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光反応点に非対称なアルキル置換基を有するジアリールエテン誘導体のフォトクロミズム

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Academic year: 2021

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(1)光反応点に非対称なアルキル置=換基を有する           ジアリールエテン誘導体のフォトクロミズム 教科・領域教育学専攻. 自然系理科コース M 0 8 1 8 6 K 難  波  浩  二. ン環を有するジアリールエテン誘導体は,共に. 1.はじめに  光照射により異性体を可逆に与える現象は一. フォトクロミック反応を示し,中でも光反応部. 般にフォトクロミズムと呼ばれている。光によ. 位にメチル基よりも長鎖の直鎖アルキル置換基. り生成する2つの異性体は,光吸収や誘電率な. を導入した場合,AP型の存在比が増大し光反. どの物性が異なるために,光によって可逆に変. 応性が向上することが明らかになっている。し. 化させることを利用した光記録材料や光分子素. かし,ベンゾチオフェン,ベンゾフラン誘導体. 子などの開発につながるものと考えられている。. の間でP型とAP型の比率が大きく異なること.  ジアリールエテンのフォトクロミズムは,光. が報告されている。本研究では,ベンゾフラン. 照射によって生成する開環体一閉環体の可逆な. 誘導体とベンゾチオフェン誘導体の差異を明ら. 生成に基づいている。開環体は紫外域に吸収を. かにする目的で,光反応部位の一端をブチル基. 示し,閉環体はπ共役が広がり可視域に吸収を. で固定した非対称なアルキル置換基を有するジ. 示す。溶液中のジアリールエテンの開環体には,. アリールエテンを合成し,そのフォトクロミッ. 図1に示すように,パラレル(P)型とアンチパ. ク反応性について検討した。. ふ美み. ラレル(AP)型の2種類の配座異性体が存在し,. AP型をとる分子が直接光閉環反応を起こすと.     q帖               C’H;. 1a:X,S.R=CH3 681X=O.R≡CHコ  仙1X=S.R≡CH3 66:X=O.R=CH3. 考えられている。これらは溶液中でほぼ平衡状. 281X1S,R=C2H57a1X=O.R≡C2H5 26=X=S.R=C2H57一:X,O.R=C2H5 38=X=S.R=C3H788=X=O,R=C3H7 3■I=X=S.R=CコH786=X,O.R=C3H7. 態にあり,このP型とAP型の存在比がフォト. 481X1S.R=C4Ho 98:X=O.R=C4Hg 461X=S.R=C4H0961X,O,R=C4Hg. クロミック反応性に大きく影響する。. 2.結果と考察. 5≡■lX,S.R=CoH131081X=O.R=C6H13 5−lX=S,R=CoH1310b1X!O・R=C6H13. 2.1合成. べ十絶蒜こ.若;、二. \禽/.   図2 非対称型ジアリールエテンの合成法.  図2に示すように各種アルキル置換基とブ チル基を有する片置換体とのカップリング反応   図1ジアリールエテンのコンフォメーション. により非対称アルキル置換基を有する誘導体を.  図1の置換基Rとして対称なアルキル置換. 合成した。化合物の構造は,lHNMR,MS・スペ. 基を導入したベンゾチオフェン環,ベンゾフラ. クトル,元素分析により確認した。. 一362一.

(2) 表11−10のヘキサン溶液中におけるフ非トグロミック反応性 ε/104dm3mo1’1cm』. u…mtum ie1d. a     b   CcIization. CcIoreversio皿. Conversi㎝313㎜%. AP  P. Theo祀ticai  Obse榊ed. 1. 1,59. ‘259m、. 1,15. r527m、. 0,38. O.33. 53,9. 54,1. 70,3. 29,7. 2. 1,62. (259㎜). 1,00. (538㎜). 0,48. 0,32. 59,7. 58,1. 71,7. 28,3. 3. 1,70. (259m). 0,90. ‘534m). 0,48. 0,32. 60,2. 58,7. 73,0. 27,0. 1,71. (259㎜). 0,93. (536㎜). 0,49. 0,33. 59,8. 60,8. 76,9. 23.1. 4 5. 1,88. (259㎜). 0,96. (537㎜). 0,49. 0,27. 64,6. 64,1. 82,2. 17.8. 6. 0,86. ‘282㎜). 1,24. r479m). 0,43. 0,30. 58,8. 58,0. 93,0. 7,0. 7. 0,94. (282㎜). 1,37. (489m). 0,45. 0,26. 63,8. 63,6. 98,8. I.2. 8. 0,93. (282m〕. 1,34. (488㎜〕. 0,43. 0,24. 64,4. 64,7. 99,0. 110. 9. 1,14. (275m). 1,46. (48911m〕. 0,49. 0,24. 67,1. 65,8. 98,0. 2.O. 10. 0.90. (283㎜). 1,30. (490㎜). 0.42. 0.24. 64.1. 66.4. 99.5. O.5.  ベンゾチオフェン誘導体はいずれも結晶で得. 長が1O㎜o長波長側ヘジフトした。ベンゾフラ. られ,そのうち14について結晶中でのフォト. ン誘導体では,一90.CにおけるlH NMR測定に. クロミズムが確認できた。ベンゾフラン誘導体. よってAP型の割合を求めることができた。ベ. では,6a−9aが結晶で得られ,6,9については. ンゾチオフェン誘導体よりAP型の割合が多く,. 結晶中でのフォトクロミズムが確認できた。. ベンゾフラン環とアルキル置換基の間に働く相. 2.2ヘキサン溶液中におけるフォトク目ミ. 互作用によってAP型で固定されているものと.   ック反応性. 考えられる。.  ベンゾチオフェン誘導体1a−5aをヘキサンに. 3.まとめ. 溶かした溶液中において,313mの紫外光を照.  本研究では,非対称なアルキル置換基を有す. 射すると1b−5bが得られた。1bオbは可視光照. るジアリールエテンのフォトクロミズムを検討. 射によって元の1a−5aが生成した。メチル基を. した。ベンゾチオフェン誘導体,ベンゾフラン. エチル基,プロピル基と長鎖にすることによっ. 誘導体ともに,長鎖アルキル置換基であるブチ. て閉環体の吸収極大が1O㎜長波長側ヘジフ. ル基の影響を受け,光反応性が向上した。開環. トした(表1)。常温におけるlH NMR測定によ. 体が長鎖アルキル置換基を有することにより. りP型,AP型構造が確認され,AP型の存在比. AP型で存在しているため光反応性が向上して. は,アルキル置換基の長さに依存し,それに伴. いるものと考えられる。対称型のジアリールエ. って光閉環反応量子収率も増大した。光開環反. テンは,光反応部位に導入された様々な置換基. 応量子収率は,ほぼ一定の値となった。. により,光明環,光開環反応量子収率などのフ.  ベンゾフラン誘導体6a−10aは313nmの紫外. ォトクロミック反応性が変化する。非対称な系. 光照射により6b−10bが得られた。6b−10bは可. においても,大きく光反応性が失われることな. 視光照射によって元の6a−10aが生成した。ベ. く置換基に依存した光反応性を有するフォトク. ンゾチオフェン誘導体と同様にヘキサン溶液中. ロミック反応を示すことが明らかになった。. において,メチル基からエチル基,プロピル基.       主任指導教員   尾 関 徹. と長鎖にすることによって閉環体の吸収極大波.       指導教員  山口忠承. _363一.

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