかについて明 らかに してお くこ とが、われわれの事例研究の重要 な前提の一つで あると考 えている。事例研究 ない し事例検討は、 「現在」 であ り、「過去」に遡 って検討す る リトロ スペ クテ ィブ ・スタデ ィと 「未来」に向か って追 跡 してい くブロスペ クテ ィブ ・スタデ ィがある。 それ を図示 したのが図- 2である。 事例研究では、まず 「現在」の実態 ・実体 を明 らかに し、現在の状況 ・状態 を規定 している 「過 去」 を明 らかに し、そして 「未来」の予測 をし、 問題解決 を図るための援助課題 を明確化す ること が重要な視 点の一つ となる。事例 の中に現れてい る個別 の社会 「現象」(現象論 )を客観化 しつつ、 事例 を積み重ねて数量的に 「分類」整理 し、事例 をとお して社会現象の 「実体」(実体論 )を見極め 検証 して社会法則 (本質論 )を明 らかにす るとい-3
6-牧野忠康 保健医療福祉学の構想と医療ソーシャルワ-カーの教育訓練に関する考察
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図-2
保健医療ソーシャルワークの関わり構造 (牧野-1991/1993改定)ハビリテーション
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事例検討の時点
ケース ・マネージメン ト リトロスペ クティプ ・スタディ う社会科学の研究課題 を見据 えてお くことを忘 れ てはな らない。 ⅠⅠ.3
.保健医療福祉学における 生活史の位置づ けと評価 保健 医療福祉学研究 ない し保健医療 ソー シャル ワー ク実践において、生活史研究 ない し生活史の 把握は重要 であるこ とを強調 して きた。筆者の問 題意識 を整理す ると、次の ようにまとめ られ る。 保健医療活動や ソー シャルワー クでの対象者の 『生活史』の把握は重要 な意味 をもつOそれは、対 象 とす る疾病 ・障害 をもつ人の生活問題 としての 生活障害は、個 人に とっては生活史 ・生活過程上 の出来事 であるか らである。そこで、援助者 らが 全人的ケア-の展開 をしようとす る時、 クライエ ン トの 『生活史』 をきちん と捉えて評価 し、相談 援助活動 に役立たせ ることが大切 である。 しか し、 援助 の現場 では、生活問題の諸情報収集やアセス メン ト、問題解決の相談援助過程や記録の整理等 Y ,.T ..L! .一回
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ブロスベ クティプ ・スタディ の中で、『生活史』の情報が不十分であった り、『生活 史』が相談援助過程にどのように位置づけ られ、どの ように活用されたのか不明であることが多い。また、 『生活史』はスーパー ビジョンやケース・スタデ ィの 際の相談援助記録の検討や 、社会福祉専 門職 の養 成教育訓練の場でも重要な意味 をもつ と考えられる。 そこで、長野大学 では 「社会福祉方法原論」 と している 「社会福祉援助技術総論」(4
単位 )で、 生活史の聴 き取 り面接技法のロールプレイをや っ たあ とに、講義の最終 リポー ト課題 として、次の 作業仮説の もとに、受講学生の 自分の親の生活史 の聞 き取 りとその まとめ を リポー トす ることを課 している。 1.社会福祉的援助 (保健医療福祉的援助 )の 対象 を、人間の生活史 ・生活過程上 での出来 事 としての生活問題 (健康 問題 )であると認 識す る。 2、対象認識の出発点 としては、『生活史』の把 握が必要 となる。221 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 3
.
社会福祉 的 (保健 医療福祉 的)相談援助 に おけ る対象認識 としての系統的な 『生活史』 の把握 と、その分析 ・評価 には専 門的知 識 と 技術 ・技能 を必要 とす る。4.
生活史の把握 ・整理 ・分析 ・評価 の トレー ニ ングの方法 は、社会福祉 (保健医療福祉 ) 専 門職養成の基本 ともな る と考 える。5.
研 究方法論 は、社会学や歴史学 におけ る生 活史研 究のパー ソナル ドキュメン トや オー ラ ル ヒス トリー等の方法論 の批判的発展的応用 が考 えられ る。 次に、1991年度 で学生 に課 した リポー ト課題 を 例示す る。 01991年度長野大学 「社会福祉方法原論」(牧野担当) の生活史に関するリポー ト課題 あなたのお父さん、もしくはお母 さん (あるいは 親代わ りの方)のライフ ・ヒス トリー (生活史)を 聴 き取って、自分の生活史 と重ね合わせ、「社会福祉 方法原論」を学ぶ者の立場か ら考察 し、 リポー トし なさい。 なお、 リポー トは次の要領に従ってまとめなさい。 1.本 リボ- トの狙いとライフ ・ヒス トリーの聴取 の目的 (1)面接による必要な情報の収集の演習として行 う(
2
)
聴 き取った情報の整理の方法の演習を行 う (3) ライフ ・ヒス トリ-の聴取の意味を理解する (4) 自己覚知 を促進する 以上の4点に留意 し、ヒア リングし、 リポー トす ること0 2. リポー トの形式 (1) は じめに (2) ライフ ・ヒス トリーの要約 (含む、対象のプ ロフィル) (3) ライフ ・ヒス トリーの特徴 と自分の生活史 と の関係についての考察 (4) ライフ ・ヒス トリー聴取のための面接の状況 および感想 (5) まとめ 以上の内容 を横書 き・B5・400字詰原稿用紙8枚に バランスよく配分 してまとめること。なお、図表は 別 とする。 1991年度受講生 で2年生 の リポー ト数 は、105件 (男37人、女68人)であった。男では、父 を対象に 選 んだ ものが56.8%、母 は37.8% であった。女 で 秦- 1 1991年度 (長野大学「社会福祉方法原論」・牧 野姐当)生活史に関するリポー ト 90年度入学生(2年生)リポー ト提 出分集計 (1992年1月提出) N 父対象 母対象 両親対象 その他 計 _105 39 63 2 1 (100.0) (37.1) (60.0) (1.9) (1.0) 男 37 21 14 1 1 (100.0) (56.8) (37.8) (2.7) 祖父 女 68 18 49 10
(注) 母死亡 -女 :1、父死亡 -女 :1、単位 :人、( )内%、 男女の割合 の差 :父、母 に有意差 (有意水準 P<0.01) は父 を対象に選 んだ ものが26.5%、母 は72.1%で あった。 ここでは、男女の選択対象に有意の差(
P
<0.01)が認め られた (義- 1)。 学生 は、親 の ライフ ・ヒス トリー を聴取 して何 を感 じたのか 、学生の リポー トか らの書 き出しに よ り次に例示す る。 【例1】035女 一面摸対象 〔母 〕 私 は幼 い頃 、母 の虐待 を受 けなが ら育 ち、何 回 も家 出 を繰 り返 し、 自殺 しようとしたこ ともあ り ます。忘 れ る事がで きない程疲 (悼 )くて、母が大 嫌 いで した。 しか し、福祉 の道に進む ようにな り、 いろいろな事 を勉強 している と、母 を恨む気持 ち は、だんだん減 ってい きました。 とて も身勝手 で わが ままな父だか ら、愚痴 をこぼす友達 も親 もい ない母 に とって、 自然 と弱い子供 にあたって しま うしか なか ったのだ と、今少 しずつ理解す るこ と がで きるようにな りました。虐待が よいな どとは 絶対 に思 わないけれ ど、当時の母 の気持 ちや状態 を考 える と、 もう非難す るこ とはで きませ ん。 この リポー トを通 して、母 といろいろな事 を話 し合 うこ とが で き、本 当に よか った と思 います。 これか ら先の事 も話 をしました。思 った以上 に、 母が冷静だ ったので、涙が止 ま りませ んで した。 この リポー トで母か ら聞いた話 は、一生忘 れ るこ とはない と思 うし、今 、私 にで きる事は、大学 で 一生懸命勉強 して しっか りと就職 して、私が母 を 幸せ に してあげ るこ とだ と思 ってい ます。 この リポー トで、母 の ライフ ・ヒス トリー を知 る事が で き、本 当に よか った。 -38-牧野息康 保健 医療福祉学の構想 と医療 ソー シャルワー カーの教育訓練に関す る考察
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2
2
【
例 2】01
3
男 - 父 (状況 と感想 ) 私の説明が終わ り、父がてれ くさ そうに 自分の生活史 を話 して くれた。 この面接 を 終 えて、私の感想 としては、私 は父 とこの ような 感 じであま り会話 をしない し、まして昔の ことな どもあま り話 さないか ら、非常に違和感があった。 ふだんか ら、この ような会話のできる、家族の雰 囲気があればこの ようには、苦労 をしなか ったの ではないだろうか と思 う。 【例3】0
1
4
男 一 父 (まとめ) 今 回の リポー トを通 して、父親 との コ ミュニケー シ ョンが とれたことは、 とて もよか っ た と思 う。 こうして父の生活史 を聞 き取 るこ とに よって、よ り父 を尊敬す るこ とができた し、逆 に 自分の力の無 さを感 じさせ られた。 これか ら社会 にでる私に とって、父の ように強 く生 きられ るか どうか、非常 に不安 である。人それぞれに、その 人の歩んで きた生活史があるのだが、 自分の悔 い のない、満足 した と後に言えるような、 自分 自身 が充実 した人生 を送 ることが大切 である。 【例4】01
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女 一母 (状況 と感想) 母 は、いろいろな 目に遭 い、精神 的に強 くなったのだ と思 う。決 して私達子供の前 では、涙 をみせず グチ もこぼ さない母 であったが、 この頃、 グチ をこぼす ようになって きた。面接 と いう場 を使 って、母の グチ を聞 くの もいいような 気が した。 (まとめ) 人生は、楽 しいこ とばか りあるわけで はない と思 う。逆に、辛いことばか りで もない と 思 う。母 には、これか ら幸せ になって もらいたい と思 う。私には、これか ら先 どの ような人生が待 っているのか分か らない。 しか し、母のこ とを思 えば、何で も耐 えられ るような気がす る。 リポー トを終 えるにあたって一番感 じたことは、人生何 が起 こるか分か らない とい うこと。 しか し、何が あって も、その場か ら逃 げるのではな く、 どうす れば よいか を考 えるこ と。 どんな環境 であろうと、 前向 きに考 えることだ と思 う。 自分の親の歴史 を 知 ることによって、よ り一層親のことを知 ること がで きた。 それぞれに様々な感 じ方 をして くれたようであ る。学生の リポー トを読んで、 日常的には親 との 深い部分 での対話 と交流が薄 いこと、 しか し親の 生活史 を知 ることで 自己覚知が深 まること、な ど を感 じた。 さて、生活史か らの情報の評価 とソー シャルワ ー ク-の活用について まとめ ると、次の ようにな ろ う。 1.問題発見 ・問題の明確化 ・問題解決行動 の 糸 口としての生活史①
現在 を知 りGj)過去か らの経緯 を踏 まえて ⇒近未来 を予測 して問題解決の対処 をす る。②
現在の生活問題 を、その人の生活史 ・生 活過程上 での出来事 として理解 し、人間の 尊厳に関わることを知 る上 で重要な資料で ある。2.
全人的理解 の出発点 としての生活史の聞 き 取 り①
インテー ク面接時のラポール形成の契機 となる。(
診
問題の社会 ・生活背景の理解の重要資料 である。3.
相談援助過程の記録化 は、生活史づ くり 今 の出来事 も、す ぐに過去化す る保健 医療 行為 ・相談援助行為 は生活過程 ・生活史上 で の出来事 であ り、生活史づ くりである。4.
記録化 された相談援助過程 を含む生活史は スーパーバ イスの重要資料 スーパーバ イザーお よびセルフスーパーバ イズの判断 ・点検資料 である。5.
ケース ・スタデ ィ リトロブロスペ クテ ィブ調査 ⇒プロセス ・ リコー ドでブロスペ クテ イブ調査 ⇒問題発見 型調査6.
社会福祉援助技術教育 トレーニ ング(学生 ・ 新 人 ・現任者) としての生活史 情報収集 ・分析技術、面接技術、記録技術 そ して人間理解 、事例検討 ・研究等の訓練 と して有効 である。Ⅰ
Ⅰ. 4.
長野大学 「保健医療福祉論」 (牧野担 当 :1
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3
年度)講義シラバス1
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年度の 「保健医療福祉論(4
単位 )」 シラバ223 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 ス を、以下 に例示す る。 【1】 講義の 目標 1.保健医療 の対象 と方法お よび実践の基礎 を 理解す ること。
2.
人間の健康や障害 ・疾病の社会性 (社会科 学的側面 )を理解す るこ と。3.
医療 ソー シャルワー クの対象 と方法および 実践の基礎 を理解す ること。4.
医療 ソー シャルワー カーの役割 と基本的人 権擁護の立場 を理解す ること。 【2】 講義内容1.
保健 医療福祉論の課題 と目的-- ---(1)2.
健康 と病気の社会科学 1)感染症 :エイズを事例 に して-I(2 ・3)2
)慢性疾患 と老化 :過労死、老人医療 を 事例 に して-(4・5)
3.
研究方法論-・-・--- -・- --(6)
4.
保健医療社会学(社会科学的保健医療論 )1
)保健 と医療の展開過程 (その歴史 と現状 )--- -・-‥--(7) 2)病 人史 ・患者学--・---(8) 3)地域住民 ・労働者の健康問題-- ・・-(9) 4)地域保健医療活動--- --・(10) 5)労働保健医療活動・・---・-・-=-・(ll) 6)保健 と医療の組織 とスタッフ---・(12) 7)保健医療政策 ・保健医療経済・・--・(13)5.
保健医療 ソー シャルワー ク論1
)歴史 と現在---・・-----(
1
4)
2
)展開過程 と相談援助 技術---(
1
5・1
6)
3)社会保障 ・社会福祉 ・社会資源--・(17) 4)事例研究--=--・----・-・-(18-20)6.
保健医療 ソー シャルワー カー論 1)チームワー ク.・・・・-・・・--・・・・・・--・(21)
2)教育 ・訓練--・----・・-・----(22) 3)倫理 ・基本的人権--- -・・-(23)7.
生 と死の医療お よび全人的医療の課題 と 医療 ソー シャルワー ク--・・・・・.-・-‥--(
2
4
)
8.
総括討論 :保健医療 と社会福祉の 連携 とは ? 【3】
講義の方法 ・評価 の方法 ・テキス ト 1.新聞記事等の素材や医療 ソー シャルワー ク 事例 を活用 して講義、討論、体験学習 を展開 し、評価 は複数 回の リポー トの提 出に より行つ。
2.
テキス ト 厚生省の指標特集号 ・国民衛生の動向(1992 年版 )厚生統計協会 ¥1,800 ビデオ、ス ライ ド、OHP
を随時使用す る。 ⅠⅠⅠ.保健 医療 ソ ー シ ャル ワーカ ーの役 割 ⅡⅠ. 1.医療 ソーシャル ワーカー業務指針(
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8
9
年2月)
厚生省は、「医療 ソー シャルワーカー業務指針検 討会」 よ り 「医療 ソー シャルワー カー業務指針」 (1989年 2月)の報告 を受け、これ を1989年4月に 健康政策局長名 で医療 機 関等- 周知徹 底 を図 っ た 。参考2) 報告書は、「医療 ソー シャルワー カーは、病院等 において管理者の監督の下に次の ような業務 を行 う」 とし、次の5
つ を業務の範囲 として規定 して いる。 (1)経済的問題の解決、調整援助 (2) 療養 中の心理的 ・社会的問題の解決、調整 援助 (3)受診 ・受療の援助(
4
)
退院 (社会復帰 )援助 (5)地域活動 この内の 「(3)受診 ・受療の援助」に関 して、 厚生省は1990年 に 「医療福祉士」構想 を示 した際 に、「保健婦 ・助産婦 ・看護婦法(保助看法 )」の診 療補助業務 に相 当す る範囲 も社会福祉の立場 で医 療 ソー シャルワー カーが担当できるように保助看 法の改正 をしたい とい う意向 を示 した。 この構想 に対 して 日本医療社会事業協会は、ソー シャルワ ー カーは社会福祉職 であって医療職 ではないので 医療行為 も診療補助業務 も一切や らないのだ と反 発 した。 筆者は現在の ところ、「医療行為」と 「診療補助 業務」の定義の仕方や解釈の仕方に もよるが、医 療 ソー シャルワー カーの相談援助業務の一部 には 広義の医療行為 に含 まれ る、 もしくは含んでよい と考 え られ る相談援助があると判断 している。そ のため、医療 ソー シャルワーカー業務の範囲や そ の方法 と、「医療行為」や 「診療補助業務」の実際 的かつ現行 の医師法お よび保助看法、そして医療牧野忠康 保健医療福祉学の構想と医療ソーシャルワーカーの教育訓練に関する考察 法上 の吟味 と整理 を学問的にや ってお く必要が あ る と考 えている。 ここでは、今後の課題 としてお きたい。 Ⅱ1. 2.労働衛生領域 での 保健医療 ソーシャル ワークの実際 筆者は、長 く預肩腕障害
、VDT(
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)
作業 に よる健康 障害 、有機 溶剤 中毒 、 鉛 中毒 、 じん肺 、振動 障害 、過労死 、労働 ス トレ ス等々の職業病 をは じめ とす る労働衛生領域 と職 業病医療 の領域 で相談援助 の業務 に携 わ って きたcVDT
作 業 に よ る健 健康 障害予防の相談援助 と 額肩腕障害 の医療 におけ る疾病予防活動 は、作業 管理 、環境管理 、健康 管理 を基本 としてい る。 と くにVDT
作業に よる健康 障害 は、作業負担の生 理的、精神 的過重負担が最大の要 因であ るこ とが 知 られている。VDT
作 業 時 間や 作業量 ・密度 の 制 限が有効 であ り、それ を実行す る保健行動 は個 224 人的な行動 では限界があ り、職場 もしくは事 業所 ぐるみの組織的な保健行動が とられない限 り、問 題解決の期待 は薄 いことがわか っている。個 人 と 組織の問題の気づ きと自覚 そ して問題解決行動 の 実行 とい うプ ロセスが必要 で、 これには保健 医療 ソー シャルワー クの技法が有効 である と、筆者は 考 えて実践 して きた。 この経験 を図に示 したのが図-3
であ る。vDT
作業 は、VDT
作 業 に伴 う健 康 障害 の発 生 には、健康 障害 を発生 させ るような生理 的な負 担や 危険因子が生物学的ない し化学的、物理 的に 必ず存在 していな くてはな らない 「素 因」 ではあ るが 、この素 因のみで健康 障害が発生す るわけで はない。長 時間過密労働等の生理 的 (身体 ・神経 ・ 精神 )へ の過重 負担が 「必須要 因」 として存在す るこ とで健康 障害が具体化 して問題 になって くる のである。 そ して、この間題 に気づかないか 、故 意に無視 して問題 を深刻化 させ る 「促進要 因」 と 図-3 耽美病の予防および医療における医療ソーシャルワーク (牧野-1991) 企業 労助 阻合・
働
、
1環蝉 理 ト
E
S噂曝歌書
牌
労働条件の改善
くつ(
健康診断)
生命と健康優先の思想の確立
-一・連続作業時間管理
t遠野
リラクゼ
ーション
ストレッチング
生活のゆとりづくり
【
現有腕輪
視横弛低T,精神疲労】
A静
壊
【
必粟要因】 【
促進要因】 【
拡大要因】
技
術革新下での労働の変化
長時間過密労働
労働者の中高齢化
利潤の追求 (
産業合理化)
健康回復措置
労 災 補償 予 防 措 置診断 【
社会疫学的調査等】 ⇒労災保険等 【
業務
上 立 証 援 助 等 】 ⇒ 発 生 原 因 の 疫 学 的 究 明治療 【
闘病相談援助等】
企業内補償 【
労静協約等援助等】
-
再 発 予 防-i署㌍ 豊 葺 r
リ- ビリテーション
民
事
陪
債
【
裁判闘争支援等】
【聴 場復帰相談援助等】社
会
保
険
【
制鹿替用援助等】
基本的人権の確立と擁護
225 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 か 「拡 大要 因」 の存在 もあ る。 労働過程 での労使 (労 資 )関係 の 中で、「必須要 因」 は社会科学 的 な側 面が大 きい。 そ して 「促 進 要 因」や 「拡大要 因」 につ いて も社会科学 的な要 素が大 きい こ とが 多い と観察 され る。 この社会科 学 的 な要素 に働 きか けて健康 問題 の発生 を予 防す るのは、産業医や 産業保健 婦 の実 践課題 で もあ る が 、 ソー シャル ワー クの技法 を専 門 としかつ保健 医療福祉 学 の知 識 を有す る保健 医療 ソー シャル ワ ー カー の実践 は大 きな役割 を果 た してい る。 健康 障害 の発生後 には、健康 の 回復 の ため に医 療 にア クセス し、労働 基準法等 に規定 されて い る 労 災補償 等 の制度 活用 に よる生 活 ・医療保 障の相 談援助 を行 う必要 が あ る。個 人の救 済や個 人 と職 場集 団の再 発予 防の観 点か ら、健康 問題発生 の責 任 の明確化 の取 り組 み も必要 とな るこ とが 多い。 III. 3.頬肩腕陣書の予防 ・診断 ・治療 ・]Jハ リハ ビ リの相談援助の一例
I
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.
3.1
経 過 筆者 は、1990年 に次の ような相談 をうけて、ス ーパー ビジ ョン と援助 を行 った経験が あ る。 それ は、労働省 が頬屑腕障害 の業務 上外の認定基準 に 例示 していない職種 であ る看護婦 が頬屑腕障害 に 羅病 し、労働 者 災害補償保 険法 (労 災保 険 )の適 用 を申請 していたが労働 基準監督署 よ り「業務 外」 の方向が 出 され そ うな時期 に、相談援助 を担 当 し て いた医療 ソー シャル ワー カーか ら 「どの よ うに 主張 し立証す れば よいのか」 とい う相談 であ った。 筆者は、本人 と医療 ソー シャルワー カーお よび職 場 の同僚等に 「もう一度 、病気発症の経過 を生活史 として整理 し、業務 負担 の関係 を事実 で証 明す る 見直 しをしてみては どうか」 と助 言 した。徹底 的 な見直 しが行 われ 、再調査や 資料 の収集 が行 われ デー タがほぼ揃 った段 階 で、生活史 とデー タの分 析 を協 同 して取 り組 み、「自己意見書」を作成 した。 それ を労働 基準監督署 に届 け、担 当課長 等が読 み 終 わ った頃 を見計 らって会 見 を申 し入れ た。本 人 お よび担 当医療 ソー シャル ワー カー そ して筆者等 と担 当官 と事実確 認の交渉 を もった。 そ うした作業 の過程 で、次 に示す よ うな 「意見 書」 を作成 した。 そ して、1991年5月 5日に、業 務 上疾病 と認定 されて労 災給付 とな り、長期休 業 で無給休職 とな っていた ものが 、労 災保 険の休 業 補償 給付 と就 業規則お よび これ を機会 に新 た ち締 結 され た労働協約 に よ り100% 補償 を受 けて金銭 的には救 済 された。 また、 リ- ビ リテ- シ ョン と しての就労訓練 の場 も職 場 で補償 され 、職場復 帰 も実現 した。 III.3.2 吉○美○子 さんの種病 した預肩腕 障 害 の業務上外 に係 る(牧 野)意見書 ○府労働基準監督署長 官○ 寿○殿 1991年3月3日 長野大学産業社会学部助教授 (当時) 保健学博士 牧野 忠康書
○美○子さんの擢病 した額屑腕障害の 業 務 上 外 に 係 る 意 見 善 吉○美○子 さんの依頼および○府労働基準監督署九 〇課長 との話 し合い (1991年3月2日)の結果に基づ き、私の専門 とする労働衛生学および保健社会学の立 場か ら、表題の通 りに業務上外に係 る意見を下記に申 し述べ ます。 記 Ⅰ.氏 名 :書○美○子 ⅠⅠ.生年月日 :1951年2月11日生 まれn
l
.
性 :女 Ⅳ.病 名 :額肩腕障害 (○府共立病院 小○雅○医師診断) Ⅴ.経過の要約Ⅴ.
1.
検討に用いた基本的資料 書○美○子 さんの羅病 した額屑腕障害の業務上外に ついて検討する資料 としては、1991年2月22日に申請 人か ら提出された 「頚屑腕障害に関わる 自己 意 見 書 (No.2)」 を用いて検討す ることとする。 これは、1991年3月2日に○府労働基準監督署にお いて九〇課長、申請者本人の書〇、吉○代理人等およ び参考人 として私 (牧野)が話 し合いの結果、
○府労 働基準監督署の調査等 と申請人 との間に事実の確認で 艶鱈のないことが確認されたものである。Ⅴ.2.Y
勤労者医療協会に就職す るまでの経過 1977年5月にY勤労者医療協会に就職するまでの生 活史で、本件で対象 となる額肩腕障害の発生に関連す る特筆事項はない。 Ⅴ.3.Y勤労者医療協会に就職 して以降の経過牧野忠康 保健医療福祉学の構想 と医療 ソーシャルワーカーの教育訓練に関する考察 226 Y勤労者医療協会 では、当初 においては○府共立病 院勤務 の保健婦 として看護職業務 に就労 していた。 1983年4月のY勤労者医療協会倒産事件 は、医療機 関の大型倒産事件 として社会 的に も衆知 の大事件 であ った。その当事者 は、大 きな シ ョックと不安 な状況に 置かれたこ とを推察す るに難 くない。 吉 ○さんは、倒産 直後か ら1987年4月まで総婦長代 行 (1983年11月まで)か ら総婦長 (1983年12月以降 ) として看護職 員 と看護業務 の管理一切 の責任 を負 って きた。倒産後の再建 の過程 で こ うした重責 を務め るに つ いては、相 当の精神 的負担 と心身の労働 負担 を強い られたことは容易に推定 で き、理解 され るこ とである。 実際に、相 当の労働 負担 と育 児等の生活負担に耐 え なが ら、総婦長 としての業務 を遂行 して きた様子が、 「自己意見書」に述べ られている。そ して、心身の疲労 が徐 々に蓄積 していった としているが、 これは労働生 理学に も矛盾す るこ とでない と考 えるのが妥 当である。 疲労症状 としては、書字作業等 に よ り右利 きの人に と って負担のかか りやす い右腕 の倦怠感、頚 ・肩の凝 り や痛み ・倦怠感 、全身の倦怠感等が、労働 負担等に よ り出没す る状況の経過が明 らかに されている。 これは、頬肩腕障害の発症の前駆症状 の期 間であっ た とみて よい。
Ⅴ.
4
.
1986年12月頃の頚肩腕症状増強時 よ り1987年 4月までの状況 1986年12月前後に、頬肩腕症状お よび 自律神経失調 症状が増悪 しているこ とに注 目され る記述が認め られ る。 これは、例年12月頃には病 院活動 の総括 をす る時 期 であるため書字作業が顕著に増大 し心身の疲労 を増 す時期 であるのに加 えて、この年 は人事 異動 の困難 な 課題 を抱 えたので精神 的負担 も著 しく増大 した様子が 記述 されている。 この心身の労働 負担の過重負担 となった時期 に、額 肩腕症状お よび 自律神 経失調症状が出現 した り、増悪 しているのは労働衛生学 的に も理解 で きる ところであ るo また、これ らの症状 に対 して神経ブロ ックや頓服等 の対症療法が行 われているが 、著効 を奏せ ず、慢性疲 労症状が悪化 していった こ とが読 み取れ る。そ して、 周囲にいた副婦長か ら 「休養」 を勧め られ、実際に年 末年始 に2週 間の休養 を試みている。休養 に よって一 時的な回復 は認め られたようだが 、業務 につ くとたち まちに疲労状態は元に戻 り、 ます ます諸症状が進展 し ていった傾 向 を読み取 るこ とがで きる。 これは、部下等に よ り客観 的に も疲労 困債が認め ら れていた証拠が示 されている と認め られ る。 また、こ の経過 は、幾層腕障害の発症過程の 自然史お よび心身 の疲労 困債状態 とよ く一致 してい ると判断す るこ とは 労働衛 生学 的に も妥 当である。 Ⅴ.5.1987年 5月の武○診療所 異動 お よびその後の 経過 Y勤労者医療協会 お よび書○ さんの総婦長 としての 立場等の事情に よ り、1987年5月に武○診療所 に婦長 として異動 になった。 これに よ り、大規模病 院での看護管理業務 と異なっ て、診療所 では婦長 といえども管理業務 だけに従事 し ているこ とはな く直接看護業務 に も携 わ り、診療補助 業務や医療行為 に付随す る重要 な業務 ではあるが看護 職業務か らい うと雑用 とみ られ る様々な業務 に従事 し な くてはな らないこ とは診療所の業務実態 を知 る者に は常識である。 吉○ さんの場合 に も、業務 負担の著 しい変更お よび 通勤距離の著 しい延長 に伴 う通勤負担の増大等に よる と理解 で きる額肩腕症状の進展が確認 で きるo 顕肩腕症状 の対症療法 として、鎮痛剤等の内服薬や 注射 そ して理学的治療等 に よ り対処 しているが、気休 め程度の効 果 しか認め られず、症状の改善 には さした る奏効 はなか った もの と推量 され る。 Ⅴ.6.適切 な 治 療 と作業 負担の軽減が必要 な段階に 進展 していた と推定 され る1988年5月頃以降の 経過 「自己意見書」の記載に よ り、診療所 におけ る看護職 業務 に従事す る中で、心身の疲労状態お よび頚肩腕症 状が進展 していったことが推定 で きる。 とくに、産休者の補充のない中で、看護婦 として直 接介助業務 、診療介助業務 、薬剤業務 、管理業務等に 従事 していたが 、薬剤業務や在庫管理業務等に よる上 肢負担作業が増大 した時期 に額肩腕症状 は増悪 してい ったこ とが確 認で きる。 この時期 に、その発症 お よび症状進展要 因である労 働 負担の軽減の上 、適切 な治療が必要 であ り、 これ を 怠 る と重症 ・難治でや っか いな額肩腕障害 に進展す る こ とは、窺肩腕障害 の臨床経験の豊富な医師や 医療 従 事者 には よ く知 られているこ とである。 しか し、昔○ さんの場合 には、医療機関に所属 して 医療 にア クセス し易 い立場 にあ り、かつ看護職 として227 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 病気の専 門的知 識 を有 してい るに もかかわ らず、診療 業務が 多忙 なためにその時間が確保 されず 、適切 な対 処がで きない状況に置かれていたために、本格 的な頬 肩腕障害 に まで進展 していった と労働衛生学的に理解 す るのが妥 当である。 そ うした状況の中で、診療所 での諸業務 の遂行 と診 療所内では本来業務 ではないが準業務 として位 置づけ られてい る原水爆禁 止世 界大会へ の参加 等の諸活動 に 参加 した り、これ も準業務 であ るY県展村医学会 での 発表準備や発表の心 身負担の増大 と、額肩腕障害の増 悪要 因 とされている寒冷に よ り症状 は悪化 した と記述 されているO これは、預肩腕障害 の症度が十分 に進展 してい る状 況 では一般 的に有効 な治療 が実施 されていない額肩腕 障害の擢病者 に よ く観察 され る自然史であ ると認め ら れ るOす なわち、頚屑腕障害の症度進展要 因 として、 一定進展 した状態に まで到 る と労働 負担であろ うと生 活負担 であろ うと通骨 ではなんの支障 もな く乗 り越 え ることので きる一時的なち ょっ とした心身の負担が 、 著 しい症状の悪化要 因 となるこ とが しば しば観察 され ている。 実際に、書○ さんは、つ いに1988年12月26日よ り休 業治療 に入 った。 Ⅴ.7.休業療養 に入 った1988年12月以降の経過 症状の進展要 因 と思 われ る業務 負担か ら一切離脱 し、 適切 な治療 と休養 が保 障 され る と比較的速やかな症状 の軽減が認め られている0 本椿 的な薄層腕障害 の療養 が開始 され るまでの期 間 が長か ったに しては、順調 な症状 の消過 の経過 と評価 す るこ とが で きる。 これは、主治医の小○雅 ○医師の 診断 と治療方針 の的確性 を証明 している。 そ して、 自発痛等の頬肩腕症状が軽減 したので職場 復帰 を計画 し、1989年12月よ り就労訓練 を開始 し1990 年
4
月よ り軽減勤務 にて職場復帰 した。 しか し、一旦 職場復帰す る と軽減勤務 の継続的な保障は難 し く、次 第に業務負担が過重 になってい き再 び頚肩腕症状 の悪 化がみ られ、1990年6月15日よ り再 び休業療養 となっ た。 この経過 も、重症 の額肩腕障害患者の職場復帰 に際 して しば しば経験 し、観察 され ることである。 したが って、額肩腕障害患者等の職場復帰に際 して は、計画的 ・訓練的 ・段 階的就労 を慎重 にお こなって 職場復帰す るこ との重要性が認識 されている。 そこで、労 災保 険行政等 でこれ を補償す るために労 働 省労働基準局長 よ り 「頭 窺部外傷症候群等の労働 災 害被 災者 に対す る特別対策の実施 につ いて」 (基発第 593号 、昭和48年11月5日)で額肩腕症候群 (日本産業 衛生学会 での定義 では預肩腕障害 )等の療養期 間中の 計画的就労お よび治療後の職場復帰につ いての行政指 導等 を通達 している。 Ⅴ.8.ま と め 以上 にみて きた書
○美○子 さんの額肩腕障害の発症 経過 お よび療養経過等の生活史は、一般 的に観察 され る額肩腕障害の発症お よび療養経過 との差 異は認め ら れない。 ところで、本意見書の 目的である書○美○子 さんの 罷病 した預屑腕障害が業務上 に よるか否か を検討す る とき、吉○美○子 さんの職業が看護職 ではあったが、 疫学的に看護業務 において窺肩晩障害が発症 してい る か どうかの議論 は必要でない。その疾病が業務上 であ る と判断す るためには、臨床 医学的診断お よび それに 基づ く治療経過 に矛盾が な く、業務上 の労働態様や労 働 条件 お よび労働環境等 を検討す るこ とに よ り、いか な る心 身の労働 負担が吉○美○子 さんに過重 となって いたか を明 らかに し、その労働 負担が頬屑腕障害 を発 症 させ る要 因 として労働衛生学的に証 明 し得れば、業 務上 の疾病 として判断 して よい と解 され る。 そ して、 労災保険法 に基づ く業務上外の判断は行政判断であ る ので、科学 的に綿密 な証 明は必要 とされず 、その蓋然 性 が証 明 されれば よい とされている。 したが って、吉○美○子 さんの羅病 した額肩腕障害 は、業務上疾病 と考 えて臨床医学的お よび労働衛生学 的な矛盾 はない と考 えるのが妥当である。 Ⅵ.結 論 Ⅵ.1.書 ○ 美 ○ 子 さんが雁病 した預肩腕障害は、業 務起 因性 の疾病 である と判断 して労働衛生学的 には閉幕がないo Ⅵ.2.その理由の要約 Ⅳ.2.1 1977年5月にY勤労者医療協会 に就職 す るまでの健康状態で、現在の額肩腕障害の症状 を 惹起す るよ うな既往歴等は認め られないこ と。 Ⅵ.2.2 1983年4月にY勤労者医療協会が倒産 す るまでは、健康状態において も額肩腕障害の症状 の 自覚 もな く健康状態 も良好 に就労 して きたことO Ⅵ.2.3 1983年4月の倒産後に総婦長代行 、同年 12月に総婦長 に就任 して以降に疲労症状 を自覚 し-4
4-牧野忠康 保健医療福祉学の構想と医療ソーシャルワ-カーの教育訓練に関する考察
2
2
8
始めていることか ら、心身の労働負担が過重にな ることに相関 して疲労症状等が出現 していること が確認されること。 しか し、疲労状態が 慢性化 し ているにもかかわらず1
9
8
7
年1
2
月頃までは総婦長 業務 を遂行 してきていること。Ⅵ.2.4 1
9
8
7
年1
2
月前後に業務負担が増加 し、心 身に過重な負担がなかったであろうことが状況証 拠で確認される時期に、疲労状態か ら額肩腕障害 の症状に進展 していると推定できること。Ⅵ.
2.5
その後、大規模病院の総婦長か ら診療所 の婦長業務に異動 とな り、業務内容および業務態 様が激変 し、かつ通勤負担 も著 しく増大 した状況 の もとで、窺肩腕障害の症状が進展 していること。Ⅵ.2.6
診療所業務に、額肩腕障害の発症要因 と なる上肢 を単純 ・反復に酷使する作業が認め られ、 かつ業務量 も著 しく過重であったと状況証拠か ら 判断できること。Ⅵ.2.7
預肩腕障害の有効 ・適切 な治療が行われ ていない状況の下では症状は進展 し、1
9
8
8
年1
2
月 は じめ よりの休業治療等の有効 ・適切 な治療が開 始 されることにより、窺肩腕障害の症状は速やか な消過が認め られること。Ⅵ.2.8
主治医の小○雅○医師の臨床医学的な診 断および治療方針 と、私の預肩腕障害等の労働衛 生教育 ・指導経験や研究成果および本件の労働衛 生学的な検討 とが矛盾 しないことOⅥ.2.9
吉 ○美○子 さんの罷病 した額屑腕障害 の 発症および進展の経過が、通常に観察 される窺屑 腕障害の発症および進展の 自然史か らの逸脱が認 め られない とともに、他に本症状 を惹起 し得 る疾 病の存在 を示唆す る状況 を認め られないこと。Ⅵ.
2.
1
0
以上の状況証拠により、業務起因性の疾 病 として労働基準法および労働者災害補償保険法 の規定に基づ き補償 されるのか妥当であると判断 した。 Ⅶ.参考文献 1.牧野息康 「頬肩腕障害の社会医学一職業病の保 健 ・医療社会学的考察一増補版」医療図書出版社、1
9
77年 、東京 2.牧野忠康 「額肩腕障害の予防 と診断 ・治療」(労 働法学研究会報1
1
3
2
号、1
-5
2
ページ)、総合労働 研究所、1
9
7
6
年、東京 3.牧野忠康 「労災職業病 -予防 ・治療 l)- どリの 実務」労働教育センター、1
9
7
7
年、東京 ⅠⅠⅠ. 4 HIV感染・A旧S問題 と 保健 医療 ソーシャル ワーク1
9
9
3
年7
月の厚生省エ イズサーベ ランス委員会 の報告 では、1
9
9
3
年6
月末現 在のHI
V
感染者の累 積報告数 は2
7
6
5
人で、AI
DS
患者累積報告数 は5
9
2
人であ る。 その内の 「凝 固因子製剤」 に よる もの は1
7
2
8
人で、その内の3
7
5
人がAI
DS
発症者 であ る。 じつ にHI
V
感染者 の6
3
%
が血液製剤 に よる もの で あ る。 「凝 固因子製剤」 での感染 は 「薬害」であ る。 こ れが わが 国のAI
DS
問題 の社会 的構造 を規定 し、 原点 ともな る01
9
8
5
年 の 「加 熱製剤」化 に よ りひ とまず薬害 エ イ ズの新 たな発生 はな くな った。 し か し、HI
V
感染 した血友病 患者 の生 活 と死 の問題 は深刻 で、その責任 の所在は 明確化 され な くては な らない状 況 にあ る。 他 方 では、S
TD(
性行為感染症 )としてのAI
DS
問題が深刻化 して きてい る。 これに対す る予 防、 治療体制 、教育 ・学 習、社会 的支援体制 等 の確 立 等の課題 の達 成が急が れな くてはな らない情勢 に あ る。 筆者 は、HI
V
感染・
AI
DS
問題 にはす ぐれて 「保 健 医療福祉 学」 の研 究お よび実践課題が 内在 し外 的に もニー ズが あ る と認識 してい る。 そ こで、1
9
9
2
年度 よ り長 野大学牧 野ゼ ミ (専 門 ゼ ミ、入門ゼ ミ)では、「エ イ ズ問題 の保 健 医療 福祉 的課題」 をテーマ に主 として 「薬害 エ イズ」 と取 り組 んでい る。 一 万、HI
V
(薬害 エ イズ)訴訟原告 等 の生活問 題 に関 わ る調査研 究 に参加 し、その成果 の一部 は、 第4
0
回 日本社 会福祉 学会 で 「血友病 患者 のHI
V
感 染 と生 活問題 一薬害 としてのAI
DS-
」と題 して報 告 した。 認識論 的には保健 医療社会学 的なアプ ロー チ を 有効 とし、社会福祉実践 的には保健 医療福祉学 的 ア プ ローチ を必要 とす る問題が 山積 してい るこ と が わか った。 しか し、厚生 省等が強調 しているHI
V
感染者やAI
DS
患者へ の援助 は 「カウ ンセ リング」 であ り、 予 防は 「コン ドー ム」 であ る。報告 者 は、専 門カ ウ ンセ ラー等 に よるカウ ンセ リン グの必要性や安229 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 図- 4 『薬害 エ イズ』被 春 着 の 生 活 史 と生 活 問題 (1993/5/23 日本保健医療社会学会発表、5/31改定 :牧野) 血 友 病 治 療 史 自然治癒 (醍布
な
ど
)
8 新鮮血全血 一 新辞職 血凍 ]輸血 8 シビテー ト製剤(1967年) 8 自己注射
1979年 輸入血塀 ・製剤9096 IV 感 鞄 1984年HIV同定 4 1985年加熱製剤化 8 モノクローナル抗体処理 8 国内自給 【献血】 廿 薬事 【5】 厚生行政 ・企業の 社会的責任 出生
宝霊雲合 f霊芝冨詔 至芸日
で性劣性遺伝7 過去令I 頭 蓋 lつ勺 , 関 節 などへの出血
激痛オブ濃縮 【li 身体障害化 %^ 丙 il夢 (1982年米国血友病患者3人エイズ発生 J血1液 凍重囲 医 l【2】 子 補 充 療法
巨【 保- .幼稚可 l医 療 -
看 護 【4】入
学
小 卒
墓
封Q
インフォーム ド.コンセンインフォーム ド.チョイス中 人苦 引 o
セルフ .ケア (自己決定.告 矢口家庭治療)芙葦 1
、
L 他科疾患の治療 セルフ .ヘルプ .グループ 医療費等治療 .生活の嘩樺高
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∈∃ほ∃E毘∃巨∃
精 子
中破 専 A C ⇒A R C ⇒A I D S 【11】不安 ・恐怖 ・怒 り J989年凸 ・12】 回 【10】 ,α生
活 屯を壌
自己
実 現 のr!且専
保健医療福祉的相 毒炎援
助 の主な課 長墓 と方 法 【l】受診 ・受療 ・療養の相談援助 生活状況の把握 と問題の予測 I-1,Ⅱ-1,Ⅱ-2,El-2,Er-3 【2】生活問題解決の相蔽援助 卜1,I-2,I-3,1-7,卜8, Ⅰ-I T-2,甘-2.班-3 【3】受診 ・受療 ・療養の相談援助 Ⅰ-1, I16.117,Ⅱ-I,Ⅱ-1, Ⅱ12,打-3,甘-5,7B-8,甘-10 【4】受診 ・受療 ・療養の村政援助 ・ 医療保障 ・社会保障アクセス援助 Ⅰ-I,I-2,I-7, 卜4.Ⅱ-1, Ⅱ-2,耽-4,Ⅱ-5,Xl-8.Ⅱ-9 【5】被書救済および人権擁謙制度へ のアクセスの相談演助 ・薬害再発 防止の活動 ト1, 卜5,卜6, Ⅰ-8,Ⅱ-1. Ⅱ-8,Ⅱ-9,Ⅱ-10 【6】保健生活間旬および心理的青森 の問題解決の相故援助 卜1,I-2,Ⅱ-1.I-2,Ⅰ-3, Ⅱ-4,Er-6 【7】生活問題および人権問題の対処 と問題解決の相談康助 卜1, 卜2, 卜3.I-5,卜6, I-8.丑-1,Ill2,El-3,Ⅱ-4, Ⅱ-5,Ⅱ-6、∬-8 【8】保健生括問題および心理的首藤 の問題解決の相談援助 卜l,Ⅱ11,Ⅰ-2
.
Ⅱ-2,
Ⅱ-5, Ⅱ-6,Ⅱ-7.Ⅱ-8 【9】生活問題の解決および心理的対 処の相談溝助 心身被音の拡大防止 ・生活破壊へ の進展の阻止対策 I-l.I-8,Ⅱll.El-2,Ⅱ-7 【10】生活問題の解決および心理的 対処の相談援助 i-1, Ⅰ-2.卜3、卜 5、卜7,I
-8,7[-1.Ⅱ1
2
【11】生活開密の解決および心理的 対処 (死への不安)の相談凍助 Ⅰ-I,I-2,I-3,Ⅱ-I,Ⅱ-2 【12】裁判支援 I-5,I-8、Ⅱ-8,Ⅱ-10 【保健医療福祉的相談携助の方法】 I.社会福祉援助技術 (⇔相談援助方法の基盤) 卜 1.ケースワーク、 卜2, グループワーク、卜& コミュニティ ・ワ-ク、I-4.ソ-シャル ・ア ドミニス トレーション、 t-5.ソーシャル ・アクション、 卜a 社会福祉訴査 (ソーシャルワーク ・リサーチ)、I-7.ケース ・マネージメント、 Ⅰ-8.ソーシャル ・サポー ト・ネットワーキング Ⅱ.カウンセ リング Ill1.心理的カウンセ lJング、 Ⅱ-2.家族カウンセ リング、Ⅱ一乱 グループカウンセ リングⅦ
.
ヘルス・ワークⅡ
-
I.社会脚 査 (健康調査 ・保健医粛社会学的調査を含む)、 Ell2.癖毛 (受診 ・受療 ・継続療養 ・セルフケア)相鉄援助、皿-3.患者 ・家族組織活動の相談援助、 Ⅱ-4.地域保健組織活動の相談援助、∬-5.医療 (生命倫理を含む)管理活動の相談援助、牧野息康 保健 医療福祉学 の構想 と医療 ソー シャルワー カーの教育訓練に関す る考察
2
3
0
全セ ックスの重要性 を認識す るものであるが、(保 健 )医療 ソー シャルワー カーによる社会福祉的な 援助 も重視 し、その専門家の養成 と援助 を必要 と していると考 えている。 血友病患者 と血友病患者 でHI
V
感染 している患 者の面接聞 き取 り調査 を継続 している最 中である が、1
9
9
3
年5
月現在での作業枠組みお よび調査研 究結果 と「保健 医療福祉的相談援助の課題 と方法」 についての検討結果 を、図-4
に示 した。 図-4
では、血友病患者の生活史 と血友病 治療 史 を示 し、生活史モデルお よび血友病治療史のプ ロセスの中で【1
】
-【
1
2
】の段階におけ る 「保健 医 療福祉的な相談援助の主 な課題 と方法」 を検討 し て示 した。 この調査研究の結果 を中間総括す ると、次の よ うにいえる。 1.薬害 としてのエイズは、「サ リドマイ ド事件」 お よび 「スモン事件」の経験等か ら考 えて、医 療の中に医療行為や医薬品の安全思想 と基本的 人権尊重の行動規範が確立 していれば大方は予 防可能 であった との示唆 を得た。2.
これは優れて保健医療福祉的な課題であると 思われ るが、医療 ソー シャルワー カーが積極的 に相談援助の関与 をしている事例 は認め られな か った。3.
しか し、HI
V
感染者 とその家族 を中心に保健 医療福祉的なニー ズは高い と考 えられた。4.
この保健医療福祉的なニー ズに応 えるには、 社会福祉学の知識 と援助技術 を基盤 とす るが、 カウンセ リング技法 と-ルス ・ワー ク (広義の 医療展開 を含む保健活動 )の知識 と技法 を必要 とし、それ らを融合 した独 自の知識 と援助技術 が必要 と考 えられた。5.
したがって、保健医療福祉の実践的な課題に 応 えられる専 門家の養成には、社会科学 ・社会 福祉学 を基盤 とす るが、社会医学的な保健医療 学系の知識 と技法の教育訓練が必要 であること の示唆 を得 た。6.
また、保健医壕 の実践モデル を、基本的人権 と生活概念 を含めた保健医療福祉モデルに変革 す るには、保健医療福祉学の構築 と専 門職 とし ての (保健 )医療 ソー シャルワー カーの資格制 度の法制化が必要 である。Ⅳ.
まとめ
筆者が これ までに述べて きた医療 ソー シャルワ ー カーの役割 を、保健医療の展開過程の流れに対 応 させ て図示す ると、図-5
の ようになる。 これに対応す る医療 ソー シャルワー カーの教育 訓練のプログラム を、図-6
に示 した。これは、 日本社会福祉学会第39回大会 (1
9
9
1
.
1
0.
1
9
、鹿児 島経済大学 )の医療福祉分科会で報告 した もので ある。 これは、社会福祉学系科 目と保健医療系科 目を同比重 で配 し、両者 をつ な ぐ 「保健 医療福祉 学」、「保健医療社会学」 を中間に配す るとい うの が発想の特徴 となっている。 さらに、 日本社会事業学校連盟医療福祉教育検 討委員会 で、他の委員等 と討論 を重ね、我が国に おけ る社会福祉系 4年制大学 での (保健 )医療福 祉教育 プログラムの ミニマム を示 したのが『「医療 福祉教育のあ り方」検討報告書』参考1)である。 日本社会事業学校連盟理事会は、1
9
9
3
年度 も引 き続 き 「これか らの医療福祉教育のあ り方」につ いて、 とくに「1
)医療福祉教育か らみた社会福 祉士養成の問題点の究明 と改善-の提言、2
)保 健 ・医療 の領域におけ る社会福祉専 門職の資格制 度の創設 をどのように うけ とめた らよいのか、こ れか らの資格制度のあ り方についての究明 と提言」 を理事会直轄の 『医療福祉教育委員会 (委員長 : 牧野忠康 )』に諮問 している。 これか らも、保健医療福祉学 の構築 と、 より質 の高い有能 な (保健 )医療 ソー シャルワ- か一養 成の教育訓練のあ り方 を模 索 しつつ研究 を深めて い く考 えである。 また、医学や看護学の教育課程 での 「社会福祉学」教育のあ り方、社会福祉教育 課程 での 「保健学」「医学 ・医療学」お よび 「看護 学」教育のあ り方について も検討 したい と思 う。231 長野大学紀要 第15巻 第2号 1993 図- 5 保健医療過程における医療ソーシャルワーカーの役割 (牧野-1991) 1 家庭生活一健康環境づ くり 艶 艶 子欄 隙
疾病予防
健康不調の自覚 ・発生 受診過程凸
;全人的医療 4 J} し確定診断リ
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保健行動の選択 受療行動の選択 受診医療脚 の選択 受診診療科の選択 医師の養沢 ∴・--・・-∴主訴の把握 ′予診 一 諸検査計画 と実施t
濫 読 詔 方針の蔽 地域づ くり、職場づ くり 健康
学習 ・教育,保健活動 環境
・公害住民運動 労災
犠 糊 争 保健
行動の変容援助 受療行動援助 受診の社会的 ・Jほ 的 阻害要因の排除 医学 ・医療情報の提供 社会福祉的主訴の把握 ライフ ・ヒス トリーの把握 社会病因論的情報の調査収集 -・--I--=--- IC- -- - - -- - =-:療養の社会的 ・心理的 ;インフォーム ド・コンセ ント 〔チ ョイス〕 休養 薬物療法 :コ 手術 ;ン 物理療法三
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食餌療法 ;ラ 精神療法 ;イ 放射線療法;
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等 1__, 生活の場への社会復帰i}
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日本国憲法
第25
条
セルフケア : -阻害要因の排除 療養生活の円滑化の 社会 ・心理的相談援助 社会保障
制度 ・社会資源 活用の相談援助 家族の生活問題への解決相談援助 患者 ・家族の基本的人権の塀 ソーシャル ・ネッ トワーキ ング ライフスタイル再構築の 社会的 ・心 理的相談援助 -:セルフケアの援助 家庭復帰 ;在宅ケア ;家庭復帰-社会支援 システム整備 施設復帰 職 場復帰 !濫 瓢 墓許 諾 霊 ‰廿
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国および自治体の責任による問題解決 と援助の実現牧野忠康 保健 医凍福祉学 の構 想 と医療 ソー シャルワ- カ-の教育 訓練 に関す る考察