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〈総説〉心房内臓錯位症候群の臨床

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(1)近畿大医誌(M ed J Kinki Univ)第34巻3号. 177∼183 2009. 177. 心房内臓錯位症候群の臨床 篠 原. 徹. 近畿大学医学部小児科学教室. 1) 緒言. がいずれも右側構造・右側相同(相同とは左右対称. 心房内臓錯位症候群(以下本症候群)は比較的新. を表す用語,具体的には両側右房構造,両側3葉肺,. しい概念である .1990年代後半から広く理解される. 両側右気管支構造,脾臓はなく対称肝)を,多脾症. ようになったが,類似の疾患単位の存在は古くから. 候群では左側構造・左側相同(具体的には両側左房. 知られ, 「無脾症・多脾症」 , 「無脾症候群・多脾症候. 構造,両側2葉肺,両側左気管支構造,多脾を伴う. 群」として認識されてきた.発生頻度は決して高く. 対称肝)を示すことを特徴とする .いずれの症候群. ないが, 合併疾患も多く小児科医はもとより産科医, 小児外科医,心臓外科医などは知っておくべき重要. とも複合心疾患を伴うことが多く,Van M ierop ら は両症候群の特徴を図1のようにまとめ複雑な疾患. な疾患単位である.. 単位の理解に寄与した .. 心臓外科学教室初代主任教授の城谷. 先生が本症. その後,症例の蓄積が進むにつれ無脾・多脾両症. 候群に対し当時としては賞賛に値する外科治療を実. 候群の概念では説明し難い症例が存在することも明. 施され ,小児循環器医として歩み初めていた著者は. らかとなった.すなわち,脾臓の形態が必ずしも心. 大いなる興味をいだき以後本症候群の臨床に対し積. 房や他の臓器の相同を反映しないことがあり ,脾. 極的に取り組んできた .本稿では本症候群の診断を. 臓の形態にとらわれることなくこのような疾患単位. 中心に治療や日常管理についても概説する.. を理解しようという大きな流れが発生した.. 2) 概念. 心房内臓錯位症候群は従来の無脾・多脾症候群を. 1950∼60年代から脾臓のないもの(無脾)や複数. 包括する概念である .無脾・多脾症候群のように心. 個の脾臓(多脾)を持つものには複合心疾患や臓器. 房,気管支,肺,腹部臓器のいずれもが右側あるい. の錯位(=位置異常)が合併し,1つの症候群を形. は左側構造を示す必要はなく,少なくとも1つ以上. 成することが注目されていた.. の臓器や臓器系が左右 化障害を示せば本症候群と. やがて前者は無脾症候群,後者は多脾症候群とし て広く知られるようになったが,両症候群の本質は 「本来非対称性の発育を示す臓器や臓器系が対称性 の発育を示す」ことにあり ,無脾症候群ではそれら. 診断しようとするものである.各臓器や臓器系は正 常(左右 化された状態)から相同(左右対称構造) まで様々な程度の. 化障害が存在するはずである.. 無脾・多脾症候群はその典型例にすぎない.脾臓の. 図. 無脾症候群(=両側右側構造)お よび多脾症候群(=両側左側構造) の特徴(Van M ierop らによる).

(2) 178. 篠 原. 徹. 図. 表. 我々が経験した本症候群の脾臓形態, 心房構造, 気管支構造の関係(曖昧相同とは左右が対象構 造を示すにもかかわらず左側あるいは右側のい ずれとも決定しがたいことを意味する:(*) の 症例は腹部大血管の走行が大動脈/肺動脈並走 を示す). 脾臓の形態. 心房構造. 無 脾 無 脾. → →. 右側相同 右側相同. 無 脾. →. 多 脾 多 脾 多 脾. 気管支構造. 症例数. 化. → 右側相同 → 化 → 曖昧相同 → 右側相同. 25 3 1 1. → → →. 左側相同 左側相同 化. → 左側相同 → 曖昧相同 → 左側相同. 10 1 1. 副 脾 副 脾 副 脾. → → →. 左側相同 右側相同 左側相同. → 左側相同 → 右側相同 → 曖昧相同. 2 2 1. 葉脾. →. 左側相同. → 曖昧相同. 1. 正常脾 正常脾 正常脾. → → →. 右側相同 化 化. → 右側相同 → 曖昧相同 → 化. 1 1 1( ). 表. 本症候群の脾臓形態(A:無脾, B:多脾,C: 葉脾,D:副脾). 我々が経験した本症候群の合併心疾患 心奇形. 体静脈 大動脈 心. 房. 心. 室. 房室弁 半月弁. 大血管の位置 大血管の起始 肺静脈 動脈管. 両側上大静脈 下大静脈欠損 右側大動脈 大動脈/下大静脈並走 単心房 一次口欠損 二次口欠損 単心室 心室中隔欠損 共通房室弁 房室弁逆流 肺動脈弁狭窄 肺動脈弁閉鎖 (肺高血圧) 大血管転位 両大血管右室起始 両大血管左室起始 肺静脈還流異常 部 肺静脈還流異常 動脈管開存. 右側心房 左側心房 相同 相同 40% 0 49 91 69 31 0 91 3 97 49 57 34 9 57 54 3 80 3 37. 62% 52 14 5 62 24 10 38 10 81 33 33 10 43 33 33 0 5 5 43. 形態異常も無脾,多脾, 葉脾,副脾など様々であ. 本症候群の心疾患は複合化とパターン化に特徴を. り (図2) ,正常な脾臓形態を持つ本症候群さえ存在. 持つ.多くの症例が複数個の心疾患を持つ.しかも. する.表1は著者の経験例をこのような観点からま. パターン化している.表2は当院での経験例をまと. とめたものである .. めたものである .両側右房構造(=右側心房相同). 3) 臨床症状. を示す症例では房室中隔欠損を伴う単心室・単心房,. ほとんどの症例に心疾患が合併する. したがって,. 肺動脈閉鎖・狭窄,大血管の起始異常, 肺静脈還. 臨床症状を形作るのは心疾患であると言っても過言. 流異常などが同一症例内に存在する.また,両側左. ではない.その他,消化管異常や無脾例での重症感. 房構造(=左側心房相同)を示す症例にも複合化例. 染由来の所見に注意を払う.最近,本症候群と pri-. が存在するが,完全型,不完全型房室中隔欠損や心. mary ciliary dyskinesia との関連も取りざたされ ており 遷 する呼吸器症状には注目する.. 室中隔欠損などが単独で存在するパターンを示すこ. ①合併心疾患. アノーゼを示す.単心房・単心室,肺動脈閉鎖など. とも多い.複合化例の多くが出生直後からの強いチ.

(3) 心房内臓錯位症候群の臨床. 179. がチアノーゼ発生の原因である.明らかな呼吸障害. 側心房相同に多い)は本症候群を特徴づける合併心. を認めるときは. 疾患である.肺動脈形態 (閉鎖か狭窄か肺高血圧か),. 肺静脈還流異常に合併した肺静脈. 閉塞の存在を疑う.肺動脈閉鎖・狭窄を伴わない単. 肺静脈還流異常の有無(病型と肺静脈閉塞合併の. 心室症例や房室弁逆流が強い房室中隔欠損症例も多. 有無) ,房室弁逆流の有無(有りの場合はその程度). 呼吸,頻拍,肝臓腫大などの心不全症状が前面に現. など予後を左右するいくつかの心疾患を確実に診断. れる.. する.心エコー検査は従来の血管造影検査にとって. ②合併消化管異常. 変わる有力な診断手技であるが,肺静脈閉塞の有無. 腹部臓器の左右 化障害は腸管の回転異常や胆道. を含めた 肺静脈還流異常を正確に診断するには熟. 閉鎖の発生にも関与する.突然の嘔吐や腹部膨満,. 練を要する.multi-detector CT(以下 MDCT)は. 強度の腹痛は,腸管の回転異常や固定障害に基づく. 肺静脈走行の診断に大変すぐれており ,その走行. 腸管閉塞の発生を疑う.多脾と胆道閉鎖との関連は. はもとより共通肺静脈腔の形態や心房との位置関係. 従来から注目されており. など外科治療を行う上で外科医が知りたい情報が容. ,胆道閉鎖が疑われた. 新生児は本症候群合併の有無を検討する.. 易に手にはいる.図4は 肺静脈還流異常Ⅲ型を合. ③重症感染の合併. 併した本症候群の M DCT 像である.4本の肺静脈. 無脾症と易感染性との関係は古くから注目されて いた.無脾症に化膿性髄膜炎や敗血症などが多発す ることが知られており ,発熱や嘔吐,機嫌が悪い, 元気がないなどは要注意症状である.本症候群の突 然死の原因の一つに肺炎球菌による超重症感染があ り,かつて我々の経験例を本誌に報告した . ④ primary ciliary dyskinesia(PCD) 呼吸器症状が遷 したり無気肺を繰り返す症例の 中に PCD(線毛運動の先天性異常疾患)例が存在す る.最近,多数例を対象としたコホート研究から本 症候群に PCD 合併の頻度が多いとする興味深い報 告がある . 4) 臨床診断 最も早く本症候群に気づくのは産科医かもしれな い.なぜなら,胎児エコーは出生前から本症候群を. 図. 本症候群を疑わせる胸部写真(心尖は左側で あるが胃泡を右側に認める). 図. 肺静脈還流異常 型の M DCT 像(4本の 肺静脈(矢印)が集まり共通肺静脈腔を形成 する). 疑う有力な武器だからである.胎児の4腔像から心 房形態が把握できる.左側心房相同では両心房形態 が“sickle-shape”を,右 側 心 房 相 同 で は そ れ が “blunt-shape”を示す .さらに,腹部臓器の位置異 常やパターン化,複合化した心疾患の存在が把握で きれば本症候群の可能性がきわめて高い .出生前 診断が本症候群の予後改善に大きく寄与するとはい い難い が,新生児心疾患の治療が可能な施設への 出生前母体搬送は,出生直後に母児を. 離する悲惨. な行為の回避につながる. 出生した児の多くがチアノーゼや呼吸障害を示 す.小児科医は心疾患を前提に診断を開始する.胸 部単純写真での心臓の位置異常 (右胸心,中心位心) , 対称肝による胃泡の消失,心尖と胃泡との不一致 (isolated levocardia,isolated dextrocardia,図3) などは本症候群を疑う有力な所見である.心エコー 検査を始めるとパターン化された心疾患が存在する ことに気づく.大動脈・下大静脈並走(右側心房相 同に多い)や奇静脈吻合を伴なう下大静脈欠損(左.

(4) 180. 篠 原. 徹. は心房後面で共通肺静脈腔を形成し垂直静脈をへて. 例の MDCT による心耳像である.左右いずれもが. 門脈にそそぐ.心房と共通肺静脈腔との空間的位置. 右心耳形態をしめし,図6の左右が 化した心耳形. 関係も容易に描出されている.. 態と大きく異なることがわかる.. 胸部単純写真やパターン化された合併心疾患から. 気管支形態の診断に胸部単純写真や高圧撮影を用. 本症候群が強く疑われる場合は,各臓器や臓器系の. いた時代があったが,年少例を中心に鮮明な画像を. 形態( 「臓器位」ともいう)を診断する.. 得られない場合が多く,著者は心血管造影時のデジ. 心房形態の診断は左右の心耳形態による .侵襲的 検査である血管造影は現実的方法ではない.心エコ. タル画像を用いる方法を提案した (図7) .DSB (Digital Subtraction Bronchography)と命名した. ー検査が有用な診断手技であるが経胸壁からのアプ. この方法を用い,見た目の印象によるのではなく①. ローチでは心耳を明瞭に描出することは必ずしも容. 相同か非相同か(=気管支構造が左右対称か否か),. 易ではない.経食道エコーなど特殊な技術や方法が. ②相同であるならば両側左側気管支か両側右側気管. 必要である .著者は M DCT が最も現実的かつ有用 な方法であると. えている. 図5は図4で呈示した症. 図 図. M DCT による心耳形態の診断(この症例は両 側右心耳形態を示す). (この症例は心 M DCT による心耳形態の診断 耳形態が左右で異なり,正常心耳形態を示し ている). 図. 図. DSB に よ る 気 管 支 構造の診断(左:両 側右気管支形態,中 央:正 常 気 管 支 形 態,右:両側左気管 支形態). M DCT による気管支形態の診断 (左;両側右気管支形態, 右:両側 左気管支形態).

(5) 心房内臓錯位症候群の臨床. 181. 図. 支か,そのいずれとも言いがたいか,を明らかにす. 末梢血液像による本症候群の診断 (A:無脾症に見られる HowellJolly小 体(文 献12),B:postsplenectomyvacuoles(矢印は大 型円形パンチアウト型の空胞を示 し,無脾症ではこのタイプの空胞 を多数認める). ることが可能である.しかし,最近は MDCT による. Hib)は,莢膜多糖体(これは T 細胞非依存性抗原 である)が血流中に入ると脾の白脾髄で抗体産生を. 心疾患診断,心房構造診断を行う際に同時に気管支. 開始する.しかし,無脾症ではこの機構が成立せず. 構 造 を 診 断 す る こ と が 可 能 と な っ た .図 8 は. 免疫殺菌が遅 し,細菌数が爆発的に増加,結果と. MDCT を用いた本症候群患児の気管支構造を示し ている.. して劇症感染症が成立する.. 腹部臓器の形態診断は脾臓を中心に肝臓(対称肝. ABPC や AMPC の 予 防 投 与 は 耐 性 肺 炎 球 菌 (PISP,PRSP) の多い我が国では現実的な選択では. の有無)や胆囊の有無,胃の位置などにも及ぶ.か. ない.また,現在. 用可能な23価莢膜多糖体ワクチ. つては腹部血管造影,熱処理赤血球シンチグラフィ. ンは2歳以下には. 用できず非実用的である.しか. ー,腹部エコー,末梢血液像での Howell-Jolly小体. し,最近 用が可能となった Hib ワクチンや近い将. (図9-A)や post-splenectomyvacuoles(図9-B). 来 用が可能になるであろう7価肺炎球菌結合型ワ. の存在,などから脾臓形態を明らかにする努力がな. クチン(PCV7)は感染防止に有効であり生後2か月. されていたが,今日では MDCT や単純 CT で容易. をすぎれば接種が望ましい .. に腹部臓器の形態診断が行える.. 発熱,嘔吐,下痢,機嫌不良,元気がないなどの. 診断についてまとめる.. 症状・所見は常に重症感染を念頭に置いた対応をと. 本症候群であることの診断と臨床症状を形作り,. る.採血や検尿,各種培養検査を行い少しでも納得. 予後を左右する合併心疾患を診断することが肝要で. できない所見が見られる場合は入院管理とする.抗. ある.新生児期∼乳児期早期にこの2点を明らかに. 生物質の選択はペニシリン耐性肺炎球菌(PISP, PRSP)を念頭におく.経口抗生物質は CDTR-PI,. するための最良の手段は心エコーと MDCT であ る.とりわけ後者は1回の検査で各臓器の形態と肺 静脈の還流状況を明らかにするかことが可能であ. CFPN-PI,FRPM がよい.入院加療例は CTRX や CPR を点滴静注する.髄膜炎などの重症例は最初か. る.. ら PAPM /BP や M EPM を 用する.. 5) 管理と治療. 本症候群の中に不整脈で難渋する症例がある.. 本症候群に対して小児科医が関与する局面はおよ. 洞結節が左右両側に存在する(両側右房構造例),. そ3つである.①出生後心疾患を診断し何らかの姑. 洞結節の低形成や無形成を認める(両側左房構造. 息的外科介入に至らしめるまでの管理,②無脾症に. 例) ,房室結節が前方,後方の2つ存在する(とりわ. 対する感染防止と感染が疑われたときの適切な対. け,両側右房構造例) ,さらにこの結節間に sling が. 応,③ Fontan 型手術を目指しての術前管理と,同手. 存在することがある,などの構造上の問題が不整脈. 術後の長期管理,などである.. 発生に結びつく.長い経過中に洞機能不全や房室ブ. 本症候群の合併心疾患はその肺動脈形態により肺. ロックが出現しペースメーカーの対応が必要となる. 血流増加群と肺血流減少群とに大別される.前者で. 症例もある.また,2つの房室結節の存在に関連す. の姑息的外科介入は肺動脈. は体肺動脈短絡手術がその手段となる.外科介入に. る頻拍発作例もある.Fontan 型手術後の頻拍は血 行動態に悪影響を及ぼすため術前に解決しておくの. いたるまで前者は強心薬・利尿薬・血管拡張薬など. がよい.カテーテル治療(カテーテルアブレーショ. による抗心不全療法を,一方後者は,短絡路の作成. ン)がその根本的治療となるが,カテーテルの操作. まで PGE 製剤による動脈管の維持が図られる.. そのものが術後は難しく,この点からも頻拍は術前. 扼手術であり,後者で. 無脾症に対する感染防止対策として欧米では抗生 物質の予防投与と肺炎球菌ワクチンの接種が一般化. に解決する .. .莢膜を持つ肺炎球菌やインフルエ. Fontan 型手術後にはその特殊な血行動態,異物 の 用,凝固因子の異常 (protein C の関与が有力視. ンザ桿菌の一部(代表がインフルエンザ桿菌 b 型:. されている)などから血栓が生じやすいことが知ら. されている.

(6) 182. 篠 原. れている .当施設ではすべて術後症例にワルファ リンを投与しトロンボテスト値を15-20%,INR 値 を2.0前後に維持するよう努めている. 最後に外科治療の現況を述べる. その3本柱は Fontan 型手術,解剖学的心内修復 術,心移植である.. る根治手術の経験.心臓 3. 篠原. 8:375-382. 徹(1989)心房臓器錯位症候群:新しい概念の提案. とその臨床的意義.近畿大医誌. 14:501-535. 4. Van M ierop LHS,Wiglesworth FW (1962)Isomerism of the cardiac atria in the asplenia syndrome. Lab Invest 11: 1303-1315 5. Moller JH, Nakib A,Anderson RC (1967) Congenital. 複合心疾患を持つ本症候群に対する Fontan 型手 術成績は改善した. 徹. .術式そのものの改良もさる. ことながら両方向性 Glenn 手術を介する staging operation strategyをほとんどの対象症例で採用す るようになったことが大きく寄与している .しか. cardiac disease associated with polysplenia. A developmental complex of bilateral Left-Sidedness . Circulation 36: 789 -799 6. Van M ierop LHS, Gessner IH, Schiebler GL (1972) Asplenia and polysplenia syndrome. Birth Defects 8: 74-82. し,それでもなお2∼3の問題が残されている.ひ. 7. Macartney FJ, Zuberbuhler JR, Anderson RH (1980). とつは高頻度に合併する 肺静脈還流異常への対応. M orphological considerations pertaining to recognition of atrial isomerism. Br Heart J 44: 657-67. である.とりわけ肺静脈閉塞合併例は早期の外科介 入が必要となる.また,還流異常の修復後に発生す る新たな肺静脈閉塞が問題となる .吻合部狭窄ば かりでなく,大動脈と脊椎,心房などによる圧迫や 内膜造生などが発生原因として注目されている . 続いて房室弁逆流である.低形成や異形成が多い本 症候群の房室弁は容量負荷により容易 に 破 綻 す る. .新生児期から強い逆流を示し早期の外科介. 8. Chiu I, How S, Wang J, Wu M , Chu S, Lue H (1988) Clinical implications of atrial isomerism. Br Heart J 60: 72-77 9. 篠原. 徹 (2001)無脾・多脾症候群.小児内科. 33 (臨増):. 494-495 10. 伊藤弘道,森. 一博,西條隆彦,中川竜二,真鍋哲也,黒. 田泰弘(2003)Primary ciliarydyskinesia を合併した無脾 症候群の1例.日児誌. 107:1378-1380. 11. Knnedy M P,Omran H,Leigh MW,Dell S,M organ L,. 入が必要な症例が存在する.さらに肺動脈に関する. M olina PL (2007) Congenital heart disease and other. 問題もある.先天性に肺動脈が細く,肺血管床に乏. heterotaxic defects in a large cohort of patients with primary ciliary dyskinesia. Circulation 115: 2814-2821. しい症例は短絡手術の効果が少なく高肺血管抵抗値 が続き Fontan 型手術へ到達できない . 2つの心室を持ち,各心室容積が妥当で心室と房 室弁との位置関係が良好な症例は,re-intervention や術後に不整脈が発生する可能性をもつが解剖学的 心内修復手術も選択肢の一つである . 諸外国では心移植も有力な治療戦略である.29例 の本症候群に対する心移植の報告がなされ,拒否反. 12. 篠原. 徹(2001)心房内臓錯位症候群,In:高尾篤良,門. 間和夫,中澤. 誠,中西敏雄(eds):発達心臓病学第3版. 東京:中外医学社.pp393-400 13. 仁尾正記,大井龍司,遠藤尚文(1996)多脾/無脾症候群 に合併した胆道閉鎖症.小児外科. 28:283-286. 14. Debich DE, Devine WA, Anderson RH (1990) Polysplenia with normally structured hearts. Am J Cardiol 65: 1274-1275. たと言う .重症例に対する心移植の必要性を支持. 15. Waldman JD, Rosenthal A, Smith AL, Shurin S, Nadas AS (1977) Sepsis and congenital asplenia. J Pediatr 90: 555-559. する意見は多い .. 16. Shinohara T (2004) A fetal case of asplenia with. 応や感染の発生率も非心房内臓錯位と変わらなかっ. 6) おわりに 心房内臓錯位症候群について概説した.画像診断 と外科治療の進歩が本症候群の臨床を大きく変え た.胎児エコーで本症候群を疑い,観血的方法によ ることなく各臓器や臓器系の左右 化障害と合併心 疾患を診断し,出生直後から外科治療を念頭におい た対応がとれる現在,本症候群と診断されることが. fulminant pneumoccal infection. Acta M ed Kinki Univ 29 : 49 -52 17. Berg C, Geipel A, Kohl T, Smrcek J, Germer U, Baschat AA (2005) Fetal echocardiographic evaluation of atrial morphology and the prediction of laterality in cases of heterotaxy syndromes. Gynecol 26: 538-545. Ultrasound Obstet. 18. Berg C,Geipel A,Smrcek J,Krapp M ,Germer U,Kohl. 近い将来の死を意味していたかつてとは隔世の感が. T (2003) Prenatal diagnosis of cardiosplenic syn-. ある.. dromes: a 10-year experience. Gynecol 22: 451-459 文. 1. 篠原. 献. 徹(1988)「心房内臓錯位症候群」の概念.日児誌. 92:2273-2276 2. 安藤. 隆,城谷. ,河井. 淳(1976)無脾症候群に対す. Ultrasound Obstet. 19. Cohen MS, Schultz AH, Tian Zhi-Yun,Donaghue DD, Weinberg PM ,Gaynor JW (2006)Heterotaxy syndrome with functional single ventricule: Dose prenatal diagnosis improvr survaival?. Ann Thorac Surg 82: 1629 -1636 20. 立石. 実,小出昌秋,国井佳子文,渡邊一正,水上愛弓,.

(7) 心房内臓錯位症候群の臨床 武田. 紹,竹内啓人,増井孝之(2007)無脾症に合併した. 肺静脈還流異常の全身麻酔呼吸停止下 MD-CT による術前 評価.日小循誌. 23:102-108. 21. Stumper OFW, Sreeram N, Elzenga NJ, Sutherland GR (1990) Diagnosis of atrial situs by transesophageal echocardiography. J Am Coll Cardiol 16: 442-446 22. 篠原 徹,横山達郎,中村好秀,砂川晶生,三宅俊治,福 原仁雄(1994)Digital Subtraction Bronchographyによ る胸部臓器位診断―心房臓器錯位症候群23例の胸部臓器位 診断.日児誌. 98:1071-1076. 23. M ing Z,Lin Z (2007)Evaluation of tracheal bronchus in Chinese children using multidetector CT. Pediatr Radiol 37: 1230-1234 24. 篠原. 徹,砂川晶生,中村好秀,横山達郎,城谷. (1986). CT に よ る 無 脾 お よ び 多 脾 症 候 群 の 臨 床 診 断.臨 放 線 31:65-70. 183. and heterotaxy syndromes. Ann Thorac Surg 72: 1636 -1640 30. Stamm C, Friehe I, Duebener LF, Zurakowski D, M ayer JE, Jonas RA (2002) Improving results of the modified Fontan operation in patients with heterotaxy syndrome. Ann Thorac Surg 74: 1967-1978 31. Anagnostopoulos PV, Pearl JM , Octave C, Cohen M, Gruessner A,Wintering E,Teodori M F (2009 )Improved current era outcomes in patients with heterotaxy syndromes. Eur J Cardiothorac Surg 35: 871-878 32. 篠原. 徹(2008)両方向性 Glenn 手術後の肺動脈発育度 ―Fontan 手術を急ぐべきか.日小循誌 24:138-139. 33. Foerster SR, Gauvreau K, M cElhinney DB, Geva T (2008) Importance of totally anomalous pulmonary venous connection and postoperative pulmonary vein. 25. M urdoch IA, Anjos RD, M itchell A (1991) Fatal. stenosis in outcomes of heterotaxy syndrome. Pediatr Cardiol 29 : 536-544. pneumococcal septicaemia associated with asplenia and. 34. 中田朋宏,猪飼秋夫,藤本欣 ,廣瀬圭一,大田教隆,登. isomerism of the right atrial appendages. Br Heart J 65: 102-103. 坂有子(2007)無脾症候群の成績改善とその治療方針.日心. 26. 神崎. 歩,里見元義,安河内聰,今井寿郎,瀧聞浄宏,石. 外会誌. 36:237-244. 35. 石山雅邦,黒澤博身,新岡俊治,長津正芳,森嶋克昌,小. 田武彦(2003)無脾症候群の長期予後の検討.日小循誌. 坂由道,. 19:542-549. 期外科治療成績の検討.日小循誌. 27. 豊原啓子,梶山. 葉,芳本. 潤,福原仁雄,中村好秀(2008). Total cavo-pulmonary connection 前に電気生理検査およ び高周波カテーテルアブレーションを施行した先天性心疾 患の検討. 日小循誌. 24:620-627. 28. Seipelt RG, Franke A, Vazquez-Jimenez JF, Hanrath P,von Bernuth G (2002)Thromboembolic complication after Fontan procedure: comparison of different therapeutic approaches. Ann Thorac Surg 74: 556-562 29. Azakie A, M erklinger SL, Williams WG, van Arsdell GS, Coles JG, Adatia I (2001) Improving outcomes of the Fontan operation in children with atiral isomerism. 村剛毅,山本. 昇(2007)無脾症候群に対する初 23:88-93. 36. Lim HG, Bacha EA, M arx GR, Marshall A, FynnThompson F, M ayer JE, Nido PD, Pigula FA (2009 ) Biventricular repair in patients with heterotaxy syndrome. J Thorac Cardiovasc Surg 137: 371-379 37. Larsen RL, Eguchi JH, M ulla NF, Johnston JK, Fitts J, Kuhn M A (2002) Usefulness of cardiac transplantation in children with visceral heterotaxy (asplenic and polysplenic syndromes and single right-sided spleen with levocardia) and comparison results with cardiac transplantation in children with dilated cardiomyopathy. Am J Cardiol 89 : 1275-1279.

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