Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
Effect of buccal part designs of polyamide resin
partial removable dental prosthesis on retentive
force
Author(s)
田口, 裕美子
Journal
歯科学報, 111(5): 536-537
URL
http://hdl.handle.net/10130/2641
Right
論 文 内 容 の 要 旨 1.研 究 目 的 近年,ポリアミド樹脂を用いた義歯が臨床応用されている。このような義歯は力学的強度が不十分なため, 義歯床の変形により,床下粘膜への圧負担の偏在や支台歯の過重負担が生じやすいものと思われる。一方で審 美性が高いこと,PMMA 樹脂アレルギーの患者に使用できること,破折しにくいことなどの利点も有してお り,症例の選択に配慮すれば,有用な場合もあると思われる。しかしながらこのような義歯の支台装置に相当 する維持部の形態は経験に頼って製作されているのが現状であり,設計の基準は確立されていない。 そこで,ポリアミド樹脂性義歯の維持部の設計基準を確立するための基礎的資料を得ることを目的として, 頬側維持部の設計と維持力の関係について検討した。 2.研 究 方 法 実験には上顎左側第一大臼歯,第二大臼歯欠如のエポキシ模型を用いた。支台歯となる上顎左側第一小臼歯 と第二小臼歯は,頬側に十分なアンダーカットを付与した形態とし,舌側にはアンダーカットを付与しない形 態とした。この模型上に,ポリアミド樹脂を用いて,維持部の設計条件に差異を与えた被験試料を作製した。 維持部上縁の位置は支台歯のサベイライン上とし,維持部の上下幅を6mm,厚さを1mm とした。設定アン ダーカット量は0.5mm および0.75mm とし,維持部の内面がアンダーカット域に接触する近遠心的範囲に差 異を与えた。すなわち第二小臼歯遠心から近心まで(設計1),第二小臼歯遠心から第一小臼歯遠心まで(設計 2),第二小臼歯遠心から第一小臼歯近心まで(設計3),第二小臼歯遠心から犬歯遠心まで(設計4)の4種類 とした。なお設定アンダーカット量0.75mm の条件においては設計1および3のみ作製した。これらの被験試 料を咬合平面に対して垂直の方向に牽引し,荷重量計測装置を用いて撤去に要する力量を計測した。 3.研究成績および結論 アンダーカット量を0.5mm とした設計1,2,3および4における維持力はそれぞれ1.5N,1.7N,2.3N および2.4N であった。設計1と2および設計3と4の間には有意差が認められなかった。 アンダーカット量を0.75mm とした設計1および3における維持力はそれぞれ5N および10.7N であり設計 3の方が大きく,有意差が認められた。 本実験から,維持部が接触する範囲を前方の支台歯に接触範囲を増加させるよりも,大きいアンダーカッ卜 氏 名(本 籍) た ぐち ゆ み こ
田
口
裕 美 子
(愛知県) 学 位 の 種 類 博 士(歯 学) 学 位 記 番 号 第 1823 号(甲第1094号) 学 位 授 与 の 日 付 平成21年3月31日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当学 位 論 文 題 目 Effect of buccal part designs of polyamide resin partial removable dental prosthesis on retentive force
掲 載 雑 誌 名 Journal of Prosthodontic Research 第55巻 1号 44∼47頁
2011年 論 文 審 査 委 員 (主査) 櫻井 薫教授 (副査) 石上 惠一教授 佐藤 亨教授 小田 豊教授 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 536 ― 80 ―
量を利用するほうが,維持力は増大することが明らかになった。 論 文 審 査 の 要 旨 近年,ポリアミド樹脂を用いた義歯が臨床応用されている。このような義歯は力学的強度が不十分なため, 義歯床の変形により,床下粘膜の圧負担の偏在や支台歯の過重負担が生じやすいものと思われる。一方で審美 性が高いこと,PMMA 樹脂アレルギーの患者に使用できること,破折しにくいことなどの利点も有してお り,症例の選択に配慮すれば,有用な場合もあると思われる。しかしながらこのような義歯の支台装置に相当 する維持部の形態は経験に頼って製作されているのが現状であり,設計の基準は確立されていない。そこで, ポリアミド樹脂性義歯の維持部の設計基準を確立するための基礎的資料を得ることを目的として,頬側維持部 の設計と維持力の関係について検討した。 実験には上顎左側第一大臼歯,第二大臼歯欠如のエポキシ模型を用いた。支台歯となる上顎左側第一小臼歯 と第二小臼歯は,頬側に十分なアンダーカットを付与した形態とし,舌側にはアンダーカットを付与しない形 態とした。この模型上に,ポリアミド樹脂を用いて,維持部の設計条件に差異を与えた被験試料を作製した。 維持部上縁の位置は支台歯のサベイライン上とし,維持部の上下幅を6mm,厚さを1mm とした。設定アン ダーカット量は0.5mm および0.75mm とし,維持部の内面がアンダーカット域に接触する近遠心的範囲に差 異を与えた4種類の条件を設定した。これらの被験試料を咬合平面に対して垂直の方向に牽引し,荷重量計測 装置を用いて撤去に要する力量を計測した。 その結果,維持部が接触する範囲を前方の支台歯に接触範囲を増加させるよりも,大きいアンダーカット量 を利用するほうが,維持力は増大することが明らかになった。 本審査委員会では,1)設計条件の設定根拠,2)牽引速度の根拠,3)結論の妥当性などについての質疑 が行われ,概ね妥当な回答が得られた。また,文章表現の訂正,図の追加についての要望がなされ修正した。 その結果,本研究で得られた知見は歯学の発展に寄与するところ大であり,学位授与に値するものと判定され た。 歯科学報 Vol.111,No.5(2011) 537 ― 81 ―