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聖職者と詩人―R.S.トマス:詩の翻訳―
佐
野
博
美
R.S.トマ スは、以前 も本学紀要 (第10号)で も述べ たよ うに、聖職者であ り、同時に優 れ た詩 人で もあ る。彼が初期 に書いた詩や散文か ら、 もっぱ らウェー ル ズの田園や農民 を テーマに した詩 を書 く詩人 として理解 されが ちであ る。 しか し彼の詩 を実際 に読んです ぐ に気付 くこ とは、何 よ りも先ず神に呼 びかけ る詩 人の姿 であ る。 トマ スの神 に対す る愛情 の強 さを、思わずにはい られない。 それほ ど求め なが ら、決 して姿 を現 して くれない神-の嘆 きがあ る。神 を確信 しなが ら、同時に絶望 してい る人の姿が あ る。 トマ スの詩 は常 に その簡潔 さに特徴が ある。能舌 を避け、細心 に賛肉 を削 ぎ取 った言語 とイメー ジを使用 し ている。 シンプルな語柔 で淡々 と語 ってはい るが、それだけに、 そこには優 れ た俳 句に も 似 た、存在 に対す る究極 の感受性が あ り、時にはユー モア さえ も感 じとるこ とが出来 るO 聖職者 として人に神 を説 きなが ら、一個 の詩 人 として苦悩 してい る様 は、同 じ人間 として おおいに共感 で きる ものである。 以下、 そ うした トマ スの詩 を三篇紹介す る。 私 は偶 々僧侶 で もある。 それ故、信仰共 同体 の形 で人間 と関わ る事 になる。 こ うした 事 の全 てが、私の書 く詩 のあ るもの を構成す る要素 にな り得 る事 は間違 いない。30 清 泉 女 学 院 知 期 大 学 研 究 紀 要 し第12FIJJ
TheWord
A penappeared,andthegodsaid `Writewhatitistobe
man.'Andmyhandhovered longoverthebarepage,
untilthere,likefootprints ofthelosttraveller,letters tookshapeonthepage's blankness,andlspelledout
theword`lonely'.Andmyhandmoved toeraseit;butthevoices
ofallthosewaitlngatlife's window criedoutloud:`Itistrue.I
佐野 .聖職者 と詩 人一R.S.トマ ス 詩 の翻 訳 言 葉 現 れ たのは一本 のペ ン、神 か言 われ た 「人の証 を書 いてみ よ」 私 の手 はいつ まで も 白紙 の上 に滞 っていた 漸 くペー ジの空 白か ら 道 に迷 う旅 人の足跡に も似 た 覚束 ない文字が生 まれ 私が綴 り終 えたの は ロンリ -「独 り」 とい う言葉 そそ くさ と私の手が その言葉 を消 した けれ ど も、生命 の窓辺 に控 え る者達 が 大声 で 口を揃 えた- 「その とお り」 31
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TheEmptyChurch
Theylaidthisstonetrap
forhim,enticinghim withcandles,
asthoughhewouldcomelikesomehugemoth outofthedarknesstobeatthere.
Ah,hehadburnedhimself beforeinthehumanflame andescaped,leavingthereason torn.Hewillnotcomeanymore
toourlure.Why,then,doIkneelstill strikingmyprayersonastone heart? Isitinhopeone
ofthem willigniteyetandthrow onitsilluminedwallstheshadow
佐町 巧【三職者 と[,!1人-RSトマ71 話 の運軌、rく 空 ろ な 教 会 人々は この石 の昌 を築 き 臓燭 を点 して神 を誘 った あたか も、神 は 巨大 な蛾 に似 て 闇か ら羽撃 き入 るかの よ うに ああ、か って人の世 の 炎に 神 は身 を焼かれ もはや我等の誘 いに 神 が喜 ばれ るこ とは無 いであ ろ う なのに なぜ 、私 は挽 き 冷 たい石 の心臓 に、祈 りを打 ちつ け続け るのか 何時か ひ とつの祈 りが 火 を放 ち 照 し出 され た石 壁 に 人知 も及ばぬ大 いな る者 の影 を投 じる 奇跡 はあ るのだ ろ うか 33
34 清泉 女学院知期大学研 究紀要 (第1217]/)
TheAbsence
Itisthisgreatabsence
thatislikeapresence,thatcompels metoaddressitwithouthope ofareply.Itisaroom Ienter
from whichsomeonehasjust gone,thevestibuleforthearrival ofonewhohasnotyetcome. Imodernisetheanachronism
ofmylanguage,butheisnomorehere thanbefore.Genesandmolecules havenomorepowertocall
him upthantheincenseoftheHebrews
attheiraltars.Myeqtlationsfail asmywordsdo.WhatresourcehaveI
otherthantheemptlneSSWithouthim ofmywhole being,avacuum hemaynotabhor?
佐野 聖職 者 と詩 人-R.S.トマ ス 詩 の翻 訳-不 在 この大いなる不在 こそ 神 の似姿 真に迫 るその力の故 に 応答の希望 もな く私 は語 りかけ る 私が訪ね る部屋 は 空 し く、今居 た人の気配 を残すのみ それ とも、 まだ釆ぬ 人 を待つ 控 えの間か 旧式の言葉 を新装 して も その不在 は変 らない 遺伝子だ分子だ と言 ってはみて も - プ ライ人の供 え る香 と同様 その人は現れては くれ ない 言葉 は無能、方程式 をたてて も無駄 なこ と 神 の居 ないこの空 しい実存 この空虚一 神はそれがお望 みか-それだけが私の全 て 35
36 清 山女17''-院 如期 人′7二urlLLE紀til-Il節,12F,)一
〔使 用 したテ キ ス ト〕
(i) R.S.Thomas,Selected Prose,edited by Sandra Anstey,Poetry W ales Press (MidGlamorgan),1986.
(2) R.S.Thomas,Poems()i R.S.Thomas,TheUniversityofArkansasPress(Fayetteville),