飯富病院における過去3年間の
気管支鏡検査施行例の検討
飯富病院 内科 古屋禎男 外科 長田忠孝 今回我々は、昭和61年1月から昭和63年12月までの3年間に当院で施行した気管支鏡検 査施行例について検討した。これに若干の考察を加えて報告する。 3年間に当院で気管支鏡検査を施行した例は、男性88例,女性43例の計131例であ一)た。 重複例を含めて延べ検査施行回数は322回であった。 (表1) 1入あたりの検査施行回 数は1∼47回に及んでいた。47回施行例は、気管支拡張症の72才の男性でBronchial toi let及び抗生物質を用いての気管支洗浄に気管支鏡が用いられた。 次に、気管支鏡検査施行前後の診断について検討してみた。検査前診断(表2)では、 最も多かったのは、胸部レントゲン検査上で腫瘤陰影がみられたもので、36例であった。 この大部分は、検診で異常を指摘された例であり、これは当院が肺癌検診の精検機関に指 定されている為、多くの例が受診したと考えられた。23例ある肺炎では通常気管支鏡検査 はあまり積極的に施行されないと思われるが、当院においては、地域の特性により老入の 肺炎が多く、難治例あるいは喀疲の喀出のほとんど認められない例などに対して、細菌学 的被検物の採取や、Bronchial toi{e七などの目的で施行された例が目立った。気管支拡 張症の症例では、先述したようにBronchial toilet及び抗生物質を用いての気管支洗浄 が、長期にわたって施行され、緑膿菌などによる慢性持続感染のコントロールに用いられ た例が多かった。また、骨形成性気管気管支症という比較的稀な症例も1例みられた。そ の他の2例については、完全房室プロツクにて受診した中年女性で、サルコイドPtシスの 除外診断の為に経気管支肺生検(TBLB)が施行された。 検査後の診断では、検査前診断で肺炎、慢性気管支炎などであった気管支炎が最も多く 65例(表3)で、異常所見なしの36例には、末梢の腫瘤陰影、完全房室ブロックなどの例 が含まれている。食道癌の浸潤が2例あったが、検査前診断で食道癌は1例であり、他の 1例については、血疾を主訴として受診し、食道癌がみつかった例であり、老人の疾患の 所見の乏しさに驚かされた。また、気管支よりの出血の認められた3例は、血疾で検査を 施行した気管支拡張症の症例であった。 次に気管支鏡検査について、その目的から診断と治療に分けて検討した。診断を目的と した気管支鏡検査では、まず気管支病変の診断の為、直視下に細胞診、組織診、細菌学的 被検物の採取などが、延べ162回にわたって行われた。また、気管支鏡下にて行う組織生 検、細胞生検として、末梢病巣擦過法が20回、TBLBが15回行われた。 治療を目的とした気管支鏡検査では、気道内分泌物、血液、誤飲物などの吸引を目的と したBr◎nchial toilet及び抗生物質を用いての気管支洗浄が延べ129回、抗癌剤、免疫 療法剤の腫瘍内薬物注入が6回行われた。気管支鏡を用いての診断は197回、治療は135回 と治療が4割強を占めていた。 気管支鏡検査は、診断の為に用いるだけでなく治療においても重要な位置を占めている。 −1一当院で施行された延べ322回の気管支鏡検査のうち、40%を越える135回が治療を目的とし たものであった。Bronchial toilet、気管支洗浄、腫瘍内薬物注入の他に気道異物摘出 などにも用いられ、近年ではレーザー、高周波電気メスなどを用いたEndoscopic su・rger− yも行われるようになってきている。気管支鏡の役割は、治療という面においても今後ま すます重要な位置を占めしてくると思われる。