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原子間力顕微鏡(AFM)による三酸化タングステンWO3の研究

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Academic year: 2021

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(1)

原子間力顕微鏡(AFM)による三酸化タングステンWO3

の研究

著者

広瀬 敏和, 西浦 敏文, 郡山 泰章

雑誌名

鹿児島大学理学部紀要=Reports of the Faculty of

Science, Kagoshima University

39

ページ

1-10

別言語のタイトル

Study of Tungsten Trioxide WO3 by Atomic Force

Microscope (AFM)

(2)

原子間力顕微鏡(AFM)による三酸化タングステンWO3

の研究

著者

広瀬 敏和, 西浦 敏文, 郡山 泰章

雑誌名

鹿児島大学理学部紀要=Reports of the Faculty of

Science, Kagoshima University

39

ページ

1-10

別言語のタイトル

Study of Tungsten Trioxide WO3 by Atomic Force

Microscope (AFM)

(3)

Rep・Fac・Sci・,Kagoshima Univ・, No.39,pp.1∼10(2006)

原子間力顕微鏡(AFM)による三酸化タングステンW03

の研究

広瀬敏和1)・西浦敏文2)・郡山泰章3)

(2006年7月4日受理)

StudyofTungstenThoxideWO3byAtomicForceMicroscope(AFM)

TbshikazuHIROSE,TbshifumiNISHIURA,andYasuakiKOORIYAMA \

Abstract

WO3hasthespontaneouspolarizationalongthec−CryStalaxis・ThecleavageplaneofWO3isthec−Plane・The twindomainstruCtureSholdingincommon〈110〉axesofaWO3SinglecrystalhavebeenmeasuredbyPolarized LightMicroscope.Thetwinangleonthec−PlainhavebeenmeasuredbyAtomicForceMicroscope(AFM)at roomtemperature・ThetwinangleOcalculatedfromthelatticeconsatntsaandbisrepresentedO=2tan ̄1(苦) −900,and O=1.780calculatedfromtheratioa/b=0.969.0ntheotherhand,thetwinangleOmeasuredfrom AFMisl.480,andtheobtainedratioa/b=0.974.

1 序論

三酸化タングステンW03の結晶構造は歪ん だReO3型構造をしており、ベロブスカイト結 晶ABX3のAイオンが完全に欠落した構造をし ている。図1に8単位胞を含むW03の結晶構造 を示す。W03は温度変化に対して、表1に示す ように6つの結晶相をもち変位型の逐次相転移 をする[1]。 昇温過程と降温過程で相転移温度が違うのは、一 次の相転移であることを示している。最近、W03 は応用面からも注目されている。例えば、エレ クトロクロミック・電気化学材料物質として[21 ,ガスセンサー(NO,NO2)[3,4]として、また触 媒デバイスとして注目されている[5】。 希土類アルミネイトで観測されているように [6,7],ベロブスカイト結晶ABX3のAイオンの 半径が小さくなると共に相転移温度が増加する。 1)広瀬敏和 鹿児島大学理学部物理科学科 〒890−0065 鹿児島市郡元1−21−35 DepartmentofPhysics,FacultyofScience,KagoshimaUniversity,Kagoshima890−0065,Japan 2)西浦敏文 アイテツプ株式会社 〒892−0823鹿児島市住吉町ト5 ITEPCo.,Ltd.,1−5Sumiyosi−CyOu,Kagoshima,892−0823,Japan 3)郡山泰章株式会社南日本情報処理センター〒891−0115 鹿児島市東関町4−104 MICCo.,Ltd.,4−104Tbkai−CyOu,Kagoshima,891−0115,Japan

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2      ToshikazuHIROSE,ToshifumiNISHtURAandYasuakiKooRIYAMA このことは、Aイオンのサイズが小さくなれば 結晶の不安定性が増すことを示しており、Aイ オンが完全に欠落したW03の場合不安定性が 最大になることを示している。 W03の逐次構造相転移は、河南・広瀬によりソ フトフオノンの凍結によって引き起こされてい ることが示された[8]。表2に、仮想立方相(空 間群 f㌦3m−0£)の表現で各相転移温度での ソフトフオノンの凍結モードを示している。室 温以上の方,凡才,月モードは反強誘電的変位モー ドであり、月25モードはWO6人面体の回転モー ドである。mOnOClinic(II)はこれらの凍結モー ドに加えて、強誘電的変位モード上策の凍結が 起きており全体としてフェリ強誘電体ないしは 弱い強誘電体になっていることを示している。 一方,W03はmonoclinic(I)−triclinic相転移温 度で半導体一金属転移を起こし[9】、加えて大き な誘電異常が起きている[10]。巨大誘電率を示 すこの誘電異常は、広瀬・古川により強誘電的 マイクロ領域(FMR)が反強誘電的母体に存 在し自発分極が隣接する分極と平行になるか反 平行になるかのフラストレーションが起きてい ることににより引き起こされていることが示さ れた[ll]。triclinic相で強誘電的monoclinic(II) 相と反強誘電的monoclinic(Ⅰ)相が共存してい ることは我々のCr3+のESR(EPR)の結果から分 かっており[12]、最近のFilhoらのラマン分光 の実験からも共存が確かめられている[13】。 W03が双晶構造を示すことは分かっているが、 この論文は原子間力顕微鏡(AFM)を使って双晶 角を測定し、格子定数から予測される双晶角と 比較検討することが目的である。 図1:W03のWを中心とした酸素八面体構造(8単位胞)

恥blelW03の逐次構造相の晶系、空間群、単位胞内分子数、格子定数。

T b m p e r a tu re (← )     −4 0    17      2 8 5     7 1 0 (OC )  (→ )     一2 0    2 0 ∼ 3 0     3 3 0     7 4 0

C ry s ta l sts te m  m o n o c lin ic (II ) tri c lin ic  m o n o c lin ic (I) o rth o rh o m b ic  te tra g o n a l (Cu b ic )

S p a c e g ro u p   p c −C ぎ   P 了−C l  p 2 1/n −C …h  P m n b −D iE  p 4 /n m m −D i h (P m 3 m −0 孟) Z        4       8       8       8      2 1 L a ttic e c o n sta n t   a = 5 .2 8   a = 7 .3 1   a = 7 .3 1   a = 7 .3 4   a = 5 .2 5 (Å )    わ= 5 .1 6   わ= 7 .5 2   ♭= 7 ・5 4   わ= 7 ・5 7 C = 7 .6 7    C = 7 .6 8    C = 7 .6 9    C = 7 .7 5   C = 3 .9 2 α = 8 8 .8 0 β = 9 1 .7 0  β = 9 0 .9 0  β = 9 0 .9 0 7 = 9 0 ・9 0

(5)

ToshikazuHIROSE,ToshifumiNISHZURAandYasuakiKooRIYAMA      3 1払ble2W03の逐次構造相と各相転移温度におけるソフトフオノンの凍結モード。

2 W03の双晶構造と偏光顕微鏡写真

W03の双晶構造は、図2(b)に示すようにC 面内で〈110〉軸を共有した双晶分域構造になる。 双晶軸は〈110〉であり、図2(b)に示すように、 隣同士の双晶分域でα軸とわ軸が交換され90 0方向が違っている。 W03の室温における格子定数は、表1に示す ようにα=7.31Å,む=7.54Åと違っているので双 晶分域間は900からずれた双晶角βを持つ。図 7に示すように双晶角βは β=2tan ̄1(芸)−90。 で表わせる。 図2:(α)W03のC面内の双晶角β,仲)〈110〉双晶分域,(C)W03の双晶概念図 (1)

(6)

4       ToshikazuHlROSE,ToshifumiNlSHlURAandYasuakiKooRlYAMA 試料の複素屈折率はが=乃一抹で表わされる。†1 は屈折率で、んは消衰係数である。試料に入射 した光の振幅反射率γは m一抹−1 r = 乃−また+1’ で与えられる。エネルギー反射率月は 月=回2= で与えられる。 (和一1)2+た2 (γ+1)2+た2’ (2) (3) W03の屈折率は230C白色光で、γもα=2・703、 mも=2.376、m。=2.283、平均屈折率元=2・454 と測定されている[1]。従って、C面内でα軸の 屈折率丁もαとら軸の屈折率mbに差があるので、 偏光顕微鏡の偏光板を通った反射波に明暗がで きる。偏光顕微鏡(NikonLABOPHOTPOL)で 撮ったW03のC面内写真の一例を図3に示す。 双晶軸は〈110〉であり、図2(b)に示すように、 隣同士の双晶分域でα軸とわ軸が交換され90 0方向が違っている。 図3:W03の偏光顕微鏡写真。双晶軸は〈110〉である。

(7)

ToshikazuHIROSE,ToshifumiNlSHIURAandYasuakiKooRIYAMA      5

3 原子間力顕微鏡(AFM)の原理

原子間力顕微鏡(AFM)は大気圧下で原子レ ベルの分解能を有する顕微鏡であり、試料表面 の微細形状のみならず表面租さなどが容易に測 定できるという特徴がある。観察対象としては 導電性試料だけでなく、高分子などの絶縁物の 観察にも有効である。また測定の際に走査型電 子顕微鏡(SEM)のように、金属蒸着などの 前処理を必要としない。また液中でも測定でき るという利点がある。AFMの動作原理は、カ ンチレバーと呼ばれる微小な探針と試料表面間 に働く原子間力(斥力あるいは引力)を検出し、 その力が一定になるように試料表面を走査し、表 面凹凸を描き出すというものである。力は、カ ンチレバーの変位で検出する。カンチレバー背 面にレーザーを照射し、反射光を4分割のフォ トデイテクタに入射させ、光の変位量として検 出する。測定手法としては斥力領域で動作する コンククモードと引力領域で動作するノンコン タクモードの2種類がある。前者は金属材料な どの硬い試料に適し、後者は高分子材料や生体 試料など柔らかい試料の観察に有効である。原 子間力顕微鏡(AFM)装置の概略図を図4に 示す。 . 光検 出器 カンチレバー (探針) l レーザー ミ7 − l

図4:原子間力顕微鏡(AFM)装置の概略図

(8)

6      ToshikazuHlROSE,ToshifumiNlSHIURAandYasuakiKooRIYAMA 検出されるカンチレバーの変位は、作用する力 が一定になるように、フィードバックによりサ ンプルをのせたどェゾ素子(圧電アクチュエー タ素子)のZ軸を上下させる駆動電圧を測定し て求めます。同時に諾,y方向にもピェゾ素子を スキャンする駆動電圧を測定して、コンピュー タで3次元の表面像を措きます。

4 W03のAFM写真

今回実験に使用した原子間力顕微鏡(AFM) 装置は、鹿児島大学地域共同センターに設置さ れたDigitalInstrumentS社製のNanoScopeIII走 査型プローブ顕微鏡システム(MMAFM−K)であ る。 W03のC面のAFM写真を図5、図6に示 す。図5(わ),図6(わ)の黒い直線上のデータをコン ピュータ処理し、表面の凸凹をグラフ化したも のを図5(C),図6(C)に示す。図5(む),図6(叫は真 上からの画像であり、原子間力顕微鏡(AFM) 装置のデータ処理の操作手順は、ツールバーの FILEを選択LSELECTDIRECTORYから開き たいディレクトリを選ぶ。 即ち、3次元ピェゾ素子のコントロール信号が、 3次元の表面像の情報を与えます。詳しくは、参 考文献【14日15日16]を参照していただきたい。 図5(C),図6(C)は、ツールバーのANALYZEか らSECTIONを選択しマウスで図5(b),図6(b)の 画面に線を引く。角度を測るにはツールバーの DRAWをクリックし、マーカーを表示させ切断 面の2点を選びその傾斜角を測る。記入された 角度が双晶角に対応する。図5(α),図6(α)はA FM写真のデータをコンピュータ処理して、表 面の凸凹の様子をグラフ表示させたものである。 図5(α),図6(α)は三次元プロットであり、操作 手順は1,図5(わ),図6(わ)の画像で、VIEWから SURFACEPLOTを選択しマウスで画面の視点を 決める。 (a)

(9)

ToshikazuHIROSE,ToshifumiNISHIURAandYasuakiKooRZYAMA       7

β=1.530

(C) −25.0 1 .8 0 ° 1 .2 3 0 1 .5 4 0

1.

710

1

1.

350

/U

U

∵ U

l l

0.0       10.0      20.0〟m

図5:W03の顕微鏡(AFM)写真と双晶角0

(10)

8       ToshikazuHIROSE,ToshifumiNISHIURAandYasuakiKooRJYAMA β=1.420 −25.0 1 .2 7 0 1 ・6 0 。 1 ・5 7 。 1 .5 7 。 1 .5 4 。 1 ・0 3 0 1 ・3 6 0 八        八

m m ¶ = m

l

l

l

l

0.0      10.0       20.0       30.0〟m

図6:W03の顕微鏡(AFM)写真と双晶角0 (C)

(11)

ToshikazuHIROSE,ToshifumiNtsHIURAandYasuakiKooRIYAMA       9

WO3 rnOnOClinicI phase

格子定数

α =7.31 か=7.54 C=7.69

A

A

A

α=tan盲

8=2ta正1号−900

双晶角 β =1.780

図7:格子定数から計算した双晶角β

5 結論

格子定数から計算された双晶角とAFM測定 から求められた双晶角とを比較する。図7に示 すように格子定数と双晶角はβ=2tan ̄1(筈)− 900の関係があり、β=1.780となる。AFM測 定から求められた双晶角は図5、図6に示すよ うに1.530と1.420であり平均して1.480である。 格子定数から計算された双晶角とは16.9%違い がある。格子定数αとらの比α/わは0.969であ り、一方AFM測定から求められ比は0.974であ る。 β=90.90 at roomtemp.

6 謝辞

AFMによるこの実験は、鹿児島大学地域共同 センターに設置された装置で行ったが、坂元渉 氏に測定・指導いただいたことにたいし感謝い たします。また偏光顕微鏡を使用させていただ いた根建心具氏に感謝いたします。

参考文献

ll]Ferro−andAntiferroelectricSubstances,inLandolt−B6mSteinNewSeries,ed・K・−H・Hellwege(Springer− Vtrlag,Berlin,1969)Vbl・3,P・88・ [2]RK.Biswas,N.C.Pramanik,M.K.Mahapatra,D・GanguliandJ・Livage:MaterialsLetters,57,4429 (2003). [3]A.A.Tbmchenko,VVKhatkoandI.L.Emelianov:SensorsandActuators,B46,8(1998)・

(12)

10      ToshikazuHIROSE,ToshifumiNISHIURAandYasuakiKooRIYAMA [4]VGuidi,M.A.Butturi,M.C・Carotta,S・Galliera,A・Giberti,C・MalaguandB・Vtndemiati:Sensorsand Actuators,BlOO,277(2004). [5]YXu,S.CarisonandR.Norresam:J.SolidStateChem・,132,123(1997)・ [6]J.FScottandJ.RRemeika:Phys.Rev.Bl,112,4182(1970)・ [7]J.F.Scott:Rev.Mod.Phys.,46,83(1974)・ [8]M.KawaminamiandT.Hirose:J.Phys.Soc.Jpn・,46,864(1979)・ [9]T.Hirose:J.Phys.Soc.Jpn.,49,562(1980)・ [10]K.FurukawaandT.Hirose:J.Phys.Soc.Jpn.,55,4137(1986)・ lll]T.HiroseandM.Kawaminami:J.Phys.Soc.Jpn・,50,843(1981)・ [12]T.HiroseandK.Furukawa:Phys.stat.sol・(a)203,608(2006)・ [13]A.G.SouzaFilho,J.MendesFilho,VN・Freire,A・PAyala,J・M・Sasaki,RT・C・Freire,J・FJuliaoand U.U.Gomes:J.RamanSpectrosc.,32,695(2001)・ [14]NanoScopeIIIContactAFMオペレーションガイド(東陽テクニ*)・ [15]森田清三:固体物理 27,No.8,531(1992). 【161川見 浩、井上誠司、吉村雅満、八尾隆文:固体物理29,No・2,139(1994)・

参照

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